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1950-02-02 第7回国会 参議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月二日(木曜日)    午後二時十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員補欠選任の件 ○臨時通貨法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○大蔵省預金部特別会計昭和二十五  年度における歳入不足補てんのため  の一般会計からする繰入金に関する  法律案内閣送付) ○昭和二十四年度徴税状況に関する  件   —————————————
  2. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) これより大蔵委員会を開会いたします。最初にお諮りいたしたいことがあります。請願、陳情小委員会委員銓衡の件でありますが、緑風会高橋龍太郎君の代り伊藤保平君をお願いし、民自党の黒田英雄君の代り西川甚五郎君をお願いいたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 御異議がないようでありますからさように決定いたします。   —————————————
  4. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) それでは本日は先ず臨時通貨法の一部を改正する法律案大蔵省預金部特別会計昭和二十五年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案、この両案について政府からの提案理由の御説明を願いたいと思います。
  5. 水田三喜男

    政府委員水田三喜男君) 只今議題になりました臨時通貨法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  臨時通貨法政府が当分の内発行することが出来る臨時補助貨幣として五円、一円、五十銭、十銭、五銭、一銭の六種と規定して居ります。このうち現在製造して居りますのは五円と一円の二種のみであります。  右の補助通貨系列を以てしては経済取引の実状に応じ得ない現状であり、また最近における経済事情の安定に伴いまして、さきに千円券を発行するようになりました今日、通貨体系として十円については硬貨を発行し、以て補助貨幣系列を整備することによつてその機能を充分に発揮することを期待するものであります。  よつてここに臨時通貨法の一部を改正しまして、臨時補助貨幣の種類を増加し、従来のものの外に洋銀の十円の臨時補助貨幣を加えようとするものであります。  次に十円の臨時補助貨幣は二百円迄法貨として通用する旨の制限を設けました。  以上が今回の臨時通貨法の一部を改正する理由でございます。何とぞ御審議の程お願いいたします。  次に大蔵省預金部特別会計昭和二十五年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案提出理由を御説明申し上げます。  今回この法律を制定しようといたしますのは、大蔵省預金部特別会計昭和二十五年度における歳入不足を補てんするために、一般会計から同会計繰入金をなし、同会計運営を円滑にいたそうとするためであります。  大蔵省預金部特別会計昭和二十五年度予算における歳入歳出におきましては、別途提案いたしました昭和二十五年度特別会計予算に計上してあります通り、その歳出といたしましては、事務費預金利子郵政事業特別会計への繰入金等合計百二十四億一千三十万七千円を要するのでありますが、その固有の歳入といたしましては、預金部資金運用による利子收入有価証券の償還による益金等合計百二十億八千七百四万円でありまして、差引三億二千三百二十六万七千円の歳入不足を生ずることとなるのであります。  而して、本会計におけるこの歳入不足につきましては、総合均衡予算建前からいたしまして、その不足額を、一般会計からの繰入金をもつて補てんすることが適当と存ぜられるのであります。これがためには、法律を以てその旨を規定する必要がありますので、この法律案提出致しました次第でございます。  尚繰入金につきましては、その性質に鑑みまして、後日、本会計財政状況が健全な状態となりました曉には、その繰入金相当する金額を、予算の定めるところによりまして、一般会計へ繰戻すということにいたしたいので、その規定も設けた次第であります。  何とぞ、御審議の上御賛成あらんことを御願い申し上げます。
  6. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 両法案に対しまする御質疑は後日に廻したいと思いますが、何か資料等について御注文がありますれば、この際お願いして用意して貰う方が都合がいいと思います。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 預金部運用委員会の構成と、それから運用に関する何か規定があると思うのですが、それを御提出願いたいと思うんですが……。
