運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-05-01 第7回国会 参議院 通商産業委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年五月一日(月曜日)    午後零時二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件調査承認要求の件 ○臨時石炭鉱業管理法廃止に関する  法律案内閣送付) ○商工会議所法案衆議院提出) ○商品取引所法案内閣提出)   —————————————
  2. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは只今から委員会を開きます。先ずお諮りいたしますが、休会中の継続を予定いたしまして、調査承認を受けて置くことが、委員会運営上に何かと便利のように考えられますので、委員長手許で研究いたしました結果、調査題目は、成るべく全産業に亘る広範囲のものがよく、且つ又当面重要な意義を持つものがあればよいと思います。この両点から、一応貿易問題を坂上げた方がよかろうと思いましたので、手続案を作成いたしました。專門員から朗続いたさせますが、御審議の程お願いいたします。    〔小田橋專門員朗読〕    輸出促進に関する調査承認要求書  一、事件名称     輸出促進に関する調査  一、調査目的     輸出促進に関する国策の樹立に資する。  一、利   益     輸出を促進し日本経済再建院通商産業に資する。  一、方   法     政府当局関係業者等より資料を提出せしめ実情及意見を徴し、必要に応じ実地調査を行う。  一、期   間     今期国会開会中  右本委員会の決議を経て、参議院規則第三十四條第二項により要求する。   昭和二十五年五月一日      通商産業      委員長 深川榮左エ門   参議院議長 佐藤尚武殿
  3. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 只今の案で調査承認要求をすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。尚本調査は、当然に継続されるものとして、その承認を頂いたものとして処理いたします。
  5. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは、昨日から引続いておりました臨時炭管についての質問を継続いたします。
  6. 吉田法晴

    吉田法晴君 この前、昨日ですが、通産相に、先般の本会議での答弁の誤まりについて、釈明を求めて置いたのでありますが、高瀬国務大臣は事情を十分御承知でないと思いますから、繰返して申上げますが、炭労の賃金問題について調停がなされておる途中で、調停案が出る前でありましたので、政府の所見を質しました中に、坑内三百六十三円、それに二十二方を掛けて八千円未満で、坑外二百六十一円、二十五万を掛けて四千五百円という数字はつきり挙げて、而もその八割を支拂われておる炭鉱さえ相当ある現状に鑑みまして、炭鉱賃金が低きに過ぎ、低賃金政策を探ることは、炭鉱の真の復興を図るゆえんでなしということで尋ねたのであります。それに対して、坑内九千円、坑外四千五百円の基準賃金となつておるという御答弁であつたのであります。どういう計算でそういう計算が出ましたか。恐らく坑内については、二十五万を掛けられておるものと思いますが、私共の解釈では、明らかに間違いであると思いますが、本会議での答弁でありますので、何らか公式に一つ訂正を願いたいと、こういうふうに考えておつたのであります。たまたま宮幡政務次官から、五ヵ年計画による五千万トンの目標は、二十七年度にそうなるんだと、こういうお話がありました。それは間違いでありますと、そういう認識では困るということを申しました際に、それをちよつと引いたのであります。そのときに、この坑内九千円の基準賃金という問題については、田口局長と私の間に了解ができておる筈だと、こういうお話でありました。それは個人的な話でありまして、個人的な話の一部、而も、それで以て間違いが訂正されておるわけではないのであります。それを、こういう公開の席でそういうお話をされたのは、私共として放つとくわけに参りませんので、正式に一つ通産大臣から御説明なり、或いはお取消しを願いたいと思います。
  7. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 先般本院の本会議におきまして、只今お話がありましたように、吉田さんの御質問に対して、池田前通商産業大臣から、抗内夫の基準賃金を九千円と申上げようであります。併し、これは一ケ月の稼働日数を二十五日として計算をしたわけでありまして、通常の考え方のように、坑内夫平均稼働を二十二日といたしますれば、約八千円になるわけであります。この点につきまして、前大臣答弁の不十分でありました点を、補足訂正いたしたいと思います。
  8. 吉田法晴

