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政府委員(奧野誠亮君) お手許に差上げてあります
資料に出ておりますように、国富
調査の数字に物価倍数をかけましたもの、それから例えば鉄軌道でありますが、一キロ当り千二百万円弱という運輸者の現在の建設の時価をかけましたもの、或いは又自動車等になりますと現在のやはり購入価額というふうなものを
基礎にいたしまして、総額を一兆三千億というように彈いたわけであります。この一兆三千億という数字は具体的な点で申しますと、八幡の製鉄所の
償却資産でありましても、これに單純に物価倍数をかけております。併しながらこの中で動いていない熔鉱炉もあるわけでありますし、そういうものは国の経済界がどのような推移を辿るか、又その
企業自身がどういうような
評価ができるか、こういう問題は
簡單に外部から見まして、我が国の経済力から見てこの
程度の
評価ができるだろうというふうに
簡單には参ないと思います。やはり
資産再
評価は、
企業の任意に委ねましたように
企業で的確に
評価をして貰う。而もそれが
所得の計算において損金もあるわけでありますから必ずしも
簡單にはやれないのであります。従いましてどうしてもそういうような数字を掴まなければならないだろう、そういう
考え方をしておるのでありまして、
基礎といたしましてはここにありますように一兆三千億を以て
考えて行くより仕方がない、こういう見方をしております。併しながら
地方財政全体といたしましては、御承知のように
市町村民税におきまして、今年は昭和二十四年度の
所得税額を
課税標準に使いますと、言換えれば收正前の額を
標準にして
市町村民税を徴收するわけであります。来年度以降になりますと減税後の
所得税額を
課税標準にして使います
関係上、
市町村民税で明らかに来年度以降は百億円以上の減收を来すわけでございます。
所得税におきましてどうしても千九百億の
地方税收入が将来においても必要とするというふうに
考えますと、どこかでこれを補填しなければならないわけであります。それを我々は大体
償却資産が或る
程度増收が得られるだろう、その見込を大体一兆二千億から推算いたしまして現在九十数億円の
償却資産につきまして、百七八十億円の收入が得られなければならない、又得られるであろうというような予想を立てておるわけでありますけれども、併し現実に
資産再
評価が行われまして又経済界がどう推移をして行くかというようなことで、その見込については多少の狂いはあるかも知れませんけれども、現在の我々の計画では
償却資産において百七、八十億の收入があるだろうというような見込を立てまして、将来におきましても千九百億円の收入が得られるだろうというような
考え方をしているわけであります。そこで今年の九十何億ということにつきまして、これは大体そういたしますと六、七千億の
評価になるわけであります。併し
資産再
評価法によりまして現実に
企業が再
評価する額というものを大蔵省の見込では五千億余りだろうというような見込を立てております。併しこれから
個々の
企業が現実にどれだけ
評価するかを一々当
つたわけでもありませんし、又当
つて見ましたところで大体
企業自身の決心がつきかねておる問題だろうと思います。併し大観いたしましてそれくらいの推定だろうというような見方をいたしておるわけであります。併しながら
固定資産税の
課税標準といたしまして、その
企業が現実に
評価したものをそれをそのまま取らなければならないことはないだろうと思
つておるのであります。そこで現実には五千億余りしか
評価できないけれども、併し
固定資産税の收入としては少くとも今年中には六、七千億以上のものは收入になるだろう、以下のものは翌年に繰入れられ得る。届出の期限というのは十月三十一日でございます。その十月三十一日届出が済むわけでありますので、どうしてもそれからでなければ嚴密な
調査はできないわけです。であるから
調査いたしまして
企業にその金額を通知いたします。併しながら
企業の再
評価額をそのまま取れば問題はないわけでありますけれども、恐らくそれ以上の
課税標準に認定をしなければならぬものも沢山あると思うのであります。そういう場合に
企業の
意見もやはりできる限りよく聞かなければならないだろうと思うのでありまして、勝手な押しつけるような課税もできないわけであります。そうしますと、二十六年度に相当の
部分を占めるだろうというような見方をしておるのでありまして、従いまして、先ず
資産再
評価が現われる額というものを睨み合わして、百億円足らずのものを本年度内において收入済になるだろうというような見方をいたしておるわけであります。