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1950-04-07 第7回国会 参議院 懲罰委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月七日(金曜日)    午前十一時三十一分開会   —————————————   委員の異動 本日委員池田七郎兵衞君辞任につき、 その補欠として竹中七郎君を議長にお いて指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○議員小川友三懲罰事犯の件   —————————————
  2. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) これより懲罰委員会開会いたします。
  3. 松井道夫

    松井道夫君 小川君に更にお尋ねしたいと思いますが、昨日ここで述べられたことは皆間違いないのですね。
  4. 小川友三

    委員外議員小川友三君) お答え申上げます。昨日申上げましたことは大体間違いないと思つております。現在負傷中だものですから御了承願います。時間等に多少の差があるかも知れませんが、その点は御了承たまわりたいと思います。
  5. 松井道夫

    松井道夫君 それで昨日の御陳述の中に、白票を投じても青票を投じても殴られるような危險を感じておつたということであつたのですが、小川議員のいわゆる左派……左翼ですか、左翼から青票を投じないと殴るぞ、殺すぞとかいうようないわゆる脅迫を受けたような事実がありますか。
  6. 小川友三

    委員外議員小川友三君) 私が本会議へ入つておる間に、私の事務室で以て労働組合の二十数名の方が入つておられまして、私の党員の人に、小川友三青票を投じない場合は殴るようなことをするということを、たくさんの人が言つておるから、御注意ありたいということを、私の党員の千葉君から、そうした報告が手紙で私の本会議場に届いております。
  7. 松井道夫

    松井道夫君 あなたは直接脅迫を受けたようなことはありませんか。
  8. 小川友三

    委員外議員小川友三君) 申上げます。労働組合の方々が、数日間、私の部屋には朝から詰めきりで……帰るまで、便所へ行くにも尾行を十名くらい出しておりました。それから食堂に行くにも十名以上は尾行しておりました。それから喫茶室にも十数名が尾行して來ましたことは間違いない事実であります。名前も数名までは分つております。そうしてこの問題に対しては青票問題につきまして、入れなかつたらというので脅迫を受けたことは顯著な事実であります。
  9. 松井道夫

    松井道夫君 直接脅迫を受けたことは、脅かされたことはあるのですか、
  10. 小川友三

    委員外議員小川友三君) 直接間接に数限りなく脅迫を受けておりました。
  11. 松井道夫

    松井道夫君 直接脅迫を受けた事実を具体的にお述べ願いたいと思います。
  12. 小川友三

    委員外議員小川友三君) 直接脅迫を受けた事実は、私は登院しますると労働組合幹部によつて全く自由を剥奪されておりました。外の議員の方にお会いに行くにも全部つきまといまして、又外の議員が私の控室を訪問しましても、超満員で以て、労働組合幹部と称する人で、その議員の方は私と会えないという本当の超満員で、鮨詰め満員で、私の控室は封鎖せられておつたのであります。それからはつきり申上げます。小川友三が若し白票を投ずるならば労働組合機関紙に流して、数百万の労働組合員小川友三を落せというニユースを流すということを明確に新聞を示されて、私は脅迫を実に数日間受けました。
  13. 松井道夫

    松井道夫君 身体生命に対して危害を加えるという趣旨脅迫を受けた事実はありますか。
  14. 小川友三

    委員外議員小川友三君) それを含んだ……選挙を落選させる戰術生命危害を與えるような両方の戰術を以て絶えず数日間脅迫を私は受けつつあつたのであります。
  15. 松井道夫

    松井道夫君 なるべくはつきり一つお述べ頂きたいのですが、あなたは大勢詰めかけておつたとか、尾行されておつたとか、ということは、あなたが脅迫と感じたという趣旨で答弁せられておる、それはそれでよろしい。又落選させるということで脅かされた、それも脅迫と感じた。それもそれでよろしいが、直接労働組合の者その他から、小川白票を投じたら殴るとか、殺すとかいうことで、直接具体的にそういう方法脅迫を受けたことがあるかどうかということをさつきからお尋ねしている。そのことがあるとかないとか明白に言つて頂きたい。
  16. 小川友三

