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参考人(佐々木雄助君) 北海道の
消防課長でありますが、私の経歴をまず明かにして置きたいと思います。私は多年農事奨励と治山奨励の仕事に従事しておりまして、昨年の九月の二十四日に
消防課長を拝命いたした次第でございます。全くその他のことは分りません。私が道の
消防課長を拝命いたしまして先ず非常に驚いたことは、火災が非常に多くて、その損害も莫大であるということです。戦後領土を失いました
日本においては、北海道の開発がなくては
日本の再建はできないということはしばしば叫ばれておることを耳にしておるのであります。昨年度北海道の火災の損害は、火災の件数におきまして千三百二十八件、その損害は三十八億三千万円とな
つております。従来の統計を見まするならば、職後特に
消防組織機構が新らしい
制度になりましてから、火災が一層多くな
つております。これは何を
意味するものでしようか。非常に
消防が弱体化しつつあるということを物語
つております。それで私は北海道の開発が
日本の再建に寄與するということが本当だとするならば、先ず北海道の火災の損害を少なくすることでなければ、北海道の開発も
日本の再建もできない。かように確信いたしまして、この火災の問題につきましては熱情を沸かして当
つておるのであります。ところが最前いろいろと
お話がございましたが、
消防りことにつきましては、ひとり
市町村の責任にのみ委すということは適当でないと思うのです。これはどうも
市町村も一体になりまして、共同の責任において郷土の火災を撲滅しなければならん、かように
考えております。そのためにこれは国に対しても言い得るわけでありますが、道に対しても、何らかの手段
方法によ
つて市町村を援助して頂きたい。かように
考えておりましても、現在の
組織法上から誠にそれができないのであります。最近こういうような実例が出ております。北海道
消防表彰規則というものを最近作りまして、これは
消防吏員、或いは
消防団員が非常に
消防に対して盡力され、功績があつた場合、或いは火災現場におきまして傷害を蒙むる、或いは殉職したというような場合においては、道はこれを表彰し、負傷者に対しては見舞金を出す、或いは殉職等をされた者に対しては弔慰金を出すというのが
内容でございます。これがたまたま法規審査に当つた
委員の
方々は、これは行き過ぎである、当然
市町村の責任において処理されるべき問題について道
知事が自己の負担するような規則は、誠に現在の
消防組織法の下におきましては行き過ぎであると、こういうことで反対されたのであります。併し私は最前申上げました通り、この
消防責任については、法規に示されようが、示されまいが、
市町村は道と一体の責任においてやるべきであり、又火の中、水の中に身を挺して働く者のために当然国はこれを表彰すべきである。これによ
つて、士気を高揚し、火災を少なくするのだ。ひいては道のためであるということでその案は通つたのでありますがこういう場合におきましては、現在の
組織法というものが、つまり
知事の
権限が全然ないということに起因するのであります。殊に北海道におきましては、極く最近までいわゆる殖民地的な行政が行われておりまして、いわゆる二級
市町村制というものが布かれておりまして、
地方の
長官の任命したところの
市町村長が、
市町村行政に携わるというような状態にありました
関係上、今
組織法によ
つて完全なる
自治を與えると言われましても、なかなか
市町村はその通り動いて来ないのであります。こういう場合に当
つてなんらかの援助をしてやらなければならない。これは常々こういうことを申上げておるけれども、現在の
組織法というものは、成る程完全な
自治に徹した理想的な法規であるが、これは生れ放しの子供に一人で歩けるかと言うことであ
つて、生れたばかりの赤児が到底一人で立ち、一人で歩くことはできないのであります。その間お父さんとなり、お母さんとな
つてこの子供の行く先を見守
つてやる必要がある。お互い手を差延べて一人で立てるような状態にしてやる必要がある。これは
都道府県知事がやらなければならん、こういうことを常々申上げているのでありますが、そういう
意味におきまして、
都道府県知事に或る
程度の
権限……と言
つては或いは語弊があるかも知れませんが、そういう手を差延べてやるところの機会を與えて欲しい、かように
考えるのであります。
それから
財政の問題につきましては、最前皆様からいろいろ
お話がありましたが、運輸、通信、その他各種の営造物はすべてこれ
市町村の中に存在するのであります。最前も
お話がありましたように、完全なる
自治として
市町村にこれを
運営させるということであれば、国は当然これに対して、
市町村の
消防費に対して、その費用の一部分を負担するのが当然だろうと思いますが、現在何ら
財政的な
措置をいたしておりません。そういう
意味からいたしましても、或る
程度の資金、或いは、起債等におきましても相当これを見てやる必要があろう、かように存じております。
誠に取り止めないことを申上げましたが、私共の感じておることを二、三申上げまして、北海道の
意見といたします。