    吉田法晴君 二十二方という点は、はつきり調停に出ておるので、又実績もそうなんでありますから、当然間違いであるのでありますが、只今訂正を頂きましたので、了承いたします。  今後炭管廃止法について質疑を続行するのでありますが、それに先立ちまして、私の意見、或いははつきりさせて置きたいという点を、総括的に申上げて置きたいと思うのであります。只今のような石炭産業につきまして余りにはつきりしておることを間違つて答弁なさるということは、これは石炭産業についての認識が足らんという一つの証拠だと考えるのであります。それから又宮幡政務次官の五ケ年計画五千万トンが二十七年であるか二十八年であるか、これは資料手許になかつたから言い違えたのだというお話でありましたが、事通産行政の責任のある人が、五ケ年計画達成の年次が二十七年であつたか二十八年であつたはつきりせんようなことでは、これはその職責を全うするというわけには行かんと思う。  尚私共が炭管法廃止に伴いまして心配いたしますことは、炭管法、これは一つ法律でありますけれども、私共が考えておりますのは、炭管法に集約されております石炭行政、或いは傾斜生産或いは重点主義等名前で呼ばれました石炭行政に関する方針が全くなくなりまして、そしてあと空白のまま放り出される、こういう点を心配をいたしておるのです。  この石炭行政に関しまする経過を簡単でありますが申上げて見ますと、戰争中石炭庁というのがあつて、そうして石炭庁長官国務大臣にもしなければならないだろう、こういうお話があつて基礎産業としての石炭軍要件というものが戰争中の必要によつてではありますが、認められておつた。であります。それが終戰と同時に石炭行政というものが全く放り出されて、たしか商工省の中の……その当時商工省でありましたか、一課になつた時代があると思うのです。そうして次鉱におきましては、全く増産の意欲が沈滞をして、賃金にいたしましても、或いは從業員の食糧にいたしましても、何らなされるところなく放り出されて、そうして坑内が荒れて、主要坑道さえも潰れかかるというような実態が出て参りました。鉄道に焚く石炭さえも足らん、或いはに船に焚く石炭さえも危機を告げるという状態が出て参りまして、又ぞろあわててこの石炭庁を復活いたしましたり、或いは石炭行政に関する施策が盛り返されたというような状態で、石炭行政に関しまする一貫した政策というものがなければ、これは到底石炭生産確保というものはできないのであります。若し自由党内閣において石炭はもう幾らに減つても構わんのだということでありまするならば、これは何を言わんやであります。私達は戰前生産水準の七割或いは国民生活水準戰前の七割程度には満足しない。戰前生産水準国民化活水準に達し、更にはもつと向上して参ることに念願しておる点から考えますれば、四千万トン、三千六百トンと戰前水準を下廻るということは到底許容ができないのです。それに対して炭管法廃止であるとか、或いは通産省設置法の一部改正によつて石炭行政が非常に小さくされる、或いは又いろんな問題が残つておるといわれながら、何の措置がなされずにここに放り出されるということについて、これは不安を感じますと共に、日本産業政策と申しますか、経済政策に大きな不安を感じますので、炭管法廃止関連いたしましその点を明らかにして参る所存でおるのであります。これは一般的な意図、希望でありますが、それらの点について篤と通産大臣なり或いは通産省において一つ考慮を願いたい、かように考えるのであります。  只今はまあ一般的に申上げましたが、先ずこれは先般神田委員長代理にも炭管法廃止法案提案者として伺つたのでありますが、数量についてははつきりいたしませんでした。問題は政府として石炭生産目標をどこに置いておられるか、こういう点をお伺いするのであります。問題はむしろ自由党柳田委員その他にお尋ねすることよりも、これは政府に尋ねるべきことだと考えますので、改めて伺い直すのであります。
  9. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ちよつと発言中ですけれども、お諮りいたします。大臣は外に用件があられるそうですけれども、これで退席を許してよろしうございますか。
  10. 吉田法晴

    吉田法晴君 一点だけ… それでは最初の点だけ、これは前に安本長官も來ておられましたし、吉田内閣として石炭生産目標をどういうふうに考えておるかという点は大臣に伺つて置いた方がいいと思いますので、一点だけ一つ……
  11. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 只今希望という意味お話がありました石炭生産我が国経済における重要性、今後におけるその重視の必要というような点につきましては、私も同感でありまして、国管廃止によりまし、それが阻害されるというようなことのないように通産省としては万全の措置を講じて行きたいと考えております。増産目標でありますが、二十五年度においては四千二百万トンを目標といたしております。
  12. 吉田法晴

    吉田法晴君 吉田内閣におきましては当面まあ一年程度目標はとにかく、長い計画は立たない、或いは必要がないという工合に言われておるのですが、一応これは吉田内閣前からの話でありますけれども、日本経済水準或いは国民生活水準戰前水準に達せしめるという意味経済復興五ケ年計画というようなものが立てられまして、二十八年度五千万トンというような目標が立られ、二十四年度以降年々増加する目標が立てられたのでありますが、その点についてどういう工合に考えられますか。これはたしか経済安定本部資源調査会という名前石炭生産基本的方向というものが、昨年この結論が出おるのでありますが、それにも石灰需要というものが減退することは考えられない、数字につきましては必ずしも五千万トンという数字ではありませんけれども、漸次その増産をしなければならん需要見通し得る、こういうことが言われております。  それから又たまたま国管法廃止に伴いまして、炭鉱国管法に対するマ元帥の書簡というものを読直したのでありますが、「戰前及び戰時中石炭生産は五千万超を超えていたが、爾來石炭業基本的條件は何等実質的に変化していない。これに要する凡ての資材は日本国内において入手し得るものであり、又労働力も十分にある。」ここに五千万トンという数字も出ておる。或いは経済原則の中にも全重要国産原料並びに製品の生産増加という点が言われておる。曾ての五千万トン目標がどこに行つたか分らんような今日の吉田内閣政策方向というものは、客観的にも許されておらんと考えておるのでありますが、将来に互りましてそういう石炭生産目標数量についてどういう工合吉田内閣として考えておるか、尚念を押しでお尋ねいたしたいと思います。
  13. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 曾て経済五ケ年計画というようなものの検討も行われておつたわけでありますが、無論そういうものが確実にできるものならば日本経済復興の上から言えば非常に結構なことだと私は考えております。併しながら今までの計画現実の実際の條件に即応する実行性の確実なものでなかつたものが非常に多いと思う。希望的な、一つ目標的な計画というものか多かつたのではないかと思う。その場合の與えられた條件考慮された傑作というものが確実でない。将来の見通しにつきまして確実な見通しがつかないという場合におきましては、計画はできましても実は実行のできない場合が非常に多い。そういう不確定な計画でありますというと、計画をいたしてそれに沿つて実行するということが却つて間違う結果になる虞れもあるというところから、計画を立てるにつきましてはもつと現実的なものでなければならないというところから再検討を必要とするということになつたものと考えているのでございます。石炭増目標につきましても、從いまして五ケ年先六ケ年先の目標を立てるといたしますというと、あらゆる総合計画の下にこれを立てて行くということでありませんと確実なものでないわけでありますから、今言つたような意味におきまして五ケ年先の目標はどうであるかというようなところまではまだ決定しておらないわけであります。
  14. 吉田法晴