    委員外議員小川友三君) それは直接殺すというようなことを、投票前に受けたことは私は直接はありませんが……
  17. 松井道夫

    松井道夫君 直接はない、それならばそれでよろしい。それから、あなたのいわゆる右翼のものから、若し青票を投じたら身体生命に対して危害を加えるといつたようなことで脅迫を受けた事実はありますか。
  18. 小川友三

    委員外議員小川友三君) ございます。
  19. 松井道夫

    松井道夫君 具体的にお述べ願います。
  20. 小川友三

    委員外議員小川友三君) 私が青票を投じた場合は、私の事務所に電話でどんどん掛かつて來まして、そのままにしておかないという連絡を受けました。
  21. 松井道夫

    松井道夫君 どういう人でありますか。
  22. 小川友三

    委員外議員小川友三君) 電話ですから顔は分りませんが、そうした脅迫を受けておつたということも事実であります。
  23. 松井道夫

    松井道夫君 誰だか分らん。
  24. 小川友三

    委員外議員小川友三君) 分らない。
  25. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) お諮りいたします。岩男議員から委員外議員として発言を求められております。許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) 御異議ないと認めます。岩男君。
  27. 岩男仁藏

    委員外議員岩男仁藏君) 小川友三議員もおられまするし、実は去る四月五日でありますか。一昨日でありますか、当委員会において、小川友三君の懲罰事犯に関する審議が行われまして、その席上で小川議員から一身上弁明があり、又数氏の委員諸君小川氏との間の質疑応答があつたそうでありますが、その中に私の名前が相当沢山出たということを当日傍聽いたしておりました同僚議員から承りましたし、又二、三名の委員諸君からもそのお話を承つたのであります。どういう事実か、速記録が手に入りませんのではつきりいたしません関係から、若し私に関して私の人格を傷つけるというような事実が万一ありといたしますと、私としては甚だ有難迷惑な次第でありますので、その点を明確にしておきたいと思うのであります。小川議員も眼前におられますから、はつきり申上げますが、この二十五年度の予算審議を行うに当りまして、小川議員と私との関係、これをありのままこの真相を率直に申上げておきたいのであります。小川議員が久方振りに第三クラブ控室に参りましたのが、確か一日の午前中であつたと思うのであります。当時控室には同僚議員沢山おりまして、そこに小川議員が参りまして、いろいろと例によつて面白半分に諧謔混りの談笑を交したのであります。その際、私が平素小川議員とは親しい間柄でありますので、小川さんどうだあなたはいつも万年御用党だが、今度も万年御用党で行くかということを話したところが、小川議員曰く、今度は絶対反対だということをはつきり言われた。私あたりは御承知のように野党の部類であります。第三クラブは党を挙げて野党でありますから、その予算反対するところの小川議員を一人こちらに得たことを非常に喜んだのであります。  それからその後の小川議員行動を見ておりますというと、二日の日曜でありますが、予算委員会における最後の仕上げの討論の時に、先生は例の口調で熱の籠つた反対討論をされたのであります。  その前ちよつと申上げておきますが一日の日に午前中小川さんが見えました。その一日の夜に予算委員会理事会がありました。この理事会は、與党野党の間で、翌二日の日曜に予算委員会をやるかやらんかということで相当議論があつたのでありますが、結論として、二日の日、予算委員会をやる、やつて全部仕上げてしまうということになりまして、丁度日曜でありますので、或いはいろいろ都合のある議員もあるだろう、折角やつて定足数に達せんという場合には困るからというのでそれぞれ各党各派の者が自分部屋に帰りまして、日曜だがこういう経緯だからして是非やりたい、是非皆出席して貰いたいということで皆了解を得たのでありますが、一人一党の小川さんにこれを通ずる人がおらないので、私が小川さんの出席勧誘方を引受けて、私の部屋白井という女事務員がおりますが、その女事務員をして、夜中でありますが、小川さんの在処を探して貰つたのであります。丁度その時分、私は、例の新給與法案人事委員会審議をされておる時でありますので、私は人事委員でありますからその方に参つておりました。そこに白井女事務員が参りまして、小川先生が参りましたということで、人事委員会の室から出まして廊下小川先生会つたのであります。小川さん、明日は日曜だが、御苦労さんだが一つ是非出て貰いたい、定足数を欠いて審議が続行できないようなことでは困るから、出て下さい。いや出ましよう、ということで快諾を得た。そうして二日の日、丁度先刻申上げた日曜でありますが、二日の日に小川さんは堂々たる反対討論をされたわけであります。  越えて三日の日であります。この予算に関する本会議が開かれる、上程されるという日でありますが、午前中小川先生が又第三クラブ部屋に参りました。その時分に小川先生は又、いろいろ馬鹿話お互い沢山同僚議員の中でやつたのでありますが、自由党が選挙で絶対多数を取るようなことがあれば、これは電信柱に花が咲くというようなことだと言つたところ、そこに居合せた佐々木議員が、それは非常に名句だなということで、馬鹿話をした事実はあります。小川さんと私の交渉はそれだけであります。三日の午後から小川先生は私の部屋に一切参つておりません。その午後から小川さんが投票をされました、その間実に長い時間でありますが、一切会つておりません。又その間に私と小川さんが会つた事実は全くないのであります。私が、この問題が起りまして小川さんに会つたのは、先刻申上げた人事委員会をやつておるその部屋廊下で、日曜の日に出て貰いたいということで会つたのが、これが先にも後にもたつた一回であります。一切小川さんとは会つておりません。速記録にどういうことが載つておるか知りませんが、若し今の経緯以外のことが速記録に載つておればそれは事実と全部相違しておるということを御承知願いたい。岩男岩男ということが出ておるそうでありますが私と小川さんの二人だけの話、密談ということは絶対ないということを明確にして置きます。  ただ部屋の中で、二回ばかりお出でになつて沢山議員のおられる所でお互いに一緒に話した以外にはないということだけをここに明記いたしておきます。
  28. 山崎恒

