○堀末治君 簡單に申上げます。今般私に院議に基いて秋田県及び宮城県について第七
国会に
提出された
地方税法案その他これに関する
事項及び公職選挙法、治安問題、
警察制度並びに消防制度敷革に関する七項目について
現地調査を行な
つたのであります。その詳細につきましてはいずれ参考資料を添えて文書を以て御
報告いたしますが、特に極く簡単にその概略を御
報告申上げたいと思います。尚西郷
委員が一緒にか行かれることにな
つてお
つたのでありますが、止むを得ない支障によりまして同行が願えませず、私一人であつたことは誠に遺憾に存じますると共に、
地方の方々に対し非常に気の毒をいたしました。
日程は六月二十一日夜行出発、二十八日帰京いたしました。
先ず秋田県におきましては秋田県庁、河辺郡仁井田村役場及び平鹿郡橘手町役場に参り、宮城県におきましては宮城県庁、塩釜
市役所、宮城郡多賀城村及び利府村の両役場に参りたのであります。それぞれの所で県、
市町村の理事者を初め、
議会関係者、協同組合、林業、水産業等の
関係者、商、工会議所並びに消費者代表者、選挙管理
委員、公安
委員、
警察及び消防
関係者等、広く各界各層の方々にお集まりを願い、
意見を聽取いたしたのでありますが、
各地共極めて熱心に
意見の開陳があり、裨益する
ところ頗る甚大でありましたことは感謝に堪えなかつた
ところであります。それぞれの県、
市町村においてはおのおの特殊の
事情があ
つて種々参考になる点が多か
つたのであります。特に感じたことを二、三申述べて見たいと思
つております。
先ず第一にこの度の
地方税法案に対する一般の理解が非常に不十分であ
つて、これに対する
研究も又十分でないということであります。
従つて冒頭において
法案の概要を説明し、これに対する質疑応答が盛んに繰り返され、然る後に
意見の開陳が行われたということであります。概して
地方公共団体理事者は一通り
法案の
研究もし、
従つてこれが全面的成立を希望しておつたことは御承知の翻りでありますが、実地についてその
意見を聽くに及んで一層その感を深くいたしました。殊に秋田県仁井田村及び宮城県利府村のごときは、注案に対する
研究も頗る緻密で、その成立を熱心に希望してお
つたので、若し今回反対せられた
議員が来県せらるるな
らば、先ずその反対
理由を詳細に承
つて、然る後自分らの
意見を開陳したいという意気込みであつたが、賛成
議員の私だけだというので非常に張り合い抜けをしたような光景も呈しましたことも一言附言して置きたいと存じます。問題点は総じて附加価値税、
固定資産税、並びに
市町村民税に論議が集中されたことは申すまでもありません。中でも農村
関係は附加価値税については余り問題がありませんが、農業協同組合
関係者がその税の本質から、反対はせないが、税率の特別扱いを希望するという
意見のあつたことは
国会の論議と大分趣が異なるので、私としては仰か奇異の感を抱きました。
次に同税については商工会議所
関係、中小企業者の現在の経営難の状態から
相当強い反対
意見が述べられ、又漁業者
関係等よりも、その徴税手続その他について灘る困難を予想して、苛斂誅求の結果を招くのではないかとの
意見が述べられたことは、本税の仮扱いについて十分
研究を要するものと思います。尚この点については、宮城県において作成した各業種別附加価値税試算表は、頗る貴重な資料であると存じます。これは非常に丁寧なもので後で御覧に入れますが、非常に丁寧に作
つてあ
つて見せて呉れました。
次に
固定資産税についてはその倍率が問題に
なつたことは申すまでもありません、特に両県は積雪寒冷地帯で、且つ單作地帶の
関係上、農産物処理のため温暖地に見られない倉庫、納屋等の大きい坪数の起物を必要とする、その点を考慮してその倍率若しくは税率に適当の差異を設けられたいとの希望が
各地共異口同音に述べられたことは、立法上考慮すべきものであると痛感いたしました。