    吉田法晴君 通産大臣がおられませんときに神田委員長代理から石炭生産量世界経済との関連或いは需給関係によつて決まる。要するに現在の需給関係基礎にして五千万トン説をとられた。只今お話も大体そういう現状需要中心にしてお話を進められたもののように感ずるのでありますが、これは先般も境野委員からも指摘されましたが、現在の有効需要は成る程四千万トン台をむしろ切つているような状態であるかも知れませんが、併し私共は現在の有効需要というものは、これは自由党内閣の現在の財政経済方針、或いは超均衡予算と呼ばれ、或いは財政緊縮政策中心とし、産業経済政策については集中生産方式と呼ばれておるような金融資本を強化し、大企業のみを育てて、中小企業者労働者を犠牲にするような政策から生れております現状有効需要、その結果むしろ生産の低滞或いは縮小再生産の傾向に生産にしても国民生活水準にしても流れておるのでありますが、それは日本再建、本当の経済復興再建というものからは許されるべきではないのじやないか、余りに現在の需要をこれを作り出されました有効需要の少なさというもの基礎にして考えるべきではないということが私共の考え方であります。例えばこう長い復興計画を立てられ云々ということ、関連いたしまして、それでは安本は要らんじやないか、こういう議論を社会党の羽生三七君から予算委員会安本長官に尋ねましたときに、一応安定をしたならば必要な計画性はあるべきだ、或いは国土総合開発計画というものも十ケ年、二十ケ年くらいに亘つて持たなければなるまい、こういういわば計画が必要でなければ、計画が立たなければ安本は要らんじやないか、この突つ込んだ質問に対しては全然要らんわけではないというような答弁でありましたが、日本経済復興目標と申しますか、或いは計画というものは、これは経済政策とし、何党の内閣でありましようともこれは必要だと考える。一応現状目標にした四千二百万トンというのは分るが、将来に亘りますそういう経済目標再建計画、或いはその中における出炭量目標というものの数字はこれは必要だと考えるのでありますが、それはないのか、或いは必要でないとこういう工合に考えられるのか。
  15. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 御説の通り、現在の有効需要のみが将來の出炭目標になるとは私も考えておらないのでありましで、現在の経済状況というものは、これを改善し発展させて行かなければならない状況にあることは事実であります。それを考慮に入れて無論出炭目標は立てられなければならないと考えております。安定本部につきましては、安定本部長官からお答えしたものと思いますが、企画官庁でありますから、日本経済が全く安定、健全な状況に戻つて総合企画の必要がないということになれば安定本部の必要もなかろうと思います。けれども安定本部は、ただ復興計画長期計画を立てるというだけの必要で生れておるとは言えないと思います。現実のやはりその年、或いは次の年の経済総合的企画というものは是非必要なことでありますから長期復興計画だけでその存否を決するというわけには行かないと思います。
  16. 吉田法晴

    吉田法晴君 もう大臣についての質疑は打切りますが、ただあと次官なり何んなり、炭政局長でも……この問題に関連して先程申上げましたような関連から今後の石炭行政というものに関しまして私共は心配をしておるわけであります。通産大臣はまあしばしば代られるのでありますが、或いは炭政当局にある人にいたしましても、曾ての、とにかく石炭行政が非常に大事であると言われながらも相対的に非常に軽く扱われておるような印象を受けるのであります。それでは石炭行政もうまく参りません。或いは石炭の土産の復興ということ期待し難い。こういうように考えますので、その点について特に一つ今後十分考えて頂きまして、これは日本経済復興のための一要素としての石次産業、或いは石炭行政ということで十分今後の御心慮をお願いして置きまして私の質問は打切つて置きます。
  17. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ちよつとお諮りいたしますが、石灰国管法質疑はまだあると思いますが、一時この辺に止めて午後に廻し、只今より商工会議所法案について提案者説明を聽きたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  18. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 異議ないと認めます。
  19. 小金義照

