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政府委員(荻田保君)
地方税法について申上げますが、これにつきましては全面的の
改革が行われなければならないのでありまして、條文の数からいたしましても、いろいろ関係方面の示唆もありまして、五百條を超えるような條文に
なつております。
内容につきましてでありますが、大体
シヤウプ勧告の線に沿つておりますので、
シヤウプ勧告にありますことはもうたびたび申上げましたので除きまして、それを
政府の案として出します場合に、どの
程度採り入れ、どの
程度採り入れないかということが違つて参りますので、そういうことを申上げて置きます。
要綱について申上げます。二頁の所に税目、道
府県と
市町村との割振りが出ております。このうち道
府県税の
附加価値税、
入場税、遊興飲静税、それから
市町村税の
市町村民税、
固定資産税、この五つは
シヤウプ勧告でもかように決つておりますから、その通りに
なつておりますが、その外の税につきましては、道
府県と
市町村で適当に分けるということに
なつております。現在のところ一応このように考えておりますが、これに対しまして尚鉱産税、木材引取税、
入場税、軌道税、電柱税というものは
市町村税にし、電気ガス税を道
府県税にした方がいいのじやないかということも考えております。それから
市町村の
目的税の中、
国民健康保險税でありまするが、これは直接には
シヤウプ勧告では触れておりませんが、
社会保障税というような精神も合めておりますので、現在は
国民健康保險につきまして取つておりました保險料を
目的税としまして、はつきり
市町村税といたしたいと思いますが、この点につきましては最終的に決まつておりません。
次に
附加価値税でありまするが、
附加価値税の対象につきまして各種の、従前の事業税、特別所得税、この対象は一応全部新らしい
附加価値税の対象になるわけでございますが、
シヤウプ勧告では農業は全部除くと書いてございますので、これは除きたいと思います。
それから林業につきましては、地租との関係上
相当考慮しなければならんとこう書いてあります。これは課税対象から除外することにいたしたいと思います。
それから附加価値の計算の
方法でありますが、これは
シヤウプ勧告では、総
收入金額から他の企業に支拂
つたものを差引く、こういうふうに書いてありまするから……又一所には利子、地代、利潤、労賃、この四つを附加価値と見る、こういうこともありまするので、これにつきまして、そのどちらの
方法によるかということが問題に
なつておりますが、やはりこれは総
收入、総売上金額から他に支拂
つたものを差引くというやり方にいたしたい。これにつきましては実際の
納税者側から
相当強い反対もあるようでありまするが、一応こういたしたいと思います。それから附加価値が簡單に計算できないというような理由からいたしまして、特別の計算
方法を採るということを考えております。これは、ここに出ておりますような銀行、無盡、信託、保險、このような金融業につきまして大体実行いたしたいと、こう思いますが、これもある
程度、いわゆる強制でなくて選択的なものになる、又昭和二十五
年度だけの特例となるようにしたいと思います。
それからなお運送業、倉庫業につきましても特例を設けたいということを考えております。
それから課税標準でございますが、
シヤウプ勧告では百分の四乃至六を取れば四百四十億の
收入が上げられるというように書いてありますが、大体その最低の百分の四を以ちまして四百四十億を徴收し得ると考えますので、この
程度にいたしたいと思いますが、何分にも新税でありまするから、なるべく、課率を安くした方がいいと考えますので、更にもう少し検討して、余地があれば三・五というような率に下げてはどうかということも考えております。なかなか百分の四でも
目標額を確保するのがむずかしいのじやないかというふうに考えております。
それからなお原始産業、自由業につきましては一%
程度差等を設けたいという考えでございます。
それから次に
市町村民税でありまするが、これにつきましては
シヤウプ勧告では、
市町村内に住所を有する個人、而も所得のある個人というものだけを課税対象にしておりまするが、やはり
住民税的色彩を一部持たせるために、住所がなくても
事務所、事業所、家屋敷を持つておるような個人とか、或いは法人につきましても一部
負担さした方がよいと考えられまするので、
均等割りのものだけはこういうものにつきましては課税したいと思つております。
それから税率でありまするが、先ず
均等割りにつきましては、この表に出ておりますように大体個人につきまして制限税率千円、七百五十円、五百円と
シヤウプ勧告で決まつております。この場合大体八割