    山崎恒君 先般の委員会のこの席におきまして、小川さんから、岩男さんとお会いした折に、岩男さんが、大体百六票に九十六票でこれは負けだというようなことが話されて、急にそこで心境が変つたというような氣持を話されたのでありまするが、只今岩男さんの説明によりますというと、そうした採算的の点について何ら触れていないようなお話があつたのでありまするが、その点今一応重ねて一つお尋ねいたしたいと思います。
  29. 岩男仁藏

    委員外議員岩男仁藏君) その点について申上げます。私がこの方の主任といいますか、野党側投票を私が集めたのであります。それによりますと、皆が民主党がもつと出ると思つたのが、社会党は四十名、私の方が十三名、その他の野党各派を加えて九十五票、これに小川さんは入つておりません。それを加えて九十六票という正確な数が午前中から分つておりました。それから私の計算で與党側緑風会を加えて百票という数字であつたのであります。四票の差ということは大体分つておりました。これは同僚議員と、駄目だ、四票負けたぞ、稼ぎようがないぞということは言つたが、その時小川さんがおられたかどうか小川さんと直接話した事実はありません。
  30. 小川友三

    委員外議員小川友三君) その時に私が居合わしておつたのでございまして、数名いらつしやいましたから、それで午前中、今岩男さんがおつしやつたように、九十四票と百四票の差で駄目だというので、私が平野先生濱田先生に手を廻しますからというので、手を廻したところが、平野先生が見付からない、平野先生のところに使いをやつたが、病氣で來られないというので、万事休すということであつたのであります。事実とちやんと合つておるわけであります。
  31. 松井道夫

    松井道夫君 又お聽きしたいのですが、先程脅迫のことを聽いたのですが、その脅迫によつてあなた親米博愛勤労党首である小川友三氏の投票を左右されたということはありますか。
  32. 小川友三

