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1950-02-09 第7回国会 参議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月九日(木曜日)    午後一時三十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方行政改革に関する調査の件  (地方税法案に関する件及び地方行  政に関する件)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。本日は公報に載せるべきところを載せないものから始めたいと思います。それは地方税法法案も、いよいよ近日中に当委員会に提出される見込みでありますが、最近の成案によりますと、全文が七百條にも上る厖大な法案となる模様であります。今度の地方税法案の中にはいろいろ新らしい形式の税金があり、又従来からありました税種につきまして、その賦課の料金が勧告に基きまして基本的に変更を見るようなものもあります。当委員会といたしましては、地方財政の確保という点からも大切でありますが、更に民生乃至産業の育成、或いは財政経済の再建というような見地からいたしましても、非常に種々大問題があります。この地方税法案の審議につきまして一段と今までも力を入れて来、今後も入れなければならないと考えるわけであります。本日はこれまでに諸種の団体その他からこの地方税法案につきましていろいろの陳情、請願が当委員会宛に提出されております。その中で主な産業経済の実際を担当する方々から御希望なり、御意見なりを伺つて置きたい、こういう委員各位の御希望によりまして、関係各位の御出席をお願いいたした次第であります。今日おいで願つたの日本経済団体連合会東京商工会議所公益事業税金対策協議会新聞協会電気協会私鉄経営者協会等であります。これらの団体を選びました理由は、産業経済界における全体的な団体ということが一つ理由であり、公益事業の性質を有する団体であるというのでおいでを頂いた次第であります。尚以上の団体方々外物価庁資源庁電力局、運輸省の民営鉄道部等からも誰かに来て頂いている筈であります。それでは順次おいでを頂いた方々から発言を願いたいと思いますが、別に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡本愛祐

  4. 内山徳治

    参考人内山徳治君) それでは地方税、特に附加価値税固定資産税につきまして、企業側から見ました負担状況、又それが消費者転嫁されます場合の物価問題等につきまして概略を申上げまして、次にこの地方税につきましての民間側から要望しております要点を申上げることにいたしたいと存じます。  企業側から見ました租税負担が、今度の税制改革でどんなふうに変るかということでございますが、これは地方税だけで切離して見ては非常にはつきりいたしませんので、国税と合せまして結局企業負担いたします税の全体から見てどうなるかということを概略見当でございますが、私の方で調べておりますところを簡単に申上げて見たいと思います。ちよつと調べました範囲が余り広くないのでありますが、こういうふうな見方をいたしまして、非常に税が重くなります業種としましては、鉄道軌道業、それから電気業というものがまあ一番強いようでございます。ちよつとこの二つにつきまして計数を上げて見ますと、鉄道軌道におきましては、十の会社の統計の上から見まして、現行税法による税負担額国税地方税を合せました総額が一億四千五百万円ぐらいでございますが、これが今度の改正案によりまして大体その最高税負担をしなければならないという場合に、凡そどれぐらいの税になるかと申上げますと、十億四千万円、これは再評価税を除きまして十億四千万円ぐらいになるのであります。その外に明年度二十五年度に納めなければならない再評価税が、約十八億円ぐらい予想される。一一十五年度におきましては再評価税を除いた租税総額よりもむしろ再評価税、再評価価格に対する三%の方が税が多くなるというようなことになつております。従つてその再評価税とその他の国税地方税を全部合せますと二十八億六千万円というふうなことになりまして、現行税法による税負担の約二十倍近い非常な激増になる。これは再評価のやり方にもよりますから、実際においてここまでの再評価は恐らくできないことになると思いますけれども、一応シヤゥプ案に與えられておる最高基準で再評価いたしますと、そういようなことになるのであります。それから電気事業の方はこれは総合的な調査もできておりますが、ここに私が持つておりますのは、日本発送電関取配電の例でありますが、発送電におきましては、現在の租税負担総額が約五億八千六百万円でございますが、これが改正案によりますと、再評価税を別にして四十四億八千万円、その外に初年度の再評価負担額が六十一億円、ここでも又再評価税の方がその他の租税総額よりも大きくなるというような関係になつております。この場合もやはり再評価程度が低められれば別問題でありますが、一応許されておる最高評価をいたしますと、そういうようなことになりまして、再評価税とその他の税と全部合せますと、約十八倍、現在の納税額の十八倍というような非常な激増になる関係が出て来ます。仮に再評価税を除いて見ましても鉄道軌道の場合は約七倍、日本発送電の場合は七・七倍とい急激な膨脹を来すことになります。関東配電の場合が再評価税がそれ程大きくなりませんで、税額だけでは約二倍半くらいに殖えるようでありますが、一応最高のところを取りましてそんな数字になるようであります。それからその次におきましては倉庫業も二倍以上に殖える。それから通運会社が再評価税を別にしまして十五倍くらいに殖えるようであります。それから再評価税を入れますと、これもやはり二十倍を越す。これらはやや異例でございますけれども、非常に重なるところが出て来るということを最初にお考え下さいまして、その中で特に重きを占めておりますのが、再評価税を別にいたしますと地方税になるわけでございますので、最初にその計数を申上げる次第でございます。  これは特に顯著な例でございますが、大体全般としては凡そどんなふうに見られるかと申しますと、国税法人税或いはそれに関連する企業負担する税、国税だけで見ますと、相当減税になることは明らかでございます。殊に利益の多かつたところは、超過所得税がなくなります。それから再評価をいたしますと、収益があつて減価償却を殖やすことのできる会社であれば、その殖やしただけの減価償却資本金に見るという関係から法人税が減るのであります。国税においては明らかに減税になりますが、問題になりますのは再評価の問題、それから地方税の問題でございます。再評価の方は各種の税負担と、それから再評価の結果減価償却増大させる余力かどれくらいあるか。主としてこの二つの問題をよく睨み合せました上で、実際にどの程度の再評価ができるかということを決めなければならないのでございまして、最近の状況では、最高基準の大体半分程度の再評価がまあできれば、それは普通のところという程度ではないかというように考えられますが、再評価の方は本日の主題から外れますから簡單にいたしまして、地方税の中では再評価と関連して特に重くなりますのが固定資産税でございまして、これは先程申上げました鉄道軌道とか、或いは電力とか、或いは倉庫とか、運送会社もそうでありますが、固定資産税が非常に膨脹いたします。固定資産税は特にそうした固定資産割合が非常に多い業種において多くなるという関係になります。その外尚後で繰返して申上げたいと思いますが、全般としましては固定資産税は、どうも実情に比べて非常に重過ぎるという感じが強くいたすのでありまして、この点は是非私共といたしましてもできるだけの資料を整えまして、その問題の起らないように考えておる次第であります。  それから地方税のうちでもう一つ重要な附加価値税でございますが、これは固定資産税と、相当負担関係に及ぼす影響が違いまして、殊に従来の事業税と比べますると、農業とか或いは林産業等が全然無税になる。その外水産業とか、畜産業とかというものも相当軽くなるということで、大体農村関係においては、この附加価値観相当する税は非常に軽くなるということが言い得るわけであります。それからその他の商工業におきましても、中小、殊に小さい企業に対する税負担相当軽減する関係にございます。これは、従来の事業税收益基準とした課税でございましたが、その従来の商工業收益と申します中に、自家労力人件費相当する部分が、事実上相当に入り込んでおつたというような関係がございまして、今度は附加価値税になりすと、大企業中小企業も全部おしなべて、人件費に全部それが課税標準として入つて来るということになりまするから、税率事業税の場合は一八%でありましたが、今度は四%見当ということになりますので、中小、なかんずく小企業においては相当税負担が軽くなる関係にございます。ところが総額の上では、大体御承知のように、従来の事業税と今度行われる附加価値税とを比べますと、ほぼ同額の收入を予定いたすことになつておりまするので、この農業方面の小企業における負担の軽くなりました分が、大体全部大企業方負担の過重となつて表われて来る、こういう関係でございます。これは税の課け方が違いますから、個個の企業について、従来の事業税負担と今度の附加価値税負担とを、そのまま比較して倍数をとることは相当誤解を起す危險があると思いますが、そうでなく、公平に考えましても、これは大企業においては大体附加価値税関係は数倍に増加する、固定資産の多いものが固定資産税が非常に上るということと、それから附加価値税が只今申しますような関係で、大企業において非常に重くなる、この二つ事情からいたしまして、大体中規模以上の企業の全体としての税負担は、国税と併せまして、現存税法に比べまして五割乃至十割程度の増加、一倍半から二倍ぐらいは平均して殖える、電力とか鉄道とかというような特別の場合においては、再評価程度相当低めましても、もつと遥かにその倍率が高くなるという大体の関係にあるように思われるのであります。この数字そのものはそれほど大きくはないのでありますけれども、税額が一倍半から二倍に、特殊の場合にはもつと、十倍、二十倍というようなことになるということは相当に重大な問題でありまして、全体としては負担が重くならない、或いは軽減するのだと申しましても、個々の企業をとつて見ますと、そういう工合で非常に多くなつて、そうして耐えがたいという場合が相当出て来る懸念がございますので、その点は相当詳しく調べて、直すところを直して頂く必要が是非あると存じております。大体税負担関係はこの程度になります。  次に、このようにして大体増加いたします租税負担を、どういうところで負担することに結局なるだろうかという問題でございますが、これにつきましては、只今申しますようにその重くなります税を全部企業負担するということになりますと、到底負担しきれないところが非常に多くなると考えられます。殊に今度は、ただ、租税の税としての負担が殖えるばかりでなしに、再評価税というような特別の税もあり、その上に再評価をいたしますと、どうしても原価償却を殖やさなければ意味がないわけであります。資産再転価目的は大体二つございまして、一つインフレーシヨンによつて單なる名目的利益増大が非常にある。この名目的に殖えた利益に対して課税をするということか非常に不合理であるからそれをなくする、つまり税の上から見てインレーレヨンによる名目的課税を排除するということが一つ目的でありますが、もう一つインフレーシヨンによつて資産の再取得価格というものが非常に高まつてしまう。これに対して減価償却を元の低い評価基準にして行なつておりますのでは、いよいよその設備が朽ちて取換えを要するということになりました場合に、新らしい設備に置き換えようとしますと、今まで行なつて来た減価償却では、それの何十分の一しか当らないということになつて、ここにいわゆる実体資産の喰い込みをして行くことになる、これは産業の全体の上から見て非常に重大な問題でありますので、そういうことにならないように、資産の取り換えに不足を来さない程度減価償却ができるようにしてやる必要がある。それには固定資産評価をやり換えることが一番すべての関係が明瞭になる。こういうことになるわけであります。従いまして再評価をしたが減価償却はできないということでは、これは再評価することの意味が全くなくなつてしまうわけであります。租税の面の利益は別の意味でありますけれども、資本の喰込みを防ぐということから見るとその意味がなくなるわけであります。従いまして資産の再評価をする以上は、減価償却をそれに応じて殖やすということが伴わなければ意味がないわけであります。そうすると企業の立場から見ますと、その減価償却を殖やすだけの利益がなくては再評価をできないと申しますか、再評価をする以上はそれだけの利益を上げなければ困る、こういう関係になつて来るわけであります。その点は丁度租税負担が殖えましたならば、その負担をし得るだけの利益がなくては困る、現在それを負担するだけの利益がある場合は、その利益の中から負担して行けばいいのでありまするから問題はないのでありますが、それに十分の利益がない場合は、何とかしてどこからかその利益を出して来るような工夫をしなければならん、こういうことになつて来るわけであります。それで現在の利益で、先程から申しますような非常な租税負担増大と、それから減価償却を殖やさなくてはならんという、この要請とに応じ得る企業が果してどれだけあるかということを実際について見ますると、それは実に少いのであります。大部分企業は現在の利益で応ずるという考え方であるならば、再評価課税などは殆んどできないというのが実情でございます。併しながらそうであるというて、資産評価をしないで行くということは、これは将来の数年或いは十数年のことを考えます場合に、非常に又憂うべきことになるわけでありますから、この際何とか思い切つて評価をしなくてはならない。再評価をする以上はそれに応ずるだけの減価償却負担して行くことのできるように、会社経理内容を改めて行かなければならん、こういう関係になつて参ります。その場合はそれではどこからそういう利益を出して来るかと申しますと、一つ企業合理化ということでありまして、いろいろ経費の節約も考えなくてはならんのでありましようし、技術的な改善その他の点から生産原価をできるだけ低くして、そうしてそこから出て来る利益を以て税も負担し、又減価償却も行うこれが一つの途であります。併しこれだけではやはり実際問題としてなかなかやつて行けないことになりますので、その次の方法としてどうしてもこれを或る程度まは消費者負担に転稼して行くということが行われなければやつて行けないということになるわけであります。再評価をしても減価償却は十分できないような現在の実情にあるということは、或る意味では関係の商品の販売価格が低く過ぎるからだということが言い得るわけでありますから、差当りとしましては物価政策その他の関係からそう急には改められない関係がございましても、将来の問題としましてはだんだんそれを改めて行つて、そうして物価の適正な減価償却を行うことができる程度に上げて行くということは、これはもう当然考えなくちやならないわけでありまして、そういう方向に進んで行かなくてはならんということはもう当然なわけであります。又再評価関係のみならず地方税の、二大地方税でありますところの附加価値税にしましても、或いは固定資産税にしましても、大体の考え方会社收益に応じて取るという考え方でなしに收益があつてもなくても、それだけの経済活動をしておる以上は、それだけその地方行政の世話になつておるのであり、又その地方負担をかけておるのであるからその活動程度に応じた税を負担しなければならんということから来ておるわけでございまするので、その負担というものは、企業利益だけで負担せよという意味ではないわけでありまするし、又実際上できないわけでありますから、ここにどうしてもそれを価格転嫁して行くということが行わざるを得ない。