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説明員(久野保君) 御発言のお許しを得まして
鉱産税につきまして甚だ僭越でありますけれども、是非これを
市町村税として存置せられまする
よう、北海道並に九州、常磐その他炭鉱
関係、
全国二百十数
市町村を代表いたしまして、田川市長
陳情を申上げます。
岡本
委員長殿初め委員の
皆様方におかせられましては、第六臨時国会閉会お休みになる暇もなく第七通常国会に入りまして、非常にこの御繁忙を極められ、いろいろ国政の上に御
審議を頂きます上に、而も私共
地方の
市町村の行政全部、特に
財政上の問題につきまして、独立自営の立場で進み得る
よう種々御検討頂いておりますことにつきまして、厚くこの機会にお礼を申上げたいと思うのであります。
陳情書を正式なものをお差上げいたしておらないことを誠に申訳けないと思うのでありまするけれども、専門員の方を通じまして、いろいろな
建前から、自治庁の方を初め
財政部長その他の方々の御
意見をも承わりまして、いろいろ占領下にあります故を以ちまして、お濠端の
意見等も多少伺
つて置く必要がないかと御相談いたしましたところ、そういう必要もあるであろうということで、二回に亘りまして
陳情に出ましたが経過に基きましてその
陳情書を引用して頂くことにいたしまして、お
手許にお届け頂く
ようにして置きましたわけですが、簡単にこの炭鉱並びに鉱山の所在地の
実情、
財政的に特に困
つておりまする
状況を理由として申上げまして、御批判を頂きまして御同情を賜わりたい、か
ように考えておる次第であります。第一この御
承知でありまするけれども、炭鉱所在の
市町村は概ね労働者を以ちまして、大多数の人口が本当にこの石炭の増産と相比例いたしまして、増加して参
つておるのでありまして、甚だしい町村に至りましては、殆んど人口の八〇%以上が炭鉱の従業員であるという実態であるのでありまして、又更にこういう労働者の間におきましては非常に異動が頻繁に行われるのでありますという
関係。
一つは又この人口の増加率が非常に高いのと並行いたしまして、生徒、児童の増加率も
全国平均の倍以上に相成
つておりまする数字の事実もあるわけであります。そういう点から申しまして、非常にこの行政費が外の
市町村に比べまして異常な暴騰をいたしておる
ような次第であります。と同時に一面従業員の各位は非常に先程申上げました
ように浮動性がありまする
ために、定着性に欠けて、担税力の点におきましても、極めて一般
市町村民とは隔りがありまして担税力に欠けておる点が非常にあるわけでありまして、行政費は嵩む一面、歳入の点におきましては非常に負担力が乏しい
ために、一般市民がこれによりまして多くの負担を課せられるという
ような
実情をかいつまんで申上げたのでありますが、そういうことがあるのであります。
尚前後いたしますけれども、一応この
鉱産税の経過はもうすでに先生方におかれては御
承知のことと思いますが、御参考までに申上げまして御了承を頂きたいと思うのであります。
鉱産税は
昭和三年かと確かに覚えておりますが、三年に国税として徴收せられて十二というものを徴收せられておりましたが、いろいろ炭鉱
市町村の
実情から申しまして、地下にあります石炭を掘り話します
ために、地上その他に大きな被害、河川、或いは道路、或いは橋梁、或いは田畠、或いは家屋等に甚大な被害を生じて参りまするが故に、非常な迷惑を被む
つておりますることと、その
市町村が非常に
財政的には今申上げました
ように、疲弊いたしまする
ために、当時の
関係の
市町村が話合いをいたされまして、そうして
政府に
陳情せられまして、その後
昭和七年六月にその半額を
市町村に移譲を適えて頂きまして、ずつと徴收して参
つたのでありますけれども、
昭和十五年に至りまして、
税制の
改革において一応これが取止めとな
つたのであります。廃止の運命に会
つたのであります。その後終戰直後に至りまして、非常にそういう切実な局地的な問題につきましては、もう従前もそういう歴史を繰返しておりまする
ように、一般の
市町村も非常に
財政上困りましたけれども、特に炭鉱所在の
市町村は大きな負担に堪えかねまして、即ち
昭和二十二年の終り頃から二十三年の初めにかけまして、極力
政府並びに
関係当局、或いはGHQ等に
