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証人(中島英信君) 私は
全日本中小工業協議会の中島であります。私も大体ここに出されました問題についてお話をいたしたいと思いますが、只今
委員長の御注意もありましたし、時間の都合もあると思いますので、先程五藤さんの言われたことに重複しないように、成るたけ同じ点は避けまして、違つた点であるとか、その他特に要点と思われるような問題についてだけ概略私の
意見を述べさして頂きたいと思やます。
一般的な問題でありますけれども、これは普通最近でも、金詰まりは
中小企業も大
企業も同じではないか、
金融難と言
つても
中小企業だからという特殊なものはない筈だ、同じような考え方でいいではないかという
意見を時々やはり伺うのでありますが、やはりこれは
中小企業の
金融というものは特殊の性質があり、又特に
中小企業であるが故の
金融難というものが確かにあると我々は考えているわけであります。
金詰りと
金融難というような問題は言葉の問題でありますが、よく同じように使われる場合もありますけれども、我我としては一応若干区別して考えた方が、問題を掴まえるのに便利じやないかと考えます。詰りこれを、
企業の経営に即して考えた場合には、
金詰りということは、その
企業資金の需給のバランスが取れないことでありますが、詰り営業上の収支のバランス、アンバランスということと、営業間のアンバランス、特に
資金調達に関する問題というものは一応別なものである。それで特に厳密な意味で
金融難といつた場合にはむしろあとのほうであ
つて、
資金の直接の調達であるというふうに考えられるのじやないかと思うのであります。それで
一般的に
金詰りという点を考える場合に、確かに大
企業と
中小企業は同じはうな
原因から同じように苦しむ場合も少くないと思います。但し若干
原因や在り方に相違が出て来ると思
つておりますが、特に非常に違いが出て来るのは、
資金調達上いう
方面に
関係した場合、その差が著しく出て来る、こういうふうに考えられるのであります。つまり
資金を調達する場合にも自己
資金を調達する場合と、外部からの
資金を調達する場合があります。自己
資金を調達する場合でも、現在は
中小企業では証券市場を利用することはできないというような点は大
企業と違います。それから資本を蓄積して行くという面においては、これは租税の
制度と
関係いたしますけれども、特に
中小企業における課税は総体的に重くな
つておるのである。そのためにその面から資本蓄積を妨げられる。こういう点も出ております。それから
中小企業というのは、多く
問屋或いは親
工場と
関係を持
つて下請的な立場に立つものが少くないのであります。こうい場合には、その仕事の全体の繋がりの中で、收益の分配という点から行くとやはり下請の
中小企業につきましては不利な立場に立つ。こういうような面から来る点において特徴を持
つておると思うのであります。それから外部からの
資金を調達する場合はやはり一番問題になると思いますが、この点でやはり
中小企業というものは大
企業と同じように行かない。仮に
資金の需要の強さという点から見ればやはり大差はないと思います。若干の相違はあると思いますけれども基本的な相違はないと思います。従
つて工業の
生産額は、掴まえれば凡そ半分はやはり
中小企業の
生産に属しておると思うのでありますが、これに対して資本がどういうように供給されておるかというと、ここに非常識な差が出て来ると思います。以前復金の
融資が行われておつたような際には、全体の中で
中小企業の
融資が五%であつた。産業
融資だけについて見ても、普通産業
融資だけについて見ても、五%だとこういう差がありますが、又二十三年六月現在大蔵省が
調査されたものについでも、全国の
銀行について
調査されて、一件二百万円以下の貸出を調べられたところ、それが二二%くらいにはな
つておつたようでありまして、金額にして六百二十一億にな
つておりますが、ところが預金を一口百円以下のものについて見た場合には、千百五十四億といつた点が推算されて、その間に五百億の差があるのではないかという点が指摘されております。この解釈には問題点があると思いますけれども、併し
一つの示唆を與えるものではないかと思いますが、そういつた点にも現れておりますし、まあ慨して
中小企業に対する
資金の供給が需要に対して少い。これは即ち大
