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1950-03-29 第7回国会 参議院 大蔵委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十九日(水曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————   委員長補欠 本日櫻内辰郎委員長辞任につき、そ の補欠として木内四郎君を議長におい て委員長に指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○米国対日援助見返資金特別会計法の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○富裕税法案内閣提出衆議院送  付) ○資産再評価法案内閣提出衆議院  送付) ○相続税法案内閣提出衆議院送  付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○酒税法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○通行税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○所得税法等改正に伴う関係法令の  整理に関する法律案内閣提出、衆  議院送付)   —————————————
  2. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それではこれより大蔵委員会開会いたします。最初米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案の御審議を願います。質疑がありましたら、この際お願いいたしたいと存じます……。別に御質疑がなければ、質疑を終了して討論に入ることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは討論に入ります。賛否を明らかにして御発言を願いたいと存じます。
  4. 木内四郎

    木内四郎君 その対国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案によりまして、第四條第一項を改正するような規定があるのでありまするけれども、今回対日援助見返資金は、この第四條の元の法律及び改正案に掲げてありません特定教育事業にも使用する途を開くような文になつておりまして、そのために改正安の第四條第二項の改正規定によつて対日「援助資金は、前項に規定する費途に充てる場合に使用する外、国又は都道府県の行う政令で定める民間情報教育事業の運後に必要な費途に充てるため、国又は都道府県に対する資金に使用することができる。」という改正案が出ておるのでありますけれども、どうもこの規定は不十分な点もありまするし、又我々として賛成しかねる点がありまするので、むしろ第四條第二項のこの改正規定を止めまして、その代りに第四條第一項中に「経済再建」という字の下に「並びに特定教育事業」という字を加えることが適当であると思うのであります。そういう趣旨によりまして、ここに改正案の一部を更に次のように改めるところの修正案提出いたしたいと思います。修正案はお手許に配付してありまするので、これを一度朗読いたしたいと思います。  米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案に対する修正案        発議者 木内 四郎  米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  第四條の改正規定を次のように改める。  第四條第一項中「経済再建」の下に「並びに特定教育事業」を加え、「公私企業」を「国、国以外の公企業若しは私企業」「公企業」を「国若しくは国以外の公企業」に改める。  第六條の改正規定を次のように改める。  第六條第二項を削る。  第十四條の改正規定中『「第三項」を「第四項」に改め、』を削る。  第十五條の改正規定を削る。  以上の修正案提出いたしたいと思います。
  5. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか。
  6. 森下政一

    森下政一君 今のは木内君何ですか、主たるところは特定教育事業というのを加えるというのですか。
  7. 木内四郎

    木内四郎君 そうです。そうしてあとの規定は、それに伴う條文整理です。
  8. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 外に御発言はございませんか……御発言もないようでありますから、採決をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) それでは外に御発言もないようでありますから、先ず修正案について採決をいたします。只今討論中にありました木内四郎君の修正案を議題に供します。木内君の提出修出案賛成の方の御挙手を願います。    〔総員挙手
