○
政府委員(
川上為治君) 今回の
電気料金の
改訂につきましては、今までいろいろな経緯がありまして、
司令部の方ともいろいろ
折衝をして参
つたのですが、結局今月の十三日から実施することに相成つたわけであります。この
電力量の問題につきましては、
最初私共の方といたしましては、二十四年度におきましては
電力量を二百二十五億
キロワツト・アワー、その内
火力関係のものが約一六%、
石炭に換算いたしますというと四百六十五万トンを焚くということにいたします。
発電会社及び
配電会社の総
收入を五百三十六億、これは二十三年度よりも約百三十億増えるわけでありまするが、この五百三十六億の
收入を見込みまして大体三割二分
程度の値上りということで、
司令部の方とも
話合が大体において十月の末にはついていたのであります。その前に
物価庁としましては、更に
人件費の問題でありますとか、或いは
石炭代の問題でありますとか、そういう点につきましてもつと多くを見込みまして、全体で四割五分
程度引上げるということで
司令部の方と
折衝していたのですが、先程申上げましたように、三割二分
程度引上げるということで一応の話がついていたのであります。併しこの
電気料金制度そのものにつきましては、
物価庁としましては大体従来
通りの
やり方で行くという
考えで
向うと
折衝いたしております。従来
通りの
やり方と申上げますというと、
定額電灯とか、或いは
従量電灯、それから
小口電力というものにつきましては
全国一律に
値段を決める、
大口の
電力につきましては若干
地域差を設ける。これは従来大体
三つの
地区に分けまして、三
段階に三〇%の
地域差を設けていたのでありまするが、今回は四つの
地域に分けまして、四
段階にこの
地域差を設けようというような
考えで、
向うと
折衝いたしていたのであります。それから尚従来
割当以上に使いましたときは
罰金制度をと
つていたのですが、これも従来の
通り行いたいということで
折衝をいたしておりました。又従来
豊水期等にありました常時
電力、
期間常時
電力とか或いは
特殊電力、オフピークというような
制度につきましても、従来と同じように行うというわけで、
向うと
折衝をいたしておりましたところが、
司令部の方から従来の
電力料金制度は根本的に改むべきであるという話が出まして、その理由として、結局
発電会社及び
配電会社の
経営内容を一日も早く良くして、そうして
電力量を殖すためには、どうしてもこの際
超過料金制度というような
制度を設けなければいけないではないかということで、根本的な
制度についての
変革案が提示されたわけであります。これに対しまして私共の方としましては、これは急速にこれを実行いたしますというと、いろいろ各
産業に対しまして非常な
影響があるからというので、私共の方としましては、成るべく
地域差につきましてもそうひどくないように、又
超過料金につきましてもそうひどい率にならぬようにということで
折衝をいたしたのですが、結局十一月の末に、今お手許に配
つてありますような
内容の
電力料金改訂案が、
向うから示されたわけであります。それに対しまして尚いろいろな点につきまして
折衝いたしましたが、いろいろな事情から、先程申上げましたように、この十二月の十三日から実施することに相成つたわけであります。
今度の
料金制度の
内容につきましてこれから簡單に申上げますと、第一に従来と
違つております点は、各
料金につきまして
地域差というものを設けているということが
一つであります。この
地域差は、先程申上げましたように、従来は
大口電力のみは大体三〇%の間で開いているということを申上げましたが、今回は原則といたしましてその地方の
配電経費、在いはこの
電力経費全体を含めましたいわゆる
電力経費、大体この
経費そのものを
基準としている。それを
基準といたしまして
地域的に開いているということに相成つたわけであります。勿論これにつきましては若干の
調整が加えられております。併しいずれにしましても
配電会社区域別の
原価に即応しました
料金率を採用いたしているのであります。それが第一点であります。その
地域差の内答を
ちよつと申上げますと、
小口電力につきましては、
北海道が一〇二、それから
東北が九二、
関東が九〇、それから
中部が九四、
北陸が八八、
関西が一〇〇、
中国が一〇八、
四国が一〇四、
九州が一一一ということに
なつております。これは先程申上げましたように、従来は全部同じ開き方であつたわけであります。同じ
料金制度に
