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1950-04-05 第7回国会 参議院 大蔵委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月五日(水曜日)    午後一時三十九分開会   —————————————   委員の異動 本日委員林屋亀次郎君、玉屋喜章君及び平沼彌太郎君辞任につき、その補欠として淺井一郎君、大隅憲二君及び小串清一君を議長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○連合委員会開会の件 ○保險業法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○旧軍港市転換法案佐々木鹿藏君外  二十一名発議)   —————————————
  2. 木内四郎

    委員長木内四郎君) これより大蔵委員会を開きます。  昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担に関する法律案に関しまして、地方行政及び建設委員会より連合委員会の開催を要求されておりますが、これに応ずることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないものと認めます。  よつて昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担に関する法律案については地方行政建設委員会連合委員会を開くことに決定いたしました。  次に保險業法等の一部を改正する法律案議題として審議をすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないものと認めます。保險業法等の一部を改正する法律案議題といたします。御質疑のある方はお願いいたします。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 保險業法等の一部を改正する法律案、これに関連して御質問したいのですが、今保險会社株式はどのくらい保有しておりますか。
  6. 長崎正造

    説明員長崎正造君) 保險会社の保有しております株式金額は昨年十二月末現在におきまして生命保險会社が六十六億四千二百九十九万八千円でございます。損害保險会社が二十九億八千八百四十一万六千円でございます。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはいつの時価ですか。
  8. 長崎正造

    説明員長崎正造君) これは記帳価格によつておるわけでございますので古い株式については相当低いブック価格になつておりますが、また昨年度に購入されましたものについては現在の時価にすれば高い価格になつているものもあるわけでございます。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最近ですね。最近つてまあ昨年頃から株式が非常に暴落して、最近また安いようになつて新聞にも報ぜられておりますが、この生命保險損害保險株式運用しておつて、それで最近の株価暴落影響は受けないでしようか。何か最近の株式暴落、これは責任準備金運用しているのだと思うのですが、それによつて経理の上に支障を生ずるということはないのですか。そういうことを検査されたことはございませんか。
  10. 長崎正造

    説明員長崎正造君) 損害保險会社におきましては只今の約三十億に上ります株式は、特に株式を昨年に余分に買つたというようなことではなく、概ね増資の拂込資金等が昨年の増加に該当するわけでございますが、生命保險会社の場合は昨年十一月以降株式買出動と言われているものを行いまして、約十五億円程株式を買入れているわけでございます。最近私共の調査したところによりますと、生命保險会社の持つておるところの株式というものは主要な銘柄につきまして約一七%程度生命保險会社の保有しておる株式が昨年の十二月末と今年の三月末と比ベますと、十七%程度値下りをいたしております。  併しながら逆にブック・バリュウが低くなつておりますものもありますので評価益というものも若干ございますし、又昨年前半において相当株式売却したりいたしておりますので売却における評価益というものを加算いたしまして、売却損評価損と比較いたしますならば、全体といたしますとほぼとんとんくらいになるという見込になつております。ただ会社によりましては、売却益評価益を以て評価損を賄えないというものも若干ある見込でございます。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最近生命保險会社募集費というのですが、それは非常に経費が多くなつて今の募集費じやぺイしないと言われておるのですが、最近の募集費はどういうふうになつておるのですか。
  12. 長崎正造

    説明員長崎正造君) 生命保險会社募集経費といものは生命保險料の中の新契約費という形で保險金額千円につき対千、三十円というものが見込まれておるわけでございます。併しながら只今のところではこれを経費の枠、新契約費の枠といつておりますが、それを超しておる会社もある。大体昭和二十四年四月から一月までの第一回の收入保險料というものは五十二億二千四百九十万円でございます。それに対して新契約費は四十七億六千四百万円、まあ九一%ということになるわけでございますが、会社によつてはこれを相当超しておるものもございます。平均九一%ということになつておりますので、会社によつては百パーセントを超しておるものもあるということになるわけでございます。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、超しておるような会社はこれはどういうふうにして経営を健全化して行くわけですか。
  14. 長崎正造

    説明員長崎正造君) それは現在保險会社のうち相当のものが今の新契約費、或いは維持費の面において死差損を出しておるわけでございます、ために死亡保險料の分、このうちには若干余裕がございます。言い換ますならば予定死亡率、これで以て保險料が算出されておるわけでございますが、予定死亡率と実際死亡率の間には相当開きがございます。その差益即ち死差益というもので今の経費の損を賄つておるという実情でございます。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まあこういう形で今死差損と言うのですが、これはまあ埋めている、それでこういうような今の経営の仕方で心配ないのですか。
  16. 長崎正造

    説明員長崎正造君) それは御指摘のように決して楽観を許さない状況でございます。結局この経費高を賄うため新契約募集を行い、その中には相当無理なものがある。そこで解約失効というようなものも起つて参ります。更にそれが継続保險料の減少ということにもなつたわけでございます。更に経費損が殖えてくる。それを解約益とか或いは死差益というような利益で填補とておるというような傾向にあるわけでございますので、この惡循環を続けておりますと信用の失墜を来すということになるわけでございますので、私共といたしましては、無理な契約募集をしないようにという観点から、保險募集取締に力を盡し、又一方経費が枠内に收まるように経費損を抑えて、経費損をなくするようにするというような面から惡循環を断ち切るというふうに努めておるわけでございます。併しながら通貨信頼感が回復すると共に又生命保險の必要というものは誰しも、特にこういうような状態におきましては又感ぜられるところでありますので、まあ段々通貨が安定して来るということになりますれば、生命保險の需要も生命保險の機能も段々回復して来のるではないかというふうに考えております。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これまで今お話を承つておりますと、大体死差損を、新規契約募集費が非常に高くなつて来ておるのを、予定死亡率と実際の死亡率の差、即ち死差益で補なつて来たと言われましたが、その他に株式のインフレ相当昂進しておるときには、株式値上り、それによる評価益相当息をついていたのではないか。そういう点もあつたのではないですか。
  18. 長崎正造

    説明員長崎正造君) それは御指摘のように、昭和二十三年度の決算、即ち昨年の三月末の決算におきましては、財産売却益というものが相当ありました。而も評価損とか売却損というものを遥かに超えておりましたので、その財源によつて損をカバーしていたということは確かにあつたわけでございます。評価益まで出したという会社は、生命保険会社二十社ございますが、そういう会社は一二社程度でございます。併し売却益というものを失つた会社相当つたけれども、大多数の会社売却益というもので損をカバーしております。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私の観察では株式運用していて、相当株が値上りするだろうというので、募集費の高くなつているのを埋められて、そうして足らなくなつていればそれを売つて売却益でカバーできる。大体そういう運営をしておつたのではないか。只今お伺いしますと、死差益というもの、これもあつたと思うのですが、大体の運用の仕方がそういう運用の仕方をしていたのじやないか、従つて株値暴落しましたが、又この株価値上りを示さないということになり、更に又今後の情勢如何によつて、最近の様子を見ていますと又下つているようですが、そうなりますと生命保險会社資産運用の上に楽観を許さない点が相当出て来るのじやないかと思うのです。今後の株価にもよると思うのですけれども……。従つて日本保險会社の営業を、これは今度の法律案は外国の保險会社との競争が起つた場合に相当これを保護するというような目的があると思うのですが、内地保險をですね、無論それも必要と思う、それと同時に国内においてそういう保険会社経理が非常に不安定であるということが分つて来ると、これは信用上にも相当影響するのですし、この点においては相当監督を厳重にして行かなければならないと思うのですが、只今の御答弁政府としても楽観を許さない状態にあるというお話でありましたが、併しながら今後通貨信頼感が高まるからそう心配することはない、こういうようなお話つたのです。併し今のお話範囲内ではそう心配がないという結論になつておるのですが、果してこの最近までの株価暴落、それによつてさつきお話ですと、株式売却評価益とか、それからブック・バリュウの低いものがあつたから、そういうものを総合して見ると、全体ではとんとんになつていると言われていますが、もつとこれを実際に調査したら果してそうであるかどうか問題になる点が多々あるのじやないかと思うのです。従つて私が御質問したいのは今後更に保險会社経理については監督を強めなければならない。そうして万一、そういうようなことがないように希望するのですが、万一生命保險契約者に損を與えるということが起ると、或る一つの会社でも非常に重大な問題になりますので御質問しておるのですが、例えば最近市街地信用組合なんかでも、これは特殊の例かも知れませんが、こういう経済情勢の変動のときにそういう例も起りますので、この点については今後どういう取締方針、或いは監督方針、そういうものを特つて臨まれるか。それから更に最近この保險について新聞なんかによく出ておりますが相当保險募集について非難が起つております。いろいろ詐欺的な保險募集、それに対してどういうような対策を考えられて、又現実にどういう対策を拵えておるか、この点についてお伺いしたい。
  20. 長崎正造

