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1950-03-28 第7回国会 参議院 大蔵委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十八日(火曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○銀行等債券発行等に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○日本勧業銀行法等を廃止する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○富裕税法案内閣提出衆議院送  付) ○資産再評価法案内閣提出衆議院  送付) ○相続税法案内閣提出衆議院送  付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○酒税法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○通行税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○所得税法等改正に伴う関係法令の  整理に関する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○国税犯則取締法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○国税延滯金等の特例に関する法律  案(内閣送付) ○災害被害者に対する租税の減免、徴  收猶予等に関する法律の一部を改正  する法律案内閣送付) ○国税徴收法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○有価証券移転税法を廃止する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国庫出納金等端数計算法案内閣提  出、衆議院送付) ○解散団体財産收入金特別会計法案  (内閣提出衆議院送付) ○米国対日援助物資処理特別会計法案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) これより大蔵委員会を開会いたします。  本日は先ず銀行等債券発行等に関する法律案を議題として御審議を願います。御質疑のおありの方は御質疑を願います。
  3. 森下政一

    森下政一君 ちよつとお尋ねします。全国のこの銀行数は何行あつて、それからその自己資本というものはどれくらい、或いは預金総額がどのくらいになつておるか、それは何か資料を貰つておりますか。
  4. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 只今お尋ねになりました点をお答え申上げます前にちよつとお許しを得まして、昨日油井委員からお尋ねになりました点につきましてお答えを留保しておりましたのでございますが、このことについてお答えを申上げたいと存じます。  お尋ね内容は、銀行等債券発行等に関する法律案の第十條第一項、これは八頁の最終行でございますが、「金額に達するまでの金額」となつておりますのに対しまして、第十四條第一項第一号、十四項四行にございますが、ここでは「を下らない金額」としております点につきまして、何故このような変つた表現をしておるのかという御趣旨であるかと存ずるのでございますが、この点につきましては、お説の通り同様の表現をした方が或いはより適切であつたかとも考えられるのでございます。結果においてはこの両條に規定する内容には何らの差異はないのでございます。ただ立案当時の気持といたしまして、表現の上に多少のニユアンスを盛り込んでおるのでございますが、第十條の規定は、この規定によつて準備金を積立てるべきものとしてあるのでございますので、下から積上げるというように感じを以て起草したのであります。第十四條の方は、優先株式を消却した場合、その消却した金額は第十三條第四項の規定によりまして、準備金として積立てる義務を先ず生じまして、それがこの第十四條の第一項の規定によりまして、法定準備金の含まれるという、いわば準備金を先ず積立てられておるという考え方でございましたので、このニユアンスが字句の上に「達するまで」ということと「下らない」ということと表現差異なつた次第でございます。実質的な問題、或いは株式上の疑義ということを生ずる余地はないと考えておりますので、どうぞ御了承の程をお願い申上げたいと存じます。  次に森下委員お尋ねに対してお答え申上げます。全国銀行数昭和二十四年末におきまして七十四行でございます、これは従来の特殊銀行も含み、尚信託銀行と称せられております信託業務を兼営する銀行も含んでおります。同じ昨年末の現在におきまして預金残高は、七十四行合計七千六百九十七億五千百万円、貸出金は六千七百九十一億三千二百万円に相成つております。
  5. 森下政一

    森下政一君 それから準備金はどうなつてますか。
  6. 舟山正吉

    政府役員舟山正吉君) お答え申上げます。同じ日附におきまして、資本金は公称の方は百六十一億七千万円、拂込み資本金は同額でございます。
  7. 森下政一

    森下政一君 そうなるとどうなんですかね、実質的に内国の銀行全部の観点から言うと、債券発行ができることになるのですか。
  8. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) この新らしい法律によりまして、すべての銀行債券発行ができることに相成ります。
  9. 森下政一

    森下政一君 できることになるのだが、その自己資本準備金ですか、自己資本金額の二十倍に相当する金額から預金総額とその発行している債券総額との合計額を控除した残額に相当する金額を限り、債券発行することができることになつているんですね。そうするとどうなるんです。預金総額と、すでに発行している債券総額との合計額を、自己資本金額の二十倍に相当する金額から控除するとなると、債券発行できるということになるんですか、全体として。
  10. 大月高

    政府委員大月高君) 只今御質問のございましたように、今度の債券発行可能性と申しますのは、資本金及び積立金合計いたしまして、それを二十倍いたしましたもの、それから預金総額を引きました残りが債券発行余力、こういうことになるわけでございますが、先程局長の答弁からいたしましても、全体の預金総額資本金積立金合計額の二十倍よりも多いということになつておりまして、現在増資を仮にいたしませんでございましたならば、債券発行余力はないわけでございます。ただこれは全国平均でございますので、三月末におきましては興業銀行におきまして、四千五百万ぐらいの余力を持つておりますけれども、これは四月の債券発行には余力見込むことがございませんので、当然増資を必要とするわけでございます。東京銀行その他二、三行につきましては、債券発行余力を持つている銀行もございますけれでも、実質的には取るに足らない数字でございます。
  11. 森下政一

    森下政一君 そうするとそこのところをもう一遍説明して貰いたのですが、如何にもおつしやる通り全国の七十四行を対象として、総括的に考えて見ると全然債券発行余力というものがないと、こういうことになつております。実質的に個々の場合について見て、債券発行の可能なものは一体どれだけあるわけですか。どれだけ銀行があつて、どの銀行とどの銀行とあつて、そうしてそのおのおのについてどれだけの発行力があるのか、それが肝腎の点だと思います。
  12. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 銀行全体の数について申上げたのでございますが、個々銀行については、極く限られた少数を除きまして、現在の預金残高並びに自己資本のケースから申しますと、債券発行の全力はないということに相成つております。
  13. 森下政一

    森下政一君 そこでそうすると具体的に分つておりはせんですか。どの銀行とどの銀行発行余力を持つておるということが……
  14. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 具体的に分るわけでございますが、只今ちよつと手許資料の持分せがないことを遺憾に存じます。
  15. 森下政一

    森下政一君 それを一つ知りたいのですね、それは今日は実際上に債券発行をしておるというのは興銀だけだと思う。興銀以外に例えば今度勧銀とか或いは北拓とか農林中央金庫商工中央金庫というようなものが余力を持つということになると思うが、そういうふうな特殊な銀行だけでなくして、一般普通銀行の中で一体どの銀行とどの銀行余力を持つておるか、それを知りたい。今日採決するということになつてそんな資料がないということはおかしいじやないか。銀行は分る筈だ。而もこれは見返資金優先株引受けるということがはつきりして、見返資金企業のために投ずる非常にいいトンネルができて、銀行設備資金にこれから融通されるという重大な法案だ、これは政府の得意になつておる新施策だと思うから、そうなると普通一般銀行の中でも、これこれの銀行のごときは当然そういうふうな優先株引受政府としてはさしてやりたいぐらいの計画を持つておられるに違いない。その具体的な内容を知りたい。無計画にこんなことをされる筈がない。普通一般銀行の中でも、例えば三和銀行であるとか。千代田銀行であるとか、或いは大阪銀行であるとか、或いは富士銀行だというような主なる銀行にどれぐらいの余力があるか、実質的にそれに対しては、若しこの法案が成立すればどれくらいの債券発行ができ、それに対して大体長期設備資金というものが、債券発行によつて企業に流れ込んで行くかということも見当を付けることができると思う。そんな資料なしに今日採決されると言われたら乱暴だと思う。
  16. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) この度の法律に基きます債券発行計画について先ず御了承願いたいと思うのでございますが、銀行預金と並んで債券発行ができるようにいたすのでございますが、併し銀行債券発行するかどうかと申しますことは、政府側からこれを強制するのではございませんで、第一義的には、その銀行がその性格に照らしまして、債券発行したいというものにつきまして、これを認めて行くという方式をとつたのでございます。従つてこの法案立案に当りましては、銀行側から先ず債券発行希望があるかどうかという点を確かめたのでございます、それについては今日までのところ銀行から具体的に自分の方も債券発行いたしたいという希望のお申出がなかつた、そこで次には債券発行余力の問題に相成りますが、この法案にもございますように、預金残高を取上げますにつきましては、債券発行しようとする時の前月から遡りまして、一ヶ年間の預金の毎日平均残高を調べることになつておるのであります。又預金額自己資本の額とを対比いたしまして、債券発行余力の有無を調べることになるのでございますが、この過去一年間の預金平均残高をとり、これを平均いたしますことについては相当の手数もかかりますので、極く特殊の銀行を除きましては、債券発行希望もないのにこれを調べるということにつきましては、余り銀行側に労力をかけることも如何かと存じ、目下調査しその資料を作成中でございます。差当つて、先程申上げましたように、債券発行希望のない銀行につきましては、その実情を、現在のところ集計して出来上つたものがない、こういう事情でございます。
  17. 森下政一

    森下政一君 それは当然債券発行を命ずるというわけには行きますまい。そんなことは局長から聞くまでもなく国会では誰もが常識的に考え得られることだと思うのですが、併し少くともこういう計画を持つ限りにおいては、国会が一番重点を置いて知りたいと思うことはこれですよ。発行可能な銀行がどれくらいあるか、現状においてこれらが盡く希望したところで、実際発行して見ても如何にしてそれを消化して行くかという問題もありましよう。そう無暗に余力があるから発行する発行すると要請はして来ないに違いないけれども、若し仮にこれらが何とか消化の見通しを以て発行しようと思えば、どれくらいの額が一体、債券発行されることになるか。そうすれば大まかにどれくらいの金額が、フルに発行されるというときには、長期設備資金なんかに廻つて行くのかという点が、非常にこの計画の重要なポイントと思います。ただ漫然とこういうふうな措置を講ずるということではないと思いますが、どうなんですか。
  18. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 当局におきましては債券発行差当り実現性ということに重点を置きまして、従来債券発行をした経験があり、そして又長期融資をした、能力があるというものについて先ず調査をいたしまして、この債券発行計画立案した次第でございまして、その他の一般普通銀行につきましては、債券発行するということは実際問題といたしまして殆んど期待できないのでございます。ただ将来それらの銀行債券発行を要望して参りましたときに、これを認めないということでは決してございませんが、それでは、普通銀行商業短期金融を本旨としております建前上、そういうことが現実の問題として差当つて考えられないので、その点の調査あと廻しにしたということを御了承を願いたいと存じます。
  19. 森下政一

    森下政一君 そうすると政府の方が大体対象にして債券発行する余力を持つておる、又願くば債券発行させたいと考えておるのはどれとどれですか。
  20. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 差当つて債券発行をいたしましてもその消化見込があり、且つその資金によつて適当なる長期融資をなし得る能力なり経験なりがあると認められますものは、従来やはり債券発行をしておりましたいわゆる旧特殊銀行、それから両金庫ということに相成るかと考えまして、具体的に申しますれば、興業銀行勧業銀行、北海道拓殖銀行農林中央金庫、商工組合中央金庫、これを対象として具体的の計画を進めておる次第でございます。
  21. 森下政一

    森下政一君 そうしますと、私共の手許に頂いております「三銀行金庫債券及び預金状況見込」というのがありますが、これの一番末尾の合計欄の二十五年三月三十一日、それが自己資本と、それから準備金というものから預金、それから既発債券といつたようなものを差引いたものがそこに現れておりますが、それが二十五年三月三十一日では、八百十七億九千六百万円ですね。そうするとこれが債券発行余力と見てよいわけですか。
  22. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) この表におきましては、見返資金による増資を一応本年度中に実行できるものとして計算を立てたのでございまして、本年度末におきまする発行余力は仰せの通り八百十七億余でございます。
  23. 森下政一

    森下政一君 そうすると見返資金による優先株というものがおのおの割当てられますね。これは仮にこういうふうに引受けるとすればという想定を置いておるわけですか。
  24. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) さようでございます。
  25. 森下政一

    森下政一君 もう一つお伺いしたいのですが、見返資金によつて優先株引受ける。例えば興銀はどれだけ、勧銀はどれだけと一つ想定を置いて割当てあるが、これを決めるのは誰ですか、大蔵大臣ですか。
  26. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 銀行希望によりまして、大蔵省によりまして、これを一応調査いたしまして、見返資金出資につきましては関係方面の了解を得るわけでございます。
  27. 森下政一

    森下政一君 そうなると仮に普通一般銀行のうちで発行余力があるという大銀行ができて来てそれらが債券発行したい、或いは増資をしたいというときに、見返資金によつて優先株引受をして貰いたいということが、ある場合は、これらと同断の手続を要するのですか。
  28. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 見返資金出資につきましては、たまたま過去において債券発行をいたしたものはこれら特株金融機関に限つておりましたので、差当つてはこれらの金融機関経験を活すことが適当であると考えまして、これらの金融機関に対して見返資金出資をする計画を立つたのでございますが、特殊銀行に限るということは、特殊銀行を廃するという精神から考えまして適当でないと考えます。従つて他銀行から見返資金増資という希望がありますれば、これはその銀行能力がどれくらいかを勿論考えなければなりませんけれども、同じような扱いをいたさなければならんと考えております。
  29. 米倉龍也

    米倉龍也君 昨日もちよつて触れたのですが、今森下さんのお話のように、この優先株式の大体の予定政府の方で立つておるのでありますけれども、それは昨日のお話では関係方面と折衝中であるように承つたのですが、こういう段階であるなら、これは計画であつて実際実現するかどうかということが不安になるわけであります。若し予定通り計画でそれが実現されない場合には、金融機関によつてはこの法律が成立したために却つて発行余力を減殺させるような心配があるのではなかろうか。でありますので、この法案を成立させるには、確実に御予定になつておるような優先株なり出資引受けられるという本当の御確信がなければ非常に迷惑を受けることになりはせんかと思う。その点をもう一度お聞ししたいと思います。
  30. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 見返資金出資具体的金額につきましては、未だ関係方面の最終的の指示がないのでございますが、最近の長期資金の不足ということに対処いたしますために、この法案に盛られておりますような行き方をとるということにつきましては、常時関係方面とも連絡をとりまして進行して参つたのでございますから、見返資金の放出につきましては必ずや私共の期待に副うような結果が得られるものと確信しておる次第でございます。
  31. 森下政一

    森下政一君 そうしますと今大蔵省の方で大体予想しておいでになり、関係方面了承を得られると思われる見返資金による優先株引受というものは、ここに示してある五十二億になるわけでありますか。
  32. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 五十二億、総計五十二億を希望しております。
  33. 森下政一

