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証人(
奈良自由造君) 私
奈良機械の
奈良でございます。私に與えられました
指示事項は
機械輸出の将来性について、又は
販売開拓方法等についてということが
中心にな
つております。
その以前に
中小企業振興に関する
調査というような意味でお呼び立てがあるということでございましたから、予め
自分の所見をまとめてここにプリントにしてございます。これは
委員の方方、皆様に
是非お読みを願いたいと
思つておりますが、その中で私が申しておりますことは「一、
中小企業に対し
海外事情知悉の為、大
企業と均等の
機会を與える。二、
貿易商社の
中間利潤を倫理化し且つ
商社の
製品選択に推奬制の如きものを設ける。三、
惡質製品輸出業者に対する制裁。四、
労働法を
日本の
現実に相応しいものに改める。五、
特許権、
実用新案権の
保護強化。六、
輸出産業に対する
課税軽減。七、
輸出産業に対する
金融円滑化。八、対
官庁業務の
簡素化。九、
單一製品專門工場の助長」こういう項目を挙げてお答え申上げているのであります。併しここでこれを
お話いたしますと数十ページに亘りますので、この要約を
簡單に申上げることにいたします。
機械輸出の将来性、これは重大な問題であります。現在の
日本は
農民が盛んに働いて我々の腹を満して呉れる、それでも尚且つまだ足りない、それを
輸入しなければならない、絶対の宿命的に與えられている宿題がこれなのであります。これは誰がどうしてこの米を求める原動力をどうするか、即ち金の塊を
如何にして取るかということなのでございますがこれは
工業家以外にはもう残
つているものはないと思うのであります。してみると
輸出を進めるということが
日本の国策からい
つて絶対なものであるということは、今私が喋々を要するまでもないわけであります。その部分の
機械の
輸出、こういう問題になるわけであります。
只今機械の
製品、即ち
日本から
シヤムあたりに盛んに
輸出されます例の
機関車その他の大きなもの、これはいずれも
相当の
組織を持
つてや
つておりますので、
シヤムあたりの
機関車の
評判は誰に聞いてもいいんだと、こういうことも言
つているごとく欠点がないかも知れません。併し
中小企業の
製品を
海外に
輸出するということになりますとこれはなかなか問題があるのでございます。あるがために、只今言うような
現実の私が掴んだ結果として先程申上げたような
結論が出て来るのでございますが、私が
シヤムで経験したことなんでございますけれども、印刷
機械の
輸出がされたものがある、それがどうも工合が惡いために半年も勘定が貰えないのだというようなところから、その貿易商に依頼されて
行つて見たのでございますが、実にそれはひどいのでこういうことをどうしてや
つたのか、私はこれはただその印刷
機械屋さんをどうとかこうとか言うようなことでなくて、
日本の
工業家という建前でその印刷
機械を見て参りましたが、実にそれはひどい。それでその解決すべき方法なども具体的なことを捉えて示して上げたのであります。丁度そこに
日本のいわゆる
輸入をした当の
商社の人も立会
つてくれたものですから、そのことをよく言い含めさして帰
つたのでありますが、帰
つて来るとその印刷
機械工場の工場主が早速私を尋ねて参りまして、いろいろとお詫びをしてお
つたようなことがございます。それはいずれもどういうところから来るかということになりますと、これをお読み願わないといけないことになると思うのでございます。
中小企業をどう手を引いてやるかということが條項的に書いてございます。
それからこの
輸出の将来性、今まで私共は、例えば
ビルマを
中心として耳にいたしますと、
ビルマには
精米工場、油工場以外には工場はないんだよ、こういうことを言われてお
つたのでございます。併し
機械屋の立場から現在見て参りました工業の消化力とでも申しましようか、なかなかこれは侮りがたいものがあるのでございます。いや侮りがたいということよりも我々が考えてお
つたよりも発展しているということなんでございます。例えば只今
精米機の
説明が
清水商会の
池田氏からありましたが、これなどもドイツのシユーレーの型をとりましてすでに
向うで
作つているということなんでございます。こういうふうに
向うにもすでに工業を消化して生産を営んでいるということなんです。それからこれは話がちよつと傍道に入りますが、或る
機械屋に招待を受けて
行つて見たところが、私に
機械のカタログを見せてこういうものが
日本にあるがどうか、こういうことなんです。私は
インドに
輸入した
機械を再
輸出をして
ビルマに持
つて来る、そのためのカタログだとイリユージヨンを起して見たのでありますが、よく聽いてみるとそれは
インドで
