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1950-04-05 第7回国会 参議院 地方行政委員会 第27号 公式Web版

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  1. 質屋営業法案(内閣送付) ○連合委員会開会の件 (会議録情報)

    昭和二十五年四月五日(水曜日)    午前十一時十七分開会   —————————————   委員の異動 四月三日委員林屋亀次郎君辞任につ き、その補欠として櫻内辰郎君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件質屋営業法案内閣送付) ○連合委員会開会の件   —————————————
  2. 委員長(岡本愛祐君)(岡本愛祐)

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会開会いたします。今日の議題は質屋営業法案予備審査でございます。先ず斎藤国家地方警察本部長官から御説明願います。
  3. 政府委員(斎藤昇君)(斎藤昇)

    政府委員斎藤昇君) 質屋営業法案を提出いたしました理由を御説明申上げます。  現行質屋取締法は明治二十八年に制定せられすでに五十年以上を経過しているのでありまして、憲法警察法初め各種法令改正せられました現在、その形式、内容共時代に副わない点が多いのであります。かかる点を改正いたさねばならないと共に、先に風俗営業取締法並びに古物営業法の制定及び改正が行われた今日、残された質屋業に対する法的整備は当然行われなければならないものと考えられるのであります。加うるに戦後各種犯罪が激増いたしまして、なかんずく盗犯による国民財産損害は誠に著しいものがあるのであります。而してそのぞう品古物商及び質屋業者、特にもぐり業者の手でさばかれることが多い実情に鑑みまして、現行質屋取締法の不備を是正し盗犯防止捜査検挙迅速化の実を挙げまして、国民財産損害最少限度に留めますことは誠に必要なことと存ずるのであります。故に改正法案におきましては、質屋営業公安委員会許可を受けさせることといたしまして、監督の厳正と統一を図ることといたしたのであります。半面新憲法精神に則りまして質屋許可には一定基準を定め、又行政処分の場合を具体的に限定しまして、更にあらかじめ公開の聴聞を行うべきことを定める等、その営業についての権利尊重に意を用いますと共に、その他利用者保護についても十分配慮いたしたのであります。又、盗犯防止の対策といたしまして、質物の取扱を公正明朗にし業者の協力を得てぞう品発見を容易にするために、相手方の確認方法を定め、帳簿の記載を的確にし、特に犯罪の温床となるもぐり業者に対する取締の徹底を期することとした外、各違反行為に対する刑罰を他の法令との均衡を得せしめるようにいたしたものであります。  以上の趣旨によりまして、現行質屋取締法を廃止いたしまして、新たに質屋営業法を制定いたしたいと思うのであります。何とぞ慎重御審議あらんことをお願いいたします。
  4. 委員長(岡本愛祐君)(岡本愛祐)

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。
  5. 西郷吉之助君(西郷吉之助)

    西郷吉之助君 皆さんにお諮り願つて、この法案について逐条説明をお聴きしたいと思いますが。
  6. 委員長(岡本愛祐君)(岡本愛祐)

    委員長岡本愛祐君) それでは皆さんにお諮りいたしますが、改正の要点をもう少し細かく聴いた方がいいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 委員長(岡本愛祐君)(岡本愛祐)

    委員長岡本愛祐君) それじや政府委員から一つ。
  8. 政府委員(武藤文雄君)(武藤文雄)