    委員外議員小川友三君) 私の票は断じて脅迫やあらゆるものに対して全然動かないのであります。
  33. 島清

    島清君 私は小川君に聽きたいことが沢山あるのですが、医者診断書を持つてこちらの方へお見えになりましたし、身体の状況は普通じやないということを医者証明しておりまするので、遠慮しておりましたが、併し、頭の方は医者証明しておられないし、写眞班諸君も來ておられまするし、何かしら私達が、非常に頭を怪我されまして記憶などをお忘れになつたようなふうに見える小川さんを、非常に通俗な言葉で言いますると、吊し上げでもしておるような感じを見られたくないと、こういう意味で質問も遠慮しておつたんですが、差支えなかつたら、繃帶でも取つて貰えば、私はもつとお聽きしたいことがあるのですが、如何なものでしようかな。
  34. 小川友三

    委員外議員小川友三君) 私は繃帶を取る必要はないと思います。
  35. 島清

    島清君 これは委員長委員会の名誉と、威信にも関係するのだと思います。怪我をなさつたと言うて、医者診断書を付けて來られましたが、医者頭部の傷というようなものは証明をしておられません。のにも拘らず、繃帶をされて、そうして急所の方に來ますると、非常に怪我をしたので忘れておるのかも知らんというふうにして、その急場を逃げておられる。それはそれでもようございましようけれども、併しながら、写眞などに撮られて、新聞などにそれが掲載されますると、この委員会空氣をお分りにならないところの一般の大衆は、何かしら、非常に重大なる怪我をした小川さんを私達委員会の方で吊し上げておるような印象を與えるのであります。そういう意味におきまして、私はこの委員会において、医者証明していないところの繃帶を取つて貰うという重大な意思を決定して、要求して然るべきものであると考えるのです。そういう提案をいたします。
  36. 小川友三

    委員外議員小川友三君) 医師は診断をしまして、頭部打撲を受けておるということを認めております。
  37. 島清

    島清君 診断書には書いてない。
  38. 小川友三

    委員外議員小川友三君) その診断書は、急いで提出したために、医者が……、事務員が落したのでありまして診断の結果、頭部打撲を認めるという診断をしておるのでございます。
  39. 島清

    島清君 あなたは、医者良心というものを、あなたの言葉の一言によつて左右してはいけないと思うのです。医者は急いでも、医者良心として、医者立場において証明しておるのであつて、その証明があればこそ、我々も聽くことを遠慮しておるわけなんです。ところが、医者科学的良心に照らして、科学者としてその良心に照らして、あなたを一週間の安靜を要するものと証明しておるわけです。併し、その打撲傷を受けた急所を全部書いておられるが、頭のことはちつとも書いておられない。而も、あなたが繃帶を巻いておられるということは、何か我我も、この間から強い印象を受けたのでありますが、看護婦等経驗者が巻いたんでないということは、明らかに分つておるのです。ただ私の言いたいことは、そういうふうな新聞などに掲載をされて、同僚である議員が非常な重大な怪我をしておられるのに、我々同僚議員があなたを吊し上げておるような印象を與えたくないという意味であつて、あなたも、そういう意味において、参議院の権威にかけても、やはり医者証明しないようなことを、殊更に繃帶を巻いてそういう印象を與えなくても、私はよいと思う。
  40. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) 速記を止めて。    〔速記中止
  41. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) 速記を始めて。それでは、これで御質疑は終つたものと見まして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) 御異議ないと認めます。只今小川君から一身上弁明を求めておりまするが、如何いたしますか。
  43. 島清

    島清君 二日間小川君に來て貰つて、その質疑應答過程におきまして、十二分に小川君には、自分立場言つて貰つたと思うのです。更に今回殊更に一身上弁明を私達は聽かなければならないというようなことはないと思う。そういう意味において、私は一身上弁明は聽く必要ないと思つております。
  44. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) 外に御発言はございませんか……それでは小川さんから発言申込を取消されましたから、一身上弁明はないことになりました。それでは暫時休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩    ——————————    午後零時三十三分開会
  45. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) 再会いたします。直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) 御異議ないものと認めまして討論に入ります。討論におきましては議員小川友三君を懲罰すべきか否か、懲罰に付すべきであるとすれば、国会法第百二十二條の四項目のうち、いずれの項に該当すべきかを明らかにしてお述べを願います。
  47. 遠山丙市