なつていたわけであります。それが今回の
北陸におきまして一番低いところは八八、それから高いところでは
九州の一一一ということに
なつております。
それから
大口電力に誠京しての
地域差を見ますというと、
北海道が一一五、
東北が七七、
関東が七九、
中部が八七、
北陸が六六、
関西が一〇四、
中国が一二七、
四国が一一九、
九州が一三三ということに相成
つておりまして、最も低いところでは
北陸が六六、それから高いところで
九州の一三三というふうに、六六と一三三の間に各
地区におきましてそれぞれ開いておるわけであります。併しながらこれは先程も申上げましたように、
配電会社及び
日発の
経費の
原価を、そのまま開いておるわけではないのでありまして、或る
程度調整が加えられております。若し
配電会社、
日発の
経費の
原価そのままで開いたということにしますと、
九州におきましては一五七という
指数になります。
北海道におきましては一二一という
指数になります。それから
北陸におきましては六二ということになります。併しながらこれは後で
ちよつと申上げますが、
基本料金というのと、それから
電力量金と、こういう二つの建て方に
大口でありましても、
小口でありましても
電力料金制度は
なつておりますが、
基本料金は
全国一律にしてあります。
電力量料金そのものに
地域差を設けておる結果、両方併せますというと、今申上げましたように、
北海道におきましては一二一、
九州におきましては一五二、この
配電会社、
日発の
経費の
原価によりますと、こういうふうな
指数になりますけれども、この
北海道の一二一というのが一一五になり、
九州におきましては一五七というのが一三三になりまして、
大口電力につきましては或る
程度の
調整が加えられまして、そうして非常に、例えば
中国とか
九州に対しましては大きな
影響がないように
調整されてあるわけであります。
従つて地域差は従来は三〇%の間で開いておるが、今回はそれよりも
相当広く
なつておるけれども、或る
程度の
調整はされておるわけであります。その点が今度の
料金制度につきましての、第一点の大きな違いであります。
それから第二の点につきましては、これは
超過料金制度を設けたということであります。従来は先程も申上げましたように、
電力量の
割当をいたしますというと、これは
一定の
基本の
料金を拂いますけれども、それ以上に
電力を使いますというと、
罰金制度に
なつておりまして、すべて国庫に納入されるというような形に
なつていたのであります。ところが今回におきましては、
罰金制度を全然止めまして、
一定の
割当以上に
電力を使いましたときは、すべてそれ以上のものは
超過料金ということになりまして、
超過料金を
会社の方へ納めるということになるわけであります。
従つて割当を少くして
超過料金に該当する
電力量が余計にありますれば、ある程
会社の方は
收入が殖えて来るという恰好になるわけであります。その代りに各
産業の方におきましては、
超過料金の方を余計に
支拂えば
支拂う程、
コストに対しまして非常に
影響をもたらすということに相成るわけであります。これは極力
電力を
需用者の方で節約して貰うということが
一つの
趣旨でありまして、それから各
産業で持
つております。
自家発電を極力焚いて貰うということが、その
趣旨でありますけれども、非常に
超過料金の方を広くいたしますというと、
産業は非常に困つた問題が起きて来るというわけでありまして、そういう弊害がこの点につきましてはあるわけであります。この
超過料金制度を今回はと
つておりまして、その
超過料金は
従量電灯、それから
大口の
電灯料金、それから
業務用の
電力料金、
小口の
電力料金、
大口の
電力料金、すべて各
地区共に
地区別には
違つておりますけれども、各
料金制度そのものにつきましては同じ
程度のものに
なつておりまして、
北海道で申上げますというと、
超過料金は一
キロワツト・アワー六円七十八銭ということに
なつております。
東北が八円八十九銭、それから
関東が八円八十九銭、
中部、
北陸、
関西、これが八円八十九銭と同じく
なつておりまして、
中国も八円八十九銭、
四国が八円二十二銭、
九州が五円六十七銭ということに
なつております。これは今申上げましたように、
従量電灯料金につきましても、
大口の
電灯料金につきましても、その他
小口電力、
大口電力共に同じように各
地区別には
なつておるわけであります。この
超過料金が特に
中国或いは
関西、こうした
方面で
