○
岩木哲夫君 私は
国民民主党を代表いたしまして本
法案に
反対をするものでありますが、但し我が党は
地方自治を
確立する目的を以て、その
財政強化を図る意図を含む
シャウプ勧告案の
趣旨に基く
地方税法の改正という
趣旨には
賛成をするものであります。
多年、
地方自治の
財政的
確立が、国家としても、
国民としても要望されておることは、今更申すまでもないのでありまして、
地方自治とその
財政の
確立を図る新らしい
方途、即ち
平衡交付金制度、並びに今回の税法
改革を以てその
確立を図るという
趣旨には、只今申しました
通り反対をするものではないのでありまするが、ただその手段、方法、取り方において、どうも合点の行かない点がある。よ
つて我が党はこうした合点のいかない点を
修正をして、その
修正を容れられるならば本
法案に
賛成をしようという考え方を当初から持
つて参りて来たのであります。これは
政府においても、この
法案は一ケ年実施を延長して貰いたいということは、吉田総理が司令部に懇請したのに基くころであるはもとより、
政府與党である自由党においても、相当の
修正案を草案されまして、これの折衝に当られましたることになりましても、如何にこの
法案が
地方自治の
財政を
確立するという
方途にはよいといたしましても、この
内容におきましては
矛盾があるし、都合の惡い点があるではないかという点を指摘いたしておることによりましても明らかなことだと思うのであります。そこで私達におきましては、何故この
法案におきましての
シャウプ使節団の考え方と、又これを
国会におきまして
審議いたしておりまする
政府と我々との間におきましての
質疑の
内容において、相当の喰い違いがある。
地方財政を
確立するということで税法を
改革する
趣旨には、極めて適切なるものがあることは私も深く感じておるのでありまするが、非常にこの点に
矛盾を発見して来ておるのであります。
そこで我が党は今申上げまする
通り、これを是非
修正したいという点を強く関係
方面に要望して、その先ず主なる
ところ、いろいろ沢山な税法
改革に対しましての小さい問題も相当ありまするが、その主たる
改革の要望点といたしましては、例えば
附加価値税におきましては、その
課税率を第一種は二五%、第二、三種は一・五%に低減し、更に
特例を設けて協同組合、新聞
事業は非
課税として貰いたい。或いは免税を引上げる等、こういう措置をとりましても、
政府が当初意図せる徴收見込の四百十九億は優に取れるという強い信念を持
つておるのであります。又
固定資産税におきましては、これらの倍数におきましては只今社会党の吉川氏からの御披瀝もありました
通り、この
日本の地理の
状態から、或いは
経済状態、諸般の環境等によりまして、これを一律の土地家屋の九百倍の倍数は余りにも現実無視であるという強い考え方から、土地におきましてはその
地域、例えば寒冷地、單作地、
経済におきまましての、或いは人口密度、諸般の
状態から、これを三百倍乃至七百倍ぐらいにするのが現在の自由市場或いは実際取引面におきまする実態に適合するものだという考えを持ちまして、家屋におきましては同様、
地域、環境によりまして五百倍乃至八百倍が適当である、かような工合な
修正意見を堅持したのであります。又償却資産におきましては、当然時価によるべきであるのでありまするが、特に遊休、老朽、未稼動資材等、或いは工具であるとか、器具であるとか、備品であるとか、その他実際
課税客体としての常識上判断いたしましても不適当であるとい
つたようなものにつきましては、これを減じ或いは免ずることが必要である。又農業用の豚小屋であるとか、器材小屋であるとか、味噌小屋とい
つたようなものにつきましても、当然これは減免の措置をとることが当然である。又純粋の学術試驗研究所の施設等の
固定資産におきましても、これを非
課税とすることが適当である。又協同組合の償却資産等におきましても、これは非
課税とすることが適当であるというような、こういう改正
趣旨を強調いたしまして、
