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1950-04-19 第7回国会 参議院 図書館運営委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十九日(水曜日)    午後四時四十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国立国会図書館経過報告   —————————————
  2. 三木治朗

    委員長三木治朗君) それでは只今から開会いたします。  国立国会図書館経過についての報告金森図書館長からお願いいたします。
  3. 金森徳次郎

    国立国会図書館金森徳次郎君) 国立国会図書館の過去の経過につきましては、二十四年の九月まではすでに御報告を了しておりますので、昨年の十月から本年の三月までの経過を申上げたいと存じます。  大体はこの計数に亘るものが多いのでありまするから、一応はその計数を書きましたものを図書館経過報告資料としてお手許に差出して置きました。大体それにその数字利用しつつ御報告を申上げたいと存じます。幾つかの項目になつておりまするが、先ず第一にこの図書館の組織の点につきましては特別に大きな変りはございません。併し学術会議図書館支部図書館として昨年の十一月に設置をいたしました。つまり支部図書館一つ殖えたのであります。  第二に人事の問題でありまするが、これとても格別の変化はございません。いろいろな新陳代謝はございまするけれども、比較的軽微な問題であるわけです。  それから次に、国会に対する奉仕の点を申上げまするが、私の方の図書館国会に対する奉仕に重点を置かなければならんのでありまして、そこでこの中のこの立法考査局におきまして、常に国会側の御要求に従い、又は自発的に調査をしておりまするが、この期におきましていろいろな調査をいたしましたのが百九十一件であります。但し電話等によりまする簡單調査はこの数の外に外して置きました。尚、印刷物にいたしました調査書類は十八册ございます。それから次に、同じ奉仕の中ではありまするが、国会分館がこの議会の建物の中に存在しております。よく世間議員方々図書館書物を御利用にならないというような風説を流しておりまするけれども、実際はそれと違つておりまして、この分館において貸出手続で御利用なつ書物が四千百五十五冊であり、又その閲覽述べ人員は千九百八十一人になつております。尚、これは公開されておる資料でありまするから、特に貸出手続によらずしてお使いになるのが大部分でありまするが、そちらの方の統計数字はこれは記憶することができないのでありまして、多分先に述べました数字の数倍に亘るものと存じております。それから次に、従来いろいろな機会に御要求になりましたのは、議員宿舍であるというような所、或いは議員会館等におきまして図書を必要とする場合があり、それに対して巡回文庫を作つたらどうかという考えが起りまして、昨年の十二月二十三日から巡回文庫を開設し、成るべく経費をかけないで多くの公益の生じまするように努めております。  それから第四の点といたしまして、この行政司法部門への奉仕でありまするが、この点におきまして一つの大きな問題は、行政司法部門図書館は実際今まで軽く見られておりましたけれども、特殊の図書館でして、つまり農林省は農林の図書館として、或いは裁判所は裁判関係図書図書館として非常な活躍を示しておりまするので、実際そこで買入れまする書物はこの中央館の買入れまする書物よりも数が多いくらいであります。で、その第一歩といたしまして、各支部図書館にありまする書物一つの自録カードにまとめ上げて、どこにどういう本があるかをはつきりさせて、お互い利用を図り、各図書館相互の間の利用を図るということを計画しておりました。段々取運びまして目録カード今期終りにおきまして、六万三千枚以上になつたのでございます。こういうようなカードが、段々高まつて行きますると、支部図書館書物が一目して分りまして、それを交換する利益が起つて来るものと考えております。  それから次に一般図書館の姿を以ちまして活躍しておる面、大体は公衆に対する奉仕でありまするが、その面のことを申上げまするが、新らしく外国書物相当つて参りました。それはケア物資として若干の書物が入りましたし、ロックフェラーから一千冊余の書物が入りましたので、これらの新着洋書を以て特別の閲覽室を作りまして、特に洋書利用する方々の便利を図りまして、図書館一般は満員の場合におきましても、この部屋は比較的自由に読書のできるようにいたしております。尚この中央館、つまり赤坂離宮にありまする図書館活動状況は平均いたしまして、閲覽者が一日に四百人ぐらい、通計いたしまして五万八千四百六十人になつております。これは図書館の性質上非常に多くなることができません。上野の方が相当沢山あるのでありまして、これと相俟つて図書館一般の機能を発揮しております。  次に、同じく一般図書館仕事の中でありますが、印刷カードの問題がございます。印刷カードと申しまするのは、新らしく日本でできました書物について、一冊の書物につき一色の印刷カードを作りまして、我々の図書館でこれを利用するばかりでなく、あちらこちらの図書館でも、利用をして貰い、更には一般に売出して一般利用に供しようという計画のものであります。予算の関係もありまするので、今まだ本格的にはなつておりませんが、今期に刷りましたのは一万二千冊分に対するカードを作りまして、その合計は七十八万八千余枚になつております。通計いたしまするとその八十四万ばかりのカードを印刷いたしまして、これが極く少数はアメリカにも送られております。  次にマイクロ・フイルムの問題がございます。日本ではまだこの書物を小さくフイルム写真に写しまして、利用に供する途はまだ余り広くは使われておりません。併しなんといたしましても、この方面が発達しなければなりませんので、いろいろこの技術の面と行政の面との双方に亘りまして委員会などを設けて研究をいたしております。