作つているのだということなんです。なかなかカタログも立派にできておりました。そのに加えて
ビルマ市場でもそうですし、それから
シヤム市場あたりでもそうなんですが、すでに印刷
機械などはいわゆる香港
製品と称するものが出ております。これは
日本製品が香港
製品という名前で化けたのじやあるまいかと
思つて見ましたが、やはり香港
製品ということなんです。同時にそれを更に模倣して
シヤムで又印刷
機械を
作つているというわけです。そうしてみると、我々が
シヤムには鉄道工場以外には工場がないんだよ、
ビルマには
精米工場以外には工場はないよ、あと油工場があるくらいのものだよということとは大変懸け離れているということなんです。要するに
日本の
機械輸出の将来がまごまごしていると挾み撃ちを食うのではないかということなんです。つまり我々の進路を阻まれる態勢に陣構えが整えられつつあるということです。じやあそれに対して
日本がどういう手を打たなければならんか、こういうことなんですが、これは一挙に手を拡げて助長させて、我々を沢山
向うへ追い出して頂く以外には方法がないのじやあるまいか。それでその更に大きな後楯として
日本の国の政治家の
方々と
向うの国の政治家の
方々が手を繋いでもつと交換して貰うのだ、こういうことにならなければいけないのじやあるまいかと思うのでございます。
それでは
日本の
機械製品から見ますと、
ビルマとか
シヤムあたりで
作つている
機械はまだ取るに足らんと思いますけれども、すでに
出発しているということは否むことができないわけです。そうするとあと行き足がついて行きさえすればその速度は慎んぐん増して来るということなんです。そこへも
つて来てヨーロツパの
機械が、使用する
機械として
輸入されておるということです。
日本よりも優秀なその
機械を基礎設備として、そうしてよちよち歩き出すのではありますけれども、少し手が慣れて来れば優秀な
機械ですから
相当アキユレーシヨンを持
つたものが出て来るのではあるまいか、こういうふうに考えられます。そうしてみると
日本の将来は
輸出でなければならぬという、のみならば今後
海外発展をするものの大半が
機械でなければならないというのに、すでにそういう行く先に暗雲が低迷して、いや低迷ではない、本当に実在として我々の眼前に現われおるということなのです。そうしてみると貧乏に
なつた現在の
日本としては、大きな
企業でも
中小企業と同じような形にされてしま
つておる現在、その進歩が遅々と速度を緩めるのじやないかというな心配がある矢先でありますので、一方においてはそういう暗雲をどうしても切り開かなければならんという早さの、つまり時の問題が我々に與えられておるとすれば、本当に業者の政治をとられる
方々もこの辺を具さに見て頂きまして、丁度傘をひろげたような速度をも
つてぱつと開かして進展さして頂くというのでないと、
ビルマ辺りでもすでにいわゆる我我から言う仇の手、敵の手が伸びておるということなのであります。
私の申上げることはこれが
結論でありますからそれ以上は何ものもないのでありますが、現在の
中小企業の整謙の状態は先程申上げました
通りまだまだ見て頂かなければならんような手、その手は
政府の力によ
つて何らかの施策をと
つて頂く、その何らかの施策とは、私がここにプリントにしてあるこういうふうなことごとということをお示ししてあるわけでありますが、どうかそういう方向に向
つて我々が歩き易いように、そうして国策としてはどうしても今後発展すべき、又
輸出しなければならないという
日本の経済的運命にあるのでありますから、どうしても切開して行かなければならぬということだけは確かなのです。併しその速度が遅れると、もう
向うが陣構えをしてしま
つたのに、こつちがよちよち出て行かなければならぬということがあ
つては、これは大変な問題だと私は考えるのであります。要するにときを、我我にチヤンスを與えて頂きたい。そういう点から考えますと、今度催されました、我々を
派遣して頂きましたこの会が
如何に有意義であ
つたかということが分
つて来るわけであります。これは
一つのチヤンスといたしまして、我我のような商人が政治をとられるあなた方と直接こういうことについて
お話ができ、一言でも我々の
意見を申上げてそうしてそれを将来の国策に盛込んで頂ける
機会が與えられたということにおいて、これは非常な收穫が私共は得られたと考えておるのであります。これは私共が收穫を得たということでなく、
日本国発展のために本当にいい
機会が與えられたということになると
思つております。どうかそういうわけでございますから然るべく御施政を願いたいと切望いたしまして、私のお答え申上げる
お話を終りたいと思います。どうかここにプリントにしてございますのを皆さんに御配付を願いまして、御覧を
是非頂きたいと切望することを附け加えて申上げます。