    説明員長崎正造君) 先ず生命保險募集取締状況ということでございますが、終戰後のインフレに対処するために生命保險会社小口契約大口契約に切替えるといういわゆる乗替募集をやつたわけでございます。その際の募集が素質の低下した外務員によつていろいろ不正な方法で行われて無理募集なつたということで相当紊乱をいたして参つたわけであります。これを放置することができないので、昭和二十三年の七月に保險募集取締に関する法律というものが施行されまして、これで取締に当ることになつたわけでございます。これによりまして、外務員登録制度というものが実施されまして、悪質なものに対しましては登録拒否取消、或いは業務の停止等処分を行うということになつたわけでございます。現在この法律に基くところの登録外務員数というのは約十万近くございまして、そのうち登録拒否、或いは取消というものを行なつたものも数件ございます。又その前の、取消処分の前提となる聽問というようなことは更に数多く行つているわけであります。最近では大蔵省で外務員ブラックリストというようなものを作りまして、これは事故実情、投書、或いは相談等による事故の際に問題になつ外務員に対してブラックリストというものを作つて、これを各地に配つて悪質者による事故を予防するというようなことをやつております。又昨年十一月には募集取締の事務を財務部に移りまして、財務部所在の身近かなところで取締を行うようにして取締の強化を図つているわけであります。その他ラジオ、新聞等によつて契約者保險思想にも努めるというような措置をいたしております。根本対策といたしましては、結局外務員教育励行をする。と同時に国民一般保險思想の普及を図るということをしなければならないと思つているわけでございます。  それから今後の弱体生命保險会社に対する処理損害保險については極く特殊なものを除きましては大体順調でございますが、生命保險会社につきましては、傾向として相当の問題があるわけでございまして、これらにつきましてはすでに昭和二十三年度においても若干問題になつ会社があるわけでございまして、これらにつきましては強力な監督命令、これを拘束命令というようなふうに呼んでおりますが、保險法に基くところの強力な監督命令を出しまして、経費の支出を事前の承認にかけるというような処理をいたした会社が一件あるだけでございます。併し更にそういつたような会社が出て参りました場合には同様な措置をとる用意があることは勿論でございますが、更にそれでもどうしても工合が悪い、契約者の迷惑になる虞れがある、将来暫く様子を見て、業績がよくなる見込がないという判断がつきました場合には、これは事業停止とか、或いは適当なところに合併するというような適切な措置をとつて行なければならない。要するに保險契約者利益を阻害するというような虞れがありますならば、どうしてもこれには断乎たる措置をとらなければならない。併し尚現在の情勢では合併等を慫慂いたしましても、相手方の会社相当忙しいというような状況にありますので、生命保險会社信用保持のためにする相互救済制度として、生命保險保証基金というような制度を一方において研究いたしておる次第であります。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その場合の保証機関というのはどういうような構想ですか。
  22. 長崎正造

    説明員長崎正造君) それは銀行の場合のデイポジット・インシュアランスに類したものでございまして、生命保險会社が一定の掛金を出して、そうして若し責任準備金に不足するというような会社がでてきました場合には、それをその保証金から填補してやるというような構想でアメリカにその例もあるのでございます。銀行丁度ディポジット・インシュアランスに該当するものでございます。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは何か近く成案を得て、具体化するような気運があるのですか。
  24. 長崎正造

    説明員長崎正造君) これは目下研究中の程度のものでございまして、それを作りますにつきましては、その基になる基金をどうするかということが問題になるわけでございまして、この財源をどこから調達するかというような点でまだはつきりいたしません。又制度自体としてはまだ十分国会に提案するところまで進んでおりません。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 基金というのは余程いるものですか。
  26. 長崎正造

    説明員長崎正造君) それは要するに責任準備金の穴を埋める程度でございますので、現在責任準備金がさして大きくないときはそう額も要らないと思います。現在は十億以下で差支ないと思います。これは時間の経過につれまして、又事態が悪化いたしますればますますその金額は大きくなるというようなことになるわけでございます。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 生命保險会社の、これは金融機関再建整備の対象になつたと思うのですが、あの結果はどうなんですか。金融機関再建整備生命保險会社の方の最終の結果はどうなつたのですか。
  28. 長崎正造

    説明員長崎正造君) 金融機関再建整備法による生命保險会社再建整備は約二十社のうち補償なしで済んで会社は二社あつたのでございますが、他の大多数は政府補償を受けて再建整備を終了いたしました。その金額は総額において三十八億円の政府補償を受けておるわけでございます。御承知のように旧勘定資産処分益が出ました場合には、その補償を返さなければならないというふうに規定されておるものでございますが、現在その調整勘定というものが約十五円程度計上せられております。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますとこの三十八億円の政府補償は今後旧勘定利益ですね、これは返す。十五億円程度計上というのはこれは旧勘定処分益なのですか。
  30. 長崎正造

    説明員長崎正造君) さようでございます。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もうすでに新勘定、旧勘定はなくなつたのじやないですか。
  32. 長崎正造

    説明員長崎正造君) これは再建整備法規定によりまして、元勘定に属しておつた固定資産処分益調整勘定処理して行くようなことになつておりますので、かような利益が出ております。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 政府補償の三十八億は、いわゆる最後にはどの位になるお見込ですか。この返済するとして残るのはどんなふうにこの改正でお見込ですか。
  34. 長崎正造

    説明員長崎正造君) それは今後処分益がどれだけ出るかという問題でございますが、まあ見通しといたしましてはもう余りこれ以上に益は出ないのではないかというふうに考えられます。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと三十八億から十五億を引いた大体二十三億が政府ネット補償、純粋の補償というようなお見込なんですか。
  36. 長崎正造

    説明員長崎正造君) まだこれは何とも分らないわけでございますが、大体これ以上殖えないというふうに考えられますので、まあ結局そのくらい残るのではないか……ただ不動産評価益というようなものを繰入れるというようなことが問題になりますれば、これは補償を賄つて余りあるというようなことになるわけでございます。そういうようなことは余り考えられないので、まあこの程度が止りではないかというふうに考えられます。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 あの今度の資産評価とか何かで再評価した場合、そうすると相当出て来るということになるのですが、今のお話ですとどういう意味ですか。
  38. 長崎正造

    説明員長崎正造君) 資産評価によりまするところの再評価益というものは、スペシャル・キャピタルになりますので、この勘定には入つて来ないということになつております、再評価積立金勘定に入つて参りますから……
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと旧勘定に属していたものを今度は再評価して益ができる、そうするとこれは再評価勘定になるのですが、そこから税金が取られますが、そこで再評価して出て来た益は結局は直ぐではなくても何年か後、それか増資されるとか何とかという形でこの新勘定の方に行くんじやないのですかね。そうすると旧勘定から生じた利益というふうに解釈できるのですか。
  40. 長崎正造

    説明員長崎正造君) その点は再評価法によつて特例が設けられておりまして、調整勘定経理しないというふうに処理されております。従いましてまあ仮に生命保險会社の旧勘定の上動産が再評価されます場合には、その再評価益というものは調整勘定には入つて来ないという結果になるわけでございます。
  41. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと最初からそういうふうに金融機関再建整備法、あれに副うようにはつきり規定してあるわけですね。
  42. 長崎正造

    説明員長崎正造君) 金融機関再建整備法の方には、処分益評価益が出た場合には調整勘定経理するということになつておりまして、今度の再評価法によりまして、再評価積立金として計理するというふうに特例が設けられておるわけでございます。
  43. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 再評価法に……
  44. 長崎正造

    説明員長崎正造君) そうです。
  45. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その再評価法で、どうしてそういう特例を設けたんですか。
  46. 長崎正造

    説明員長崎正造君) それは再評価法の問題で、私の方の所管と多少離れておる点もあるのでございますが、これは大体再評価法によりましては、処分を予定しておる資産というものは……。再評価法というものは金融機関の新勘定、旧勘定……。金融機関再建整備法の新勘定、旧勘定というようなものと関係なく作られておるわけでありまして、従いまして旧勘定資産というもの……。元旧勘定に属しておつた、或いは新勘定であつたというようなことを問題とせず、一律に再評価して、そうしてそれは再評価積立金に入れるという建前でできておるわけで、その建前を、いわば優先せしめまする関係上、金融機関再建整備法規定が排除せられる結果になるというふうに了解いたしております。
  47. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この金融機関再建整備法政府から補償を受けたのは生命保險だけですか。
  48. 長崎正造

    説明員長崎正造君) 損害保險会社東亜火災という会社一社が約三千万円の補償を受けております。他の会社は全部政府補償はなしです。而も契約者は切捨てることなしに再建整備は終つたわけでございます。
  49. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 結局三十八億、生命保険では政府補償を受けて、これは旧勘定に属していた財産処分して、処分益によつてこれを返すということになつているのですが、大体十五億円と言われるのですが、これがまあ果してもつと返せるのに十五億程度で止まるのか、その点我々分らないのですが、これも極力政府の方では……。これは言うまでもないことなんですが、政府補償を受けた分については、極力これはもつと多く返されるべきだと思うのですが、それについて相当いろいろそういう方向に対して努力を拂われたかどうか、大体この程度で止まるであろうというお話であつたんですが……
  50. 長崎正造

    説明員長崎正造君) それは従来とも生命保險会社におきましては、結局生命保險信用を保持するためには棚上げにした契約者に対して、返還をするということが生命保險信用を回復する上においても、どうしても必要なことであるという見解から相当整備補償は、勿論のことその上積みになつているところの契約者、旧契約者債権も返還するという意気込みでやつてつたわけでありまして、株式値上りがあつた場合には、相当利益が出て参りまして、それが今申上げました十五億を構成しているのでございます。保險会社の持つております不動産というものは売却するということはないわけで、概ね売却するということはないわけでございますので、この処分というのはすべて株式売却益であると言つても過言でないのでありまして、今般株式値下り等のことによりまして、最近においては殆んど調整勘定に計上せられないという状況になつているわけであります。
  51. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 外に御質疑にございませんか。
  52. 米倉龍也