  10. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 全会一致でございます。  尚この際申上げて置きたいと存じますが、今の木内君の修正に基いて多少の條文整理をしなければならん点があるようでありますが、條文のこれは整理をするということに御了解を願つて置きたいと存じます。よつて木内君の修正案は可決されました。  次に、只今採決されました木内君の修正にかかる部分を除いて、内閣提出に拘わる原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案賛成のお方の御挙手を願います。    〔総員挙手
  11. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 全会一致と認めます。よつて本案全会一致を以て修正可決をいたしました。尚、本会議における委員長口頭報告内容は、委員長において、本案内容、本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。委員長議院提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     黒田 英雄  伊藤 保平     九鬼紋十郎  森下 政一     玉屋 喜章  西川甚五郎     平沼彌太郎  木内 四郎     油井賢太郎   —————————————
  13. 櫻内辰郎

    委員長櫻内辰郎君) 御署名漏れはございませんか……。なしと認めます。  それでは午後一時まで休憩いたします。    午前十時五十二分休憩    ——————————    午後一時三十五分開会
  14. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 只今より休憩前に引続き会議を開きます。税法一般について御質問を願います。
  15. 伊藤保平

    伊藤保平君 ちよつと主税局長お尋ねいたしたいのですが、酒税について今度の改正で、この税率が大分増加されて、又元の高い方へ戻りましたのですが、一昨年のときの率と税額とを見ますると、清酒の百といたしますと、その当時合成清酒は九十一、焼酎は九十二の比例になつておつたと思うのですが、ところが今度の改正は、清酒の百に対し、合成清酒は七十七で、焼酎が六十六という大きな開きができております。これは清酒原料制限で、非常に石数が少かつたということも考えられるのですが、本年は相当増石にもなるようでありますし、酒類全体から見まして、今年度は二百八十九万四千石かの見積りのようになつているようですけれども、これ以上に造石高は更に十数万石殖えると思うのですが、そうすると、現在の焼酎過剰販売情勢から見ましても、これ以上殖えますると、もう飽和点に達していると思うのですが、一方に密造相当ありまして、これが取締りはなかなか困難であります実情でありまして、まだまだ絶えませんとすれば、この二百九十六万石の外に密造酒を加えますというと、今日の購買力が減退して、消費量が非常に少くなつておりますので、恐らく飽和点以上の過剰に来ているように思うのでありまして、現に一部ではすでにああいうダンピングが起つて来ているのじやないかと思います。清酒の方はまだそれ程現われておりませんけれども、遠からずそういう兆候がもう現われつつあると思いますので、こういう点におきまして、この酒税の均衡を今少し御考慮願えないか。それから清酒平均税額を見てみますると、大体特級、一級、二級を併せまして五万二千八百七十六円くらいになると思う。合成清酒が三万九百十七円であり、焼酎が二万九千五百十三円、麦酒が二万八千五百二十円というようなことで、いずれも清酒に比ベて余りにも税額の負担が開き過ぎておるのじやないかと思います。今日清酒合成清酒需要層はもう変りなくなつて来ておるのじやないかと思うのであります。こういう点につきまして、今後どういうふうに均衡させるかの御考慮を願えますかということも併せてお尋ねいたして置きます。それから今年は先程申しました通り相当増石になりまして、自然増收が現在の予算に見積つておられます一千四十億円でしたか、それよりも相当五十億円以上、或いは百億近い自然増收があると思うのでありますが、こういうことでありますと、或いは年度内において、若し情勢に応じましては、何かこれを以て減税に向けるとか、適当な措置が講じ得られることができるものですか。或いはやはり年度内ではできないものでありましようか。同時に最後に一つ密造対策につきましても従来十分おやりになつておるのですが、更にこれ以上おやりになりますか、それに対する御方針も併せて承わりたいの思うのであります。