    衆議院議員(小金義照君) 商工会議所法案提案理由の御説明を申上げます。商工会議所法案提案理由につきまして提案者を代表いたしまして、衆議院通商産業委員会理事であります私から大要を御説明いたします。  昭和二年四月商工業改善発達を図る目的を以て商工会議所法が公布せられ、各地商工会議所が設立され、商工業に関する調査、斡旋、仲裁その他の業務を行なつて参つたのでありますが、戰争勃発に伴う統制経済の強化に伴い、從来の商工会議所は、その存在意義を失い、昭和十八年同法は廃止されたのであります。その際統制経済下における行政機関下部機構としての役割を果させるために、商工経済会法が制定公布されたのであります。終戰後戰統制的色彩の濃厚であつた同法は、昭和二十一年九月に廃止され、そのまま現在に至つているのであります。然るに、同法廃止各地におきまして商工会議所が自然発生的に生じ、商工業改善発達のため地域的推進団体とし活動をしているのでありまして、その数も全国約三百余に達している次第であります。そこでこの際商工会議所の一層の改善発達を図るためその基準となるべき法律を制定する必要を認めるに至りましたので本法案を提出いたしました次第であります。  その概要を御説明いたしますと、第一に、その目的といたしまして在来のように商工業改善発達という点のみに止まらず、社会一般福祉の増進をも目的といたしましてその活動範囲を拡げたことであります。第二に、商工会議所基準及ぶ原則を明確に規定し、(一)地区内の商工業改善発達を促進し、併せでその地区内の福祉と繁栄を増進することを一目的とすること。(二)全員が任意に加入し、又は脱退することができること。(三)会員は、おのおの一個の議決権を有することを規定いたしました。第三に、前述のごとく商工会議所は、相当古い伝統を持つておりますのでその社会的評価も高いのであります。從つてその基礎を鞏固にするため民法公益法人規定によつて設立されたものに統一し、單なる組合団体等法人でないものが商工会議所伝統を辱かしめることがないようにいたしております。第四に、商工会議所は、原則として市の区域に一個に限つて存立せしめることにいたしましたが、商工業状況により、県又は町及びそれらが合同して作るもの並びに全国的又は都道府県ごと商工会議所の連合体を設立することを認めました。第五に、商工会議所は、事業者団体として事業団体法の適用を受けるのでありますが、その事業の主要なものを列挙いたしました。第六に、この法律規定する商工会議所としての要件を備えない者に対し商工会議所という名称を使用することを禁止し、必要な罰則を設けたことであります。終りに、現存する商工会議所については、この法律規定に適合するよう必要な措置をとるべき旨の経過規定を設けました。即ち、商工会議所地区の全部又は一部が重複する者は、この法律施行後六ケ月以内に必要な措置をとること及び商工会議所でない者であつてその名称を使用しているものは、この法律施行の日から六ケ月以内に、その名称を変更するか、又は定款の変更その他必要な措置をとり、商工会議所としての要件を備えることであります。  以上この法律案提案理由につきまして大略を説明いたしましたが、尚去る三月で役員の改選期を迎えた商工会議所も相当存在するのでありますが、これらの商工会議所は、本法の成立を期待いたしまして本法による改組後の新らしい発足の際までその改選を待機している状況のものもあることを附言いたします。  本法案は昨日衆議院通商産業委員会におきまして即日即刻可決せられまして、委員会を通過いたしまして、そうして本日衆議院の本会議提案せられることになつております。どうか諸般の状況を御了承下さいまして、速かに可決下さらんことを切望いたす次第であります。
  20. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 只今説明のありました法案は後刻審議することにして、委員会は暫時休憩して午後一時半より再開いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議なしと認めます。  それでは暫く休憩いたします。    午後零時三十九分休憩    ——————————    午後三時二十四分開会
  22. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) これより開会いたします。  ちよつと速記を止めて……    〔速記中止
  23. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) 速記を始めて…
  24. 小金義照

    衆議院議員(小金義照君) 只今の懇談のときにもその問題を申上げたのでありますが、これは民法に基く法人である。在來の商工会議所は、玉置さん極めてよく御存じの通りですけれども、特別法に基いて特別の公益公法人ということになつておりまして、從つて会費徴收権というものは認められておりまして、国税徴收手続を準用して会費を取上げることができた、こういうふうになつておりました。この法律では民法法人でありますために、それがきかないのです。加入脱退が極めて自由に寛大になつておりますから、そこに会費強制徴收権を認めるということはどうしても許されなかつた、従いまして会費が滞るような虞れがある場合には、会議所は運営上困る場合が出て來ます。併しこの法律は極めて、まだ団体を規制する法律としては簡單でもありまするし、力も弱いのであります。いろいろな関係、特に事業者団体にぶつかる点を全部削除いたしましたので、只今御指摘の会費を強制的に徴收することができないという点では、極めて不便がありますが、それだけに同業者とか或いは商工業関係のある人が自主的に、自主的に集まつてこの団体を作つて行く、こういう趣旨に御了解願いたいと思うのであります。
  25. 玉置吉之丞

    玉置吉之丞君 会議所の組織を見まするときに、例えば両議員選挙とか、そういうものに対する選挙の形は別にこれは定款か何かにございますか。
  26. 小金義照

    衆議院議員(小金義照君) 盡くそういう点は定款に委ねまして自主的に決めて頂くということになつております。
  27. 玉置吉之丞

    玉置吉之丞君 私途中から入つて恐縮ですが、前にお話があつたのだろうと思いますが、事業者団体法との関係というのはどういう点が抵触するか、その点を一応お話し願いたいと思います。
  28. 小金義照

    衆議院議員(小金義照君) 第六條の規定に「商工会議所は、その目的を達するため、事業者団体法の定めるところに従つて、左に掲げる事業を行うことができる。」ここに一から十一まで掲げてあります事項は、これは事業者団体法において盡く認められておる。或いは禁止されていないとい條項のみでありまして、事業者団体法とは全く抵触しない形を取つております。
  29. 境野清雄

    境野清雄君 最初この法安が出る前に多分提案者の方で一応お考えになつたのだと思うのでありますか、この会議所法案を何か商法に準ずるような形体にやつて行きたいというので、私は草案を一度ちよつと見たことがあるのでありますが、あのものがこう変つたというのは、あの中で相当受容れられない面ができたのでありますか。
  30. 小金義照

    衆議院議員(小金義照君) お話通りいろいろな案ができました。会議所の方でも御作りになりましたし、通商産業省の方においても作りました。又特殊な方から私案のようなものもお作りになりまして、私共の方にも参りましたが、あれこれ検討いたしまして通商産業省から相当な広汎な法律案として原案を作つたようでありますが、事業者団体法或いは独占禁止法ですか、それらに抵触する虞れがあるというのでなかなかOKを取ることができませんので、すべてのそういう疑問のある点、或いは他の法律に抵触する虞れのある点を除きまして、とにかく不完全ながら一応各商工会議所の御要望に副うために、この程度基準法を先ず制定する、今後時代の変遷或いは又その必要に応じて訂正して行きたい、こういう考えて提案いたした次第でございます。
  31. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) 外に御質疑ございませんか。
  32. 境野清雄

    境野清雄君 何かこの法案が出て来ないならば、各県によつて商工会議所條例というようなものを作りたいというような意向があつたところへこの法案が幸いにも出て来ましたので、これは私から申上げるまでもなく、三月末で全国で改選して待つている、役員の改選が三月になつたのだからもう出るだろう出るだろうといつて今日まで待つているのが相当ありますので、そういうような面からして各県で出そうといつて商工会議所條例というようなものは私の方の県なども商工課から見ると相当もう少し事業的にやれるような面がやつてつたが、結局これが出たので、この範囲内で県が応援するとしてもこの範囲内でやるということになるのですね。
  33. 小金義照