    米倉龍也君 今の調整勘定に関連したことですが、調整勘定で外の勘定を閉鎖する。永久にあんなことが続くわけじやないですが、期限が、どのくらいの期限を今後又続けられるのです。結局旧勘定に属するものの処分が、すつかり処分できるまで、ああいう調整勘定を残すのですか。これは銀行等と同じでしようが、そういう点を何かお見込をつけてやつていらつしやるか、その点お聞きしたい。
  53. 長崎正造

    説明員長崎正造君) その点は金融機関の、旧勘定に属した資産のうちに特経会社に対する債権、或いは閉鎖機関に対する債権、その他在外財産というようなものが旧勘定資産にあるわけでございますが、そういつたものの確定評価というものがついたときには、そういう事態になりましたときに、調整勘定が閉鎖されるということになるわけでありまして、そういつた事態は今のところ確としていつ頃になるかということは見込が立つておらないのであります。
  54. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先程御質問をいたしたのですが、生命保險会社経理について株式暴落、その他の影響相当あることは分つておるのですが、そのために直ぐ保險会社がどうなるかというようなことは心配ないと思うのですけれども、只今の御答弁では相当モタレート、恐らく相当緩和した御答弁だと思う。我々が聞いておる範囲では株式暴落等影響相当つたというふうに聞いておるのでありまして、募集費相当多額になつて責任準備金株式運用して、その運用益募集費の不足、欠損をカバーする方針でいたところが、その後困難になつたということを聞いておるのでありまするから、その実情は今の御答弁よりも私はもつと深刻なように聞いておいたのです。これは希望ですが、今後保險行政の上から言つて先程もちよつと弱体化する会社があるようにも聞きましたから、の点は今後十分注意さして被保險者に迷惑が掛からんように十分監督され、万全の処置を講ぜられることを希望いたして置きます。
  55. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御質問はございませんか。他に御質問がなければ保險業等の一部を改正する法律案に対する御質疑を終了したものと認めて、直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないものも認めます。よつて直ちに討論に移ります。賛否を明らかにして御意見をお述べ願いたいと思います。……別に御発言なければ保險業法等の一部を改正する法律案について討論は終局したものと認め、直ちに採決に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないものと認めます。よつて保險業法等の一部を改正する法律案の採決を行います。  本法案に原案通り賛成の諸君の御挙手を願います。    〔総員挙手〕
  58. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 全会一致と認めます。よつて保險業法等の一部を改正する法律案は全会一致を以て、可決すべきものと決定いたしました。  尚委員長の提出する報告書及びこれに対する御署名及び委員長の本会議における口頭報告につきましては、恒例によつて処理することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないものと認めます。御署名願います。   多数意見者署名     波多野 鼎  黒田 英雄     九鬼紋次郎  西川甚五郎     小宮山常吉  木村禧八郎     米倉 龍也  大隅 憲二     伊藤 保平   —————————————
  60. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 次に旧軍港市転換法案議題として審議をすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないものと認めます。それでは旧軍港市転換法案議題といたします。御質疑のある方はお願いします。
  62. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 旧軍港市転換について一二提案者に御質問したいのですが、旧軍港都市が戰争後非常な困難な地位におつて、是非とも平和的産業都市として再生したいという希望を持つておられることは十分了解ができますし、そういうようなふうに取扱つて上げることに私は賛成なんですが、ただこの法律について若干疑問に思う点があるので、それは大体こういうような話をよく聞くのですが、即ち旧軍港都市の或るものにおいては、すでに軍用財産を民間の会社に拂下げたとか、民間会社がまあ借受けいてるわけなんだが、今日のような経済界の情勢のためにその買受代金の支拂に困つておるという事情があつて、そういう困難な事情を打開するためにこの法律が一つの役割をするのだというふうに解釈され、又そういうふうに言われておるのを聞くのですが、そういうもんですか。
  63. 佐々木鹿藏

    委員外議員(佐々木鹿藏君) 実際問題といたしましては、大蔵当局でないと一々のことは判明いたしませんが、私共の知つておる範囲におきましては、四軍港ともまだ売却なつたというものは誠に少いのでありまして、今は一時転用という形で受けております。この一時転用というものが永久に続くものでもありませんし、現行法でございまのたらやはりこれを公共団体及び産業会社が買取らねばならんという情勢に追込まれておりますが、併しこれを買取ろうと考えましてもなかなか莫大な金を要すし、さりとて増資をいたしまするには増資を応募者が少いというような関係で、何とかしてこれをその單価を下げて産業会社が受け安いようにというようなことを考えましたのでございます。その二、三の例を申しますと、例えば的確に申上げますと、佐世保の船舶のごとき一つの例ですと一応大蔵省の査定では三十三億というような一括して査定をしておる、併しながら会社は僅かに一億三千万円である、そのような小さい会社で三十何億という会社を買取るということは不可能である。そこで買取る方法を簡易にし、そうして実行ができるようにということを考えて見ますると、成るべくその会社が買取り得るような価格、そうして又買取つた後においても運営ができて行くような方法をとるというようなことを考えていたのであります。併し私共の考える通り参りませんので、幾多、いろいろまあ内外ともの情勢が許しませんので、初め私共の考えた問題と少し変つてつておりますが、まあこの提案したような法律のことならばまあやや産業もできるだろう、又公共団体につきましては、例を申しますると、例えば学校を拂下げて貰うというような場合でも七千五、六百円と換算をされております。これが新築いたしますると一万円程度ならば建つのであります。それが七千五、六百円という單価で拂下げられると学校に僻地であつて而も学校にはふさわしくないというのが七千五、六百円でありますれば、むしろ新築した方が安いのじやないかというような実情が沢山ありますので、こういう価格では公共団体と雖も拂下げに困難するというような実情から睨み合せまして、やはり五割程度下げて、七千五百円を五千四、五百円の單価に下げて妥当だろう、そうしてこの拂下げの迅速において軍用財産処理を早めるということも、やはり大蔵省におきましてもそれが便宜であり、又国から見てもその方がいいだろうというような、立案者の考え方はこの国有財産を適切に処理し、而も迅速に処理し、そうしてその財産処理されたものが生きて活用される方面に使いたいというような考え方で立案をした次第であります。
  64. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 今の学校とか療養所とかいうようなものに公共団体のが使うために拂下げを受けるというような場合についてはよく分るのです。この法律でそれは時価の五割引ぐらいで拂下げて呉れた方がよい。その方がまあ市民のためになる、これはよく分る。ただ問題は産業会社に対して旧軍用財産を拂下げる場合のことなんですが、それがこの法律ではどうもはつきりしないのです。実際話を聞いて見ると、最初に言われたように、産業会社が買いたがつている、又産業会社に買わせる方が市の産業発展にはいいわけなんで、ところが産業会社にできるだけ安い値段で買わせるという趣旨のことは、この法律には出ておらんと思いますが、出ておるのですか。
  65. 佐々木鹿藏

    委員外議員(佐々木鹿藏君) この御質問の点にきつましては、森下委員より詳細に御質問があつて、できる限りの詳細な御答弁を申上げたいと思いますが、重ねての御質問も同じような意味かと解しますが、これは御説のように全く私共の考え方では産業会社が来ようと考えましても、現行法のごとき單価では産業会社がなかなか来ても経営困難な状態に陥るから、成るべく安い価格で、即ちこの四條の一に該当するような価格で拂下げる方法はないかということを一応考えたのであります。そうしてここにやはり五割とか三割とか明記して、はつきりして立案をしようと考えたのでございますが、先程申述べたように、内外ともの、例えば大蔵省及びGHQの関係等を睨み合せますると、ここに三割とか二割とか的確に明記することがよいのでありますが、明記したことによつて困難を来すような虞れがありましたので明記をしない。併しながら明記はせんけれども、六條にございます審議会において最も適正に最も公平に処理するということにいたしますれば、何ら支障はないだろうという考え方で立案をいたしましたような次第であります。
  66. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 その辺がやはり問題なんで、法律の上では産業会社相当安い値段で、又その会社経営が成立つような値段で拂下げるということを、法律の上では述べておらない。併し運用の面でそういうことをやろうということが狙いである訳なんですか。
  67. 佐々木鹿藏

    委員外議員(佐々木鹿藏君) 初めの私の申上げたのは、初めはそういう考え方をいたして、二割なり三割なり割引を明記したいと考えておつたが、現在の情勢下においては、そのようなことは相許しませんので、明記しなかつた従つてその明記しないことはできない、そういうことはできないということを考えて即ち十年間待つて貰えば、産業会社を三年ではなかなか支拂が忙しいので、落ち着いて事業ができないが、十年待つて貰えば事業の進展もできるという考え方ではつきりいたしたのであります。決してこれに対して初め申上げたような、明記していないが五割、つまり四條の一に該当するような五割引などする構想を考えたわけではございません。
  68. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 そうすると産業会社に拂下げる場合には、その場合には勿論時価でしようが、評価された時価でしようが、その代金の支拂を十年以内延納する特約をするということだけで産業会社を誘致するというお考えなんですか。
  69. 佐々木鹿藏

    委員外議員(佐々木鹿藏君) その通りであります。
  70. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 もう一つお伺いしたいのですが、第六條に審議会が出ておるわけですが、審議会の構成が出ておるわけですが、この場合、関係府県知事及び旧軍港市の市長というものを審議会の構成メンバーに挙げておりますが、これはあとで法理論的な解釈を聞こうと思つておりますけれども、特に時価の五割以内で公共団体に拂下げるというようなことを規定しておる、その審議会に拂下げを受ける側の代表者、利害関係者が入つておるということはどうだろうかと思うのですが。
  71. 佐々木鹿藏

