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参考人(常木勘助君)
只今御紹介を得ました浦和市の助役の常木であります。
実は昨日
調査員の法貴さんが浦和市にお見えになりまして、浦和市は
健康保險のことをや
つておるそうだが、それについて今日
委員会があるが来て一応状況を話したらどうかというのでありまして伺
つた次第であります。浦和市は昨年の六月から
健康保險のことを始めましたので、まだ日が極く浅いのであります。従いまして
参考になることもないと思うのでありますが、ただや
つて行く上におきまして又
政府にお願いし、議員の諸公に御了解を頂いて、そうして今後この
運営がうまく行くようにというような考を持
つておるのであります。お手許に
参考として差上げましたのは、昨年の四月一日から本年の五月一日までにおける状況でございまして、昨年の四月一日からと申しましてもこの事務を四月一日から開始いたしまして、本当の
医療施設、事業につきましては昨年の六月一日から行いまして、
只今のところ被
保險者の数は八万八千四百三十七人ございましてこの被
保險者は浦和市の住民全員を被
保險者といたしてあります。ただその中に官公署に勤めておる、或いは工場に勤めておるというような
関係で、その
社会保險によ
つて医療を受け得られる者につきましては、これを除外しました
関係上、そういう数にな
つておるのであります。浦和市の現在人口は十一万余であります。それから納税義務者といたしましては、各世帶を一といたしまして、そうしてこれが二万一千八百六十二世帶であります。その次の加入率というのが、人口に対しまして八〇・九%という数にな
つております。二十四
年度の
予算につきましては、二千七着四十九万二千六百円の
予算でございますし、一世帶の平均といたしましては、千二百五十円を
負担するように相成
つております。それから
保險料金の納入の状況は、その次のところに記載してございますが、一期、二期、三期、四期と、二十四
年度分を四期に分けまして、それから最初の第一期は、六月から
医療のことを開始いたしましたから、六月分一ヶ月分を調定をいたしまして、これが二百四十一万二千三百七十六円に相成
つております。その収入が二百二十七万二千三百六十一円でございまして、納入の率としましては、九四・二%の収入にな
つております。その次が二期、三期、四期と、こうな
つております。二期も八二・九鬼、三期は六六・六%にな
つております。四期の方は四七・四%というふうに、漸次率が低くな
つておりますが、この
健康保險の料金につきましては、どうも攻め具合が悪いような
関係で、漸次治
つた者が納めて行くというような
関係から、こういうふうな
現状にな
つております。その裏面に参りまして、一部
負担というのがありますが、この一部
負担というのは、市内の担当医以外のところで
医者に診て貰う、或いは東京の
医療担当者でないところの人に診て貰
つた場合の一部
負担を本人から取りまして、そうして市の方で支拂をしてやるというような
関係から、ここに少しの額が載
つております。それから
国庫補助は、
事務費等に対して
補助がございましたのが五十八万、一般の寄附としまして、この事業に好意を持ちまして二十九万三千円余の寄附がございまして、総計の収入といたしましては、千七百十六万円の収入がございました。これの支出につきましては、
事務費として二百二十九万九千余円、療養
給付費として千七百六十万六千余円、それから療養費として二十万七千余円、助産の
費用、それから
保險の宣伝の費門、
健康保險指導医の設置の
費用、
連合会負担金等を合せまして、二千九十五万三千余円の支出にな
つております。収入から差引きまして、そこに記載してございませんでしたが、三百七十九万二千円余の
赤字にな
つております。これは先程も
政府委員の方なら
お話しのように、一世帶平均としても二千円以上の
負担をしなければならんというような
意味から行きまして、
赤字が出ておりますのですが、浦和市におきましては、先程申しましたように、一世帶平均千二百五十円の割合でや
つて行きました
関係上、こういうふうな不足を生じております。従いまして、本不足については、来る市会におきまして、その不足額、ちようど第四期分に