    衆議院議員(小金義照君) 境野さんの御説は御尤もでありまして、各府県では折角商工会議所というものを作れば相当な権限も與えて、商工業の進歩発達の外にいろいろな何といいますか、共同的な施設をしたいというようなこともあつて、内々その基準となるべき地方規則、都府県の規則を考えておられたようでありますが、我々の方がいろいろな折衝をした結果この程度のものしか事業者団体法その他の関係で許されない、こういうことになりますので、この法律と別にそういう都府県の條例をお作りになりましても、それは事業者団体法関係から違法状態が生ずるということになりますから、各都府県におかれましてはどうかこの法律に基いた條例を出して頂きたい、こういうふうに考えております。
  34. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) 外に御質問ございませんか。(「なし」と呼ぶ者あり)それでは外に御質問ございませんければ本案の質疑は一応打切つたと見てよろしうございますか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  35. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) 御異議がないようですからさよう決定いたします。   —————————————
  36. 廣瀬與兵衞

    理事廣瀬與兵衞君) 次に中島局長がお見えになりましたから一つ……
  37. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 先般衆議院提案者からいろいろ説明を聞きましたのですが、この国管法が実施されました時分に大手筋の炭鉱も小山も盡くが新鉱開発はとてもやる力がないから国に委すということを口を揃えて我々に言つておることを、今日もはつきり記憶しておるわけですが、その後実際状況が余程変つて今の石炭産業は十分新鉱開発も自力でやれる程実力が回復しておるのかどうか、そういう点について政府側はどういうふうに見ておるのかその点お伺いしたいと思います。尚私はずつと委員会を欠席しておりましたので前のどなたかの質問に重複するものがあれば御注意願つたら撤回いたしますから……
  38. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 国管施行当時は例の復興金融金庫がございました。その後復金がなくなりまして、あと見返資金で設備資金を出しておりますが、今日もまだ見返資金が続いておる、こういう状況であります。新鉱開発につきましては大体復金の資金乃至は見返資金を用いるというようなことで只今までやつておりますし、今後もできるだけそういうふうな資金を新鉱開発に廻わすという努力をしなければならんと思つておりますが、併しこの見返資金も大分金額も少くなつて参りましたし、これだけに頼ることができませんので、現在の見通しといたしましては、興銀でありますとか、或いは勧銀、その他長期資金の貸出をなし得る金融機関にいろいろ頼みまして、そちらの方から所要の資金を獲得するように斡旋いたしております。又自力で特別の斡旋を要さないでも、増資その他で賄え得る炭鉱も中にはございますけれども、全般的に申しますと、やはり相当な長期資金につきましては、政府の斡旋、その他特別の措置を講じなければなかなか困難という状況でございます。特に新鉱関係につきましては、新炭鉱調査それからボーリング等を、試錐等については、国家で直接行う施設もございますし、又一部補助に出しておるというようなところもございます。こういうような方面からできるだけ新鉱の開発に協力しておるというような制度もございます。但しそれだけでは勿論ございません。先程申上げました通り一般の金融機関の力を借りるということをやらなければ今後なかなか困難で、現状といたしましては大体今日までのところ所要の新鉱の開発はできておつて、先ず炭鉱生産の維持乃至は多少の増産ということも現在までのところは大体できておる。今後この資金が如何に使われるかどうかによつて炭鉱そのものの更新ということができるのではないかということも一応考えなければならんと思つております。
  39. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 まあ個々の会社が独力で、政府の斡旋なんかようせずにどんどんやつて行けるのが理想的と思いますが、現在まで相当の見返資金などの供給を受けてやつておるのが実情だというふうに窮われますが、そこで私お尋ねしたいのはですね、現在たしか石炭は過剰の状況にあることは事実と思いますが、吉田内閣はもう吉田総理が本会議その他でたびたび言明しておられるように、誠に統計を信用しない、統計は嘘ばかりで駄目だと言つておるので、そこでかねて策定された安本の五ケ年計画、それに基いて石炭の開発五ケ年計画というものがあつて、それによつてたしか五千何百万トンか開発をする。新鉱もそれぞれ初年度はどれだけ、二年度になつたら幾らと開発計画があつたと思うのですが、その開発計画に伴つて初年度は着手しておつたと思うのでありますが、その後の経過はどうなつておるかお伺いしたいと思います。
  40. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) いわゆる新炭鉱は十八ございまして、これに対しまして特別の開発処置をやつたわけでございますが、この十八炭鉱に対しまて、すべて見返資金が当然つくのが普通でございますけれども、いろいろな審査の関係で、僅かなものしか見返資金は出ておりません。從つて十の炭鉱はいわば自力で一般の金融機関に頼つて計画の実施を図つておる、こういうような状況でございます。
  41. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 その自力で開発しつつあるものが五ケ年計画の線に滑つて、或いはそれよりも進んでおるか、或いはその五ケ年計画に比べて非常に遅れておるか、こういう点をお尋ねしておるのですが……
  42. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 例の五ケ年計画なるものは、現在は一応あの数字に囚われておりませんで、從つて現状といたしましては、あの計画に基くような本当の出炭というものは、到底期待できないという状況でございます。從つて新鉱炭の開発も、資金その他の関係から、あの当時の見込まれていた数字より相当遅れておると、こういう現状であります。