  16. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 酒税の今回の税率につきましては、いろいろな角度から検討いたして決めたのでございますが、私共本来の考え方といたしますると、むしろできる限り数量を殖しまして、税率はできる限り引下げの方向に持つて行きたい。それに伴いまして値段も引下げまして、本来の清酒を安く、多く造りまして、闇酒等を駆逐して行くという方向に参るというのが本来の私共の考え方でございます。ところでそれに対しまして、御承知通り昨年シヤウプ勧告が出まして、この勧告によりますると、それと反対に、数量はむしろ殖さないで税率を大巾に上げまして増收を図つたらどうだろうかと、密造等に対しては取締で徹底的にやつたらどうかというような考え方をとつておるのは御承知通りでございますが、今回の改正案を作ります場合におきましては、実はその両者の調整に苦心したのでございまして、基本的には飽くまで私共やはり極力正規生産増加いたしまして、税率等は成るべくこの程度の引上げに止めたいという考え方で作成をいたしたのでございます。今度の酒税改正によりまして、予算から申しますというと、約二百八十億円くらいの増加を来して、おりますが、実はこの中の大部分増石による増加と、それから地方酒消費税を廃止しまして、酒税に統合した増加が大部分でございまして、純粹の増税に当る金高は、取引高税を除きますると、約二十数億円程度に過ぎないのでございます。無論一面におきましては、若干焼酎等につきまして、歩留りの上昇に伴いまして、コストを下げて、それによつて増税を図つておる部面もございますが、そういう部面を除きました純粹の増税は二十数億円程度にいたしておるのでございまして、大部分増石による増加酒消費税の統合による増加から收入増加を来しているのであります。その点酒税改正の点について、第一に御了承を願いたいと考えておるのでございます。将来の方向といたしましては、やはり最初に申上げました方計に従いまして、むしろ正規の酒を増加いたしまして、税率等にできだけ下げるという方向に持つて行く、勿論経済情勢物価情勢との関連もありまして、それを睨み合せて決めなくちやならんと思つておりますが、まあ基本的にはさよう考えておるのでございます。次に、お尋ね清酒合成酒焼酎税率比較論の問題でございますが、確かに伊藤委員お話のような点は非常に御尤もの点が多いと考えるのでありまして、清酒は非常に数量を現在制限いたしておりますので、やはり若干の需要が多いと申しますか、値段等比較的最近までには高い関係もございまして、清酒税率合成酒焼酎等に比べますと、どちらかと申しますと割高になつております。従いまして小売価格におきましても、同様に下つて来ることは事実でございますが、この点につきましては御指摘通り清酒につきましては本年度は若干の増加ができましたし、今後においては更に一層アルコール添化増加等方法も、原料増加の外に強化することにいたしまして、清酒増産を図るということになりますれば、この税率なり価格比率等につきましても、よくそのときの情勢に応じまして検討をして、妥当なものにいたしたいと考える次第でございます。それから酒税増収は、確かに二十四年度におきましては、追加予算相当殖したのでございますが、実積は更に若干増加するものと考えております。ただ税収入全体して考えますと、申告所得税等がなかなか思うような成績を挙げておりませんので、現在相当第一線では問題を起しておりまする情勢でございまするので、この方がやはり相当減るのではないかと今心配されておるのでございます。全体といたしまして、どの程度増収になりまするか、余り大きな増収にはならないのではないかと考えておるのでございますが、まあそういう問題とは別に、今後におきまして税率検討する際或いは更に状況変化等に応じまして、予算等につきまして再検討をする機会がございますれば、勿論そのときの情勢に応じまして、税率等につきましても妥当な調整を加えることに吝かでないと考えております。ただ今のところはつきり具体的な見通しが付きかねるということを申上げて置きたいと思います。尚密造対策等につきましては、従来から大分努めておるのでございますが、御承知通り都会における密造は、焼酎値段も低くしまして、自由販売になりました等のために相当最近は激減いたしておるようでございます。で、今回その点も考えまして、焼酎の値上につきましても若干の値上をいたしておりますが、四百五十円程度に止めることにいたしておるのでありますが、この方面に対しましては更に一層取締強化等も加えまして、現在非常によくなりつつあります状況を更に一層よくするように努めたいと思います。問題はその他の農村方面における密造でありまして、これはなかなか多年の慣行になつておる所もございまして、又その調査の対象が広汎に亘つておりますので、遺憾ながら思うような成績を挙げておりません。