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説明員(高木淳君)
漁船法案の今日までの経緯を申上げたいと思います。
この前の
国会で造船
法案が
提案されましたが、この中に
漁船の建造
許可を一般海運船舶と同様に運輸大臣の
許可にする条項がありました。これに対しまして
国会並びに
水産方面の要望で
漁船については
農林大臣の
許可に修正することが妥当であろうという修正の
意見が出ました。結局造船法は先の
国会で審議未了、それに関連しまして
漁船については単独に
漁船法を必要とするという
お話がございましたが、その後事務当局といたしまして
説明申上げます
法案を作成いたしたのであります。これの
内容につきましては一応予め
水産関係の御当局の了解も得ておるのであります。傍ら運輸省との折衝の、事務調整との問題か大きな部分を占めますので、昨年暮からいろいろ折衝いたしました。一月の終りに至りまして、先方から修正
意見が参りまして、之れと一緒にこの前の
国会で審議未了になりました造船法、これも向うから参
つた。それらを組み合せていろいろ両省で折衝いたしましたのでありますが、これまでのいろいろの歴史というものもその問題に加味いたしまして、なかなか一致点を認められません。一月末の次官会議に両省間で努カして祈れ合うようにするからということで一応
法案を提出しよう。続いての閣議でも一応両省努力してという、保留ということで閣議が決ま
つてお
つたのであります。その
提案いたしました中身を、事務当局の案でございますが、
一つの
考え方として、先般お配りしました印刷に基いて概要を申上げたいと思います。
これは二つの部分を
考えまして、ただ
漁船が
戦争後量的に足りないということから、急速に建造しようとする戦後の動きがありました。いろいろのお魚の
資源、資材、その外いろいろの面から睨み合せて合理的に運営して行こうという面から見て、
漁船の管理の必要がある。第二の問題は、
漁船の質の改善。できた船が優秀な、十分
漁業に役立つ船であるように、この二つの面からこの
法案を作りましたのでございます。
第一の管理の面から申しますと、これは現在の運輸省の
法律にございます臨時船舶管理法、これは造船
許可を取扱
つておるのでございますが、これに
漁船に
関係いたします部門は、現在は、
水産庁でその下働きといたしまして、いろいろ種類の扱いをいたしておりますが、これらの面を下働きじやなしに、立派な、表に立
つて法律的な裏付けを以て
漁船の建造
許可をいたして行こうという
考え方であります。これは動力船、無動力船の中で、動力
漁船について取扱おう。その動力
漁船も大きいのから小さいのまでございまして、仕事の
関係から一元的と申すと、小さな船になりますとなかなか距離的に日のかかることも生じて、
漁業者に不便をお掛けしてはということで現在扱
つておりますと同じように、船の長さ十五メートル、これは
漁船で申しますと大体十五トン前後になりますが、これ以上の船は
農林大臣、十五メートル未満の船は地方長官の下で建造
許可を扱
つて貰う。これは新造だけでありません。改造の場合も、又他の船舶が
漁船に移
つて参ります分も、この中に含まれております。
次は
漁船の登録の問題でございます。登録は現在
ポツダム政令によりまして全国各地の
漁船、動力無動力を問はず扱
つておりますが、この
政令を基にいたしまして、この初めの動力
漁船の調整、建造
許可と結び合せた書き方でこの登録の部門を書いております。
第二の
漁船の質の改善という面におきましては、先ず一隻々々の改善という面におきましては、先ず一隻々々の
漁船の質の改善ということを念願いたしまして、二十三年から始めました
漁船の依頼検査、これは現在もいたしておりますが、一隻々々の船を立派な
漁船であるように、
水産庁の方が船主と一緒に監督しておる制度であります。これを活かしまして
法律的に背景を作ろう。折角依頼検査をして細かな所まで見て上げるのでありますから、国としては現在船舶安全法によります検査がございますが、これを兼ねるものとして向うの検査を省略する。それから先般運輸省の中で船のトン数を測ります積量測度と船の検査とが担当が変りまして、前者は船舶局
