○
政府委員(
木内信胤君) 御
質問にお答え申上げます。御
質問の、
ポンド資金が不足したために、
輸入の
割当と言いますか、一時中止したという
新聞記事が出ました。これは
新聞に出た程大袈裟なことではないのでありますが、併し
相当大事なことでありますので、この際その御
説明を申上げる機会を與えられたことをむしろ大変喜ばしく思います。
これは実はなかなか
数字がむずかしくて、
数字を以てはつきりお答えすることはできないかも知れませんが、まああらましのことを
数字をそのまま申上げたいと思います。
ポンドの
輸入割当を止めなければならん程
資金が逼迫したと申しますと、如何にも
ポンド資金がからからになくな
つてしま
つたように印象付けられますが、実はそうではないのでありまして、昨年の十二月末は約千二百万
ポンド程、これはスキャップと私共の方と両方であります。合計いたしまして千二百万
ポンド程あ
つたのであります。二月末は千四百万
ポンド、即ち二百万近いものが殖えたのであります。にも拘わちず、
資金の
状況が逼迫したと申しますのは、
輸入をいたしますときは、御
承知のように一応
信用状を出すというステージがあるわけであります。その
信用状を出すについては、大体幾ちまでは
信用状を
向うが受取るということが
銀行間に決めてありまして、それが大体昨年国会で私御
質問に答えたことがありましたが、その頃は千五百万ポソドであります。昨年中にそれが増額されまして、二千百万
ポンド、六百万ボンド増額されているわけであります。その
信用状残高の
限度と言いますか、
クレジットと申しますが、その
クレジット・
ラインに対して、半額は
現金を持
つているというのが
銀行間の約束であります。
従つて二千百万
ポンドの
信用状限度一杯に
信用状を出すためには、その半額の千五十万
ポンドという
現金がなくてはならない。こういうような仕組であります。そこでその二千百万
ポンドまで増額したに拘わらず、
信用状の
発行余力というものがなく
なつた。これを称して金が
詰つたというわけであります。
従つて現金は
相当あるに拘わらず、金が
詰つたという
事情はそういうものでありますことを御了解願いたいと思います。そこでなぜそういうように詰
つて来たかということなんですが、これはその
スターリング地域というものとの全体の
協定貿易を少し御
説明しないとお分りにくいかと思います。この
協定貿易は、実は七月——六月というものを一ヶ年と見てや
つているのでありまして、今第二年目でありますが、今の第二年目の
経過年度のこの
貿易は、大体
日本の
輸入すべきものが七千百万
ポンド、
日本から
輸出するものがそれよりも九百五十万
ポンド減らしたものであります。と申しますのは、昨年は
日本の
輸出が勝
つたために、
向うが非常に
バランスが
溜つたんです。一千九百五十万
ポンド溜つたと思われていた。清算して見た結果、あれから振返ると、それ程でもありませんが、それくらい
溜つたと思われていた。
従つてこれは
協定によ
つて、溜り過ぎた、
バランスは、ドルに転換できるということにな
つておりますので、
イギリスはむしろそれを非常に苦に病んだという恰好であ
つたのであります。そこで今度の
協定に入るときには、二千万
ポンドは常時、何と言いますか、繰
廻し資金として、
運転資金として保有していてもいいだろう。残りの九百五十万
ポンドは
日本の入超によ
つてそれを清算して、この
年度の中に
残高一千万
ポンドという形で次の
年度に移りたい。これが
協定の
要旨であります。
従つて向うの
輸出の方、
日本の
輸入の方は七千百六十万
ポンドというものにな
つておりますが、それよりも九百五十万
ポンドだけ少いものが
日本の
輸出、こういう形の
協定にな
つているわけです。ところが、
数字が甚だごたごたするのですが、いろいろその
協定に
追加がありました。その後もう少しやろうではないかというふうな
追加がありまして、その
数字は多少のあれがありますが、七千六百万
ポンドと思
つて頂いていいかと思います。それに九百五十万