これを逆に申しますと、その租税或いは減価償却転嫁がどの程度できるであろうかという見通しに応じて、再評価程度もどの程度できるかということを決めて行かなくてはならん、こういうような現在の関係にございまして、大体私共大雑把に調べておりますところでは、再評価下のために起きて来た負担価格転嫁するとしますと、少くも価格の五%から一割程度の引上げをしなくてはやれない。それは相当合理化、その他の事情も織込んで考えまして、その程度転嫁をしないと、まあまあという程度の再評価ができないというふうに考えられるのであります。勿論事業によつても違いますから、一概には申せませんけれども、税の負担状況等からこの固定寮産税ならば固定資産廻転率でありますとか、附加価値税ならば、それの売上高に対する割合ということから考えて見まして、その程度価格を上げないと企業経理が成立たないという関係が一方にございます。全体の物価政策といたしましては、今度の税制改革の中には物価を引下げることのできるような点も相当ございまして、例えば消費税が可なり広く殆んど全面的に撤廃され、或いは取引高税が撤廃されておる。又鉄道について申しますれば通行税が廃止されたというような点がございまして、全体を通じた物価水準がどうなるかという意味から申しますと、必ずしも非常なインフレーシヨン方向へ行かなければならんという結論にはならないと思いますが、併し大体大規模企業を以て成立つております基礎産業について見ますと、只今申上げましたような関係が出て参ります。それから税負担関係から見まして、やはりこれも少くも五%程度のものを消費者転嫁することができないと相当困る企業が出て来るだろうという状況にございます。そういうわけでありまするので、この価格政策の上から見ましても今度の税制改革について相当研究を要する点があると思うのであります。  大体一般論といたしまして以上のような点を申上げまして、次に少し細論に入つて見たいと思いますが、再評価の方は先観から大分申上げておりまするので略しまして、固定資産税でございますが、この固定費産税について、今進んでおります原案の上から見て一番問題になりますことは評価の問題であります。御承知のように土地家屋現行賃貸価格を千倍したものを課税標準といたしまして、それに一・七五%の税率を課ける、こういうことになつております。ところが土地につきましても亦家屋につきましても、実際の時価というものを段々調べて見ますると、成る程千倍、或いは現行賃貸価格基準にしまして千倍、或いは二千倍というような事例もなくはないのでありますが、大体といたしましてはそれより遙かに低いのであります。丁度昨日日本租税研究協会で調べておりました東京都内土地価格調査纏つたのでありますが、この調査日本勧業銀行評価専門家にお頼みいたしまして、東京都内の各区から大体標本的と見られます場所を、二百数十ケ所選びまして、そうしてそれに対する現行賃貸価格幾らになつておるか、土地は昨年の十月から改正になりましたが、その現行の新賃貸価格、旧賃貸価格もついでに調べましたが、調査いたしまして、そうして一つずつの土地について現在の時価を判定したらば幾らになるかということを、長年の経験を持つております専門家にお頼みいたしまして評価を書き込んで頂きまして、そうして現行賃貸価格に対する倍率を何倍になるかということを出して見たのであります。二百数十ヶ所を選択いたしましたが、そのうちいろいろの関係で由に数字を書き込むことのできないものがございまして、結局最後に残づて、できましたのは、百七十六ヶ所の土地をとりました。その百七十六ヶ所のうち繁華街の表通りに面しております、いわゆる表地が百十二ヶ所、それから裏地に当りますところが六十四ヶ所であります。その平均を先に申上げて見ますと表地相当するところ百十二ヶ所の平均では、現行賃貸価格の一千四十四倍という倍率になつております。従いましてこの点だけから見ますると、賃貸価格の千倍を以て課税標準とすることは極めて妥当だというふうに一応見えますところがこれは表地割合時価の高いところでございまして、裏地になりまするとこの倍率は六百八倍でございます。六十四ケ所の平均で六百八倍でございます。その平均はそういうことでございますが、併し尚内容を見ますと、非常に高いところと低いところといろいろございまして、低いところは百十三倍というような例もございます。高いところは二千数百倍というところもありますが、とにかく平均六百倍といたしましても、それより遥かに低いところも相当沢川あるのだということを考えまして、税の負担関係を見ないと非常な間違いを来たす危険があると思うのであります。尚これは東京都内調査でございますが、東京都内といたしましては、比較的この賃貸価格に対する時価割合が高くなつておる方でございまして、全国的に見ますともつとその倍率は遙かに低いところが多いのであります。全国的な調査といたしましては、非常に確実な資料として一般に申上げることのできるものを私共持つておらないのでありますが、併し国税庁の調査その他をいろいろ頂きまして、一応の調査を持つておりますが、これによりますと東京都はこれはいわゆる東京だけでなしに、広い意味東京都内、立川市その他の市を入れた平均でございますが、東京都内は大体八百七十倍ぐらいの倍率になつておりますが、これがその他の地方都市に参りますと、まあ神奈川県で六百六十倍ぐらい、千葉県が五百六十倍というような工合になりまして、全国的に見ますると、六百倍見当のところが一番多いようであります。低いところはもつと低いところもございまして、全国的に見まして府県の全体の平均が、千倍になるというような都市は全くないのでありまして、一番高いものが一千倍になるというだけでもう平均的に見ますと、どうしても千倍いうものは非常に高過ぎる、六百倍或いは五百倍ぐらいのところを取るのでなくては著しく負担が重くなるところが出て来るという結論になるようであります。仮に現行賃貸価格の二百倍の時価のある土地を取つて考えますと、賃貸価格を千倍したものに一・七五%の税を課けるということは、本当の時価に対しては八・七五%の税を取られたと同じことになるわけであります。賃貸価格の二百倍の時価土地であれば、八%七五の税を課けられたと同じことになるのでありますから、そういうようなところになりますと、もう殆んど純收益というものは、全部固定資産税だけで取られてしまうというような関係が起きて来ると思うのでありまして、この税はまあ賃貸価格倍率を機械的に使いますのは二十五年度だけでありまして、二十六年度以後はそれを訂正いたしますから、只今申上げます程の不合理は起らないと思いますけれども、併し一ヶ年だけでもそういう非常な不合理が起るということはこれは只では済まないことではないかと思うのであります。  それから次に家屋の方はどんなふうになつておるか、これも勧業銀行のやはり調査専門家にお願いいたしまして、東京都内で、これは件数が少うございますけれども、百五、六十件の調査をいたしてみました、やはり現在の賃貸価格に対する倍率を取つてみたのでありますが、大体の傾向だけでございますが、一般住宅におきましてはこの調査では千百二十六倍という数字が出ておりますそれからアパートは十件ぐらいを選んで調査しておりますが、一千七十六倍であります。従いましてこの住宅関係におきましては一千倍という倍率はそう不公平でないということが考えられます。それから病院の建物は二つしか実例が取つてございませんけれども、これが平均しまして千二百七十二倍、住宅よりもむしろこの倍率は高くなつております。ところが事務所になりますと、事務所の平均はこれが七つ程選んで調査いたしておりますが、その平均が七百四十三倍で住宅に比べてずつと低くなります。それから工場ではこれも四つしか選んでございませんが、この四つの平均では四百十六倍それから倉庫はこれは三つ、三件だけの平均でございますが、これが三百七十五倍、こういうことになりまして、一般住宅はまあこれも住宅によりけりでありますけれども、時価というものがそう低くないということが分りますが、工場、倉庫或いは事務所等になりますと、やはり千倍ということは非常に無理だということが分るのであります。尚この関係を少し別の面から資産評価の方法によつて出した場合にどうなるかと申しますと、再評価最高基準従つて事業用の建物を評価いたしますと……。
  5. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 内山さんに申上げますが、外の方の発言もございますから成るべく要点をお願いいたしたいと思います。大体二十分という見当にいたしておりますから、大分過ぎましたから…。
  6. 内山徳治

    参考人内山徳治君) あと簡単に端折りまして、再評価最高基準で行きまして、現行賃貸価格の概ね五百倍見当のところが多いようであります。従いまして家屋につきましても無理の起らないような課税標準を取るということになりますと、五百倍或いは六百倍くらいのところが大体平均的な位置に当るわけでありまして、千倍というようなことは何としても高過ぎるということが考えられるのであります。税率の問題でございますけれども、固定資産税といたしましては、こうした評価の点が余程問題になると思うのでありますが、このままで行くと非常に無理が起ると存じます。  それから次に附加価値税でございますが、附加価価税につきましては、これは御承知の通り問題が非常に多いのでございますが、現在政府側で進めております原案は、総收入から、売上收入から買入価格の支出を差引いて、いわゆる差引計算の方法によるごとになつておるようでございますが、これにつきましては私共といたしましては、どうしてもその方法は妥当と考えられないのでありまして、やはりこの附加価値税課税標準の計算方法といたしましては人件費それから收益利益、それから利子の支拂額というようなものを直接に取りまして、それを合計したものを課税標準にするという行き方が、あらゆる点から見て利益が多いと思うのであります。この点については只今までのところどう研究いたしましても、そうとしか考えられないのでありますが、併し仮に現在進んでおります政府案を基礎にして考えますと、どういうことが起るかということを見て見ますと、ここに非常に不合理なことが起る危險がございます。それを二三申上げて見たいと思いますが、第一は附加価値税を実施いたします前に取得して持つていた固定資産減価償却をどうするかという問題でございまして、これが差引計算の普通の考え方に従いますと、それは考慮に入つてないことになつておりますが、これを全然考慮しないということは非常に不合理なことになりますので、これはどうしてもその減価償却を差引いたものを課税標準とすることに改めて頂きたいというふうに考えております。  それから次に今度は減価償却でなしに、実施前に取得いたしました固定費産を売却した場合であります。これは土地も入つておるのでございますが、現在の方法では将来土地、或いはその他の固定資産を取得いたしましたときにそれを全部課税標準から控除いたしますから、それを売却いたしました場合には、その売却收入を売上收入と同じように加算いたしまして、それを課税標準にしなくてはならないことになつております。ところが実施前に持つておりますそういう土地なり、固定資産なしを売りましたその收入はどうなるか、これは何年後に取られるか分らないことでありますから、これは差引かないということは、これ亦非常に不合理なことが起りますので、これも是非差引くことにして頂かないと非常に不合理なことが起ると思うのであります。  尚もう一つの点は棚卸資産であります。これは棚卸資産と申しましても、実施前に持つておりましたものを販売いたしました場合には、それをそのまま販売收入と見て、そうして一方差引く方は全然ないということになりますと、これも非常に不合理なことになりますので、この点も是非考えて頂きたいと思つておるのでありますそこでそういうように只今のような不合理を除こうといたしますと、差引計算の方式というものが、実は甚だ簡単でない、非常な複雑な方式になつてしまいまして、その点から見ても、差引計算の方法はよくないと思つておりますが、どうしても差引計算の方法によるならば面倒でもそれをやつて頂かないと困ることが起る。こういうように思つておりますので、この点を是非一つ国会といたしましても、十分御審議願いたいということをお願い申上げる次第であります。大体実情は以上の通りでありますが、最後に一言ちよつともう一つだけ付け加えさして頂きたいと思います。実は国鉄専売公社等の政府事業に対する課税の問題をどう見るかという問題でございます。これは非常にむずかしい問題でございまするが、先程から申上げますように、固定資産税にしても、附加価値税にしても基本産業にとつては甚だ過重になる税が相当あるということを考えるのでありまするが、只今のところ政府事業には課税しない建前になつておりまするけれども、もう一度この点を考え直して頂きたいということをお願いいたす次第でございます。大変長くなつて失礼いたしました。
  7. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今の日本経済団体連合会事務局次長の内山君の御意見に対しまして御質疑ございませんか。  それでは次に東京商工会議所調査部長の高瀬千波君お願いいたします。
  8. 高瀬千波