    委員外議員(佐々木鹿藏君) 御質問の点は我々も非常に苦心いたした点でございます。この審議会の委員関係知事や市長を交えることはどうだろうかと思つたのです。併しながらこの運営を適正にやつて参りますには、四つの軍港ごとにこのような審議会か或いは協議会を作らねばならんと思います。それは即ちその土地の事情に精通し、又産業を起す場合には、それらの市長なり県知事に相談をする関係から、四つの軍港都市それぞれにその関係の協議会若しくは審議会を作らねばならんということで考えて見たのでありますが、それでは余りも複雑になつて、即ち公平を欠くのじやなかろうか、と申しますのは、佐世保の審議会或いは横須賀の審議会との査定の相違などか起る場合がありはせんか、四つ作る場合には、現に閉鎖機関の査定などにおいても現実に現われておる問題であります。御承知の通りに閉鎖機関の査定をいたします場合には、勧銀の行員に査定をさせておる、この勧銀の行員と雖も、例えば、広島市における銀行の行員が査定したのと徳山の行員が査定した場合は、倍以上に査定した場合と、倍以下に査定したというような、つまり同じ行員でもそういうような見解の相違を持つ虞れがありますので、横須賀と佐世保、或いは神戸、舞鶴にそれぞれにこの協議会を置いた場合には、一貫した査定をしないと虞れがあるというようなことからいたしまして、一本にする方が公平になつて、一本にすれば一本の価格で公平に拂下げるということで一つに集めることにいたしたのであります。そこで一つに集める場合にどうやつたらいいかというので、先ず売る方の側の、つまり大蔵省の事務次官、或いは官吏、又建設に対する建設事務次官、それに対する官吏、これらの方の諸君を交えて、又これと関係するところの庁と懇談折衝すれば、適正に出ると同時に、この会を握つておりますポイントはこの市長でなく、県知事でなく、この民間からの学識経験者であり、而も国会の両院の承認を得るべき委員の五名が全く公平無私に適正に処理するということに重点を置きましたので、市長や県知事は簡單に申しますれば、連絡或いは推進等に非常に得るべきと解釈し、又国の方も迅速に運べるという考え方で参つたのであります。而もこの法案が決議機関でありまするならばお説のような考え方もございますが、御承知の諮問機関でございますので、市長、県知事等も交えてもよかろうという考えを以ちまして立案した次第であります。
  72. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 法理論的なことは別にして置きますが、ちよつと常識的に考えて、五割引に譲渡して貰う当の人間が、当の立場にある当事者が出て行つて、諮問機関にしろその諮問に応ずるということはどうかと思うのですがね。それを不思議にお考えにならんですか。
  73. 佐々木鹿藏

    委員外議員(佐々木鹿藏君) 前に申上げましたように、そのような説もどうかと思つて、実は立案に躊躇したのでありますが、四つの軍港にそれぞれ諮問機関であるが、諮問機関の協議会或いは審議会を作るということは公平を欠く虞れがあるから、まあ一本にした、そこでその一本にする場合に、その土地々々の事情に精通した市長、知事を交えることも公平ではないか、而も昔の市長と違つて近頃の市長は御承知の通り公選で出た市長であるから最も公平無私なものであろう、又県知事も然りというような見解を持つたのでございますが、波多野先生のごとき各般に通じ、法律に詳しい方からとつちめられると、素人の私は非常に困るので、これが専門家の者が十分に盡したのなら或いは至れり盡せりの法案になつておると思いますが、何さまただ産業を起し、疲弊困憊したこの四つの軍港を平和都市に転換する、そうして国の財産を公平無私に処理するという考え方に基きまして、法律的にそれが十分に整つていないかも知れません、又常識が欠けておるかも知れませんけれども、我々の立案の趣旨は断じて公平を欠かない又最も適正に処理できるのだ、こういう考え方には間違いないのでありますから御了承願います。
  74. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  75. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記を始めて。
  76. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 今は公選知事であり、公選市長でありまして、これは厳正公平に職務を執行するということは当然だと思います。私も信頼いたします。併しそれとこれとは、私の言つておるのは別なんで、恩惠を受ける側の者がどれだけの恩惠を受けるかということについての意見を聞くということはどうかと思うので、そうお思いにはならんかというのであります。これは法制意見長官にお伺いいたします。もう一度申上げます。今の旧軍港都市転換法案、これの第六條で、審議会と言われるものの規定が出ておるわけなんで、その審議会の取扱い事項は誰に財産を譲渡するか、国有財産を譲渡するか、その相手方、財産範囲、譲渡価格、延納期限その他の重要事項についてこの審議会が審議する、その審議会の構成メンバーが第三項ですかに挙げられておるのですが、大蔵事務次官それ以下あるのだが、第三項の第三号第四号に関係府県知事、それから旧軍港市の市長、四つあるから四人ですね、四人が出ておるのだが、これが審議会の重要事項を審議する構成メンバーになつておる、ところがこういう知事、市長は国有財産をただ時価の五割引の見当で拂下げを受ける、利益を享受する当事者なんです。その当事者がその価格の決定をする、決定ではない、諮問と言われますが、事実上決定すると思うのです。そこの構成メンバーになつておることは法理論的にはどうなんですか。利益を受ける当事者ですよ、これは。どういうふうに……
  77. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 今朝卒然としてお呼出しを受けたのでありますが。只今のお尋ねは一応御尤もな御疑問のように思ます。ただこの種の審議会を設けます場合に、先ず第一に思い浮かびますのは、地元の実情を適切に知つており、この審議会に反映できる人というものやはりこの構成員とがして欠くべからざる一つの要素であると思います。ただその場合には地元の実情を知つておるものというその名指しのやり方をそういう形で実行いたして来るが、或いは学識経験のあるものという漠然たる形において、その中で実際上選択をして連れて来るというようなことも考え得られましようし、又ここにありますように、実際関係しているところの県知事とか、軍港の市長というようなものを連れて来る、これも大きな観点から考えますと、考え得ることであり、或いは又必要なことであろうかと思います。たず如何にも露骨に、例えば市長さんというものが出ておりますために、御疑念のようなところが出て来るのだと思いますが、まあ地元の事情をよく知つておるという点においては、最も権威のあるお人でありましようし、又この市長という公職にあるものでありますからして、私利私慾を背景にして議論するようなふうにも見えませんし、かたがた止むを得ないものではないかというような気持がいたします。  それから今ここに参りまして、丁度先程の御説明を今半分聞いておつたのでありますが、この機関が諮問機関であるというようなことも理窟の上からはこれは認めようとすれば一つの手掛りになるのではないかと思います。非常に具体的な案件がここにかかつて参りまして、現実に利害関係者としてどうしてもおつてつては困るという場面が万一仮にあるといたしますならば、これは今の條文の一番最後でありましたか、「一審議会の運営に関し必要な事項は、審議会が定める。」ということになつておりますので、恐らく議事規則で、明らかにこういう場合において、こういう人は会議に與ることはできないというようなことは議事規則で決めることであつて、審議会で自主的に決めるのだろうと思います。その議事規則を決めるとき、然らばこういう人達が大いに発言して、我田引水のことをやりはせんかということもありますが、これは勘定して見ますと、この関係者が八人で、あとの関係者が十二人のようでありますから、そういうことにもなるまいと、咄嗟の御返事で不完全ですが、そういうような感じがいたします。
  78. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 その点は問題なのです。一遍よく考えて、はつきりと御返事をして貰いたいと思うのです。それは国有財産を市その他に売渡すことになるのですが、この社会事業その他に用ゆる場合には五割以内ということになるのですね。それから延納を認めるのも十年以内といつて、三年の延納を認めるのか、五年の延納を認めるか、これは審議会で決まることだろうと思います。それから時価の三割にするか、二割にするか、五割にするかということは恐らく審議会で決める。審議会はそういう重要なことを審議すると思う。而も市長、県知事はその利益享受者なので、いつでも、いつの審議会でもそうだと思う、それ以外のことを審議することは恐らくないと思う。それが地方の事情その他に精通しているからというので、審議会で意見を述べることは差支ないと思う、それは差支ない、勿論述ぶべきだと思う、十分……併し審議会のレギュラーのメンバーになるというと問題がある、当の利害関係者なのだから、簡単に言つて、国の方から言えば、国有財産をできるだけ高く売りたいと思う、それは財政上の理由がいろいろあつて、国有財産を高く売りたいに決まつている。市の方から言えば、安く買いたいに決まつている。そこでできるならば売り方の国と、買い方の市、その他県、そういうものは利害の当事者だからそれを除いて第三者が公正な判断をするという審議会なら非常にいいと思う。そういう点まで触れないで、ただ直接の利害関係者が出て来るというようなことはどうかと、法理論上どうなんですか。公正な判断をするとかせんとかという事実問題は別なんです。市長は公正な判断をするに決まつている。決まつているが法理論上はどうなんだということです。
  79. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 同様の審議会の形で目下進行中のものも二三あるように承知しておりますが、先程も申しましたように関係者というものが全然入れないものかどうかという点から申しますと、むしろあらゆる角度からの部門を代表する人達が集まつて、そこであらゆる角度から議論をして貰つて、初めて公平な結論が出るという考え方もできます。例えば使用者側、或いは労働者側、それから中立委員というようなものを以て構成することをむしろ條件としているものすらもあるのでありますから、そこのところはものの考え方であります。先程申しましたように、どうしても弊害の場面があれば、審議会の議事規則でこれは自主的に決め得ることである。こういうふうに考えます。
  80. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 審議会の運営に関するこの十一項ですね、あなたの言われるのは……
  81. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) はあ。
  82. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 十一項で特別の場合について、直接の利害関係者を除くというような恰好で審議会を運営して行くという道が開けているからこれでいいというわけですね。  それからもう一つ聞きたいのは、第四條の第二項ですね。これをちよつと読んで見ますと、これは、前項に定める……「前」というのは前の国有財産を公共事業に拂下げる場合の外ということになりますが、「前項に定める外、国は、旧軍用財産を旧軍港市転換計画の実現に寄與するよう有効適切に処理しなければならない。」この「寄與するよう」というこの意味は法律上どういう意味になるのですか。
  83. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 最近になりまして、こういうような法律の文章の書き方が非常に何と申しますか、流行しているわけでありますが、やはりこの運用者の心構えとして、かくあるべしということを法律を以て指示することはこれは一向差支ないことである。又場合によつては望ましいことであろう、こういうふうに考えます。ただこの第二項の表現がどういう意味を一体持つのかというところまで、実はお尋ねがあつたかどうか知りませんが……
  84. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 そのことを聞いているのです。
  85. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) それは前項で大事なことは皆決まつておりますが、旧軍港市転換計画の実現に寄與するように有効適切に処理せようというのでありますから、結局前に書いてあるところ以外についてその運営を考えて見ますると、凡そ処理するについて、例えば迅速に取運ベとか、或いは幾つかの町村の願いが出ている、競願が出ているというような場合に、どの願いに対して応ずるかという場合には、この法律の目的、即ち転換計画の実現の上において最も適切な有効と思われるものに応じなければならないというような、突然思い出したところを算えて見ましても、そういう心構えとして必要な事柄があるわけで、それをここでお命じになつている、こういうふうにちよつと読むわけです。
  86. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 これを読んで、今迅速に処理するとか、競願の場合にどちらに落すということを決めるとかいうようなことはこれは分るのでありますが、この條文から第一項に定める以外、つまり具体的に言うと産業会社などに旧軍港施設を拂下げる場合に、その代金の延納を十年以内に止めなければならない、こういう意味が出て来ますか、これから……
  87. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 二項に、二項と言いますか、前の方に完全に入るものはこれは問題なしにそれでできるので、後は今申しましたような大きな狙いから大いに有効適切なやれということじやないかと思います。
  88. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それは分るのだ。有効適切ということの具体的な意味を知りたいのです。その有効適切ということの具体的な意味の中に、利息を附し、十年以内の延納を認めるということも入るかということです。そういうことをこの文章から意味し得るか。
  89. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これは結局実現に寄與するために、この十年の延納の特約が必要であると思う場合においては、そのように実現に努力をせいということは出て来るのじやないかと思います。
  90. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 そうすれば、例えば寄與するために三十年以内の延納を認めてもいいということも出て来ますか。
  91. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 十年以内の延納と書いてあるのでございますが……
  92. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それは前項の以外ですから、二項を言つておるのです、僕は。
  93. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) それはそういうところまではとても出て来ないと思います。法律ではつきり謳つておることを、その第二項で覆すようなところまでは何としても読めないと思います。
  94. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 二項に「前項に定める外云々」とあつて、有効適切という意味の内容が書いていない。有効適切ということの文字解釈からして、前の一項の十年以内の延納ということがあるから、それと引掛けて十年以内の延納を認めることも有効適切な処理の一部なのか。そういうように引掛けるより外に引掛けようがないのか。或いはそう引掛けるのが法律上当然の解釈かというのです。
  95. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 私が見ておるところでは、十年以内という枠は法律ではつきり決まつておりますから、その枠を二十年、三十年にすることはできない。ただ十年以内の枠の中において処理することについては、実現に寄與するように有効適切に処理されるという狙いを以て、すベての処置をしなければならんということだと考えております。
  96. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 法制局の部長さんの方から、一つこの点はつきりして頂きたい。
  97. 中野哲夫