  43. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 これはどうも炭政局長にお尋ねする筋合いかどうか分りませんけれども、順序としてお尋ねしますが、当時の何によりますと、まあ八千万からの人口が基準年次の生活を維持するためには、基準年次に比べて生産が一二五%が殖やされなくちやならん。従つてそれまでには石炭がこれだけ要る、こういうことで計画が策定されておつたと記憶しておるのですが、そうすると現在は、生産が今月現在で戰前に比べて、基準年次に比べてどれくらい回復しておりますか。これは私はつきり数字は知りませんけれども、少くとも基準年次よりも今の方がまだ生産が少いのだろうと思います。そこで現在例えば四千二百万トン石炭が出て余つたと言つて、ここで野放しにしてしまつて、将來は差支ないものか、その点に関して石炭に関する限り将來の見通しに対してどういうふうに考えておられるか、その点お伺いいたしたい。
  44. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) いわゆる野放しということの内容でございますが、この制度的にはまだ資金の斡旋でありますとか、又資材の配当も若干残つておりますし、そういうふうな面で、重点的にこれを今後も育成して行くとい方法は残されております。ただ問題になつております炭管法そのものが廃止された後に、いわゆる政府として別に何らかのバツクになる法律がなくていいかどうかということになりますと、これは現状といたしまして、事実上炭管法そのものがなければ、どうしてもいかんというような実情ではございませんので、一応外の方法で以てやつて行るということになるわけでございますけれども、併し根本的に、私共の考えといたし幸しては、やはりこういう重要産業には又別の構想に基く、特別の基礎法規がなければいけないのではないか、こういうふうに考えております。これにつきましては昨日あたりも、提案者からもいろいろお話しがありました通り、いろいろなものを考えております。
  45. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 今私がお尋ねしたのは、そういう結論的に私が賛成していいか反対していいかに対しての指示を與えて下すつたように思いますけれども、そういう結論的な問題ではなしに、石炭産業が過剰的にではあるが、日本産業の将来の規模といいますか構造に対しての石炭需要を果してどういうふうに見通しを持つておられるか。野放しにして置いて四千万トン、これより減つても構わんのか、或いはもつとどうしても助成して殖やして行くという精神か。日本計画しているような或いは必要である規模にいろいろな産業が同化して行つた場合に、石炭需要関係はどういうふうになるか、こういうことをお尋ねしているわけです。
  46. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 将来需要見通しということになりますと、本年度は昨年の実績から見まして一応四千万トンを目標にいたしておりますけれども、やはり日本石炭を四千五百万トン、五千万トンは使うようにならなければならないというふうに考えております。ただ現状のような見通しで今明年中に四千五百万トン以上の石炭が直ちに必要になるということになるかどうかにつきましては疑問を持つておりますけれども、併し基本的には四千五百万トン以上の石炭を使えるようにならなければならないというふうに考えております。
  47. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 いま一つ、この提案者の方にお尋ねしたのですが、勿論政府と違つて資料を持つておられないから、私が十分納得できるような御答弁を頂けなかつたのは当然だと思つておりますけれども、輸入炭ですね、将來或々は早く中国との貿易を始めなければならぬと思つているのですが、あの開灘炭ですが、あれなんかだとカ州の粘結炭よりは日本へ持つて来てもコストが安くなるということを聞いております。曾て撫順炭に北九州が圧倒されて撫順へ日本刀を持つて斬り込みに行つたことがあるということも聞いておりますが、そういう虞れは近い将来は別としまして、日本石炭産業を圧迫する、そういう形が起るようなことが将來ありはしないかどうか、そういう点に対する見通しをどういうふうにお考えになつておりますか。
  48. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 米国炭乃至開灘炭のごとき原料炭につきましては、どうせ国内だけで足りませんから相当量が入りましても、直ちに国内の炭鉱を圧迫するということにはならないと思いますが、輸入炭に関する限りこれは発生炉炭でありまして、一般炭のうちの上級炭と競合するというような性質を持つております。現在までのところまだ具体的に輸入炭の問題にはなつておりませんので、値段等も確定いたしておりませんが、将来これが相当安値で入つて来るということになりますと、やはり九州方面の炭鉱は打撃を受ける、これに対する対策をどうするかということを考えなければならぬと思います。
  49. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 私ばかりねばると甚だ恐縮でありますから、後は大臣なり政務次官に明日でも機会がありましたらお尋ねしたいと思います。  〔理事廣瀬與兵衞君退席、委員長着席〕
  50. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 速記を止めて。    〔速記中止
  51. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 速記を始めて……。それでは本委員会は一応これで休憩いたしましよう。    午後四時五分休憩    ——————————    午後六時三十二分開会
  52. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 休憩前に引続き只今より開会いたします。商工会議所法案を議題に供します。
  53. 平岡市三