市町村民税は今次立法の
精神の説明によ
つていずれも理解を深め、余り問題のなかつたことを欣快に存ずる次第であります。最後に最も注目すべき
意見としては
東北地方の單作地帯の農村においては現金
收入のあるのは下期後半であ
つて、上半期は資金の投下期であるという現状に鑑みて、納税時期を
法律でも
つて全国画一的に定めることなく、その
地方の状況に即応して徴税期を定めるよう或る
程度の弾力性を持たせるようにしたた
らば、徴税上容易且つ効果的であるとの
意見が資料を添えて強力に開陳せられた、これも
研究すべき課題であると思いました。これもずつと一年中の税の収入を書いたのがございます。なかなかこれも参考になると思いましてこういうことを申上げるのであります。更に農村については殆ど問題にならなか
つたのでありますが、市及び
相当の大きな町においでは、入場税及び遊興飲食税の附加税の廃止によ
つて、要するに月税収入の減少を来たし、それぞれの財政
收入に非常な困難をもたらした故に、その配分についての再検討を要する。これも横手町あたりは特にそうでありましたが、同じ町ではございまするけれども、いわゆる電気、ガス税などは非常に少いのでありますから、殊にいわゆる日金が入らないということにな
つて月々の金操りが非常に都合が悪い、これは殊に農村地帶は後で申しますが、成るべくな
らば十日以前に
平衡交付金をみな入れてくれないか、こういう
意見があ
つてああいう村の表を見て見ますと、尤もな要求だと思
つております。
次に
地方税法不成立に伴うその他の三四項目について一括して申上げますが、前に申した通り、各
市町村共
地方税法不成立に伴つで財政
收入の非常な違算を来たし、專ら
平衡交付金の概算拂い、及び預金部などからの借入金によ
つてその財政空白事態を辛うじて切り抜けておる次第で、各種の継続事業は繰延の止むを得ない情況にあるのであ
つて、これらも
地方の金詰りに一層の拍車をかけておることは見逃せない事実であります。殊に
各地における預金部資金の借入金、これは預金部資金ばかりでなく、
地方銀行から借りておるのもあります。それから利子の負担も計算がはつきりついそおるのもございますが、それぞれ莫大な額にな
つておる、その利子の負担は国家補償をして欲しいという要望は
各地共共通且つ熾烈なものがございました。これは今
国会において
政府を鞭撻して飽くまでもその要望に副うようにすべきであるということを痛感して参
つたのでございます。
只今も
委員長の代理で
町村長会の大会へ行
つて祝辞を述べて参
つたのでありますが、その挨拶を附いて見ますとこの利子が大凡七億にたるという説明をしております。さようなことで是非これは
一つ政府に処置を取
つて貰いたいという決定がされたようでございます。
尚
臨時国会において
法案通過の暁には国税、
地方税共徴税時期が八月以降に集中するという
関係上、果して円滑なろ徴税が行い得ろか非常に懸念に堪えない。殊に皆さん御承知の通り
地方へ行くと、相変らず要するに国税優先、国家優先という観念が田舎へ行けば行く程強いのですから、これはどこの村でも国税優先にな
つて、いわゆる
市町村税の方が取残されるのじやないかということを非常に懸念しておりまして、できろことな
らばその徴税について何らか立法
措置が望ましいということで、これも又当
委員会としては
相当に考究すべき問題ではなかろうかと思
つて帰
つて参
つたのであります。
又
地方財政平衡交付金については、財政需要度測定單位につきいろいろ議論があ
つたのですが、その特殊のファクターとして、積雪寒冷度を認められたことに対しては、一般に非常な好感を持
つて迎えられましたが、前申しましたごとく、單作地帶並びに頻発する冷害等に鑑みて、
東北地方の
特殊性を考慮に入れてその配分率を決定せられ、特別な考慮を入れて頂きたいという強い要望もございました。尚決定した交付金及び公共事業費等の配分については、できるだけ速やかに末端まで交付されるように
