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1950-04-10 第7回国会 参議院 地方行政・大蔵連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十日(月曜日)   —————————————  委員氏名   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事      吉川末次郎君    理事      岡田喜久治君            三木 治朗君            黒川 武雄君            堀  末治君            岩木 哲夫君            櫻内 辰郎君            谷口弥三郎君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            島村 軍次君            鈴木 直人君            太田 敏兄君            濱田 寅藏君   大蔵委員    委員長     木内 四郎君    理事      波多野 鼎君    理事      黒田 英雄君    理事      伊東 保平君    理事      九鬼紋十郎君            天田 勝正君            森下 政一君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            平沼彌太郎君            林屋亀次郎君            油井賢太郎君            小宮山常吉君            高瀬荘太郎君            高橋龍太郎君            川上  嘉君            木村禧八郎君            藤井 丙午君            板野 勝次君            米倉 龍也君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方税法案内閣送附)   —————————————    午後一時四十九分開会    〔岡本愛祐委員長席に着く〕
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方税法案について地方行政大蔵連合委員会を開会いたします。予備審査でございます。先ず国務大臣より一通りの説明をお願いいたします。
  3. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) 今回の地方税改正法案の内容につきまして、先ず御説明申上げたいと思います。  今回の地方税改正は、これは中央の国税と一貫した財政計画に基くものでございまして、このことがどうしても余儀なくせられました理由は、今日までに地方団体が甚だしい財源難に陥つておりまして、無理な強制的な寄附金にまで頼らなければならんようになつてつておりますので、この税制の面からも地方財政はもう破綻に瀕しておると言われておるのでございます。地方団体の中で七割以上のものが普通の場合よるべきものとして定めてありまする標準税率を超えております。又相当無理な税目まで法定いたしておりますに拘わらず、その法定税目以外に、法定外の税を設定しておりますものが地方団体の中では二千を超え、税目では百種を超えるとというような状態でありまして、誠に税制そのものが、地方財政関係から考えまして、行き詰つておると言わねばならんと思うのでございます。又現行地方税制附加税をやめまして、独立税中心主義を取つているのでありますけれども、この独立税であつても、事業税地租家屋税というようなものは、国の所得税、或いは法人税課税標準を同じくし、又国の法定した賃貸価格標準とする等の関係から、甚だしく国に依存的な体制になつているのでありまして、地方自治の本当の伸長を期するためには、この財源を豊富にすると共に、地方みずからの責任において、この財源を確保させ、自治運営に対する住民の監視と批判を求めて行くようにしなければならないのでございます。從いまして、今回改正の第一の目標地方税收入を拡充し、地方税制自主性強化し、地方自治の基を養うというところに出たわけでございます。  今日までの地方税の主な税種についてその経過状況を御説明申上げますと、先ず第一は事業に対する課税でありますが、戰災前この地方税総額の中で事業税占むる割合は二〇%であつたものが二十五年度においては三五%内外になる見込であります。又事業税の中で個人事業主の負拠しておりますものが、戰前五〇%内外であつたものが、これが九〇%にも達すると、こういうことは現行事業税が二重の意味において不合理になつているのであります。第一に他の課税客体に比べまして事業負担の重過ぎるということであり、恵二には本来応能的に負担すべき事業税が大企業には不当に安くなつているということでございます。又土地家屋に対する課税でありますが、これも、地代家賃統制令関係があるからとは申しながら、戰前、税総額の三〇%を占めていたものが、現行税制で参りますと僅かに一〇%に過ぎなくなるのでありまして、これも甚だしい負担の不均衡が感ぜられるのでございます。仮に営業用の乘用車一台の負担する税は、これを畑地にいたしますと三十七町歩の畑地に匹敵し、家屋なら八百数十坪の家屋に匹敵しておるのでございます。  又住民税でございますが、住民税負担分任精ィから、極く小額のものを課そうという趣旨でありましたものが、段々ここに無理をしないわけに行かないような状況になりまして、標準税額の十数倍に達している町村も珍しくないのでございます。こういう状態でありますので、根本的に地方税制改革して、地方負担合理化均衡化を図ること、これを税制改革の第二の目標といたしたのでございます。  而してこうした目標の下に、これに対する具体的な地方税改革の方針は、先ず第一には財産税重課流通課税整理消費課税の減少、軽減所得課税増加事業課税軽減、雑税の整理等を行いまして、地方税全般亘つて、その負担合理化均衡化を徹底化することであります。  第二には課税標準税率等に関する地方団体の権限を拡充いたしまして、地方税制自主性強化すると共に、道府県税市町村税とを完全に分離いたしまして、税務行政責任帰属を明確にすることであります。こうした見地から道府県税といたしましたものは、普通税附加価値税入場税遊興飲食税自動車税鉱区税漁業権税及び狩猟者税の七税目目的税水利地益税であります。市町村税といしましたものは、普通税で、市町村民税固定資産税自転車税荷車税電気ガス税鉱産税木材引取税広告税入場税及び接客人税の十税目でありまして、目的税では水利地益税及び共同施設税であります。  第三には有力な直接税を市町村税といたしまして、その收入強化を図ると共に、住民市町村政行に対する関心の増大を図つたことでございます。  第四には特別徴收規定、又第五には税率を全税目亘つて明確に規定することによりまして、負担均衡化を図ろうとしたことであります。こういう改正によりまして、昭和二十五年度において自治団体收入することのできる税額は、千九百八億になる見込であります。昭和二十四年度千五百二十四億と比較いたしますと、三百八十四億の増税ということになります。この地方税の外に地方財政平衡交付金創設災害復旧費全額国庫負担等を行いますので、相当の財源増加になる次第でございます。  以下先ず新設される税目について御説明申上げたいと存じます。  第一は附加価値税であります。附加価値税は、事業税及び特別所得税を廃止すると共に、これらの税税客体であつた事業附加価値に対し、附加価値額課税標準として、事業所又は事務所所在道都県において課税するものでありまして、いわば事業税特別所得税の見合いとして附加価値税がここに生まれるわけでございます。附加価値と申しますのは、当該事業がその段階におきまして、国民所得に附加した価値を指すものでありまして、これを生産国民所得観念で申しますならば、一定期間内における当該事業の超売上げ金額より、他の事業から購入した土地、建物、機械設備、原材料、商品、動力等を控除したものを申します。逆にこれを分配国民所得観念で申しますならば、賃金、地代、利子及び企業者利潤を合算したものに該答すると言えましよう。このような附加価値額課税標準とするところの附加価値税を、従来の事業税に代えて創設いたします第一の理由は、従来の事業税でありますと、先ず收益課税であります本質上、非転嫁的なものでありますが、この非転嫁的な所得の上に累積的に課税されます関係から、事業に対する負担が堪え難いまでに重くなるのであります。  第二には、事業課税標準所得でありますために、必然的に国税たる所得税及び法人税課税標準算定の結果に追随せなければならないことになります。又事業税課税についての国と地方との責任帰属を不明確にするという点もございます。  第三には、事業税によりますときは、所得のないものは常に課税を免れるが、事業を継続しておる以上は、常に地方団体施設恩惠に浴しておるのでありますに拘わず、所得がないということで、地方団体負担までも全然免れるということは、誠に地方財政確立見地からも適当でないと考えるのでございまして、事業がすべて応分の地方税負担をすべきである、その点があるに拘わらずかような工合になつておりますことが欠陷であると考えられます。附加価値税におきましては、以上のいずれの欠陷をも一応合理化することができます上に、取引高税のごとく、重複課税とならないこと、企業の垂直的な結合を促進するような欠陷を有しないこと等の長所があります。更に進んで固定設備購入代金課税標準から控除されますが故に、現下の我が国経済にとりまして最も必要な産業有機的構成高度化を促進するという効果も期待できるわけでございます。又附加価値税は、農業林業及び鉱物の採掘、採取の事業には、非課税の取扱をいたしております。その理由は、農業林業固定資産税関係、後者につきましては、鉱産税があるからであります。次に附加価値税税率は、標準税率四%、制限税率八%となつておるのでありますが、原始産業自由業等につきましては、標準税率三%、最高税率六%とし、免税点はいずれも附加価値額総額が十二月分として九万円を原則といたしております。  更に附加価値税徴收手続は、これ又国税と同じく申告納税方法を採り、二十五年度に限りましては、概算拂規定も定めておるのでございまするが、その納期は、個人にありましては、各年の附加価値額実績によつて、それぞれ所定の手続に従いまして申告納付するものでありまして、ただ六ケ月を越える事業年度を定める法人にありましては、六月を越えてから一ケ月以内に、個人にあつては五月及び九月に、いずれも前事業年度又は前年の実績基礎として、概算納付ができることといたしております。