    参考人(高瀬千波君) 私東京商工会議所の高瀬でございます。大体地方税改正につきましての東京商工会議所の意見を中心としてこれから述べたいと思います。若干私の個人の意見もございまするからさよう御承知置きを願います。  第一に地方税改正問題でありますが、この全体の体系としては非常に整備されたといことは言うまでもないところであります。学問的に見てこれは非常にすつきりした形になりましたけれども、今の日本の状態から見ますと、只今内山さんから御説明もありましたように、非常に企業にとりまして租税負担の激変を生ずる。そういうような事情もありますし、それから今の地方税務機構の力を以てして、果してこれだけの大きな変革をこの四月から直ぐ処理するようにできるかということも非常に問題であります。殊に今の日本の経済界は安定に向いつつありますけれども、尚非常な困難がある。こういう際に一挙にこういう大きな変革をするということは、甚だ考えものではないか。あの税制自身を将来実現すぢということは、これはよろしいかも知れませんが、今直ぐこれを実現しよとすることは却つて弊害が起きはしないか、そういうことが考えられるのであります。従いましてあの税制改正の全体を見まして、やはり現実に即しましてあの中の内容を或る程度緩和する、或いは或る部分は実施を延期するとか、そういう方法を是非とらなけれほならん。そういうふうに考える次第であります。勿論政府としてはこのシヤウプ勧告をこの国会に法案として出すことは義務付けられておりますから、これは当然でありますが、やはり国会においては相当十分にこれにつきましては審議をいたされることが必要である。総括的にはそういうふうに考え次第であります。  それからこの地方税改正におきまして、附加価値税固定資産税と住民税、この三つが支柱になる税でありますが、一番問題になりますところは附加価値税、それから固定資産税であると思います。それで附加価値税につきましての一応の、企業に及ぼす影響その他を述べまして、尚これにつきましての意見を申上げたいと思うわけであります。この附加価値税につきましては、理論としては一応国民経済的に見まして価値の附加された部分課税すというのでありますからして、納得さるものでありますけれども、現実にその附加価値を実現するというのは、企業において実現する附加価値課税というのは、結局企業に対して課税するのでありますから、企業がこれに対してどういう影響を受けるかということを考えなければならないのであります。そうしますと、非常いろいろな問題が生じて来るわけであります。第一には、これが業種によりまして非常に負担激増する、そういうわけであります。大体今の事業税は、東京におきましては附加税を合せて純益に対する一八%の課税になつております。これが附加価値税の場合には一応六%ということになつております。或いは四%になるかも知れないのでありますけれども、大体一八%と六%ということにしますと、どういうことになるかと申しますと、大体売上げに対するところの純益率というものが五%であると仮定いたしまして、附加価値がその三倍の一五%、総売上げに対するところの附加価値の率が一五%、つまり今の五%の三倍とすれば税額が等しい。これは算術的にそういう計算になるわけであります。若し附加価値税率が四%であるとすれば、四・五倍の二二・五%の附加価値率であれば税額が等しい。そういう計算になるわけであります。ところが実際の売上げに対する純益率というものはどの程度であるかと申しますと、勿論余り正確な最近の数字はないようでありますけれども、大蔵省の調べによりますと、昭和二十三年十二月末現在におきまして、売上げに対する純益率の最も高いのは防織工業でありまして七・〇八%、ぞれからあとはずつと下りましてガス二業の二・九五%、そういうような状態になつておるわけであります。それでありますからして、売上げに対する、純益率というものは、非常に低いという現状でありますが、それに対して附加価値の率というのはどの程度になるかと申しますと、これも業種全体についての平均価値というものは分りませんけれども、若干の企業の実際について見ますと、例えば倉庫業で四八%、それから生命保險会社で八五%、損害保險会社で四二%、銀行において四二%、信託銀行において五六%、不動産会社において八五%、化学工業会社において三九%、電力会社において二四%、建設工業会社において七〇%、鉄道会社において四二%、運送会社において七三%、建物会社において五二%、これはいずれも一つ企業の場合でありますから、前にも申上げましたように平均値がどうなるか分りません仕れども、やはり一般を察することができると思います。そうしますと今申しましたような企業においては、附加価値税というものは非常に増加する、何倍にも増加するということになるのでありまして、それは内山さんが若干の例を申された通りであります。そういうふうに企業によりまして負担が非常に違う。これは結局人件費支出の多い企業負担が殖えるわけでありますけれども、こういうことは非常に不公正な結果を来すことになるわけであります。勿論転嫁が完全に行われるということでありますれば、これに対して或る程度企業としての措置ができますけれども、それはなかなか簡單にはできないわけであります。取引高税の場合においては大体転嫁を予想する、転嫁が予想されておりまして、法律上もそうなつておりますし、公定価格の場合にもそれを採入れるように決められてありますけれども、この附加価値税の場合にはそういうことははつきりしておらない。大体取引高税のように売上げに対する一%というように簡單に転嫁ができる状況にもなつておりませんのです。それから今後当分の経済情勢を見ますと、どうしても買手の方が強い情勢でありますからして、企業価格を引上げて、それを消費者の方に転嫁するということはなかなか困難であろうと思います。さればと言つて、労務費の節減ということもやはり実行し難い。合理化についても限度がある。そうすればそういう特定の業種につきましての負担が、非常に激増するということは、その企業負担が帰着することでありますからして、やはり相当の不公正を結果するということになるわけだと思うわけであります。それが附加価値税だけでありませんで、今度の税制改正においては、固定資産税、それから再評価差額税と、いずれもこれは收益に対して直接收益に相応しないところの課税、それでありますからして、そういう税が併課され、重ねて課税される結果、或る種の企業に対しては致命的の打撃を與える慮れがあるわけであります。これも前に例が出ましたような電力、ガスとか倉庫鉄道、そういううな業種において、特に著しいと思うのでありますけれども、なかんずく赤字の企業については非常に負担が重くなるわけであります。これは或る電気関係会社の例でありますけれどもこの会社の例を見ますと、事業税は勿論赤字でありますから、納めておらない。それから固定資産税は五倍七分に殖え、住民税は一応なくなるという計算で、その事業税固定資産税、住民税三者を合せまして負担は七倍になるわけであります。更に再評価差額税を加えますと二十一倍になります。これはたまたまそういう事例がありますので申上げましたので、これが最も著しい事例と申すわけではありませんけれども、赤字の企業にとつては特に負担が重いわけであります。ところが赤字企業といいましても、必ずしもその企業自身の責任によるわけではなくして、今の経済情勢の下におきましては、統制の問題だとか、その他企業自身を以て左右すべからざるところの原因によつて業績が不振になつておるものがあるわけでありますから、こういうものに対しまして、そういう非常な衝撃を與えるということもよろしくないことであると考えるわけであります。特に経済界が安定しておりまして、そういう租税激増につきましても、或る程度の弾力性を持つておる時代と違いまして、御承知の通り現在におきましては、企業の基礎が非常に弱いのでありまして、そういう租税上の激変に対しましては、非常に脆弱であるわけでありますそれはひとり企業が困るというばかりでありませんで、それが産業経済界全般に対しまして、相当の悪影響を及ぼすことになるわけでありますそれから附加価値税は大体におきまして人件費を節約せしめるという効果は勿論ある、労務節約的の効果は勿論ありまして、それが先ず合理化を促進するという作用をいたすわけでありますけれども、やはりそれにつきましても今のような状態でありまして、貸金その他の関係からいつて労務節約ということが、機械化というよな面でなかなか実存し難いとすると、やはり雇用の縮減を来たすというようなことになる虞れがありますけれども、こういうこともこれからの失業問題が喧しくなる際においては考慮しなければならないだろう、そういうふうに考えるわけであります。  それから尚附税価値税の課税対象の算定というものが極めて困難である、売上総額からして或る費目を控除するという、そういう算定方法でありますと非常に複雑であります。それにつきましての企業の方の影響としては非常に経理事務、その他が煩雑になる、能率が低下する、そういうことも勿論言われますが、又半面、地方の税務機構におきましても、これを今直ぐに十分に処理して行くというだけの受入体制が果してあるかどうかということは疑問であるように考えるわけであります。そういういろいろな事情を考えますと、この附加価値税というものを今直ぐに四月から実行するということは、非常に問題であると考えられるのであります。御承知のように、附加価値税についてはまだ学問的な定まつた説はありません。それから実行上にも先例がない。それを今の日本の状態において、直ぐに実行するということは甚だ危險であると思うので、私共としましては少くとも一ケ年間はこの実施を延期して情勢を見て、然る上にこの実現を考慮する、そういうことが望ましいのであると考えます。今申しましたことは、お手許に配付いたしましたところの意見書に文章として認めてございます。  それで私の希望としては、法案が仮に通りましても、或いは施行期日を延期して貰うとか、そういうことでもよろしいわけでありますが、どうしても止むを得ず実施されるという場合におきましては、やはり或る程度の緩和規定を設けて欲しい。例えば一部は純益によつて課税し、一部は附加価値によつて課税する、そういうことを経過的にやりまして、一遍に負担激増するということを緩和するというようなことを考えたらどうか。或いは人件比率の多い業種につきましては、税率を変える、税率の差等を設ける、そういうことがやはり必要ではないかと考えます。それから附加価値の算定につきましては、いわゆる控除主義によらないで、加算主義と申しますか、附加価値を構成する要素を加算してこれを定める、そういうふうにして計算上簡單にできるようにして欲しい、そういうようなことを要望したいと考えております次第であります。これにつきましての会議所としての要望事項も以前に提出してございますからしてよろしく御覧を願いたいと思います。  次に固定資産税でございますけれども、不動産は大体時価の如何に拘わらず收益力というものは非常に低い。それで不動産金融の緊要なことが叫ばれておりましてもその收益力に乏しい、そういうような点からして十分にそれが実行ができない、そういうような状態でありますので、これに対して大体三倍半の増徴をするということは実状からしましてなかなかむずかしいのではないか。勿論地代家賃の統制の方はそれに応じて改正されることは当然でありますけれども、それにいたしましても実際の收益力がどの程度殖えるかということが非常に疑問に考える次第であります。それでありますからして、これも経済の安定しておる時代と同様に考えまして不動産に対してこういうふうに重課するというふことは適当ではないと思うのでありますけれども、とにかくこれを実行するということになりますれば、先程内山さんも言われましたが、賃貸価格の千倍というのはどうしても高うございますからして、少くも八百倍ぐらいにして欲しい、或いは税率を一七五%、更に低めまして或いは一%程度にして欲しい。とにかくそういうようなことによりまして実際上の負担激増することを何とか緩和して欲しいと考えております。  それからこれは後程関係の方から御説明が勿論あると思いますけれども、固定資産の非常に多い業種資産の回転率の少ない業種によりましては一律にこの固定資産税を課されますことは非常に負担が重くなりますからして、結局固定資産税の税源はやはり收益に結局は帰着するわけでありますから、收益力を考えまして相当税率上の差等を設けるということが必要であると思います。  それから未稼働資産とか接收資産等につきましてはこれは利用が制限されており、收益力も又おのずから制限されておりますからしてそういうものについての負担については特別の考慮をして貰いたい。  それから軌道税とか、電柱税、自動車税、自転車税等の特別の税と固定資産税との重複を避けるために何らかの方法を講じて貰いたい。そういうようなことは固定資産税については要望したい事項であります。併し全体から申しますとやはり負担激増することを何とか緩和して欲しいということに帰着するわけであります。併しこれは附加価値税の場合にも関連する問題でありますけれども、地方財政全体の問題になるわけでありますが、これは国と地方との職業分野の構成とか根本的の問題にまで発展するわけでありますが、果して地方団体にこれだけの財源を増加させましても、それを十分に処理することができるかという問題、一時にこれだけの財源を増加させましても、果して有効にこれを処理することができるかどうかということも考えて見なくてはならない。これにつきましても勿論大いに異論があるところだと思いますけれども、そういうことまで考えてできるだけ負担の激変を避ける、特にこの一年におきましてはそういう措置が講ぜられることを非常に希望する次第であります。  甚だまとまりません意見でありましたが、以上を以て終ります。
  9. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 有難うございました。只今の商工会議所高瀬君の御意見に対しまて御質疑がございましたらお願いいたします。  ございませんようですから、それでは次に私鉄経営者協会会長村上義一君。
  10. 村上義一

    参考人(村上義一君) 本日は有難うございました。本多国務大臣も御出席下さいまして誠に有難うございます。全国の私鉄が現在負担しておりまする地方税額は二億円余であるのであります。今日は特にお断りして置きますが、専ら地方税についてお聴き願いたいと思うのであります。二億円余あるのでありますが、近く政府が提出されんとする案を人に伺いますれば、国税は若干減少いたしますが、地方税は二十六億余になるのでありまして、丁度十三倍に増加するのであります。全く企業運営上致命的な重税であると思うのであります。この二十六億、十三倍という数字につきましては、正確な数字でありまして、監督官庁の方に御照合あれば明白だと思うのであります。只今御手許に重ねて差出しました税制改革の私鉄事業に及ぼす影響と題しておりまする印刷物、この要望書を昨年十月に参衆両院議員諸公に提出しまして窮境を訴えた次第でありまするが、本日再び実状をお聴き取り願う機会を與えられましたから、私は全国の私鉄百六十社余を代表しまして、私鉄の実状なり、又その特性なりを率直に申述べまして、そうしてこの際国鉄と同じく私鉄に対しましては一切の公課公租を免除されることは当然であると信ずるゆえんをお聴き取り願いたいと思うのであります。併し若し不可能でどうしてもそれはできないというのでありますれば、少くとも二十三年度の税額の三倍程度に止めて頂きたい。そういうように格段なる御配慮を衷心から懇請する次第であります。  私鉄の現状についてでありますが、元来私鉄は交通機関としての機能は国鉄と全く同一でありまして、国鉄と共に経済、産業、文化の動脈をなす典型的な公益事業であることは多言を要しない次第であります。従いまして国家の監督が頗る峻嚴でありまして、又世論の批判も熾烈であるということ、そういう立場に置かれておるということは申上げるまでもないのであります。私鉄の業態は旅客の輸送が主でありまして、貨物輸送は一部分に過ぎないのであります。  收入からこれを見ますると、貨物收入は総收入二百六十億円のうちで大体三十億円見当でありまして、一割余りに過ぎないのであり、そして一面地方鉄道及び軌道の輸送しておりまする旅客人員は、年間最近四十三億人でありまして、国鉄の旅客輸送は三十億人前後であります。大体国鉄よりも私鉄の方が約四割多いのであります。規模が比較的大きい十三の会社だけの輸送人員を見ましても、大体国鉄の全輸送人員の八割になんなんとしておる数字であります。この数字だけをお考え下さいましても、如何に国民の近距離交通上、又通勤通学上、更に住宅政策上、又経済、産業上に重大な使命を課せられておるということを御了解願えると思うのであります。私鉄の総收入は只今百六十億円見当であると申上げましたが、その旅客收入は二百三十億円のうちで、普通の旅客の收入は百八十億円でありまして、定期收入が五十億円であります。大体旅客総收入の二割二分見当に当つております。そうしてその人員はどうかと申しますと、普通旅客が四五%であります。定期旅客が五五%であります。定期の五五%に対して僅かに五十億円の運輸收入しかないのであります。若し四五%の普通客に対して百八十億という、この率で申しますれば五五%は二百十五億余りになると思うのであります。結局実收入五十億と比較しますと百六十五億円という運輸收入は、一種の公課として社会に奉仕しておると申して敢えて過言でないと思います。この点について、深甚なる御考察を煩わしたいと思うのであります。