  8. 水田三喜男

    政府委員水田三喜男君) 承知いたしました。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは後で御説明あるかも知れませんが、できるなら資料として御提出願いたいのですが、預金部資金運用の一——三月の計画がおありと思うのですが、それと、二十五年度資金計画、これも伴せて数字が分りましたら御提出願いたいと思います。   —————————————
  10. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) それではこの両案はこの程度にいたしまして、国税庁長官高橋衛君が見えておりますので、先日御要求がありました昭和二十四年度徴税状況について御説明を一通り願いたいと思います。
  11. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 昭和二十四年度補正予算決定になりました租税收入総額は五千百五十九億円でありますが、一月の二十日までに收入済になりました金額は三千六百二億余円と相成つております。従いまして今後において收入を要する金額は千五百五十七億四千八百万円というこになつております。例年年度を越えましてから前年度收入となるべき金額、即ち繰越されて收入になる金額が普通二百五十億円程度ございますので、従つて一月の二十日以降三月末までに收入を要する金額は大体千二百億円程度になるかと思うのであります。御承知通り一月の末が申告所得税につきましての確定申告の時期と相成つております。例年この確定申告の時期におきましては、相当大きな金額納税がございますので一月の下旬におきまして、まだ確実な報告には接しておりませんけれども、二百億円近くの收入があるかと想像しておるのであります。従いまして二月三月の二ヶ月分におきまして約一千億の收入を必要とするのでありますが、それぞれ一ヶ月約五百億円程度租税收入を得られれば、大体本年度予算額に至る程度收入が得られる見込と相成つております。昨年度が二月におきまして、確か五百三十億円の收入がございました。三月において六百七十億円の收入があつたのであります。言い換えますならば、この二、三月において租税收入が集中いたしましたために、相当経済界に衝動を與え、幾分面白からぬ影響も與えたかと思うのでございますが、今年はその昨年の実際に徴收されました金額に比較いたしまして、相当金額下廻る收入で宜しいという状態でございますが、今年度はそれ程大きな影響は與えることなしに租税収入確保をなし得るのではないかと予想を持つているのであります。勿論約七〇%の収入がすでにあつたわけでありますが、これは租税全体の問題でありまして、その中の申告所得税につきましては、尚一月二十日現在におきまして四二・三%しか収入済になつておりません。言い換えますならば、一千七百三億円の予算に対しまして収入済みが七百十九億円余でありまして、尚九百八十三億円の収入を今後必要とするのであります。この成績を前年の同期に比較いたしますと、前年の同期が三四・七%でありまするので、前年よりは相当進歩を示しておるのでありますが、併しながらとにかく九百八十三億円の収入を今後四月頃までにいたしますることは相当むずかしい問題ではないかと考えております。併しながら一方におきまして、これを源泉所得税を比較して見ますると、御承知通り補正予算におきましては源泉給與所得から得ますところの所得税は、予算額が千二百九十四億円と相成つております。これに対して申告所得税事業者等に対するところの申告所得税は千七百三億円でありまして、その比率相当申告所得税の方が多くなつておるのであります。然るに実際収入済金額申告所得税におきましては、先程お話申上げました通り七百十九億円であり、源泉所得税におきましては千百二十四億円になつております。従いましてこの申告所得税徴収相当成績を挙げるのでなければ、給與所得者事業所得者の間の負担の公平も期し得られないかとも考えられますので、主として税務といたしましては、運営におきましてこの申告所得税成績の改善に努力いたしたいと考えております。尚年度当初におきまして前年から繰越しました滞納金額が七百六十一億円程度つたのでありますが、その後鋭意これが整理に当りました結果、十月末におきましては、これが四百八億円程度まで整理が出来たのであります。勿論申告が行われ、又は政府において更正決定が行われるたびに新たなる納税義務を指定いたしますので、滞納金額は新たな発生がございますので、実際に整理を了した金額相当大きくなつておりますが、全部の残高におきましては十月末におきまして四百八億円になつておるのであります。その後更に十二月末の実績を見てみますると、それが五百六十二億円というふうに増額をいたして参つております。