○森下政一君 主税
局長なり、あなたの
お話を承
つてみますと、例えば
税法によらざる税金なんというものは拂う必要はない。何と税務署が言
つて来ても納める必要がない……、至極御尤な話ですね。
ところがただあなた方から御説明を聞きましても、どうも私共は納得が行かないのです。決して末端に行くとそうでない。あなた方の心持を心としない
ところの徴税吏というものが充満しているのではないかと思うのですね。極く最近の具体的な例を挙げてみましても、これは或る小さな
法人会社でありますが、突然税務署員がひよろつと入
つて来て社長に、社長はまだ三十台の若い人で出版
事業をや
つている人でありますが、小切手を切
つて下さいと言うのです。いきなりです。何の小切手でしようか、幾らをどういうわけで小切手を切るのですかとい
つたら、これこれの額の小切手を書けというのです。何のためですかとい
つたら、税金だというのですね。その人は二十二年度も二十三年度もすでに
納税を完了してしま
つている。二十四年度は年度……、昨年の十二月の末に終
つている。それから
一定の期間の間に
申告をすればいい筈だ。その
申告の
計算を今や
つている最中だ。
ところが二十二年度、二十三年度の更生決定、それから更に何でもそんなようなことで税金の小切手を書け、こういうわけなんだそうですが、これはあつけにとられてしま
つているのですね。本人は……。今まで何らの
調査に来られたわけでもない。何か不審な点が既往にあ
つたとか、こういう点はどうであ
つたという書類が来ていたわけでも何でもない。突然ひよろつと、もう若い、ほんまに二十台そこそこくらいの人がひよろつと出て来て、手をポケツトに突つこんで非常に横柄な恰好で小切手を書けと来られて、それは税金だと言われて、非常に腹も立つけれども、相手は税務署だから仕方がないと思
つても、税金を納めるわけには行きません。そんな馬鹿な小切手は書かれるものじやないというわけで、その社長は応待したんだというようなことでありましたが、段々話を聞いて見ると、何でも二百万円そこそこの
所得の
申告をしておるものに対して一千万円というふうな更正だそうです。それに対して税金を納めろというわけで小切手を書けというのだそうですが、その社長の人の話を聞いても、甚だどうも不可解なんですそういう態度というものは。恐らく私の推定なんですが、同
業者があそこの会社は非常に繁栄しておるというふうなことから、猜み心であるか、或いは中傷するのか、何か投書でもしたというようなことがきつかけにな
つて、突然そういう高圧的な態度で来たんじやないかと思いますが、そんな不合理なことはどこまでも頑張
つて、そうして審査請求したらいいじやないかとい
つて私は勧告した。たまたま先日私郷里に帰りますときに、その人を連れて大阪の
国税局へ出まして、
法人課長というのですが、そういう人に会
つて事情はこうだ、どこそこの税務署が所管しておるのですが、審査請求をしておる、早く処理をつけるように、不安定な状態に置かれるのが一番困る、而も机から何からすつかり押えられておるわけです。お客さんが出て来ても非常に体裁が悪いし、そんなことのあるために銀行取引に非常な
支障を来す、信用を傷つけられると言
つてその若い社長さんが泣くように言
つた。私は引合わして善処方を要望して置いたことがありますが、そうい
つたふうなことは一々例を挙げたらきりがないと思いますが、更に私
個人の場合について見ますると、私は何も人に譲渡するような不動産を持
つていないのです。
ところが税務署から最近あなたが譲渡した不動産について聽きたいことがあるから出頭せいということを言うて来る。明らかにこれは何かの間違いだということは私には分
つておる。私はたまたま
国会へ出ておりますので、代りの者を遣わしたわけなんです。
ところでそういう税務署から呼出状が来ておるということを家からいうて来たので、私に代
つて代りの者をや
つて呉れ、これは何かの間違いだから行
つて呉れとい
つてや
つた。
ところがなぜ本人が来ないかと言
つて大変叱られたそうです。
国会へ行
つておりますから来られないですと言
つたところが、これはしようがないものですからえらいむつつりした顔をしたそうです。それから段々話を聽かされた
ところが、たまたま或る財団
法人の経営しております学校がありますが、私はその財団の理事をや
つておるわけですが、戰災に遭うてしま
つて学校がなくな
つておる、それを復興するために卒業生から寄附を集めたりして、たまたま私も卒業生だものですから寄附を集めたり何かして土地を買う、一部残
つてお
つたところを他人に譲渡するというようなことにして、成るたけ一校の校地が一まとめになるように努力しておりますが、その財団の理事である私の名によ
つて他人に譲渡した土地があ
つたと思うのですが、これは直接私が一々や
つておるわけではない、学校当局が私の名によ
つてや
つておるのであ
つて、私自身ではないわけです。そういう間違いがあるということが分
つて来たんで、そこで直ぐ私は学校の方に照会して学校長に行
つて貰うように言
つた。学校長が行
つてこれはこういうわけだという説明をして、事情は分りましたということを学校長から私は報告を受けたんです。
ところが同じ呼出しがその後でも私に三回も四回も来ております。その都度私は学校にその通知を持
つて行