できますならば、私の方の理想を申しますと、農村に対しましては、できる限り、できますれば本年の米で造りました清酒二級ぐらいを、或る程度低い値段で販売するというような方法によつて対処するのが、一番いい方法ではないかといろいろ考えと見ましたが、そうしますと、税収入等にも相当に影響がございますので、今回といたしましては、まあそういう方面からいたしました税金修正は余りでき得なかつたのであります。今後におきましては、さような点につきましても、一つ先程から申上げておりますように、全体との関連考え考慮いたしまして、できる限り工夫して見たいと考えております。尚、取締につきましては、勿論関係官庁と一体となりまして、有効な取締を行いまして、密造を少くしまして、従いまして極力正規酒類増産を図つて行くように努めて行きたいと考えておる次第であります。
  17. 米倉龍也

    米倉龍也君 事業所得課税標準は当然必要経費を引くのですが、その必要経費の点に関係するのですが、先般参議院でも又衆議院でも決議がありました積雪寒冷地帶課税についての考慮をして貰いたい、政府はそれに対して相当何らかの処置をするというようなことを述べられておつたのですが、要求する方の気持は、この問題は税の方から、そういう地帶農民生活を多少でも緩和するより途はないだろうというので、一方平衡交付金の増額とか、又一方は事業所得の方の計算の場合に、何か地域特別控除というような、何かそういうものができないかどうかというようなことを考えての所得税の方の軽減を要求しておるのですが、こういう点、すでに政府でもああいう答弁をなさつておるんだから、何かこれについて御考慮なり御研究が進んでおりましようか。それをお聞きしたい。
  18. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 積雪地方課税適正化に関しまして要望がありましたことは、私共承つておりまして、検討いたしておるわけであります。そのうち今御指摘所得計算上、必要経費に該当すると認められる部分につきましては、実情に応じまして極力適正化を図るということは必要であろうというふうに考えております。例えば貸家所得等の場合におきましても、除雪費等をやはり所得計算上十分に見るという必要がありましようし、或いは農作物その他の場合におきましても、普通の営業者の場合におきましても、除雪のために特別な費用を要するとか、或いは修理のために必要な費用を要した場合におきましては、こういうものにつきましては所得計算適正化を図る必要があると思います。その点につきましては、中央からも地方に対しまして、その点はくれぐれも考慮して、適正な所得金額計算するようにという趣旨で確か通達いたしたかと思いますが、そういう趣旨で運用いたして参る考えであります。ただ積雪地帯におきまして生活費が高くかかる、従つて何か特別の税法控除を認めるようにしたらと、こういう要望もあるようでございますが、その点になりますと、なかなか簡単に参らないのでございまして、生活費となりますと、或いは都会の方が田舎の方よりも高いという場合もございますし、普通の役人の場合でございますと、東京あたり地方と変りまして、勤務地手当として特別手当を出しておる状態でありまして、これは地方によりまして非常に区々な問題が出て来るのではないかと考えるのでございます。従いまして基礎控除扶養控除の外に積雪地帯等に対しまして、特別のそのような控除を、税法生活費が高いというので設けますのは、どうも少し如何であろうかというので、その点までやりますことにつきましては、私共今のところ賛成いたしかねておるような状況でございます。尚、平衡交付金等の配分に際しましては、これは標準となるべき経費を査定するわけでございますが、その経費の中にはやはり特別の公共団体、市町村、県等におきましても、積雪地帯特有の幾らかということは、やはり標準的な費用の中に十分考えまして、それと課税力との比較平衡交付金を交付するというような方法理論考えられることでございますので、私共そのような点につきましては、これもよくそのような解決を図るべきじやなかろうかと考えておる次第でございます。尚、具体的問題はいろいろあるのでございますが、大きな問題につきましては一応お答えいたしまして、お尋ねがございますれば、更にお答えしたいと思います。
  19. 米倉龍也