丁度一月末が先程お話いたしましたように申告所得税確定申告の期限であり、又同時にこの時期において納税義務として確定される金額相当増加いたしますので、一月二月におきましては相当滞納金額が累積することと考えますが、併しながら只今計画では、二十四年度の当初二十三年度から繰越しました滞納金額である七百六十一億円よりは或る程度下廻つた数字で以て年度を越したいというふうに考えております。  先税申上げましたように、租税総額におきましては予算に対して約七〇%の収入実績を見ておるのでありますが、これを昨年に比較いたしますると、昨年が約五五%でありまするので、今年は全体として一五%だけ早期に収入確保ができたわけであります。申告所得税につきましては先程実績を申上げましたので、その他の税について大体の経過を申上げますと、源泉によるところの給與所得に対する税は、同じく一月二十日現在におけるパーセンテージは八六・九%と相成つております。又法人税におきましては八六・五%、相続税が六六・八%、酒の税が七七%、清涼飲料税については八六・八%、砂糖消費税が一二〇・四%、織物消費税が九〇・八%、揮発油税が九〇・三%、物品税が六九・九%、取引高税が九四・九%、有価証券移転税が六九・五%、通行税が八九・一%、その他におきまして一一六・七%と相成つております。全体として幾分収入予算に対して、例えば申告所得税等におきましては、或る程度欠減を生ずることは止むを得ないかと思うのでありますが、一方におきまして、酒の税又は法人税等において幾分増収があり得るかと考えますので、全体としては大体本年度補正予算に定められました租税徴収はなし得るかと考えているのであります。
  12. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 御質問がございますならばお願いします。  その中で、更正決定をされた金額というものはどのくらいに上つておるのですか。或いは査察の結果摘発されてそうして課税された税額は、どのくらいに上つておるのですか。
  13. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 更正決定をいたしましたことによつて増加いたしました金額は、只今ここに手許に持つていないのでありますが、十二月までに申告をされて納税義務が発生したもの、並びに更正決定によつて増額したものの総額は、申告所得税におきましては大体千百億円程度に相成つております。確定申告において農業所得等については例年相当多額な申告があるのが通常でございますので、今後確定申告並びに確定申告に対する更正決定によりまして、大体千八百億円程度課税額になるのではないかと予想しておるのであります。又査察の結果によりまする成績は、これは主として法人税に関する問題でありますが、これも本年度のみの数字只今持合わしておりませんので恐縮でありますが、昨年の七月の査察を開始いたしましてから今日まで、と申しますのは、十二月末までの実績は、査察をいたしました件数が約二千五百件であります。その中、告発をいたしました件数が約百六十件、査察によりまして租税の増徴になりました金額が、と申しますのは、調査によりまして元の申告された税額よりも増加しました金額が、百四十億円程度に相成つております。この百四十億円には加算税並びに追徴金、追徴税が含まれておるのであります。
  14. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 この五千四百九十億というのは昨年の当初においてイーマルな状態を考えておやりになつたと思いますが、昨年度の末から金詰りとか或いは物価の下落によつて相当一般に打撃を受けておりますが、果してこの年度末に一千億円というものをお取りになるということは、やはり結局割当というようなことなるのではないかと思いますが……。
  15. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 五千百五十数億円という数字は、当初予算と大体数字においてそう大差はないのでありますが、実はこれは補正予算数字でありまして、補正予算の際に、最も今日徴税上困難を感じており、又納税者としてもインフレの停止によりまして所得の増大の割合の少かつたところの一般事業所得に関しましては、当初予算の千九百億円を補正予算におきまして千七百億円と、二百億だけ減少いたしておるのであります。併しながらこの千七百億円につきましても、先程お話し申上げました通り、全部完全に収入をなし得るかどうかという点については、只今確信を持つているわけではございません。私共といたしましては今年度目標制度を完全に廃止いたしております。従つて割当もいたしておりませんし、水増し課税というような言葉を以てときどき批判を頂いておつたのでありますが、そういうようなことは今年は絶対にないようということを期して監督いたしておりますので、従つてこの千七百億円につきましても、或る程度予算額によりも下廻る結果を生ずるのではないかという予想を、只今のところしておる次第であります。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 査察の結果についてのお話がありましたが、法人などもやられたんですな。