企業と比較して少い。その意味で
中小企業難というものは広い意味から見た場合には、社会的に蓄積された
資金を配分する場合の不均衡ということがこの
中小企業の
金融難に現れて来るものであろうというふうに私らは考えるのであります。それがどういう
原因から出て来るかということになりますと、やはり
一つは経済的な
関係や経済情勢から来るのではありますが、その中において
中小企業の占める地位と実力といつたものから来る点は問題であります。その他は政策上から来るものであり、又更に
金融の機構といつた面から出て来るというふうに考えて差支ないのではないかと思うのであります。そういつたことを一応前提として考えまして大体戰後の
状況の極く概略を見ますと、初期の時代にはインフレーションに因
つて来る
資金の需要ということ、これが殊に
中小企業においては非常に強く又出て来たのでありますが、特に
中小企業の
金融問題について全国に著しく出て来た特徴は、戦時中及び戦後を通じて著しく変つた点の
一つとして、
問屋関係及び親
工場の
関係が著しく変化した。従いましてその
方面から受けて虫おつた
金融の面が閉ざされて来て、一方
企業としては、自分の足で立
つて行かなければならないことにな
つて来た。そのために従来その
方面から受けて吹おつた
金融が止ま
つて、そうしてその途をどこに求めるかというときに、これはどうしても普通の
金融機関の方へ行かざるを得ないということにな
つて来たということが、この
中小企業金融問題に新らしい特徴を與えたものであると考えなくちやならん。これに対して政府の採られた
金融政策というのはやはり経済復興政策と関連して傾斜的な
金融政策が採られた。この面から
中小企業への
金融の途が著しく狭められて喰おつたということが特徴であつたと思うのであります。その後経済九原則の実施を通じて現在のような、まあ或る意味において安定恐慌の時期に入
つてきてからの特徴は、
一般的な
金詰りの
原因としては、何とい
つても購買力が減
つて来て売行が少くな
つて来たということが
原因だろうと思うのです。これ」は先程
中小企業庁の
実態調査の報告の中にも比較的正直に数字が出て来てているのではないかと思う。それと大
企業も同じように
金融には困
つておる。或いは販売の面においても若干問題を生じておると思いますが、その皺寄せが小
企業へ来る。従
つて親
工場が代金を支拂わない。その他
売掛金の
回収困難というような問題が
相当出て来ておりますが、そういつたことが現在の
金詰りの一番やはり強い
原因にな
つている。それに製品の問題が当然加わ
つて来るわけであります。これに関し、まあ戦後の時期を今二つに大体分けて考えたのでありますが、前車に較べますというと
金融政策の上においては可なり前進したというふうに言われるのであります。又
金融機関の
方面における
中小企業金融に対するいろいろな理解等も可なり進んで来たと見ら九る点が可なりあると思うのでありますが、併し依然としてこの点にやはりいろんな問題がある。特に大きな機構院の問題としては、普通の
銀行は
中小企業に対する
金融の面において、
一つは
中小企業の信用の問題があり、
一つは
銀行自体の採算の
関係から、
中小企業の
金融はなかなか困難であるといつた問題が出て来ておるわけであります。統計的に見ますというと、割合に普通
銀行がやはり
中小企業に
相当出しておるようでありますが、実際は
中小企業者が普通
銀行から金を借りるということはなかなか困難であり、特に
取引を持
つていないような場合には全然駄目であるというような
関係にな
つております。尚従
つてそういつた
関係のために
中小企業に対する専門の
金融機関系というものが或る
程度あるわけでありますが、これは
資金の
関係その他においてやはりいろんな問題を持
つておるわけであります。こういうとこるを改善して行くということが現在のやははり
一つの当面の問題にな
つて来ておるわけでありますが、従
つて一般の
中小企業者の
金融機関に対する考え方としては、各普通
銀行及び特殊
金融機関を通じて
中小企業者に対する
融資を積極化して行
つて貰いたいということが一番中心でありますけれども、特に最近著しく現れて来ている
傾向としては、普通
銀行へ預金を持
つて行
つてもなかなか自分達に戻
つて来ないから、これは自分達の方へ戻
つて来るようなところへなるたけ預金を持
つて行つた方がいいことになる。それから預金部の