    遠山丙市君 この討論の形でありますが、これは今までの形では、懲罰に付するかどうかということを先に決めてあつて、そういう工合になつたというところで、あとの今度の罪状は二段目にやつてつた形じやなかつたでしようか。今までは一括してやつておりましたか。まあどちらでもいいですが、余り慣例を無視しないでやつて貰いたい。
  48. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) 討論過程において出た御意見を全部諮つております。それで懲罰に付するか否かということは前回はやりませんでした。
  49. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) それでは自由に御発言願います。
  50. 島清

    島清君 ちよつと速記を止めて下さい。
  51. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) 速記を止めて。    〔速記中止
  52. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) 速記を始めて、休憩いたします。    午後零時四十一分休憩    ——————————    午後零時四十四分開会
  53. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) それでは再開いたします。
  54. 島清

    島清君 本事犯は、その主義主張の異なつて、そうして人間感情として行き過ぎがあつたということで、先般参議院、当院におきまして懲罰事犯を惹起したことがあつたのでございまするが、そういつたような通例感情を持つておりまする人間の集団において行われた行過ぎのごとき懲罰事犯とは、凡そ趣きを異にしておるのであります。  只今院外におきましては、暴力団狩りがございまして、新聞紙等は、善良なる市民生活にだにのごとくくつついて生活をしておるその暴力団行為を、紙面を通じて書いておるのでございまするが、私達がこの新聞紙面等を通じて見まする街のだにと言われておりまする暴力団行為も、小川議員行為は顔負けするような行為ではなかろうかと思うぐらい、凡そ国会議員にあるまじき行為であると断定して言い過ぎではないと思うのであります。二日間に亘りまして小川議員をこちらに喚問をいたしまして、彼の答弁中にも現れておりまする通り、私達は彼の精神状態を疑うのでございまするが、併し彼の発言中におきまして、青票を投じても白票を投じても自分は殴られる運命にあつたのだということは、みずから自分の不正を物語つておる一つの証拠でございます。新憲法国会議員の、これは旧憲法時代におきましてもそうでございましたが、国会議員の自由なる意思の表明を保障しておるのであります。それにも拘わらず、而も新憲法に基いて民主国家建設のために国会の席を占めておりまするところの議員が、この精神に基いて立法の最高機関としての職責を果さなければならん議員が、いずれの方に片寄るも危害を受ける地位にあつたのだということは、私達の聞き捨てならないことだと思いまして、これは誠に議会史上に残しまするところの一大汚点であると痛恨に堪えない次第でございます。併しながら、そのことを私達は取上げましてそれを究明しようといたしまするには、懲罰事犯調査の外でありますからして、そのことは又他の機関におきまして適当に調査を願うといたしまして、それはいずれであろうといたしましても、小川君のやりましたるところの行為は、これは天人共に許さざるところの行為であると私は断定して憚らないのであります。苟くも国会に席を持つ者は、議会政治が何であるかということぐらいの基本的なことは勉強もし、基本的な行動を誤らないで、而もそれから深い專門的な知識に入らなければならないということがこれ常識でございます。例えば、日本の刑法におきましては光を独占する者、或いは空気を独占する者は刑罰に付するというようなことは規定しておりませんが、併しながら光等のごとき、空気等のごときは当然において万人がこれを享有しなければならないということが大常識である、人類が生きるために空気を独占しても、独占する者に対して刑罰が規定されていないのであります。從いまして、それと同様に、議会政治を行わんとしまする者は先ずデモクラシーの基本的な行為を誤つてはいけないということは、これは大原則でございます。小川君のやりましたところの行為というものは、このデモクラシーの大原則を踏みにじつておるのでございますからして、これは罪万死に値すると私は断定して憚らないと思つております。そういつたような論拠からいたしまして、私は小川君を有罪にすべきである、かように確信をしておりまするし、そういつたような立場におきまして意見を申上げておるような次第でございます。  そこで有罪であるということを私は只今申上げましたが、その有罪只今委員長から四つの項目を示されてございまするが、私は小川議員に対しましては襟を正して国民に謝罪をするという意味におきまして、極刑を以て臨むべきものであるという考え方を持つております。願わくば他の委員諸君におかれましても私と同様な御意見を以ちまして全会一致を以て、議院の品位を高める意味におきましても、この小川議員に対しては断乎たる措置に出られることを切望いたしまして、私の討論を終ります。
  55. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) 島さんにお聽きいたしますが、極刑と言われたのは除名意味でございますか。
  56. 島清