    森下政一君 そうするとこれはですね、二十五年度における見返資金の活用は、若し私の記憶が間違いでなければ債務償還五百億、それから公共事業費四百億、企業投資が四百億と思うのですが、その企業に流れるものの中からこれだけを優先株引受に当てる、こういう計画ですか。
  34. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 来年度の見返資金計画のうち、私企業投資から出ますか、或いは予備的に留保してあります経済再建費の方から出ますか、それはまだはつきりした確定はいたしておりません。
  35. 森下政一

    森下政一君 もとより、そうするとなんですね、見返資金優先株引受けて増資をなさしめると、そうすることは発行余力が余程殖えて来ることになりますね、実質的に。かくのごとくにしてできた発行余力で、どういう右面融資をして行くというようなことについては、これは当該銀行の選択によることであつて政府は何らこれに対して要望するとか、要請するとかということはできないわけですか。
  36. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 銀行融資につきましては、只今建前では政府はこれに積極的な干渉はいたさないことに相成つておるのでございます。ただここに計画しております五金融機関につきましては、それぞれ特色を有し、それぞれ活動の分野を異にしております。而も或いは農林関係と言い、或いは特に今度始まります勧業銀行方面不動産抵当貸付、これは結局中小企業等に相当の貢献をなすものであるのでございますが、それぞれ各種の機能を持つております金融機関に対して、こういう措置を講じまして資金を供給いたすのでありますから、これらの金融機関がそれぞれ得意とする、或いは専門とする方面に活動いたしますならば、各方面資金需要を充たすことに相成るかと考えるのでございます。ただ尚金融機関内面指導というようなことにつきましては、当局といたしましては十分意を用いて参りたいと考えております。
  37. 森下政一

    森下政一君 大体その点は了承しましたが、私の憂えますことは、将来ですよ、将来普通銀行のうちでも大銀行債券発行したい、而も見返資金によつて優先株引受をして貰いたいという希望があるときに、而もその要請が具体化されるということになつて債券が実際発行される、こういうことになつたときに大企業に対する融資は非常にこれによつて円滑に行われるということが予想される。これもですね、長期設備資金を今日放出して行くということは、私は非常に必要なことであつて日本の貿易というものを政府が企図する通りに進行せしめるためにも、そういう長期資金裏付というものが今日ないということが非常に歎かわしい点なんですが、そういう欠陥を補う点においても望ましいと思うが、そういう大企業だけが恩恵に浴して行くということであつてはならんと思うのです。それで政府が若しできることならばさような場合に、その債券発行したもののうちで、これこれぐらいのものは中小企業に廻すというふうな政府側からの何らかその條件を付けるというと難いかも知れないが、少くとも要請をするということがあることが望ましいと考えるのですが、そういうことは実際問題として不可能ですか。
  38. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 債券発行いたしまして、長期資金長期融資の方に廻すというふうなことになりますと、債券による長期資金のコストは、預金による短期資金よりも高いわけでございまして、従つてこれは長期金融に廻さなければ銀行としては採算が合わんという問題も生じて参りますので、この外の銀行におきましても、今直ちにこの債券発行いたしまして、長期金融もやるという気持は起つておらんようでございます。つまり言い換えますると、大多数の銀行におきましては、やはり商工銀行に徹したいという気持があるのではないかと考えるのでございます。そういたしますると、この大銀行におきましても、大企業に対する長期資金を必ず自分の手で供給するかどうかという考えになりますることは、相当問題があると思うのです。特に大企業におきましては長期資金なり、或いは自己増資になり、或いは社債の発行なりによりまして調達する能力があるのでございまして、現在の金融情勢下におきましても、それらについては特に資金供給長期資金を、こういうような方法によりまして供給する必要は感ぜられておらないと申してよいかと思うのです。尤も現在問題になつておりますことは、中小企業等におきまして、或いは農林関係方面におきまして、今の資金供給の形態が如何にも短期過ぎる、もう少し長期に使いたいという要望がございまして、又これが制度上これを供給する途が欠けておるというギヤツプがあるわけでございまして、これらの埋めようとするのが、この法案並びにこの運営に期待しておるところでございます。
  39. 森下政一

    森下政一君 大体分かりました。そこで外の委員の若し御同意が得られるならば、甚だ御迷惑かも分からんが、この機会に本法案とは直接関係ないが、今日あたりの新聞を見ますと、いよいよ中小企業専門的に対象とする銀行ができるらしいのですね。それらの、つまり今政府の構想をこの機会に承わりたいと思うのですがどうでしよう。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  40. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 中小企業に対する金融の疏通の問題につきましては、当局といたしましては中小金融専門金融機関を、現在ございますもの、即ち例えて申しますれば商工中金とか或いは規模の小さい無盡会社とか信用組合、こういうものの機能を発生をしめます外に、普通銀行につきましても、できるだけすべての方にも活動せしめますように指導しておる次第でございますが、まあそういうような意味合いで地方銀行等におきましてはその取扱う対象がおのずから中小企業相手というものが多いかと存ずるのでございますが、現在最もこの点において不便を感じておりますのは、やはり何と申しましても大都市におきまする中小企業金融であると思うのでございます。大都市におきましては原則として大都市の本店、支店しかない。これらにつきましては大銀行性質上比較的大口に金を取扱うということでございまして、中小金融というものは面倒を見たくても、その性質上おのずから限界があるのではないかというふうに考えました次第でございます。そこでこの中小企業の対策といたしましては、一つ方面といたしまして、この大都市における代小企業を取扱う銀行を利用できるようにいたさなければならないと考えるのでございまして、このためには先般一つ方法といたしまして、大銀行にこの大都市中小金融専門店舗を拵えさすということを着想したわけでございます。即ち大銀行の各支店におきまして大金融を扱つておる傍ら中小金融も取扱うということであれば、どうもこの辺の取扱の手心というものが、中小企業に対して十分痒いところに手が届くというわけには参らんということがありはしないかということを懸念して、一つこの際中小金融専門店舗を拵えさしてみたらどうかということなのでございます。この意味でこのたび具体案もできたのでございますが、差当つて東京大阪、名古屋、神戸という都市におきまして、十一大銀行店舗三十五店舗はかりを配置転換によりまして、新規設置を認めることにいたしました。で、ここにおきましては、大体三百万円程度以下の小口金融のみを専ら扱わしめるという方針でございます。併し又これだけでも尚まだ打つべき手は足りないのかと考えまして、次に考えましたことは、東京、大阪あたりの大都市におきまして、一つ中小金融専門銀行を拵えるという考え方でございます。この中小専門金融銀行を拵えることは、着想は非常に結構なことでございますが、実際問題としては、誰が出資するか、又銀行を拵えました後におきまして、果して預金の吸収が十分にでき、そうして貸出に廻す金ができりかどうかという点なのでございます。これらの点がございますので、これは是非ともその新銀行ができました後においては、他の大銀行がこれを相当資金的に援助するなりその他補助手段を必要とするわけでございます。こういうような情勢に立至りましたので、一つまあ商工会議所あたりに音頭を取つて貰いまして、民間の出資を集め、そうしてできた銀行については政府において、或いは金融機関においてもできるだけ資金的に援助するというような方法を講じたい。これを具体的に申しますれば、金銀行から新銀行に対しい預金をするなり、或いは新銀行債券発行するというような場合には、こりに若手応援をして貰うというようなことも考えられまするし、又日本銀行の別枠融資というものも活用できるい思うのでございます。更にこの見返資金による中小金融 現在やつておりますものについても、これら新銀行につきましてはできるだけ重点的に見て行くという措置も講ぜられるかと思います。更に各府県において行なつております。信用保証制というものを新銀行に結付けることによりまして、重点的に且つ効果的にその成果が期待することができるのではないか。その意味におきまして、是非民間の発意によりましてこれらの銀行でできることを望んでおる次第でございまして、若し計画ができれば、当局といたしましては速かに認可いたしたい、設立の免許を與えたいと考えておるのでございます。
  41. 森下政一

    森下政一君 それでは二つの点をお聞きしますが、大銀行に、只今おつしやつた大都市中小企業にする金融専門的に取扱うところの店舗を設けしめるとして、三十幾つかというお話でしたが、これは何ですか、そうするとどれとどれがその銀行店舗であるという表示はどうなるのです。例えば三和銀行といつても、三和銀行と言つただけでは分らんですな。これは中小企業専門融資をやつて呉れるという店舗という表示はどうですか。
  42. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 何銀行のどこそこに中小金融を専ら扱うということを広告もせしめますし、又その地点につきましては表示もいたさせて、世間にはつきりさせたいと考えます。
  43. 森下政一

    森下政一君 看板に何か特殊な名称を名付けられるということはないわけですか。
  44. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 具体的の取扱についてはまだ確定の域に達しませんが、成るべくそういうような専門店舗であることを表示する看板でも掛けさせたいと考えております。
  45. 森下政一

    森下政一君 それはもう三十幾つとかという全国店舗ですね。全国の各大都市にできる店舗、それは大体銀行とも話合ができて、どことどこということがもうお分りになつておりますか。
  46. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) こういうような中小金融専門店舗が必要とさせられておりますのは、特別大都市に限るという考えを以ちまして、差当つては東京、大阪、名古屋、神戸というものを対賞といたしまして、その地域の選定につきまして、銀行がただ自分の採算の問題から地域を選ぶというような弊を避けますために、商工会議所あたりにも相談いたしまして、中小企業の中心地というものを全地域に亘りまして調査し拾い上げまして、そこに各店の店を割振るということの方法をとつてあるわけでありまして、ただ具体的にどことどこにはこういう種類の店舗ができるということが計画ができた次第でございます。
  47. 森下政一

    森下政一君 今朝の新聞によると、東京都内の中小企業専門店舗はどの店舗だということできておつたと思いますが。神戸、大阪についても決まつておると思いますが、これは若しできたたら大蔵委員会の各委員に具体的な何か資料として頂たきてと思います。それをお願いして置きたいと思うのが一つ。それからもう一つ、先程の、つまりその外にですね、中小企業専門の新銀行の設立ということが望ましいという話でしたが、そうすると今のところでは、そういうことをやはり商工会議所あたりに音頭を取つてつて援助を具体的化したいという程度のものですか。又非常に進捗した具体的な計画があつてですね、概ね何月頃にはそういう新銀行ができるんだというような確実な見通しを持つまでには至つていないわけですか。
  48. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 中小金融専門店につきましては、最近構想がまとまつたつのでございまして、次の段階として今度主として東京、大阪あたりに中小専門銀行を拵えようという案の実施に向つて努力中なのでありまして、只今のところまだどういうような陣容を以て、どのような規模で新銀行ができるかということにつきましては具体案はない状態でございます。これは別途中小企業庁におきまして、又かかる構想に対しましては、只今全国的の賛意を表して呉れているようなわけでありまして、ひの設立につきましては、中小企業から資金を集めて、資本金を集めるということについては、なかなかの困難もあろうかと思うので、そういうものでなく、大事業の方からも応援をお願いするということに相成ろうかと思います。又大阪あたりにつきましては、これはいつ頃の話でございますか、例えば大阪府なら、市なるものが相当こういう新銀行を拵えることについては、できるだけの応援もしようというようなお気持もあつたことがあるというふうに了承いたしておりますので、更にこの具体的に免許をする用意があるということを伝達いたしまするならば、新銀行の設立は比較的急速の間に具体化するのではないかというふうに考えているような次第でございます。  尚第一段としてお尋ねになりました中小金融専門店の問題につきましては、ここに確定いたしました具体案がございますので、東京、大阪、名古屋、神戸あたりについて、一応銀行課長から御説明申上げたいと存じます。
  49. 大月高

    政府委員大月高君) 只今お尋ねがございました中小金融専門店舗につきましては、表がございますので後程お配りいたしたいと思いますが、大体におきまして東京都では、中小企業の中心でございます新宿、上野、大森、神田、浅草、錦糸町、両国あたりを考えております。それから大阪におきましては、梅田、難波、阿倍野橋、心斎橋上六等でございます。名古屋におきましては内田橋と今池、神戸におきましては駒ヶ林、筒井。これは早い店舗で四月の二十日から開設の予定になつておりまして、設備の大分遅れた所でも六月一日には開設の運びになろうかと思います。後程表で以てお配りいたしたいと思います。
  50. 森下政一

    森下政一君 今私がお尋ねしたことは、銀行自体が考ええられることで、政府からとやかく言うことはできんと思いますが、仮にそういう店舗はともかく従来例えば三和銀行と取引をしているが、専門店舗に指定された銀行とは取引を持つていないという業者があるとして、これが融資を望むとこに、取引のなかつた専門店舗に行つても相手にして貰えることになるのですか。
  51. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 従来の大銀行の普通の店舗におきまして、中小業者に対してはなかなかそこまで面倒が見切れなかつたという面もありますし、又従来業者の方から言いますと、敷居が高くて僅かばかりの金を借りに行くのに、借りに行きにくかつたという面もあつたかと思うのであります。これらの弊害を除去いたしますために、専門店舗というものを拵えるのでありますから、従来それらの銀行が取引を持つておつた者を取引するというのでは意味がないのでありまして、従来銀行と取引の便を得ておらなかつた中小業者というものを親切に扱うということがこの狙い所ではないかと考えまして、又当局としましてもその方針で指導して参りたいと考えておるのであります。
  52. 森下政一

    森下政一君 それからもう一つお尋ねいたしますが、仮に今たまたま先程のお答えの中に出ましたが、大阪あたりで中小企業専門銀行を作るという場合も助成して行くというようなお話があつたのですが、仮に市自体でそういうものを作ることは許されない、現在では公共団体がそういうことに乗り出すことはできないのですが、これは差支ないのですか。
  53. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 銀行法の建前では、国が金融機関出資することは認められておりませんのでありますが、又市等につきましては、その公共団体に関する條例等によりましておのずから制約があるかと考えます。
  54. 森下政一