私鉄の旅客收入総額のうちで、定期收入が二割余りであると申上げましたが、国鉄の方は旅客総收入に対して大体一割一分に当つております定期の收入は、これは何を意味するかといえば、非常に割引率の多い定期旅客、言い換えますれば輸送コストの半分にも満たないこの運賃で運ぶお客さんの率が、割合に私鉄に多いということを物語つておるのでありまして、定期の制度は私鉄の財政上において非常に痛い制度であるのであります。勿論これは社会政策上、又物価政策上緊要な制度であることは申上げるまでもないのでありますが、とにかくそういう犠牲を拂つておる、貢献しておるということを御記憶願いたいと思うのであります。  こういう私鉄の経営上重大な犠牲を拂つておりますに拘わらず、国家から受けておる恩典というものは、甚だ少いと言わざるを得ないのでありまして、今日地租の免除を受けておることが唯一の恩典であると申して差支ないと思うのであります。而も今回の改正では、地租の免除を取消されるやに伺つておるのであります。約十年前までは地方鉄道補助法、軌道の補助法というものもありましたが、今日は何らそういう経済的の恩典はないのであります。  一面、趣旨は勿論違いますが、国鉄は経戰後におきましても、御承知の通り五ケ年間に六百億余の金額が、一般財政から鉄道特別会計に交付されておるとは御承知の通りであります。二十年度におきまして十一億五千万、二十一年度は四十二億、二十二年度は二百十四億一千万円、二十三年度に三百二億八千万円、本年度は予算で三十億が計上せられておるが、決算はまだ分りません。とにかくこれだけの数字を加えましても六百億四千万円余になつておるということであります。  尚、建設に当つて公用徴收の特権が與えられておるのじやないかという議論もESS方面でも伺つたのであります。併し経済的におきましては、公用徴收のためには、却つて一般取引よりも高い代価を拂うというのが普通でありまして、今日の客観情勢は、過去においてありしような安い価格でこういう徴收ができるということは不可能である点に御注意をお願いしたいのであります。  義務の方面は随分多いのでありまして、こういう特殊な公共的事業であるという、国民生活上、極めて緊密な関連性を持つ特殊業務であるという点におきまして、勿論必要なことでありまするが、先ず以て敷設のときから工事施行につきましても、すべて認可を要することになつております。運賃料金の制定について、変更についても勿論であります。又公益上若し運輸大臣が必要であると認められたならば、その命令には絶対に服従を強要されておるのでありますから、事業の休止、廃業、或いは合併とか委託管理というようなことにつきましても勿論のことであります。事業を解散するというにつきましては、総会の決議は認可があつて初めて効力を発生する、更に若し国家がその鉄道を必要とするなら、国家の一方的意思によつて買收に応ずるという受任の義務も課せられておることは、事業の性質上もとより当然だとは言えますが、とにかくそういう特殊の義務を負うておるということを御記憶願いたいのであります。私は国鉄と比較しまして、その所有者が違つておるということ以外には何ら異なるものがないということを申上げたいのでありまして、一面におきまして、御承知の通りその創業に当りまして、厖大な設備をせんければならんことは申上げるまでもありません。この設備が戰災によりまして非常な打撃を受けた会社があります。特に戰時中からこちらへ非常に酷使に酷使を重ねまして、その設備の現状は甚だ憂慮すべきものが少くないのであります。一般に終戰後営々としてその復興に努力をし、合理化に努力をして参りました。併し現在になりましてはもう増資もでき得るだけ増資をし盡しまして、又融資もできる限りやりまして、社債につきましても殆んど限度に達しておる、そうして必要な復興資金を獲得して参つたのでありますが、今日は客観情勢と相俟ちまして、又本質的に増資等も不可能と言つてもいいような情勢に相成つた次第であります。そういうことで今日まで復興に努力をし、合理化に努力をして参りました。そのために今日では大体全国的に見まして、輸送力は戰前の水準に漸く復旧したと申して差支ないと思うのであります。併し設備が甚だ脆弱である、酷使の状況が未だ回復されていないというために、御承知の通じスピードは戰前に比較して非常にのろいのであります。保安上止むを得ない次第でありまするが、設備の保守不完全ということを意味しておる次第であります。元来創業に当りまして、厖大な設備をいたしまして、この設備を多数の従業員が運用して、そうしてサービスを提供するという事業であることは御承知の通りであります。従つて労務管理の上につきましても、経営者は今日まで惨憺たる苦心を嘗めて来たのであります。賃上げの要求は、各四半期ごとに繰返されておることは御承知の通りであります。昨年七月以降の基準賃金値上げの問題その他に絡みまして、昨年末も関西二十六社のゼネストがあり、又本年正月にも再びゼネストが繰返されたということも御記憶に新たなるところだと思うのであります。更に関東その他の各地においても絶え間なく労務管理上のトラブルがある次第であります。勿論基準賃金は一面において上昇して今日に至りました。併し従事員数は相当数減少いたしておるのであります。能率化のために又合理化のために苦心を重ねて参つておるのであります。こういう次第でありまして、今日の全国の一般の私鉄の財政状態は非常に困窮という形容をして差支ない状態に置かれてあるのであります。大多数の私鉄は最善の努力に拘わらず毎期欠損状態を続けておるということが事実であります。これは今支出の面におきましては人件費と保守の物件費と、これが大宗をなしておるのでありますが、人件費は十一年基準年次に比較しますると、全国平均百七十五倍に相成つております。物価は二百二三十倍、御承知の通りであります。而も收入源である旅客運賃は六十六倍になつておるに過ぎないのでありまして、支出と收入とは極端なアンバランスになつておるのであります。従いまして組織の縮小又人員の減少、一般の節約その他の合理化に努力して参りましたが、到底投資家を首肯せしめるような成績を挙げ得るということはできない実情に追い込まれておるのであります。今回の税制改正超過所得税が廃止せられることになつておりまするが、この超過所得税の廃止による利益を受け得る会社は絶無であると言うて差支ないのであります。そういう状態に置かれておるのであります。財政上幾多のやり繰りをし、設備の保守は而も不完全である。嚴正に批判しますれば資本を食い潰しつつ決算をしておるという実情にあるのでありまして、増資融資の力もすでに今日は消耗しておると言うても差支ない現状であるのであります。甚だしい会社は、もはや営業を継続することができない。昨年中にも営業の廃止をしましたものが二三あります。北海道で最大の鉄道であります北海道拓殖鉄道のごときその一つでありますが、現に運輸大臣宛に営業の廃止を申請しておる会社もあるのであります。これは草軽鉄道、昔津軽井澤間の六十キロ余りだと記憶いたしますが、この鉄道設備はぼろぼろになつて来て危險を感ずるし、一旦事故を起したならば非常な責任だ、ひとり責任のみならず、財政的に何とも措置が講じようがないじやないかということから、総会の決議を経て現に廃止の認可申請をしつつあるような次第であります。併しながら沿線の町村からは運賃を十分適当に上げて呉れて差支ないから、是非営業廃止申請を却下して呉れという申請が別途に出ております。又所属の労働組合からは同様な請願を衆参両院に提出しておることも御承知の通りであります。こういう情勢下におきまして、本年の一月一日から御承知の電気料金の大巾の値上げが断行せられた次第であります。勿論この措置に対しまして、政府に、又ESSに対しましてもあらゆる努力をして参つたのでありますが、結局第四四半期平均三・二倍、つまり過去の電気料金に比較しまして二十二倍の増加を今甘受しておるという実情であります。政府なり、ESSの電気料金の値上げの看板は三・二倍ということでありますが、私鉄は二十二倍の電気料金の増額に耐えなければならんという羽目になつたのでありまして、適正な経営は到底至難でありまするから、目下私鉄の財政救済策につきまして、政府に対して真劍に御相談をいたしておる次第であります。  こういう実情の下におきまして、近くシヤウプ勧告が実施されんとしております現在、六大都市附近の電鉄の運賃べースは国鉄よりも若干、一割或いは一割五分安いのであります。運賃ベースは国鉄に比して低率になつております。特に輸送人員の五割五分を占める、前刻申上げました通りこの定期旅客の運賃は輸送原価の半分以下のものでありまして、即ち百六十五億の割引をして社会に奉仕しておる。こういう私鉄に対しまして十三倍の地方税を更に課せられるということは、如何にも不合理である。ただこの緊要なる事業が壊滅する、壊滅しないまでも非常に貧弱な経営を続けなければならない、国民生活上に又産業文化に貢献することのできない、貢献するような力を持つことのできないような状態に置いて置くということは、国家として非常に考えなければならないことだと思うのであります。保線費からも人件費からも捻出して税を納める余地が全くない窮迫した財政状態にある次第であります。一言にして申せば、今日の経営がすでに極めて貧弱困窮な状態に置かれておるのであります。担税力をこの上多く持つということは全然余地がないのであります。国鉄の運賃が旅客運賃を値上げされない限りは、運賃にこの税を転嫁する私鉄の負うべき税を転嫁するということは絶対不可能なのでありまして、国鉄の旅客運賃という鉄壁で押えられておる、自然に押えられておるというのが私鉄の現状であります。その私鉄に対しまして更に十三倍の地方税を課して致命的な打撃を與えんとする全く悪制度であると確信するのであります。  シヤゥプ税制の改革の基本方針が、負担の公平、資本の蓄積、企業の育成というような点が最も主要なる点であることは、勧告書にも明記されておるのでありまするが、私鉄の本質がたとえそういう特異性を持たないただ普通の自由企業であるとしましても、今第一の負担の公平という点から見れば非常な不公平だということを思うのであります。資本の蓄積とか企業の育成とかいうことに対しましては、正反対に逆行する結果を来すことは御了解下さると信ずるのであります。又シヤウプ・ミツシヨンの勧告は、国税において六百億減税する、地方税において四百億増加するということも明記されており、又それが狙いであるやに見受けられるのでありますが、地方税が四百億増加する、要するに原稿の税額に対しまして約三割の増加であると思うのであります。これに対しまして十三倍になる、いわゆる百二十割増になるということはどうしても首肯できないのであります。若しシヤウプ・ミツシヨンに当時政府から適当なデーターが提出せられ、ミッシヨンが私鉄の在り方について、又実情について理解せられておりましたならば、必ずや私鉄については特殊な措置を勧告せられたことと信ずるのであります。国鉄に比較しまして国家の恩典に浴することが甚だ浅い、又経済的に見て社会に貢献する程度が一層多いという私鉄に対しまして、当初切望しましたごとく、国鉄と同じく一切の公租公課を免除して貰うのが適当ではないかと信ずる次第であります。併し若し免税の措置がどうしても不可能であるとするならば、少くとも廃止せられんとする通行税額を地方税減価償却との増加額に充当するという根本方針を確立して頂きたいのであります。即ち増税額は多くも現行地方税の三倍乃至三倍半という程度に止めて頂きたいと心願する次第であります。三倍乃至三倍半に止めるというためには、大体当つて見ますると、附加価値税につきましては税率を一・二%にするか、或いは課税対象を運輸收入の二〇%にするという特例を設けて頂くか、いずれかを採用して頂きたいと思います。  固定資産税につきましては、地租は勿論、現行の通り免税にして頂きまして、軌道税は現行の通り一メートル当り十円ということを堅持して頂きたい。電柱税につきましては、これ又、現行通り、木柱については五十円、鉄柱については百円、鉄塔が二百円という税率を是非維持して頂きたい。更に車輛税を一輛について五千円程度税額に止めて頂きたいと思うのであります。そうして駅舎、変電所、諸建物その他の固定資産に対しましてのみ一般固定資産税を課して、重複課税、二重課税を避けるということに是非お願いしたいのであります。尚電気税は、他の重要産業と同様に免除する。又市町村民税の課税対象は、本社とか、又は地方局であります地方の出張所という程度に止めて、現場機関、今日極めて不公平に、又複雑になつておりまする現場の機関に対しまして、対象から除くということにして頂きたいのであります。以上のような特段なる措置を講じても、地方税は二十三年度と比較して尚三倍四分になる、つまり二十四割増になる次第であります。重ねて懇請いたしまするが、收入減の基準において、国鉄と何ら異ならないし、又国家に対する義務が一層重い、補助恩典が一層僅少なこの私鉄に対しましては、この際国鉄と同じく一切の公租、公課を免除して、設備の復興に、又輸送の安全に、サービスの改善に邁進し得るように格段なる御配慮を希う次第であります。前刻も申しました通り、若しどうしても免税は不可能だというならば、少くとも地方税の増額を現行の三倍或いは三倍半という程度に是非止めて頂きたいと念願する次第であります。  尚お手許に差出しておりまする印刷物について一言申添えたいのでありますが、昨年十月附で、十月に作成しました税制改革案の私鉄事業に及ぼす影響、この附表の中で、現行税がゼロと書いてあるのは大部分はゼロなのでありまするが、一部分はまだ調査の当時に、徴收状を受取つておらないというためにゼロとして報告を受けたために間違えが一部分あります。これは御了承置きを願いたいと存じます。  尚地方自治庁の第九次案か、第十次案に基きまして請願書を作つたのでありますが、今印刷中であるのでありまして、近く各議員諸公に配付する筈であります。本日は取敢えず謄写版を持参いたしてお手許に差出した次第であります。どうぞ御一覧を願いたいと存じます。長時間どうも有難うございました。
  11. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今の私鉄経営者協会側の御意見に対しまして御質疑ございませんか。  それでは次に、公益事業税金対策協議会公益事業学会事務局長北久一君、恐縮ですけれども、成るべく二十分以内にお願いいたします
  12. 北久一