    ○法制局参事(中野哲夫君) 第四條第一項第二号の十年以内に民間会社に特約があるかどうかという点も御質問の中にあつたと思いますが、それはこの本文にあります通り、讓渡の特例に関する法律第三條第一項の特例を二号では書いておるのでございまして、その基になつておるこの特例法では、相手方が会社の場合も延納を認め得る、それは、三年以内です。これは国有財産、普通の国有財産では即時拂が国有財産法で原則になつておりますが、やはり軍用財産などは傷んでもおるし、普通の民間産業にそのままは使えない。そこで則時拂は無理であろう。こういう趣旨で、この特例に関する法律は、三年以内ということにやつたのだと思われます。それを更にこの転換法におきまして「十年以内の延納の特約をすることができる」と、こう書いてあるわけでございます。飜つて第二項の「前項に定める外」といいます点は、この一項の第一号、第二号は文字通りに解釈しなればいけませんので、今御例示になりましたような十年以上のものにするとか、場合によつては五割以上引くというようなことは、第一号、第二号の本法にいわば法律違反のことでございますから、それは二項によつてもできないわけでございます。ただ「前項に定める以外」というのが、お示しの通り少し舌足らずの感がありまするが、軍用財産処理については、この法律特例を定めた事項以外の事項については、この讓渡の特例に関する法律が動きます。その讓渡の特例等に関する法律で書いていないことは、更に国有財産法という根本法に及ぶわけでございまして、そういう一連の基礎法の中でこの一項の第一号、第二号に書いていない事項を解釈運用する際には、できるだけ転換計画の実現に寄與するように有効なように解釈し運用しこれを処理しなければならない、こういう心持で起案いたしたのであります。
  98. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 そこで第二項の今の有効適切云々ということが、ここでさつき佐々木委員から聽いてみると、十年以内ということに解釈しておられるようだが、私はこの法律全体を読んで見ると、むしろ三年以内の延納ということになるのじやないかと思うのです。旧軍用財産の貸付及び讓渡の特例等に関する法律、これが第二項では活きて来るのじやないかと思うのです、三つの法律の全体の趣旨から言つてそれが三年以内ということが活きて来るのじやないかと思うのです。
  99. 中野哲夫

    ○法制局参事(中野哲夫君) それは第四條の第一項におきまして「以下旧軍用財産という」こういう施設その他の財産特例等に関する法律の例により処理することができるということがこの條文の根本なのでございまして、先ず現行法である讓渡の特例法を四軍港内にある軍用財産処理について適用するのですが、それだけでは四條を置いた意味がございません。そこでそのうち特にこの場合において特例法の二條一項と三條一項の規定はそれぞれ次に書いた一号及び二号のように変更するのだ、変更して適用するのだ、こういう形になつておりますので、二号で十年以内の延納の特約をすることができると書いてありますと、民間会社にもやはり十年以内の延納の特約ができるということが生れて来るのでございまして、それは現行法の特例法の三條一項の場合は民間会社に三年以内、それを十年と読み替えるという、外の法律の書方にありますが、そういう読み替えるという程の意味でございまして、お話ではございますが、民間会社にも十年以内の延納の特約をすることができると、こういう解釈が生れて来ると思います。
  100. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 そうすると、この法律の書き方が、実にこれではまずいのだな。第二項の意味は、十年以何の延納の特約をするということが中心なんじやないですか。それ以外に、迅速にやるとか何とかということは、これは法律を適用する上においての一般的な心構えであつて、特に言う必要はないのだから……
  101. 中野哲夫

    ○法制局参事(中野哲夫君) 第二項の「前項に定める外」というのは、十年以内の延納の特約をすることができるというようなことは別でございまして、それ以外に、何と申しますか、お示しの通りまずい点もございましよう。前項に定める外国有財産法及び旧軍用財産の貸付及び讓渡の特例等に関する法律を四軍港市に適用運用するに当つては、国は旧軍用財産を有効適切に処置しなければならないというようなふうに言葉を補足しますれば、私が先程御説明申上げたような意味がよりはつきり出ると思いますが、お話の通り、そこは少し舌足らずのような感じもございます。
  102. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 外に御質疑はございませんか。
  103. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 旧軍港都市を平和産業港湾都市として建設する。これが提案理由の一つになつておりますが、この法律がなければ、旧軍港都市を平和産業港湾都市にできないわけですか。
  104. 佐々木鹿藏

    委員外議員(佐々木鹿藏君) 御説の問題がこの法案の重点でございまして、軍港というものが日本にはない筈であります。然るに現地の進駐軍の諸君はやはりあるがごとき感を持つております。それで何をいたしますにも軍港だという考え方がありまして、許可或いは指令等が非常に厳格であります。そこで我々四つの軍港の都市の者は、こういういかめしい、ありもしない軍港がやはり日本に残つておるということを一日も早く拂拭しなければ平和産業に転換できないというので、国の力により、国会で、法律によつて日本海軍呉鎭守府ということを定めたものがまだ消されていないというのでありますから、国会の力によつて軍港ではないのだということをここではつきりして貰たいい。それが即ち平和産業都市に転換するに一番有効適切であるという考え方であります。
  105. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは第二條に都市計画法又は特別都市計画法というものがあつて、都市計画法とか特別都市計画法、これはもう軍事都市を作るのではないのですから、この旧軍港を平和都市に転換するということは都市計画法においてできるのじやないですか。
  106. 門屋盛一