    森下政一君 市の條例で制約を受けるというだけで、法規で制約を受けておる面はありませんか。
  55. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 市が銀行出資しますことについては、制約はないと考えております。これは御参考に申上げるのでありますが、従来県あたりが出資しております銀行については、できるだけこれを民間の金融機関に移す意味におきまして、その出資は開放いたして参りました。元来は金融機関というものは、政府は勿論でありますが、公共団体等の支配を受けるというような感触がありましては、金融機関の独立性ということから申しましても適当ではないというふうにも考えるのであります。
  56. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 この債券発行の利子ですが、これ非常に今までは高いように思われておるのですが、大体一割近いのが興業債券あたりの利子だと思いますが、そういう高い日歩で債券発行させるということは、結局産業に対しても金利の重圧を加えるということになるのじやないか、預金から見ても倍ぐらいの利子を債券に付けるということは、これはどうも産業に対して面白くない影響を與えると思うのであります。これに対してもつと下げるというような方針はないのですか。
  57. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) ここ二、三年におきまするインフレ進行過程の時期におきましては、金利というものは非常に高く出しましても尚且つ長期資金の融通ということはむずかしかつたというような状態であつたのでございますが、経済も安定の域に達して参りましたので、金利もノーマルな状態に立ち戻りつつあるように考えるのでございます。併し現在のところ何分短期金利の方も戦前あたりに比べますとまだ高い、従つて長期金利あたりも高いのでございますが、政府が短期金利につきましては臨時金利調整法の規定によりまして逐次引下に努力しておる。これに伴いまして長期金利も下つておる、又下げつつあるわけでございます。差当つて四月発行の社債、興業債券等につきまして一段と金利を下げるわけでございますが、尚この長期金利も下げて行くという努力を続けておる次第であります。
  58. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 借替等によつて前の高い債券を償却して、安い金利の債券発行するということはこの法案の中にもちよつと盛られておるようですが、そういう場合に、一方においてはそういういわゆる銀行債券となつている方はそういうふうな措置をとるけれども、長期資金で例えば五年とか或いは七年とかいうふうな資金を出しておる、貸金の條件が非常に高い金利で以て約束されたような場合、それもやはりそれにつれて強制的に政府としては引下方を慫慂するお考えはありますか。
  59. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 長期貸付金利につきましても、引下の方向に向わせておるのでございまして、最近の事例といたしましては、長期金融をやつております興業銀行につきまして、従来は二銭二厘、三厘という金利であつたのでございますが、これを天井を二銭一厘に、そこまで引下げさせる、そういう措置を講じさせたのでございまして、尚復興金融金庫の貸付の金利につきましても、近い機会に下げるべく計画が進行しておるのでございます。こういうふうに金融機関と協力いたしまして、長期貸付金利についても引下を努力しておるのであります。
  60. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 他に御質問ございませんでしようか。
  61. 板野勝次

    ○板野勝次君 先程見返資金増資引受を五十二億ぐらいだと言われたと思うのですが、少し聞き洩らしたのですが、五十二億を特殊銀行にどういうふうに配分されるのか。そうして配分されれば特殊銀行に対して見返資金の占めるパーセンテージはどういうふうになるのか、その点をちよつと伺いたいと思います。
  62. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 五十二億の見返資金の配分計画は、興業銀行におきましては普通株式十億に対しまして優先株式即ち見返資金出資による増資分は十億、勧銀につきましては普通株式十億に対して優先株式十億、北拓につきましては普通株式五億に対して優先株式七億、農中につきましては、現在資金本金は四億でありますが、これを倍額八億に自己増資計画がございます。これ対して優先株式二十億商中につきましては、現在自己出資は一億五千万でありますが、これを五億に増資計画でございます。これに対して優先株式五億出資する見込であります。
  63. 板野勝次

    ○板野勝次君 そうしますと増資後の資本金に占める見返資金の比率といいますか、割合というのはどのくらいになるでしよう。
  64. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) この金融機関につきまして、普通株式三十八億に対しまして、優先株式五十二億に相成り、合計九十億の資本金とあるのでございます。
  65. 板野勝次

    ○板野勝次君 そうしますと、問題は見返資金の性格というものがどうも我々もはつきりしないので、大体見返資金に対しては債務の償還計画というふうなものは政府は考えておるわけなんですか。
  66. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 見返資金出資に対しましては、優先株式償却計画書なるものを作成せしめまして、これは検討いたしまして見返資金出資するわけでございます。
  67. 板野勝次

    ○板野勝次君 そのことは分つておるのですが、全体としての援助資金として来るおるのが、大体一九五二年には打切られるわけですね。そうしますと、その後における援助資金のアメリカに対する償還計画というものなしには見返資金というものの性格が分らずに、これが優先株式にも入つて来るというのでは、どうも不安ですから、そういう見返資金というものの性格が、一体もう貰つてしまうのか、返すとすれば償還の計画というふうなものがはつきりして来ないと、ただ銀行等債券発行等に関する法律案の中にこれが出て来ましても、基をなしているものの性格というものが、一体日本にどんな影響を及ぼすのかということをはつきり知つて置く必要があると思う。
  68. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 見返資金全体の性格につきましては、私共何とも申上げる段階に達しておらないのでございますが、金融機関にこういう形で出資せられますについては、又その償還計画というものが承認せられました暁におきましては、この期の途中において、例えば無理な償還を強いるとか、そういうようなことは万なく、金融機関としてもその点何の懸念もないものであろうと考えております。
  69. 板野勝次

    ○板野勝次君 それは懸念がないというだけで、少しもその不安が解消されておるということにはならないと思うのです。
  70. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 金融機関の側におきましても、今後の法律内容となつておりますように、自己増資ができます機会が参りますれば、自己増資をして優先株式を償却するという方途が認められているのでございまして、金融機関といたしましても資金の蓄積状況その他によりまして、できるだけ早く自己増資をしたしまして、そのときには優先株式の償却に努めるということに相成るかと考えます。
  71. 板野勝次

    ○板野勝次君 そうしますと、その償却計画の問題と併せて、この優先株式の形で入つて来る見返資金というものが相当な比重を占めて来るから、一応そういう発言権ないようにことを掲げていますけれども、銀行を動かして行くのに見返資金の持つ比重というのは非常に大きくなつて来るということにはなりますね。
  72. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 法案にも盛られておりますように、優先株式については国の議決権もない、これは又毎営業年度一定額を償却して行くという建前になつております。いはばこれは一種の借入金みたいな形のわけでございまして、銀行はその資金を自己の営業方針に従つて使うことができるのでございまして、特に優先株式の形式を取りましたために重圧を感ずるとか、そういつたようなことは少しも考えられないと存じます。
  73. 板野勝次

    ○板野勝次君 併しそれは一応法案の中に議決権がなしということが掲げられておりましても、見返資金というものがつまり無条件に入つて来ておるのじやなくして、つまり償却計画書というものが作られて償却されて行かなければならない。従つてその銀行を通しと融資される場合においても何らの紐が付かない、全く白紙のままだというふうには考えられないと思うのですが、それは全く白紙であつて銀行が勝手に使えるわけですか。
  74. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) この金融機関の側にとりましては、株式によりまして集めた資金であろうと、或いは社債発行で集めました資金であろうと、これはそれらの資金を適当方面に運用して行くということは全く同列の問題である、こう考えとおります。
  75. 板野勝次

    ○板野勝次君 それは全く銀行が自主的に運営できるというわけですか。
  76. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) さように存じます。
  77. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 他に質問ございませんか。御質問なければ質疑終了として討論に入りまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 板野勝次

    ○板野勝次君 ちよつとまだそれを待つて貰いたいのですが‥‥
  79. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  80. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 速記を始めて。御異議ないようでありますから、それではこれより‥‥
  81. 板野勝次

    ○板野勝次君 もうちよつと質問さして貰いたいんですが。優先株式の償却の計画‥‥
  82. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) それじや簡單に、板野君。
  83. 板野勝次

    ○板野勝次君 先程銀行局長が見返資金に対して何ら制約は受けないと言うのですけれども、その優先株式の償却の計画されたものの内容というものが、銀行の方にいろいろな重圧を加えるような形になつておると思うのです。すでに、だから銀行経営の上にも大きな制約を受けておるといすうことは、一応議決権がないように見えても、議決権がない大きな力とういうものによつて銀行自体が握られ、運用されるということが優先株式の償却計画書の中にはつきりと現れておると思うのです。そういうことにならないでしようか。
  84. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 重圧とおつしやいます意味がよく分らないのでございますが、銀行経営状態に対しては聊かの干渉もするということは考えておらないのであります。ただ銀行といたしまして取扱う資金量が非常に多くなつて、その運営に従来よりも責任が加わるといつたような意味であるならば、正にそういうことは或いは言えるかとも存ずるのであります。
  85. 板野勝次

    ○板野勝次君 従つてそういう危險はあるというわけでしようね。
  86. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) どういう危險かよく分らないのでございますが、どういう御趣旨でございましようか。
  87. 板野勝次

    ○板野勝次君 さつきから聞いておるのは、見返資金によつて、つまり償却計画というものがされるのにも、この見返資金の要求というものに基いて、つまり償却計画書というものが作られて来なければならないというところに、すでに銀行経営というものが、つまり、沢山な見返資金五十二億が入つて来ることによつて間接に、つまり議決権はないけれども、ない見返資金によつて自然に償却計画書というものが組まれて来るから、銀行の経営の上には大きな重圧にならない筈はないというけですね。あなたはそういう危險があるかも知れない、そういうふうに考えられるというふうに非常に消極的に言われておりますけれども、そういうふうになつて来れば、勢い資金計画等につきましても、普通の事業の状態やいろいろなものに入つて来ない。勢い見返次金が要望される方向に運営して行かざるを得ないというふうになりはしないですか。
  88. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 銀行の取扱います資金量が殖えるということははつきりしておるのでございまして、それについて銀行経営に当つて非常に大事をとらなければならないとことになるということは申せると思うのでございます。
  89. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 質疑終了といたして討論に移ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 御異議がないと認めます。それでは討論に移ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べをお願います。
  91. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 民主党はこの法案に賛成をいたします。併しながらこの法案によりまして、相当多額の資金が今の産業界に流れ出すということは非常に結構なのでありますが、その資金の金利が高ければこれは何にもならないのでございます。そういう点を十分に政府当局も、又各銀行においても留意されて、将来現在の高い金利を引下げるという方向に持つて行くように一段の努力をせらるることを要望いたしまして、賛成いたします。
  92. 板野勝次

    ○板野勝次君 共産党はこの法案に反対であります。簡単に申上げますが、いろいろなからくりを通して見られるものは、見返資金に依存していかなければならないというふうなからくりになつている。従つてこの見返資金を通して日本銀行も運営されて行き、そうして勢いその融資先等についても、民族資本や中小企業には真の融資にはなつて来ない。こういう点から見ましても、且つ見返資金の性格というものも明らかにされて来ていない。以上の点から見て、結局は日本国民の税金の裏付になつており、同時に外国資本としての力を持つている見返資金が、この銀行等債券発行に関する法律を通して、つまり優先株式の形で金融面を通して日本の産業支配が行われて来る。それを強化する。こういう面からいたしまして、我が党は絶対に反対するものであります。
  93. 平沼彌太郎

    ○平沼彌太郎君 自由党としましてはこの法案に賛成であります。ただ折角すべての銀行が、コントロール的な法案でありながら……実際行われる面におきましては非常に制約を加えられておるようであります。勧銀その他の銀行に対する中小企業融資が非常に申込が多い。こういうことは豈その銀行のみならんやでありまして、如何なる銀行でも中小企業の要求する金額というものは実に大きな数量であります。それを一方に偏してのみこういうふうな方法をおとりになることは、現在日本中小企業の厖大なる要求に対して応じ切れぬ。こういうふうな面を考えますると、今少しこれを緩和して頂きたい。あらゆる方面銀行をも活かして、そうして中小企業を救う面に是非とも一日も早く当局として御配慮を頂くということにお願いしたい。これを條件といたしまして賛成いたします。
  94. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 他に御発言がないようでありますから、討論は終局いたしたものとして採決に移ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。銀行等債券発行等に関する法律案について採決をいたします。  本法律案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  96. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 多数でございます。よつて本案は多数を以つて可決すべきものと決定いたしました。  尚、委員長の本会議における報告の内容につきましては、委員長にお任せ下さることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。  次に、委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の署名を附することになつておりますから順次御署名を願います。   多数意見者署名     伊藤 保平  森下 政一     玉屋 喜章  西川甚五郎     平沼彌太郎  油井賢太郎     小宮山常吉  米倉 龍也
  98. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 御署名漏れはございませんか。……御署名漏れないと認めます。  ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  99. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 速記を始めて下さい。  次に日本勧業銀行法等を廃止する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は御質問を願います。別に御発言もないようでありますから、質疑は終局したものといたして討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。討論に移ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もないようでありますから討論は終局したものといたし、直ちに採決に移ります。  日本勧業銀行法等を廃止する法律案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  101. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 多数であります。よつて本案は多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  尚、委員長の本会議における口頭報告につきましては、前例によつて委員長にお委せ下さることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。  尚、委員長が議院に報告する報告書に多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     伊藤 保平  森下 政一     玉屋 喜章  西川甚五郎     平沼彌太郎  油井賢太郎     小宮山常吉  米倉 龍也
  103. 黒田英雄

    ○理事(黒田英雄君) 御署名漏れはございませんか。……ないと認めます。  それでは午後一時半まで休憩いたします。    午後零時十四分休憩    —————・—————    午後二時一分開会
  104. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) それでは休憩前に引続き会議を開きます。  税法その他について大蔵大臣がお見えになりましたから、御質疑がありましたら、この際に御質疑を願います。
  105. 板野勝次

    ○板野勝次君 極く最近の資料で、農業や中小商工業の税金、即ち申告税分の極く最近の納入の状況はどうなんでございましようか。
  106. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 極く最近と申しましても、各税務署から集めますというのも大変でございますが、私のところでは大体全体の数字は分つております。例えば三月になりましてからの租税収入は三百七、八十億ではなかつたかと思います。申告納税の分につきましては、予算千七百億の中で、正確な数字は覚えておりませんが、もうあと四百億ばかりが残つておるんじやないかと思つております。いずれ御入用ならば早速調べさせまして申上げます。
  107. 板野勝次

    ○板野勝次君 それが一つと、この更正決定の問題については、随分全国各地で問題があるわけであります。これはもう御存じだろうと思いますけれども、各地において殆んどこの実情の調査もせずにこの更正決定は来ておる。丁度私が岡山に参りましたときにも、後家さんで七十歳になる人が泣いて訴える。税務署が一遍も調べに来たわけでも何でもないのに、五万円も六万円も来る、そして自分は後家だからもう民生委員なんかは生活保護法を適用して貰つたらどうかと、こういつておるような人にまでも来ておるというのは、明らかに税務署が実情を調べずにやられておることだと思うのです。でいろいろの方面から私なかん参りまして陳情を受けるのは、税務署が何らの調査もせずに天降り的にこの更正決定をやつて来る、そして不都合ならば税務署の方へ来ればそれは説明してやると言いますけれども、税務署に出て行くと税務署はちつともそれを聞いて呉れない、一方的にも押付けて、決定を押付てて来る。こういうふうな実情になつて、全く地方民は困つておるわけなんです。そうすると今後残つておるこの四百億円程度のもの、これは何%に該当しますか。とにかく今のような、状態の中に是が非でもこの決定したものは取立てる御意思かどうか。これも承つて置きたいと思うのです。
  108. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お話のような税務署で間違いの点も、私は数も多いことでございますから、ないとは申上げられません。先般も都下、芝で新聞に出た問題があつたのでありまするが、我々といたしましては過のないように指導いたしておるのでありますが、中にはそういうふうなものが往々あることも承知いたしておるのであります。決定いたしましたものは是が非でも取るという考えではございません。適正に決定せられたものについては適正に取らなければならない、誤つたものであつたならばもう可及的速かに訂正する、こういう考えでおるのであります。
  109. 板野勝次