    参考人(北久一君) 公益事業学会の北でございます。  公益事業一般的概念と、今回シヤウプ税制改革との関連につきまして、御説明申上げたいと思います。やや、学校の講義めくかと思いますが、暫くお聽き取りを願いたく思います。  只今経団連の方、東京商工会議所の方から、今回のシヤウプ税制改革が、電気事業、ガス事業鉄道事業等に極めて重圧を加えるという御指摘がございましたが、これは、それらの事業公益事業というカテゴリーの下に、一つ事業群といたしましての特殊性を持つておるわけであります。それで公益事業とは何か、ということにつきまして、一般日常の用語として用いられておりますが、尚これを明確にこの際いたして置くということが必要でないかと思うのであります。公益事業とは何か、これは何を以て一般の製造工業と区別つけられるか、その点につきまして、簡單に御説明申上げます。  公益事業は、電気、ガス、水道、鉄道都市交通、定期郵便、電信、電話、放送、それからバス、これらのものが普通公益事業の範疇に入れられておる事業でございますが、そのうち、私企業といたしまして、今回の税制改革の対象となりますものは、電気、ガス及び私鉄、バス事業、これらのものが関連性を持つて来るわけでございます。それらの事業は、公益事業と称せられるのでございますが、公益事業の定義を簡單に申上げますが、それは、三つの本質的な意義から定義付けられるのでありまして、第一は経済的事業である、第二は民衆の日常生活に不可欠なサービスを供する事業である、第三は自然的独占事業である。この三つでございます。尚アメリカの学者、経済学者で、その外に公共的統制を受ける事業であるというキャラクターを加えておる説もございますが、先ずこの経済的事業であることにおきまして、他の公共土木事業、例えば道路、港湾、橋梁というような公共的施設を行、う事業公益事業は区別されるわけであります。さような公共土木事業は、ハプリック・ワークス、即ち経済的事業としては成立たないものでありますが、公益事業はそれに対しまして、パブリック・ユーテリテイ、これは企業として、即ち資本を主体として成立する事業であります。さような経済的事業という点におきまして、公共土木事業、公共事業というものと区別されるわけでございます。第二はこの民衆の喜日常生活に不可欠サービスを供する。これは重要な第二の特長でございます。サービス・インデスペンサブル、それと、第三は自然的独占事業、これは産業経済産業資本の集中による独占だということとは若干趣を異にしておりまして、事業本来の性質から独占事業になる、さような意味ですチュラル・モノポリーでございます。この不可欠のサービスという、日常生活に不可欠のサービスを多く提供する事業であるということと、自然的独占事業に赴くものであるということから、公益事業は必然的に公共的統制を受ける事業でございます。従いましてこの公共的統制を受けるということは、この二つ公益事業の基本的な性質から自然に出て来るわけでございますので、従いまして定義といたしましては民衆の日常生活に不可欠のサービスを提供する一連の自然的独占事業、かように定義せられるわけでございます。  さてこれら公益事業、かかる特性を持つた一群の企業これと今回の税制改革との関連におきまして、特に指摘さるべき特異点はこれらの公益事業の料金及び運賃というものが、これが一般の商品の市場価格決定の法則と違つた、いわゆる外国で申しまするレート・メーキングという一つの特異な価格構成過程をとるのでございます。それでレート・メーキングと申しますのは実はこれは日本にはまだ概念もはつきりしておりませんし、それから行政的な機構も実は明確な形で確立されてはおらないわけなんでございます。外国では公益事業の料金、運賃はいわゆるレート・メーキングといたしまして、これは国又は地方公共団体の統制下にある公正なる原価の基礎の上に料金、運賃の決定を行う。かような原則、例えばアメリカのウイスコンシン州の公益事業委員会、パブリツク・コーポレーシヨン・コミテイはアメリカ各州の公益事業委員会の中でも最も古い歴史を持つた、又運営上最も成功している行政機構だと称せられておるのでございますが、そこの定義によりますと、合理的且つ公正の公益事業の料金、運賃は租税減価償却及び適正な報酬を賄い得る收入を有すべきである。即ち税金というものはこの原価の中の原価の一要素として公認されておるわけでございます。従いまして税金の上に変動が起ることはこれはとりも直さず原価の上に起る変動を認められまして、そこに当然料金の改訂ということが行われるわけなんです。これは一般産業界におきます税金物価との関連とやや異にいたしておる一面がございますので、一般産業経済におきまして税金の改訂即ち原価の変化というものは直ちにプライスの上に現われる場合もあるし現れない場合もある。若しその企業がその税金を吸收し得るだけの收益力を持つており、市場の競争関係が或る條件にございますれば、それはその企業機構の運営の上に吸收される場合もございまして、必ずしも一般物価の上に、正確にプライスの上に税金の変化というものが現われて来るとは限らないのでございますが、この公益事業のレート・メーキングにおきましては先程申しましたように、例えばアメリカにおいては税というものは原価のはつきりした一つの要素に置かれておりますので、この上に変化が起れば即ち原価の上に変化が起ればそこに合理的且つ公正な料金はその変化を織込んで改訂を見るというかような機構になつておるわけでございます。従いまして従来我が国で戰争中戰後を通じましていわゆる官庁用語としてマル公企業とよく用いられておりますが、これは統制価格の設定されておる種類の企業のことを意味しているわけでございます。かようなものと公益事業というものとは本質的にそこに企業の性格上異にするところがございますので、マル公企業は一時的、テンポラリな措置として公定価格が設定されておりますから、経済が正常に戻りますれば、段々とその統制の枠が外れて自由価格に移つて行くという性質のものでございますが、公益事業の料金、運賃というものは、まあ永久にこれは公共的統制の下に立つものである、かようなそこに特殊性が認められるのでございます。それで先程近畿日鉄の社長から御説明がございましたように、私鉄の経営状況というものは到底これ以上の増税は耐えられない。これは一つは私鉄経営の内部事情によると同時に、他面国鉄及び公営の事業というものの運賃の限界を以て押えられておる、故にレート・メーキングの原理は原理として運賃の若しそこに改訂を今の現状で行われるということにいたしますると、そこに国鉄、公営事業との間に公正な競争を行うことができない。私鉄は非常に不利な立場に陥る。かような御説明がございましたが、かような場合は公営事業のレート・メーキングの趣旨によりますれば、そこに当然税金の賦課の上に或る斟酌が加えられなければならない。そうして健全なる鉄道事業、自動車事業の運営というものを護らなければいけない。これが延いては公衆の生活の上に及ぼす悪い影響というものを防止するということになりますので、そのように税に対する調整をとられるという適切なる行政的措置が必要になつて来るわけでございます。又電気事業、ガス事業のごときにおきましては、税金を上げてもこれは料金の上に全部織込めば事業としてはそれでいいじやないか、こういう意見もしばしば聞くのありますが、これはやはり料金の変動というものには限度がございます。その社会的、経済的な状況に従いましてそこに限界づけられておるところがございますので、さように税金はレート・メーキング・ベースだと、然らばその税額は料金に織込んで税金を解決すればいいじやないか、かように簡單に言い切ることは、これはやはり言い切れない面があるわけでございまして、そこに料金というものが公共の福祉、公共の日常生活の上に直ちに連るものでありますので、公衆の日常生活を護るという一面が又公益事業の運営上極めて重要に考慮されなければならないということがございます。この料金、当面の場合税金でございますが、この増税との間の調整を図る、調整を図るということが電気、ガス、私鉄及びバス事業にとつてこれは是非とも考慮をしなければならない点だと考える次第でございます。それからさて然らばこの当面の問題点となりますシヤウプ税制改革により、それら公益事業の上に他産業と一律に同じ比率で、課率を以て税金を掛けられるということに相成りますと、非常にそこに料金、運賃の改訂及び事業の経営上非常に困難な諸問題を発生するのでございますが、なかんずく一番問題となりますのは、それは電気事業、ガス事業それぞれに個々の問題はございますが、極く一般的に共通した問題点としてに実は二つあると考えられます。  一つ固定資産税でございます。固定資産税の課率一・七五というものを課せられると、公益事業に非常に大きな打撃を受けますことは先程私鉄の御説明があつた通りでございますが、なぜ固定資産税がさように大きな打撃を公益事業に加えるか上申しますと、これは公益事業が本来固定資産が大きい事業ということは御説明申上げるまでもないと思いますが、大体固定資産税の大きいところへ持つて参りまして公益事業に共通の特徴と申しますべきピークの現象が起ります。ピークと申しますのは、この公益事業のサービスの需要と供給というものの関連が即時の関係に立つ。公益事業の販売する商品はサービスでございます。これは貯蔵できないのでございます。そのために需要の起るときにそのサービスを生産しなければならない。即ち貯蔵が利かない。ここにピーク現象を発生いたします。そうして事業の施設はそのピークに合せて支出をしなければならない。例えば施設につきましては、朝夕のラツシユに合せて支出をしなければならない。それからバス事業もそうでございます。それ以外は多く車庫に入つて休むわけでございます。電気事業、ガス事業皆然りでございます。大体四〇%乃至五〇%というものがこのピークというものを、余剰施設を要するわけでございまして、これは普通の一般産業には先ずない現象でございまして、公益事業固定資産税というものが特に大きくなる。これが一つの重要な原因になつております。従いまして先般公益事業税金対策協議会電気、ガス、私鉄、バス協議機関で以て討議いたしましたところ、是非とも今回の税制の固定資産税の規定に公益事業の特殊規定を設けて頂いて、二・七五よりも総和した税率公益事業のために特別に設定して頂きたい、かような要望が一般的にございました。  それから次に徴税の実施期日、これが又問題になるわけでございます。当然公益事業の料金と税の関連におきまして実施期日ということが、徴税の実施期日になります、即ち料金の改訂を見ない前に徴税を受けると、公益事業のように固定資産が大きく、貸本回転率の少い、即ち経営の彈力性の少い事業におきましては、直ちに事業の経営というものが非常に窮地に陥りますわけで、この間の徴税の実施期日というものを料金改訂の時と合せて頂きたい、こういう二つの共通した意見がございました。各公益事業にはそれぞれ特殊の要望の問題は多々あるわけでありますが、公益事業全般から見まして先ず固定費産税に対る特別の御配慮、それからこの徴税の実施に対する期日、料金改訂と徴税の期日とを合せて頂きたい。この二つ公益事業のレート・メーキングの上から当然要請されると考える次第でございます。
  13. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか……。  次に日本電気協会常務理事田中敏郎君。どうか二十分以内の時間を御厳守願います。
  14. 田中敏郎

    参考人(田中敏郎君) それではこれから電気事業に及ぼす税制改革の影響、それと電気事業から提出いたしておりまする要望について御説明申上げます。  今回の税制改革電気事業にとりまして非常な大きな影響を及ぼすものと考えます。殊に固定資産税の新設は巨固の固定資産を持つておりま電気事業にとりましては非常な重圧となるのであります。電気事業固定資産に再評価いたしますると三千四百三十億の巨額に達します。これに一・七五%税率を掛けますると、一年に約五十八億円の税金が取られる。この金額は電気事業の一ヶ年の予定総收入の五百五十五億に比べますると一割四厘という大きな率になります。でこんなに沢山固定資産税を取られる産業は外には類例がないのであります。これは負担の公平というところからいたしまして、是非特別お考えを願いたいと思うのであります。御承知のように電気の料金は只今政府が決定しております。戰争以来低物価政策によりまして電気料金は非常に低位に置かれて、先般三割二分の引上げが行われましたけれども、標準料金だけで見ますると、まだ戰前物価水準の四十数倍、五十倍になつておりません。そういつた低位に置かれておりまして、收支の面は非常に嚴重に査定されておりまするからして、新らしく税金がかかつた場合にはこれを事業みずから吸收して行くという余力を持つていないのであります。それで勢い新らしい税金は需用者に転嫁せざるを得ないという事情にあります。そうかと言つてそれじや電気事業者は何も苦痛じやないじやないか、需用者が税金を背負うならよかろうじやないかという議論もありますが、併しこれはなかなかそう簡單には参らないのでありまして、必要欠くべからざるものならばこれは需用者も喜んで負担いたしましようが、税がこれこれだから又料金を上げるということは、我々としては非常に心苦しいわけでございます。で御承知のように電気には外の産業には例のないいろいろな税や公課がかかつておます。例えば水力発電をいたす場合には発電税とも言うべき水利使用料というものが地方公共団体から取られております。これが一ヶ年に四億八千万円であります。その外この電気を運びまして需用家まで届ける設備の電柱に電柱税がかかります。その額が現行では三億三千万円でありますが、これは或いは又引上げちれると思います。その外水車税であるとか何であるとか、法定外独立税というものが可なりございます。こんなものが現在でもすでに八億円以上かかつておりますその上に今回の固定資産税がかかるということになりますると、電気の値段というものが、可なり上げざるを得なくなるという実情にあるわけでありまして、地方税の増加がまあ大体計算ですが、七十数億円と見ますると、これで一割五分らいの値上げが必要になつて来る。こういう状況にありまするが、シヤウプ勧告に基く再評価をいたしまして、資本の食い潰しを防ぐ意味から、適正な減価償却をやりますためには、只今やつておる償却以上に二百六億円の金が必要になります。これをその通りに行いますると、税金の増と償却の増によりまして、コストは五割四分五厘上つて参ります。これだけ電気の値段が高くならざるを得ないということになります。仮にこれが実存されるといたしますると、需用者は更にこの外に電気ガス税を背負わなければたらない。それが平均で一キロワット時三十七銭拂わなければならない、こういう勘定になります。それで電気のように産業の原動力であり、又国民生活の上に欠くべからざる要素でありまするものは、成るべく低廉にしなければならん。こういう要請がありまするのに、税金が上つて行くために、これが段々高くなつて来るということは、これは適当なことではないと我々考えるのであります。  そこで結論といたしましては、電気事業に対する固定資産税は特別の考慮を拂つて頂きたい。一般並の税金程度にして頂きたい。税率を下げて頂きたいのでありまするが、これが或いは困難であるといたしますれば、課税客体から特殊の物件を除いて頂く、例えばダムのようなもの、これは、ひとり電気を起すために使われるばかりでなく、地方におきましては、これが大きな洪水の防止に貢献をしておるのです。即ち、地方民は大きな恩恵を受けておるのであります。こういつたものに対して、地方でもその恩恵に対して課税を免ずるというようなことがあつても不当ではないじやないか、まあこういうふうにも考えます。こういつた種類のものが可なりありまするから、課税客体を若干外して頂くということも一つの方法と考えるのであります。それから電柱税でありまするが、これは固定資産の中に入つて固定資産税を取られるのと、又電柱税を別個に取られるのと二重課税にならないように、むしろ電柱税として置かれるならば、そのままで固定資産税の客体からは除外して頂くのが当然だとごう考えるのであります。  次に附加価値税でありますが、この税額も十三億くらいになりまして、可なりの重圧でありまするけれども、この税については、先程どなたかお話がありましたが、この定義が総收入から事業に直接必要のもので外部に支拂つた金額を控除したものだと、こういうものを定義しておりますが、こういう定義では計算が非常に困難であります。で只今の帳簿ではこれを算出するのに大変な手数と苦労が要ります。そういう計算によらないで、むしろ加算式の、これこれのものを加えたものを以て附加価値とする。こういう行き方が適当であると、電気事業の方でもそう考えております。  それから新らしい固定資産税附加価値税の徴收開始の期日でありますが、これもこの税額を料金に織込んだ日から実施して頂きたい。この料金と税金の関連がつけられておるのは、現に地方税法の附則にありまして、現行事業税はそういう方針で、昨年の十二月十三日から新らしい税金が電気にはかかつておる。こういうことになつておりますから、この例に倣つて一つつて頂きたい。  最後に電気ガス税のことであります。この税は戰時中に国税として創設を見たものであります。私共その当時大蔵省に随分反対いたしましたが、戰時の非常財政のために、止むを得ずこれは実施するのだということで我々引下がつたのでありますが、幸いにして暫くしてからこれは廃止されました。ところが地方財政が窮迫すると、やはりこの点に目が著けられて、電気ガス税というものが復活いたしまして、すでにもう五十億円くらいの財源になつておる。併し一方では電気は成るべく安くして、産業のコストを下げて、輸出振興をやらなければいかんじやないかという政府の施策がある。一方では税金で以て、電気料金の外にこういう税金を需用者にかげて、需用家から見ると見掛けの料金というものになつております。で一割かかる。こういつた税が一方では産業のブレーキになつておる、或いは国民生活の上の一つの重荷になつておる。幸いにこの頃は織物消費税もなくなつて参りました。又三等旅客に対する通行税もなくなるという情勢にあるときに、ひとりこの電気ガス税が残つておるというのは、私共の非常に不可解に思うのであります。併し地方財政の上からはこれが年に五十億円の稼ぎをしておりますから、或いは俄かにこれを廃止することはできないというお考えもあろうと思います。若しそうであるならば漸次これは逓減して行く。今よりも多くすることは、税額全体を多くしないで、漸次これを減少して行つて、何年か後には全部廃止する。こういう方に持つて行かれるように一つ御考慮を願いたい。こう存ずるのであります。以上を以ちまして……。