ポンド日本の売越、出超であ
つたというのが、清算して見た結果、八百三十万
ポンドが実際あ
つた、こう見られている。今の七千六百万
ポンドよりも八百三十万
ポンド少いものが
日本の
輸出の額というのが現
協定です。そういう
協定で進んで来ているわけでございます。そこで今日までの
実績ですが、
実績は大体において
日本側の
輸入したものが、三月中の
許可予定を含みまして五千万
ポンド、あちらへの
輸出量というものが四千万
ポンド弱という
数字になります。これは
契約べーシスと言いますか、コミツトメント・ベーシス、
輸入するとして
輸入許可を出したもの、或いは
向うと
契約できたもの、その
数字は今取
つておりませんのて
契約の
数字がないから推定上むずかしいのですが、いろいろ苦心して推定いたしましたのを入れまして、大体今申しました
日本の
輸入が五十万、
日本の
輸出が四千万弱、こういう一千万
ポンドの僭越ということにな
つているのです。そこで一千万
ポンドというものは僭越している結果としまして、今
信用状を
発行しようといたしましても、
限度一杯であ
つてこれ以上
信用状の
発行ができな、こういう形にな
つているのです。そこで当然のその
措置としまして考えられることは、その
限度を殖やしで呉れということが一方にあります。これは今
限度の
追加交渉をしておりす。そこで、
限度は全体として、先程二千百万
ポンドということを申しましたが、今二千三百万
ポンド程にな
つております。それに更に数百万
ポンド信用状、
クレジット・
ラインの
増加交渉が多分
成立すみだろうと思
つております。それが成立いたしますれば多少
余裕が出て来る、こういう恰好になるのです。そこで一方にそういうふうに
信用状発行限度のあれをやりますと共に、こちらでは
予算上の
措置として一応今まで考えていた
予算を、
向うの買くくりが、こちらの買くくりの付くまで少し手控えるという必要があるかと思います。そのために現在保留中のもの、
ちよつと五百六十万
程度のものを少し様子を見るために保留するという形をと
つております。それが、その保留したということか誇大に伝わりまして、
資金の
状況がまるで枯渇したように伝わ
つた、大体
状況はそのようなここであります。これは今申しました
信用状の
発行限度を殖やして貰うというようなことで凌いで行くのは一時の便法でありまして、結局のところは
協定額に追付いて呉れなければ困るので、
向うの
輸入許可の
発給か遅れまして結局
協定の、さつき申しました七千六百万
ポンドよりも八百三十万
ポンド引いたもの、それより追付かないということになりますと、
日本は
資金切れの形で以て次の
協定年度に入るということになるわけです。
イギリス側の方は最近この事実を指摘いたしまして、大いに勉強いたしまして、
輸入許可の
発給事務を捗らせるから、
年度内に
協定に追付くつもりだ。
従つて暫くの
間信用状の
発行限度を殖やして泳いでいて呉れと、
向うからこう言
つて来ました。こちらはそれを信頼してもいいようなものの、
現金が入りますまでは多少不安がありますので、一応
予算の実行を多少
押え加減にして進んで行くというようなことにな
つております。天体の
状況はそのようなことでありまして、最近少し
輸出の
許可が下りるのが
活撥に
なつたということも伝えられておりまして、大体
向うの
言明通り、
協定年度内に、六月の末までに
予定通りの
買付になるかも知れません。そうなれば目出たく
予定通りに行くわけであります。若しそうなりませんと、更に
輸入を押えるか、或いは多少こちらの
買越しのまま、つまり
借金の
状態を残しながら越年する。
借金を許して呉れるかどうか分りませんが、そこいらは今後の
状況を少し眺めながら、どちらかに態度を決すべきだろうと思います。取敢えずクレジツト・
ラインの
増額交渉というものと、
予算を一応手控えるという
措置を以て現状は過しておるわけであります。大体以上を以ちまして御
質問のお答えになるかと思います。尚ありましたら……。