政府を鞭撻して欲しいという要望もなかなかに強いものがございました。
第五の公職選挙法並びに今回の参議院選挙の施行状況でありますが、選挙当日は農繁期であり、且つ天候不良であつたにも拘らず、
関係者一同の多大の努力によ
つて比較的投票率が良好であ
つたように思われます。ただ
改正選挙法が選挙間近に成立に
なつた
関係から、この度の選挙には十分その
趣旨が徹底しないで、実際の運営の上に種々困難を感じ、殊に農村等では全国区候補者の氏名、閲歴、政見等が全く不徹底で、誰に投票すべきか分らないという有様で、可なりの白票を投じた者があ
つたのは頗る遺憾である。その上全国区の選挙事務が複雑を極め、多大の手数を要する等の
理由で、全国区を廃すか乃至は数個のブロックに分けてはどうかというようなこと、その点で特にこれは選挙
関係の方で御注意を願いたいのは、舶乗りの
関係でありましたが、これが塩釜で、神戸かどこかの船籍のある船が塩釜へ来てあすこで投票する。
ところが船に乗
つてずつと歩いておるので新聞も何も見ない。それだから自分の選挙区に誰が立
つておるか分らない。塩釜の役場へ来て聞いたけれども、全国区は分
つておるけれども、
地方区のことは一向分らないので返事のしようがないので、し方がない、それでは止めて置こうかということで帰つたという
事情もあるので、何かこれらについて適当の
方法を講じて欲しいというような要求もありましたけれども、些細なことでございますけれども、折角投票しようというのに、名前も分らない、開いて分らないということは、選挙としては非常に由々しい問題だと思
つて聞いて参
つたので申上げる次第であります。
尚同時選挙、全国区候補者の氏名掲示、選挙当日投票所から一町以内にあるポスターの撤去、代理投票についても、種々
意見の開陳がありましたが、これは後で文書に譲ることにいたします。ただ今回の選挙の結果に基き、
各地の
意見を総合して公職選挙法の完璧を期することは、恐らく本
委員会に課せられた重要な案件だと、かように思
つています。
次に第六の治安状況でございますが、秋田県能代市では「職よこせデモ」「減税デモ」等はあすこが一番盛んな
ところでございますけれども、余り大事にはらないで平穏の状況でございました。宮城県ではいわゆる塩釜事件等があ
つたのですが、これも
警察の努力と市民の理解ある協力によ
つて事なきを得たということであります。一般に治安状況はよろしうございました。
それから又宮城県におきましては県條令として公安條令が制定せられておるが、集票会示威運動等未だ禁止した例もなく、極めて良好であるとのこどでありました。又殊に宮城県は、ここに資料がございますが、恐らくどこの
警察にも見られないような非常に立派な
報告……、特にその資料を纏めたいからというので半日私らを休ませて、私の方も予定があるが、それじやよろしいから、どうか完全な資料を收細めるために一日の余裕を欲しいというようなことでございましたので、折角向うさんが熱心にや
つて頂くことですから、まかろうというので我々も平日のびのびと待
つてお
つて次の日に参つたら、ここにございますが、それは非常に立派な資料で、こんな立派な資料をまとめて、いろいろな表等をのせて
警察問題ではなかなか立派に行き届いておる感を深くいたしました。又共幹部の追放の影響等も、あの県では余り顕著な動きはなく
東北大学のイールズ事件、あすこに私共が行つたときはあれに対する
措置が講ぜられていない、さような
ところから
只今は公式の席上では言いませんでしたが、散会に
なつた後に私的なときに
東北大学の方も北大のと
つたような少し強硬な
措置をと
つて貰つなければ、ああいうことは将来の治安上よろしくないと思うから、若しなんだからそういうことを
一つ私共の方から
お話願うと大変いいというようなこともございましたが、併し我々が入