資金もこれを中小産業の
方面に還元するということはなかなか困難であるならば、これはやはり自分らの方へ還元するところへ金を持
つて行つたらばいいじやないかというような
傾向が
一般に出て来ておる。そうして結局方向としては、既存の
金融機関を使うと同時に或る
程度中小企業者が自分達が参加し利用する
金融機関というものをどうしても持つ必要があるじやないかということが強い要望にな
つて来ているのでありますが、これが信用
協同組合の問題その他と関連して強く出て来ているわけであります。大体に
一般にそういう
状況であると思いますが、この項目に従いまして特に気のついた点を若干細かい点について申上げたいと思うのであります。先程
委員長の御注意もありましたので成るたけ要点でないと思うところは拔かしたいと思います。
如何なる
資金が
融資を受けられないかという問題でありますけれども、これは大体先程
企業庁から御報告がありましたから略したいと思います。
一般に
調査の方に現れておるのは、
運転資金が非常に需要としては現れておりますが、実際には長期
資金は借りるのになかなか困難であるというので、その面においては
調査の面と実体の面に、実情においてやや即して行くことが必要であるのではないかと考えております。そこで
中小企業庁がこの前に
調査されたものと今度
調査されたものを比較しますというと大体最近の
傾向というものが随分出て来ますが、これは
企業庁の方から
説明があると思いますから略しまして、
融資を受けられない
理由の面は、これも先程具体的に五藤さんからお話がありましたが、大体心の中に基本的な
関係が、実際はこの旧具体的なものの中に出ておると思うのであります。でそれ要約しますというと、
中小企業の形態的な不安ということが
一つの
理由とな
つておると思います。これは先程の
調査にも
業界の見透しが不安だからというのでことわられたことも
相当出ておるようでありますけれど、つまり
業界について、その
業界自身が行詰
つておる、製品がなかなか売れないということが
相当出て来ておつた。それと、ついては
業界においても特にその
中小企業の経営の不安定といつたことが指摘される場合が少くないようであります。例えば或る会社が或る
銀行について
金融を
申込むと、その
銀行で調べて見てこの業種では他にこういう会社とこういう会社とこういう会社の有力な会社があ
つて、必要な需要についてはここでも
つて生産に間に合
つておる、お前の方一で幾ら金を借りて
生産を拡大しようと思
つても、その面において、すでに競争の中に伍して立上
つて行くということは困難であると思われるというようにしてことわられるときもあるようでありますが、こういうふうにして、この経済自体の不安定と見透しの不安というような点が考えられておる場合が最近は特に多いのじやないかと思います。第二には経営の
実態を
金融機関が余り信用しない。それからこれをよく考える場合においても、大
企業に貸した場合は、大
企業は組織の力でも
つて行
つておる。
中小企業は割合に
個人が投資し経営しておる場合が多い。
個人が生きておる場合はよいが、何か変更があつた場合は駄目になる。大
企業の方けは現在やや
状況が惡いようであ
つても、はつきりした資本的な基礎を持
つておるし、経営の組織が確立しておるら、これは最後まで引続いた場合には金を回牧し損なうということは割合に少いといつたような面から出て来る場合もあ
つて、第二の点としては、この経営の
実態に関する
金融機関側の考え方といつたものが
一つ出て来ておると思うのであります。それから割合に重要な問題としては、普通
銀行等の立場からした場合には、
金融上の採算の問題があると思います。つまり前に見ました点は、リスクの問題でもありますけれども、もう
一つは小口で多数になるというと、それだけ原価が高くなるといつたようなことがあ
つて、これはやはり確かに普通
銀行が
中小企業に九金を貸す場合の制限にな
つておるということであります。もう
一つ最後に重要な点として、
中小企業と
銀行とのいろいろ繋がりの点がありますが、これは事実的の面では
取引がないといつたような場合には殆んど
金融の
融資の対象にはならない。尚興業
銀行のような場合には、若干例外として、これは全然
取引のない
業者にも貸すわけでありますが、これは
制度、伝統、その日の
関係があ
つて、多少別個の性質のものと思いますが、一方は普通
銀行の場合には、全く