而してこれらの場合におきまして、二つ以上の都道府県亘つて事務所又は事業所を設けて事業を行う者は、附加価値総額事務所又は事業所所在都道府県ごとにみずから法定分割基準に従つて分割し、その分割した附加価値額課税標準として申告納付することとし、更正決定は、主たる事務所又は事業所所在都道府県知事が、地方財政委員会の指示に基いて行い、これに関する関係都道府県知事の異議も、同様の方法によつて決定することになつておるのであります。尚これと関連いたしまして、附加価値税につきましても青色申告制度を採用することといたしております。この附加価値税收入見込額は、昭和二十五年度四百十九億円、平年度四百四十一億円であります。  新税の第二は、市町村民でございますが、この市町村民税と同じ税目は、従前にもあつた次第でございますけれども、その性格を一変しておるのでございまして、市町村内に住所を有する個人均等割及び所得割課税し、事務所事業所又は家屋敷を有する個人及び事務所は又事業所を有する法人に対しては均等割によつて課税する次第であります。従来の市町村民税と異なりますのは、第一には、世帶主納税義務者とする家族主義的な構成をとつていたものを、所得のあり限りは成年者をすべて納税義務者とする個人主義的な構成に改めておる点であります。第二には、均等割資産割及び所得割の三者によつて課税しておりましたのを、資産割を廃止いたしまして、均等割所得割の二者によつて課税することとなつた点であります。第三には、法人に対しては所得割資産割共に廃止いたしまして、均等割しか課税しないことといたしたことであります。而して均等割の額は、人口の多少によつて差等を設けることになつておるのでありまして、人口五千万以上の市においては、個人は八百円を標準とし、最高一千円、法人は二千四百円を標準として最高四千円、人口五万以上五十万未満の市においては、個人は六百円を標準とし最高七百五十円、法人は千八百円を標準とし最高三千円、これ以外の市町村におきましては、個人は四百円を標準とし最高五百円、法人は千二百円を標準とし最高二千円としておるのであります。他地所得割につきましては、前年の所得税額課税標準として、その百分の十八を標準とし、百分の二十を最高とする方式、又前年の課税所得金顔課税標準として、百分の十を最高とする方式、更に前年の課税所得金額から所得税額を控除した後の金額課税標準として、百分の二十を最高とする方式、この三つの方式のいずれかを選択的に適用することができるものといたしておりますが、ただ昭和二十五年度におきましては、第一の方式、即ち前年の所得税額課税標準として、その百分の十八を標準とする方式によることといたしております。  尚、市町村民税は、前年において所得がなかつた者及び生活保護法の適用を受ける者並びに不具者及び未成年者に対してはその全部を、同居の妻に対しては均頭割を課さないことにいたしております。ただ未成年者及び不具者であつても、一定額以上の資産所得又は事業所得を有し、且つ独立の生計を営む場合、又は同居の妻であつてもその夫が市町村民税納税義務者でない場合においては、課税をすることといたしております。  課税団体たる市町村は、六月一日現在において住所又は事務所事業所若しくは家屋敷が所在している市町村であります。その課税方式は、賦課処分によるものとし、納期原則として、均頭割のみを納付するものは七月、その他のものは七月、九月、十二月及び二月の四回としております。又收入見込額は、昭和二十五年度におきまして五百七十五億円、平年度におきまして四百八十七億円であります。  新税の第三は、固定資産税であります。固定資産税は、土地家屋及び減価償却の可能な有形固定資産に対しまして、その価格標準として、原則として所有者に課するところの税であります。これは従来の地租家屋税を拡充したものでありまして、その主な相違点は、課税客体土地家屋の外に償却資産の加えられていること、課税標準賃貸価格と異なり、価格であることであります、而してその価格は、毎年一月一日の時価を基準として、市町村に設置される固定資産評価員の行う評価に基いて、市町村長が決定いたします。この市町村長が決定した価格は、固定資産税課税の必要上市町村に設けられまする固定資産課税台帳に登録し、一定期間関係者縦覽に供して、確定することといたしております。但し、昭和二十五年度分の固定資産税課税標準に限り、農地以外の土地及び家屋については、賃貸価格の九百倍の額、農地については自作農創設特別措置法による買收農地の対価に二二・五を乘じて得た額とすることにいたしております。又償却資産価格については、資産評価法規定によつて評価を行なつた場合における再評価額限度額と、同法の規定によつて償却資産所有者が現実に行なつた再評価額、又は再評価を行わない場合にあつては、その資産帳簿価格というものを対照いたしまして、市町村長が決定するのでありますが、原則として、資産評価法による再評価額限度額を以て課税標準とするように指準すべきものと考えております。  固定資産税税率は、百分の一・七五を標準としておりますが、当分の間百分の三を最高といたしたい考えであります。又二十五年度に限りましては、百分の一・七五に一定したのであります。いずれもこの二十五年度における課税條件を同一にすることによつて課税標準額についていろいろな不均衡のありますのを明確にし、次の機会にこれを公正に評価等を改めるようにしたい趣旨でございます。  尚、大規模の工場や発電施設が、近隣の市町村公共費の支出に直接且つ重要な影響を與えたり、これらの地方における経済と直接且つ重要な関連を有する場合におきましては、地方財政委員会が、これらの固定資産を指定いたしまして、これを評価してその価格を決定し、固定資産の存在する市町村の如何に拘わらず、その価額を関係市町村に配分することができるものといたしております。これは税源の極端な偏在を防止しようとする趣旨に外ならないのであります。又、船舶、車輌その他二以上の市町村亘つて使用される移動性若しくは可動性償却資産及び鉄軌道発送配電施設、その他二以上の市町村亘つて、所在する固定資産のうち、地方財政委員会が指定したものについては、地方財政委員会価格を決定し、その価格関係市町村に配分するものとしておりますが、その趣旨は主として関係市町村間における評価の適正を期そうとするところにあるわけであります。固定資産税賦課期日当該年度の初日の属する年の一月一日とし、納期原則として四月、六月、八月及び十一月の四回としておりますが、昭和二十五年度分の償却資産に対する固定資産税に限りまして、一月一杯と定めております。この税の收入見込額は、昭和二十五年度において約五百二十億円であります。平年度ににおいては五百七十八億円であります。  第二は、既存の税目に対して加えられた変更に関する説明でありますが、その一は、入場税に関するものであります。これは約三分の一ずつ税率をそれぞれ引下げることといたしてございます。第二点は新たに課税除外規定をそれぞれ設けたことでございます。  次には、遊興飲食税に庁するものでございますが、これもそれぞれ税率を三分の一程度ずつ引下げたことになつているのでありまして、現行税率十五割、八割、五割及び二割を十割、四割及び二割に引下げ、これも負担軽減徴税適正化を図らんといたしたものであります。  第二点は、遊興飲食税につきましての領收証発行及び証紙使用義務を課し得るものとし、乱れ勝ち遊興飲食税徴收を確保する道を規定したことであります。  その三は 自動車税漁業権税自転車税荷車税広告税入湯税及び接客人税につきましても、新たに標準税率を定めまして、地域間の負担均衡を図り、その課税手続、救済、罰則等に関する所要規定を整備いたしまして、納税者の理解に便ならしめようとしたことであります。  第三は、賦課徴收について症正を加えました諸点に関する説明でございます。  その一は、過納にかかる地方団体徴收金納税者に還付し、又は未納の徴收金に充当する場合において加算金制度創設し、以て納税者の権利の保護に欠けるところのないようにした点であります。  その二は、納税者又は特別徴收義務者について滞納処分強制執行破産宣告等があつたときは、地方団体はその徴收金について交付要求をなし得るものとし、以て税收入の確保に遺憾なきを期したことであります。  その三は、納税者交付すべき徴税令書には課税基礎及び税額算定の根拠を明確に示さなければならないにようにいたした点であります。  第四は、入場税遊興飲食税電気ガス税木材引取税等特別徴收によつて徴收させるときは、特別徴收義務者にその徴收に係る税金を申告納付させることとすると共に、入場税遊興飲食税特別徴收義務者特別徴收をする場合においては、そのことを明示する証票交付方地方団体に長に申請するものとし、その交付を受けた証票を店頭その他公衆の見易い箇所に貼付しなければならないものといたした点であります。  その五は、納税義務者が申告納付し又は特別徴收義務者が申告納入する場合においては、延滞金過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金制度を、又督促状交付した場合においては、延滞加算金制度をそれぞれ新たに設けて、納税意識の高揚と滞納の絶滅を期したことであります。  次に所要罰則規定を整備して徴收強化を図つたことでありますが、尚今次の改正によつて廃止されますところの地方税は、先に成立いたしました地方税法の一部を改正する法律と併せまして、道府県民税地租家道税事業税特別所得税不動産取得税酒消費税電話税軌道税電柱税船舶税舟税金庫税、屠畜税、使用人税漁業権取得に対する漁業権税自動車取得に対する自動車税自転車取得に対する自転車税荷車取得に対する荷車税都市計画税等、二十種目の多数に上るのでございます。  以上を要するに、今次改正案は、実に我が国地方税制の創困以来の画期的なものでありまして、特に附加価値税固定資産税及び市町村民税の三大新税創設道府県税体系市町村税体系との明確な分離及び賦課徴收手続明確化等諸点において、極めて優れた特色を有し、地方財政確立及至地方自治強化のために偉大なる貢献をなすべきことが期待されておる次第でございます。以上でございます。  以上誠に不行届な点もございましたが、今回の改正税法の概要を御説明申上げました次第でございます。