相当大きくないかという問題があるわけであります。又
九州の五円六十七銭と
四国の八円二十二銭というのは余り開き過ぎておるのじやないかという問題が起るわけであります。この問題につきましては、後から又御
説明申上げます。これが今回の
料金制度におきまして、根本的な
改訂の
一つであります。
それからその次は、従来
電力には特別な
料金制度というものがあつたわけであります。例えば
夏場におきましては非常に
豊水期でありますので、その際は特別に
期間常時
電力という
制度を置きまして、その分だけは
料金が或いは四割、三割安いというような
制度に
なつていたのであります。又この他に非常に出水がありまして、
電力が一時的に豊富に
なつた場合におきましては、特殊な
電力料金制度を採用いたしまして、そうして非常に安く供給いたしていたわけであります。それから
夜間におきましては、いわゆる
オフ・ピーク電力というようなものがありまして、この
料金も又的当低めに従来は
割引されていたのであります。又特別な
産業、例えば
農業用の、
灌漑排水用というようなものに対しましては、
普通料金より三割
程度安くするというようなこともいたしておりました。そういうような
制度が今回におきましてはなくなりまして、特に
期間常時
電力という、この特別な
料金制度が今回はなくな
つたのであります。今回認められておりますのは
夜間の
オフ・ピークの
電力料金、これは従来もありましたが、従来とは若干
違つておりますけれども、大体
相当の
割引を以て今後も行われることに
なつております。
期間常時
電力につきましては、先程申上げましたように、全然認められていないのであります。それから
豊水期に特別に出水いたしまして、一時的に非常に
電力が出ましたというような場合におきましては、特別な
電力料金制度を今回も認められております。それから従造なかつたもので、例えば
負荷率について或る
程度割引をするというようなものは従来なかつたんですが、これは今回
負荷率によりまして或る
程度割引をされるように
なつております。それから
力率についての
割引につきましても、従来は或る
程度基本料金のみについて認められていたんですが、今回につきましてもこれは或る
程度認められております。それから
超過料金の問題に関連いたしまして、これは
火力料金の問題でありまするが、
石炭の
品質が非常に良くなり、又
石炭の
価格が安くなりますれば、
燃料費調整という意味で、
超過料金の
料金そのものが低くなり、
石炭の
値段が上り、
品質が惡くなるというと、この
超過料金が上るというような形のものが、今回認められておるわけであります。そういうようなふうに従来と若干
違つて、いろいろな点が、
割引制度も或る
程度認められておりまするが、
産業に対しまして非常に大きく
影響いたしておりました
期間常時
電力というものが今回は認められていないのであります。これが各
産業に対しまして、特に
夏場におきまして
カーバイドとか、或いは
肥料とか、そうした
方面で
相当生産を要求されておるものにつきましては、或る
程度の
影響があるかと
考えられるのであります。
以上申上げましたように、今回の
料金制度は根本的に
三つの点につきまして非常に
違つておりまして、第一点は
地域差を
相当幅広く認めたいということ、それから第二点は、
超過料金制度を認めたこと、第三点は、
期間常時
電力というようなものを認めない、非常に特別な場合だけに
限つて割引制度を認めているという点、この
三つであります。これ以外に、増従来は夏、冬の
料金の差というものはなか
つたのですが、今回の
定額料金にしましても、又
大口、
小口の
電力料金につきましても、
夏冬の
電力料金というものは別々にしておるわけであります。この点が従来と又変
つております。それから
電力料金を
早目に
一定の期日に拂いましたならば、一割
程度の
割引をするというようなことも、今回の
制度ではや
つておるわけであります。そこで今回の
電力料金は今申上げましたような
制度に
なつておるわけでありまするが、これに対しまして、先だ一番問題になりますのは
超過料金の問題、これは
割当に
関係いたしまするが、
割当が少いというと、勢い
超過料金を
拂つても尚
生産を続けなければならんというようなものにつきましては、非常に大きな
影響があるということで、
割当を成るべく大き目にして
貰つて、
超過料金で負担するものを少くして貰いたいということが、一番大きな
産業に対する問題でありまするが、これにつきましては私共の方としましては、極力例えば