政府の意図せる一%七五の割合でなくても、一%五の割合におきましても、十分所期の徴收見込は達成せられるという強い信念、確信を持
つておるのであります。また市町村民税におきましても
所得割税率が相当高過ぎる。
所得につきましては、或いは或る場合におきましては
附加価値税でかけられ、勤労
所得におきましても
附加価値税でこれが
課税の
対象となり、或いは
所得税自体としてのすでに
課税の
対象にな
つておる上に、これに市町村民税としてこれらの税率を更に賦課することは、余りにも
所得税というものをなぶりすぎる。又ここにおきまして特に
国民所得を
対象といたしておりますこの観点から、これを一三%に低減することが妥当である。又協同組合におきましてもこれらは同様に非
課税対象とすべきだという考え方を持
つたのであります。又遊興飲食税につきましては、宿泊及び大衆食堂等の飲食つきましては現在二〇%とな
つておりまするが、これを一〇%に低減し、百円未満の飲食につきましてはこれを免税とすることが困難な現在の大衆
経済におきましての特に要望する点であるということを我我強調したのであります。又入場税におきましても現在せめて残されたこの荒廃した
日本国土におきましての芸術鑑賞、或いはこうい
つたものの鑑賞に関しましては、或いはいろいろの催物の鑑賞がせめて慰安の場合におきまして百分の百であるとか、百分の四十であるという
課税率は世界で最も高い率であるということは御承知の
通りでありまするが故に、これを六〇%及び四〇%に低減すことが必要である。又罰則規定におきましても今吉川氏が強調されましたごとき余りにも困難な
経済状態下において新らしい税法を
施行し、赤字でも取上げようとするものに対してこれからの罰則規定が不当に強過ぎるという観
点等から、これらを
修正すべきことを強調したのでありましたが、遺憾ながら我々のそういう要望点は容れられなか
つたのであります。そこで私は憲法におきましての
日本の
国会の
民主化、或いは自主権とい
つたとうな観点におきましても、これは
日本政府自身ですら同意し難い、
修正いたしたいと言うし、與党ですら同様の
見解を持ち、又
国民各層殆んど挙げてこの
法案に対しましては
反対の
陳情があるということは、我々の浅い議員
生活、又
衆議院の各位におきましても、帝国議会始ま
つて以来今日程猛烈な
反対陳情の書類を受取
つたことはないと言うくらいなこの
法案に対しましては、
反対を結論といたしましてせざるを得ない。そこでその
反対の我々の
趣旨は、今
修正案を容れて頂きますれば、我々はこれに対しまして多数の疑義なり
異議はありまするが、大局的見地からこれを
賛成しようと思いましたが、容れられない。而もその結果次の大体の我々の
反対諸点というものを私は披瀝いたしまして、
反対の
趣旨を明らかにいたして置きたいと思うのであります。
それは、
政府が
経済財政政策はもとより、
中央地方を通じての予算、税法等におきましても、
一貫性を持ち総合性を持ついう総合予算なるものが先般の予算案として現われ、これが
政府が強調した
ところであります。
ところが今日この
政府の
財政政策におきましても、中央におきまする
財政政策と
地方におきまする
財政措置、こうい
つたものが、
一貫性を欠いておる。殊に
日本が
自立経済、
復興経済を強力に推進させねばならんという、
国民総力の各層各階が一致してやらなければならんという
経済政策におきましても、ここに新しく
地方財政委員会の
制度を設け、又新しい今度の税法によりまして中央と
地方との
経済政策が、ややもいたしますれば分離し寸断されるやの気配があるのでります。併しながらこれは
地方財政確立という観点が強く強調されておりますから、その点につきましては或いは、新しい税法、新しいこういう措置から
一般の
国民は感ぜられない点があるかも知れませんが、あらゆる
経済企業体におきましても、
日本が将来食糧自給を図らなければならん。或いは貿易振興によ
つて外貨を獲得せねばならん、これらの要請に基く厖大な資金を獲得せねばならんという
ところの一点は、即ち
国民によりましての
徴税、