    島清君 さようでございます。
  57. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 私は民主党を代表いたしまして、本懲罰事犯に対しまして、小川君を国会法第百二十二條の四によつて除名すべきものであるということを申上げたいと思うのであります。議長の宣告によりまして懲罰事犯の内容は明瞭になつておるのであります。更にこれに加うるに、議院運営委員会の総意によつて小川君があの醜態を演ずるに至りました内面の調査を要望せられておつたのでありますが、私共は、この点に深く留意いたしまして、あらゆる角度から事犯調査に努力いたしたのでありますが、残念ながら短時日の間にその真相を究明することができなかつたのであります。これは甚だ後味の惡いものが残るのでありまするが、いずれ他日他の方法によつて、或いは他の機関によつて、これが明確にせらるる時があろうかと思います。そこで私共は、この委員会においてはこの程度において質疑を打切り討論採決すべきものと考えて賛成をいたした次第であります。表面に現れました事犯は、本会議におけるところの小川君の行動によつて多く説明を加えるところはないのであります。これだけの本会議小川君の問題が、直ちに私共が主張いたしておりまするような除名に価するものであるか、ということはこれは愼重に考えなければならん。議員の職を奪うことであり、小川君と雖も国民投票によつて国民の代表として国会に出ておられるのであります。この大事な職責を奪い、議席を奪うということにつきましては、私共あらゆる方面から愼重なる調査研究を進めなければならないと考えるのであります。そこで私はいろいろの方面から考えたのでありまするが、小川君につきましては、過去三ヶ年に近い間の政治行動議員生活においてあらゆる醜聞と惡事とを振撒かれておつて議院面目保持の上に大きなる支障を來たしておるということは、これは何人も認めるところである。私は今回の問題に加うるに、小川君が過去におけるいろいろの問題を加味してこれを考えることが相当ではないかと思うのであります。更に又小川君は、本件を捲き起しましてから、どういう態度であつたか。委員会に二日出ましたが、何ら反省の色もなく、みずから戒めておるような状況も見受けられんのであります。全く申しますことは支離滅裂であり、でたらめである。何らの改悛の情も見ることができなかつたということは、私共の甚だ遺憾とするところであります。これらのことを考えますると情状においても同情をすべき余地は非常に少い。この際私は、個人の情においては三年の間お互いに公私の間相知るところも多かつた、多少の感慨なきにあらずでありまするが、政治の浄化のため、議院の名誉を保持するため、断乎としてこの際小川君を除名することが私共の與えられたる職責を全うする所以ではなかろうかと考えて、以上の如き意見を申上げた次第であります。ただこれに私は付加えて申上げて置きたいことは、この三カ年の間に我が参議院においては二つの懲罰事犯を出しておる。先には国会の議場において問題を起しました二、三の人が懲罰に付せられ、更に又今回小川君が懲罰事犯にせられたということは、決して私は参議院の名誉ではないと考える。私はこの懲罰事犯というものも、一般の刑事問題と等しく、いわゆる一般の輿望ということに重きを置いて考えなければならんのであります。お互いに自粛自戒をして、再びかくの如き問題が起らないということを念願する意味においても、私はお互いに反省するところがなければならんのではないかと考えるのであります。  以上簡單でありまするが。私共の意見を申上げて、小川君を除名に付するという強い意思表示をいたす次第であります。
  58. 松井道夫