  15. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質疑ございませんか。それでは最後に日本新聞協会代表、日本経済新聞常務福島俊雄君。
  16. 福島俊雄

    参考人(福島俊雄君) 私は日本経済新聞の福島でございます。本日は日本新聞協会に加盟しておりまする全国百五十社の新聞の一致しておりまする意見を代表いたしまして、今回の附加価値税を新聞社にはかけて頂きたくないと、曾ての営業税と同じような意味合を以ちまして、これを全免して頂きたいという問題につきまして、皆様の御参考に供したいと思います。  本日は又本多国務大臣の御列席を頂きまして光栄に思つております。時間も迫つたようでございまするので早速本論に入りまするが、今回の法案要綱を拝見いたしますと、実は新聞事業というものはございません。従つて我々としましては、甚だ虫のいい話かも知れませんが、新聞は或いは除外されているんじやないか、かように解釈してもよいじやないかと考えておるのでございます。併しながら伝え聞くところによりますと、第一種の第二十三項パブリツシング、出版業に新聞は入れてあるというお話であります。出版に入つておりますことにつきまして、現在有力な相当な新聞社でありまするならば、大抵は出版局とか、或いは出版部というものを持つております。従いまして結局本業の新聞というものがこの副業の出版に間借りをすると申しますか、廂を借りるというか、いずれにしても軒先を借りてひそかに税をかけられるという姿であります。新聞事業ということを謳わずに、税をかけるかどうか分らないような姿にしておいて課税する行き方は、どうも公明でないというのは新聞社側の一致した考え方でありまして、少々実は気を悪くしておるのであります。まあこれは余談でございますが、先ず最初にこのことをはつきり申上げておきます。  さて先般来私共は本税の全免を各方面にお願もし、お話もしておりましたが、一部ではやはり新聞は公益事業だ、併し公益事業というものは何も新聞に限つたことはない。先程からもお話がありましたように、電気もガスも私鉄も、皆公益事業たるものは一切逃さずに税をかけるのである。新聞だけに全免ということは到底相談ならん。大体これは事務系統職の濃厚な色彩の方達の意見であります。上の方の政治的な考えを持たれる方は大分違います。かようなわけで、私は今ここで他の公益事業には課税してもいいと、ただ新聞だけには課税して貰つちや困るというのではありませんが、この場合に当然ガス電気、そういつた事業と新聞というものの公益性がどれだけ違うかということをはつきりお考え願いたい。その点を指摘したいと考えております。まあこれはよく言われることでありまするが、新聞は生産を目的としたり、或いは何らかの生産手段としての産業ではないことは勿論であります。同時に消費分配そういつたものを目的として目指しております商業でもありません。ましてや利潤を追う企業ではないのであります。この点は新聞本来の使命は、ここで皆さんにかようなことを申上げるのは妙なんでありますが、我々の日常社会各層各分野に起伏いたします経済的、政治的、或いは社会的現象を報道して批判し、それから公正な輿論を起すと、それからこれを公正な輿論を又支持するという生きた我々には生命のある仕事を持つております。決してこれは商業でもなければ産業でもなし、企業でもないのであります。従いましてこの新聞というものを、一つのものを生産するような一段公益事業と混同されるということは、事実に目を覆うと我々は言わざるを得ないのであります。況んやこれを一般の物品製造販売業或いは印刷業でありますとか、一般業と一緒にするということも甚だ迷惑なんであります。私がまだ新聞記者として駈け廻つておる頃、例の国勢調査がありまして、その際新聞記者の職業を物品販売業のカテゴリーに入れたことがあります。我々は非常に憤慨したものでありましたけれども、そういうこともあつたことから考えれば、そういう誤解の起るのも尤もな点があるかも知れませんが、何れにしても我々は新聞というものを普通の物品販売業、或いは製造業、そういつたものと一緒にすることは文化国家として非常に恥だと実は悲しむ次第であります。由来ニュースには税金を課してはいかんということは、大きく言えば古今東西を通じて変らないところの原則でありまして理念であります。新聞事業一つ企業形態を取つております以上、我々としてはこの企業形態を取つて存続しておるという、生きておるということについては、今の法人税なり、だんだん問題になつてぷります固定資産税なり、そういうものは甘んじて負担いたします。併しニユース、この言論報道に対しての課税の種類のものは絶対に御免を蒙りたいと思います。これは文化国家として甚だ恥かしいように考えるのであります。産業でもないし、商業でもない新聞に対して営業税的な意味を帯びましたる附加価値税を賦課することは、結局ニユースに課税することの意味になりまするので、我々は、繰返しますが、承服し難いのでございます。現在の事業税、これの前身は営業税でございますが、営業税は、実は新聞紙法の存在しておるときには新聞社には課税しておりませんでした、これは我々不思議に思うのでございますが、いわゆる官尊民卑の甚だしい昔、官憲の勢力の非常に強いときでもありましたが、そのときですら我々の祖先は言論の自由から、それが一の新聞社の財政的基礎を脅やかさないということを考えておりまして、このニュースに課税すべからずという建前から営業税は課しておりません。併るにこの新聞紙法が実は連合軍総司令官の命令によりまして、昭和二十年の九月、占領軍がこちらに参りまして直ちにでございます、言論の自由を束縛するものである、言論の自由に枠をはめるものであるという建前から、マッカーサー元帥の命令によつてこれは廃止させられたのであります。併し国内手続が取れておりませんので、国内手続が取れましたのは昨年の五月でございます。国内手続が完了しまして新聞紙法の撤廃が完全にできたというのは昨年の五月、ところが、この事業税は一昨年の七月に確か決まつた筈でありまするが、この新聞紙法が撤廃されると同時に、待つていましたと言わんばかりに、昨年の下期から新聞社に徴税令書をぶつつけて来たのであります。そこで新聞社の勢力の弱い地方の新聞社においては泣く泣く拂つておるようでありまするが、まだ我々の方にはここに折衝をしておる状態でありまして、現在は拂つておりません。さようなわけでありまして、私共といたしましてはこの政府当局が、新聞紙法の廃止を契機として昨年下期に至つて賦課されたことに非常な妙な考えを持つておるのであります丁度昨年の新聞紙法の廃止せられますと時を同じくして、ほんの数日の差でありますが、総司令部の民間情報局のニユージヤント中佐は、新聞は財政的にも独立すべき責任を持つておる、さもなければその新聞は自由でありましても独立しておるということは言えないということを強調されて、我々に財政独立を強要したのであります。この意味におきまして新聞は現在その主要資材である新聞捲取にも税金はかかつておりません。これはずつと以前から今日に至つて尚且つ免税されております。それからこの言論報道の一層自由にするという建前から、新聞紙法の廃止は、今日逆に新聞紙業の財政的基礎を圧迫するという結果になつておりますので、我々がその延長とも見られる附加価値税の全免を主張するゆえんはここにあるわけなのであります。  長くなりますからその辺で端折りまして、次に又別の意味から言いますと、附加価値税は従来の取引高税的性格を帶びるのだという話もあります。先般池田蔵相と平田局長にお目にかかつた時に、実はこの間僕等二人でどちらだろうという議論をしたのだが、結局未だに結論を得ないんだよと言つてつておいでになりましたが、若しこの取引高税が流通税として消費者転嫁でありまするならば、我々はここで一九四八年、一昨年の新聞週間、十月の新聞週間における日本とアメリカの新聞が共同して掲げたスローガンがありますが、それはあらゆる自由は知る権利からというのが共同のスローガンでございますから、これを再び考え直して見たい、こう考えるのであります。我々は財政的建前から、言論の自由の基礎を成す新聞事業の財政的基礎を確立しようというばかりでなしに、大衆の知る権利というものに課税するということに非常な不満を持ちます。若しこれを強行するならば、回の課税は知る権利を冒涜すると言つても差支ないのじやないかとさえ考えております。仮に百歩譲りましてこの考え方を抹殺して課税を強行することにしても、これは御承知の通り、私はここで時間を費して喋々と申上げるまでもなしに、技術的に見ますと、その税額というものは各社各様であります。而も負担の相違というものは大きなものであります。で取引高税のように、四十四円の新聞に七十五銭、卸し小売り一%ずつダブつて四十七銭かけました。これは去年の十二月まで一ケ年やつた方法でありますが、こういうふうに單純には参りません。そこに私は今回の附加価値税を新聞にかけて、而もそれを読者に転嫁するということは致命的な技術的な欠陷がある。これをどういうふうに調整するか、と考えておる次第であります。長くなつて相済みませんが、ここで、それではそういうふうな附加価値税が一体新聞社にどのくらいかかるかということを、これは古い表で……表と申しますか要綱で計算したので、多少誤りが出ておるかと思いますが、大体において仮に或る一社の昭和二十四年度下半期の損益計算書を取上げましてそれを見まするというと、若しこれが事業税であるならば、利益金五十万円としまして年額七十五万円の事業税がかかるべきところが、この附加価値税で行きますと、一〇七、一二倍、年額八千三十四万円かかります。それからこれを一部当りに直しますと、大体東京の大きな三社、これを平均しまして一円七十銭六厘、一部当り一ヶ月一円七十銭六厘かかります。ですから百万部の発行部数を有する社は月額百七十万円かかるわけであります。新聞社はこれでやつて行けるかどうかということは、大体想像がつくのであります。特に新聞社におきましてけ編輯という奇態な存在がありまして、これが取材を専らやつておりまして、而もそれが中心であります。中心がありますが、これは非常に金を食う。それでこの人間も相当の数がありまして、例えば、ここで又数字を申上げますと、東京の朝日新聞を例に取りますと、従業員総数が二千百三十二名、その中で編輯の関係者は七百五十  一一九名、そうしますと、この従業員の総数に対して編輯関係の総数がパーセンテージは三五%六というようなふうに計算して来まして「東京の毎日新聞が三八%九、読売新聞が五三・三、中部日本が四四%、ずつと離れまして、神戸新聞が四六%五、大分合同が四一%五、こういつたような編輯の特殊な人間が多いのでございます。なぜこういうことを申上げるかといいますと、普通の事業会社であれば、工員と販売関係の部員とか、事務系統の部員の人で足ります。併し新聞社の場合は、工員とそういつた事務系統の人間と編輯であります。而してその編輯の人間は非常に多いのであります。この編輯が金を食うことは又物凄いものでありまして、人件費は勿論のこと、旅費その他いろいろ会合の費用、そういつたものが非常に大きいのであります。これらはいずれも多分この附加価値税においては控除されていないと思います。我我が今日一体どうなるだろうと考えるのは、我々の新聞社でも随分大原稿料を支拂います。併しこれは果して控除されるかどうか、未だはつきりしないように考える。記事を盛るために会を開く、座談会を開きます。座談会の費用はどこに入るか。それから販売拡張費、広告蒐集費、これは新聞社にとつて大きな問題でありますが、こういつた数々の疑念が出て参りまして、新聞社が果してこの前の、今我々の知つておる範囲の要綱で、一体どういうふうになるだろうという不安を非常に持つておるのであります。併しながら輪転機でも据えつけるならば、輪転機の費用は差引くよ、控除するということを言われますけれども、輪転機なんというものは年々歳々拵えておるものでありませんこれは十年や十五年は持つものであります。そういうふうにして我々の新聞社の総收入は、大体只今我我がざつと目の子で見まして、六〇%乃至八〇%程度、新聞社に上つて非常に差がありますが、そのらいに対してあの四%という税額がかかるわけであります。それで、私は今ここで税額が多い少いということよりも、問題はこのニユ—スに課税するという建前、こんな野蛮な、非文明的なことはやつて頂きたくないと、こういうふうに考えるのであります。大衆に転嫁すればいいじやないかという方もありました。一部あたり二円もかければいいじやないかというふうな話もありましたが、先程申上げましたように、大衆転嫁ということは絶対にこれは問題だと思います。これは政府当局としても、先般の一月よりの新聞定価値上にあれほど御苦労下すつたような状態でありまして、新聞の、僅かでありますが、二円という金でも、なかなか容易なことではないのであります。これは我々一段大衆の日常に密接にくつついているために、大変なんでありますが、この点につきましては、昨日も総司令部の新聞課長のインボデン少佐に会いました一いろいろ話しましたが、とにかくこの間一月から値上したことは反対だつた、だから今は各新聞について、値を上げて怪しからんという抗議が俺のところに沢山来ておる、それなのに又これに税金をかけて値を上げるつもりか、俺は絶対反対するよ、君達もうんと頑張れよという話もありました次第で、なかなか附加価値税についての簡單に値上しろということは困難ではないかと考えております。まあそういうわけでありまして、新聞は報道の真実を守る義務がありますと同時に、新聞には言論、報道、自由という権利を持つております。この権利と義務とが歪められた結果が、そうして抑制されました結果が、あの敗戰という悲惨な結果になつたことでありまして、この際私がここで喋々と申上げるまでもなく、若しも新聞がもつと義務と権利に強くあつたならば、こういう悲惨な惨禍はなかつたと思います。従いまして新聞社の財政的基礎というものがどうぞ確立するように、皆さんの御支援を願いたいのであります。  私は先程は、一昨年の新聞週間の日米両国新聞の共同スローガンを申上げましたけれども、ここでは昨年の一九四九年新聞週間の日米新聞の共同スローガンとして、「新聞の行くところ自由あり」の、この自由の天地を暗黒化するような施策だけは、どうぞ勘弁して頂きたい、かように考えます。  尚新聞事業と同じような運命に繋がつておるものがありまして、それは新聞販売店と広告代理業者であります。これは全然機構も持たず、人間だけでやつている仕事でありまして、今度の税金というものは非常な打撃であります。詳しくこれについて申述べております時間がありませんから、どうぞ新聞社と同じような運命にある、或いは新聞社より以上に辛い立場にあるということをお考えになつて、どうかこの方へも何らかの対策をお考え願いたいと考えます。どうも勝手なことを申上げましたが、どうか参議院では党派を超越しまして、新聞の言論報道の自由のために、新聞の財政的基礎に脅威を與えますようなこの税金の全面的除外について、何分の御考慮を下さいますように、衷心からお願い申上げます。