  4. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 審議を進める上についての資料のことでありますが、先に地方行政委員会政府にこれに対する資料提出を請求いたしたのでありますが、続々我々の手許へそれを提出されたのでありますが、尚まだ要求いたしまして提出されないものもあろかと思うのでありますが、そういうことに関してですが、尚その節、資料の提供について、今日までこの法案提出が遅延したことについても、政府側のこれに対する具体的な、数字的な資料提出を求めたのでありますが、御承知のように今参議院予算審議の態度につきまして、自由党の廣川君が参議院の野党は共産党の煽動に乘つて進駐軍に対するところの反抗的な意思に基いて予算議予決を遅延さしたというような意味のことを放言いたしまして一つの政治問題化しているのでありますが、言うまでもなく参議院予算議決が遅延いたしましたところの理由というものは、第一には、私が本会議で首相及び本多国務大臣に質問いたしたことでありますが、法律案提出が非常に遅れておつて国会におけるところの予算に関するそれの法律的裏付けとなるべきところの法律が存在していないには拘わらず、予算衆議院が通過せしめたということは、議会政治建前からして、すべてのことは国会において議決されるべきところの法律を基本にして政治は行われなければならないものである。即ちいわゆる法治主義にそうした行動は反するものであるということの建前参議院が堅持いたしまして、そうした衆議院法治主義に背反するところの行動に対する牽制的な、批判的な一種の意思表示をしたということ、及び今のことについても申しましたように政府予算に関する法案提出が非常に遅れたのでありまして、そのことが参議院におけるところの予算議決が遅延したところの、私が先に申上げましたことと相並んでの重大な原因であると考えるのであります。この地方税法案はもとより国の予算に直接的な関係を持つものではありませんけれども、併し先に国務大臣説明のありましたように、国税制度におけるところの改革関連性を持つたものであることは言うまでもないことであります。併しながら尚今日に至るも直接国の予算関連いたしておりますところの地方税制に関する法律提出されないものが、即ち地方財政平衡交付金法案及び地方財政委員会法案がまだ提出されておらないのでありまして、そうして予算に関するところの法律案提出政府みずからが非常に遅延せしめたということ、それからその前に申しましたところの予算の関するところの法律の制定なくして、存在なくして予算を下院が通過させたということは、法治主義に戻るという建前において参議院がそうした態度を取つたのであるにも拘わらず、衆議院の自由党がかくのごとき不合理にして、又倣慢なるところの放言を党の首悩者が言つたことは評すべからざることであると考えられるのでありまして、参議院の忿懣は実に激しいものがあるのであり、又それは極めて尤もなことである、このように考えておるのであります。これは右に関連して、やや話の筋道が外れたようでありますが、ともかくも政府予算に関するところの法案提出が非常に遅れた、まだ提出されてないものもあるのであります。で、今審議を開始いたしておりまする、議題になつておりまする地方税法案についてでありますが、先に私が資料提出を求めました時に、その一つといたしまして、地方税法案提出が遅れたのは、それは本会議において吉田総理大臣も私に対するところの答弁として、日本は今軍事占領下に置かれておるのであるからして、必ずしも理窟通りに物は行かんというようなことの御答弁があつたのでありますが、その吉田首相の答弁が果した是なりや、又は非なりやということにつきましては、私は今この委員会の席上においては申述べませんが、仮に吉田首相の答弁を或る程度認容するの立場を取るといたしましても、然らばそれは占領軍との間の関係において遅延したものであるという、その占領軍との関係において遅延したいきさつであります。そのいきさつはどういうようないきさつでそれが遅れたかということ、及び特に先日の資料提出関連して、私が要求いたしましたのは、如何なる然らばこの税目について、又その税目税率について、又見込收入額がどのように見込んであるというようなこと等について、先方は意向はどのようであつて政府の最初考えておつたものはどうであつて、それと向う側の意向との間に、どのような隔たりがあつて、そうしたことについての折衝がどのように行われて結局の徳ころ今日提出されているところのこの法案の内容のものになつたかというようなことについての具体的な、数字的な両者の折衝の内容についての資料提出を求めたのでありますが、その後小野政務次官から、その筋との交渉のそうした具体的内容については書類として提出するということは、いろいろな関係上でき難いので、委員会の席上において議頭を以てお話申上げたいというような話がありましたので、今丁度大蔵委員会との合同委員会で、大蔵委員の方も一応今の本多国務大臣の提案理由説明に附随して、或いは私の欲するごとくそれを聞こうと欲していらつやるのではないかとも考えられるのでありますので、この際約束せられましたところのそうしたことの内容につきまして、数字的な、具体的な明確な政府よりの資料提出としてのお話を伺いたいと思うのであります。
  5. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 地方行政委員会の委員から御要求がありました資料提供に関しまして、大体は提出があつたのでありますが、今吉川委員の御指摘のごとく、吉川委員から御請求になつた、政府が司令部に対してなしたる減税交渉の経過と、その内容につき、減税交渉の税目税率税額及び捕捉率、收入税額見込んだ基礎資料提出されたいという要求に対して、資料提出がないので、今吉川委員の御要求のごとく、速記を止めますから、国務大臣からそれらについてお話願いたいと思います。速記を止めて頂きたい。    〔述記中止〕
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて。これより法案につきまして質疑に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 木内四郎

    ○木内四郎君 御異議ないと認めます。御質疑の方は順次御質問を願います。シヤウプ勧告において寄附金の問題が大いに取上げられておるのですが、今配付して頂いた書類によりますと、寄附金は二十五年度においては十六億幾らというものを計上しておられるのですが、シヤウプに見ておられる寄附金の額、それから二十四年度においてどのくらいあつたか、二十五年度においてはここに掲げられておる十六億程度しか見込まないのかどうか、ちよつと計数を……。
  8. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) シヤウプ氏の調査によりますと、二十四年度四百億の寄附金地方費として繰入れられておるであろうという見通しであります。これに対しまして、今回約四百億の財源が税法によつて拡大されますので、無理な寄附というものは大部分これによつて解消することができるであろう。併し百億円程度の寄附金はやはり自由な意味における測附金として残ると、大体の見通しを立てておるわけでございますが、いずれにいたしましても寄附金はそうした性質のものでございますので財政計画の中には入れておらないのでございます。
  9. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうすると、四百億の寄附の中、百億は余り無理をしない寄附金であるかも知れない。三百億に代るべきものとして今度の地方税が三百八十億円ですか増税になつたということであると、負担としては殆んど変りないということになりますか。
  10. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) 寄附金も実質的に地方負担ということに考えますと、やはり寄附金というのが強制的性質を持つておるような性質のものとすると、同じ考え方でありますから、そういう見解を取りますと、寄附金の面においても三百億の負担の減がある。そういたしますと四百億の増税でございますから、実質的には百億の負担増ということは言えると思います。
  11. 木内四郎

    ○木内四郎君 府県から出された当初の予算には寄附金というものは歳入歳出の項目に挙げておるのですが、地方自治庁から出された書類には県の関係市町村関係寄附金というものは挙つておらないのですが、この外にあるというように考えていいわけですな。
  12. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お手許に差上げてあります資料は、四月一日現在の、昭和二十五年度の府県の歳入歳出の当初予算額に寄附金を十六億円現に上げておるというわけであります。
  13. 木内四郎

    ○木内四郎君 それは今度あなたの方から出された他の数字によりますと載つていないから、これは今度の税制改革で予定しておる歳入歳出の外にまあ百億くらいのものがあると解釈して間違いないですか。
  14. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) お説の通りであります。
  15. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 先程本多国務大臣からお話があつたのですが、税額昭和二十五年度においては、大体地方団体として千九百八億円入るということが話されております。  又二十四年度は千五百二十四億円となつておりますが、この千九百八億円の明細はこの配付された数字のどれに当嵌りますか。先ずそれからお尋ねいたします。どれとどれを足したものでありますか。
  16. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 千九百八億の内訳は、税目別の收入見込額の一覽表を差上げてありますから、それを御覽になればお分りになると思います。
  17. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 どれとどれを合せて……。
  18. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) それを網羅しました資料としまして、地方財政に関する参考計数資料の二というのがございますが、その三頁の所に改正前後の地方税收入比較表というのがございます。その昭和二十五年度の欄の合計の一番下を御覽頂きますと、千九百八億四千九百万円という数字が上つております。
  19. 木内四郎

    ○木内四郎君 さつき本多国務大臣から司令部との関係固定資産税五百二十億円、市町村民税幾ら、そういう問題について司令部と話合つたことを伺つたのでありますが、その場合には倍率、捕捉率その他についていろいろ交渉があつて、見解に異にしておつたが、結局こういうことになつたというお話でしたが、今国民国税において軽減されたけれども地方税においては相当重くなる。而もこれは差引相当の減税になるようになつておるが、実際やられると却つて増税になりやしないかということを惧れておるのです。そこで捕捉率その他について表に頂いておるのはありますけれども、それで我々が納得行くように一つ御説明願いたいと思います。それについて相当司令部等でも見解の相違があつたという…。別にその細かい数字を伺いたいという意味でないけれども、國民も非常に心配しておるあれですから、この程度でいいのだという説明を伺いたいと思います。