つて言うべきものでもないので、そうですか、又いずれということで、まあ新聞で見るような、そういうようなことで大変結構だと恐らく喜んでおられることと察するのであります。
又
警察制度につきましては、
警察法施行後三年余を経過して、これは随分問題でございました。いわゆるあの当時の
人口を基礎として算定しておるのですが、戰後非常に
引揚げその他で又都市の回復、そういう
ところから非常に
人口の移動があつた。その移動によ
つてなかなか是正されておらないというので、あらゆる
警察行政事務の執行上支障を来たしておる場合が多いという現場状に鑑みて、
人口を基準として
自治体警察吏員の増減、配置変更等を要望する声が、これは
各地共この問題は
相当に言われたのであります。その他
国家警察及び
地方自治体警察相互間の人事交流の道を開いて貰いたい。さもなければ、
警察界に常に清新の気風を注ぐことも出来ないし、又情実
関係が多いので、殆んどいわゆるボスの取締りなどということは全然できなくなるであろうから、この点については十分にお考えを願いたい、こういうのがありました。それから又もう
一つには、今の
地方自治体警察の相互間の応擾
規定が明記をされておらない、そんなような
ところからこれも非常に不便を来たしておるから是非これはお願いしたい、こういうことでございました。それからその
経費の負担については、
平衡交付金中、その重要度を高めると同時に、
自治体警察等の講施設その他に対しては、国家の補助を必要とする旨の
意見もなかなか強力でございました。特に塩釜市で問題にな
つたのは、あそこは海の
関係もございますので、いわゆる
海上保安庁と
警察との権限が港内において競合して区分が明瞭でない、どつちについていいか分らないというようなことで、非常な支障を来たしておるから、この点についても是非
一つ至急に権限の明確化をして貰いたい。これはもう実例は純かいことを聞くいとまもございませんが、いずれ
海上保安庁あたりで聞けばお分りのことであろうと思いますが、できれば近い機会において早く権限を明確にすることを
一つ考えて頂きたい。かように存じます。
第七には、消防制度改革の
意見としては秋田県において特に多か
つたのですが、去年の能代、本年の鷹ノ巣の大火等の生々しい経験から、要するに今日の
地方自治体の財政貧困の現状からして、到底その完全な消防設備ができないのであるから、
政府が、大火があ
つてしま
つてからそれ復旧の、補助だとか、やれたんだとか多額な国費を使うよりも、むしろ燒けた跡の後始末に金を出すよりも、燒けない先にそういう
方面に少しく国費を投じて
自治体の
警察等を完備させて置くことが
本当にいいのではないか、こういう
意見があ
つて、これは非常に私傾聽すべき
意見だと思
つて、いずれこれは当
委員会でも
研究して
政府の方に申出るか、或いはなんか
委員会の発議で適当な
方法を講ずることが必要ではないか、実はかように考えるのであります。
それからもう
一つございましたのは、いわゆる非常時における
都道府県知事の権限の拡張、これもここでたしかどつかから陳情があつたことでございますが、この点についても大分
意見がございました。
それからもう
一つ、これは聞くべき
意見だと思いましたのは、隣村、或いは
交通の状況を勘案して、数ヶ町一村を一ブロツクにして、そうして消防署を設置する、これも何か法的な
措置を考えたらどうか。これも、数ヶ
町村が一ブロックにな
つてやるといううことも、なかなか今の
日本としては悪くないことだから、かようなことで、大体これであらかた骨子を申上げた次第であります。いずれ、資料はこれだけ
貰つて参りました。なかなかよく
各地共資料をまとめてくれて、非分に熱心に
意見を開陳して噴きまして、ありがたく感謝して帰つた次第であります。
簡單でありますか、以上を以て御
報告といたします。