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政府委員(
奧野誠亮君) 今お話のように林檎税は青森県財政に非常に大きな部分を占めております。一箱に対して十五円という課
税率でありますけれども、昨年の実績を見てみますと、一億八千万円に上
つておるようであります。法定外独立税につきましては、昨年
地方税審議会におきましても数回に亘
つて論議をいたしまして、漸く一応の結論としては、
昭和二十四年度限りこれを認めるということで、若干の点に変更を加えただけで、それがそのまま行われることが了承されたわけであります。ところが青森県としては、二十三年度においても継続して行きたいということで、先頃その御報告が出て参
つたわけであります。そこでいろいろ議論があ
つたわけなんでありますけれども、
一つは林檎というものは青森県における独占的な生産物である。従
つて青森県はこれに
課税しても決して県民の負担によらないで、專ら消費地の、言換えれば、県外の住民の負担によ
つて多額の収入を挙げることにな
つている。そういうことは
地方税の本質から見て、住民の負担と直接の係わりのないものによ
つて、多くの収入を挙げて行くということは自然税収入の使途について疎略になる心配がありはしないかというようなことが、一応相当な疑問にな
つたわけであります。そこで仮にこの法定外独立税を設け得るものだとしても、その使途が問題になる。使い方が問題になるということにな
つたわけでありますが、昨年青森県の林檎引取税を一応暫定的に承認するに当りまして、青森県では林檎振興会社というものを作りまして、林檎の
価格というものは専ら消費地において、自由に上げもするし、下げもする。これが青森県の林檎生産業者に対しまして非常な悪影響を與えておる。非常な損失を及ばしておる、従いまして林檎振興会社がむしろ委託販売をしてや
つて、そうして安定した
価格の下に、林檎生産業者の経験というものを保護するようにして行かなければならん。こういう
考え方を持
つたわけであります。ところが
地方税制審議会では、むしろそういう行為を県がやることは独占禁止法の精神に反するものではないか。そういうものは止めるべきである。若しそういう振興会社を
作つて、それに林檎引取税の収入を充てるというようなことになれば、この法定外独立税をやるというわけには行かない。こういう話をいたしたときに、青森県ではそういう意思ならば林檎振興会社は作らない。こういうことを向うの総務部長が
地方税制審議会の席上で約束したわけであります。ところが、林檎振興会社を
作つてしま
つたわけであります。資本金を一億二千万円とし、県が五千万円の出資をしておるわけであります。更に
昭和二十五年度においても増資をいたしたい。それに対してやはり数千万円の金が県としては要るのだ。従
つて林檎引取税の
昭和二十五年度の収入の相当部分も又これに充てるのだ。こういう
考え方を表明して参
つたのであります。ところが、これが
地方税制審議会としては約束に反する。そういう使い方を続ける以上は、林檎引取税を法定外独立税として運営させることは不穏当だという結論を持
つたわけであります。併しながら、切替に当
つて県の行政上の措置の問題もありましようし、いろいろ政治的な問題もこれに
関連して起きて参
つておりますので、
地方税制審議会の下しました結論は、差当り
昭和二十四年産の林檎の引取に限
つて承認する。併し青森県考えてお
つた一箱十五円という課率を十円に引下げる。又
市町村においてこれに
附加税を課してはならないという
規定を
條例で設けなさい。更に又直接であると間接であるとを問わず林檎引取税の収入を林檎振興会社又はこれに類するものに投じてはならない。こういうような大変厳しい條件をつけたわけであります。而してそれ以降は林檎引取税は設けてはならない。こういう結論を下したわけなんでありますが、それが今
委員長のお話になりましたような問題を、向うで捲き起しておるわけでありますけれども、私の先程聞いた話では、大体そういう紛争も納ま
つたようだ。尤も将来に持越されることになると思うのでありますが、差当りはそういう紛争も納ま
つておるというふうに聞いております。