  17. 高橋衞

    説明員高橋衞君) そうでございます。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この告発の百六十件、この中には法人個人、どつちが多いですか。
  19. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 個人は極めて少いのでございまして、殆んど大部分が法人とお考え願いたいと思います。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その告発百六十件、その中で顯著なるものについて、分つたらその資料提出して貰いたいのです。どの程度のそういう脱税なりをやつているか、我々そういう具体的な例を知りたいのです。今後の徴税のいろいろな参考にいたしたいわけでありますが、そういう資料を、全部は無理でしようが、その顯著なるものについて提出を願いたい。
  21. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 御承知通り告発いたしましても、検察庁で以て起訴いたしますまでに更に再調いたしますので、告発をしまして後起訴になるまでは実は発表を禁ぜられておりますので、起訴になりました事件の中主なるものを差上げることにいたしたいと思います。
  22. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから先程、補正予算ですが、申告納税の方ですが、あれは千九百億から約千七百億に減らした……、これを減らした根拠はどういうところにあるのですか。いわゆる自然減收として減らしておるようですが、その根拠はどういうところにあつたんでしようか。
  23. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 実はこの予算見積りに関しては主管が主税局でございますので、私の方からお答え申上げるのはどうかと考えるのでありますが、実は当初予算決定いたしまするときの推算の基礎は、大体一昨年の八、九月頃の情勢を基礎にして予算を組立てたのでありますが、その後例えば生産の増強の割合でありまするとか、又は物価の騰落の割合等から勘案いたしまして、当初の見積りをそれぞれ修正いたしました結果、大体二百億円程度減收を見込まざるを得なくなつた次第であります。
  24. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先程、西川さんからもお話があつたのですが、昨年度より一応金額としては、後、徴收未納の分として残るものは少い。ですから経済界その他に與える影響は大したことはないというお話ですが、実際問題としてやはり非常な金詰りでもありますし收入も減つている、そういう状況を考えますと、これをもう本当に強行されると、やはり昨年の一、三、四月頃起つたようなことが起る危險はないのでございますか。今のお話ですと、割合スムーズに納入できるような感じを抱いたのですが、やはり相当むずかしい問題が起つて来るんじやないでしようか。
  25. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 昨年は、実は所得調査にいたしましても、私共の言葉実額調査と申しますが、具体的にその事業者に対しまして帳薄等によつて收支調査をいたしました割合は、僅かに全国で、平均しまして六%しかないのであります。今年度はそういうふうな。僅かの数の実額調査基礎にして、他を推定して行くというやり方は如何にも不安心であるという考え方からいたしまして、当初目標として、少くとも納税の三割程度実額調査をやつて行きたいということで、計画を立て、第一線税務官吏も非常な勉強をして貰つて参つたのでありますが、併しながら目標の二割程度までの実額調査は、只今までの成績から見ましてなかなか困難のようであります。併しながら昨年よりは少くとも二倍以上の調査は十分出来ているつもりであります。従つて余程昨年に比較いたしまするというと根拠のある調査が出来て来ておると考えておるのであります。又一方におきまして、昨年は目標制度等もありました関係上、率直に申上げまして、第一線において相当無理があつたかと思うのでありますが、今年度におきましては、そういうふうな苟くも無理に亘ることは絶対に避けるという建前を以て考えているのであります。私共はその千七百億円の收入を絶対に確保するという建前ではなしに、むしろ本当にその人の所得の実態に合つたところの決定をして行くという建前を以て指導しておりますので、お話のような点は、今年は相当緩和されるのではないかというふうに考えております。