    委員外議員(門屋盛一君) 木村委員の御質問の点は御尤もでございますが、提案理由の第一の軍港の平和宣言ということは、今佐々木議員から説明しました通りであります。それであつたならば普通の都市計画法で行くではないか、というのでありますけれども、こういう大きい転換を図りますので、一般都市計画法でなしに頗る民主的な行き方として、これを特別法として、附則にありますように、住民投票によつてやるという行き方の方が正しいということが一つと、まあ私細かいことは記憶いたしませんが、現在の都市計画法では賄い切れない点もある、さように心得ております。
  107. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今の御説明を伺つておりますと、結局まあ今のこういう法律を作らなくとも法規上はできるのであるが、こういう形のものを国会で議員提出法案として作つて、それで何と言いますか実現をプッシュする、そういうところが狙いのように今お話を伺つたのですが、促進するということは軍港都市にあるいろいろな施設、財産を拂下げるということが中味のようになつて来ると思うのです。法規上は何もこういう法律を作らなくてもできるのであるが、国会はこういうものを作つて、依然として進駐軍の方で、軍港がないにも拘わらず軍港のようにしておる、非常にそれの使用を厳格に制限して、やはり平和的に運用して呉れない、こういうところにあるのじやないでしようか。併してそれはこういう法律を作つただけでできますか、例えばもう門屋議員もよく御存じでしようが、一体こういう法律を一つ作つたからこういうことになるというふうに、そんなに甘く考えられますか。
  108. 門屋盛一

    委員外議員(門屋盛一君) 木村委員の御承知の通り、国内法を作りましてもこれが国際的に法律上の効力は大してないと思いますが、ただ今一部解除されております地帯に対してでも、まだどうかしたらこれは軍備を温存しておるのではないかとか、又再び軍港として使うのではないかというような疑いを持たれておるようにも我々は心得でおります。それで第一の目的はそういうことではない、平和産業港湾都市として転換するのである、こういういわゆる平和宣言的のことを目的とすることが一つ、それからお話のように都市計画法でも都市計画はできるのでありますが、その都市計画法に準拠いたしまして、この都市計画を進めて行きます上におきましても、又産業都市として転換いたします上におきましても、国有財産等の処理の諸法規の特例を設けて頂かなければできないことは御指摘の通りなのでございます。それで目的といたしましては平和宣言をして、まあ我々の考え方を一つの法律に現わして、そうして誤解のないようにして行くということと、実体的には極めて今議論が起きておりますように、いろいろとこの法律でまだもう少しはつきりして置いたらいいではないかというような御意見も、前回の委員会でも出たのでありますが、先ずこの程度特例を頂きまして、そうして産業転換を促進したいというふうに考えております。
  109. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今の門屋議員のお話ですと、誤解のないように、軍港都市は依然としてあることに対して誤解のないようにするということが一つの重要な理由になつておるのです。誤解のないというのは、どこに対して誤解のないようにということなんですか。
  110. 門屋盛一

    委員外議員(門屋盛一君) これは私の説明の言葉が足りなかつたと思うのでありますが、先ず我々その市に住んでおります市民がこれを法律を以て確認して立上るということが自力更生の一番大事なことになるのであります。誤解のないようにというのは、これは速記にどうかと思うのですが、やはりまだ日本は軍備を温存しておるのであるというようなことが、ときどきやはり新聞紙上等でも国際的に見られておるというようなことに対しても、国の法律を以てこうやつた、而もその法律がそこの住民の意思を代表するところの議員提案によつてなされたところに平和宣言というものが力強いものであり、又自力更生の意味が非常に発表できておると、こういうふうに考えております。
  111. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今の御説明は分つたのですが、先程別に聞いたときに、もうすでに我々は平和都市にする熱意に燃えておるのだ、早く転換したいのだけれども、それを妨げておるものがある、妨げていてやはり旧軍港が平和的にいろいろな施設や何かを使いたいと思うけれども、それが嚴重で、使用に対しても制限が嚴重である。だから法律を以て国会でそういうものを作つて、そういうものをもつと早く平和都市にするように促進さしたい、まあこういうお話であつたのです。そうするとこの法律はどつちを向いておるのかよく分らないのですが、大体まあ想像もつくと思いますが、つくのですが、併しそういうことをしたら、それでも目的が達成できるかということが疑われるので、もつとこれより、憲法で戦争放棄ははつきりしているのですが、それを都市計画法においても実行できるのです。問題は、中味は結局提案理由の最後に後ろの方に「右の平和産業港湾都市を急速に建設するためには、国有財産たる旧軍用財産等を広くこれに活用する途を開くことが必要である。」ここが本当の中味であつて、即ち早く国有財産を拂下げて呉れ、拂下げるべきだと、これが中味なんじやないですか。
  112. 門屋盛一

    委員外議員(門屋盛一君) お話の通りでございまして、どちらも本当であります。というのは、我々はもう戦争を放棄してある、これを平和的産業都市に建設するということの強い意思を持つておるということは無論憲法で戦争を放棄されておるのでありますから、日本国民としては誰しもそう思つておるのでありますけれども、何しろ何十年間も軍都としておりますところの住民は、それを再確認して、その認識を新たにして立上ることが平和産業への力強い踏み出しになるというので、先ず平和宣言的のことを前段に謳いますと同時に、その目的を達しまするためには、現在の国の諸法律では迅速に行かない面もあるのでありますので、それらの点をこの法律によりまして緩和して頂きまして、その第一の目的達成を迅速にやつて頂きたい、こういうことでございます。
  113. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今やや分りましたが、そうしますと、この法律ができた場合ですね、例えば国有財産ですから、日本の政府が持つておるのですから、法律ができれば直ぐこれが政府が拂下げようとすればできるわけです。それは法律ができなくてもいつでもできるわけですね。ところが国の財産でありながら拂下げやなんか困難である。又一部特殊的に使用されておるもの、従つてそういうものを早く転換して貰いたいということも含んでおるわけなんですね。例えば特殊的に使用されている、そういうものも含めて早く拂下げる、そういうところに相当重点があるのですか。
  114. 門屋盛一

    委員外議員(門屋盛一君) 木村委員にお答えいたしますが、これは少し余分になるかも知れませんが、いわゆる軍港、旧軍港地は、概ね一時使用の許可を取つて各種産業がやつておるのであります。そのうちの一部のものは、現在の規定に基いたところの時価によりまして拂下手続を終つて、代金完納したものもあるし、交代金が一部納入されたというようなものもあるのでございます。併しこの法律はですね、すでに決まつておる、拂下げの決まつておるものには遡らないと思うのでございます。それから一部、一時使用のものにつきましては、実情を申しますと、先程も申上げたのですが、今の規定政府側の彈き出した拂下価格というものは、これは一つの公正価格で行きますので、非常に安くなければならんようにお考えになるかも知れませんが、非常に高いことになる、高いということは当嵌まらんかも知れませんが、非常に厖大な設備であつて、七万トンのドックで三千トンが四千トンの船の修理をやるという場合でも、原価を公正費でやりますと、七万トンの価格が出て来るわけです。ところが平和産業としての利用価値は精々まあ今の現状から言いますなら、七万トンもの船を入れて修理するような見込はないのでございますから、さりとて今やつている三千トンでは少い。併し又適正に見て一万トンから二万トンの利用価値に見たらよかろうというようなことを勘案して適正な価格を出すということが、現在の特例條項だけでは、まあ困難な点がありまして、実際上早く産業転換しなければならん、こういう法律が出ませんでも、旧軍港都市でなくても一般戰災都市のうち或いは旧軍港施設のこういう都市に関しても、そういうふうな国有財産特例法律が徹底しておりませんので遅れているところが沢山ある。それでこの法律を立案施行する折にも、この産業に対して何割負けて貰いたいということを入れたかつたのでありますけれども、何割ということになれば、それはただ軍港だけに許すことでなくて、他のそういう都市にも同様に許さなければならんことも起きて来ますので、やはり第一の平和宣言的のことを目的としまして、できるだけの緩和処置をとつて頂くということと、それから次に、どういうことが転換事業に必要であるかというようなことは、審議会を設けまして、その審議会で嚴重に審査した上で、対象の事業とか、価格とかを決めて貰う、支拂方法等を決めて貰うというふうにしたのでありまして、やはり木村委員の言われます通りに、一つは、平和宣言であるが、最後に成るたけ早く処理して貰う、而も後の産業の成立つように処理して貰うというのが目的であります。
  115. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 段々分つて来たのですが、我々これを見ますと、どうも鬼面人を驚かすということでありますが、なんか「平和日本実現の理想達成に寄與することを目的とする。」凄いですね、あれから始まつておりまして、段々お聞きしておりますと、軍用財産はすでに拂下げておるのですね、国有財産を拂下げておるのです。今までのお話では、旧軍用財産拂下げをやつてる。今までやつたものについては適用しない、今後やるものについて適用するというお話なんでしよう、今のお話は。そうしますと特に今までそうやつて拂下げできるのですからね、できるのですから、この法律がなければ旧軍用地が拂下げができないということはないと思う。今後拂下げについて、もつと早く拂下げて貰いたい、安く拂下げて貰いたいということが狙いだと思う。この法律の、即ちその駈出しは非常に大きいのですが、要するに安く、早く拂下げて貰いたい、こういうのがこの法律の狙いじやないのですか。
  116. 門屋盛一