    政府委員武藤文雄君) 只今提案理由説明にございました通り現行質屋取締法が非常に古い法律でございますので、新らしい法制下において必ずしも適当でないものがある。そこで最近風俗営業なり或いは古物商について法制を整備いたしましたと同じ考え方に則りまして、法制の新時代に合うように改正いたしたのが本案の狙いでございます。目的といたしますところは現行法と全く同様に、非常に盗犯において古物商と並んで質屋というものが利用されている。でこれを規正いたしますことによつて国民盗犯予防又は盗品発見に資したいというのが、現行法と同様に本法においてもその狙いとなつております。  その第一条におきまして質屋定義をいたしております。この定義は現在行われております慣行通りのものをここに掲げまして、有価証券を含む物品を質に取つて、そうして流質期限までにその当該質物で担保される債権の弁済を受けないときには、その質物を以て弁済に当てる約束をし、そうして金銭を貸付ける営業をいう、ということにいたしました。従つてこれはこういうものを営業とするものを本法の対象にいたしております。  次に第二条におきまして、これは現行法において質屋営業をなさんとする者は行政庁許可を受けることになつておりまして、そうして昭和二十三年に総理庁令公安委員会の免許を受けるというふうになつておりました。それを今度はこの法律はつきりと「公安委員会許可を受けなければならない」と明示をいたしました。許可をするのは公安委員会であるというふうにいたしました。これは風俗営業或いは古物商の場合と同様の立て方をいたしたわけでございます。  次は第三条でありますが、ここに詳細に公安委員会許可をする場合を法律を以てはつきりとして、ここに掲げてある場合にのみ許可をしないということに、許可をしない欠格条件を列挙いたしまして、法律で明らかにいたす方針にしてございます。これは新らしい憲法精神に則りまして職業の選択の自由というのが根本の原則になつております。併し真に止むを得ない場合を法律で列挙してその場合には許可をしない。逆に申しますれば飽くまでも許可をするのが建前であるけれども、公共の福祉上好ましくないという決定の場合においては許可をしないことにいたしたわけでございます。ここに列挙してございます事項は大体古物商古物営業に掲げてある事項と同様な立て方といたしました。  次は第五条、第六条の関係でございます。ここにおきましては無許可営業を明文を以て禁止、いたしました。又名義貸でありますが、他人に自己の名義だけを貸して営業させることを禁止いたしました。第五条、第六条によつて、最も弊害の多いもぐり営業というものには厳重な態度を以て臨むという方針を明らかにいたしたわけでございます。  次に第七条の保管設備関係でございますが、特に質屋利用者の立場を考えまして、質物が焼けたり盗犯に会つたりすることをできるだけ予防するために、各地域の実情に応じまして公安委員会質物保管設備について一定基準を定めることにいたしました。そうして公安委員会一定基準を定めますれば、それに則つたところの保管設備を必ず持ち、盗難或いは火災予防、延いては利用者保護という点に注意をいたしたわけであります。この保管設備につきましては地方によつていろいろ事情あると思いますので、その基準については公安委員会においてその土地に最も適当な基準を定めるというふうにして、その間に彈力性を持たしたわけでございます。  次は第八条の許可証関係でございます。ここでは許可は三年ごと更新をするということにいたしました。これは最近の営業許可については皆こういつた方針でおりますので、古物商等についても同じ立て方をとりましたので、ここにおいても三年ごと許可証更新をすることにいたしました。  その次に重要な点は第十条でございます。手数料関係でありますが、許可証を交付いたします場合においては手数料を徴収する国家警察の場合においては国庫、自治体警察の場合においては市町村において手数料を取る、そうしてその限度をこの法律で定めたわけでございまして、これも営業許可についてはすべて手数料を取ることに最近は皆なつております。ここにおきましても古物商と同じような立て方手数料の制度を定めたわけでございます。  次に順序が逆になつて恐縮でございますが、第九条、第十条で許可証関係について、特に第十条におきまして許可の表示ということを法律で定めました。必ず営業所の見易いところに許可を受けたことを表示するということによつてもぐり業者を撲滅する、許可を受けた者を、はつきりこの表示によつて明らかにし、置くという建前を取つたわけであります。  次は第十三条の確認申告関係でございます。現行質屋取締法におきましても、質屋物品を質に取ろうとするときは質置主にその物品を質入れし得る権利を有するかどうかを確認させて、若しそれが不正品であるとの心証があつたときにはこれを申告するということをやつておりました。で今回はこの点を多少改めまして命令で定める方法、例えば米穀通帳を持つて来るとか、或いは身分証明書を持つて来るということをさせて、それによつて住所、氏名、職業、年齢そういつたものを確認するいうことにいたして、そうして万一その間に不正があるという場合においては盗難の捜査にも貸し得るようにした、これはやはり古物商規定におけると同様な立て方をいたしたわけであります。  