  20. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) 今回この税法によりまする收入見込額は、これは地方財政計画の一環でございまして、この程度の税を取れば地方標準財政需要を満たし得るものと考えておりのでございます。地方税法税率は本年限りの固定資産税の低税率を除いては標準税率でございますので、それぞれ実際に徴收される税額というものは標準の上も下も取り得ることにはなつておりますけれども、通常の場合は標準税率によることになつておりますので、大体それを平均いたしましたところ、標準によつて算定いたしました見込額のところになるものと考えられます。但しこの標準税率以外のものを取つて、そうして特別な事業住民の了解の下に実施したいという場合には、標準税率で取る金額よりも上を取る場合もあるのでございますけれども、そうしたことはこれは地方財政自主性を認めるという点から、そうすることが適当であると思われるのでございます。この標準税率を以て算定いたしました税見込額標準財政需要費とを比較しまして、必要費の方が多くて收入が足らない、その足らない金高を平衡交付金で補填するという建前になつておりますので、地方においては必要以上の税を取るという場合、特別な財政的な需要、何かその地方団体においては特によくやりたい、立派なものを作りたいというときになれば、これは上にも行くわけでありますが、普通のことはこれでできると考えております。この標準税率を以て見込を立てておるのでございまして、これだけ取れば普通の財政需要は賄える、又その地方団体状況が、例えば附加価値税、或いは住民税等について調査して大体課税標準の見通しを立てまして、これでは收入固定資産税等を合わして多くなるので軽減したいというような場合には、その課税標準額と財政需要額とを睨み合せて下の税率を適用するというような場合もあり得るのでございます。そうした見地からこれを市町村理事者が制限税率までは取り権利があるのだから、何でもかんでも取るのだというふうにばかりは……、地方にそれぞれ議会もありまするし、地方住民の税負担が重い際でもありますから、そういうふうにばかりはならないだろうと考えております。そうしたところから適当に調整されて行くのではないかと考えております。
  21. 木内四郎

    ○木内四郎君 私が伺つたのはその問題ではないのでありまして、勿論地方の自治体の状況によつて、その住民の同意の下に、余計の施設をしようというところは余計とられるのは当然でありますし、又少い施設をするところでは標準率より少い額を取られるのは当然であります。こういう倍数或いは税率を決められた根拠、これについて相当司令部とも意見を交換したという話もありましたので、その点を伺いたいのです。別に司令部との交渉の経過ではありませんが、この倍数の税率が適当であるという国民を納得させるだけの御説明を伺いたいのです。例えば地方自治委員会においては、すでに委員会の意見として土地家屋の倍数は八百倍にすべきであるという意見も出しておる。これは地方自治委員会においても、何ら根拠なしにこういうものを出してはおらない。そうすると八百倍でいいというのを九百倍にされるということについて、やはりこれは地方自治委員会のはほんの一つの例でありますが、これはやはり国民を納得させるだけの御説明がないと工合が惡いと思います。こういうわけです。
  22. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) これは土地家屋評価倍数を九百倍にするか八百倍にするかという点は、この土地家屋税收入見込額につきましては、帳簿上の賃貸価格基礎といたしますし、九百倍にすれば幾ら、八百倍にすれば幾ら、ということがはつきり出て来る見込が立つのであります。そういう八百倍に下げた場合、その全体の收入見込額に達するためには償却資産の見積りで勘案しなければいけないのでありますが、その償却資産の方の見積りにおいて、やはり負担均衡を考える場合、土地家屋評価倍率を八百倍にしたのでは、結局余計收入を上げるに困難である、そういう関係から八百倍という意見が認められないで、九百倍ということに決定いたした次第でございます。
  23. 木内四郎

    ○木内四郎君 今のはここに表を頂いておりまして、計数表の二の中の六、七枚目のところに書いてはありますが、今申しましたように地方自治委員会でもそういう意見が出、又新聞の伝えるところによりますと、政府もそういうことを考えたということが伝えられておるのですが、そういう計数によつてこれをやつた場合どういうふうになるか、二百十三億を土地に対する課税によつて取り、三百十三億余りを家屋に対する課税によつて取り、償却資産に対する課税によつて九十三億、それを初めから予定して、そうしてこれをやつて行かれたものか、どういうふうにやられたのか、その点も伺いたいと思います。こういうわけです。
  24. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 固定資産税徴收に当りまして土地家屋の倍数を八百倍に下げますと、五十億円程度減收になるわけであります。従いまして固定資産税の枠のうちでその減收を賄うといたしますと、償却資産を九十三億と見込んでおりますものを更に五十億程度余計徴收しなければならんという問題が起きて来るわけであります。それでどうやつてこの償却資産の増收見込をされたかということを御説明させて頂きますと、その次の六頁のところに償却資産の種別の金額を出しております。総額を一兆三千億といたしております。この数字は終戰直後経済安定本部におきまして戸別調査をやつたわけであります。そのときに出ました数字にその後の物価倍数を形式的に乘じまして計算いたしましたものが、大体の基礎になつておるわけであります。併し当時軍需工場その他につきましてもそれをそのまま資産と認めまして、そのまま物価販数を乘じておるわけであります。従いましてこれをそのまま固定資産税課税標準に採用できないことは御了解願えると思うのであります。従いまして課税標準といたしましては陳腐化の問題でありますとか、或いは未嫁働の問題でありますとか、そういうものを当然織り込まなければならない、こういう考え方をいたしておるわけであります。併し又償却資産に対しまする課税は、今年度が初めてのことであります。従いまして市町村償却資産所有者との間にいろいろと争いが予想されるわけであります。而も又償却資産の申告の期限が十月三十一日であります。この年度内にいろいろな問題を片附けまして、收入年度内に確保するというので、金額は余程下つて来るのじやないかという見方をしておるわけでありまして、そういう点から本年度内において收入せられる金額としては九十三億円程度である、こういうことになるわけであります。九十三億円程度としますと、実際に償却資産として課税されますものが、課税されるといいますよりも、收入見込まれますものでありますが、総額は六千億内外になる計算になります。これに対しまして資産評価の実施の結果、現実に企業が再評価する額を大蔵省の方では五千億程度に見込んでおるようであります。併しその金額というものとこの固定資産税收入見込額というものとが必ずしも合致する必要はないと考えておるわけであります。併しながらここに九十数億円と見込んでおりますのは、飽くまでも昭和二十五年度における收入見込額でありまして、将来に亘つて償却資産からこの程度の收入しか得られないという計算をいたしておるわけではございません。将来におきましても地方税收入総額といたしまして一千九百億円をどうしても確保して行かなければならない、こういうふうになつて参りますと、御承知のように市町村民税は今年度は二十四年度所得税基礎にして課税いたしております。従いまして二十六年度以降の市町村民税は百億内外のものが減收になるわけであります。従いまして外の方でそれをカヴアーしなければならない、自然償却資産償却資産税をカヴアーするということになりますれば大体一兆三千億のうち八割くらいのところで評価額が決定される、こういたしませんと千九百億円確保できないというふうな数字になるわけであります。
  25. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 さつき大臣のお話で、地方税地方財源を豊富にするというのが第一番の目的である、誠にお説御尤もなのですが、そのため大体三、四百億の増税になる。併しそれは寄附金が減つたから結局同じことだというふうに聞えたのですが、そうしますと寄附金というものは一体これは強制力は実際はないのです。寄附金は余裕があるときは出せますが、余裕がなければ出さなくてもいい性質のものです。そこへ行くと今度の地方税は、これは強制力で、当然出さなくちやならないということになるのでして、結局はやはり今度の税制というものは地方税に重くなつたというふうに解釈するのは当然じやないかと思うのです。それは大臣としてはそうお考えにならないのですか。
  26. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) お話の通り考えております。今回四百億円程度の地方税の増税であると考えております。寄附金は四百億に上つてつたと言いましても、これは強制的なものであつたものとしても、これは税と性質の違うものでございますから、この寄附金と税とを同一に考えて、寄附金の方が三百億減るとすれば、これは税負担がそれだけ減るのと同様に考えてよいという考えは持つておらないのでございます。ただこの税の拡大によりまして無理な寄附金が減少するであろう。その減少の度合は百億ぐらいは残つても三百億ぐらいは減税するのではなかろうか、これは一応の見込でございまして、そういうことになると実質的な地方負担というものは、見方によつては三百億の寄附金という負担に比べれば、百億の負担の増にしかならないではないかというのが、ただその見方でございまして、政府といたしまして今回の地方税改正は四百億の増税であると、かように考えております。
  27. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 これに関連して、先程吉川委員から話がありましたが、平衡交付金というものは法律が出ない。併し平衡交付金の額は決まつておるのですから、予算で……。そうしますとその地方に配付する内訳はもうすでに御決定になつておられると思うのですが、これはこの資料の中に入つておりますか。
  28. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) これは実は予定いたしておりまする地方財政委員会というものができて、その地方財政委員会が配付額を決定することにいたしたいと考えておるのでございます。従つてまだ各市町村に対する交付金の額は決定しておらないわけでございます。ただ予定いたしておりまする平衡交付法案のその制度に基いて算定をする場合の準備をいたしておる段階でございます。