    委員外議員(門屋盛一君) まあその通りであります。安く、早く拂下げなければ産業転換ができないのであります。ただ今の木村委員のおつしやいますように、拂下げができておるのじやないかとおつしやいますが、これは大蔵当局も見えておりますのですが、極めて主なものが極く少量に拂下げができておるだけでありまして、全体から言いますと、軍用財産、殊に軍港設備は一時使用のものはございますが、まだ拂下げ契約のできたものは少い、拂下げ契約のできないこの重大なる原因は、現行法では特例特例もあるのですが、例えば公共団体でも、三年以内の延べ拂いしかできない、それから二割以内の減額しかできないというような、極めて嚴粛なことになつておりまするので、それでこの案だけの厖大な施設を急速に産業転換しまして、百万の市民の社会不安を除き、生活安定を図るように、そこに事業を誘致してやりますためには、これは大きい立場から言いましても、もう少し特例を開いて頂いて、木村委員の言われますように、安く、早く運んで頂くということが目的なんでございます。
  117. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうお話でして、更に又、私は疑問があると思うのです。それは今後平和日本の経済を、平和的に、民主的に再建して行くという場合、これは横須賀、呉、佐世保、舞鶴等だけを切離して、産業計画を立つて見ても無意味であつて、もつと総合的に見るべきものであるという見地も立ち得る。特にこういう都市だけを急速に復興させるということも、これは一つのやり方かも知れませんが、更に、もつと高い見地から、総合的にそういうところの施設、そういうところの財産をもつと有効的に、日本経済全体の再建、総合的な、再生産的な再建計画という点から見ると、一応又別の考え方も成立つと思うのです。そこで、先ず国有財産課長もおりますから、今の軍港、旧軍港、軍用財産の拂下げの状態ですね、今どういうようになつておりまするか、この四つの都市においてどうなつておるか。それから拂下げた後における代金の支拂、それから契約の仕方、それはどうなつておりますか、ちよつと参考に伺つて置きたいと思います。
  118. 門屋盛一

    委員外議員(門屋盛一君) ちよつとそれに関係のありますることですが、今、木村委員が、尤ものことをおつしやつているのでありますけれども、非常に今の旧軍港四市が、よそ並みに産業が復興しているというふうにお考えになりますと、少し実情が違うのです。と言いますのは、何しろ横須賀が一番古いのでありますから、平均しましても、六十年、七十年の間は軍一本で生きておつたところであります。これが、有難いことに平和になりまして、世界が平和になりましたが、その軍港地の住民といたしますれば、平和になつて軍備というものがなくなりましたために、その拠りどころとする生業ですね、生れる業がないわけです。平和でなくてはならんが、併しそこの住民は一つの軍需産業によつて生きておつた、それがなくなつた。すべての施設が一般の都市、例えて言いますならば、九州の都市で言いましても、お隣りの長崎、佐世保と比較して見ますと、長崎は経済的に育つた都市でありますから、平和になりましてもそのままあとの産業が起つて、佐世保の場合、すべて軍一本でやつておりますために、あとの産業が何も起つていない。それで、一時三十万、四十万をたたえました都市が、終戰によりまして十二、三万に下り、辛うじて今十八万、十九万ぐらいになつておりますが、現在おります十九万ぐらいな市民も、これという正式な産業、本当の拠りどころとするところの産業は、佐世保の場合は佐世保船舶工業ぐらいなもので、他に殆んど見るべき産業がないのであります。その、ない原因はどこにあるかというと、余り長い間軍事施設であつたために、そこへ一つのギャップができてしまつた。それでお説のように、こういうことは総合計画で、四市だけに特別の取扱をせずに、一般の計画でいいではないかということは御尤もでございますけれども、それでは四市が浮き上れないというので、これが政府の提案ではございませんので、もう事実上どうしても困つておりますので、議員提案として、四市の窮余の、困り切つたお願いになつておる。こういうことを一つ御賢察の上でどうぞ御審議下さいますようにお願いいたします。
  119. 吉田晴二

    政府委員(吉田晴二君) 只今御質問のございました四軍港に対する国有財産の受拂状況等については、先般資料の御要求がございまして、只今処分状況について照会中でございまして、近日中に資料が出る予定になつております。全般的に申しまして、大体先程門屋議員の御説明がございましたように、売拂いの状況相当困難である。実際に売拂いができたようなものは割合に少い状況でございます。
  120. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 さつき質問中に話していたのですが、もの一、二点はつきりさして置きたい点があるのですが、法制局長から答弁願いたいと思います。先程第四條第二項の場合「有効適切に処理しなければならない。」という意味の一つとして十年以内の延納を認めるということがその内容の一つということであつたのですが、この「時価の五割以内において減額した対価で譲渡することができる。」ということも有効適切に処理するという一つの内容にならないのですか。
  121. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) この一号に書いてありますような枠の中でも、処理の仕方として有効適切に、一層有効にやるというようなことは考えられることと思うのです。
  122. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 具体的に答えて下さい。時価の五割以内に減額した額で譲渡する、産業会社にですよ。譲渡するということと十年以内の延納を認めるということと、相並んで有効適切な処理の内容なのかということです。その点だけはつきりして下さい。
  123. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) この一号に列挙してあります公共団体それから学校の設置者というようなもの以外の関係におきまして、例えば産業会社というようなものがこの有効適切な問題に当該するかどうかということはここから直ちに出て来ないわけであります。
  124. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それなら十年以内の延納の特約ということはどうして出て来るのですか、第二項の有効適切の意義なんですよ。ちよつと最初申上げて、漏れたかも知れませんが、第二項の読み方ですね、それを疑問だから聞いておるわけなんです。
  125. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 関係者として、全然携わつておりません者としてこの二項を読みますると、要するに前項にいろいろなことが定めてあるが、それはとにかくとして一体全体この軍用財産を、この転換計画の実現のために転換するについては、この計画の実現に寄與するような心構えで有効適切に処理せよという、これは大きな心構えの問題を書いた條文のように思うのです。従いまして第四條に書いてあります只今お尋ねのような五割であるとか、或いは十年の内でどうこうというようなことは実は私の読みました感覚としては、ちよつとそぐわないような感じがされるのです。
  126. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 僕はそこを疑問にして、そこの経済を知らんものだから、ただ法律の條文を素直に読んだときの感じを言うわけなのです。素直に見ると四條の二項においては、十年以内の延納を認めるという意味が出て来ないと思うのです。これは第一号の公共団体において医療施設、社会事業施設その他引揚者の寮の用に供するとき、そういう目的に拂下げるときに、例えば迅速にそういう願書を処理しろとか競売があつた場合にどちらに落すとかいうようなことを早くやれということだけであつて、第二項では産業会社に云云ということが出て来ないと思うのです、そこが出て来るというものだからさつきから念を押して言うのです。第二号の規定によつて十年以内の延納を認めることが出て来る、それならば時価の五割以内において減額した対価で譲渡するということも出て来なければならんと思うのです。当然ただそういうふうに解釈することがこの第二項の解釈として妥当な解釈であるということは尚疑問だと思うのです。立案者の実際狙つておること、それから旧軍港都市の実情から言つて、早急に解決しなければならん問題が沢山あると思うのです。その早急に解決しなければならん問題を解決する方法としては、この法律案は不適当だと私は思う、そういう印象を受けるものだからさつきからやかましく聞いておる。この法律案をこのまま解釈して現在旧軍港都市に横わつておる問題を解決することは至難だと思う。
  127. 佐々木鹿藏

    委員外議員(佐々木鹿藏君) どうも法律的なことになると前申上げましたように、御得心の行くような御説明ができかねる思いますけれども、我々の狙いは、今門屋議員から説明いたしました。ただ私共の狙いはこの財産を安く早く拂下げるということが主な目的ではありません。この四つの軍港は同じ態勢にありまして、御承知の通り、この軍港ができて百年に近い歴史を持つております。彼らが職工としてもう孫の時代になつております。それが鍛え上げた優秀な技術者がもう失業者の群に入つております。一例を申しますと、呉のごときは三万数千人の鍛え上げた職工がおるのであります。それがどこへ行こうにも行かれない状態にある。而も三万数千人のうち一万二、三千人が、就業して、後一万七、八千人という人間が、つまり慣れない農耕や、慣れない漁師の真似や、慣れない商人の真似などをしておりますが、容易に生活はできません。そこで長らくの間辛抱して、すでに貯めておつたものは食潰して何ものもない。そうして更に御承知の通り、この軍港に従事しておつた職工達は共済組合というものができまして、この共済組合は大体平均二十年以上勤続した職工が恩給を三百五十円平均ぐらい貰つております。それは共済組合がああいう結果になつてつて三百五十円は年々貰つております。併しよその通産省や電気通信者従業員の、即ち通信共済組合、郵政省の従業員組合等の共済組合に適用された人達は而も又海軍に従事された文官等は恩給が改正されて相当な恩給を貰つている。然るに職工であるが故に恩給の改正を受けずに三百五十円の恩給に汲々としている、誠に困り果てた現状であります。そこで私共の狙いは財産を安くしてもらつて貰うと言つても市の当局が貰うのでなく、市民が貰うのだ、日本の産業を起して、日本の産業が発達すればいい、この四つの軍港の者は金がないから産業を起すといつても十分に産業が起りません。そうして日本の産業家が来て産業を起して貰えば同時に職工を救う上から適切な措置である。職工の諸君は神戸に行つて一万円得るより、ここにおいて六千円の収入を得ても実際の生活は同じようなことになりましよう。これで産業を起す諸君の方も便宜であり、この日本の有効な資材技能を活用して起せば日本の産業は復興するだろうということに大きな重点がございまして、ただこういう今の御解釈のようにこの財産を安く取るのだからということに重点をお置き下さると、非常に我々の構想と間違いが起りますので、我々はこの鍛え上げた優秀な技術をどうして活かすか、また有効な機械をどうして活用するか、国家的に考えましてこのような法律を作つたのでございますから、どうかこの四つの軍港にやるんだ、四つの軍港に特に特典を設けて頂くのだということは、そうして頂くことはこの憐れな技術を持つた職工を救い上げて日本の産業化を復興しようということが大なる重点でございます。呉の者或いは佐世保の者が国有財産を安く取る。それに何かうまみがあるのじやないかという御解釈ではなくして、今のような優秀な技術者を活かす、そうして又これを活用するということに主な狙いがあるということに御了承願いたいと思います。
  128. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 佐々木さんの言われることはよく分るのです。私はそういうことで安く取つて何とかしようということを考えて邪推しておるのではない。そうでなくて法律を読んで、我々が法律を審議しておるのだから、法律を読んで見て、あなた方は目的とされておる産業復興ということに、この法律がどの程度役立つかということを吟味しておるものかを言つておる。特に問題は第四條の第二項が問題だと思う。第四條第二項の解釈について疑義があるから、私そこを明らかにしてお聞きする。現に御覧なさい。法制局長官と第二法制局部長と意見が違つておる。條文についてすでにそういうことが現われておる。国民全体から見れば、いろいろな意見が出ておる。軍港都市が困つておるということはよく分る。そんなことを問題にしているのではない。どうか誤解のないように御答弁願いたい。
  129. 門屋盛一