    ○平岡市三君 休憩前の委員会において質疑も終了しておりますから、討論を省略して直ちに採決されることの動議を提出いたします。
  54. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 只今の平岡君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。  それでは商工会議所法案について採決いたします。賛成の方の御挙手をお願いいたします。    〔総員挙手〕
  56. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議ないものと認めます。  それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。  多数意見者署名     境野 清雄  高橋  啓     駒井 藤平  山内 卓郎     廣瀬與兵衞  結城 安次     重宗 雄三  平岡 市三     中川 以良
  58. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御署名漏れはございませんか……御署名漏れはなしと認めます。   —————————————
  59. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは只今から商品取引所法案を議題に供します。通産大臣
  60. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 只今議題となりました商品取引所法案につきまして提案理由を御説明いたします。  昨年来経済原則及びドツジ・ラインの実施によりましてインフレも漸く終熄し、物価も安定して参り、物資に対する統制も順次解除されつつある状況であります。従つて公定価格制度や配給統制は極く限られた一部の商品についてのみ存続し、大部分の商品の生産及び配給は経済原則によつて規制されることと相成つたのであります。従いまして商品の価格は需要と供給のバランスによつて決定されることとなり、この需要と供給を成るべく広い範囲に亘って集中して公正な価格を作るための市場の形成が必然的に要求されて來ると共に、現物のみならず、先物についての市場も要求されることになり、ここに商品取引所の設立が業界から強く要望されるに至つた次第であります。  我が国の商品取引所は、古くは徳川時代の米会所に由来し、戰前におきましては心を中米とし、綿花、綿糸、綿布、繭、生糸、人絹糸、雑穀、肥料、砂糖等広汎な種類の商品に亘つて設置されていたのでありますが、戰時に入りこれらの商品について全面的な統制が行われるに及んでその機能を失い、昭和十六年頃までには盡く閉鎖又は解散されるに至つたのであります。而して商品取引所に関する法律も、明治二十六年の制定にかかる取引所法が数回の改正を経て今日に至つている次第であります。即ち昭和二十二年証券取引所開設の必要に応じ全く新らしい構想を以て、証券取引法が制定されたのでありますが、商品取引所については未だ開設の時期に非ずとして何らの工夫もなされず、ただ、一応旧来の「取引所法」に「商品」という字句を冠して残されていたのであり、これが現行の商品取引所法であります。従つて商品取引所を、新たに開設するに当つては、先ずその根拠法規である商品取引法を現在の経済の実情に即したものとするため新たな構想の下に全面的に改正する必要が生じたのであります。  以上改正をいたしました主要な点について御説明を申上げます。  先ず第一に、現行法によりますと、取引所は株式会社組織によるものと会員組織によるものと二者いずれをも認めておるのでありますが、今回の改正案では、会員絹織のみが認められることとなつているのであります。  株式会社組織によるときは、実際の取引業者にとつて開設の必要がない場合においても、投機的な取引のみを行うことを目的として取引所が設立される危険性がありまするし、会社として利益を挙げ、配当を殖やすために、実情に副わない売買であつても取引高が多額に上ることのみが念願される傾向を誘致し、又実際に取引を行う者とは別個な会社の幹部によつて取引所が管理されることとなる等、従来からその弊害が批判の対象となつていたところであつたのであります。従つて今回は会員組織のもののみを認めることとしたのであります。  次に今回の改正の第二点は、取引所の設立に当つて、免許主義を止めて、登録主義をとることとしたことであります。本法案では取引所の設立の要件はできるだけ法律上明記することとし、法定の要件を備えたものは、特に法律で定めた登録拒否の規定に該当しない限り登録を行うことといたしました。之は官庁の許認可等による自由裁量の余地をできるだけ少くし、業界の自主的な活動に俊つ趣旨であります。  次に改正の第三点は、取引所において上場することのできる商品を法定している点でございます。この法安では、綿花、綿糸、綿布、乾繭、生糸、人絹糸、スフ糸、毛糸、ゴム等が法定されておりますが、これらは大体において曾ての取引所に上場されていた商品であり、今後においても取引所の設立が妥当又は必要と認められるものであります。併しながら今後の我が国の経済戰前とはおのずから異なるものがありますので、其の他の商品につきましても取引所を設立することが必要となる場合も予想されますので、本法案では必要の都度政令で商品の品目追加が行われるような途を開いてあるわけでおります。  次に改正の第四点といたしまして、本法案では民主化という点から種々の規定がしてあります。即ち先ず第一に証券取引法の先例に倣いまして取引所における各種の紛争を円満に解決するために、仲介の制度を創設しております。これは紛争の当事者の言分を聴きまして妥当な解決点を見出だし、その受諾を勧告いたすものであり、その他にも主務大臣の処分に際しては必ずその事前に公開による聽聞を行う等行政の民主的な運用を期している次第であります。尚今回の改正案におきましては以上の外にも改正点が種々存するのでありまして、例えば商品取引所の定義を明確にしたこと、他人の委託を受けて売買取引を行う者を商品仲買人として特に厳重な規制を加えていること、取引所の取引についても従来と異り可なり厳重な監督規定を設けたこと、定款、業務規程、受罰契約準則の必要記載事項を明確にしたこと等がこれであります。  要は、免許主義を登録主義に改正した等産業界の自主的な活動を尊重したこと、取引所の義務についてはできるだけその自治に委したこと、併し他面取引所の国民経済上の重要性に鑑み売買取引の基準を明確にし、その行き過ぎの訂正を図り以て売買取引の公正と委託者保護の徹底を期したことが今回の改正の大綱であります。  何とぞ愼重御審議の上速かに御賛成あらんことを御願いいたす次第でございます。
  61. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御報告いたしますが、時間の関係上農林委員会との合同審査ができませんでしたから、楠見農林委員長が特に隣席されておりますから右御報告申し上げます。本法案は時間がないため配付法案は修正附で提案されておるようでありますから、その点について先ず政府側から説明して頂きたいと思います。
  62. 石原武夫