陳情をいたしまして、或いは勿論この国会の参衆両院に対しましても御相談を申上げました結果、幸いに私共の非常な苦痛であり意のあるところを御了解頂きまして、鉱産価格の千分の十を
地方税として法定化して頂きまして、誠に感謝感激して現在それを頂戴して参
つておるのであります。その比率におきまして、多少私共
市町村の、言葉は悪いかも知れませんが、気に食はない点がありまして、やはり従来の国税の時代は半額を
市町村が貰
つておりまして、府県には何らそういうものに対して、この
鉱産税を取るべき何らの理由もない。こういうふうに解釈して参
つたのでありまするが、たまたまこの分割につきまして千分の十の
鉱産税の六割を
市町村に、残りの四割を府県にということには、私共切実に全部
市町村に頂きたいということを
陳情申上げておりましたけれども、これは單に府県も全然
関係はないということはないということを私共も認めているわけでありまして、知事さんの御斡旋で四、六ということで折合
つて頂いた
ようりにな
つているのであります。そういう経過を踏んでおりまするのに、幸いにいたしまして今度の画期的なシャウプ博士の
勧告によりますところの
税制改革、即ちこの脱税と申す一部に入
つていると思うのでありますが、それを
地方税としてお残しを頂く。これは又
政府におかれましても、事務局におかれましても、国会におかれましても、非常に懸命な御斡旋を頂いた結果であると非常に私共感謝をしている次第であります。たまたま慾張
つて單に
市町村が全額をこの際貰いたいと、こういうふうにのみ申上げるわけではございません。いろいろ各
方面の
意見を聽しまして、いろいろな理由において、炭鉱所在の
市町村が困
つているという事態に基いて、他の
市町村と比較して、税の收入が少い上に出費が多いという
建前から、これは特に
関係の
市町村と密接不可分の
関係にある団体に付與してや
つて呉れという、
全国市長
会議の決議もさ
ようにな
つております。又更に
全国町村長
会議の決議も同様でございます。尚又一面知事
会議で、或いはこの
鉱産税を
都道府県税としてはどうかという
ような
意見も一応出たそうでありますけれども、特にこの至大の
関係を持ちますところの福岡県或いは北海道、具体的に申上げますと、福岡県では大体この
鉱産税の全額を三億数千万円と予想いたしているのであります。北海道におきましても約二億に近いのであります。その他の常磐、或いは長崎、佐賀、山口等で残りを持ちまして全額約十億と、か
ように相成
つているのでありまするが、その大都分を、過半数を占めておりますところの福岡県、或いは北海道、この両知事さんがこれはどうしても炭鉱所左
市町村の実態を見るに忍びない。是非共この
鉱産税は地元に還元する
意味において、
市町村に付與して貰いたいものだ、か
ように宜治
委員会に対されましても切実な
陳情をしておられるのであります。尚又当の業者であります鉱業権者の集まりの
日本石炭協会におきましても、これはどうしても所在の
市町村とは極めていろいろな事業の、忽ちに事業に響く従業員をお世話して貰うという立場からも、或いは炭鉱が加害者の立場になりまして被害を及ぼすから、その間復旧するまでの間不便不自由をかけている、これに対しても甚だ気の毒だ、まあ府県に全然
関係はないとは申せないけれども、とにかく軽重を言うならば何
といつても議論の余地はない。これは
市町村に是非共や
つて貰わなければならんという
陳情を、これは文書で出して呉れると言
つておりましたけれども、口頭で
財政部長さんのお
手許にお願いに出ているという
ような事実もあるのでありまして、いろいろな
建前から申しまして、話が前後いたしましたけれども、私共の切実な願いといたしましては是非共
鉱産税を、
関係の
市町村が如何に
財政が
窮乏し、如何に犠牲を払
つているかということにお目を留められまして、是非とも本
委員会におかれましても
市町村税として御決定硬きます
よう、切に或いは
政府の当局にいたしましても御理解頂きますと同時に、司令部
関係におきましてもスムースに参ります
よう要望申上げる次第であります。いろいろまだ申上げたいこともありますけれども、大変時間も経過しているのでありますから、極めて簡單でありますけれども、お願いの要旨だけを申上げまして
陳情に代えたいと思います。どうぞよろしく……