    委員外議員(門屋盛一君) 波田野委員の御質問になつておるのは、数字の2として「前項に定める外」という規定と、それから一般産業会社の場合にも時価の五割以内に減額することができるようにも考えられるのではないか。こういうふうに私了解したのでございます。そこで第四條の終いの方に、旧軍用財産の貸付及び譲渡の特例等に関する法律昭和二十三年法律第七十四号)の例により、処理することができる。この場合において、同法第二條第一項及び第三條第一項の規定は、それぞれ第一号及び第二号のように変更するものとする。」といたしまして、その第一号が旧軍用財産の割引率を決める規定が、現行法は確か二割以内になつてつたと思うのでございます。それを目的をはつきりいたしまして「医療施設、社会事業施設若しくは引揚者の寮の用に供するとき又は学校教育法云々」といたしまして、こういう目的物をはつきりしましたものであつて、「当該公共団体又は学校の設置者に対して、時価の五割以内において減額」するという即ち現行の第二條第一項の割引率二割とあるのを、どういう限定されたものであつて、公共団体においてのみ五割減額し得るということをこの第一号で規定したのであります。そうしてこの第二号は現行第三條の第一項に発するのでありますが、この現行第三條第一項はこれは延納の規定が示されておるのであります。この延納の規定は現在これは公共団体であつても、営利事業でありましても、十分なる担保を供すれば確か三年以内に延納できることになつておるのであります。公共団体の場合は五年以内かと思います。それで延納の規定が第二号で揚げられておるのでありまして、これが結局十年以内の特約をすることができると変りましたので、その御疑問になりますところの、第一の産業転換の産業会社に対して五割の割引ができるではないかということはこれによつて割引の方はできないのであります。ただ延納だけが認められ、尤も波田野委員のこの前の御質問のように、この「前項に定める外」、ということを非常に広範囲に行うといたしましたならば五割をも負けられるし、二十年も待つてるということも理論上は成立つのでございましようけれども、まあ大体二つの事項が法律で示されております以上残念ながら我々は五割負けて貰つた方がいいと思うのでありますけれども、これ以上に……、現在の内外の情勢でこれは立案当時これ以上の恩典がこの法律の中に織込むことができませんでしたので、この程度でつとめてこの第六條の審議会、この審議会において「前二條に規定する」、つまり譲渡価格、延納限度等を御決定を願う折に民主的に成るたけその転換目的に達するように決めて頂くより外方法がないと、こういう結論を得て提案したような次第であります。
  130. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 門屋議員の御説明よく分るのでありますが、それは立案者の腹に持つておられる趣旨なんだ、それは分る、ただその趣旨がこの法律の上に現われていないというのだ。私は現われ方が間違つておるというのであります。というのは第四條第二項ですね、これで十年の延納を認めるということも出て来ないと私は思う、それが出て来るならば五割以内の割引した価格で売るということも出て来る筈だとそう言つておるだけだ、だからそういうことを法制局長官に聞きたいのであります。
  131. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 今のお尋ねはこれは一と二と二つございますが、一に該当する限りには五割以内で勿論譲渡することができる。二に該当する限りにおいては十年以内の延納の特約をすることができる。これは旧軍用財産の貸付及び譲渡の特例等に関する法律でこういうふうに書換えるということははつきりしております。
  132. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それを問題にしていないのであります。そうじやなくて医療施設とか、学校とかに拂下げるのじやなくて、あなた少し誤解しておるかも知れない、そうでなくて、営利会社に拂下げる場合に言つておる。営利会社に拂下げる場合に第四條第二項に規定してある、そうなつておるかということを聞いておるのであります。
  133. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 分りました。これは今の現行法でありますが、法律七十四号と現行法とそれから国有財産法の建前から来まして、この譲渡しの場合に決まつておるわけです。これは営利会社である場合でもでき得るようになつておるわけです。第二号はそれを受けて代金の延納を認めてるやということを言つておるのでありまして、それに対する除外をしておりませんから、私の営業会社でも行くものは行くわけになつておるわけです。
  134. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 延納を認めることができるということもこの二号の規定から来るわけですか。
  135. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 結局第二号の初めに、「譲渡した場合において、当該財産の譲渡を受けた者が」、とあるその「者」が一体何であるかということが問題になると思います。その「受けた者」というのは、今申した国有財産法なり旧軍用財産の貸付及び譲渡の特例等に関する法律というもので決まつて参ります。それによつて私人にも行き得ることになつておりますから、おのずからこの延納の方もそこまで及ぶ、これはそういうふうに読まなければならんと思います。
  136. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 そうすると第一号の「五割以内云々」というやつは、この第二号の規定ではカバーできないのですか。
  137. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 第一号は公共団体と学校の設置者だけであります。
  138. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それではもう少しお聴きしたい。第四條第一項の第二号で「旧軍用財産を譲渡した場合」というのは、第一号の医療施設、社会事業、学校等に譲渡した場合のことじやないのですか。そうじやないのですか。
  139. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) これは一と二と並んでおりますために、私は成る程と思いました。思いましたが、結局二の方は、元の法律の第三條第一項の代用であり、一は第二條第一項の代用……、一、二と隣り同士並んでおりますために、そういうような御疑念が起つたのじやないか。これは本来違うものであります。
  140. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 併しこういう法律の書方ですと、学校とか慈善団体に五割以内で譲ると書いてあるのだから、二号の「譲渡を受けた者」と決めておるのはそういうものを指しておるのじやないか。そう解釈するのが当然じやないか。
  141. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) 上手下手は私共は申上げませんが、この法文の方で「第二條第一項及び第三條第一項の規定は、それぞれ第一号及び第二号のように変更するもの」とありまして、この「それぞれ」がまあ手掛りになつておる。これはそういうふうに読むべきだろうと思います。
  142. 門屋盛一

    委員外議員(門屋盛一君) これは波田野委員から指摘されましたように、何しろ初めての議員提案でございまして、法律の書き方は極めてまずかつたかと思いますが、どうにかそれで意味は通ずるようにできておると思いますので、御了承願います。
  143. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それが通じないんだ僕は。だから……
  144. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 私から法制意見長官に質しますが、法文の上手、下手は別として、今あなたがおつしやるように、「第二條第一項及び第三條第一項の規定は、それぞれ第一号及び第二号のように変更するものとする。」という規定があるので、法理的に極めて明確のものであるということに考えてもいいですか。
  145. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) それは極めて明確であると考えておりましたために、波田野委員の御質問がさつきまで実は腑に落ちなかつたのであります。
  146. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 もう一つ聴きたいのでございますがね。審議会の問題ですね。君は先程労働委員会のことを引張り出したのだけれども、それは違うですよ。労働委員会のこととこれと一緒にしては困る。というのはあそこでは利害当事者と第三者とはつきり決まつておる。
  147. 佐藤達夫

    政府委員(佐藤達夫君) あれは私は大きな声で申上げたつもりでなかつたのでありますが、(笑声)ああいう考え方もあるからという意味で、小さな声で実は申上げた……
  148. 小宮山常吉

    ○小宮山常吉君 私共がこの案に対しては、それはもう賛成している。今日いろいろ住宅の面から、中小企業の救済の面からよいことと考えているが、緑風会が一致しておりませんから、今日の採決は延ばして頂きたいと思います。
  149. 木内四郎

    委員長木内四郎君) まだ採決の問題には入つておりません。外に御質疑はございませんか。質疑がなければ、本案に対する御質疑は終局したものと見て差支ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないものと認めます。よつて本案に対する質疑は終局したものと認めます。小宮山委員からの御発言もありましたので、討論及び採決は次回に廻したいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないものと認めます。本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     木内 四郎君    理事            波多野 鼎君            黒田 英雄君            伊藤 保平君            九鬼紋十郎君    委員            西川甚五郎君            大隅 憲二君            小串 清一君            淺井 一郎君            油井賢太郎君            小宮山常吉君            藤井 丙午君            木村禧八郎君            米倉 龍也君   委員外議員            佐々木鹿藏君            門屋 盛一君   政府委員    法制意見長官  佐藤 達夫君   法制局側    参     事    (第三部長)  中野 哲夫君   説明員    大蔵事務官    (銀行保險課    長)      長崎 正造君