関係、後者は海上保安庁と、窓口が変
つておりますので、
漁業者に大変御不便をかけております。丁度依頼検査によりまして検査をいたしておりますのでありますが、その積量測度も併せて向うの代りするということも
考えております。もう
一つは、これは、これまで申上げましたのは、船主の自由で、以来検査を願うことになる。船主の依頼によるのでありますが、
農林大臣の
漁業許可をする船につきましては、できるなら優秀な船であると、農林省がいろいろ
考えるということからこれを依頼検査と言わずに、強制的にこの依頼検査の制度を及ぼしたらどうかという要望も出ておりましたので、それも織込んでおります。これは一隻々々の
漁船をいい船にしようという
考え方であります。
それから
漁船全体につきまして申しますと、いろいろ改良すべき点が多々ございますが、小さな船であるということから、船舶の隅にあるということから、余り積極的な改善が行われておりません。そのためにいつまでも、経済的に見ると、例えて申しますと、もつと燃油の消費量が少くて済むやり方があるのに、そのままにな
つている。これを全体的にそれらの
損失を少くしようということの研究をやろう、これは
漁業者からの御依頼によりまして、又この研究機関自身の力によりまして
漁船の船型の改善なり、機関の改善なりして行こうという面でございます。これが質的改善でございます。
それで第一と第二の部門につきまして、一般
漁業関係のいろいろ御
意見を伺うために
漁船審議会というものを
考えております。
それからもう
一つ、
漁船では二十トン以上の船は登記、登録をいたしまして、不動産の抵当権、これが設定できますが、その未満になりますと、設定できません。それで財団というものもありますが、それ以外では、これまで抵当権の設定ができないために、金融の
対象にならないという御不便の声をよく伺
つております。
漁船に保険をかけてもこれが
対象にならない。で、この際
漁業者でそう御希望される向きには抵当権の設定ができるように登記
関係の手続を変えたらどうかということでこれに謳
つているのであります。大体概略は以上申上げたところでございます。
で、こういう案で運輸省と折衝いたしましたのでありますが、先方からは、第一は
漁船の建造
許可について、
漁船はこの
漁船法では船主の側から建造
許可を出しておられるのだから、自分達の方は、造船所の、造船工業の面から
許可をしよう、これは譲れない。それから
漁船の検査の面でございまするが、これは
漁船に限らず、海上における人名の安全のための国際条約から一元的に海上保安庁がや
つているんだから、これを二つに分けるということは、その条約の
関係もあるからできない。積量測度につきましても同じような言分を申して参りました。一番大きなポイントがいずれも妥協する点に参りません。ただ先方が受けて参りました点は、
漁船の研究の面でございまして、現在船舶試験所でや
つておるいろいろのことにひびが入らないところで文章をお書き願うならば自分の方としては差支ないということ、それから私の方は、先程の
説明で申上げませんでした点といたしましては、二十トン未満の
漁船であ
つてもこれは皆県庁へ登録いたします。そうすると船鑑札は大抵七割、全国の七割の県では
水産課がいたしております。同じ
漁船に対して船鑑札とそれから
漁船の登録が二重になるではないか。この点につきましては、向うの船鑑札規則を
改正して、
漁船に関する分は登録を以てこれを兼ねるというふうに折れたい、こう申して来ております。それでなかなか妥結いたしませんので、
政府提案といたしまして、最後の閣議までに割り切れませんでした。それでこの前の
国会の衆議院に出ました
関係もありまして、この前の衆議院の
委員会の方では、若し割切れない、又
政府提案とすると次の
国会まで延びるということでは
漁業者に不便をかけるから、
国会提案として出すべきじやないか、という
お話も出て、今その方に移りつつあるところでございます。大体以上でございます。