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政府委員(宮幡靖君) 配炭公団を
廃止いたします当時からいろいろとその後の対策を考えて参りました。例えば
石炭開発金庫
法案とか、中小
炭鉱に対します損失補償の融資制度、或いは
石炭鉱業坑内災害復旧補償法というようなものをそれぞれ考えまして、これが必要がありましたならば実施をいたしたい、かようなことでや
つて参
つたのでありますが、御指摘の
石炭鉱業安定法と申しますようなものも一応俎上に乗せまして、かような名称にしないものは
石炭企業法というような名前もつけましたし、
石炭資源に関します
法律というような言葉も使いましていろいろや
つて参
つたのであります。そうしてその中でどうしてもやらなければならない問題で今日まで続けておりますのは金融の問題であります。併し坑内の災害に対する補償法というふうな特別法ができまますればなんですが、これは今国会には残念ながら間に合わないで今日に至
つております
鉱業法の全文改正によりまして確保できる問題であります。これに讓りまして処置をいたしたい。残
つた問題は金融の問題でありますが、これも現在努力を続けておりますが、その他考えましたことは、一応現在の段階においては特に
法律に定める必要はないと認めまして見送りにな
つておるような次第であります。併し
提案者も言われましたように、
法律が必要であるということに勿論考えております。同時にいろいろ御議論の中で我々の省として承りますことは、我々はこの臨時
国管法の功績を決して蔽い隠したり、その功績を認めるのに吝かではないのであります。
増産のために
一つの力と
なつたことはこれは事実でありまするが、併しながら現在の段階におきまして果して
国管法というものが如何なる役割を演じておるか。これを考えて見まするというと、なければならないという
理由を沢山認め難いのであります。ただ吉田さんとしてお考えを頂きますところでは、例の
経営者との間の
経営協議会のような問題、労使の問題につきまして御
意見が及んでおるだろうと思いますが、これは我々の今の考としては大体あれを議決機関として運用しようといたしまする現在の
国管法に対しましては、若干疑問を持
つておりまするが、これの諮問機関としての存続というようなものには異論がないのであります。併しこれは現在の労働法規によりまして、いわゆる
経営者協議会というようなものが中にあるのでありまして、労働法規に十分残されておる問題で、特に
石炭のみにさような機関を、設けることを法制化する必要はない。こういうふうに考えまして、この点も見送
つておるのであります。それから先程もお話がありました……これは
下條委員の
お尋ねとも関連があるのでありますが、これからやりまする
石炭鉱業に対する技術指導の問題でありますが、これは先般確かに参議院の本
会議でも
質問があられましたが、どうしても
炭鉱の施設の改善、
機械化、これによる
能率の
向上ということをや
つて参らなければならんのでありまして、この点につきましては、本年度二十四年度におきまして約三十社に対しまして四十一億の見返貸金の解除がありまして、又同じく二十四年度に
炭鉱機械、主にコール・カッター、ローダーというようなものが司令部から推奨されまして、技術の指導等にも同様に智慧を借りておる。そういうようなことで二十四年度は
炭鉱機械で約五億五千万円程度の利潤を発生しております。今後もこれは行政
措置といたしまして別に
法律に基かずしましてかような思想で進めまして、先程島委員のお話もありました二十七年度において大体五千万トンという目標を持
つておるのであります。これはオフイシヤルのものでなくして、安本で一応組みました
見通しとして考えておるのでありまして、かような行政
措置によりまして十分、五千万トンの出炭は可能になる。これは当時の需給
関係がこれを支配するものであ
つて、
需要が増大して参りますれば当然各企業家の御努力によりましてこれが達成される。
産業の振興を図るべきだという大局的な見地から指導いたして参りますれば達成できるという観点に立
つておりますから、若しも
社会党の御主張といたしまして何故配炭公団を
廃止する
措置をしないくらいならば、もう一遍統制したらよいじやないかという、こういう御議論ならば拜聽いたしますが、余り運用の効果のないことはしない方がよいと、こう考えておる矢先に、
立法府であります国会の方面から、これの解除の案が出ましたので、かような形にな
つてこれに同調いたしたのであります。尚
国管を若しやるということになりまするならば、この曾ての
国管法の時、私はその委員でありませんので、よく存じておりませんが、水谷商工大臣の仰せられたことを速記録の上で拝見いたしますと、
経営者と事業家は一体の地位にあるのだという御答弁もありました。それから本当ならば国家管理というもので、ありましたならば資本と
経営の分離ということは、これは明かでなければならんと思います。ところがこの資本と
経営の分離がさ程明確にな
つていないのが、この
臨時立法でありまして、これらの点も勘案いたしますと、どうしても統合しなければならんという程むずかしく私共の方では考えなければならないものとは
思つておりません。
措置につきましては十分や
つておりますが、諸般の
事情に応じて達成せられない点もありますが、これは引続いて
日本の
基礎産業でありますので、御注意のあると否とに拘らず、これは努力を傾くべきであると思うのでありまして、将来に亘
つて是非共万全の処置を講ずるために御協力を頂きたいということを特にお願い申上げる次第であります。