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政府委員(
平田敬一郎君)
酒税の今回の
税率につきましては、いろいろな角度から
検討いたして決めたのでございますが、私共本来の
考え方といたしますると、むしろできる限り
数量を殖しまして、
税率はできる限り引下げの
方向に持
つて行きたい。それに伴いまして
値段も引下げまして、本来の
清酒を安く、多く造りまして、
闇酒等を駆逐して行くという
方向に参るというのが本来の私共の
考え方でございます。ところでそれに対しまして、御
承知の
通り昨年
シヤウプ勧告が出まして、この
勧告によりますると、それと反対に、
数量はむしろ殖さないで
税率を大巾に上げまして
増收を図
つたらどうだろうかと、
密造等に対しては
取締で徹底的にや
つたらどうかというような
考え方をと
つておるのは御
承知の
通りでございますが、今回の
改正案を作ります場合におきましては、実はその両者の
調整に苦心したのでございまして、基本的には飽くまで私共やはり極力
正規の
生産を
増加いたしまして、
税率等は成るべくこの
程度の引上げに止めたいという
考え方で作成をいたしたのでございます。今度の
酒税の
改正によりまして、
予算から申しますというと、約二百八十億円くらいの
増加を来して、おりますが、実はこの中の大
部分は
増石による
増加と、それから
地方の
酒消費税を廃止しまして、
酒税に統合した
増加が大
部分でございまして、純粹の
増税に当る金高は、
取引高税を除きますると、約二十数億円
程度に過ぎないのでございます。無論一面におきましては、若干
焼酎等につきまして、歩留りの上昇に伴いまして、コストを下げて、それによ
つて増税を図
つておる
部面もございますが、そういう
部面を除きました純粹の
増税は二十数億円
程度にいたしておるのでございまして、大
部分は
増石による
増加と
酒消費税の統合による
増加から
收入の
増加を来しているのであります。その点
酒税の
改正の点について、第一に御了承を願いたいと
考えておるのでございます。将来の
方向といたしましては、やはり
最初に申上げました方計に従いまして、むしろ
正規の酒を
増加いたしまして、
税率等にできだけ下げるという
方向に持
つて行く、勿論
経済の
情勢、
物価の
情勢との
関連もありまして、それを睨み合せて決めなくちやならんと思
つておりますが、まあ基本的に
はさように
考えておるのでございます。次に、
お尋ねの
清酒と
合成酒や
焼酎の
税率の
比較論の問題でございますが、確かに
伊藤委員の
お話のような点は非常に御尤もの点が多いと
考えるのでありまして、
清酒は非常に
数量を現在制限いたしておりますので、やはり若干の
需要が多いと申しますか、
値段等も
比較的最近までには高い
関係もございまして、
清酒の
税率は
合成酒、
焼酎等に比べますと、どちらかと申しますと割高に
なつております。従いまして
小売価格におきましても、同様に下
つて来ることは事実でございますが、この点につきましては御
指摘の
通り、
清酒につきましては本年度は若干の
増加ができましたし、今後においては更に一層
アルコール添化の
増加等の
方法も、
原料の
増加の外に強化することにいたしまして、
清酒の
増産を図るということになりますれば、この
税率なり
価格の
比率等につきましても、よくそのときの
情勢に応じまして
検討をして、妥当なものにいたしたいと
考える次第でございます。それから
酒税の
増収は、確かに二十四年度におきましては、
追加予算で
相当殖したのでございますが、実積は更に若干
増加するものと
考えております。ただ
税収入全体して
考えますと、
申告所得税等がなかなか思うような
成績を挙げておりませんので、現在
相当第一線では問題を起しておりまする
情勢でございまするので、この方がやはり
相当減るのではないかと今心配されておるのでございます。全体といたしまして、どの
程度増収になりまするか、余り大きな
増収にはならないのではないかと
考えておるのでございますが、まあそういう問題とは別に、今後におきまして
税率を
検討する際或いは更に
状況の
変化等に応じまして、
予算等につきまして再
検討をする
機会がございますれば、勿論そのときの
情勢に応じまして、
税率等につきましても妥当な
調整を加えることに吝かでないと
考えております。ただ今のところはつきり具体的な
見通しが付きかねるということを申上げて置きたいと思います。尚
密造対策等につきましては、従来から大分努めておるのでございますが、御
承知の
通り都会における
密造は、
焼酎の
値段も低くしまして、
自由販売になりました等のために
相当最近は激減いたしておるようでございます。で、今回その点も
考えまして、
焼酎の値上につきましても若干の値上をいたしておりますが、四百五十円
程度に止めることにいたしておるのでありますが、この
方面に対しましては更に一層
取締の
強化等も加えまして、現在非常によくなりつつあります
状況を更に一層よくするように努めたいと思います。問題はその他の
農村方面における
密造でありまして、これはなかなか多年の慣行に
なつておる所もございまして、又その調査の対象が広汎に亘
つておりますので、遺憾ながら思うような
成績を挙げておりません。できますならば、私の方の
理想を申しますと、
農村に対しましては、できる限り、できますれば本年の米で造りました
清酒二級ぐらいを、或る
程度低い
値段で販売するというような
方法によ
つて対処するのが、一番いい
方法ではないかといろいろ
考えと見ましたが、そうしますと、
税収入等にも
相当に影響がございますので、今回といたしましては、まあそういう
方面からいたしました
税金の
修正は余りでき得なか
つたのであります。今後におきましては、さような点につきましても、
一つ先程から申上げておりますように、全体との
関連を
考えて
考慮いたしまして、できる限り工夫して見たいと
考えております。尚、
取締につきましては、勿論
関係官庁と一体となりまして、有効な
取締を行いまして、
密造を少くしまして、従いまして極力
正規の
酒類の
増産を図
つて行くように努めて行きたいと
考えておる次第であります。