税金という以外は、現在は原資材がない
日本のこの貧弱な国土におきましては、これらの資金
運営はできない。
ところが中央におきましての国税は、これらのやや総括的な観点にあ
つたと雖も、これは末償還の債務を大幅に償還し、これらの資金を
政府が管理統制して、
政府の意図する
企業経済のみしか行かない。
ところが
地方税によりまして收奪されまする
税金というものは、その割合は
経済振興政策に、
地方予算を見ましても誠に微々たるものしかこれに支出されておらないという
点等から見まして、
地方によ
つて收奪されまする
税金というものは、
地方自治という観点には貢献されましても、
日本の今日の
復興自立経済の根幹に触れるものは非常に乏しいものであります。で、未償還のこうした厖大な債務を償還いたして、これらの資金が
地方税によ
つて食われるということ、例えば利子に厖大な附加価値がかかるということは、例えば今日
企業体に沢山な資材が投入されましても、一方では
企業体の六五%を占める人件費に
地方税法がこれに
課税し、又今日の利子というものは大体一〇%を占めておる。合計七五%のものを赤字だろうが何だろうがかけるということは、
地方財政確立の
方途から見ますればいいが、中央におきまする一貫的な
経済財政政策といたしましては相当な齟齬が来たすことは、
日本自立経済の上におきましても決してよい策だとは見られない。かような諸点から見ましても、中央、
地方との
財政経済政策に一慣性を欠いておる。
地方自治体の
確立の
方途に基く税法の
改革、或いは増收という
方面は、
地方自治の
立場から見ますれば了承できることでありますが、こうした観点におきましては相当問題があるのであります。又こうしたことによ
つて物価面におきましても、いわゆるコスト面におきましても、又吉川氏が御指摘のごとく生計費の上におきましても相当甚大なる影響を来たすに対しまして、
政府は何らこれらに対する対策、考究が拂われておらないという一
点等が極めで我々の遺憾とする
ところであります。以上が大体の第一点といたしましての
反対根拠であります。
第二点は、こうした
地方税法の目盛り、倍数、税率ができ上ることにつきましては、恐らく
日本政府から出された資料に問題があるということがあるのであります。今日、
委員会におきましての
審議の
状態を見ましても、
政府が
シャウプ使節団に提供された資料に誤謬がある、欠陷がある。例えば今まで四百億寄附金があ
つたから、この寄附金を
地方税法の増收に廻わすことは、
国民として出る懷では同じではないかということが、
地方税法増收の根幹とな
つておる一部乃至は主要部分でもあります。固より民間人が警察であるとかP・T・A等に寄附を出したという実績にありまするが、これは敗戰直後のいろいろの混乱に処して、或いは警察の建物、六・三制が十分費用が出ないということから、一時凌ぎのあの闇インフレのいわゆる時代に副うた一時的な寄附でありまして、恒久的な寄附がこの四百億もあ
つたということは私達は了承できない。
政府の説明によりますれば、
昭和二十二年度におきまして四十億の実績があるごとき御披瀝でありますけれども、これが二十四年度乃至五年度において四百億も公共団体に寄附があ
つたということにつきましての資料根拠は極めて薄弱であります。ここに又大きな問題が胚胎いたしておりますと共に、更に
固定資産のこれらの
課税客体のいわゆる倍率の推定上におきましても大きな齟齬があると思うのであります。これは土地家屋のいわゆる賃貸価格のこれを九百倍の倍数にすることの結果は、現在の時価に、或いは特定の
地域、東京でありますれば銀座であるとか、或いは新宿であるとかい
つたような土地におきまする場合においては適用する場合もありまするが、
日本のこの細長い島の現在の
状態を全国一本に九百倍とするということには
矛盾があるし、これらの倍数によりまして現われた土地家屋の評価は、概ね国税庁で現在物納された土地家屋を競売されておる実績を見ましても、倍近くの標準になりはしないかというのが全国平均の大体の
状態であります。こうした問題を提供し、更に