  29. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 算定する準備はもうおできになつておると思うのですが、まあ仮にですね、その準備された算定率で以て計算した表ももうおできになつておるのじやないですか。それを見ないというと、この地方税の全般というものが、結局明白にならない。折角こうやつて審議しても掴みどころのない審議という形になるので、これは極秘でも何でもよいから配付願いたいと思います。
  30. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) それはまだ決まつておらないわけでございます。はつきり決まりますのはこの税法が決まりまして、標準税率を以て各地方課税標準にそれを乘じまして、幾らの標準徴收費が上がるかということが基礎となり、更に只今準備、研究をいたしております財政需要額の見積りにつきまして、それぞれ標準になるものを捉え、それによつて標準財政需要額というものを各市町村別に算定いたしまして、その差額を大体に申しますと、その收入と経費との差額を出しまして、その差額に比例して千五十億を配付するということになつております。この土台がまだ決まりませんので、只今のところ標準財政需要額を算定する場合、人口、面積或いは川の長さ、兒童数、学級数、学校数というようなもの、そうした基準につきまして只今調査をいたしておるところでございます。まだお示しし得るまでに決定はしておらないのでございます。
  31. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 平衡交付金法は結局それでいつ頃のお見込みになるのですか、この際明確にお示し願いたいと思います。
  32. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) これはもう司令部と最後的な折衝を遂げまして、約一ケ月間というものを向うの決定を待つておる次第でございまして、この平衡交付金法についてどこに意見の食違いがあるというような問題の折衝があります場合には、いろいろ見通しも立つのでございますけれども、司令部の方からも情報といたしましては今日である、明日であるというふうな情報は入つておりますが、本日にも承認があるものだと期待はいたしておるのでありますけれども、今のところ確実には申上げかねる状態でございます。
  33. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 平衡交付金がまあまだまだ我々の方ではできない点については甚だ遺憾なんですか、政府の方ではもうちやんと先の先までお見通しになつて、平衡交付金の方が若しこの国会に間に合わない場合には暫定措置を採られるというような法案はお出しになるようですが、そうしますとその暫定方針で大体内金をお拂いになるということになるのですが、そういう場合の内金拂の方針は、どんなことで以ておやりになるのですか。
  34. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) お話のようなことも実は準備いたしたのでありますが、関係方面からの意向といたしまして、もう今日、明日の中に平衡交付金法が提案できるようになるのであるから、その暫定措置も暫く待つたらよかろうというようなことで、その方法も今採り得ないでおるような状態でございます。この暫定措置を以て概算前渡しをいたします根拠は、今日までの地方配付税による見積り、更に今回統合されました補助金の見積り等によつて平衡交付金法を実施した場合も、それと大体合致するようなものを算定いたしまして、そうしてその範囲内において概算拂をいたしたいと考えておる次第でございます。尚又今日の状況では万が一提案が非常に遅れたり、或いは提案されても成立を見ないというような場合も考えられるのでございますが、これは今後税法との間接的な関係もある法案ではありますけれども、すでに政府の配付金の額が一千五十億円と決まつておるのでありまして、政府といたしましてはこの法案が間に合わない場合でも平衡交付法案に盛り込んでおりまする方法によつて補助金として交付する考えでございます。
  35. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 結局今のお話の懸念せられるようなことがもうあと僅か二十日そこそこしか審議する日数がないのですから起きることも想定されるのです。そうした場合今大臣が先の先までお見通しになつて暫定措置としては十分確信のある方策をお示しになつたのですが、そうしますとそういう御確信のおありになる方針も我々前以て伺つておいた方が却つて審議の都合上よいのじやないか、これはやはりお出し願つた方がよいと思うのですが……。
  36. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) これはまだ事務的にも地方税法が固まりませんと、その交付額を決定するということはできない次第でございまして、ただ併しこの地方税法が決まり、配付金の額が決まつておりますから、平衡交付金法に基いて平衡交付法案に盛り込んでおりまする方針に基きまして、事務的に作業いたしまして間に合うようにいたしたいと考えております。但しそれまでに至る地方財政の急場を救うための前渡しの概算拂いにつきましては、四分の一程度支拂をすることによつて、急場は凌いで行けるものと考えております。
  37. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 事務的手続というのは今お話があつたのですが、それは衆議院において自由党からこれに対する修正案を出すというようなことも新聞に出ております。そういうことをもうお見越しなさつての今の御発言なんですか、若しそうだとすれば、自由党から出しますところの修正案というものはどんな工合になつて、それが修正の見通し、可能性があるかないか、これは大臣はすつかりお分りになつておるのですが、その点この際お聞かせ願いたい。
  38. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) 私も司令部に承認されるか否かということについては今まで折衝いたしました立場から、多少の見通しは利くわけでございますけれども、併し国会独自の権限で修正せられようといたしておりまする問題でもございますので、その点は申上げにくいと存じます。この平衡交付金法と税法の関係は、仮にこの税法に少しの修正がありましても、平衡交付金の額の算定基礎でありますからすべてに影響する次第でございまして、これが固まりました上でなければ、平衡交付金の配分ということも固まりようがないわけでございます。併し税法が固まりますと、大体收入額というものの標準額が分りますので、それによつて平衡交付法案の予定しております計算方法によつて交付基準を出し、これに千五十億を按分するという作業でございますから、それ程困難ではないと思つております。
  39. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次にこれは国税と大変密接な関係がある税法なんですが、今まで国税の方と地方税を比較して見ますというと、結局地方税はその徴收に当つて国税程正確に行つていないのが、これが今までの通例なんです。で又そういうふうなこともあり得るのデすが、結局それは国税徴收の機関と違つて、極めて貧弱な人数と又余り経験、経歴のないような人々によつて行われておつたと言うのも過言ではないと思います。そういう点について今度の地方税の取り方というものは、これは国税と相並んで実に重大な徴收方法を確定するわけですが、今までの地方徴收機関で以て大臣が期待されるような十分な完全なる徴收ができるかどうか。この点についてはどうお考えになつておられますか。又それについては将来どういうふうに改善するなり、或いは増員をするとか、そういつたような具体的なお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  40. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) 御心配の点は御尤もでありまして、これを完遂するためには、これはあらゆる研究と努力を要することと存じます。併し従来もそれぞれ地方税の複雑な徴税事務に当つた経験もございます。その経験と更にシヤウプ勧告以来、この税制改革を予想いたしまして研究を進めており、準備も相当いたされておるわけでありまして、又シヤウプ氏の今回の勧告に基きまするところの地方税法そのものが、従来の地方税法に比べましてむしろ事務的に運営することも容易であり、理解されることも容易であると考えられまして、例えば附加価値税につきまして、事業税でありますというと、所得を捕捉しなければならんのでありますが、附加価値の場合、売上から仕入を引いた附加価値ということになりますから、捕捉も所得の捕捉に比較いたしまして容易ではないかと考えております。更に住民税等につきましても課税標準均等割はもうこれは均等に幾ら取るかということさえ決定いたしますと、直ぐ彈き出せるものであり、所得割にしましても、前年度税額標準として取りますから、これも極めて事務的の仕事だと思います。更に固定資産税につきまして、主なる固定資産土地家屋法人償却資産であると思うのでありますが、土地家屋はそれぞれ倍数で、根拠は賃貸価格でありますから、これも予め彈き出すこともできるのであります。又法人償却資産評価につきましては、資産評価法に基いて、その再評価額の限度を押えて見るということになつております。更にそれ以外の国定資産につきましては、それぞれ地方財政委員会ができましたならば地方財政委員会において、これが若し設定が間に合わんようでありましたならば、自治庁において評価基準というものを示しまして、それに基いて固定資産評価員というものが、実地にも見まして評価するのでございます。こうした点から複雑な旧地方税制に比べて、簡素化されたとは申しますけれども、根本的な変更でありますので相当の研究と努力とが必要でありまして、今までの準備がありますとは言え、更に府県市町村を通じまして、二万人くらいの徴税職員の増加を図らなければならんと考えられます。これにつきましては税法の制定を見ましたならば、府県においても講習会と申しますか、養成等の準備はいたしておる次第でありまして、そうしたことと相待つて、とにもかくにも国税と同時に地方税改革をいたしませんと、地方、国を通じての財政改革にも影響を及ぼすことでございますので、非常なる努力を以て支障なくやり得るものと考えておる次第でございます。