    米倉龍也君 いろいろ御研究なつておることをお聞きいたしたわけでありますが、やはりこういうことは現実の特殊な事情でありますので、地方でどうこうというようなことを一律にお決めを願うことは相当困難だとは思いますけれども、併し地方はどうもやはり中央一つ相当具体的な何か方針なり、指示がないと非常にやりにくいというか、まちまちになつてしまうらしいのであります。いろいろ話を聞いて見ても、どうもそれは中央からの指示がない、或いはそういうお話がないからというようなことで、相当地方的にまちまちになつております。そういう関係で、この地帯のこの問題を取上げて政府要望しておる方から申しますると、余程具体的に中央の方で或る点まで指示して頂かなければ満足をしないのじやないかと思います。昨今盛んにこういう方面の要求が国会の方面にも出ておりますので、どうか大蔵省でも今お話のように、これは地方のその実情によつて適当にやる、特に考慮するという程度でなく、もつと考慮すべきことを具体的にお示しになつて頂くように十分お願いしたいと思います。そうでないと、この運動は更に一層うるさく本省の方に来ると思いますから、その点一つお願いいたしたいと思います。
  20. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 誠に御尤もでございますので、国税局長或いは関係職員会合等機会に十分徹底するようにいたしたいと考えます。尚、特別の問題につきましては、かような会合の際に調査した資料を持ち寄りまして協議をし、できるだけ具体的に歩調を合せて妥当な取扱を決めることに努めるようにして見たいと考える次第であります。
  21. 黒田英雄

    黒田英雄君 又酒の税に戻りますが、先程伊藤委員質問に対してのお答えで、大体政府のお考えは伺えたのですが、私は酒税について、シヤウプ勧告に現われておるところの表現の仕方は非常に酒に対しては酷のように思うのですが、又それによつて酒の税はもう少し上げてもいいという勧告なつておるのですが、今日酒の価格というものは他の物価比較して相当税金のために高いことになるのですが、今日の各人の懐工合等からいたしまして、酒の消費というものは大分減退しておるように思うのですが、勧告にそういうふうにあつたために、政府はこれを止むを得ず上げたのか、尚機会があれば、これを下げようという御意思を持つておられるとは、先程のお答えで思いますけれども、更にいろいろ酒消費等につきまして十分な説明等関係方面になされて、そうして下げるという御意思がありますかどうか、つまり今日の購買力減校に対して、この価格相当高いというふうにお考えなつておるかどうか、その点をはつきり一つ伺いたい。この間の提案理由説明のうちにも、特級酒一升当り千百四十円を千百七十円にし、一級酒九百十円を九百六十円程度に上げるというふうな説明があつたが、これについて一つ考えを伺いたい。
  22. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 確かに私共このシヤウプ勧告のうち、酒に対する認識は、今黒田委員お話のように、日本実情に即して認識が十分に行われていなかつたのではないかということを私も感じておる一人であります。率直に申上げまして……いろいろ私共酒の税につきましも、実は事前に討議をやつたのでございますが、何と申しましても、消費生活といつたことになりますと、なかなか短時日では実感を伴つた意見が出にくいというところがございまして、相当理論を追いました理想論となり、そのままシヤウプ勧告案となりまして出て来たように感ぜられるのであります。勿論私共日本密造状況、戦前の生産、最近の生産状況その他につきましても、十分いろいろ説明をいたしたのでございますが、どうも短時日関係でありましたので、なかなか思うように徹底を図ることができなかつた考えるのであります。それと丁度昨年御承知通り焼酎につきまして、七百数十円を四百数十円に下げまして、それから清酒その他につきましても、自由販売値段相当大巾に下げまして、配給を止めて一般に自由販売で売出すというときでありまして、相当売行きの状況比較的いいような状態であつたような関係もありまして、このような報告になつたのではないかとも考えるのでございますが、もう少し長期に見通しを立てますれば、先程申上げましたように、どうもやはり最近の食糧事情等から見まして、正規生産を殖やしまして、税率なり、価格はむしろ下げまして、供給量増加によつて国庫収入増加を図つて行くというのが、やはり私共の行く正しい途ではなかろうかと、こういう考えを持つておるのであります。今回の案を作ります場合におきましても、シヤウプ勧告と、そのような見解との間の調整を図るのに実は苦心をいたしたわけでござまして、数量増加によりまして、とにかく税収入としましては、相当増加を上げるようにいたしまして、税率については、御覧になれば分りますように、ほんの僅かばかり上げ、或るものは却つて引下げる、合成酒の二級、それから三級ウイスキー等は余りにも売れ行きが面白くございませんので、むしろ下げております。そういう調整をやりまして、何とかこの際として辛棒できる程度税金にしまして、改正を行いたいという趣旨で、法律案を作成いたしまして、提案いたしたような次第でございます。従いまして、将来の方向といたしましては、もう少し更に一層の正規生産増加を図りまして、税率等は低くしまして、税収入相当確保するという方向で参つたらどうかと、かように考えておるのでございます。
  23. 黒田英雄