それから第十二条におきまして営業制限質屋はその営業所又は質置主の住所若しくは居所以外の場所において物品を質に取つてはならないというふうにいたしまして、街頭その他どこにででも質を取るということは、やはりこれは盗品なんかを質に利用される危険があつて好ましくないという建前からかような制限を置きました。これは御承知の通り古物商法律におきましても制限をしまして、営業所においてしなければならないというような現定を置いておるのと同じ思想からできておるのであります。  十四条の帳簿、ついで十五条の帳簿、その関係は大体古物商営業法と同様の規定を置いております。  第十六条におきまして買受証いわゆる質札、或いは通帳、これを質置主に渡すということにいたしまして、様式等は命令で定めることにいたしたわけであります。  次は第十七条で質屋一定事項を必ず営業所の見易いところに掲示をしておかなければいけない。利率、利息計算方法流質期限、こういつた事項を必ず店頭の見易いところに掲示しなければならないということにいたしました。ここで重要なことはこの第二項におきまして、流質期限は三ヶ月とするという限度を決めたことであります。大体現在の実際の質屋営業の状況を見ますと三ヶ月というのが大部分のようであります。で余り無い期間にいたしますと質屋を利用する大衆の金融という点からいつてその性質上大衆に利益となる点が少い。大体現在普通行われている三ヶ月というのが適当であろうというので流質期限を三ケ月とここに定めたわけでございます。主としてこれは庶民金融であるという観点から現在の慣行を参酌いたしてかような定め方をいたしたわけでございます。次にそこの第三項には店頭に掲げてある掲示内容と違う、質置主不利益となるような約束をするということはいけない。そういう場合においては当然この掲示内容によつて契約されたものとみなすことといたしまして、質置主不利益の扱いを受けないように必ず掲示された条項によつて質契約が結ばれるようにして、これも庶民金融保護といつたような見地からかような制限を置いたわけでございます。  第十八条は質物の返還の点で、特に問題はないと思います。  第十九条の流質物の取得及び処分の点でございます。これは今回の法律におきまして現行法に流質物処分規定もございますが、ここにおいてはつきり流質物質権を取得するという点を明示いたしたわけでございます。  次は第二十条の質物滅失した場合の措置の点でございますが、質屋質物保管中に質物損害があつた場合においては、現行法においてどういう扱いをするかその方法について掲示すべきことを規定しておりました。ただその内容については何ら規定現行法ではないのでございます。そこで今回は現在の慣行慣習に従いましてここにおいては危険負担規定を特に明らかにいたしたわけであります。即ち災害その他の事由によつて質物滅失、或いはき損した、盗難にかかつたという場合は直ちに質物質置主にその旨を通知する。それからかような滅失、き損が災害、或いは質置主質屋両方ともいずれにも責任に帰することができない事由によつて消滅した場合の措置というものについての規定もここに置いたわけでありますが、ここで特に第二十条の第二項の規定の置ましたゆえんのものは、質屋に全然責任がないような火災とか或いは盗難にあつた、全然責任がないようなことで質物滅失、き損されたとそういう場合においては民法の原則から申しますれば質屋は当然その質物滅失、き損したことについて責任がない。併し一方において質置主はやはり借した金を返さなければならないということになる。かようなことになりましては非常に質置主に気の毒であります。現在の慣習でも大体においてそういう場合においては質屋は保険を付けておるようであります。慣習におきましては両方とも債権債務がなくなるというふうにしておるのが実情のようてあります。従つてその商慣習をこの法律に取り入れまして、かような災害その地質置主質屋両方にも全然責任のないような事由によつて質物滅失き損したというような場合におきましては両者の債権債務が消滅するという商慣習を、ここにこの法律に明記いたしたわけであります。第二十条の第三項におきましては今度は質屋がその責任に帰すべき事由によつて滅失き損した、或いは盗難にかかつたという場合があるのでありますが、予め契約でそういつた場合においては損害賠償請求をしないということを、質置主に契約されるということはよろしくないという思想から、予め損害賠償請求権を放棄させて置くことを契約するということはよろしくないということをここに明記いたしたわけでございます。  第二十一条の品触でございます。これは警察の方へ盗難の届出があつたというような場合において古物商、或いは質屋に品触を出し、そうしてぞう物があるのではないかということの照会をするわけであります。これは古物商と同様な趣旨によりまして質屋に対しても品触をする、そうしてぞう品発見に努める、質屋がこの規定によつてこの品触を保管しておいて、そうしてそれと思しきものがあつた場合においては警察に連絡をとるという、これは古物商の場合と同様の規定をここにおいたのであります。  第二十二条の盗品及び遺失物の回復の問題でありますが、質屋が受けた物品盗品又は遺失物であつた場合、これも古物商の場合と同様に一年間を限つて無償回復権を認めたわけであります。