取引がない場合には
融資の対象にならん。このことをもう少し突込んで考えますというと、
一般に言われておりますように、もつと基本的な点において
銀行と産業との結び付きというものが、
中小企業の場合には大
企業に比して非常に少いということが、やはり実際上
一つの
原因にな
つているのじやないかというふうに考えられております。それでこの
銀行融資が受けられない場合においては、果て
企業が弱体かどうかという問題をここで話をすると長くなりますから、この点はちよつと端折りまして、こういう
企業が必ずしも倒れないのは何故かというと、これは先程り
企業庁の
調査の申に大体幾らか答が出ておつたと思うのでありますがつまり納税を遅らせるそれから支拂を延ばす、それから
銀行以外の
方面から金を借りて来るということによ
つて繋いでいるという
状況であると思います。それにも拘らず尚倒れて行くのが
相当あります。この倒れて行く場合には、
金融難と併せて、つまり売行不振の問題、この二つの問題が非常に結び付いて来た場合には
相当倒れて来るのが出て来る、こういう事情であると考えるのであります。それから利子の問題でありますが、これは先程三鷹さんから言われたように、利子が高くても辛抱するという実情がありますが、これは利子の高いことを望んでいるのでなくて、背に腹は替えられないから、つまり
銀行で金を貸して呉れないから、高利貸に行く、高利貸に借りることを思えば少しぐらい高くても辛抱できるという話でありまして、これが経営の合理化と結び付いて行く場合には、やはり高い利子は
企業の負担に堪えない。特に健全な
企業であればこういうような負担に堪えないのが実情であります。その意味から言うと、現状避くへからざる悪として認めておるわけでありまして、やはり将来の方向としては、利子の点はできるだけ低いことを考えなければなちんではないかと思います。
それから
銀行採算による小額
金融の限度の問題、これは
銀行の方の專門でありまして、我々が言うべき問題じやないのでありますけれども、併し
業者としても若干
金融全体のシステムを考える上に重要性を持
つているので、関心はやはり持たざるを得ないのでありますけれども、結局こういう利子を決めるものは、
銀行が使います
資金の源泉がどういうものででき上
つておるか、利子がどうであるかということ、それからどういうような
資金を貸出して、その率が幾らであるか、というこそのあとは経営の
規模及び事務管理の能率等のファクターによ
つて決まると思いますけれども、従
つて社債のようなものを
相当使われ、長期の
資金を貸出される、
調査を厳重にする、こういうような
銀行になるというと、現在では五十万円以下では恐らく採算が採れない、場合によ
つて、七、八十万、場合によ
つては百万円ぐらいのところに限度が来ておるのじやないかと思います。これが信用
組合のようなところになりますと、忠実に零細
金融をや
つておるところでは、五六万、やや大雑把にや
つているところでは二三万ぐらいのところに限度があるのじやないかと思います。普通
銀行の場合には信用
組合よりも少くて、支店長が自分の采配でや
つて行けるところは二三万
程度でや
つて行ける。一々本店の許可を得るものについては十万を超えているというふうに想像できます。これはあとで
制度のことを考えるときに非常に重要な点として出て来る問題であります。
金詰りの
原因の方は先程出ておりましたし、これは
一般にも分
つておる問題ではないかと思いますので、飛ばしまして、ただ
滞貨の問題でありますが、これは先程五藤さんから指摘されましたけれども、あれはちよつと
企業出日の報告の若干の聴き違いの点があつたのではないかと思います。現に
滞貨があるという結果でなしに、
滞貨の
傾向にあるということが出ておつたので、その点は
中小企業の場合には、現実に
滞貨を多く抱え込んでしまうということによ
つては持
つて行けないというのが、少くとも小
企業の場合の実情であろうと思うのであります。結局
対策の問題で特に重要だと思われる点だけを一、二申したいと思うのでありますが、政策としては最近いろいろな議論が方々から出ておりますから、それを集約して御覧になれば殆んど盡されていると思います。それで私の気が付いた点だけを申しますと、
信用保証協会の
制度は、これは各地の
状況によ
つて違うけれども、
東京の場合などによ
つて見ますと、
業者の期待は
相当に大きかつたのでありますけれども、実際問題として、これはやはり