つてまだ解決しておらんというのでそのはがきを廻送して、又学校長が気の毒なんですが、先年交通事故のために足を片つ方失いまして杖をついて歩いている学校長であります。年は若いけれども、それが遠方の税務署へその度ごとに行
つて、私に迷惑がかかるといかんというので事情を釈明して呉れておる。その通知が又出て来るんですからね。私は今度は放
つて置けと言
つて今度は黙殺してしま
つて学校長が気の毒だから、こういう葉書が重ねて来たということを言
つてもおりませんが、若し出頭しなければ勝手にこちらで決定するから異議の申立てを受けんとか何とかと書いてあるが、その都度私は甚だ不愉快であります。或いは妙な問題は税務署の役人さんなんというものは、
国会議員を呼出していろいろ糾明する、
国会議員でも僕がやつつけてやればこうこうなんだというので、甚だ得意な、
ところがあるんじやないかと思うんですが、とにかく私が叱られなければならんことがあ
つて叱られるのは、これは私が悪いんですから納得しますがやはり何かの間違いであることが
はつきりしておる。而もそれをちやんと質しに行
つて、これは間違
つておるということを税務署も分
つたというのに何遍でも言
つて来るということは、税務署も随分お手数なことだと思うし、そういう通牒を受けるごとに不愉快な思いで現実に今や
つておる、たまたま私の具体的な例を挙げたんですけれども、随分私は数少くないことだと思います。私の場合ならばたまたまあなた方もお知合いであるから、余り税務署が非常識なことを言うて来たら、
国税庁から一本税務署に注意をして下さいというような便宜も得られると思うのですけれども、それは今の板野君の例に引いたように、六十何歳のばあさんなんというものは、どこのどなたに
お話をしたらいいか分らんというような
程度の人なんですが、そういう人をいじめておることは枚挙に遑がないと思います。税務署管内の相当有力な人に対してであれば、予算の都合はこうこういうわけで、どうしても国としては予算に出ておるだけの徴税をしなければならんから、助けると思
つて納税をして呉れなんというようなことを言
つて、拜み倒して懇請に歩いておるというような事実がある。そういうようなものはもう数々私共具体的な例を多年、税務署から来られて仕方なしに納めましたというようなことが私共の耳にも入
つておるのです。これは主税
局長の
お話を聞くと、
税法によらない税金なんというものは納める必要はないんですと
はつきりおつしやる、
ところが税務署が頼むんです。これは
税法通りにお取りに
なつたらどうなんですか、そういう本当な
課税をされる
理由がないじやないか、帳面でも何でも見て下さい、私共非常に正直な
申告をしておるというと、これはどこにも遺漏がない、どこにも不正がないということにな
つて来ると、今度は頼み込んで来る、助けると思
つて納めて呉れ、出さないと私が困るんだというようなことを言う。これは結局私はそれで執拗にこの
委員会でも
地方税の割当ということをなさ
つておるんじやないか、その割当まではどうしても税務署が取らにやならんということで、今度は税務署長が税務署員に割当をしておるんじやないか、割当てられておるから、その税務署員もその割当額まで徴税しなければ、自分の首にかか
つて来ると思うから、
納税者に頼んで歩く、こういうことは末端の実態じやないか、ここで
お話を聽くと、決して割当なんということはしない、單なる努力目標だと、こう言われる。至極話は私は分るんです。主税
局長の
お話は分
つて帰るが、末端の話を聞いて見ると、恐らく主税
局長の心を心とせざる徴税が行われておる、これは何とあなた方がい
つても本当なんです。だから私は須らく
国税長官なんかは
国会でも済んだら第一線へ行
つて税務署長にお会いになるだけでなくて、
納税者の代表ともお会いにな
つて、一体税務署はどういうことをや
つておるか、どんなことがあるか私に聽かして下さいとい
つて、直接進んでその民衆の声を聞かれるというような
機会をお作りになるといいと思うんです。
ところが臨時
国会が去年済んだときに、あなたといろいろここで議論をして別れまして、
国会が済んだと思
つたら、即日あなたが大阪へ行かれて、徴税強化に鞭打
つておられた事実を新聞で見てびつくりしたんです
国会でああいう態度をと
つてお
つて、早くも私が家へ着くより早くすでに大阪へ行
つて、大阪の
納税成績甚だよろしくないというので、どんどん税務署長に向
つて鞭を打
つておられる、徴税に拍車をかけておられるというのを見て実は私驚いたようなことを記憶しておりますが、こういうふうに本当に私は税金が高いということは、国家がこういう経済状態のときですから止むを得んということはよく分
つておるんですが、あなた方もよく御存じである、
所得税については決して安いとは思
つておらない、大蔵大臣も財源がある限り減税したい、二十五年度は減税したい、主税
局長もそういう
考えでおられるが、現実は相当無理な徴税をや
つてお分りであるか、第一にやはり納得して
税率の高いのは忍ぶといたしましても、
税法通りの税金が取られておるということはあなた方しつかり努力しなければいかんと思う。そこに私は税に対する
国民の反感ができると思う。脱税した場合何とかしてごまかそうというような
考え方にな
つて行くのじやないかと思う。その脱税とか何とかいうようなことは、二重帳簿を作るとか何とかいう不正を誘導しているものは、或る
意味においては税務署の態度自身が一半の責を負わなければならないのじやないかと私は思うが、どうでしようか。