これは古物営業法におきましても、盗品又は遺失物であつた場合においては、一年間を限つてそのもの盗品遺失物被害者、或いは遺失物主無償償還を求める、古物商と同じような立て方をここにおいたのであります。  次は二十三条の差止、これもぞう物又は遺失物であると疑うに足りる相当な理由がある場合においては、警察においてはその質物に対して一定期間保管を命ずる、差止める、これも古物商規定と同様でございます。  二十四条の立入及び調査、これについても古物商規定と同様なものをここにおいてわけでございます。  次は第二十五条の許可取消又は停止の問題でございます。で、これは現行質屋取締法におきましては、いわばこの許可取消或いは停止というものに自由裁量によつてできておつたのでありますが、今回は飽くまでもこの質屋権利の擁護、権利尊重という趣旨から、この取消停止をする場合を法律で列挙いたしまして、こういう場合においてのみできる、自由裁量によつてはできないという建前はつきりいたしまして、権利尊重趣旨を明確にいたしたのであります。これも古物営業法におけると同様の趣旨で同様な規定をおいているわけであります。  尚第二十六条においては、かような処分をする場合には必ず聴聞を行う、そうして十分当該営業者の方から釈明又は証拠を出すという機全を与えて、十分弁解の機会を与えて、然る後に禁停処分を行う、これも現在の古物営業法と同様の精神でかるがるしく禁停処分をしないという態度を明らかにしたわけであります。  第二十七条の公安委員会の通知の関係でございますが、これはそれぞれの公安委員会はそれぞれの管轄区域を持つておるわけであります。従つて自分の管内の質屋についてのみの許可、或いは許可取消の権限を持つておるわけでありますが、質屋がよその公安委員会管轄区域内に営業所を持つておるというような場合がありますので、その間そういう場合には公安委員会相互間で通知をするというようなことにして、不正な業者が他宮内で堂々と営業をやつているということがないようにして行きたい、これも古物営業法におけると同様の規定であります。  第二十八条は質置主保護の点でありますが、これは質屋が廃業した、或いは許可取消を受けた、こういつた場合において直ぐそのときから営業をやめてしまいますと、前に質置いた質置主か不当に損害を受けるということになり、従つてこういつた場合はその後質置主が引続き金を払つて、そして質物を受けることができるというように規定を置きまして、その期間は、廃業して許可取消された場合に、直ちに店をやめてしまつて質置主が不当な損害を受けないようにしたいという趣旨で、第二十八条を掲げたわけであります。  第二十九条は訴の提起でございますが、公安委員会等から行政処分を受けたという場合においても、行政事件訴訟特例法によつて違法の処分に対して訴を提起することができるわけでありますが、特にここにその点を念のために訴の提起ができるのであるということを明らかにしたわけであります。  第三十条以下は罰則でございます。これは他の営業に関する法令を参照いたしまして、それと歩調を合せて罰則を整理いたしたのでございます。  大体以上が主な点の御説明を申上げたわけでございます。要は飽くまでも一方において職業の自由という点、権利尊重という点から営業許可或いは取消という場合に飽くまでも慎重を期して、十分質屋保護を図る、又一方においては質置主保護の点、それから盗犯予防といつたような点からの国民に対する保護といつた点を勘案いたしまして、古物営業法に見られる思想と同様な立て方にこの法律を整理したわけでございます。
  9. 委員長(岡本愛祐君)(岡本愛祐)

    委員長岡本愛祐君) 速記を止めて下さい。    午前十一時四十七分速記中止    ——————————    午後零時二十四分速記開始
  10. 委員長(岡本愛祐君)(岡本愛祐)

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて……それでは予防接種法等による国庫負担特例等に関する法律案について、厚生委員会と連合して審査することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 委員長(岡本愛祐君)(岡本愛祐)

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないと認めます。では本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会  出席者は左の通り    委員長     岡本 愛祐君    委員            三木 治朗君            黒川 武雄君            堀  末治君            谷口弥三郎君            岩木 哲夫君            西郷吉之助君            島村 軍次君            鈴木 直人君   政府委員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    国家地方警察本    部部長    (刑事部長)  武藤 文雄君    国家地方警察本    部刑事部    (防犯課長)  間狩 信義君