固定資産の評価におきましても、終戰直後、即ち二十年九月のあの終戰直後の安本の埃まみれのいわゆる国富調べなるものを
基礎として、いわゆる
課税総額を逆算したような見積り方、即ち二十年九月から二十四年の七月、インフレ最高期の物価を引き延ばしまして、そうしてこれを四十七倍と逆算したこれらの根拠につきましても、極あて不明瞭な、根拠のないことが明らかであるのでありまして、こうしたようないろいろ
シャウプ使節団に出された
政府の資料におきまして、極めて欠陷、誤謬があるということによ
つて、
日本の実状をそうまで詳しくない
シャウプ使節団が、
政府の出した資料を根拠としたことによ
つて、こういう倍数、こういう税率が現れて来た。又
地方税としてこういう方法で取
つてもいいという根拠の認定を與えたというようなことは、私は
政府におきましては相当の間違い、失策であ
つたということを強調したい。特にこうした問題におきましても、又こういう新しい税法によりましても、
税金が取られることによ
つて、いろいろ影響する
企業体の
負担率におきましても、各省まちまちの資料が現われておる。例えば通産省は通産省、安本は安本、自治庁は自治庁と、まちまちの資料が現われて、これの統一を図
つて貰いたいという
委員会の要求に対しましても、今まだ統一された資料がこの
委員会にもたらされておらないのであります。要するに、こうしたようないろいろの点のおきまして、極めで
シャウプ使節団に提供されたる資料及び
政府のこれの立案に参画されました客観情勢におきましての判断が誤ま
つておるのではないかという点が、即ちこの
法案に
反対する、或いは
修正を余儀なくする、
修正をどうしてもしなくちや
日本の
経済は破壞する、
企業は滅亡してしまうということを、
政府はもとより、與党はもとより、我々の
立場におきましても、全
国民の
立場におきましても言うておるのは、問題はここにある。資料の提供上に誤謬があ
つたということが、これが大いに原因する
ところでなくてはならないのであります。特に
附加価値税におきましても、これらの、或る
企業が国全体から受けまする恩惠、サービスと申しますが、これらの総体価値に附加価値をかけるという場合の理論は、我々も同調する
ところでございますが、これらの
課税客体なるもののこれらの推定、或いは浮び上らせという点におきましては、相当問題があるのでありまして、尚研究を要する点が少くない。殊に我々この沢山な二十四年度二十五年度の
税金におきまして取られたものが、
政府によ
つて未期限の債務を償還されたり、管理されたり、その資金によらなければ
日本の今日の
企業というものは成り立
つて行かない。これが銀行を通じ、或いは
政府投入を通じて拂う利子というものは、恐らく二千億三千億を突破するのではないか。これらの利子に対しまするこれらの附加価値というような問題は、まるで追いかけとんぼでありまして、実際これが
日本の
産業上に、どうしてこれらがこういう
課税客体として、いわゆる
企業利子に対しまして
課税をする根拠につきましては、極めて不信を抱かざるを得ないのであります。いずれにおきましても
課税客体が自治庁は例えば一兆五千億を推定し、安本は二兆億を推定しておる。元来、安本は二十五年度の
国民所得は二兆九千億と推定しておるのでありますが、この問題の是非は別問題にいたしまして、これには農林、水産の一部等の
国民所得等を控除いたしましても、安本の二兆億というものは、大体
経済界でも妥当だという批評をされておる点であります。若し安本の二兆億がこれらの
企業、
国民所得の実体であるという場合におきましては、これらの
課税率を四%といたしますれば、当初これが四百四十億取
つたらよいという
附加価値税におきまして、倍近く、或いは倍以上取れるのではないかという
ところに、各
経済界或いは各
方面の
反対のある根拠を、
政府は十分これは
国民の間違いだと、それらの議論をするのは間違えであるというようなかたくなな
見解を持
つておられることで終始されておるということは、我我の最も遺憾とする
