○国務大臣(小澤佐重喜君) この問題につきましては、再三私の所感を申上げてお
つたのでありまするが、この問題の発端は第五
国会におきまして、参議院におきましても衆議院におきましても、
通信事業の
復興に関する
決議案というものがありまして、又我々といたしましてはとの
決議案が極めて時宜に適しだ
内容を持つものと考えましたので、極力電気
通信事業の
復興、或いは拡大という線に考慮をめぐらして参
つたのであります。併しながら御承知の
通り、この現在の国内の経済事情は思う存分の建設に要する、或いは
復興に要する資金の収集が参らないのであります。
従つて一方の経営面等も考慮に入れまして、一体
日本の電気
通信事業を
国民諸君が
要望するような理想地に持
つて行くには、どういう方法にすればいいのかということに、いろいろ研究続けて参
つたのであります。併しながらこの問題については可なり資金面におきましても、資材の面におきましても、いろいろな困難な隘路が沢山ありましたが、結論においては、これはむしろ
政府もこの
復興問題については極力考慮する、或いは研究することとし、一方学識
経験のある人達のいわゆる
委員会というようなものを設けて、並行して御
審議を願うことが適当ではないかという見地から、電信電話
復興審議会というのが内閣
総理大臣の諮問機関として設けられたのであります。併しこの
委員会は勿論法律その他、政令の規定に基いて誕生した
委員会ではございません。ただ閣議の決定によ
つて運用その他構成人員等について決められたのでありますが、こうした
委員会の
審議を継続して参
つたのであります。先ずこの
委員会における検討は、一体現在
日本の政治、経済、
文化等の諸般の事情、又近い
日本の経済
状況からして、一体
日本にどの程度の数の電話が
復興され、拡張されることが適当かということから
審議をして参
つたのであります。いろいろ御
意見もございましたが、大体中間的な御
意見は、少くとも
日本の経済状態においては三百万個程度の電話が、近い将来に建設されることがふさわしいのではないかというような、これは
決議じやありませんけれども、そういうふうな空気にな
つて参つたのであります。そこでその三百万というのは、大体我が国人口に比較いたしまして二十五人に一個というような形でありますし、これ以上四百万とか、或いは五百万という御
意見もありましたが、大半の
委員諸君の御
意見は三百万程度の
復興計画、或いは建設
計画を立てることが適当ではないかというような考えにな
つて参りました。そこで一体この三百万個の電話、即ち現在約百万個でございますから、あと二百万個というものを増設或いは新設をするのには、どれだけの資金が要るかというような点について考えますと同時に、一方現在の
電気通信省でや
つております電信、電話の
国民に対するサービスは一体現状の
通りでいいのか、これではまだまだ我々の理想とする点には達していないじやないか、このサービスの改善というようなことも考慮に入れまして、
只今の二百万個の増設、それからサービスの一大革新、こうした二つの方面を検討を続けて参りました。
従つて先ず資金とか、資材の面について、この二百万個の増設は果して可能であるかどうか、若し現在の国営
事業で不可能であるとするならば、例えば公共企業体にした場合には、その必要な資金が得られるかどうか。又公共企業体でも困難であるか。民営にすれば可能であるかどうかということまで掘り下げて、いわゆる経営主体の問題についで掘り下げて御検討を願
つてお
つたのであります。そうした願い、即ち公共企業体にすれば資金がこれだけいる、或いは民営にすればこれだけとかいらんとか、或いは現在のように官公吏であるというと給与べースというようなものがあり、給与法の
制限を受けますが、これを公共企業体にした場合には、給与に関しましても公務員法の適用がありませんから、それにふさわしいような給予方法を新らしく考案いたしまして、そうして従業員
諸君にいわゆる労働意欲と申しましようか、こういうものを啓発することによ
つてのサービス改善も可能じやないかと、こういうふうな諸方面を考慮いたしまして、先ず現在の国営
事業でよろしいのかどうか、又公共企業体ならばよろしいのかどうか、民営ならばよろしいのかどうかという点についての、御検討を五、六回は大体開きまして、而も必要に応じては小
委員会等も開いたのであります。最近に至りまして、小
委員会の
審議も進み、大体
委員諸君のこの問題に対する意向というものが、十分具体的になりかか
つて参つたのであります。そこで新聞に最近伝わ
つている問題は、一昨日だと思
つておりまするが、小
委員会の中の二、三人の方が、先ず一番これはどんなよい案を出しましても、結論において強力な政治力がなければ、この問題は解決できないのであるから、
自分達の
意見を参考迄にやはり内閣の長である
総理大臣に申上げて、そうしていわゆるそこで研究をしてこつちの
意見を伝え、向うからの
意見を聞いてそうして最後の決定をすることが適当であると考えるから、そういう機会を作
つてくれないかと、こういう話がありましたので、私としましては極めて御尤もな御申込みであると考えましたから、
委員のうち三名の人に
総理大臣と面会して、
自分達の研究しつつあるところの
只今の問題を腹蔵なく話されると同時に、これに対して
総理大臣からもこの問題に対して適当なお話があつたろうと思います。併し私は一番最初三人が会うときに紹介してその斡旋の労をとつただけで、それから直ぐこちらの参議院のあれが始りますので、どういう会談が行われたかよく聞いておりません。聞いておりませんので具体的なことは申上げられませんが、いずれにいたしましても間接に聞いたのですが、
委員諸君としては、大体との民営の長所を深く織込んだいわゆる公共企業体にすることが、先程私が申上げました点にまあ現想的ではないが近いものになるだろうというような気分でおられるように考えておりましたが、これは無論今決定に
なつたわけでもなければ、答申が来たわけでもない。大体
委員の空気を察知いたしまして、その各
委員の方を
代表いたしまして、三名の方が
総理大臣に面会し、その電話の問題を検討しただけでありまして、これに対して総理もまたそれで結構だと云われておつたこともなければ、又
委員の
諸君もこれで結論が出たというのではなくして終
つているようであります。
従つてまた総理がこの問題について、私にあの案がどうであるとか何であるとかということも聞かれておりません。又そういう暇もなか
つたのであります。そういう状態でありまして今右から左に
政府の案はこうだというようなことは勿論申上げるまでには参
つておりませんが、
委員会の空気はそういう空気であるということを申上げまして、同時に
政府との関連性をはつきり申上げて置きたいと思います。