金融の問題としては第二義的な問題であるということにな
つているのではないかと思うのであります。つまり貸す
銀行の立場からは、たとえ保証があ
つても、
銀行自体がその
企業に対する確実な見透しが持てない限りは貸せない。担保があるから大丈夫だ、
銀行は損をしないかち大丈夫だという考え方では貸せないというのが、
一般の
銀行の方の御
意見のようでありまして、そういう意味から言
つて單に保制証度を作るということだけでは、尚
中小企業の方に金が廻らないという実情にな
つているのであります。これは非常に重要な問題でありますけれども、やはり要点としては、
中小企業の方に金が廻
つて行くことを考える方が先決問題であるというように考えられます。それから普通
銀行については先程申しましたような点でありますが、これは普通
銀行の中に含まれる問題ではありますけれども、地方
銀行については、やはり地方の
中小企業者の
意見を聴き、或いは
状況を見てみますと、やはり
設備資金に可なり困
つているようであります。ここに地方
銀行の
一つの難点があるということと、やはり
相当の支店を使
つてや
つておりますので、それぞれの支店にやはり活動の
一つの限度がある。そのためにそれぞれの町なり村なりにおける
金融をする場合に、全く自主的にやれないという点に若干の難点があると考えられております。
不動産金融機関は、これも
中小企業者としては非常に要望しておりますが、ただこれを要望するのは、
中小企業の中でも小
企業及び極小の場合が主であると思います。これは以前と違
つて、土地その他不動産の流動性が非常になくな
つているし、それを利用して收益を挙げるという面において困難にな
つている
関係がありますのと、その他の面から言
つて、なかなか採算上困難と思われますけれども、恐らく不動産
銀行が作られた場合に、一番逃げる先は
中小企業であると思いますので、この点については
一般に
中小企業としては
不動産金融機関の独立ということを非常に強く要望しているわけであります。
特に
金融機関で申上げたい点は、信用
協同組合についてでありますけれども、これが
中小企業等
協同組合法によ
つて信用
協同組合が今作られようとしておりますが、実際には大蔵省が認可の基準を持
つてお
つてそこでいろいろ査定をして許可をするということにな
つております。そのために実際には作れそうであ
つてなかなか作れない。だからこの点は特に議員の方々にお願いをしたい点なのでありますけれども、立法上折角法律ができたに拘らず、行政の面でその法律の効果が非常に失われているというところに非常に問題点があると思います。現在、先程どなたかからもお話がありましたように、非常に厳重な認可の基準を作
つている。ところがこれをアメリカの方の場合と比べて見ますと、日本では認可の基準は約四千万円ぐらいの賠金であります。人数三百人以上と言
つておりますけれども、仮にアメリカなどの例を見ますと、一九三二年のアメリカの信用
組合の平均の人数は二百十五人、一九四五年には多少殖えておりますけれども三百人、これが少し遡
つて一九二五年頃は六百人を超えております。六百人から二百人ぐらいに下り、今約三百人ぐらいといつたような
状況にな
つているようです。それで、この出資額及び預金額は、一人当りの出資が一九三三年一のときに六十二ドルでありましたけれども、全体の資産としては、これに二五%を増したくらいでありまして結局現在の日本の金に換算するというと、四百七、八万円見当にな
つておるようであります。一九四五年のところを見ましても、大体千四百万見当の金で平均して運用されておる
状況であります。特に非常に人数の少い場合には、五、六十人でや
つておる。それで結構成立
つておる
状況でありますが、これは
実例から見ても分る通りでありまして、例えばバーモント州の場合には、わずか平均して一
組合二百四十万くらいの資本で、平均そのくらいの
資金でや
つておるようであります。この点について私共特に考えなければならん点は、信用
協同組合の本質は、中小
工業者が寄り合
つて本当の自己
金融をやる、お互いに信用のできるものが安定してやることが必要だと思います。これはお互が
金融をして行くというところに本質があると思う。これは
中小企業協同組合が活かされて行く趣旨であると思うのでありますが、それを全然殺してしま
つて、普通の
銀行の取扱うことをそのまま信用