    ○板野勝次君 これは大蔵大臣も御存じのことなんですが、中小企業庁の調査によりましてもですね、中小企業の窮乏しておる主要な原因というものが税金であつて、そしてこの重税のために現在の中小企業の倒壊、破産、自殺者が続出する、これはまあいわゆる池田放言で有名になりました大臣も、その五人や十人の自殺者が出ても構わんと言われたような事実状態にあるし、農村窮乏も又極点に達しておる。そうして娘の身売りが続出するというふうな実情を恐らくお知りになつておられると思うのです。中小企業や農村の金詰りというものもむしろ税金を強行に取立てて行く、つまり購買力は低下して来ているし、いろいろな面から非常に経済界が危機を告げているときに、税金を取立てて来ておる、そういうところから中小企業、農村の金詰りというものが起つて来ておる、こういうふうにお思いになつておるかどうか、その点を伺つておきたいと思います。
  110. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 先程の御質問の申告納税の分は、三月十日現在におきまして、千百四十五億九千万円入つております。予算は千七百三十億二千五百万円で、十日まででは五百六十億ばかりの予算に対しての不足であります。その後又相当入つていると考えております。  次に各方面の金詰りの問題でございまするが、これはもう長い間のインフレから経済の安定に入りますときには、いろいろな困難な問題が起るのであります。金詰りの声が多いのでありますが、我々としては必要な金はどしどし出すように努力いたしております。数字を申上げて恐縮でございまするが、昨年のあれから申しましても、通貨は或る程度減つて来ておりまするが、上期におきましては七百億円の貸出、下期六ケ月間は二千億円の貸出、こういうふうな数字になりまして、インフレを抑えつつ、できるだけ金詰りの緩和に努めているような状況であるのであります。
  111. 板野勝次

    ○板野勝次君 従つて大蔵大臣はですね、そういう金詰りというものが税金の取立てから来ておるかどうかという点についてはお答えがなかつたと思うのですが、そういう税金の取立てから来ておるかどうかというその点についての見解を伺いたいのです。
  112. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 税金の取立てから金詰りの来ている方もあると思います。併しこれはもう全般的な問題でございまして、税金のみから来たというわけにも行かないと考えております。
  113. 板野勝次

    ○板野勝次君 先程大蔵大臣は実情に即して決定されると言われましたが、今の五百六十億ですか、納まつてないのが五百六十億…、これでは今の実情からして見て到底中小企業や農村ではもう拂える拂えないとか…まけて欲しいとかいうのではなくて、もう拂えない実情にまで来ておる。ところが一方においては実情に即して取立るのだというふうなお話でありましたけれども、非常に強行的に、或る場合には暴力的にでも強行して取立てるという態度が政府に見えますことは、今度国税犯則取締法改正される。我々から見れば改悪、確かに改悪だと思うのです。それは收税官吏が差押や捜査をなすに当つて、錠を外す、或いは扉や又は封を開く権利を彼等に持たして、そうして女子の身体の捜査までも勝手にできるようにするというふうな恐ろしいような改悪を行なわんとしている。これは明らかに基本的な人権を蹂躪して行くということが政府の意図するところのようにしか思えないわけであります。従つて政府がこの中小企業や農村の対策に熱意があるというふうには、どんなに好意的に考えても考えることができないのであつて、若し中小企業や農村対策に本当に熱意をお持ちになつておるのならば、こういうふうな法案をお出しになる、つまり女子の身体の検査までもできるというふうな恐ろしいこの徴收の方法ができるような案は取りやめる、そうして今のこの金詰まりで困つておる中小企業や農村に対して徴税を一時延期してでも、中小企業、農村を救うべきではないかと思うのですが、そういう点に対する大蔵大臣の見解を承わりたい。
  114. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 中小企業或いは農業の方々を対象といたしておりまするこの申告納税につきまして、三月十日現在で五百六十億程度のまだ予算に対しての赤がある。でこれを予算の千七百億円是非とも取ろう、こういう考えは私は毛頭持つておらない。これは予算の見積り過大であつたということが言えると思うのであります。ただその外にいわゆる中小企業の方が法人組織に変つたり何かいたしたために、法人の方では相当取れておるのであります。これは経済情勢の変遷で、全体といたしましては私は大体赤字なしで行くという見通しも付いたおりますので、今度五百六十億は是が非でも予算に達するように取らなければならんという気持は毛頭持つておりません。これは実態に即して適正な課税を行うことが税務の本来の趣旨でございます。ここではつきりそのことを申上げて置きます。  尚国税徴收法改正につきましての御意見でございましたが、これは私の見るところでは大体今までにもうそういう権限があつたと思うのであります。ただ刑事訴訟法の改正その他と国税徴收法のあれを合わすために適正の改正をいたしましたので、お話通りにその非常なる強権を今度の改正で持たしたとは考えておりませんが、詳しいことは政府委員より御説明いたしたいと思います。
  115. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 国税犯則取締法改正案を提出いたしておるわけでございます。そのうち今の御指摘の点は三條の二で、「捜索又ハ差押ヲ為スニ当リ必要アルトキハ錠ヲ外シ」云々というこの條文と、それから「女子ノ身体ノ捜索ニ付テハ成年の女子ヲシテ立会ハシムベシ」この規定に関する御質問かと思いますが、この最初に申上げました條文は、現在のこの第二條におきまして包括的にまあ一応規定されておるわけでありまして、従来の解釈といたしまして当然この「臨検、捜索又ハ差押ヲ為スニ当リ」というこの規定の解釈上、従来からできるようになつておるのでありますが、ただ新刑事訴訟法になつて、法事でできるだけ具体的に書いた方がいいという趣旨でできております。その趣旨に合せまして、国税犯則取締法につきましてもこの明文を明らかに作りましてはつきりいたしたいということでございます。従いまして従来の権限を拡張したものとは解釈いたしておりません。それから女子の身体の捜索につきましても、現在すでに第二條の第三項でそのことを予定して書いておりますが、裁判官の令状ある…その際に立会わせる者にさきましては、別に制限を付けていなかつたのでございますが、今度の法律は、特に成年の女子をして立会わしめなくちやならんというのでありまして、これはむしろ従来の規定よりも一層制限を加えたわけでございます。女子の身体を捜索します場合におきまして、普通の男子でもよいということになりますと、どうも必ずしも適当でございませんので、原則としまして成年の女子を立会わせました上でなければ、身体の捜索はできないということにいたしたのでございます。従いましてこのような規定は、一つは事柄を成るべく法律を具体的に明らかにして行くという意味で規定を置きました。他はむしろ最近の刑事訴訟法に合せまして、人権の擁護を十分ならしめようという趣旨で設けたわけでございます。新らしく追加した次第ではないのでございます。尚女子の身体捜索につきましては、御承知の通り貯金通帳等を懐中に隠すといつたような例がありまして、非常に例外的な場合にいよいよそういうようなことをやらなければ本当に適正な調査ができんということでございますので、従来と同じような捜索ができるようにしたい。その代り女子をして立会わしめるというのでございます。むしろこの辺は従来と比べまして人権擁護の見地から新刑事訴訟法に合せまして制限規定を設けた次第であります。
  116. 板野勝次

    ○板野勝次君 併し只今の説明ではただ具体的にしたというだけで、身体の捜索を二十歳以上の成年の婦女子をして立会わせるということになつてつても、止むを得ない場合には直接やれるということになつておるのでございましよう。そうして見るとやはりそれが濫用されて来て、殊に税金が重いからいろいろなことが起ると思うのです。それをどうしてもそこまで明示することによつて基本的人権までも蹂躪して行かなければならんという蔭には、今の税金が重いという点が出て来ると思うのです。従つてこういうふうな国税犯則取締法改正する理由は毫もないと思ます。それに対してもう一つ大蔵大臣の見解を質して置きたいと思います。若しもそれならば止むを得ない場合に、直接収税官吏がやられるというふうな規定をお設けになる必要はない筈であります。  それから五百六十億の現在赤字があるが、是が非でも取立てようとは思わないと言われましても、取締におきましては政府もいろいろ言われておつても、それがやはり割当課税になつて押付けになつて来ておるから、是が非でも取ろうとするような態度を末端の税務署はやるわけであります。そうすればどの程度かの緩和措置大蔵大臣の名において、こういうふうに具体的措置はとらるべきだというふうなことが、税務署に通牒でも行かない限りは、大蔵大臣の意思にも拘わらず、この程度のものは是非とも取立てなくちやならん、こういうふうに末端の税務官吏は考えるに違いないと思うのですが、具体的に一つ、どの程度までどうしようという案がおありになるならばこの機会に知らして頂きたいと思います。
  117. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は今の日本の租税が決して軽いとは思つておりません。できるだけ減税いたしたいという考えの下に只今御審議を願つておるのであります。尚今回御審議を願いますものよりも、財政の状況を許しますれば、来年度におきましては又これ以上減税いたしたい、こういう考えを持つております。併し御審議願いました税法を適正にやつて行きます場合におきまして、課税の適正を期する場合にいろいろな支障がございますものは、只今御審議を願つておりますように法律で徴税手続を規定いたしておるのであります。私はこの程度のことは課税権を適正に施行して行きます上に必要であろうかと考えておるのであります。  第二番の五百六十億、三月十日現在でございます。只今ではどのぐらいになつておるか分りませんが、四百億ぐらいの赤字であろうと思いますが、これは先般の国税局長会議の時にも、私はこの趣旨を自分自身で各国税局長に言つておるのであります。国税局長は適当な方法を以て税務署長に伝えておると考えておる次第であります。
  118. 板野勝次

    ○板野勝次君 新聞紙の伝えるところによりますと、このシヤウプ博士が又再来日されるというのですが、これは政府が再来朝を懇請されたわけでございますか。
  119. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私の知つております限りにおきましては、懇請はいたしません。併しシヤウプ博士は又税法施行になつてから一つ来て見ようかというようなことは言つておられました。
  120. 板野勝次

    ○板野勝次君 それでは若しシヤウプ博士が来朝されたら大蔵大臣としては税の軽減を懇請されるお積りですかどうですか。
  121. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は来朝されるとされないとに拘わらず、昭和二十六年度においては減税し得るような財政計画を立てたいと考えております。
  122. 板野勝次

    ○板野勝次君 減税し得るような税態勢というふうな意味は、税法についてもう少し軽減処置がとられるような税法改正というふうなものなんでしようか。若しもそれならば、どこをどういうふうに減らすか、そういう具体的な点が伺えれば伺いたいと思います。
  123. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 二十六年度におきましては減税し得るような財政政策を立てたいと、こう申上げております。減税する場合において、どれだけの減税、財源が浮いて来るかによりまして減税の仕方が変つて来ると思うのであります。経済界の動向も今後見通ししなければいけませんので、只今減税するとすればどういうところをどういうふうにするかということを申上げる段階に至つておりません。
  124. 板野勝次

    ○板野勝次君 併し現在の大衆にとりましては、もはや、先程も申しましたように、問題は税が重いか軽いかではなくて問題は税制そのものにあると思うのです。今回の税制改革そのものが、大蔵大臣が言われるように、減税だ減税だと言われますけれども、政府の予算説明書、これは時間がかかるから申しませんけれども、水増しに課税できるような所得の計算がなされて来ておるわけです。そうすると結局二十五年度においても実質上は中小企業や農村に対して減税にはならないということは、すでにもう予算の説明の中からも明らかですし、地方税法が今上程されておりますが、あれを見ましても相当な増税になつて来る、減税々々と言われるのは、減税々々と言われておること事態が減税ではないということを示しておるし、そうして税制改革そのものが不当なのだということはすでに一般的にも言われておると思うのです。シヤウプ博士にいたしましても、日本一般の大衆が要望する点、或いは日本の資本家が要望するという希望さへも十分には取上げられなかつたし、従つてシヤウプの勧告案というものを鵜呑にして行けば、日本人にとつて不利な税制改革だということは世論がひとしく認めておる。そこへ以て参りまして、地方へ参りますと税の不当なことを言うのならばそれは国会に訴えるベきだというふうに言われ、それでは現在の国会で真に大衆の税負担を軽減するというふうな問題についても取上げられてはいない。従つて今度の税制改革につきましても、資本家に要求は勿論のこと、大衆団体の要望さへも入れらていないのであつて、入れられているというのはただシヤウプの税制改革に対する勧告だけが入れられて来ておる。若し減税になるという積極的な根拠があるならば示して頂きたい。数字の上から我々検討して見るところによつてもちつとも軽減にはなつていないと思う。その点に対して何か我々を納得させる、税が本当に減税になるのだ、本当に負担が軽くなるのだという点があれば示して頂きたい。
  125. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) シヤウプ博士の勧告案を鵜呑にはしておりません。勤労一割の控除を一割五歩にしておりこす。これなんか大変なシヤウプ勧告案の修正だと思います。又基礎控除の二万四千円を二万五千円にしております。シヤウプ博士の勧告と私共が御審議願いますところの税制改革と計算いたしまして百六、七十億円の軽減になつておる。国税につきましては少くとも相当の軽減になつております。ただ問題は地方税においてどうかという問題でございますが、寄附金をやめるという原則を寄附金を非常に少くするということにいたしまして、そして寄附金が変つて来るものを入れて四百億の増税になるのであります。中央、地方を通じまして相当の減税になるということは、私も他の機会で申上げておりますごとく、又主税局長もたびたび申上げておることだと考えております。これはもう議論の余地がないものと私か確信いたしております。
  126. 板野勝次

    ○板野勝次君 ですから私が言つておるように、数字の上ではそういうふうに見えますけれども、政府の二十五年度予算説明の中に見られるように、明らかに法人税については法人の所得そのものが少くなるような計算になつておりますけれども、中小企業や農漁村の方面には逆に所得が殖えておる、こういうことの計算の上に立つて、経済の実情は逆に所得が減らなければならないのに殖えて来ておる。そうすると多少基礎控除の額が引上りましても、所得が水増しに課税されて、逆に国税の場合においても増徴されるという結果がすでに政府の予算説明書のうちから出て来ておる。それは矛盾しておると思う。それに対して……。
  127. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) それはあなたが数字で御覧になる通り昭和二十四年度におきまして五千百数十億の租税収入見積でありましたが、二十五年度には四千四百十六億でありまして、減税になつておることはこれではつきり分ることと思います。
  128. 板野勝次