相当する額くらい、六百九十万余円を追加いたしまして
徴収する
考えでおります。
それから
診療所を必要とするということを申上げたいのであります。これは浦和市におきましては、
農村部に
診療所を一ケ所十二月一日から置きました。従いまして、
農村は健康者が多いような
関係から、
医者の俸給等を支拂いまして、
赤字を出しておりますけれども、その経営の状況から見ますと、よいのではないか、いわゆる
健康保險の性質上利益を必要としないということを感じます。そこに
診療所施設使用料といたしまして、二万五千八百五十円を記載してございます。その次に計として同じ額がありますが、これは使用料でございまして
診療所が療養の
給付をいたします、それにつきましては、半額を使用料として
徴収いたしまして、尚半額は
健康保險の別の会計から、先程申しました歳出の部から受け入れることにな
つております。同額が受け入れられるものとしまして、二万五千八百五十円を受け入れますと、五万一千七百円の
診療所の収入ができるわけであります。そうしてこの支出の額がどうなるかと申しますと、ちようど俸給及諸給といたしまして、お
医者さんを一人置いており、それから看護婦、小使を置いておりまして、これが五万六千四百四十三円を支出しており、需用費で一万五千九百八十五円を支出し、それから新たに設けました
関係上、備品費と薬品費、雑費等を支出いたしまして、三十四方一千余円を支出しておりますが、実際に今後の続きます状況から言えば、俸給と諸給、それから需用費、それから薬物の
費用というのが漸次支出して行くことになりますが、最初のことでありますから、薬物にしましても、すぐ使わないものまで購入してありますから、ここに費額が非常に多くな
つております。今後の見通しとしましては、
診療所のことは、幾分の
赤字がありましても、保健衛生の上におきましては非常に利益があると
考えます。
その下にございますのが、三室
診療所としての十二月分の患者の数等でございます。一ケ月にかかりました患者の数は九十三件でございまして、一番終いの欄に、一件当り平均点数というのがございますが、これは患者一人に対して平均点数がどれだけかかるかと申しますと、二八・二九の点数で患者が治りつつあるというような状況であります。
ここにおきまして、一般開業医の方がや
つておるのと、
診療所でや
つておるのと、その
費用がどういうふうな
関係に響いて来るかということをちよつと申上げて見たいと思うのでありますが平均一件当たり点数としては、
診療所としては二八・二九でその人が漸次全快して行く状況にある。それから開業医の方で申しますと、一件当りの点数としては、五十二・二も要するような実情でございます。大雑把に申しますと、点数で約倍を要するような状態であります。ただ一概に、市内の開業医と、
農村部に設けましたところのお
医者さんとは幾分市民の健康状態の
関係もございまして、早く治るというような面があるかも知れませんけれども、その差は非常に大きいものである、のであります。
この裏側に設けられましたのは、十一月と十二月の
保險給付の点数等を調べたものであります。十一月のものは、丁度中頃のところに点数という欄がありますが、その下に五十一万四千七百三十一点とございまして、一点の点数について市の
健康保險の方から支
拂つておるものは五円でありますから、二百五十七万三千六百五十五円を要し、それからその次の十二月分は下にございますが、五十八万六千六百五十四円とな
つておりまして、これが五円と計算いたしまして、二百九十三万三千二百七十円という額に相成ります。先程申上げました一期の額が大体二百四十万円の調定額になりますので、ここで直ぐ
簡單に見ましても五十万円の一ケ月において不足を生ずる状態にな
つております……十二月といたして。
それから十一月で十四、五万円の不足を生ずるような状態でございます。それから荷先程
委員の方々から
健康保險も歓迎しない
医者がある、或いは
健康保險を歓迎はしないまでも、これに協力してやる
医者があるというような
お話でございますが、浦和市は全市の
医師会に呼び掛けまして、そうしてこれが協力に骨折
つて頂くということを要請をいたしまして、そうして了解した上でこの仕事をいたしましたのでございますから、歓迎しないお
医者さんも中には幾人かあると思うのでありますが、現在におきましては、市民全体が