    政府委員(石原武夫君) 本日非常に会期が迫りましてからお出ししまして甚だ恐縮に存じますが、関係方面との連絡が非常に遅れておりました関係上、修正個所というような形で本日の御審議を煩わすこととなつたのでございます。修正個所の要点につきましてはここに條文で出ておりまするが、十二章にございます。政府の監督に関する規定がございまするが、それの要件と申しまするか、例えば公益を保護する必要がある場合、或いは政令で定める取引の信義則を確保するためというような規定がございましたのを成るべく具体的にするという趣旨から例示を挙げてこの点を成るべく明確にするというのが一点でございます。  それからその次は審議会に関する規定でございまするが、修正前の案におきましては関係省の委員を以て構成するような案になつておりましたのでございまするが、この修正案におきましては委員は学識経験のある者の中から両院の同意を得まして内閣総理大臣が任命するというふうにいたしまして、この番 会の権威を高め、その審議会の重要性を考えまして、その間の規定を非常に愼重にいたすことにいたしたわけであります。尚前の案におきましてはいわゆる諮問機関で主務大臣が処分をいたします場合に、重要事項につきまして諮問をするということになつておりましたのを今回は議を経てということにいたしまして、この審議会を尊重いたしまして、この議を経ない限り主務大臣は各種の処分ができないということにいたしたのが第三点でございます、それ以外につきまして更に第一点、第九にございますが、この法律に基く主務大臣の処分に対しまして不服のある者につきましては、一般の行政事件の訴訟特例法によつて地方裁判所に出訴し得るようになつておりますが、それをこの法律におきましては高等裁判所の專属管轄とするということにいたしております。これはさような行政事件が迅速に処理されるということを主たる狙いにいたしまして、三審制度を二審制度に改め成るべく迅速にその処置がつき得るようにという趣旨でその点を直しております。更にその十番目におきましてこれは訓辞的な意味でございますが、主務大臣の処分が不合理であつてはならない、又不平等であつてはならないという訓辞的な規定を設けたわけであります。以上が主たる修正の趣旨でございます。
  63. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 提案説明は以上で終りましたが、法案全部について御質疑をお願いいたします。
  64. 楠見義男

    ○委員外議員(楠見義男君) この商品取引所法案につきましては、その上場物件に関しまして農林委員会関係の繭及び生糸等も予想されますので、実は農林委員会といたしましてこの法案について一応の意見をまとめましたので、この機会に発言させて頂きたいと存じます。  法律が非常に厖大で、又十分に内容を審査する時間的余裕がございませんでしたので、法案の細部についての意見は申上げることができないのでありますが、この法案提案された趣旨に関しまして農林委員会の意向を一応申上げて置きたいと思います。農林委員会といたしましては、かねて繭及び生糸、いわゆる蚕種の価格安定対策について、これは衆議院においても同様でありますが、我々参議院の農林委員会におきましても特に最近の情勢に鑑みまして、蚕種価格の安定ということに深い関心を持つてつたような次第であります。従いまして根本的な蚕種価格の安定策につきまして寄り寄り研究もし、又立案の準備もいたしておつたのでありますが、未だその機会を得ておられないのであります。そこで根本的な安定対策はともかくといたしまして、その安定策が樹立せられるまでの間におきましては、この商品取引所法による価格の調整対策と申しますか、或る程度の安定が期せられるということは誠に結構なことである、今先利通産大臣からの提案理由にもありましたように、曾て乾繭及び生糸につきましては、かかる制度がありまして、相当の効果を挙げて参つでおつたのでありますが、その後の情勢変化に伴いまして、現在中絶しておるような状態でございます。従つて旧に戻つて乾繭及び生糸が上場物件として上場せられ、それによつて出産者も又需要者も共に価格安定の一つの日産が得られるという趣旨に基いて提案されましたこの法案については、農林委員会といたしましては大体賛成であります。こういう結論に只今農林委員会の全体の意向としてさように決定いたしましたのであります。その旨を御報告申上げます。同時に農林委員会の意見としてお聽き取りを頂きたいと存ずる次第であります。
  65. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 外に御発言ございませんか。
  66. 結城安次

    ○結城安次君 農林省関係の商品におきましては、この法案で先ずよろしいということになつたのですね。
  67. 楠見義男

    ○委員外議員(楠見義男君) この法案と言われますと、実は法案の百何十條というものを一々検討しておりませんから正確にはお答えはできませんが、全体としてこの趣旨には賛成である、こういうことでございます。
  68. 平岡市三

    ○平岡市三君 私に旧取引所法は相当昔やつたことがあるのですが、大体一応わきまえておりますが、ところが本日提案されたこの改正案ですと、先刻政府委員がお述べになりました通り、その範囲というものは、法案そのものが厖大でございますけれども、改正された範囲というものは比較的非常な少数の個條だけなんでございます。それでその改正が今日の経済情勢から見まして、極めて妥当であろうと思いますので、私は討論ではありませんけれども、質問なしに一応賛成の意を表するのはどうかと思いますが、意見だけ述べて直きます。
  69. 結城安次

    ○結城安次君 只今平岡委員からの御発言に私も大体先程法案を頂戴をする前に新旧対照表で大体は読んだのですが、このくらいならいいのじやないかというような気もいたしまするので、ここで即決もどうかと思いますので、一晩持つてつて、明日又質問があれば質問する、なければ討論に入るということに願つたら……。今から逐條に入つたら大変なものでしよう。どうですか。如何でございましようか。
  70. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  71. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 速記を始めて下さい。
  72. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 この法案は相当厖大でもありますし、文意に上程された関係もありますので、本日の委員会はこれを以て打切りにいたしまして、明日各派とも研究した上で十時に必ず開会する、こういうことにすることの動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  73. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 只今の下條委員の御発言に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 異議なしと認めます。それではそのように取扱います。  それでは本日の委員会はこれで散会いたします。    午後七時二十五分散会  出席者は左の通り。    委員長    深川榮左エ門君    理事            島   清君            廣瀬與兵衞君            玉置吉之丞君    委員            下條 恭兵君            吉田 法晴君            重宗 雄三君            平岡 市三君            中川 以良君            境野 清雄君            高橋  啓君            阿竹齋次郎君            山内 卓郎君            結城 安次君            駒井 藤平君   委員外議員    農林委員長   楠見 義男君   国務大臣    文 部 大 臣    通商産業大臣  高瀬荘太郎君   政府委員    通商産業事務官    (通商産業局    長)      石原 武夫君    通商産業事務官    (資源庁炭政局    長)      中島 征帆君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君