    ○板野勝次君 次にお尋ねしたいことは、この間新聞に伝えられましたシヤウプ使節団による税制改革勧告を初め多数の高官の相次ぐ来日による援助が行われたので、これに対する謝意を表するため蔵相を答礼の使として派遣するということが三月二十三日の朝日新聞に報道されておるのですが、これは大蔵大臣は本当に訪米されるのでしようか。
  129. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) そういうことを私は申上げたことはありません。そういうことは決まつておる問題ではないのでございます。
  130. 板野勝次

    ○板野勝次君 これは新聞でしばしば出ておるのですが、全く火のないところに煙りは立たんと言いますが、大蔵大臣は訪米されるというようなことについて閣議で打合せもなさらなければ、いろいろな機会でそういうことをやられたことはないという意味なんですか。
  131. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 閣議においてそういう打合せをしたことはございません。ただずつと以前からアメリカに来たらどうかという友人はおりました。その程度でございます。
  132. 板野勝次

    ○板野勝次君 それでは全く特別その御意思は今のところないと考えておるのかどうかということと、若し併し訪米されるということになれば、再びドツジ氏に日本に来て貰う、こういうことを懇請をされるお気持があるのかどうか、それも承わりたい。
  133. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) そういうことは申上げない方がいいと思います。私は行きたいと思つても、行けるものではございませんし、又行きたくないと言つても行くような場面になるかも知れません。若し行つた場合にどうするかという問題は、その時に考えるべきことで、今ここで申上げる自由を持ちません。
  134. 板野勝次

    ○板野勝次君 併し現在の場合いわゆるドツジ・ラインというものを緩和しなければならんというのが世論でありますが、政府はこれを変更する意思を全然お持ちになつておらないのでありますか。
  135. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) ドツジ・ラインを変更するという話があるようでございますが、ドツジ・ラインというものはどういうものか、こういうことは反問せざるを得ないと思います。私は日本の自立経済を達成して行くのが、できるだけ早い機会に自立経済を達成して行くのがドツジ・ラインだと思つております。そのためには経済界の推移動向によりましていろいろな手を、適切な手を打つ、こういうことで盡きると思うのであります。
  136. 板野勝次

    ○板野勝次君 併し政府は証券対策を考えておるのですし、或いは又見返資金金融機関増資をやるとか、或いは新株を引受ける、丁度今日採決されたのですが、銀行等債券発行等に関る法律案を提出されておる。これは明らかに信用インフレを巻き起して、そうしてドツジ・ラインと明らかにこれは矛盾対立するものだと思われる。従つて政府はドツジ・ラインの修正というものの必要を、そういう面から見てもお感じになつておられるに違いない。これ殆んど断定していいのじやないかと思うのです。従つてドツジ・ラインを修正するならば、当然税制改革案というものも、根本的に立て直さなければならないと思われるのです。立て直さないとしますると、金融財政政策には致命的な矛盾がどうしても起つて来るし、そういうものがあるのだと言われても仕方がないと思うのですが、それらに対する見解を承わりたいと思います。
  137. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 先程申上げたことで盡きると思うのでありますが、金融機関等のあの構想をやつて参りましても、ドツジ・ラインを修正するものとは私は考えておりません。又あれをやるからと言つて信用インフレになつて来るということも考えておりません。我が国の自立経済を早からしむる一つ方法として考えておるのであります。
  138. 板野勝次

    ○板野勝次君 併し大蔵大臣並びに日銀の総裁が、これは前に新聞紙に出ておりましたが、四月以降から、或いはこれが、私の記憶違いかも知れませんけれども、四月以降から秋にかけて恐慌が進展する、そうして中小企業の倒産が続出して大企業も潰れるものがある。こういうことが声明されたように思うのです。そうしますと四月以降中小企業者が、これはやはり自殺もしなければならないというものが続出して来るわけです。大資本家も没落するということになつて来る。そうすると大企業の倒壊というものは、経営者の家族を困らせるだけではなくして、更に多数の従業員の失業や或いは窮乏を招きまして、そうして延いては重大な社会問題になることは、これは当然の帰結であります。これを防止しようと思えばどうしてもドツジ・ラインの修正が必要になつて来ますし、一体大蔵大臣はそういう現実を本当に見つめておられるのかどうなのかということを疑いたいくらいなんです。従つて本当に日本の実態を知り、外国のためにするのでなくして、日本人のために立つてやるのならば本当にこの危機を救う努力が必要だと思う。従つてこれを本当に今の危機を救つて行こうと思いますならば、その一つの手がかりは何と申しましてもドツジ・ラインを修正するより外には方法はないと思う。又ドツジ・ラインを修正して来るならば、吉田内閣の政策というものが、一大方向転換をしなければならない運命を持つておると思う。若しそういう点をずるずるべつたりにして態度をはつきりせずに、わけの分らんような状態でありましたならば、今日の経済界はますます不安になつて来ると思うのですが、そういう点に対する諸対策についてもこの機会大蔵大臣の所感を聞いた置きたいと思います。
  139. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は今年の十月頃より大企業も或いは中小企業も倒産破滅が続出するというふうには考えておりません。又そういうことのないように日夜努力いたしておりまする一人であるのであります。私は今年、今御審議願つておりまする予算案、この税制案を通過せしめまして、早急に予算実行等をやつて行きますれば、他の金融施策、産業施策と相俟ちまして、そういうことはないという見通しを持つておるのであります。
  140. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) ちよつとお諮りいたしますが、大臣は三時頃までしかここにおいでになれないそうですから、その間において皆様の御質疑ができましたら御質疑を願いたい、こう考えますから……。
  141. 森下政一

    森下政一君 大蔵委員会でこういうことをお尋ねするのは甚だ他の委員諸君には御迷惑と思うのですが、お許しが頂けますならば大蔵大臣にこの機会お尋ねしたいのです。二十四年度の予算が画期的な超均衡予算であるということは、これはもう誰しもが認めておるところであります。政府は二つの狙いを持つておられたと私は思う。一つはこれによつて、昂進して止まないインフレを抑えて行こう、と同時に今度は輸出貿易を振興するという挺子入れをして、国内の有効需要も振起して行く。そうして日本の経済を向上せしめて行きたい、こういう大体二つの狙いを持つた予算であつたと私は思う。そこで、これがためにはいろいろな批判が行われましたけれども、第一段の方の目的は、いろいろ政府が、極端な通貨の膨脹に対する圧力を加えられたということが見事に成功して、通貨を抑制するという面は私は鮮やかに成功したと、こう思うのです。二十四年度が殆んど終了する今日になりまして、過去一ケ年間の実績を振返つて見て、この面は政府の所期通りの成果を收めておる。これは誰しもが異論のない筈である。思い切つた政策であつて、よくぞインフレが、通貨の面においては確かに收めることができた。誰しもがこう思つておるのであります。ただ併し大蔵大臣も日夜憂えておられるということでありますが、年度末になつて振返つて見ますると、前段の目的は確かに達成したけれども、予算自体の中に包蔵しておる原因とは言いませんけれども、外国貿易は、予算編成当時に恐らくは想定しておられるだろう他の原因のために思うように進展しなかつた、こういう事情はあると思う。例えばボンド価の切下げなんてことが起りましたが、これらのことは当然何とか処置をすることができる、対応策を講ずることができるにいたしましても、世界的な生産過剰、従つてどの市場に対しても日本品の輸出ということがなかなか思うように行かないというふうな事情が発生したということが、大きな貿易が伸びて行かなかつた、伸展しなかつた原因だと思います。ところで中小企業がどうも振わない、振わないだけでなしに、国会でも問題になつておるように、相次いで倒産して行くとか、或いは農村が極端な窮境に陥つた。或いは又昨年以来金詰りの状況というものが打開されないとか、従つて部分失業、或いは完全失業が段々殖えて来るというふうなことが起つて参りまして、そういう好ましくないと思うような経済情勢をずつと並べて見ただけでも日本経済の今日の段階というものは、袋小路に追い詰められたというような印象を受けざるを得ない、そこで一体これが外部的な、予想することのできなかつた事情によつてのみ誘致された現象であつて、それが累積して今日に至つておるのかと思うと、一部分私はこの二十四年度予算自体の中にこういう現象が必然的に起つて来るのも止むを得ないものがあつたのじやないか。それは何かと言えば、結局第一段の目的を達成するための、通貨面に対して極端な圧力を加えたということが、勢い中小企業に対する金詰りを誘致する。従つて中小企業が進展しない、倒産せざるを得ないというふうなことになつて来たんじやないか。そこで二十五年度の予算というものが、二十四年度から一貫して同じ方針で編成されておる。もとより例えば公共事業費が昨年よりも遥かに殖やして計上されておるというふうな面はあるにいたしましても、第一段の目的を達成するために加えられた施策というものを、多少この際政府が謙虚な気持で反省されて、一部は私は修正されていいんじやないか、そうすることによつて、今日二十四年度年度末に我々の前に展開されておる日本経済の好ましからざるところの情勢というものは、二十五年度においてはこれは刈取ることができる。こういうふうに私は思うのです。それは例えば債務償還というものを千二百億やるならば、一般会計からする分でも、或いは見返資金からする分でも四百億乃至五百億というものを差控えられて、却つてこれを或いは公務員の給與の改訂に廻すとか、或いは中小企業金融のために思い切つてこれを活用するというふうな方策をとられることによつて、別段今日まで收束されたインフレが直ちに再燃するというような懸念もないだろうし、それから今日見るような日本経済の好ましからざる情勢というものが非常に打開される、刈取られる、好転して行くのじやないかそうすればかねて政府の考えておられるインフレの抑制の目的を達することもできるし、或いは日本経済の進展ということにも貢献するのじやないかと、こう思うのです。尤も大蔵大臣の御意見はいろいろの機会に伺いまして、債務償還ということをこの際やつて置かんことには、若し米国からの援助が打切られるということになるときには、飢餓輸出をして行かなければならないというふうな御説明も承つておるのでありますけれども、私はこの際に謙虚な気持政府が一歩後退して、二十四年度の実績に鑑みられて、二十五年度の経済政策というものに、一つの何というか修正を加えられて、国民が非常に喜ぶということになるんじやないかと思うのですが、この点に対する大臣の御見解如何でしようか。
  142. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 誠に御尤もな御意見で、傾聴すべき点があるのでありまするが、私はこう考えておるのであります。お話通りに大体インフレは止まつて参ります。併し危険はないことはございませんが、大体もうインフレは止まつて参る。そこで昭和二十四年度予算編成のときに、インフレを止めることと、それから又輸出貿易を振興して、日本の自立経済を樹てる、こういうことでございましたが、大体輸出貿易につきましても予定通りは行つております。昨年の八、九月頃ちよつと不振でございましたが、十一、十二月で相当伸びまして、予定通りの輸出はできておるのであります。今年になりまして、昨年の行き過ぎた輸出入貿易、行き過ぎたと申しますのは、一昨年から昨年の初めにかけまして、日本はポンド地域に対しまして非常な輸出超過、そして昨年の七月からの貿易協定によりまして、それを是正すべく今度は反対に相当輸入をやりました。向うの方では非常に輸入超過になつたものだから日本からの輸出を買控えました。そのために非常な逆転を来たした結果が本年一月になりまして分つた向うが非常に買控えをしておつたということが分つたのであります。そこで一月の状態は大体ポンド地域に対しましては月二千万ドル程度予定しておつたのであります。一月、二月二千万ドルずつ予定しておりましたが、一月二月で実はその省分以下の千五百万ドルしか行つておりません。こういうことが分つて参りましたので、その後ポンド地域の連中と話合いをしまして、この是正に努めておるのであります。ポンド地域は悪うございましたが、ドル地域の方は割にいいのでございます。一月は三千万ドル余り、二月は四千万ドル、三月は二十日までで三千三百万ドル行つておりますから、私はうまく行けば三月は五千万ドルぐらい行くのじやないかと思つております。このドル地域の方がいい。ポンド地域の方は今までの極端なる行き過ぎが是正されまして、大体六億ドルの輸出は確保できるという見通しを持つております。殊に私は最近東南アジアの方を視察して帰つて関係方面の数人から事情を聴きますのに、非常に有望です。問題は我々がどれだけ輸出金融をやるかという問題と、そうして向うの協力によつて得るかということでありまして、大体六億ドルの輸出は私は十分に達し得る、又そういうふうにいろいろな施策を講じて行きたいという考えを持つておるのであります。  そこで御指摘の債務償還の問題でございますが、これは私はアメリカの援助が大体におきまして、できるだけ減税をして国民の生活水準を上げつつ、又将来のことを考えて産業復興の土台を作つて行く、或いは又向うからの援助の分を直ぐ減税に使わずに、将来を見越して償還をして行く、こういう二つを私は考えておるのであります。減税をせずに債務償還ばかりやつたならば、そういう非難を受けるのも仕方がないと思うのでありますが、減税もやつたのであります。そうして又有効需要を殖やすべく予算の編成もいたしております。今回の進駐軍費で建ちます五十二億円の住宅を除きましても、例を取つて申しますると、鋼材は二十一万トンぐらいの国の予算による消費が三十五万トンであります。それから木材にいたしましても千五百万石ぐらいが、二千万石ぐらいの消費になると思います。それからセメントなんかにいたしましても、政府の方で使う予定は九十五万トンぐらいの二十五年度予定は百五、六十万トンになるのであります。こういう観点でできるだけ有効需要を起すように、そうして又国土の資源の確保を図つて行く。減税とそうして余裕を以て債務償還をやろうとうるのであります。この債務償還も私の考えでは、今御審議願つておりますが、金融機関の再編成によりまして、そうしてこれが特殊銀行長期資金を集めて、そうして長期資金を集めるのは誰が主体にやるか、それは債務償還したものが、債務償還をした銀行とか、預金部のものが、今度は長期金融資金として銀行債を引受け、長期銀行債ができましたならば、これによつて輸出振興策の方へ持つて行くという考えを持つておるのであります。私はとにかく二十四年度において大体インフレは止め得たと考える。そこで二十五年度におきまして、ドツジ氏が二十四年度の減税は聴かなかつたのを、二十五年度は承認して呉れる。そうして公共事業費も殖す。そうして或る程度の債務償還をする。これを産業復興資金の方へ持つて行くのであります。そうして私は最も沢山減税をしたいという信念を持つておる一人でありますが、やはしこれは徐々にやつて行かなければならん、こういう考えで、今年は国税におきましては九百億、他方税におきまして四百億、実質的には五百億、来年度は地方税におきましても増税しない、国税においてはできるだけ減税して行く、そうして今年の二十五年度の政策をもつと強くやつて行きたい。これが自立経済に向つての財政経済施策であると私は考えておるのであります。
  143. 森下政一