健康保險証を以て
治療を受けるというような実情に相成
つておるのであります、従いまして
医師会から
反対運動をするとかというようなことはございません。ただここに申上げたいのは、
医療施設を市がやれば、これが一番いいと思うので病院を建て、或いは
診療所も要所々々に設けて、そうして市民の
医療を十分にさして行くということをいたしますればよろしいと思うのでございますが、病院を建てるということにつきましては、表立
つて反対はいたしませんけれども、あそこの場所ではどうとかいうようなことで、なかなか
反対の気分は濃いように思われます。併しこれはお
医者さんだけの仕事ではございませんので、市民全体のことでありますから病院も建設し、或いは
診療所を建設して、そうして強力にや
つて行く、
医療を十分にさして行くということは特に必要だと思うのであります。それにつきましては市が事業を行なう場合におきましては、資金というものが直ぐそこに
関係をして参りますので、資金のことにつきましては国庫におきまして
相当の
補助をして頂いて、その
施設をやらせる。そうしてこれが
医療事業を行わせるということになりますれば、その後におけるところの国庫の
補助というものはだんだん少くて済むというようなことも
考えられるのであります。浦和市におきましては二十五
年度におきましては、
診療所も新しく建設して行きたいと思うのであります。これらについても
診療所の建設費、
医療器具の購入費等につきましては、
事務費同様七〇%ぐらいの考慮をお願いしたいと思うのであります。これは県下の各市がそういう希望がございますので、又病院も市といたしますれば建設をいたしまして、そうしてこういうふうな国庫の
補助を受けて行きますればよろしい。ただ先程御
心配にな
つておる
町村のごとき、或いは五百戸の戸数とか千戸の戸数とかいうようなところにおきましては、一々病院を建てるというようなことは、これは不可能なことと思うのであります。それは
町村によりましては連合をいたし、或いは市の附近の
町村であれば市の病院に、或いは
診療所を頼
つて治療をして行くことができると思う。それから浦和市におきまして三室の
診療所と申しましたが、これは浦和市にかねて合併をいたしました三室の尾間木の地区であります。丁度両村が接近しておるところに市の農業指導所があります。その指導所を利用いたしまして開設いたしたのであります。その区民も非常に喜んでおります。いわゆる無医村であ
つたものがお
医者が来たというので喜んで利用されてそうして而もその利用につきましては、点数の点から申しましても、町のお
医者さんから思うと半額
程度の金で支弁できるというような
関係から、区民も非常に喜んで、昨日私のところに見えた他の区の市会議員でぜひ今度は私の方にも
一つ設置するように
心配して貰いたいということでありましたので、よく
考えてそういうふうにしたいということを申して置きました次第であります。先程の税をとるというような
関係から申しますと、
只今の
お話を伺
つて見ますと
保險料といたしましても、税といたしましてもそう違いはないものと思うのでありますが、税といたしても、それから
保險料といたしても、市長が執行する場合におきましては、その滯納につきましても
強制の処分を行うことができるのであります。ただ今の
保險料の滞納につきましては、督促状を発した場合には督促手数料はとれますけれども、延滞金に対する延滯料を
徴収することはいけないような
意味に解せられるのであります。これらも税と同じように、延滞金を
徴収するような規定でもお定め頂きますれば
保險税といたし、或いは
保險料といたしましても、同じ
意味において
強制的に
徴収し、その未納に対する延滞金のいわゆる過重をいたしまするというような制裁がありますれば、被
保險者であるところの市民も喜んで
税金を納めるのではないかと思う。或いは喜ばんとしてもそういうふうな、余計に金をとられるということであれば、やはり
税金と、同じように納めなければならない。これは
保險税といたされますれば尚結構であります。同じような
意味において、そういうところの規定だけ設けて頂きますれば大変よろしいと思うのであります。尚申上げた点で不十分な点がありましたら御質問によりましてお答えいたしたいと思います。