  41. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今大臣の御説明で大分はつきりしましたんですが、尚地方におきましては国税というと、相当今までもいわゆる納税者観念と言いますが、義務責任というような観念が強いのですが、どうも地方税というと、お互い同士顔の見知つた仲でもあり、又互いに事情もよく知つておるというような調子で以て、まあ余り苛酷なこともやらんというような態度を執るのが多いのです。まあ国税とタイアツプして今までは附加税というような形で来たのが相当あるのですが、今度はそれと全然切り離されて行うというところに、私はこれは相当懸念を持つておるのですが、そういう点については何か連絡でも取らせるというようなことでもするのですか。それとも全然切り離して、地方税は飽くまでも地方の独自の立場でやらせるというようなお考えなすです。
  42. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) これはでき得る限り税務署と市町村と緊密な連招を取りまして、それぞれ資料等もでき得る限り交換できるようにいたして行きたいと存じます。殊に固定資産税の中の償却資産評価に当りましては、税務署は固定資産の再評価が決定いたしますと、遅滯なく法律関係市町村にその報告をして呉れなければならんことに規定いたしておるのでございます。お話の通り今日まで国税に比較いたしますと、地方税の方が幾分ルーズな憾みがあつたのでありますが、今回この地方税改革によりまして、地方徴税職員の責任は非常に大きくなります。又このことに地方団体が堪え得るのでなければ、今後の自治の発達は望めないのでありまして、今回この画期的な大改革に対応いたしまして、適正に運営せられるように種々なる指導を我々もいたして行きたいと考えております。
  43. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 固定資産は成る程お話のように緊接な連絡が取れますが、その外の例えば附加値税であるとか、そういうものについて、実際に国税徴收関連して連繋を保つて行くということはできますか。それで何か法案の中へそういうことは盛り込まれておりますか。
  44. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 附加価値税課税標準でありますが、附加価値の計算は、総売上金額から外部への支出金額を控除するということを建前にしておりまして、更に別な方法から考えて参りますと、支拂給與額、支拂地代、支拂家賃の額、更に利潤、更にそれに利潤を計算します場合には、減価償却費を控除いたしておりますから、元へ戻す意味で加えまして、それからその年の固定資産取得額を控除いたしますと、大体似たり寄つたりになるわけであります。従いまして納税義務者が申告いたします際には、本来の総売上金額から外部への支出金額を控除した計算方式のものを出しますと同時に、今申上げました利潤とそれから支拂給與額、支拂地代、家賃額、こういうものも合わせて申告しなければならないということにいたしております。その支拂給與額につきましては、所得税を源泉で徴收する義務を負つておるわけであります。従いましてこの部分につきましては納税義務者から提出されましたものと、税務署で持つております源泉徴收義務者の報告、これを照らし合せて見ることになつております。更に又利潤につきましては、所得税法人税につきまして税務署が決定いたしておりますから、納税者提出いたしたものと税務署が現実に決定いたしておいたものと、併せ見ることができます。あとの地代家賃の額、これは極く小さいものでございます。又減価償却の額、これは所得税法人税の決定を見れば分るわけであります。こういう恰好になつておりますので、今後国税地方税も共に協力関係を一層密接にして行かなければならんというような考え方をいたしておるわけでありまして、地方税課税にあたりましても、十分国税課税実績というものを参考にして行きたいと思つております。
  45. 木内四郎

    ○木内四郎君 これはさつき油井委員からされた質問と関連しているのですが、又予算委員会において詳細に論議されたかも知れませんけれども、この平衡交付金の配付の問題ですね、配付の問題については多分市町村に対するものは、非常に数が多いから困難だろうと思うのでありますが、まあ苟くもこれだけの法案提出されて、又予算も出されている以上は、少くも府県に対しては今度の税法と平衡交付金によつてどれだけのものを一体配付するようになるかという御計算はお立てになつておるのだろうと思いますが、各府県から非常に心配して来ますし、去年は何億円配付税を貰つてつたのだが、それが今度はどのくらい貰えるのか、一体千五十億円でどのくらい貰えるのかという心配が非常に多い。従来の配付税でありますと、シヤウプ博士も言つておるように非常にアービトラリーに行つておる。これは非常に独断でよくないということはシヤウプ博士も言つておられる。それよりも標準財政需要額とこの地方税收入額の差額を平衡交付金で交付されるという場合それは非常に結構だとして、すでに金が千五十億円と限られておるわけですが、私はこの点についても非常に疑問があると思うのです。シヤウプ博士は二十五年度においては少くとも千二百億円でなければならんというように書かれておられるように私は記憶しているのですが、そうするとそこにおいてすでに百五十億円というものがあるのです。すると府県においては、今度これは改正されて一体幾ら自分の方に来るか、今日尚事業の計画を立てるということに非常に困難を感じておるだろうと思います。それについてもあなた方の方でこれだけの税制を拵えて府県税、市町村税を含めて、市町村と府県の財源を決められたのですから、勿論これは伸縮自在でありますが、標準税率によつて標準の歳入額を決める外はないと思いますが、この標準税率によつた歳入額と標準財政需要額との差額をどの程度平衡交付金によつてつて貰えるのかということを心配しておるのです。あなた方が少くともこれだけの税法を拵えて平衡交付金の案を出される際に、市町村は別としても、数の少い府県に対して幾らになるという見込を立てられないということはちよつと想像できない。若しそれができておらないとすれば、私共は大いに責めなければならん。これだけ画期的な変革を起して、その際これだけの税法によつて、この平衡交付金によつて各府県に大体どのくらいのものが行くのだという見通しがついておらんということを承わるということになると、ちよつとこれは私共承知できないのですが、それは参考に作つて研究されたもので結構だから、我々一つ御説明願いたいと思います。
  46. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) 今回の平衡交付金の一千五十億円は従来のやはり財政調整の制度でありました地方配付税法によりまするその配付する金額、それに従来の補助金の三百億余というものが統合されておるのでありまして、大体の財政調整の必要な限度は従来の配付税の金額に比例するものじやないか、正比例にもならないでありましようが、大体比例するものじやないかと考えられます。そうした見地から概算渡しをします場合にも、その範囲内において概算前渡しをしたいと考えておるような次第でございまして、そういう程度の見積りは立てれば立たないわけではないのでございますけれども、府県は一万を超える市町村も一つの団体として同じように計算をいたします。その関係から、全部が同時でなければ正確な数字は決まらないということになるわけでございまして、この点税法が決まり、平衡交付金の交付基準である即ち財政需要額を定めます基準等が決定いたさなければ、正確なところは出て来ないわけであります。府県の数は僅かでございますけれども一万を超える市町村の中に一つの平衡方付金の対象として入つて行くわけでございますから、只今のところ従来の実績から見て見積りを出すことはできますけれども、そういう正確な根拠に基く計算はまだ立たないという状況でございます。
  47. 木内四郎

    ○木内四郎君 その点はまあ分らないじやないのです。大臣の御説明なつた点は或る程度分るのですけれども、国会においてこの法案は決まらないけれども、政府においてはもうこの法案を決めておられるのです。この法案によつて算出し、又標準財政需要額というものを皆さん方の方で、大臣の方で考えておられる標準によつて算出するということは可能なわけです。それによつてすでにここに或る程度まで府県の歳出額の見積りをあな方は出しておられるのです。ですから府県については標準財政需要額というものは大体分るだろうと思います。そうすれば、国会はこの法律は通過しておらんけれども、政府においてすでにこれを御決定になつたのはもう一月以上も前の話です。だからそれによつて府県の標準財政需要額と標準の歳入額というものは分らなければならん。むしろ極端に言えば千幾つのものと一緒にやつて見なければ分らん。併しここに千五十億円だけ置いた、シヤウプ博士は千二百億円なくちやならんというところを一千五十億円だけ置いた、そうして算盤を彈いて見たら足りなかつたと言われたのではちよつと困るのです。その足りない場合にはどうするのか。それからさつきお話しになつたように、まあ去年と大体同じものであるということであると、府県などは財源の移動で、去年よりも五割くらいも余計貰わなければ府県の財政が立たないというのがあるのです。それは一体貰えるのか貰えないのか、少くとも府県の見込くらいはおありにならなければならん筈だと思うのですがね。