協同組合に要求して行くという点が、余りに強過ぎるのではないかと思います。運用上に難点があれば若干これを監督することは必要でありますけれども、もう少し
業者の自由意思と、人格と民主的に運営する能力とを信頼して、もう少し自由に作らすべきだと思います。この行政的な認可基準のために折角の立法の趣旨が懷されておる、この点は特に議員の方にお願いしてこの点を御考慮願いたいのであります。尚信用協同一
組合はこの意味において、
相当な重要な意味を持
つておるのでありますからして、政策上からいろいろな援護をする場合に、信用
協同組合に対しても今後も十分に採上げてこれに対する政策を考慮して頂く必要があると思います。
それから
商工中金の問題は、これは当然改善され拡充されて行くということが中小
金融の上に極めて重要なことであると考えております。ただ
個人の
金融の問題については、或いは考えようによると、本来の
組合金融のシステムを壊しやしないかという点に若干の疑問の点があるのではないかと思いますが、尚農林中金に比べて
商工中金の難点は中小
業者の預金の吸收が非常に少いという点であります。ここに組織的の欠点が横たわ
つておると思いますが、この点で
商工中金の方向については、特に考えるべき問題があると思
つておるのであります。
尚復金の存続の問題でありますけれども、これは復金が活動しておつた時分には、非常に
中小企業に対して
金融の比率が少かつた。且ついろいろな問題が多くて
一般の評判は余り芳しくないのでありますが、現在の
状況において非常に回收している
資金を一定の期間更に再貸出をすると、その限度の範囲内において活動をするということを認めるとするならば、それは必ずしもインフレの要因にはならないし、現在の
経済政策にそれ程強い変化を與えるものでもないと思うのであります。そうして性格をもつと全変然えてて、むしろ金額が減る代りに、それを
中小企業の方向へ向ける、こういうようなことを考えれば、これは
一つのやはり更生策として成立つのではないかと思うのであります。大きく考えまして
中小企業の
資金をどうして得るかという場合に、
協同組合その他を通じて協同で得る
方法と、それから大きく国家的に蓄積されたものをやはり使うという点と、二つあると思いますが、今日の租税の政策で、租税の負担は非常に
中小企業に重くな
つている。シヤウプ勧告の中でも指摘しているように、
税金の大
部分が直接税である。歳入の大
部分は
税金であ
つて、その中の半分を超えて直接税である。それの九〇%は、
中小企業を含む少額所得者の
税金ででき上
つているという
状況でありますからして、当然そこに、そういう点から見ても国家的な
資金を
中小企業の面に還元するということは、当然過ぎる程当然の考えだと思います。その意味から言
つて、復金のようなものが、ああいうような変化を自然にして来たものを、逆に利用して、禍を転じて福となすというような意味において更生策を考えることも
一つの問題だと思います。尚その他の新
機関の問題についても我々は考えておるのでありまして、私は
意見を若干持
つておりますが、その点を少し長くなりますから、略したいと思います。大体
金融機関の機構については、そういつたような考えを持
つているわけであります。
政策については、ここに書いてあります通り、やはりできるだけ
資金の配分については、冒頭に申上げましたように、
中小企業の
金融の特に問題となる点は、社会的に蓄積された配分の不均衡の問題であると私は考えておりますので、その意味において
中小企業に対して適正な
資金量を廻してやるという意味において、見返
資金、預金部
資金その他をこれに向けるということに重点を置かなければならんと思います。但しそれの前提として
中小企業の在り方について考えよということをしばしば言われますが、これについても非常に
意見がありますけれども、ちよつと長くなりましたから省略いたします。いずれにしても、経営の合理化は必要であることは申すまでもない。但し日本経済の全体の
生産復興を考える場合において、
中小企業の場合は、当然
中小企業を存立させることが
一つの問題として出て来ていると思います。
企業の合理化の場合にも、ただいたずらに書齋の中で考えられるような
企業合理化というものを押付けるよりも、先に
中小企業自体というものを一応安定させる
方法を考えることが必要だと思います。
尚二、三申上げたいことがありますが、時間も多少すぎましたから、一応これで終ります。