    森下政一君 只今承わりましたことの中で、債務償還をしたものが今度は銀行引受ける。こうおつしやつたのは例のなんですか、今朝午前中にここで可決したのですが、銀行等発行する債券、そのことを意味しておられますか。
  144. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) さようでございます。
  145. 森下政一

    森下政一君 午前中の説明では私はその点に非常に関心を持つたのですが、一般普通銀行なんかも、大銀行債券発行することが可能なわけです。実質的にそういうふうな発行余力を大銀行や市中銀行が持つているものかどうかということを銀行業者に尋ねたのですが、今そうはない。恐らくむずかしいのではないか。そこで予想されておるものは三銀行と二金庫、その五つだ。そうして而も一応の只今計算では五十二償くらいの債券発行は可能じやないかというふうな話を聞いたんですが、そんなものでしようか。
  146. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 大体その通りでございます。で、御審議願いました中途でお分り願えますように、大体資本金の二十倍というものを限度といたしております。然るに一般の市中銀行は四十億とか五十億、六十億の金を持つております。従いまして千六百億で、六十億を持つておるところで別に六百億を出しましても、四百億の制限額があるのであります。それから今お話興銀とか、勧銀とか、北拓とかいうものは、今出資をいたしますと、それが直ぐ二十倍の債券発行になり得る銀行であるのであります。それは勧業銀行では今二百億円しか持つていない。興業銀行預金は殆んどなくて、十億で二百億の債券発行になつております。この五十二億というものは決まつておりません。若し五十二億となりますと、二十倍となりますと、やれぬのであります。又別に商工中金は五億円にする準備ができました。それから又農林中金の四億円はこれは八億円もう準備いたしつつあるのであります。日本興業銀行も、私は前から勧めておつたのでありますが、現に今の株主に割当をいたしまして、増資計画いたしておるようであります。そういたしますと、まあ決まつておりませんが、五十億となりますれば、今の出資等を入れますると六十億となる。二十倍で千二百億となります。こういうことになつて参ります。これを土台といたしまして、政府債務償還をしたのがこういうふうに変つて行く。そうして産業復興資金、貿易資金に入つて行くと私は考えておるのであります。かくいたしますれば、減税をやり及び国内の増産を図り、そうして輸出貿易も楽になつて行く。こういう構想を持つて進んでおります。
  147. 森下政一

    森下政一君 大蔵大臣の企図されるところは大体私もよく分るのであります。殊に只今お話のように、貿易が所期の目的通りに進展しつつあり、いつかも木村委員に対してのお答えだつたか、ただ一月なら一月というものを拾い上げて論ずるということはどうかと思う。大局の見通しというようなものを一つ只今おつしやるように全体をなべて繰り返して見て、大体目的を達成する。而もこの情勢は今後も進んで行くならば、これは非常に喜ばしいことであると一応まあ考えるわけです。そうすると日本の貿易というもの、輸出資金の根幹をなしておるものは、中小企業が約六割くらいを占めておるのではないか。これが土台となつて日本貿易というものは進展して行く、そうするとおつしやるような工合に進展して行くならば、中小企業というものが今日のような状態に陥る筈はないのじやないかというふうに思われる。どうもそこに解せんところがあるのです。一面においてはそれだけ大臣の予想される通りに進展して、而も中小企業が金詰りである。これはどういうわけなんでしよう。
  148. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) これは時間的ズレもございます。それから金詰りという問題でございますが、先程板野委員にも申上げました通りに、或る人は信用インフレだと言うて心配しておるものもあります。それで去年の七月から十二月まで貸出が二千億あります。そこで金詰りの実体はどうかと申しますと、私は急に金を出したり、或いは銀行預金以上に貸出しておるのではないか、これが大変な議論となつた。かと思うと又非常な金詰りもあります。こういう事実があつた。これはインフレから安定への過渡期で止むを得ないことで、それをできるだけ有効に金を使つて行く。最も経済復興に必要な方面に適当な金をやつて行こう。そうして余り好ましくない方に金はやらない。これが自然の経済の原則だと思うのです。私は見通しといたしましては、お話しの通り日本の輸出は中小企業に俟つところが非常に多いのでありますから、大産業、中小企業を一体といたしまして相当の輸出金融を図る。こうやつて行けば自然に立ち直つて来ると考えておるのであります。でこれはもう我々身を以て経験するのでありますが、なかなか信用のない人が非常に金詰りを多くする、それは自分で返せぬような人が金で困つておる。ああいうことになつてはインフレになつてしまうのであります。そこでやはり相手を見ながら適当な金を適当なところに流すとこういうようにせざるを得んと思います。
  149. 木内四郎

    ○木内四郎君 ちよつと今のその問題に関連して一つお伺いして置きたいのでありますが、第一回の予算の説明書類を頂いておりまして、その中に見返資金のところで、公企業と私企業と、国債償還の方は融通ができるような規定が説明に載つておりますが、後から頂いたものにはそれが載つていないが、そういうものが何かないのか。二十五年度の予算の説明という書類の中に入つておつた。ところが二度目に貰つたのにはない。その点はどうですか。
  150. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 見返資金の御審議は全体の枠として御審議を願いまして、大体あれの内訳の方ははつきり決まつておらないと思います。二十五年度の予算は御覧頂きましても、債務償還は八百二十五億だつたと思つておりますが、あれは大体国債償還も予定しておつたのでありますが、国債償還はしないことにいたしておるのでございます。大体の枠と私考えるおります。
  151. 木内四郎

    ○木内四郎君 今私が伺つたのは、私の頂いたこの二十五年度予算の説明、これは改訂版ですけれども、第一回に頂いた中に、この見返資金の運用のところで、私企業支出が四百億、それから公企業の支出が四百億、債務償還が五百億、経済再建及び安定資金二百八十一億、こうなつておるのであります。ところがそのところで私が初め頂いたのには、第何條かによつてこの間には予算の融通ができるという説明があつたのです。ところが今度頂いた改訂版にはそれがないのです。そこで私は大蔵大臣は、経済界の推移如何によつては、この見返資金債務償還私企業投資又は公企業投資に使う権限を得て、経済界の変動に即応しようとされたものと私は了解しておるのです。ところがそれは、改訂版にはその説明が落ちておるのです。そこで私は初め考えたのですが、前にあつたその通りであるのか。現在は改められたのですか。大蔵大臣が経済界の情勢によつて企業、公企業に融通しようとする債務償還も、我々の考えておるように、経済界の情勢が非常に変つて来た場合には止めてしまうというのか。債務償還を公企業、私企業に使い得る権限を得ておることは、これはいいことだと私は思つたのですがね。
  152. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は流用できると考えております。広義になつておりますから‥‥それから又実際問題といたしまして、御質問の重点は、債務償還のものを私企業に持つて来ようとか、こういう問題でございます。これは非常に議論となつておるようであります。実際問題といたしまして、政府が直接に例えば造船会社に出すか、或いは債務償還をしたものを今言う特殊の金融機関か受けて、これを造船会社に出すか、こういうことになるかと思うのであります。そこで私は将来の輸出計画に対しては政府が相当の力を入れまして、債務償還をされたものにつきまして、輸出企業の方に廻すように努力したいと思つておりますし、又そうでございますから流用できるのではないかと考えております。
  153. 木内四郎

    ○木内四郎君 それが、私は大蔵大臣はそういうふうに考えられておることは非常に結構と思うのですが、この問題は世間一般にも誤解されておつて債務償還が五百億になつてつても、経済界の変動があつても、必ずこれは債務償還に当てなければならんものかと一般の人は考えておる。ところが若して予算の各條項にそういうことが入つておるというと、予算編成の根本の大きな問題になる。私は非難するのではない。私はむしろこれを賛成し、必要があれば御意見によつてつて頂きたいと思います。経済界の情勢の如何によつては見返資金の五百億の債務償還を止めて、私企業投資に廻すか‥‥、廻すか、廻さないかということは現実の問題だから後にしまして、現にそういう権限を得て置かれるということは非常に結構なことだと思います。権限はすべて今のお話だと項だから流用ができるということであるというと情勢如何によつては止めて、私企業投資の方に直接向けることもあり得ると了解して差支ないのですか。
  154. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 御承知の通り見返資金は特殊のあれでございまして、こちらで案を立てまして、向うの承認を得るということになつておるのであります。経済界の情勢によりましては、これは変えなければならん。若し国会の承認を得ることを必要とする場合には、そういうふうにしてもよいと考えておるのであります。御承知の通りに見返資金は今年の当初予算千五百億程度だつたと思いますが、実際入つて参りますのは千三百億ぐらいしかなかつたのであります。一応の枠でございまして、まあ大体千三、四百億ぐらいが使える、こういう場合の目途は四百、四百、五百そうして繰越しを考えております。こういう状況であるのであります。
  155. 九鬼紋十郎

    ○九鬼紋十郎君 板野さんからもお話のように非常に所得税、税金については国民は困つておるのでありますが、なかなかその正当な所得の決定は非常に困難な問題でありまして、過去において非常ないろいろ納税者との間にいきさつを来たしておるような次第であつて、これにつきましてはやはり以前のような税務調査委員というような、調査会ですか、税務の何か審査会というようなものを作つて、それで以て決定をする。そうして一つ緩衝地帯を設けるということが必要であると考えておるのでありますが、何かそういつたことについての具体的な御意向はないでしようか。
  156. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 所得調査委員という制度につきましては、先般来非常な議論がございまして、我々は理外の外として所得調査委員会というものがよいのじやないかというようなこととを考えておつたのでありますが、理論的にはやはり税というものは役人が決める、役所で決める。そうして利害相反すると申しますか、納税者の代表がこれをどうこう言うことは軽減ということにより以外に理屈が立たんのじやないか、こういう議論もございまして、実は止めたような状況であるのであります。併し施行の点から考えて見ますと、どうも税務署長が決めるというので、他の機関か一切関係せんというふうでもいけないと考えまして、今度の税法では紛争処理機関というものを設けまして、税務署長と別箇の機関といたしまして異議の申立の処理に当る、こういう考えで進んでおるのであります。
  157. 九鬼紋十郎

    ○九鬼紋十郎君 それから在日外人の所得でありますが、やはり日本も敗戰しておるような状態で、正常な考え方をしたならば、恐らく税率は非常に高いものになつて来ると思われるのでありまして、この敗戰の一つの責任として国民が一応そういつたことを負担するのは、これは止むを得ないのでありますが、外人について同様な何と言いますか高い税率をかけて行くということは、その敗戰の責任を外人にも一応負わせるような形になるように考えるのでありますので、外人の所得については何かそこに一つの適当な考慮を拂う必要があると考えますが、そういう考慮は‥‥
  158. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 考慮いたしております。即ち外資の導入という観点から、そうして又日本の産業も是非とも外国技術の導入が必要でございますので、勤労所得に対します課税の軽減と、それから外資が日本投資されました場合におきまして、社債の利子等に対しましての軽減措置を考えておるのであります。これは敗戰ということでなしに、フランスなんかにおきましてはアメリカ人の所得に対しては、アメリカでその所得があつた場合の負担と同じような負担にする、こういう課税方法をやつております。イギリスの方ではイギリス内の同得にだけ、勤労所得につはてはイギリスで得た所得にだけ課税して、本国と合算しない、こういうような特別方法を講じてやつておるのであります。日本は敗戰とか何とかということよりも、とにかく技術者、有能な技術者に来て貰つて技術を指導して貰いたい、そういと外国の質本をどしどし入れて貰いたい、こういう観点からやつておるのであります。幸い法人につきましては、向うと比べまして日本は高くございませんから、法人税につきましては特別措置を講じておりません。社債の利子、勤労所得という二点について特別措置を講じようと今計画いたしておる次第でございます。
  159. 九鬼紋十郎

    ○九鬼紋十郎君 技術者は分つておりますが、技術者以外の一般の者すべてに均霑させるというような方法はできないものでしようか。
  160. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) フランスのところまで行くかという問題でございまするが、私はフランス程負けないでもよいのじやないかという考えで進んでおりまして、バイヤー等につきましては軽減しない方法で行きたいと、こう考えております。
  161. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 大蔵大臣は三時からわきへ行かれることになつておりますから、大蔵大臣に対する御質疑がありますれば、次回にお願いいたしたいと考えます。  それから本日は簡單と考えられますような案をできるだけ上げてしまいたいと考えますので、有価証券移転税法は廃止する法律案の御審議を願いたいと、こう考えます。御質疑がありましたらば御質疑を願います。
  162. 木内四郎

    ○木内四郎君 主税局長に伺いたい。主税局に対してもいろいろ証券業者から陳情があつたと思いますが、証券業者から、有価証券移転税を存置し、或いはそれを売つた人と買つた人と両方から取つて、他の有価証券の流通を阻害する或いは阻害する虞れがあると思われるような税金は止めて貰いたいというようなことを言つて来なかつたでしようか。
  163. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 今お尋ねのような意見が大分業界にはあつたのであります。私共も実際の実情からいたしますと、そういう意見は確かに傾聴すべき意見の一つではないかと思つて、いろいろ検討いたして見たのでありますが、御承知の通りシヤウプ勧告は所得税に関しましては非常な理論を貫くということに行くべきだ、あらゆる点におきまして公平を期しまして、苟くも担税力のあるところには所得税を課税するという理屈に行くべきだという議論でありまして、従つて資産の譲渡所得等に対しましてはインフレーシヨンによります所得の調整はいたします。それでも尚本当に売りまして実際に実質的に所得があつたと認められるような場合におきましては、やはり例外なく所得に総合いたしまして課税すべきだ、ただ課税すべき際には、変動所得でございますから累進税による税率を緩和して理論的に均しまして課税すべきだ。そういう点が非常に強調しておる点でありまして、従いまして譲渡所得税等を課税しないで、單に移輸があつたときに課税をするというようなことでは合理的な税制とは言えませんというような点が、強く全面に押出されたと思うのであります。そういう趣旨からいたしまして、むしろ移転の都度誰が儲けたか、誰が損をしたか分らんが、儲けたかも知れんというので何がしかの税金を納めるということは公平の観念から行きまして徹底しないということがございまして、そういう税金はむしろやめまして本当に売却した場合におきまして、所得があつた場合に所得税を課税する。そういうシステムを採用すべきだということになりまして、大体そのような案で私共作成しまして提案いたしたような次第であります。
  164. 木内四郎

