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政府委員(徳永久次君) 私から、
請願に対しましてどういう工合に
考えておるか、又どういう工合に処置しておるかということを概略御
説明申上げます。
金属鉱山の問題につきまして、昨年
電気銅に関します補給金の撤廃等いろいろな問題があ
つたのでありますが、この処置といたしましては、具体的には滯貨に対する
融資の
斡旋及びそれまで
関係方面関係で事前許可を必要といたしておりました
輸出につきまして、或る
程度日本政府が国内の需給
関係を見まして、過剩の分については、
日本政府限りで判断を決めて
輸出をなし得るというような
措置をとるということによりまして、その後比較的順調に滯貨が
事業を圧迫するということなしに経過いたしております。それから更に、その後幸いにいたしまして、
電気銅の海外市価も逐次上昇いたしまして、その結果として、まだ十分満足ではございませんが、市況は次第に明朗に推移いたしておる次第でございます。一方その間に
事業者といたしましても、大巾な補給金の撤廃がございましたので、その影響も
相当ございまして、その第生産費の切上げのために、いろいろ
合理化を努めてもお
つたわけでございまして、その面と相俟ちまして、
只今の処置により、概ね
政府が予定いたしておりましたプログラムと申しまするか、私共は約一ケ年経過すれば、その間に十分に後が健全にな
つて行くのじやなかろうかというふうに見てお
つたのでありますが、予定のプログラム以上に早くその事態が実現しつつあるというようなふうに見てよろしいのではないだろうかと思
つております。
それから更に金の問題につきましては、先般将来におきまする金の
重要性に鑑みまして、その対策につきましては、閣議決定をいたしまして、その
内容といたしまするところは、金及び金と密接な
関係がございまする銀の買上げ価格につきまして、それぞれ五%乃至六%の値上げを決定し、第二に金の増産のために、戰時中
政府の金鉱の整備によりまして整備されました製練、選鉱の
設備の復元につきまして、所要の
資金の
斡旋に
政府が努めるということにいたしまして、
只今事務的には、一部見返
資金もその復元のために供給することを計画もいたしておりまするし、更に日銀その他の
関係の
金融機関に対しまして、その
資金の調達方につきまして、私共としてできる限りの
斡旋、援助をいたしておるというような状況であります。又細かい問題になりまするが、この
請願中にございまする鉄道運賃の割引につきましても、約二割の運賃の割引をや
つて頂くことにいたしまして、それは運輸省におきましても了承し、具体的にその手続が著々進行中でございます。更に加配米その他労需物資の増配とかさような処置につきましても、他の従来の量に比較いたしまして金
鉱業については、特に優位に
取扱うべき処置いたしておるような次第でございます。あらかたさような処置によりまして、私共は今後金
鉱業の復元、
復興ということに力をいたしたいと思
つておるわけであります。尚ちよつと申遅れましたが、炭鉱奬励金につきましても、今後、明年後も約一千四百万円の額を予定いたしておりまするが、
事業の
復興の進捗に応じまして、私共としては、できるだけの援助というものをいたしたいという工合に
考えておるわけであります。以上がこの
請願第百六十八号に対します
政府側といたしましてと
つておる処置の概要でございまして、これによりまして、
請願の趣旨に対するお答えというふうに御了承をお願いいたしたいわけであります。
次に出ております
請願千二百三十一号の、帝国石油株式
会社に戰時中に讓渡しました
日本鉱業鉱区の返還に関する
請願でございますが、この点につきましては、実は私共としまして、この
通りに全面的にいたしますというふうにお答えし難い事情にあるわけでございます。と申しまするのは、御
承知のごとくこの帝国石油は、集中排除法の適用を受けまして、そこにおきまして、今後の再建の集中排除の適用の具体的な
内容というものが決められたわけでございますが、その
内容にな
つておりますところは、この鉱区に対しましては、掻い摘まんで申上げますると、帝石の
事業体そのものの大きさというものは、国内の
資源開発会社、石油
資源の採油
会社として見ますると非常に大きく見えるわけでありまするけれども、これを国際的なレベルに比較して見ました場合に、聊かも大きくないので、むしろ石油という特殊の
事業の性質から見まして、その
事業体を二分割にするとか三分割にするとかいうような分割の
方法を採ることは適当でないので、むしろ小さきに失するくらいであ
つて、これを分割すれば、さなきだに、石油
資源の合理的な発掘をやるということに不十分というような
考えが背景に含まれまして、
事業そのものは分割するに及ばずというような決定にな
つておるのであります。ただ帝国石油が持
つておりました鉱区につきましては集中排除法の
関係の、いわゆる五人
委員会におきまして十分その
内容を検討いたしました結果、
日本全体の石油鉱区の過半数を帝石が持
つておるという事実に着目いたしまして、これは独禁法等の趣旨から見まして、全国の五割以下になるごとくその所有鉱区を減少すべきである。その鉱区数の割合で申しますと、二度に亘りまして減少が命ぜられまして、約三割何分の減少ということに
なつたわけでありますが、そうすることによりまして帝石の
事業体としこの大きさは先程申しましたごとく、現在聊かも大きくはないけれども、現に利用してない鉱区としても過半数のものを持
つておるということは、石油
鉱業について新たに
事業者が與えるということについて、それを制限するという弊害を生ずる虞れがある、
従つてそれを過半数にならないごとく処分しろという
考え方にあるわけでございます。而してその鉱区の処分振りにつきましては、現に稼動しておる鉱区と密接な関連がありまして、引続き採掘を予定しなければならない鉱区については、先程申しました帝石の
事業体が大きに失しない、むしろ小さいくらいであるというような趣旨から、開放しなくてよろしい、利用予定の目下ついておる鉱区を開放しろというような指令になりまして、その個々の具体的な処分計画というものが持株整理
委員会によりまして整理、検討されまして決ま
つたわけであります。さような経緯によりまして現実に
日本鉱業が受取りました鉱区は極く僅かでございますが、一部はあるわけでございますけれども、ここの
請願に出ておりまするのは、
只今帝石が活発に仕事をしておりまする鉱区が、たまたまこの帝石ができました際に
日本鉱業から提供した鉱区であ
つたというところに主眼があり、それを返還して貰いたいという趣旨であろうと思うのでございますが、帝石に対しまする
日本鉱業からの出資は、当時といたしまして正当な法的手続を経て行われたということのみならば、
只今申しました帝石の鉱区の処分につきまして集排法の指定により持株整理
委員会が具体的にその処置振りを決定し、それによ
つて開放が行われておるという経緯に即して
考えまして、私共としては直ぐにこの
請願の趣旨に即して
政府として処置をとるというふうに参りかねるような事情にあるわけでございます。尚参考まででございまするが、終戰後集排の指令がありまする前、終戰直後、二十一年の三月に
政府としまして今後の帝石を
中心といたしました石油
鉱業を如何に再建すべきであろうかということにつきまして、その
企業運営方式その他につきましてこの研究をなすべく臨時石油
鉱業調査会というものを設けてお
つたのでありまするが、その際の結論といたしましても、この帝石を二分割乃至細分することは適当でないということが
委員会におきましても確認されていたというように私は
承知いたしておるわけでございます。
只今申上げましたこの鉱区の問題につきましては、
政府が直接処置したという建前ではございませんで、集排法に基いて持株整理
委員会において具体的に、而も個々の鉱区について処置が決定されたというような経緯でありまして、
請願のような処置は
政府として処置し得るということがお答えし難いような事情であることを御了解頂きたいと思います。