ところでありまして、こうしたことによりまして、すべてのコストに及ぼす影響、物価に及ぼす影響……
政府は国際物価に鞘寄せしなければならない、そうしなければ貿易振興はできないと申しておりますが、こうしたことは国際物価にますます鞘寄せを不可能にする。前段申上げました
地方の
財政経済政策に関する
一貫性が欠けておるということは我々極めて遺憾とする
ところであります。
固定資産におきましても、今私が申上げましたるような工合で、その土地家屋の推定の上におきましても、償却資産の推定の上におきましても、今日
昭和二十年の九月と言えば軍需
産業に切替えた
日本の
企業というものの、そのままの残滓があるのであります。平和
産業には、その後におきましてみんな
企業体が切替えられたのであ
つて、二十年の九月と言えば軍需
産業の残滓のみである。これを
課税客体の
対象といたしておるという
固定資産の
基礎ということにつきましては、根本的にすでに誤りがあるのではないか。而もこうしたものの把握率を五二%と推定し、徴收率を八〇%と推定し、結局四割取
つたらよい、償却資産は、恐らく
国民に配付する、或いは各自治体に目標を付ける、四割取れたらよいという目標を付けるなどは、凡そ新しいこういう税法を制定する上におきましても、
政府はすでに自信のない証拠であります。
或いは四割納めたらよいということであるならば、正直者は馬鹿を見るというような、こういう根拠のまだ定まらぬ、かたまらぬ
固定資産税を、
固定資産税としてやるの
ところに、私達の又
反対の理由が多数あるのであります。
市町村民税におきましても、これは先程申しましたる
通り、
所得割合を一八%、次いで二〇%というようなことでありますれば、二重三重の
課税になるのみならば、二十四年度の
所得に一番多いと推定されておるのであります。一番多い年をこれから納税に当て嵌めようという基準を立てたということは、非常に
国民といたしましては不満であるわけであります。
その他、入場税におきましても、遊興飲食税の場合におきましても、これは先程申上げましたる
通り、多数の
矛盾があるし、現在の
日本の
国民生活の上におきましても、或いは
経済上の実体におきましても、非常な
矛盾があることが多いのでありまして、いずれにつきましても、
政府は国税で減税だと言
つておるから、
地方税の
増税は知れたものである。減税を九百億いたしておるから、
地方税で四百億余り
増税した
ところで大した問題ではない。むしろ
国民全体としては減税だと言
つておるのでありますが、これは二十四年度におきましても、二十四年度の
税金におきましては、御承知の
通り千九百億の
増税ですが、千九百億の
増税をしたということは、二十二年度のあのインフレの推定、インフレ闇
所得を推定したようなものを基準とした総合
国民所得の、特にこれは
日本の債務償還を多くして資本蓄積をしようという意図から、特に目盛りをして千九百億の
増税をした。
ところが、これがまた先月の末におきましても千億が滯納しておる。滯納しておるということは、すでにもうそれだけ
国民としての納税担税力がない証拠であります。
政府は二十五年度でこれを九百億減税いたしておると言
つております。千九百億
増税しておるものを九百億減税した
ところで、まだ二十四年度の千億分というものの
増税分は残
つておるのであります。でありまするから、
国民の担税力の実体から見ましてもまだ千億の滯納をしておる。これは未だ曾てあらざる事態であります。滯納をしておる上に、今度は又
地方税で四百億
増税しようというのでありますから、誠に現在の
日本の
経済事情というものの認識を誤まらしめておるという資料を出した
ところに、やはり依然として問題があると思うのであります。又これらの四百億の
地方増税をするために、
政府は一万二千の町村に二万人の人が殖えるだろうということを言
つておる。
ところが、これは各市町村の現在の意向を質して見ますれば、一人半ぐらいの人間を殖やして貰
つても、こうした複雑な大幅な
徴税をすることは困難で、少くとも四、五人増員をして貰わなければいかんということに大体の