    ○木内四郎君 主税局のお考え御尤もな点もあると思うのですが、実際問題として然らばこの移転税を取るという場合と、譲渡所得を捕捉するという場合に、どちらが困難か、どちらが捕捉し易いか、譲渡所得などについても名義書替の問題もあると思うが、実際問題として逃れるのが大部分ではないかと思うのですが、そうすれば理論は正しいけれども実際問題としてやはりシヤウプ勧告のように所得に総合するということはできないような結果になりはしないか。理論倒れになりはしないかということを恐れるのですが、その点は如何でしようか。
  165. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 確かに御懸念ような点は私も相当あるのではないかと考えます。ただ如何にも有価証券が移転されたときに損をした人も中にはおるわけでありまして、損をしたり或いは儲けておる場合におきましても、移転税というふうな税率では、その儲けたものに対する十分な課税とは勿論申すことができませんけれども、どうもこういう税金は極端に申しますと、政府が収入が欲しいから取つておるのだという批評がやはり相当有力なわけでございまして、それにも拘わらず極く低率であるから何がしの税金を徴収いたしまして、必要な財源に充てるということも十分成立つのではないかというので従来課税して来たわけでありますが、今回あらゆる方面を考えまして、極力合理的な税制を実行するという全体の方針を取つておりますので、むしろかような点を重んじまして移転税を廃止しまして、所得税の合理化をしたわけであります。  尚譲渡所得の捕捉は非常むずかしい点が多いのでございます。将来は名義書替機関の整備等と相俟ちまして、株式の名議書替を励行することによりましてできる限り捕捉を容易ならしめる方向に持つて行きたいと思うのでございます。これはなかなか現状といたしましては株券もまだ十分発行されていませんので、実際問題として名義書替機関が相当有効に機能を果すまでは或る程度の時日を要するというふうに考えますので、ここで慌てて、そういう措置を一緒にやることは諸般の事情から見て見合せた方がいいのではないかという考えで、暫く見送ることにいたしております。建前はそういうことであります。それから御指摘の株等で相当な利益を収めた場合におきましては、何らかの形でやはりその利益が外形に出て来る。その際によく取調べまして調査を徹底いたしますならば、相当大きく儲けた人のような場合には結局捕捉できるのではなかろうか。極く零細なものは或いは抜けるかも知れないと思いますけれども、それは他の場合におきましてもございます例ですから、その神経質に考える必要もないのではなかろうか、捕捉の方法は完全とは言えないが、努力いたしますれば或る程度のところまでできるのではなかろうか、かように考えておる次第であります。
  166. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 他に御質疑ございませんか。御質疑がなければ質疑を終局して討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) それではさようにいたします。賛否を明らかにして御発言を願いたいと存じます。……別に御発言がなければ採決に付することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) それではさよう決定いたします。有価証券移転税法を廃止する法律案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。    〔総員挙手〕
  169. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 全会一致と認めます。よつて法案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  尚本会議における委員長の口頭報告は、委員長において本法案内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして、御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 委員長が議院に提出する報名書に多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     黒田 英雄  伊藤 保平     西川甚五郎  玉屋 喜章     森下 政一  油井賢太郎     木内 四郎  小宮山常吉     米倉 龍也
  171. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 御署名洩れはありません。御署名洩れないと認めます。   —————————————
  172. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 次は国庫出納金等端数計算法案の御審議を願いたいと存じます。  御質疑がありましたら御質疑を願います。
  173. 木内四郎

    ○木内四郎君 この端数計算法案が通過した場合に、これによつて国庫にどれくらいの程度の影響があるのですか。
  174. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これはちよつと予定が付きかねますが、収入と支出というものを両方を措置いたしますので、これて支出、収入の回数というものも測定できかねましてはつきりいたしませんが、公団等におきましては、明らかに分りますことは、例えば食糧配給公団というようなものにつきまして、この四捨五入でなくて切捨一方でやりますと、収入と支出との回数が明らかに違つており、非常に細かく配給を一般にやつているという関係もございますので、切捨一方でやると相当な赤字が出るという計算が出ましたので、それで四捨五入ということにいたしたのであります。四捨五入をし、且つ収入支出の両方に適用になりますので、大体まあとんとんというふうに考えております。
  175. 木内四郎

    ○木内四郎君 これは国庫の収納、支拂について規定しておるのですが、金融機関その他民間の取引との関係はどんなことになりましようか。それには何らの影響はない、民間の方はやはり従来通りつて行くということになりますか。
  176. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これは法律上は国庫関係だけでございまして、民間の取引には適用がございません。併し国の現在の経済における地位というものは非常に高いものでございますからして、どうしても国庫の方でこういう方法をとりますると、逐次民間の方にもそれが影響して参りまして、まあ相当期間を置きますると、結局この円以下の少額の全額計算というものは殆んど要らなくなつてしまうというふうに見込んでおります。これは前回の厘位を切捨てましたときも同様でございまして、あの際にも特に貨幣法というものをいじりませんで、国庫の出納金の端数を切捨てるという方法を用いて参つたのです。結局民間の方の取引も、それに従つて同じような状態になつて行く。こういう経験がございます。
  177. 木内四郎

    ○木内四郎君 只今の御説明の通りだと思うのですが、民間の方の取引については法律上の根拠がないのだから、これを切捨てたり切上げたりするということはできないのではないでしようか。たとえ国のあれがこういうことになつたからこれに做うべきだといつても、做おうとしても、法律上の根拠がないとやはり円未満、或いは更に極端に言えば現在は厘は切捨てているにしても、厘未満までやらなきやならんというようなことになることはないでしようか。
  178. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) おつしやる通りでございます。ただ将来に亘つては契約その他によりまして、結局そういう端数を生じないような契約の仕方をやりますし、且つ又価格の今後の決め方等におきましても、結局これらを前提にいたしましていろいろな価格が決まつて参りますので、将来において段々なくなつて来る。過去の分につきましては勿論法律上の根拠がございませんので、直ちに切捨或いは切上ということにはならないと思います。ただ当事者間商取引で常時取引をしておるというようなところでは、いろいろな意味で実際上調整ができるかと思つております。
  179. 木内四郎

    ○木内四郎君 これは今お話なつたように契約その他でできるのですけれども、何か一般にこれと同じようなことを規定するについては支障があつたのですか。
  180. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これは一般について全部ということになりますると、これは或る程度貨幣法の問題になつて来るわけなのでありまして、御承知のように現在は貨幣法というものを全然いじりませんでやつておるわけであります。貨幣法の問題も單に国内的な観点だけでなく、国際的な観点というものも今度は併せて考えて参る必要がございますし、問題が大分大ごとになつて参ります。それからして技術的に申しましても、一遍に民間にもやるということになりますると、これの法律的な処理というものをどうするかということは当事者任せでなくなりますので、非常に困難になつて来ます。尚これに応じて少額の通貨というものの処理をどうするかというような非常にむずかしい問題が起つて参りますので、一遍に無理をいたしませんで、まあ順々におのずからつまり落着くところへ持つて行くということにいたしたい、こう考えております。
  181. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。
  182. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 端数切捨てした額を又分割して拂うというような場合、幾回かに分割するというような場合、又それに端数がついた場合、これはどういうふうにするのですか。
  183. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これはここの第二條に「(分割収納又は分割支拂)」ということがございますが、これにつきましてはこの総額で先ずこれを適用してしまいます。そうして今度はその総額の中で分割しますとおのおの端数が出ます。仮に三回に分けて端数が出ますと、その二回、三回分を全部一回に繰上げてしまうのです。ですから二回と三回の端数と一回の端数と皆出ます。仮に半端が出ましたものを全部合せて、最初の分で取りまとめてしまいますから、全部端数がなくなるということになるのです。
  184. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 成る程そうですか。
  185. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑はございませんか。御質疑がありませんければ質疑を終局して討論に入ることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。賛否を明らかにして御発言を願いたいと存じます。別に御発言もないようでありますから、本案を採決することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) それでは採決をいたします。国庫出納金等端数計算法案を原案通り可決することに賛成のお方の御挙手を願います。    〔総員挙手〕
  188. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  尚本会議における委員長の口頭報告は、委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     黒田 英雄  伊藤 保平     玉屋 喜章  西川甚五郎     森下 政一  木内 四郎     油井賢太郎  小宮山常吉     米倉 龍也
  190. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 御署名洩れはありませんか‥‥御署名洩れなしと認めます。   —————————————
  191. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 次は解散団体財産収入金特別会計法案を御審議願います。御質疑がありましたらこの際お願いいたします。
  192. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) ちよつと速記を止めて頂きたいのですが‥‥
  193. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  194. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて下さい。
  195. 木内四郎

    ○木内四郎君 この外国貿易特別円資金特別会計から貿易特別会計へすでにどのくらい繰入れてあるのですか。
  196. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) 全然繰入れておりません。
  197. 木内四郎

    ○木内四郎君 それから外国貿易特別円資金特別会計からこの特別会計に移される財産はどのくらいある見込ですか。
  198. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これは現在まあ結局解散団体の財産の中で従来未処分だつたというものは、結局この会計に移されて処理されるということになるわけですが、財産自身としては特別に帰属をしておるという考え方でなくて、財産を法務府が一遍処分いたしまして、その処分した金額の処理だけをまあやつて行くというのが、この特別会計の趣旨でございます。それで従来国庫に一般的に帰属しましたものが土地で約三十万坪ございます。その中で処分をいたしましたものが十七万坪でございます。それから建物で帰属しましたものが七万六千坪ございまして、これらの処分をいたしましたものが二万六千坪ございます。結局土地で十三万四千坪残り、それから建物で五万坪残つておるということになつております。それから動産はこれはまあ見積りでございますが、国庫に帰属したものが約千五百万円ございまして、そうして結局これを現金化しましたものが千四百三十九万円ございまして、六十万九千円現に残つております。それから有価証券は四百七万円帰属いたしまして、二百三十五万円現金化しまして、百七十二万円残つております。大体以上でございます。これはこの法案の審議の後にでも又資料として差出したいと思います。
  199. 木内四郎

    ○木内四郎君 この解散団体というのは幾つぐらいあるでしようか。
  200. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これは二百三十大体現在ございます。
  201. 黒田英雄

    黒田英雄君 この間新聞に出ておつたのですが、下谷のあの建物なんかはあれは解散団体の財産ですか。
  202. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) そうです。
  203. 黒田英雄

    黒田英雄君 ああいうものは一体本会計に属することを決まるということの手続は、どういうことによつて決まるのですか。争いがある場合においては‥‥
  204. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これは先程申上げましたように財産としてそのまま直ちに特別会計に帰属いたしませんので一応一般会計として国庫全体に帰属するわけです。そこで法務府が処分をしまして、そうしてその処理した分がこつちに入つて来るわけです。
  205. 木内四郎

    ○木内四郎君 そうすると、今お話のは「第三條の規定により国庫に帰属した財産に関する收入金」ということですか。
  206. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) そういうことです。
  207. 木内四郎

    ○木内四郎君 財産は、依然として解散団体が持つているということになるのですか。
  208. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) それは特別会計ではございませんが、一般会計としての国庫に帰属されております。接收と同時に、‥‥それは別に政令で定めがございます。
  209. 木内四郎

    ○木内四郎君 この特別会計は、いつ拵えたのですか。
  210. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) 二十三年八月、法律二百十三号です。
  211. 黒田英雄

    黒田英雄君 閉鎖機関は関係ないのですか。
  212. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) 関係ありません。
  213. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 外に御質疑ございませんか。御質疑がありませんければ、質疑を終局して、討論に入ることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。賛否を明らかにして、御発言願いたいと存じます。別に御発言もないようでありますから、採決をすることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  215. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) それでは、解散団体財産收入金特別会計法案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願いたいと思います。    〔総員挙手〕
  216. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  尚本会議における委員長の口頭報告は、委員会において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することにして、御承認願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  217. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 御異議ないと認めます。  それから委員会が議院に提出する報告書に、多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     黒田 英雄  伊藤 保平     玉屋 喜章  西川甚五郎     森下 政一  木内 四郎     油井賢太郎  小宮山常吉     米倉 龍也
  218. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 御署名洩れはありませんか。‥‥御署名洩れないと認めます。   —————————————
  219. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 次は、米国対日援助物質等処理特別会計法案の御審議を願います。御質疑がありましたら御質疑を願います。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  220. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて。御質疑ございませんか。
  221. 木内四郎

    ○木内四郎君 従来この特別会計の中で援助物質勘定として整理して来たものは、そのままにして置いてあるのですか。
  222. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これは二十四年度で終ります。そうして二十五年度から、予算の御審議のときもあれでありますが、そちらの方の援助物質勘定というものは全然なくなつておりまして、そうして別の独立の特別会計として予算も提案しております。
  223. 木内四郎

    ○木内四郎君 その特別会計の勘定からこの会計に引継ぐものはないのですか。
  224. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これはこの予算書を御覧下されば分るのですが、勿論この勘定の資産があるわけであります。この附則の二、三、四項にあるのですが、ちよつと数字がはつきりいたしませんので、これはあとで調べまして数字として出さして頂きます。
  225. 米倉龍也

    米倉龍也君 この案では、第六條が(予算の作成及び提出)、その二項で歳入歳出予定計算書を添附しろというのですが、大概の特別会計には前年度の貸借対照表と、前々年度の貸借対照表、そういうような書類を添えて提出するようになつているのですが、特にこの会計にだけそういうことがないのですが、この第四條にそういうことの規定がないからそうなのですが、大体(歳入歳出予定計算書の作製及び送付)という見出しの特別会計では今申上げましたような損益計算書と、或いは前年度と合せて前々年度も大概出しているのです。この会計だけないのですが、これは何か‥‥
  226. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これは八條にございまして、八條の二項でそれらを出すように規定してございます。八條の二項に、「前項の歳入歳出決定計算書には、当該年度の貸借対照表、損益計算書及び財産目録を添附しなければならない。」、それから九條の二項で又規定をしております。
  227. 米倉龍也