カーバイドでありますとか、
アルミナでありますとか、
産業の中で
電力を最も使用しておる部門に対しましては、極力
割当を余計いたしまして、
超過料金を支
拂つて貰う
電力を少くするようにというようなことで、
調整しなければならんかと
考えておるわけでありまして、この点
超過料金そのものが
相当高いという点につきましては、いろいろ
向うと
折衝もいたしましたが、今後におきましても尚
折衝の余地もいろいろありますけれども、とにかく十三日からこの
超過料金制度は実行いたしておるわけであります。
それから
地域差の問題、これも
相当影響するわけなんですが、先程申上げましたように、
日発と
配電会社の
経費そのままを取るというと、
地域差はもつとひどくつくんですが、或る
程度調整をしまして、
九州、
中国或いは
四国というような
方面におきましては、
地域差がなまのものよりも
相当軽く
なつておるんですけれども、それでも尚外の
地域と比較いたしますというと
相当高くなりますので、この点ももう少し
地域差を緩めて貰うようにということでいろいろ
折衝をいたしたんですが、結局各
地域におきましては一日も早く独立採算的な状態に
なつて行かせるようにしなければならんというような
考え方もあつたと思いまするが、そういうような
関係から
地域差は現行のままに、今申上げましたようにそのまま実施することに相成つたわけであります。その他特殊の
電力料金、これにつきましても、少くとも
期間常時
電力につきましては彼来
通り認めて貰いたいということで、いろいろ
折衝もいたしましたが、各
産業に対しましてそういう特別な
措置を採ることは困るというようなこともありまして、結局非常に限られたものだけにこの
特別料金というものを、即ち
割引料金というものを認められる結果に相成つたわけであります。そこで私共の方としましては、これに対しまして今後の
影響につきましては、極力次の
三つの方法によりまして、いろいろな
影響を極力少なくするように、緩和したいということで、今のところいろいろ
割当の問題とか、そうした
方面で努力をいたしております。
先ずその第一は
補給金物資、これにつきましては
肥料、即ち硫安とか
石灰窒素、それから
ソーダ灰、苛性ソーダ、或いは鉄鋼というようなものにつきましては、極力
補給金の
内部におきまして操作いたしまして、そうして
価格におきましても
影響しないように、又
生産に対しましても
影響しないようにいろいろや
つておりまして、第四
四半期におきましては
相当割当が削減されましたけれども、
肥料で若干
影響はありましたが、外の
方面におきましては殆んど
生産計画を落さないで、
補給金の
内部で操作するというようなことに相成
つております。それから
補給金の附いていない
物資につきましては、
価格を統制しておるものは、これは
影響の非常に大きいものにつきましては或いは
価格を
改訂するというようなことになるかと
考えられまするが、この
影響の非常に大きい
物資というのは、大体におきまして
カーバイドとか、或いは
アルミナとか、或いは
電気銑鉄とか、或いは
特殊鋼とか、そういうようなものが
相当影響があるわけでありまして、今回の
値上げをいたしましても、外の
物資につきましてはその
コストの占める割合に比較して、小さい
関係から非常に大きな
影響があるというようには、私共の方では
考えておりませんので、ただ
相当影響がある。今申しましたような
物資につきましては
割当を極力余計による、
電力量の
割当を余計にして
超過料金を拂う
電力量を少くするということで、極力したい。どうしても吸收できないようなものにつきましては、
価格改撰をするとか、或いは
価格を外すというようなことも、
考えられるわけであります。それから又
価格統制をしていない外の
物資で、
相当影響のあるものにつきましては、先程申上げましたように極力
割当を殖すことによ
つて、
影響を少なからしめるようにしたいというような
考え方でおるわけであります。以上申上げましたように、
相当いろいろな点につきまして
影響がありますけれども、今申上げました
割当の問題とか、或いは
補給金の問題とか、或いは
価格改訂の問題とか、そういうような点で、いろいろ
措置をしたいというように
考えております。と同時に尚
特殊電力料金の問題とかいろいろな問題につきまして、
向うと
折衝を重ねておりますので、非常に不合理な点、非常に不当に高いというような点につきましては、今後この
折衝によりまして極力解決をして行きたいというようなふうに
考えております。