成る程非常な金詰りであり、全般的に非常に困難な状況にあるということは、私共も誠に同感するところでありますが、併しながら一方において他の数字を見てみますと、昨年におけるところの貯蓄の実況は、目標でありまする二千五百億円に対して、三千何百億でありますか、ちよつと今数字を忘れましたが、少くとも三千億以上の貯蓄をなし得たと思う。又酒の売行きが最近非常にいいのであります。当初の予算におきましては、御承知通り六百五十億円を予定しておつたのでありますが、価格の改訂は全然いたしませんで、尚且つ、今年度七百五十億円の予算に対して更に或る程度増收が見込まれるんではないかという予想さえ最近持つておるのであります。従いまして個々の納税者については、非常な金詰りの方もおありであろうと思いますが、全部が全部そうではなくて、金を持つている方も相当あると、而も先程の貯蓄実績というものは、むしろ大口貯蓄ではなしに、極めて小口貯蓄件数が、非常に殖えたということは実績を以て示しておる。従いまして、私共はそれ程この問題について悲観的見方は持つていないのでございます。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今お話承りまして、査察をやつたり、又実額調査をやられることは、非常に賛成でして、非常にいいことだと思う。そこで実はもうあなたに申上げる必要はないと思うのですが、結局税の徴收のときに一番必要なものは所得を捕捉することですね。その場合について、今お話しのように貯蓄相当殖えている。これについてはいろいろ問題があると思う。例えば預合とか、或いはウインドウドレツシイングで殖えているのも相当あると思うが、それを除いても相当殖えている。そこで調べて見たのですが、全額別預金を調べてみますと、非常に大口が多い。小口は非常に少い。金額別口数別を調べてみますと、大体五千円以下が七割ぐらい。それ以上が、百万円、一千万円、そういうものがありますが、それは僅か一割以下の口数で、全体の預金がとにかく七割ぐらい殖えている。そういうように非常に偏在しているのですな。そこで我々しよつ中預金調査をやらなければいけないとか、無記名預金はいかんとか、そういうことを主張して来ているわけですが、今度シヤウプさんの勧告によつてやるかと思うのですが、この点実額調査の結果、やはり相当大きいところに偏在して所得があつた、こういうふうなお感じがなかつたのですか。
  27. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 御承知通り所得の百万円以上のものにつきましては、昨年の六月に、国税庁発足と同時にこれを全部調査課の所管にいたしまして、又法人につきましても、三百万円以上の資本金法人はすべてそのようになつております。これらの大納税者に関しましては、全部一人残らず、必ず調査をする、そして決定するという方針を採つております。法人等につきましては人手の不足等によりまして、二十五年度に繰越するものが或る程度がざいますが、個人につきましては、年度内に殆んで全部調査を完了し得る予定でございます。その今までの調査の結果によつて見ますると、特殊な、非常に増額をした例はございまするが、全般的な見当といたしましては、低い方の実額調査割合と大体同じような工合になつております。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 実額調査の結果、安本国民所得調査室ですか、ああいう所でしておりますが、そういうものとの開きですが、相当あるのじやないかと思うのですが、それは実額調査の結果、相当貴重な資料だと思うのですが、どういうふうにお感じなつたでしようか。
  29. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 御承知通り安本国民所得推計は、基礎控除になつて納税義務がなくなつたもの並びに附加所得というものを全部含んでおります。従いまして、大体例えば勤労所得におきましては四〇%でありますとか、事業者所得につきましては三八%であるとかいうふうな……これは二十三年度数字でございますが、そういうふうな比率を示しているのであります。税務としてそのパーセンテージがどこまで行つたら全部把握できるかという問題は、これはなかなかむずかしい問題であります。又御承知通り国民所得推計というものが、必ずしも正確なものを掴んでいるとは私共も考え得られないのであります。従つて、今年度、二十三年度に比較いたしまして、どの程度進歩を見ているかということについても、確たる御回答を申上げることができないのでありますが、実は年度を過ぎませんと、これらの調査は結果がすつかり集計できないのであります。只今までのところは、大体今まで調査しました僅か一割何分かの実績の平均的な増加の割合を見ている程度でありまして、各業種別に、これでは全貌を掴むことは到底できません。或る業種につきましては三割程度できたものもあります。或る業種については、一割の調査しかできていないというふうな状態でありまして、只今の様子では、大体どの程度、今年度内に收入が得られるかという推定だけは、或る程度のものはつけておるのでありますけれども、国民所得比較等につきましては、まだちよつと時間的に困難でありますので、御了承願いたいと思います。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今まで国民所得を本にして、この程度だから税が重いとか、軽いとか、ああいうことは、余りおやりにならない方がいいということですか。