意見であります。この外に各府県が
地方事務所のない
ところに新しく税務事務所を設ける等の人員を推定いたしますれば、恐らく今回の
地方税法のために、
地方吏員の総員は二万人の三倍即ち六万人ぐらい要るではないかということが專門家で推定されておるのであります。二万人で六十億の費用を計上されておる場合に、若しその三倍殖えるとするならば百八十億になる。かようなことになりまして、四百二十何億
増税しても、すでに、これらの人件費で莫大な費用を喰い込んでしまうということは、何を
意味するのか。
地方におきましては、いわゆる行政整理と言い、或いは人員整理を唱えておりながら、他方におきましてこうしたようなことは全く
矛盾撞着と言わなければならないのでありまして、或いはこうした赤字でも強力に取るために罰則規定を強化いたしておる問題等も我々の強い
反対とする
ところであります。罰則規定におきましては、例えば赤字でも取ろうという
附加価値税の例を見ましても、或いはこれらに対する滯納処分、不正
行為をしたら三年以下の懲役と五百万円の罰金を併科するとい
つたような新しい税法で、而も赤字でも取上げようという
ところに、いろいろ
国民として担税できない、質八置いてもできないというようなものに対して、こういう罰則強化を図
つており、或いは一年二百円にしかならないリヤカーや自転車税を取立てるために、これらの検査を拒んだ者は六ケ月の懲役、五千円の罰金をかけるというようなことは、凡そ恥かしいことでありまして、それ程、
日本国民が奴隷のごとく、非人のごとく取扱われるというような、こういうきつい罰則規定というものは、
国民の反撃を買うことは必至であるということを我々は憂慮するのであります。而してこうして
徴税されましたる
税金がそれでは
地方の議会でどういう工合に使われるかと言いますと、先程申上げました
財政経済上の中央の政策と一貫しておらないという点のもありまするが、例えば
地方議会におけるこれらの
財政予算の編成上につきましては、
中央政府におきましては強い示唆、或いはこれらに対する
差配権はないのであります。でありますから、
地方自治の良心と実態に即応して、それぞれの
地方議会に予算が計上されることであろうと思うのでありますが、例えば
昭和二十五年度の各
都道府県の
地方議会の予算を見ましても、国の大臣が一ケ年三十万か五十万しか交際費がないのに、
地方の知事が六百万円、八百万円という交際費を持ち、或いは食糧費と称して、或いは厖大な宴会費を含むものが或る府県においては八千万円、或る府県におきましては、二千万円、三十万円というような工合に、相当この独善化したとは申上げ難いのでありますが、それぞれ
地方事情には必要なものとは思いますけれども、取止げられた
税金がこうした
方途に若しや濫費されておるのではないかというような疑心暗鬼を起すような
地方議会の予算の編成上に対しまして、果して今回の
地方税の
増税はこういう
制度がぴ
つたり
国民に来るかどうかという問題につきましては、幾多検討すべき問題があるのであります。いろいろ申上げたいことは沢山ありますが、かような観点から見まして、今回の
地方税法を中心といたしましての
中央地方の
経済財政政策は、のとよりこれらに関連して、
政府が
シャウプ使節団に出されましたる助言、或いは経験或いは資料の提供上に対する問題に胚胎いたしておる。又これらの新らしい税法の取り方、倍数、倍率、税率等においての査定上におきまして、資料問題に原因する
ところ極めて
矛盾がある。或いは罰則規定、
地方議会の予算の歳出面におきまする問題等を検討いたしますれば、大いにこの
地方税の改正というものは検討せねばならぬ。又せめて、是非
地方自治の
財政の
確立ということを必要とする場合におきましての
方途に誤まりがないというならば、これらの
矛盾点を
修正して、これを
法律化するということが望ましいのでありますが、その
修正点が容れられないということは、我々の最も遺憾とする
ところでありますが故に、前段来申出げました諸点を特に強調いたしまして、私は
反対の論旨の根幹といたしたいのであります。