    松井道夫君 私も遺憾ながら、前二名の委員の仰せられた結論、即ち除名に賛成せざるを得ないのであります。  本会議の壇上、これは議員生命であり議会の生命であると言つてもよろしうございましよう。その壇上において、天下に約束いたしましたことを即刻飜えし恬として恥じないということは、即ち国民を瞞着いたし、議院の名誉と権威を傷つけたものでございまして、苟くも政治道徳の上から言つて許さるべきものではありません。議員としての自殺行爲であると私考えるのであります。日本の政治道徳がまだまだ先進諸國の程度に行つておりませんことは、これは止むを得ない点がございまするが、併しながら今回の事犯のようなことは過去にも聞かず、ましてや將來も決して起り能わざることであると存ずるのであります。前之園委員からも申されたように情において忍びざるものあり、又その議員を選出いたしましたる選挙民に対しましては全くお氣の毒であるのでありまするが、苟くも除名という制度がある限り、これ以上の事犯を考えることができない。除名亦止むを得ないと言わざるを得ないと思うのであります。米国におきましては常任委員会といたしまして懲罰委員会というものがないそうであります。日本に常設の懲罰委員会があるということを聽いて、向うの議員連はびつくりいたしておるそうであります。全く恥かしいことでございまするが、一時も早く常設の懲罰委員会のごときは、この日本の国会制度の上からは抹殺いたしたいと思うのであります。アメリカにおいてはずつと昔のことでございましよう、今の議員の記憶に残らないずつと昔のことでございましようが、除名という案件があつたことが記録上証明されておるのであります。民主政治の進歩の過程において、除名が必要であるということも、これ亦止むを得ないことであつて一日も早くこの除名制度が必要のない事態にいたしたいと私は考えるのであります。  この際附け加えまして申して置かなければならんことがあるのであります。緑風会におきましては、今までの小川氏の行動、人格というものを考えてなら別だが、この事犯だけでは除名というのは少し重いのではないかという意見の方が相当数おられるのであります。勿論尊敬すべき方々なのでありまして、その御意見も、その御意見としての根拠があるものと私は存ずるのでありますが、併しながら懲罰委員たる私は、その論拠を伺つても到底納得できないのは、これは止むを得ないことでございます。私はやはり私の信念に從つて除名ということに賛成さして頂くものであります。
  59. 小杉イ子

    ○小杉イ子君 私は緑風会を代表してではなく、ただ一議員の小杉イ子として除名に賛成せざるを得ないものであります。理由といたしましては、数名の方々が申されたことと全く同感でございます。私が最も痛感していることは、国事国政を司る者が虚僞を軽々しく言つたり、虚僞な行いをするということは、今後も国政上このような事件を起されることになるという予言をできると私は思います。そうして最もこれは国政に対して大きな損害となり、危險となり、目の前近くは議事の進行を妨げることも甚だしいものと思います。それで除名ということは小川氏の身にとつては却て仕合せではないかと思う程でございます。重ねて除名に賛成申上げます。
  60. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) 外に御発言がなければ討論は終了いたしたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) 御異議なきものと認めます。  それでは採決をいたします。島委員外三名よりの国会法第百二十二條第四項により、除名懲罰を科すべしとの御意見に対して御賛成の諸君の御起立を願います。    〔総員起立〕
  62. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) 全会一致と認めます。よつて国会法第百二十二條により議員小川友三君に除名懲罰を科すべきものと決定いたしました。  尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本事犯の内容、質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の決果を報告することとして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) 御異議ないものと認めます。  それから本院規則第七十二條により委員長議院に提出する報告書について多数意見者の署名を附することになつておりますので、本件について国会法第百二十二條の規定により除名懲罰を科することに賛成された方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     島   清  門田 定藏    前之園喜一郎  竹中 七郎     小杉 イ子  松井 道夫     山崎  恒
  64. 太田敏兄

    委員長太田敏兄君) 御署名漏れはございませんか。御署名漏れはないと認めます。これを以て、散会いたします。    午後一時十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     太田 敏兄君    理事            遠山 丙市君            松井 道夫君    委員            島   清君            門田 定藏君            岩本 月洲君           前之園喜一郎君            竹中 七郎君            山崎  恒君            小杉 イ子君   委員外議員            岩男 仁藏君            小川 友三君   事務局側    参     事    (委員部長)  宮坂 完孝君