  31. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 何らかの、やはり資料がありませんと、私共も頭をまとめるのに非常に困難でありますので、勿論国民所得税收入基礎としては殆んど使つておりませんが、私共の予算見積ります際に、多少国民所得との比率は同時に参考として見ておる程度にお考え願いたいと思うのであります。
  32. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 外に御質問はございませんでしようか。
  33. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 青色申告制度をやられておるが、届出が少いということですが……。
  34. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 青色申告制につきましては、実は一月の当初から、各地でこの制度の普及に関するところの講習会等を繰返しやつて参つたのでありますが、その講習会状況は、非常に聽衆の方が熱心でありまして、殆んど予定されました人数の倍近くも来る。会場が立錐の余地がなくなる。而も二日間程度講習会をいつもいたして参つたのでありますが、その講習期間殆んど途中で退座する人もない状況でございました。尤も極めて特殊な所で、早くお帰りになつて、余り効果がなかつたという土地もあります。全般的に考えまして、各地共非常に熱心でありました。従いまして私共は、相当多数の届出があるものと期待しているのであります。ただあの規則にも書いてあります通り、帳簿の記載要件等は割合に簡単でありまして、実際に規則を見て、御覧になるようなむずかしさはないのでありますけれども、一月一日現在の棚下しを同時に届出ることをお願いしているのであります。これがちよつと面倒な点があるかと思うのでありまして、実は宣伝の期間も非常に少うございましたし、又いろいろ御説明する期間も非常に少かつたというふうな関係上、法律上は一月三十一日までという期限にしておりますけれども、その辺は余りやかましく言わないで、今漸くは、極めて短期間だけはお受けするようなふうに取扱いをしておるのであります。今まで、まだ一月末までの実際の状況は報告になつてつておりませんです。
  35. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 各地区共大変不成績だということを聞いておりますが……。
  36. 高橋衞

    説明員高橋衞君) あの青色申告制度の中で、法人個人と両方があるのでありますが、法人につきましては、殆んど届出でが、特に有力なる会社につきましては殆んど届出がないのであります。それから個人につきましても、又東京都内とか、あつちこつち散見しましたところ、或る程度の届出は出ていますが、何分確定申告の届出とダブつております関係上、税務署としては、その数字を取りまとめておりませんし、確たる状況はまだ分つていないのであります。
  37. 高橋龍太郎

    高橋龍太郎君 今のこの青色申告は、私関係の商工会議所方面で、各地でもお世話しておるのですが、講習会の参加者は、私共も、今の御報告の通り、予定以上に多いのです。非常な盛況です。ところで実際どのくらい申込はあるか、今帳簿が極めて簡単だとおつしやるが、あの簡単な帳簿をつけることが実際にできない業者が、非常に多いのだろうと思いますね。それでは面倒で困るという声が非常に多いようです。あの講習会の参加者の多い点から、申告者が多いという見込はどうであろうかと私は思うております。むしろ参加者が多いのは、今国民が如何に税金のことに真劍になつておるかということを示しておるのかと思います。あれでもなかなかできないのですね、普通この辺の、やはり魚屋とか、何んとかは困難で、法人の方は殆んで申告するだろうと思いますが……。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の滞納のときの料金ですね、あれはいつ頃から安くするのですか。