  17. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 有難うございました。只今までの意見の開陳、殊に最後の新聞事業に対する附加価値税の問題、これに対しまして地方自治庁側の御意見を伺いたいと思います。
  18. 荻田保

    ○政府委員(荻田保君) 地方税法改正案につきましては、目下立案中でございまして、最終的の決定を得ておりませんので、いずれ政府として国会に提出いたしましてから詳しく御説明申上げたいと思います。ただ委員長のお話でございましたから、最後の新聞の問題だけ一言意見を申上げさせて頂きます。この附加価値税はすべての国民所得の過程におきまして、附加された価値に対して課税するという考えでございますので、すべて一般に苟も価値が附加されておればそれに対して課税するという考えに出ております。従いましてそれが生活必需品であろうと何であろうとすべて課税するということを原則としております。又そうすることによりまして広く課税する、課税対象を多くするということによりまして、成るべく税率は安くしたい。仮にこれをどんどん除外例を設けて行きますると、一部のものに対しまして高い税率課税しなければならんというようなことになりまするので、これけむしろ広く公益、いわゆる公共的なものであろうと、或いは更に生活必需品的なるものであろうと、すべて課税するという方針を採つておりまするので、只今のところ新聞に対してのみ除外例を設けようという考えではございません
  19. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 只今新聞協会の方から一応の御意見を承つたのでありますが、これに対しまして荻田次長から只今当局としての弁明がございましたが、併し新聞事業に対する課税の問題は、先程説明者からも縷々御説明になりましたように、社会の世論機関である新聞紙の言論の自由公正という問題とも重要な関係があると思いますので、特に私は本日御出席になつております本多国務大臣のこれに関する御意見を承りたいと思うのでありますが、元来新聞事業は形式的には一個の私企業ではありまするが、併し只今も申しましたようにその業務の性質は最も公共性の強いものでありまして、その経営的な財政基礎の強弱の如何は、延いては新聞の言論の自由性と大きい関係を持つておると思うのであります。まあこういう意味におきまして、そういう事情からしまして只今の意見に対しまして特に本多国務大臣の意見を伺いたいと思います
  20. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) 新聞の公益性の高いという点につきましては、誠にお話の通りでございまして、殊に文化国家としての国民が報道を最も容易に得られるというようなことは大切なことでもあると思いまするし、更に只今のお話の中にはいろいろと考える問題もございますので、これが最後的に決定されるまでの間研究を続けたいと存じます。
  21. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に地方税に関する意見開陳につきまして御質疑ございませんか……それでは地方税に関する意見開陳の問題はこれで打切りといたします。   —————————————
  22. 吉川末次郎

    ○吉川末次郎君 幸い本日本多国務大臣がこの委員会にお見えになつておりますので、この機会に地方行政の非常に重要な問題につきまして御質問いたしまして、大臣の御答弁を得たいと思うのであります。それは先般の地方行政委員会におきまして、同僚西郷吉之助議員から、本多国務大臣が九州へ旅行せられたときに、佐賀県及び長崎県は合併すべきものであるというところのお話をせられまして「それが新聞記事に出て、地元及び全国に相当なる波動を與えたのであります。そのことについて西郷委員から質問がありましたのに対して、本多国務大臣はその新聞記事とは違うところの極めて曖昧なる御答弁をおしになつて、それは今日国務大臣としては決定的な意見でないというような御答弁であつたと、大体私は左様に記憶いたしておるのであります。で、西郷委員の質問の真意がどこにありましたか、又西郷委員の質問の真意を本多国務大臣がどのように御解釈になつたのか私は知りません。併しながら私はむしろ本多国務大臣が西下の節言われたという、その新聞記事に現れたる大臣の意思の線に沿うたことが私は正しいというところの立場から、この際大臣の、地方行政主管の国務相としての御答弁を得たいと存ずるのであります。それは本多国務大臣に、或いは西郷吉之助委員がその佐賀県及び長崎県の両県の併合ということについて反対の意思を持つておる立場で質問をしたのではないかというように思われたのであるかとも私は推察いたすのでありますが、本多国務大臣がかようなことを述べられましたことは、シヤウプ税制勧告書の中にもその使節団が示唆いたしておることでありまして、府県は廃合する、府県の合併をするということについては大いにやるべきであり、その方向調査研究すべきであるということは、シヤウプ使節団の勧告書が勧告いたしておる通りであります。又シヤウプ使節団の勧告書は、各県に建設されつつあるところの国立大学についても、これを單独県においてその設立を計画するのでなくして、数県が合併してその事に当れということも言つておるのでありますで、私はひとりむしろそういう線を発展拡大させて行きたいというところの、考えの上に立つて申上げるのでありますが、そういう見地からいたしまするならば、本多国務大臣が言われたことは、シヤウプ使節団の勧告の趣旨に副うて言われたことでありまして、決してこれは間違いでないのでありまして、西郷君がどのような趣旨で質問いたそうとも、これを取消そうというような意思においての答弁でありました場ならば、甚だ解し得ないものがあるのであります。併しながらここに本多国務大臣の右の答弁について甚だ遺憾と思いますることは、長崎県は本多国務大臣の選挙区でありまして、唯選挙区に対するところの、まあ露骨に言いますならば、人気取的な心理においてのみ、長崎県及び佐賀県に限つてそういうことを考えて言われたということについて、私は甚だ遺憾であると思うのでありますが、それは本多国務大臣は私の数十年来の友人でありますが、本多国務大臣は大臣になりながら、尚今日地方政治家の域を脱しておらんのか、本多君はどうもまだ地方政治家臭くて、本当に一国の政治を考えるところの、高所大所から政治の達観すべき政治家的識見が、その頭脳の中に成熟しておらないのではないかと、こういうように私はその点をむしろ残念に思うのであります。そういう線から一つ私は、国務大臣の、全般の府県廃合の問題、これは私は、この目下進捗しつつあるところの総合開発計画、或いは国土計画、地方計画等の進展の上からも、シヤウプ使節団が言つておるような府県の合併ということは、大いに考慮して貰わなければならないものではないかと考えるのであります。それについての御意見を更にお漏らしを願えるならば、この機会にお漏らしを願いますということが第一点。それから先般来、この五大都市におきまして、特別市制の制定の運動が猛烈に更に起りつつあるのでありまして、今入りましたホット・ニュースによると、京都の市長も、社会党の高山君が当選するうでありますが、その三人出ております候補者がいずれも第一の政綱にそれを挙げているのであります。これは又久しき間の地方行政機構上におけるところの懸案でありまして、その問題について、どのようにお考えになつておるかということをお漏らしを願えるならば、大臣としての意見を承りたいこと第二点。尚この市政の問題に関連いたしまして、京都の地方新聞では、道州制の問題が非常に大きく取上げられて、日々大きな記事として論議されているのを見たのでありますが、それは先の府県の合併の問題とも関連いたしておりまして、これ又日本の地方行政機構上におけるところの永年の懸案であります。即ち一府県以上の広地域の行政單位を設けること、即ち道州制の問題についてはどういうようにお考えになつているかということも併せて承ることができるならば承りたいと思う。又大臣も御承知のように目下地元の東京都におきましては、特別区の問題について非常に猛烈なる運動が各区から起されておるのでありまして、これ亦一つの我々が当面いたしておる地方行政機構上における大きな問題の一つであると考えられるのでありますが、そういう問題につきまして、併せて本多国務大臣の御意見を承りたいと思うのであります。尚日本の地方行政機構上におけるところのむしろ基本的な問題といたしましては、日本の地方行政というものが非常に法律学に偏した教育をせられて来まして、これはドイツの制度の模倣から来るのでありますが、或いはこの委員会の名の如きも、今日においては地方行政委員会という名でやつておりますけれども、以前におきましては地方及び地方制度委員会というような名でありまして、地方制度が即地方行政であるというような誤つた見解が生まれましたのも、大学その他におきまして地方行政というものが行政法の一部門でありまするところの地方自治制度、府県制であるとか、或いは市町村制の法律学的な研究が即ちそれが地方制度と思い込ましめるような誤つた教育をいたしまして、そうしてその地方制度の内容をなすところの地方行政そのもの、ローカル・アドミニストレーシヨン、即ち行政内容については少しも大学等においては教えておらんということは、これも日本の地方行政の組織の上においてやはり基本的な問題として、いろいろ研究調査すべき問題であり、又考え直して行かなければならん問題と考えておるのであります。  尚又地方行政の上においては旧内務省の官僚というものが一つの指導権を持つて、官僚的なイデオロギーによつて地方行政を指導して来たということ、これも新憲法の精神において基本的に批判し、修正し改竄さるべき問題でありまして、全日本におけるところの、例えば内務省の解体であるとか、或いは地方制度上における市長の直接選挙の問題、或いはイニシヤチブ、リール、レフアレンダム等のいろいろな制度を通じて、これを多少改正し修正して行かんとする考え方も現れております。そういうことについても本多国務大臣はどのように考えられておるかということも一つ承りたいことであります。  以上のことについて御答弁を得たいのでありますが、更にここに私は一つの課題として、特にこの際本多国務大臣に申上げて御答弁を得たいことがあります。それは日本の地方行政組織を、このシヤウプ使節団の勧告書に基きまして、税制財政の面から、いろいろその事務の配分をいたしましたり、又行政機構上の問題についても、何らかの裁断を下すために、先般来地方行政調査会議設置法に基くところの委員会が設置せられたのでありますが、これらの問題についても当然にこの調査会議は、いろいろとこれらの御研究があることだろうと思います。御研究があることだろうと思いますが、併しながらここに我々が考えなければならんということは、それは必然的にさつき申上げましたような地方行政の基本的な旧来の考え方についての批判、或いは当面しているところの道州制、特別市制、或いは特別区、府県の廃合、合併というような問題は、これは單に地方税制、或いは地方財政の面からのみ考慮さるべき問題ではないのであります。もとより地方税制は地方行政機構と不可分のものでありまするから、地方税制の研究調査考察において、地方行政機構の問題はその中へ入つて来るのでありますけれども、御承知のごとくこの使節団は、シヤウプ・プロフェッサー、教授を始めその他の人は、大体におきまして税制及び財政の学者及びその道の米国における権威者でありまして、行政機構、或いは行政組織面からの人達は、それには加つておらんのであります。でありまするから、シヤウプ使節団は主として財政及び税制の面からの勧告を日本の政府にいたしたのであるが、当然にそれと相並んで私はこれらの、さつきもその一端を申上げました当面の重大なる地方行政機構の問題をここに解決せんとするならば、その方面からの学者、権威者を以つて構成したるところの使節団が別個に来られて、そうして綿密なるところの科学的調査研究に基く勧告書が提起されておるということが必要なのではないかと思うのであります。それは米国におきましてやはり憲法学者は日本の憲法学者が必ず行政法を兼ねて研究をいたしておりまするように、地方行政の問題についても、必ず大体において併せてこれを研究いたしておる。又政治学若もそれを研究いたしておるのであります。併しながらただ日本の憲法学者と行政法学者のように法律学に偏した研究をいたしておらんのでありまして、極めて経済的な、社会学的な基礎の上に立つて、併せて法律学的な面を加えて研究をいたしておるのでありますが、そういう人達、或いは学者及び実務家、そういう権威ある人達によるところの使節団を構成して、そうしてシヤウプ使節団と同様なるそうした行政面からの勧告書がこの際にあるということが、政府のためにも、又一般国民のためにも必要なのではないかと思われるのであります。本多国務大臣がこの当面せるところの大きな問題を当然に私は解決せられるべきところの責務を持つていらつしやるものであると思うのであります。それは吉田内閣の負わされておるところの大きな責務であると考えるのでありますが、若しこれに対して極めて合理的なる解決策を講じて、多年の懸案をここに明快に処断せられるならば、これは本多国務大臣の在任中におけるところの私は一大功績となるのであつて、私も本多再務大臣との個人的な関係の感情の上からも、是非一つ勇猛心を奮つて自分の任期中においてこれを断行して、自分の一つの治績としてこれを残しておきたいというような覚悟を一つつて頂きたいと思うのであります。実行の面から考えましても、ここにあなだが主張されたところの佐賀県と長崎県の合併をやるというようなことをあなたはお考えになつても、民自党は成る程衆議院におけるところの絶対過半数を持つた大きな政治力を持つておりますが、その大きな政治力を持つた絶対過半数の民自党の内閣の私は政治力だけでも、府県の合併ということはどうしても必要であるという正論が成り立つても、これを決行するということについては地元の反対等のために容易にできないのではないかと思うのであります。そのために徒らに私は何も米国の使節団の政治力に頼ろうというのではありませんけれども、ともかくそれは、これを決行しようという上においく、そうした地方行政組織の権成ある使節団がここにシヤウプ勧告書と同様なる勧告書を政府及び国民に提起するということの結果は、これを本多国務大臣が任期中において立派に実行して行かれるという上においても、單り参考になるばかりでなく、又偉大なる政治力を本多国務大臣に加えるに至るものではないかと思うのであります。結論を申上げて終りたいと思いますが、即ち右申しましたようなシヤウプ使節団に並ぶような地方行政組織に関するところの別個の有力なる権威あるところの使節団を米国より日本に来らしめて調査研究をなさしめ、その結論を同様の形において政府に勧告せしめるところの行動をする、そういう働きを吉田内閣時代において本多国務大臣がおやりになつて、その実現を期するということについて十分のお考えがあるかどうかというようなことについて、併せて一つこの機会に御答弁を得たいと思いま玄
