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政府委員(平田敬一郎君)
只今議題とな
つておりまする
貴金属管理法案につきまして提案の理由を御
説明申上げます。
金、銀等の貴金属の管理につきましては、現在、終戦直後の
昭和二十年九月に総司令部の覚書に基きまして、公布施行せられました「金、銀又は白金等の取引等取締に関する勅令」及び「金、銀又は白金等の地金又は白金の輸入の制限又は禁止等に関する勅令」並びに「金、銀、有価証券等の輸出入等に関する金融取締に関する省令」によりまして、金銀等の貴金属の国内取引及び輸出入の統制が行われ、又新産の貴金属は、すベて
政府に集中することにいたしているのでありますが、一方、終戦前から施行せられて参りました産金法も未だ廃止せられず、尚その効力を有しているのであります。このように二本建の法令によ
つて貴金属の管理が実施せられておりますことは、複雑でありますのみならず、終戦後に公布せられましたこれらの勅令等も亦従来の産金法も今日の実情に照しますれば検討を要する部分が少くないのであります。
貴金属、特に金は戦後の今日におきましても、国際決済の最も重要な手段とな
つておりますことは御
承知の
通りでありますが、我が国の経済が今後真に強固な安定の基盤を確立し、自立と復興の目標に到達し得るためには、国際貿易の恢復、拡大と、国際收支の均衡を実現することが最も緊要であることは申すまでもなく、又将来我が国が国際通貨基金に参する場合のこと等を考えますれば、我が国の経済において貴金属の果すベき役割は、今後ますます重要性を加えて参るであろうということは明らかであります。従いましてこの際速かに適切な貴金属の管理方式を確立して置くことが必要であると考えられるのであります。
以上に申述ベましたような理由によりまして、ここにこの
法律案を提出した次第でありますが、次にこの
法律案の内容につきまして主要な点を二、三申述べますと、先づ新産の貴金属地金は、従来と同様にすべてこれを
政府に集中することにいたしております。
次に、
政府に集中された貴金属地金のうち国内で売却する分につきましては、予め適切な配分計画を立て、これに基いて工業、工芸その他の用のために売却するようにいたしました。
又従来は金、銀及び白金等の地金について国内取引を統制して参
つたのでありますが、現下の実情からいたしますれば、銀及び白金等につきましては、国内取引の統制を存続する必要も認められなくな
つて参りましたので、この際これを取り止め、單に金地金についてのみ国内取引を統制することといたしました。
更に、従来は金鉱業、金製錬業、含金鉱産物買入業及び金回収業等の生産面について種々取締を行
つて参
つたのでありますが、現在その必要も認められませんので、これを廃止することとし、又従来は歯科用貴金属加工業及び販売業等に関する取締の
方法が煩雑であり、不備の点も少くありませんので、この際これを整理統一することとしました。
最後に、金の重要性に基く産金復興助成の見地から、金鉱業者が機械、器具等を輸入する場合には、一定の
條件の下に輸入税を免除することといたした次第でございます。
以上が本
法案を提出いたしました理由でございます。何とぞ御
審議の上速かに御
賛成あらんことを
希望いたします。