  48. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 各府県の財政需要を測定いたしまして地方財政平衡交付金の額を決めるわけでありますけれども、そのうちで更に経常的な経費だけにおいてどれだけの額に上るかということを予定するわけでございます。で政府で今立案いたしておりまする平衡交付法案の中におきましては、例えば土木費につきましても、道路費につきましては、道路のインチをとりますとか、或いは橋梁につきましては橋梁の面積をとりますとか、或いは河川につきましては河川の両岸の延長をとりますとか、こういうことを盛り込んでおるわけでございます。従いまして現に河川の延長が幾らになりますとか、或いは橋梁の面績が幾らになりますとかいうような資料を集めておりますが、更に問題は、それじや教育費或いは土木費或いは衞生費或いは消防の費用、そういうふうなものにどういうウエートを置いて計算して行けばいいかというふうな問題もあるわけなのでありまして、今一体教育費をどれくらい使つておるだろうか、こういうことを調べることは割合簡單にできるわけなのでありますけれども、そのうちに教育費や土木費のうちでいわゆる一般財源で賄つておるものはどれだけあるだろうか、要するに税收入なり従来地方税だけで賄つておるものはどれくらいあるか、こういうことになりますと、更に詳細な調査を要するわけでありまして、何分こういうことに今後相当な努力を拂つて行かなくてはならんだろうと思います。現在出しております府県別の財政需要額といいますものは、單なる歳出の総額であります。その中には財源を国庫補助金に求めておりますものもございます。或いは地方債に求めておるものもございます。或いは使用料や手数料に財源を求めておるものもあるわけであります。併しながら我々の測定したい財政需要といいますものは、地方税地方財政平衡交付金で賄わるべき、要するに、一般財政で賄われる財源だけを測定いたしたいのであります。而もこれを各経費につきまして、どういうふうなウエイトをつけて行くかという問題は非常に大きな問題であろうと思います。併しながら早く示しませんと地方団体でも財政計画が立ちませんために困るわけでございます。そこで法案の中では八月中に決定するということにしておるわけでございますけれども、何分見込も実際の問題としまして、なかなか示し得ない状態にあります。而も又制度が急激に変る際でもございますので、従来地方団体が税として徴收しておりました額、それから地方税配付金として受取りました額、それから国庫補助金として貰つてつたが二十五年度以降は打ち切られてしまう額、この三つの、少くとも九割は確保する、九割を割るような団体がありました場合には、地方財政平衡交付金の中の特別交付金で操作するようにして行かなければならない。こういう方針を考えておるわけなんでありまして、仕方がありませんので、こういう枠の中で地方団体に適宜財政計画を進めて行くより外仕方がない、こういうふうな考えをいたしておるわけでございます。尚先程シヤウプ勧告で、従来地方配付税が大ざつぱに府県と市町村に半々に分けられておるというお話があつたのでありますが、これはこの機会に釋明して置きたいのでありますけれども、これはシヤウプさんが勘違いされたのであろうと思つております。道府県と市町村との地方配付税の配分というものは、その都度支出義務の変更、或いは税制の変更に伴いまして或る場合には府県が六十を越えております、或る場合には五十くらいでいたしておりまして、たまたまシヤウプさんが見えましたときに丁度きりのよい五十、五十になつてつたのであります。決していい加減に接分しておつたのではございません。地方財政制度なり、或いはそれぞれの收入なりというものをいろいろ計算をいたしまして、詳細の検討を加えた上であの数字が出ておつたことを申上げさして頂きます。
  49. 木内四郎

    ○木内四郎君 これだけ大きな変革がある際でありますから、政府当局におかれましてもその測定に非常に困難なことがおありになることはよく分るのですけれども、今御説明を伺つておると、そう言つちや惡いけれども、これをやつてみて千五十億をその結果分けてみるまでは分らないと、こういうことです。どうもそれじやちよつと私共納得しかねるのですが、その税率を決めて、これによつて標準税率によれば幾らの見込になるということについて出ておる、一方において標準財政需要額というものは大体測定できるだろうと思う。標準のものですから……。これは個々の事情があつて、その川の長さがどうだとか何とかいうことがあれば、特殊の事情があるものはこれは別ですけれども、標準の財政需要額というものはこれだけで、この税率によつて收入はこれだけで足りないところは大体このくらいになるというような、全体は分つておる。市町村は分らないにしても、府県くらいはもうお見込を立つておやりになつたんでないと、当てずつぽうにまあやつて見なければ分らないというのじやちよつと困る。殊にシヤウプ博士は千二百億円を下らな額が要るだろうということを言つておるのに、千五十億円に削つておられるという問題を合せて考えると、尚ちよつと我々も心細くなるし、又府県の人達も非常に心配するし、ちよつと納得しかねる。
  50. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 先程地方財政平衡交付金が千五十億円になつた点につきまして、シヤウプ勧告と違う点を御指摘になつたわけであります。で当初政府の案では千二百五十億円くらいの計画が一度あつたわけでありますけれども、その後生活保護法に基きまするところの国庫の負担金等を、平衡交付金に包含することを中止いたしまして、そのまま国庫負担金として残したわけであります。そういうものがありましたために更に千五十億円に下つてつたわけであります。更にこの千五十億円を従来の計数と比較して申上げますと、従来の補助金で打ち切られまして、この平衡交付金に入つたものが三百五億あります。従いまして千五十億円から三百五億を引きました七百四十五億というものが従来の他方配付税の系統のものだこういうふうに考えられるわけであります。昭和二十四年度におきましては地方配付税の総額は六百六十七億であります。従いまして約七十八億円だけ地方配付税の系統のものが増額になつている、こう言えるわけであります。それと、更に一般財源といたしましては今回の地方財政改革で四百億円弱のものが増額になるわけであります。これだけを、地方財源を増額いたしまして、その上において地方団体間の財政の一層の均等化を図つて行くということになつて参るわけでありまするので、理想から考えました場合の各地方団体の財政需要を完全に賄うということは困難であるかも知れませんけれども、少くとも従来よりも相当改善された形において、各地方団体の財政需要を賄つて行く、地方財政平衡交付金で調整して行くということは可能だというふうに考えているわけであります。で、我々が地方財政の計画を立てます場合に、都府県全体としてどれだけの財政需要がある、又財政收入がある、或いは市町村全体としてどれだけの財政需要があり、どれだけの財政收入がある、こういうことはよく分るわけです。併しながら個々の団体の問題になつて参りますと、例えば今回国の予算に基きまして公共事業費というものが計上せられた。その公共事業費というものが、各地方団体に対しまして割り振られて行くわけです。その際に例えば河川の改修、或いは道路の改修について、どの府県のものが幾ら、どの府県のものが幾らというようなことが決まつているわけでありますけれども、全額をこれらで賄うわけではございませんで、あと地方負担も相当あるわけです。その地方負担も、地方財政で賄うだけではございませんで、税收でも賄つて行くわけです。こういうふうにいろいろな要素が入つて参りますので、全体の計数を掴んで、制度を立てて行くというようなことは支障ないわけですけれども、今この急激な変化の際に個々の地方団体別の数字を出せと言われましても、非常に困難を伴うわけなんであります。折角今いろいろな方面の資料を集めておるわけなんでありまして、できるだけ急ぎまして、例えば河川につきましては延長一キロについてどれだけの金額を持つて行く、或いは又衞生費につきましては人口についてどれだけの金額を計算の基礎にして行くというようなことを書き出しております。更に又寒冷地或いは積雪地と温暖地とは違うわけでありますので、同じ道路の費用にいたしましても、一キロ当り寒冷地におきましては或る程度余計に取らなければならませんし、温暖地では少しで足りるというようなことにもなるわけなのでありまして、こういうことをあらゆる角度から調査いたしております。従来からこの制度を続けておつたのなら、或る程度大雑把なことも申上げられるわけでありますけれども、今申上げましたように初めてのことでもありますので、なかなか簡單には参らない。従つて好い加減な数字も出せないということになるわけであります。そこで地方団体は困りますので、今申しましたように従前の九割だけは確保するということで財政計画を立てて貰う。それで一方算定を急ぐということにいたしておるわけであります。その結果非常に大雑把で困る団体も出て来るのじやないかというふうなお話があつたわけでありますけれども、今申しましたように全体としては地方配付税系統の財源なり地方税財源なりで増額する際でありますので、その総額の中で均等化を図るわけでありますから、少くとも個々の地方団体につきましての特定の非常に広い財源のある団体は、改善されて行くものというふうに考えて差支ない。将来理想的な見地から更に地方財政平衡交付金としてどれだけ必要であるかというようなことが考えられるわけでありましようけれども、現在の国の財政力なり経済力から睨み合せて出て来た今日のこの数字というものを使いまして、決して当てずつぽうということにはならないのではないか。一応全体としての数字は掴めているのではないかというふうに考えております。
  51. 木内四郎

    ○木内四郎君 政府当局の御苦心の点はよく分るのですが、又去年に比べて今度は幾分なりとも殖えるということは分るのでございます。併し御説明のあつたところを、大変失礼だけれども、言葉を換えて言えば、平衡交付金は標準財政需要額と、これ等の税法によつて標準率を適用した場合の標準財政收入額を比べて差額を補うというのが平衡交付金の根本の精神になつております。実際上からいうと交付金は千五十億しかないのだからして、あなた方お調べになるとき、千幾らかの市町村や何かを比べて御覽になつて、いろいろ彈いて御覽になつて標準財政需要額と標準の歳入額との差額は幾らというものがあるが、財源は千五十億しかないのだから、それから或る程度割引して、これを交付せざるを得ない立場になることはあるわけですね。少くとも二十五年度に対していそういうことを想像していいわけですね。
  52. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 結論的にはお説の通りだと思います。ただ我々が標準財政需要から標準財政收入額を差引くのでありまして、それを完全に補填することを目途にして計画を進めて行くというのであるとしても、財政需要を考えます場合には、常に国の財政力なり、国の経済力というものを念頭に置いて行かなければならないのじやないか。大変失礼な言い方になるかも知りませんけれども、個人標準的な生活程度を考えます場合にも、やはり国民所得といいますか、そういうものを頭に置いて考えて行かなければならないのじやないか、標準的な生活費というものも、アメリカと日本においては違つて参りますように、やはり地方団体標準的な財政需要というものを考える場合にも、国の財政力なり、経済力なりというものを念頭に置かなければならないのじやないか。そういう見地から考えて行きますと、やはり標準財政需要というものを、現在平衡交付金としては千五十億円、これを急激に更に大きくするということは非常に困難じやないか、もとより外と睨み合せまして、或る程度これに幅を持たして行かなければならない。それに応じて又地方財政の健全化を考えて行かなければならないのじやないか。標準財政をこれに即応して行ければならないという面もありますが、根本的にはやはり財政力、経済力というものを睨み合せて考えなければならんということであります。