    米倉龍也君 当該年度だけで前年度のとか、前々年度のとかいうものはない。当然当該年度のものは出すべきです。
  228. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これはちよつとお待ち願います。今持つて参ります。
  229. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 援助物質の売拂、代金ですが、これはどういう形式で実際に入つておるのです。全国で以てやはり、例えば援助物質の食糧を各方面に配給して、それを食糧公団なら食糧公団で金を取立てるという場合に、どういう形式で、いわゆるこの会計の中に入つて来るのです。
  230. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これは一般の実際のやり方は貿易の場合と少しも変りません。ですからして公団に例えば拂下げるとか、その他一般的に拂下げ行うのと同じように、貿易の場合と全く同じであります。
  231. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 公団でまとめて入るのですね、そういう場合に‥‥
  232. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) ええ、そうです。
  233. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 その場合段々この特別会計に資金が溜まつた場合、見返資金を繰入れるときは、何を原則として見返資金に繰入れて行くのか。例えば百億円なら百億円に到達したら繰入れるのか、そういつたような具体的なことをお伺いしたいと思います。
  234. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これはむしろ理財局長お答え願つた方がいいのですが、援助特質が溜まりまして向うのあれに繰入れますね、それに何か基準があるかというお話なんですが、援助物質特別会計に相当溜まつて来て、見返資金に金を入れますね‥‥
  235. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 施行規則にあつたと思いますが、ちよつとはつきりした数字を覚えておりませんが、二ヶ月くらい前のやつを入れることになつております。例えば今入つておりますのは十二月分です。つまり毎月々々船が着きまして食糧が入つて参りますが、それを二ヶ月以内に見返資金に入れるということになつております。この入れる時期につきましては、一々指令が参りまして何月何日幾ら入れろという指令が参ります。
  236. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 どこからです。
  237. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 司令部から、これは司令部の覚書に基きまして‥‥司令部の指令に基いて繰入れるという覚書がございます。その覚書に従つて入れておるわけでございます。例えば二、三日前と思いますが、七十億、七十何億かを見返資金に入れております。殆んど毎月或る時期に指令が参りまして、指令に基きまして貿易資金から見返資金に繰入れております。
  238. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 この第二條に通産大臣が管理するとあるのですが、この特別会計法に限つてどうして通産大臣の監督下にあるのです。これは大蔵大臣でもいいのじやないのですか。
  239. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これは物資の処理の方は、貿易物資と同じように、通産大臣が主管をいたしまして、そうしてここで以て溜まつた金を今度は見返資金特別会計に入れまして、今度はその場合に主管は大蔵大臣、こういうことになつております。
  240. 木内四郎

    ○木内四郎君 この第十條で、「この会計において支拂上現金に余裕があるときは、大蔵省預金部に預け入れることができる。」と第いてあるのですが、これとさつき油井委員質問されたのとちよつと関連しているのですが、まあ昨年の春以来見返資金特別会計の多くの質金の放出が非常に‥‥、理財局長、昨年以来見返資金の放出が非常に遅れているという非難が出ておつたのですがね、これにはいろいろな事情があつて止むを得なかつたのだろうと思うのですが、この更に奥の方に見返資金特別会計の援助物資勘定というようなものがあつて、今度はこれが対日援助物資等処理特別会計というものになるのですが、この第十條に関連しまして、見返資金特別会計に入る前にこの会計が預金部に資金を入れて温めておるという結果になりはしないか。そうして今伺うと七十億、二ケ月とか経過してから、或いは七十億溜まつてからこつちへ拂い込むというお話ですが、するとそこでも溜まつておる、見返資金特別会計の方でも溜まつておるというふうになつて、この見返資金特別会計の放出が段々遅れて来れば、見返資金特別会計というものは目に付くことが多い。見返資金特別会計に沢山あるのに放出しないじやないかと言われるけれども、この特別会計で預金部に入れるとすると、ちよつと目につかない。目に付かないでまあ見返資金特別会計は非常に影響して来ると思うのです。そこで勿論これは関係方面の指示によつて、見返資金特別会計に拂い込むことになるだろうと思いますが、その前あなた方から向こうにこれを請求して、これだけ溜まつたから早く入れるということにすれば、向うから先に指示を得て承認を貰うというふうにして、早く見返資金特別会計に拂い込むベきじやないか。去年一番問題になつたのは、政府資金をあらゆる段階において抱え込んで温めておつて、民間に放出しなかつたというのが問題の根本だと思います。それが預金部というと、預金部の金を洗つて見ると、対日援助物資等処理特別会計の金であつて預金部が左右し得ない金だということになるから、そこでできるだけ第十條の規定というものがありましても、こういうところに温めてあつても、早く見返資金特別会計に入れる。見返資金特別会計は成るベく早放出するというふうにして貰いたいと思います。今のお話だと関係方面の指令というお話でありますが、そこまで行く前に当局の方で一つ十分御注意願いたいと思います。
  241. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 只今のお示し御尤もでございますが、見返資金に入りました金を使いますのは、一々司令部の許可が要ることは覚書に基いておるのでありまして、最近まあ非常に昨年暮あたりから軌道に乗りまして、殆んどもう本日くらいまでに予定通り企業を除いては使い切つております。例えば六百二十四億円の債務償還も多分昨日あたりで終つております。それから二百七十億の公企業への賀付も終了し、それから私企業も二百五十億という予定で、これも三月末までに必ず実現ができる。それで見返資金に、今度できます米国対日援助物資等処理特別会計から金が入りますことは、一々司令部の指令によつて日本政府宛の指令によりまして殆んど毎月或る時期に入れておるのでありますが、実はこの見返資金の方に金が入つてしまいますると、見返資金は、現在見返資金に入りました金は司令部で許された目的以外には放出ができませんので、余裕金はどういうふうに運用しておるかと申しますと、食糧証券を買つておるのと、現金を集めておるだけでございます。従いまして一般の国庫金とはすつかり区分を別にしておりまして、むしろ見返資金に入つてしまいますと、放出されるまでは他の国庫金とは混ぜ合わすわけにも行かず、従つて国庫金の運用で指定預金するというような場合におきましても、全然別口で経理をいたしております。然るにこの第十條を見ますと、この米国対日援助物資等処理特別会計において現金に余裕があるときは預金部に預け入れることができるということに相成りまするので、むしろこちらの方が活用の範囲が広いのでありまして、預金部に入れて、成る程これは預金資金をどう使うかということは規則がありまして、なかなか思うようにも実際は行つておりません。地方債でありますとか、国の資金以外に使えないので、これを社債等に使わせて頂くようにいろいろ関係方面と折衝中でございますけれども、とにかく預金部へ入つた方が使い途が広いのでありまして、これを引上げまして見返資金に入つてしまいますと、見返資金に入つている場合は許可を受けた放出先以外は、余裕金が残つておりましても、これは別口で経理をいたしまして、殆んど全く金融的の操作から申しますと凍結して使えないようにしてある。従いまして今木内委員のおつしやいますように見返資金に入りました場合は、早く処理するように政府として骨を折つておりまするけれども、こつちに溜つたり、あつちに溜つたりする場合において、まあいわば見返資金に来ないで溜つていた方‥‥預金部のプールに入るというだけでも少し広いのじやないかと、こう考えております。
  242. 木内四郎

    ○木内四郎君 その点は分らないことはないけれども、それは放出をしないからそういうことになるということですね、放出をしないで国庫に持つておる際には、そういうことはあり得るだろうと思いますが、私が申上げたのは成るベく早く我々は放出を望むという考えであるから、放出するまでの間余裕があつたらそれは預金部においてやられてもいいが、成るベく早く放出まで持つて行くという考え方で運んで頂きたいと、こういう趣旨なんです。
  243. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 この第一條にある「対日援助として提供された役務」、いわゆる援助役務というのは、これは具体的にどういうことであつて、実際にどのくらいの金額が今までに計上されておりますか。
  244. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) この援助役務と申しますのは今度初めて入つたのですが、留学生の滞在中の費用、これらをこの会計から出そうと、こういうことになつたわけなんです。それでそれは一体その金額がどの程度になるかということは、実を申しますと全然予想がつきませませんのです。それで今回の予算、対日援助物資等処理の予算額は相当多額に上つておりまするからして、この中から必要に応じて出して行こうと、こういう予定になつておるのでありまして、金額ちよつと予定しにくい状況でございます。
  245. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 留学生というのは向う、アメリカに行つている日本の留学生ですか、それの‥‥
  246. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) そうです。それの滞在の費用なんかを結局‥‥援助役務はつまりサーヴイスの援助ということで入れようという趣旨なんです。
  247. 木内四郎

    ○木内四郎君 字句が甚だ不適当ではないですか。
  248. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これはつまり留学生の費用なんかを、どこで見るかということについて向うの考え方なんですが、これは結局この援助物資‥‥、そこでまあここのところにあります物資等ということを今度入れたわけでありますが、従来全然なかつたのでありますが、まあ関係方面の意見がありましたら‥‥
  249. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 そうしますと何ですね、アメリカに留学している学生の費用を向うではいろいろ面倒を見て呉れる、それを見積つてつまり対日援助の一つ資金に入れる、こういう形になりますか。
  250. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) そういうことなんです。つまりドルで使いまして、それを円で評価いたしまして、結局まあここで処理して行くわけなんです。
  251. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 それからそれとは違つて、向うから人間が来て、いろいろ日本のために技師なら技師が来て骨を折つて呉れた。それをドルで拂つたという場合、それの分に対する円レートを換算した金をこの中に入れる、そういうこともあるのですか。
  252. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これは考え方だと思いますが、現在までのところ、そういうものを入れて処理するという考え方はございません。
  253. 木内四郎

    ○木内四郎君 関連しているのですが、留学生の向うで使つたドルの代価を誰が拂い込むのですか。
  254. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これは結局‥‥ですからこのあれはどこから拂うのですかなあ。(笑声)結局向うの政府が持つわけですね。結局持つて、それをそうしてこれの処理で出したということにするわけです。
  255. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 そうしますと、国会あたりから議員を派遣した費用なんというものも皆この中で処理されるのですか。
  256. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) いいえ、従来は特別としまして、今後はこれで処理しようというのです。
  257. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 政府から派遣された者も、或いは学界代表とか、いろいろ代表者がどんどん行きますけれども、皆これで処理されるのですか。
  258. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) そのところは今のところまだ向うの考えがはつきりしておりませんが、差当つて留学生の費用ということを言つておるのです。それでまあこういう文句を入れて欲しい、こういう希望があつたわけなんです。併しこれはこういう援助役務と申しますが、勿論向うの希望で、或いは相当伸縮があると思います。只今のところは留学生ということになつております。
  259. 木内四郎

    ○木内四郎君 どうも私は了解しかねるのだけれども、アメリカに日本の留学生が行つて例えば一万ドル貰つた。これは日本へ持つて来て使うのではなくて、アメリカで使つてしまうのだから‥‥
  260. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) つまり資金関係としてはそういうことになりますが、結局サーヴイスを受けている、こういうことになるわけです。
  261. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  262. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて。
  263. 米倉龍也

    米倉龍也君 十一條ですが、これは外の特別会計にはないのですか。
  264. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) どうもこれだといろいろあれなんですが、御承知の通り特別会計法の書き方を毎年少しずつ直しているわけなんです。ところが一つを直しますときに、すべての特別会計の字句を同時に改正法を出すわけに行きませんから、改正のチヤンスのある都度に少しずつ直すのです。そのために特別会計の体裁を全部御比較になりますと、ちよちよい違うのであります。それでこの今日出します会計法案が一番新らしいものとお考え願うと一番いいのですが、これは従来のものにはないものがございます。それは支出未済額の繰越に関する規定でございまして、財政法四十三條で一般会計の場合の支出未済は常に大蔵大臣の承認を要するということが財政法の四十三條に規定がございます。特別会計の場合にはそれを必要としないという趣旨二項が出ておるんでありますが、これはその必要の都度、又特別会計の性質によりまして違つて参ります。
  265. 米倉龍也

    米倉龍也君 特別会計の性質によつてそういう違いがあるならばそれでいいと思います。その意味であつたり、なかつたりすることはいいと思います。が、そうでないなら何か読んで行つてみると誠に体裁がまちまちになる‥‥
  266. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) それから従来はやはり大蔵大臣の承認を経ておつたものを特別会計であるので、段々緩やかにして行こうという方針で少しずつ変えて参つているのもございます。それからおつしやいますように内容によつて違うというのもございます。
  267. 米倉龍也

    米倉龍也君 今の点は直ぐ後でやるのでしようが、輸出信用保険特別会計法案ですね、これは新らしいですよ、最も新らしい。今議題になつているのも新らしい、新らしいことにおいては同じなんです。その両法案の違いを、私ちよつと読んで見て、おるから措摘するわけなんです。
  268. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) それは実体的に違うわけであります。言い換えればこの特別会計の二項というものが輸出信用保険特別会計法案にはございませんのです。ですからして結局財政法のやはり適用を受ければならない、こういうことになつております。
  269. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 さつき木内委員からもお話があつたのですが、「預金部に預け入れることができる。」というのは広く解釈すれば全部預金部に入れてもいいと、こういうふうに解釈してもいいんですか。
  270. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これは「支拂上現金に余裕があるとき」という制限でやつているわけです。
  271. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 大体向うから指図があつて見返資金に入れるまでの間、二ヶ月もあるならその分というものは相当の額になりますね、それは常に預金部に全部入れた方が日本としては都会がいいんじやないですか。
  272. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) それは会計の事情にもよりましようが、段々溜まつて来るものは預け入れることができるということになつておりますが、できるだけ預け入れることになると思います。
  273. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 その場合に、この法律によつてどこにも別に届出でなくても通産大臣の権限の範囲内でやつていいということになりますか。
  274. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) そういうことです。実際問題としてはこの会計の処理は、細大漏らさず向うと勿論連絡があり、関係方面の指示がございまするからして、幾ら溜まつたかということを向うがキヤツチしているわけでありまして、そしていつ見返資金の方に入れろと、こういうふうになつているわけです。向うは分つているわけであります。国内の建前としては通産大臣限りでやれるわけです。
  275. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 それからこの会計は、予算面では千三百七十億幾らということに出ておるのですが、ドル勘定は幾らになつておりますか。
  276. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これはちよつと通産省の方に説明して頂いた方がいいと思いますから、今お呼びします。
  277. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 援助物資を売拂つた収入に価格調整補給金を相当加えた勘定が収入の分になるのですが、価格補給金というのは一体日本人の税金で賄われておる勘定かと思うのですが、これを一緒にしたのでは、本当の援助物資の会計になるというのはちよつと不合理だと思うのです。
  278. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) これは最初の形はそうなつておるわけでありますが、結局代金で回収するわけです。結局それだけのものを形はおつしやるようですが、実際処理して消費者なら消費者の利益のために二重価格制をとつておるわけであります。直接にこの会計に入れる以外には、つまり代金を回収するときに入れる以外にはない。つまりこの会計の利益には少しもならんわけです。
  279. 木内四郎

    ○木内四郎君 配当してしまうからね。
  280. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) ええ。
  281. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  282. 櫻内辰郎

    委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて。本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     櫻内 辰郎君    理事            黒田 英雄君            伊藤 保平君            九鬼紋十郎君    委員            森下 政一君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            平沼彌太郎君            木内 四郎君            油井賢太郎君            小宮山常吉君            板野 勝次君            米倉 龍也君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵事務官    (銀行局長)  舟山 正吉君    大蔵事務官    (銀行銀行課    長)      大月  高君    大蔵事務官    (主税局長)  平田敬一郎君    大蔵事務官    (主計局法規課    長)      佐藤 一郎君    大蔵事務官    (理財局長)  伊原  隆君