  23. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) 只今の質問の中には誠に重要なる焦点的な問題が多いのでございまして、政府の最後的方針等を決定していない今の段階におきましては、御満足な答弁はいたしにくいのでございますが、先ず第一番の府県市町村等の一部、あるいは全部の廃合というような、全部的な廃合というような問題につきましては、これは西郷委員にお答え申上げた通りでございまして、私が旅行先でたまたま対馬の転県問題についての質問かありましたので、今回シヤウプの勧告によつて地方行政調査委員会議というものが発足し、ここにおいて府県市町村等に亘る今日までの不適当なる行政区劃の廃合が採上げられるであろうというような話をしましたところ、質問として、佐賀、長崎県の問題はどうなるかという質問がありましたので、それに対しまして、その問題も今度は結論が出るであろうと私は答えたのみでありまして、この府県の廃合等の問題も、軽率に具体的な、どことどことを廃合されるであろうというようなことを申しますことは、いろいろと混乱を起こす虞れもありますので、私も十分注意しておつたのでありますけれども、質問に対してこれは採上げられるであろうという答弁は止むを得なかつたのでございまして、こういうことも今後は愼重にいたしたいということを西郷委員にお答えいたしたのでありますが、併しこの行政区劃の統合というような根本精神に至りましては、全くこれは今日の行政区劃の主までは今後自治体に相当品の事務が移管される、そうした場合自治体としては地理的にも適正、更に又経済的にも適正規模でなければならんし、財政的にも自治体として立つて行く上においては相当強化されて行かなければならんという面もありますので、そうした方面のことは是非これを推進いたしたいと思つております。併し政府といたしましては、その方針は研究はいたしますが、挙げて政府の態度を決するのは地方行政調査委員会議の結論を得た上にいたしたい。その前に政府がまちまちな意見を吐きますことは却つて自治体に対して心配をかけることになりますから、結論はそこに持つて行きたい、併し多年の懸案でもありますので、何とかして成果を收めたい、かよな考えを持つている次第でございます  次に特別市政の問題でありますが、これも二、三百万という市都が同じ制度の下にあるということではいろいろな不都合を生じて来るという面から多年研究されて来ておるのでありますが、どうしてもこれが結論に到達いたしておりません。これらの問題につきましても、やはり今度こそ地方行政調査委員会議等で結論を出して頂きたい、政府といたしましてもでき得る限りそれと併行して研究を進めて行きたいと考えております。  又特別区政の問題でありますが、これも区長公選の下、折角区民がこの自治制というものを期待しておるにも拘わらず、殆んど課税権というものがなく、財政的自治権が区には殆んどないといつてもいい位でありまして、これでは余りに区の存立の基礎が貧弱であるというような点から、その議論が相当今日では有力になつております。実は昨日の地方自治委員会議にこの問題が採り上げられまして、この自治委員会の名を以て、区代表といたしましては理事者側と、それから区議会側、都の又代表として理事者側と都議会側と、それぞれ代表者を出しまして、急速に結論を出して貰い、その結論を得た上で自治委員会で更に検討をいたしまして、この際解決ができるものならいたしたいという方法で只今御盡力を願つておるような次第でざいます。更に今日までの日本のすべての行政に対する教育が中央集権的でありましたために、中央集権的な機構の上における勉強に主として力が注がれ、本当の平和国家としての地方自治体という立場における教育というものが足らなかつた。或いは研究、学問というものが足らなかつたという趣旨の御質問でございますが、この点につきましては、私からお答えるのも僭越でありますけれども、私個人としても誠にそのように考えておりますので、今後の教育は本当の平和国家態勢にふさわしく、又平和国家態勢の基礎であるところの自治体というものが、円満に発達し運営されるということを目途として教育も施されて行くべきである。方針もそういうところに重点を置くべきであると考えております。更に地方行政調査委員会議に採上げられる問題でありますが、問題はシヤウプ氏の勧告に基きまして行政区劃の問題から国と都道府県、市町村という三段階に、中央地方行政事務の独立性を持たせるという誠に革命的な事業でありまして、これを実現するためには、ただ地方行政調査委員会議の結論だけでは済まない、更に大きな政治力というものが醸成されなければ結局実現が困難になりはしないかというところから御意見が出たものと存じますが、これにつきましては、折角シヤウプ氏の詳細なる勧告に基きまして調査委員会議が設立されておりまするし、又国内にも吉川さんのような地方行政等に精通されております方もおりますので、できる限り自主的にこの問題を解決したいとは考えておりますけれども、只今仰せになりました、更に特別の使節団というような問題につきましては、私からここで触れることは少しく差控えた方がいいと存じますので、これは御意見として拝聽いたしまして、十分研究いたしてみたいと存じます。以上誠に抽象的ではございましたが、お答え申上げます。   —————————————
  24. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは本多国務大臣お出ましになつておりますから、地方税法案につきまして大体案が固まつたようでありますから、その経過等を御説明して頂きたいと思います。
  25. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) 関係方面に折衝をいたしました経過を申上げたいと存じますが、実はその折衝いたしました案について内容の詳細に亘つて御説明申上げますのが順序かとは存じますけれども、あらかた私が申上げまして又後日提案いたしました時分に内容の詳細を御説明いたしたいと思います。  御承知のように地方税法は府県税と、市町村税で今日まで、本税、附加税等とになつておりましたものを、税の責任を明らかにするために、けつきり地方税を府県と市町村に振分けてしまう、こういう建前になつております。そうして府県税の方は、附加価値税、遊興飲食税、入場税、これは動かすべからざるものとしてシヤウプ氏が府県税として指定いたしております。それから地方税の方では動かせないものとして市町村民税、それに固定資産税、これは市町村税でなければならんというふうに指定しておりますので、これは政府といたしましてもその通り認めることにいたしております。その他の税につきまして、普遍的なものを市町村に、偏在的なものを府県にと、更に市町村にはできるだけいい財源を優先的に與えることというような趣旨で他の税を配分することになつておりますが、ここに一番問題になつたのは電気ガス税でございます。これは税源といたしまして普遍的でもあり、又税額になりますと都市に偏在しているようでもあり、更に又徴税の便宜から言いますと、一括する府県で取る場合には簡單であり、市町村に分割する場合には、計算上も非常に煩雑になるというような点で、これをいずれに持つて行くべかということについて、市町村会、更に府県、双方から猛烈な陳情があつたのでございますが、これにつきまして、地方自治委員会議におきましては、これを府県税にするということが決定されておりました。その意見がございましたので、それを持つて司令部と折衝いたしたのでございますが、司令部におかれましても、地方自治委員会議の意見並びに政府部内にも相当そういう意見があるということをもたらしましたために、愼重に研究し、部内の協議をいたしまして、そうして一昨日結論を知らせるからということを約束して置かれたのが金曜日でありましたが、一昨日参りましたところ、この電気ガス税は、これがどうしても市町村税でなければならんということに司令部部内の意見は一致しているという話で、この問題はもうそれ以上交渉余地がないかと考えられる程度に今なつております。更にこの府県税に最初は予定されておりました偏在る性格を持つた鉱産税と木材引取税、入場税でありますが、これについても自治委員会議或いは政府部内の意向だと、これは鉱産税或いは木材引取税、入場税のその課税対象のある地域は、市町村はその財源以外には殆んど他に財源のない場所が多いのである。偏在はするけれども、これなくしてはその地元市町村の運営が困難になるということから、市町村税にこれを廻したいという意向が強かつたのでありますが、このことをよく向うに説明して置きましたところ、この点については、司令部の方でも異議がないということになりました。従つてその見返りといしまして、市町村税の中から何か持つて来なければならんのでありますが、それについては、自動車税が適当であるということで、見返りとして自動車税を府県税の方へ、府県税の方から市町村へ只今申上げました鉱産税、材木引取税、入場税、こういうことになつたのでございます。これは財源といたしましては、数億円府県側の財源が差引考えますと縮減することに、今日の見積予定收入の方ではなる次第でございます、今回の税制改革の狙いは、どこまでも市町村というものに有力な普遍的な税源を優先的に附興するというところに令部、ジヤヴプ勧告の根本精神があるようでありまして、只今以上申上げましたような段階でありまして、閣議といたしましてはまだ最後的決定はいたしておません。  更に税率の問題でありますが、附加価値税税率が附加価値の百分の四を標準税率とすると、そうして制限税率は八といことがシヤウプ勧告でありましたが、この附加価値の標準税率は、今少しく引下げるべきではないかというので三分五厘ぐらいにということで折衝いたしました、然るに向うでは、新税はでき得る限り收入を内輪に見積るべきものであつて、この最低の税率を動かすということは適当でない、これは結局シヤウプ勧告の趣旨にも反することと思うから考え直したらどうかという話がありまして、これも懸案になつております。  更に固定資産税課税標準倍率の問題でありますが、これにつきまして、土地家屋賃貸価格の千倍に課税標準を置いて、そうしてそれに百分の一・七五を課税しろというのがシヤウプ勧告でありまして、これを千倍ということになりますと、一般通念の時価よりも高くなる場合がありはしないかということが考えられますので、八百倍ぐらいにこれを引下げて貰いたいという交渉をいたしたのであります。ところがこの点は特にシヤウプ氏から手紙も来ているというので、その手紙も見せられましたが、千倍にこの際して貰いたい、そうして今日賃貸価格というものがかけ離れて安過ぎる値段のために、その不権衡というものが認識されない、これは千倍に拡大されることによつて不権衡が認識されて是正の時期が早まるであろうから、是非そういう意見が出ても下げないようにという手紙が来ているのであります。そういうことでこの倍数も八百倍にというのが、結局は千倍ということで只今のところ意見が合わないでおります。税率につきましては、これは二十五年度に一限つて百分一・七五をかける、来年度からはこれを標準税率といたしまして、制限税率を置いて行くことになりますから、一般税率と同じようになります。そういう状況であります。  更に市町村税で重要な市町村民税でありますが、これは従来は財産割と所得割と均衡割というので取つておりした住民税を、今回は所得割と均衡割の二本建にする。そうして所得割の方の標準税率でございますが、これはシーヤウプ氏は一八%、税を入れて一八%ということになつております。これも何とかしてもう少し下げたが適当ではないか、下げて予定の五百数十億となつております收入は得られるであろうという見通しも立ちましたので、下げて貰いたいということを交渉したのですが、一五にして貰いたいという意見は、向うではまだ承認いたしません。是非一八を確保すべきである、こういう段階にあるのでございます。  更に最前から問題になつておりました運送事業等の附加価値の計算方法でありますが、これは二十五年度に限つて撰択的に收入金の五〇%という計算を以て附加価値を算定してよろしいということになつておりますが、税額が急速に増加します関係から、この倍率をもう少し下げて貰うことができないかという意見もあるわけでありますが、これらの意見も、向うが只今のところ強硬に下げるべきでないと主張しておる段階でございます。  こういうふうにいたしまして、全体の税收といたしましては府県税におきましては七百六億円程度、これは二十四年度の府県の実際の税收高程度を押さえて、府県としてはそれ以上税を取ることを抑制して行くという趣旨のようであります。そうして専ら市町村税に振向けて行く。市町村税は一千二百億ぐらいになる見込でありますが、これは従来の市町村の負担していた税額から考えますと、四百億ぐらいの増收になる見込であります。この市町村の四百億の税の増加、これは専ら市町村自体が取つて市町村が使用するのでありまして、今までのように府県、或いは国に取上げられると言いますか、そういう性質の税ではない点において、これは地元の方々の了解の下に取つて使うという性格に変つて行きますから、税という今までの国税などの方で取られるのと違つて了解して貰えるのではなかろうかと思つております。この四百億は全くの税法の上においては増徴になるわけでありますけれども、従来財政上の枠が余りに小さかつたために、寄附金等の名目で丁度四百億ぐらいの市町村には別途支出をさせられておつた。これと振合うものでありまして、今日までの寄附金等によつて不足財源を賄つていたのを法律化して正式に財源を與えるように変つたものと見ることもできるように考えております。こういう今日段階にあるのでございまして、このシヤウプ勧告の趣旨は全面的にこれは政府といたしましても受入れるのでありますけれども、多少実情に即しまして調整を加えるべき点につきましてはできる限りの努力をいたしておるのであります。どうぞ御了承を願います。
  26. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ありませんか……。  それでは今日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君            岡田喜久治君    委員            三木 治朗君            黒川 武雄君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            島村 軍次君            太田 敏兄君            濱田 寅藏君   委員外委員            堀  末治君   国務大臣    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 荻田  保君   参考人    日本経済団体連    合会事務局長  内山 徳治君    東京商工会議所    調査部長    高瀬 千波君    私鉄経営者協会    会長      村上 義一君    公益事業税金対    策協議会公益事   業学会事務局長  北  久一君    日本電気協会常    務理事     田中 敏郎君    日本経済新聞社    常務      福島 俊雄君