  53. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうすると、私の今申上げたことをお認めになつたのだが、それを他の言葉で言えば、標準財政の收入額、歳入額というものはこれで決まつておる。そうすると千五十億円というものは決まつておる、即ちこれは国家の財政において出し得るところの金額の限度である。それを勘案して標準財政需要額というものを決めて行くということになるわけですね。その標準財政需要額というものをもう客観的に決めて、そうしてそこに標準財政の歳入額を決めて、その差額を補つて行くということを考えたが、それは千五十億ということに決められておるのでありますから、標準財政需要額を勘案して、そうして標準財政需要額の差額だけを出してやつたのだと、こういうわけですね。実際の結果においてはそうなりますね。
  54. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) 実際のやり方といたしましては、大体そういうふうに財政需要額を抑えて行く外はないと考えております。但し全体的な計画といたしましては、地方財源を四千八百億程度まで地方財政計画を拡大いたしております。それと收入との足らないところに千五十億というものを以て補填することになつておりますから、その財政需要額は、標準財政需要額とそれとを一致させるということによつて、平衡交付金の千五十億で大体補填ができると、こういうことになります。でありますから、結局はお話の通りに、実際は本年度通りにならざるを得ないのじやないかと考えられます。こうした場合、地方団体にとつて何か大きな不安があるかと申しますと、これは不公平なく、一定の基準算定をいたしまして、その四千八百億に総額としては達するところまで、必ず総計として四千八百億の程度までは平衡交付金で補填せられるのでございますから、標準財政、即ち千五十億を限度として立つ、標準財政力の範囲内までは、自分の標準税率で取つた税金と平衡交付金とで間に合うのだという、一応の安心と申しましようか、そういうことが得られるわけであります。
  55. 木内四郎

    ○木内四郎君 私はもう今の点については、別にこれ以上御質問しませんけれども、実は私共陳情を受けておる、二、三の県などにつきましても、今度の税によるというと、府県によつて非常に減つて来るのであります。そこで例えば去年八億円の配付税を貰つてつたものが、今度は十三億も貰わなければこの税制では県の財政が立たないというようなものもある。十三億というと五割以上ですね去年よりも五割以上も殖えなければならんというような府県もあるのであります。これは相当あるだろうと私は思います。そういう点も十分御考慮になつて、更にこの配付についてお考えをお願いしたいと思います。
  56. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 附加価値税について、ちよつとお尋ねしたいんですが、附加価値税は今までの所得税なんかと違いまして、或いは法人税と違いまして、所得の上においては赤字になつても出さなくてはならん税法になつております。そうしますというと、今までの取引高税は他に転嫁して行くことができましたが、附加価値税はマル公の決まつているような品物に対して、どういうふうな転嫁方法をこの税法でおとりになつているか、それをお聞かせ願いたい。
  57. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) 附加価値税も転嫁的な性格の税でございますが、その転嫁の仕方は、取引高税とは全く違いまして、取引高税は売上金額の何パーセントというので、直接売上にその物の値段を附加して転嫁するのでございますから、直接的なものでございますが、この附加価値税の転嫁の仕方は恰かも避くべからざる営業費が増加したというような意味において転嫁されることになるのでございます。従つて避くべからざる営業費の増加というようなことは、結局生産原価の計算上影響を及ぼして来る次第でございまして、その企業合理化等によつて、その企業自体で吸收できない部分は公定価格等の変動を生ずるわけでございます。
  58. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ところがその公定価格の変動というのは、なかなか物価庁方面なんかへ提出しても恐らく六ケ月そこらぐらいもかかるようなのが多い。今度の場合は附加価値税に特例を設けて、その点は機敏にそういうのを処理する方針をおとりになつているんですか。
  59. 本多市郎

    國務大臣本多市郎君) 今回の税制改革国税地方税を通じての税制改革でありまして、普通の経営であり、又普通の業態でありますと、これを総合的に計算いたしますと、税の面から特に公定価格を引上げなければならんというようなものは非常に少いように考えられます。併し交通運輸事業等におきましては、やはり固定資産評価のその程度によつては、相当固定資産税等も高くなります。又従来の課税方法と違いまして、附加価値税等の影響もありますので、そうしたものについては、これを吸收し得るものは吸收し、どうしても吸收し得ないと認められる分につきましては、それぞれ公定の賃金等を変更するような準備を進めているような次第でございます。
  60. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質疑はございませんか。
  61. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 実は今陳情が参つておりますが、文部省の社会教育法による認定通信教育協会から陳情されておりますが、これは勿論学校教育法による私立学校等は当然免税されておりますが、この社会教育法による認定通信教育機関に対しては全然免税されておらないのであります。これは社会教育法によりましても通信教育審議会の諮問を経て文部大臣が認定するのでありまして、認定を受けた通信教育に対しましては郵便料金等も特殊な扱いを受けているのであります。ところが今回の地方税法におきましては、附加価値税も、市町村民税固定資産税も、いずれも賦課されることになつておるのでありますが、これは学校教育法による通信教育とは資格において違いますけれども、実質的には同じような教育的な効果を挙げているものであると思うので、大体通信教育に対しましても、学校教育法による通信教育と同樣に免税の恩典に浴させたいと思うのであります。これは第二十四條の附加価値税、第二百九十六條の市町村民税、第三百四十八條の固定資産税、それぞれの税金を学校教育法によるものと同じように免税を均霑さすべきものであろうと思うのでありますが、これにつきまして所府側の一応御意見を伺いたいと思います。
  62. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 附加価値税につきましては、税をかけますと事業といたしまして別に通信教育業というようなものを挙げておりませんから、附加価値税はかかりません。それから固定資産税市町村民税につきましては、おつしやいます通り、学校法人だけに限つておりますが、市町村民税などにおきましてはその市町村において適宜一般の公益法人として免税の措置ができると思います。それから固定資産税につきましては通信教育をやるからといつて特に固定資産が要るとも考えられませんので、必要であればこれも公益免除もできますが、これは必要はないと考えております。
  63. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 それは御説明でここに課税上彈力性はあるように伺えますけれども、併し附加価値税市町村民税固定資産税も学校教育法によるものと同じように免税するようにはつきり條文の中に謳われたらどうかと思うのですが、実際におきまして、文部省で認定を受けた通信教育機関は僅かに七つの財団法人があるだけでありまして、その税額の上には大した收入でもないと思うのであります。その財団法人の方におきましても非常にこれに対して通信教育の前途に重大なる暗影を投ずるものであるとして非常な心配をしておるのでありまして、これを地方税法の中にはつきり謳つて免除されたらどうかと思うのですが、如何でしようか。
  64. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 只今申上げましたように、市町村民税が、法人でございますから均等割だけ取れることになつておりますが、仮に取りましても何千円の問題でございますから大したことはありませんし、又固定資産税につきましても、学校法人でも、直接教育の用に供する固定資産でございますから免税になりますが、通信教育のためにそのような固定資産を沢山使うということはちよつと考えられませんので、従いまして大して問題にならないと思います。先程申上げましたように附加価値税はこれはかかりません。そう通信教育の前途に暗影を投げるというようなことは起らないと思います。尚それ以上に市町村におきましては、そういうものを免除する方がいいと考えるならば、これは公益上の理由によりまして、その市町村限りの免税を行えばそれで解決がつく問題と思います。それで市町村なら市町村限りの免税につきましては、これは他の公益法人等も種々ございますからやはりその市町村におきまして均衡を取りまして、然るべく免税の條例を設けるのが適当だと考えます。
  65. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。……なければ本日はこの程度で散会いたします。    午後三時四十六分散会  出席者は左の通り。   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君    委員            三木 治朗君            櫻内 辰郎君            柏木 庫治君            鈴木 直人君            太田 敏兄君            濱田 寅藏君   大蔵委員    委員長     木内 四郎君    理事            黒田 英雄君            伊東 保平君    委員            天田 勝正君            玉屋 喜章君            平沼彌太郎君            油井賢太郎君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            藤井 丙午君   国務大臣    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    政務次官地方自    治       小野  哲君    地方自治庁次長 荻田  保君    総理府事務官    (地方自治庁財    政課長)    奧野 誠亮君