    黒田英雄君 大体のお考えを伺いましたが、率直に言うと、収入を図るのに酒に課税して行くということは、シヤウプ勧告にもあるし、やりよいというような意味のお考えではないと思うのですが、今日の価格は、今日の購買力比較して、もつと下げなくちやならんものだというふうにお考えですか、或いはそうではないのであつて造石が殖えれば、税収はこれだけあればよいから下げようというお考えなんですか、その点はつきり一つ……。
  24. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 先程の需給の関係は、黒田委員お話しになつたような傾向も、確かに若干あるようでございますが、大体といたしましては、相当順調のようでございまして、むしろ予算で見積りましたものよりも、庫出し等も多くなつておるような実情もございまするし、今直ちに税率の引下げをやらなければならないというような事情には、今のところまだ来ていないのではなかろうか、ただ今後におきまして、そういう状況等が現われますがどうですか、恐らく夏季になりますと、ビールが今度の改正によりましても、私共といたしましては、相当出ることを期待いたしております。それから清酒につきましても、二級酒その他につきましては、引上げの程度は極く僅かでございますから、この程度でございまれば、そう御指摘のように、売れ上げが一時に惡くなるというようなことにはならないのじやなかろうかと思つております。ただ傾向といたしましては、確かに御意見のような傾向もございますから、むしろ今後におきましては、正規生産数量増加を図りまして、それと一諸に税率も引下げまして、必要な国庫収入は確保するという方向に沿つて、極力適正化を図りたいと、かように考えておるのでございます。尚この酒の税につきましては、これは私はやはり相当酒税によつて国庫収入を期待するというこの租税政策の行き方は、シヤウプ博士と同じように、正しいのではないかと考えます。外の税、使えば織物消費税を廃止したり、三等乘客に対する通行税の課税を廃止しましたり、或いは取引高税を廃止したり、或いは物品税中の必需品課税を廃止するといつたような方向は、これはそれぞれ正しいわけでありますが、それにも拘らず、酒税につきましては、何と申しましても、どこの国でもやつておりますように、その国の供給の状態消費状態に応じまして、妥当な税率を定めまして、極力必要な財源を確保するということは、租税政策としては妥当ではなかろうか、煙草と酒につきましてはシヤウプ博士は、相当理論的でございまするが、相当税収入を期待するというような御意見のようでございまして、その点におきましては、私共実はシヤウプ博士と見解を一にいたしておるのであります。ただ数量を減らして、税率を上げたらどうかということにつきましては、先程申上げました日本の現状並びに造石等の状況から考えまして、やや見解を異にするということを、先程来申上げた次第であります。
  25. 黒田英雄

    黒田英雄君 これは、これからの経済界の状況の如何によることですが、今日の状況では、相当売れ行きが極度に極点に達しているように思われるのですけれども、これはまあ見解の相違ですから、今後の経済界の状況の変化如何によつては、これは又変るだろうと思いますから、その点は十分実情を御調査になるようにお願いしたいのです。その次に、特級酒は特別な酒ですから、高いのもいたし方がないと思うのですが、これを無暗に特級酒を拵えられるというと、それこそ今日の状況では売行きが非常に不振の状況にあるように私共聞いているのですから、これらに対して、来年度と申しますか、これから先特級酒を造られる上において、従来と同じような方針でありますか。或いは、これは多少制限しようというようなお考えはないものですか。
  26. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 特級酒につきましては、二十五年度の予算の基礎になりました分につきましては、大体石数で六万石程度予定いたしております。この特級酒数量をどの程度にするかということは、今御指摘通り、大体売れ行きの状況、それから他の酒類数量との関係におきまして、どの程度ならどうというような見地から定めて参りたいと考えておるのでございますが、やはり私共としましては、相当な財源にもなりまするし、成るべくよい酒を造りまして、生産者なり関係業者の方々も、取扱いによりまして利益が出て来るようにすると同時に、国庫にも税金の形で相当つて来るというような制度でございますれば、やはり今後もそういうふうにした方がよいのではないかと、かように考えておるのでございます。まあ今までの酒の造石税は比較的簡単でございまして、清酒は全部一律にやつておりましても、かような差は付けてもいなかつたのでございますが、酒類につきまして相当多額な税収入を期待せざるを得ないような実情が残つております間は、やはりこのようなやや技術的に面倒な方法を用いまして、極力収入増加を図る方がよいのではないかと考えておるのであります。数量の点は、やはりそのときの状況、それから一つ税率の決め方、値段の付け方等にもよりまするが、そういう点を考えまして、極力適当な数量を造りまして、できたものは少くとも売捌いて行くような状況に持つて行くと、又売捌かれるような限度において造石して行くというような方向で行きたいと考えております。