  39. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 只今極く最近に提出されまする法案において改正になることと相成ると思いますが、只今政府で検討しております案は、加算税を四千円、延滞金を四千円、而も延滞金につきましては、最高税額の五%止りという案で、只今検討を進めておる次第であります。実施期日は四月一日からということに相成るかと考えます。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから実際の問題ですけれども、地方税と国税と相当競合しないのでしようか。僕も自分で痛切に感じておるのですが、国税を納める、地方税も相当つておりますね。そこで地方税も皺寄せして来て、国税と相当競合するのじやないでしようか。その点どうなんでございましようか。
  41. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 只今の御質問は、多分今度の、二十五年度についての……。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 二十四年度一——三分。
  43. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 実はその点は十分に私共も検討しておらんのでございますが、昨年との比較におきまして、十二月までにおけるところの国税の收入実績が非常によくなつて参りましたので、一——三月におけるところの收入においても、先程お話ししましたような見透しを持つておる次第であります。地方税についても、大体同じような状況じやないかというふうに私共伺つておるのでございますが、これは別の所管でございますので……。
  44. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ところが実際国税を納める場合にも、相当考慮しなければならないと思うのでありますが、国税は納まつておる。しかし地方税で我々が聞きますと、軒なみに延滞、むしろ差押えてくれということを頼んでおる。差押えて貰うと、延滞の利息が一応なくなる。それでもう実際軒なみにそうなつておりますね。だから国税の方は取つちやつた。地方税は相当そういう皺寄せしておるのじやないかと思うのですが。こういう点も全体の財政を考えると、地方税とのことも知つておらなければいけないのじやないかと思うのですが、国税さえ取ればいい、地方はどうでもいいというのじやいけないのじやないかと思います。
  45. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 実は私共も国税の徴収をなすに当りまして、地方税の納期がいつであるか、又そのときにどの程度つておるかということについては、相当な関心を持つておるのでありますが、昨年度と違いまして、これは二十四年度につきましては、各地方団体共、納期を国税よりも先に持つてつて、そうして早期に収入するという努力を非常にしておられます。それから税の滞納整理等に関しましては、税務署の職員は非常に限られておりますが、地方におきましては、区役所なら区役所を動員するということで、非常に熱心にやつておられるのでありまして、国税の方でむしろ脅威を感じておるということを正直に申上げたいと思います。
  46. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 他に御質問がございませんければ、ちよつと、板野君はまだ委員になつておられないですね。委員外でありますが、この場合発言をお許しすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 御異議ないと認めます。
  48. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) 私地方を廻つて見まして、今局長が目標制度とか水増し課税はやらないと言つておられるのですが、実際に地方を廻つて見ると、税務官吏がやつて来ておるのは、やはり一定の目標、これぐらいは取らなければいかんだろうということを前提にして、そうして中小業者や農民をいじめて行つているという恰好ですね。それから取引高税を前に徴収するというような場合にも、帳簿が非常に明確であつて、そうして而も間税課あたりがちやんと承認しておるものについても、やはり自分の管内における、つまり取引高税というものを一定の水準に達しないと、はつきりしておるものについても取引高税を水増しをして出して来ると、そうしないと我々の方で困るんだと、こういうふうなことを言つているんですね。局長のお話を聞くと非常に安心して地方へも帰えれるようですけれども、実際に現地へ行つて見ると、やはりその管内における一定の目標を與えられた予算内において、どうしても取上げて行こうと……、そうすると、法人ではうまくやつて行けるけれども、個人営業者という者はそれ程帳簿が明確でない。そういつたような場合に、どんなにしてもそれだけの決定をされたのではやつて行けないけれども、併しその地方に来ておる数字から見ると、その個人は厖大な額を拂わなければ承知して貰えんという実情なんですがね。