程度を以ちまして標準税率といたしております。法人につきましてはこれの三倍を標準税率といたしております。制限税率につきましては四億くらいにしたいと思います。
それから所得割の方の標準税率でありまするが、これは百分の十八としております。制限税率は
シヤウプ勧告案の通り百分の二十にいたしたい。
それからこの賦課
方法につきまして今も
陳情がありましたが、源泉申告として国税と同じようなとり方をするか、或いは、……その場合当該
年度の所得を標準とすることになります。そうじやなくて、前
年度の所得を標準にしまして賦課課税をするか、その二つの
方法を
研究したのでありまするが、その場合利害得失がありまするが、結局今のところでは前
年度の所得を標準といたしまして、賦課課税をいたしたいと考えております。
それから次に
固定資産税でありますが、個定資産税の対象は土地、家屋その他減価銷却のできる財産、土地家屋は従来と同じであります。減価銷却をなし得る財産、これは法人税或いは所得税によりまして、その計算上減価銷却を認められるような資産、これはすべて入れることにいたします。ただ自動車税、自転車税、荷車税、この税が残りまするので、この場合対象になるものは入れないということにいたしたいと思います。これによりまして軌道税、電柱税というようなものがやはり残るのであります。さようなものを課税対象から外す方がいいのじやないかと思われまするが、今のところそのように行かないようであります。
それから課税標準の
調査でありまするが、これにつきましては、
市町村に評価
委員を置きまして、評価
委員が評価するのでありまするが、この際愼重を期しますために、
市町村、道
府県及び国、この各段階にそれぞれ
委員会を作りまして、
異議の採決、或いは基準の設定というようなことを一応取扱わしたいと考えております。
それから二十五
年度の土地家屋に対する特例でありまするが、これは
シヤウプ勧告の通り、一応宅地、農地以外の土地及び家屋につきましては、現在賃貸価格の千倍、農業地につきましては、公定価格の二十五以下において定める倍率、こういたしたいと思います。
それから課率でありまするが、課率は
シヤウプ勧告で、昭和二十五
年度に限りまして百分の一・七五全国一定にするということでありまするので、これもやはりそういたしたいと思います。ただこれにつきまして問題でありまするのは、このような千倍の百分の一・七五といたしますと、
相当高くなりまして、現在の土地家屋税の
負担に比べましても三倍になるわけでありまするが、成るべく下げるということも、又
シヤウプ勧告でもこれによりまして五百二十億の
收入を得ればよいということに
なつておりまするが、これを得るのには千倍の百分の一・七五としてむしろ十分じやないかということを考えられますので、もう少しこれを引下げるように努力いたしたいと思います。
それから
入場税以下の項目は大体
シヤウプ勧告の通りでありまするが、ただ遊興飲食税につきまして
シヤウプ勧告では税率について触れておりませんけれども、これを少しく下げたいと思つております。併し徴收額は大体現在通りのものを確保したいと思つております。
それからその外の各税につきましても一応標準税率というものを設けることにいたしております。
それから廃止する税目でありまするが、この中使用人税と屠畜税、この二つは
シヤウプ勧告では残すように
なつておりますが、これは税額等から考えまして廃止することにいたした次第であります。なお余裕住宅税も廃止いたしたいと思います。それから自動車の所得に対して自動車税、これは
シヤウプ勧告は残すことに
なつております。外の流通税がなくならないで残つておる。これもやはり廃止いたしたいと思います。
それから施行の期日でありますが、これは二十五
年度から適用になるわけでありますが、
入場税に関する
改正規定と不動産その他の所得税、これは三月三十一日から廃止いたしたいという考えでございます。大体そのようなものであります。
それから
地方一般平衡交付金につきましては、目下法案を立案しておりますが、これは大体
シヤウプ勧告の線に沿いまして、それを具体的に書くという
程度でございます。ただ具体的に書くと申しましても、何分にも全部数字のことでありますので、一々数字を挙げるわけにも参りません。従つてその挙げ方なり計算
方法というようなことを、大体前の配付税法というものに
相当するような規定を置くことに
なつております。
それから
地方財政法につきましては、これは国と
地方の
負担区分というようなことが
相当大きく変ると思います。それで根本的に変えなければならんのでありますけれども、併し
事務の国、道
府県、
市町村における分配、従つてそれの
負担関係というようなことは、
地方行政調査委員会の
調査に俟つ部分が多いものでありますから、差当りこれに手をつけませず、適用を除外するというような簡單な
程度に留めておきたいと思つております。