  27. 黒田英雄

    黒田英雄君 それは特級酒を沢山造られれば収入が殖えるので、政府としてはいいでしようが、併し地方の名も余りない酒、これは品質はよくても、売行きが悪いように聞いておるのですから、その点は余程お考えなつて、ただ収入増加ができるからというので、無暗に特級酒を造られるということは、私余り賛成できないと思うのです。まあそれはその程度にしまして、提案理由説明のときに、先程も申上げましたように特級酒は千百四十円を千百七十円程度に或いは一級酒九百十円を九百六十円程度に、二級酒はというように、それぞれ御説明があつたのですが、これは小売価格であろうと思うのですが、生産者販売価格、卸売商の販売価格というようなものについては、もう無論お決めになつておるのだろうと思いますが、これを御説明願いたいと思います。
  28. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 酒類生産価格、販売価格等は最終的には物価庁の責任において決めることになつております。一応腹案を申上げることに御了承願いたいと思うのでありますが、それによりますと、今尚御指摘の千百七十円とか、九百六十円、六百五十円、こういう数字はお話通りでございまして、小売価格の見込価格で、大体改訂見込価格でありますが、最終的に決まるのは、恐らくこの前後で決まるのじやないかと思いますが、小売価格の見込価格でございます、尚この価格につきましては、それぞれ最近の生産販売の原価の状況等に応じまして、妥当な価格を決めることにいたしているのでございます。先ず予想を申上げますと、清酒の第一級につきまして申上げますと、瓶詰品の場合でございますれば、現在は製造原価が百三十二円、それから基本税が二百五十七円でありまして三百八十九円という生産者の価格なつております。これを今度は製造原価につきましては、若干の原料の値上り等による増を認めまして、百三十六円にいたしましては、税金が上りますから、上つた分が三百五十円でございます。生産者の価格は税込の販売価格が四百八十六円程度にいたしたい。それから卸売につきましては、それぞれ普通のマージンを認めることにいたしまして、現在は今のものについて申上げますと、販売価格は八百十二円九十四銭になつておりますが、それを改正案によりますと、八百九十四円五十銭程度に変えたい。小売価格につきましては、従来の九百十円程度の最終価格が九百六十円程度の最終価格になるという大体の考えでございます。尚マージンにつきましては、若干増減がございますが、卸のマージンにつきましては、今申上げました酒類の中には、今の改正は三十三円四十銭から七十四銭入つておりますが、これは何か若干多く見る必要があつて、多く見たと思いますが、その前は二十二円三十八銭でございましたのでございます。それとの関係上今回は二十六円五十銭程度見ることになつておりますが、小売のマージンは五十三円七十三銭でありますが、改正案によりますと、五十四円五十銭程度になるのであります。その他の酒類等につきましては、それぞれ大概そういう方針で案を作成いたしております。
  29. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ちよつとお諮りいたしますが、本会議が始まると、少し劈頭私が報告して、その後何かいろいろ記名投票などが必要だというので、記名投票があるらしいですが……ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止〕
  30. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記を始めて……。それではこの程度で散会いたします。    午後二時十六分散会  出席者は左の通り。    委員長            櫻内 辰郎君            木内 四郎君    理事            黒田 英雄君            伊藤 保平君            九鬼紋十郎君    委員            森下 政一君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            平沼彌太郎君            油井賢太郎君            米倉 龍也君   政府委員    大蔵事務官    (主計局法規課    長)      佐藤 一郎君    大蔵事務官    (主税局長)  平田敬一郎