  49. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 昭和二十四年度におきましては、繰返し申上げましたように、目標制度は全然採つておりません。ただ各税務署から、どの程度収入があるだろうという見透しを、年度内に収入済になる見透しを何回か取つております。それはそのときどきに情勢が違いますので、変つて参ります。併しながらそれについて責任を持たせるという考え方は持つておりません。ただ国税庁といたしましては、こういうふうに目標制度もございませんし、又何とか所得の実体に即するところの課税をいたしますためには、各地の権衡と申しますか、各地の税務のやり方が実際に把握できるという方向に進まなければいけないというふうに考えまして、全国的に段々に見本を摘出いたしまして、それらの調査をやつております。その調査によりましてその税務署がどの程度調査が徹底しているか、どの程度調査が適切であるかということの批判をして参つております。それを基礎にして大体各税務署の努力を判定しておるわけであります。併しながらそのために或いは水増し課税になり、又は不当な課税になるということは恐らくあるまいかと思うのであります。勿論取引高税等につきまして帳簿がはつきりいたしておれば、それに対して更に水増しして農民を督促するということは明らかに不当でありまして、これはそういうことの実例がありますれば、修正するようにいたしたいと思います。只今まで私共地方に参りましていろいろ納税者の方からお話を伺うのですが、所得税についてはむしろ税務署の方の決定に異存はないけれども、何分にも金詰りで金が拂えないので、だからその程度申告しかできんのだというお話を伺つておるのであります。
  50. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) それじやもう一つお尋ねしたいのですが、二月、三月で一千億くらい取らなければならない。そうして一方では貯蓄は大体増加して来ておる傾向がある。実測調査としては、大体三割程度は実測調査を進めて行くのが困難だが、できるだけその方向に進めて行きたいということでありますが、どういう方面が、例えば預金が増加して来ておるが、どういう業種がよくて、どういう業態が悪いのでという大体の傾向ですね、そういうものを一応知つて置きたいと思うのですが、お分りなら知らして貰いたい。
  51. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 只今手許にその資料は持つておりませんので、はつきりしたことは申上げかねますが、大体預金の増加の割合は、農村よりも都市の方に移行しておるようであります。それから各業種別にどういう業種がより多く利益を得ておるかという問題につきましては、これは各地において非常に差があるのであります。或る土地におきましては料理屋、飲食店が非常に儲けておる。又或る土地におきましては化粧品の商売が利益を多く取つておる。いろいろ各地において非常に差がありますので、これも只今のところ報告も取つておりませんので、結果において全部を通じて数字が集めることができるようになれば、その状態が分ると思いますが、只今のところ確実なことを申上げる数字を持つておりません。
  52. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) それではできるだけ早い機会にそういう資料を若し提出して貰えれば提出して頂きたいと思います。そうしませんとすべて政府当局が言うことと、地方に行つての実態がいつも違つておるので、どういう観測をしておるか知りたいと思います。
  53. 高橋衞

    説明員高橋衞君) 例年税に対する調査実績、課税の実績を全部取りまとめて、統計として発表しておりますが、それが年度を過ぎませんとその統計ができませんので、而もこれが非常に、全国では八百万からの数字でございますので、検算いたしまいて、或る程度の日数がかかりますので、その点御了承を願いたいと思います。
  54. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 他に御質問ございませんければ本日はこの程度で散会いたしたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 黒田英雄

    理事黒田英雄君) 本日はこれで散会いたします。    午後三時八分散会  出席者は左の通り。    理事            黒田 英雄君            伊藤 保平君    委員            小林米三郎君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            高瀬荘太郎君            高橋龍太郎君            川上  嘉君            木村禧八郎君            米倉 龍也君   委員外議員            板野 勝次君   政府委員    大蔵政務次官  水田三喜男君   説明員    国税庁長官   高橋  衞君