今度の状況として御報告申上げたいのは、マイクロカードというものを試作いたしまして、フイルムには写さないで、紙に書物を縮刷いたしますのがこの趣旨であります。丁度この図書館カードぐらいの大きさの紙を基にいたしまして、その一枚のカードに数十ページの書物を小さく写し、一枚のカードを持つておりますれば、数十ページの書物を持つと同じような価値を與えるのが趣旨でありまするが、私共は特別なる設備も何も持つておりませんけれども、大学の小穴という專門の博士と、それから写真材料專門家である西村氏とこの二人の手によりまして、一応日本的にマイクロカードを作ることに成功いたしました。また砂作に過ぎませんけれども、実用には適する程度のものであります。又フイルムに写します方はまだ本格的にはやられませんけれども、特別な要求に応じてやつておりますが、今期やりましたのは米国のフーバーライブラリーの希望によりまして、二千百三十五ページの新聞紙を写しました。又京都大学の文学部の依頼によりまして、東洋文庫にありまするキリシタン国係書およそ二千ページを撮影いたしました。こういうふうに段々縮刷写真をやつておりますれば、自然内外にその途が開かれて来ることと考えております。  それから外国との交換、即ち国際交換業務に移りますが、この期に外国へ送りました日本資料は一万二千点を超えております。又外国から受付けました資料は一万点を超えております。主として官庁出版物或いは公署出版物であります。尚この外に私共が例えば郵便局のような立場に立ちまして、日本の種々なる方面から外国の種々なる方面書物を寄贈し、又は外国の種種なる機関から日本の諸機関に送るというような国際的交換斡旋業務相当にやつておりますし、又ユネスコ関係の文書の交換も若干の数に上つているのであります。  それから次に、同じく図書館事務でございますが、私共の方の図書館にどんなふうに書物が殖えて来たかという点を申しますと、この期の図書の増加は六万七千九百三十二册であります。半期に六万七千九百三十二册増加いたしますることは、普通から見れば異例でありまするが、これはかねて御配慮を得ておりました解散団体でありますところの日本業報国会図書、即ち元の労働科学研究所図書四万余册を含んでいるからさような大きな数になつたのであります。それでなければちよつとむずかしい数であります。  次に、仕事をしておりまする庁舍の問題に移りますが、今日の赤坂離宮の跡で仕事をいたしますことは、立ち行きとしては止むを得なかつたのでありますけれども、これは議会との関係が甚だ疎くなるという弱点を持つておりますし、実際種々な活動をいいます上に不便であります。そこで三宅坂の附近に漸次仮庁舍を造りまして、差当り必要なことを担任するようにしております。この期にも庁舍一つだけでききして、そこで主として立法考査仕事官庁資料仕事をやつております。漸次これが完備いたしますならば、議会に対する諸般の事務は比較的楽にできるものと考えております。  大体主な事柄はそのくらいでございまするが、尚、終りユネスコとの関係のことを少しばかり附加えて置きたいと思います。ユネスコ仕事図書館との関係はかねがね若干の問題になつておりましたが、極く細い線でこの仕事図書館で取計つております。と申しますのは、ユネスコ関係一つは文部省の所管になりますし、一つは外務省の所管になるのであります囲図書館といたしまして担任をいたしますのは主として書物交換、又交換に必要な情報を取交わすということに限定せられているのであります。その線に沿いましていろいろの書物調査して報告書などを送つているのであります。尚最近に至りましてユネスコの本部の方で世界の人々から書物関係ビブリオ・グラフィーと申しますか、書物に関しまする或る調査意見を出して貰いたいという希望がございまして、その結果日本からも成るべく書物関係ある多くの人の意見を取りまとめまして、そこに参考のために意見を出すことが向うから希望されておるのであります。但しこれは事柄は技術的なものでありまして、例えば書物の分類をどんな方法に従うのがいいのか、こんなような問題のことでありまするから、その取扱いについても尚多くのこれからの準備を要します。と申しますのは、成るべく日本の多くの図書館の人の意見を聽いて、そうしてビブリオ・グラフィーに関しまする考え方を取りまとめて、諸国と歩調を揃えて材料を提供するという仕事でありますので、今後尚少しく時間を要するものかと考えております。大体目ぼしいところの事実は以上御報告を申上げました通りでございますが、然るべくお取扱いを願いたいと存じます。
  4. 三木治朗

    委員長三木治朗君) 只今館長報告に対しまして、御質疑がありましたらばどうぞ……
  5. 金子洋文

    金子洋文君 書類の十四にあります「国際的交換により受理した資料」ですね、沢山の本が挙げてありますが、これは交換によるものですか。寄贈によるものですか。
  6. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) これは原理は交換によるものであります。併し交換によると申しましても一つ一つぴつたりと交換するのでなくして、まあお互いの間に抽象的な交換の約束があつて、貰つたりやつたりするというのが普通でございます。
  7. 金子洋文

    金子洋文君 こういう各大学との繋りはどういうふうな工合でできたものですかね。
  8. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) この国際交換ということは、図書館立場で見ますると、多分どこの国の図書館でも非常に大切なことでありまして、図書館が一々金を拂つて本を貰うということではなかなか材料が集りません。例えばアメリカのコングレス・ライブラリーなどは金を拂うのは全体の一七%とか言つておりまして、あとはただで貰うか、交換をするか、こういうことであります。私共の方でもそれを考えておりまして、先ずアメリカ合衆国と日本とは官庁出版物を全部交換する。向うのものは全部こつちに貰つて、こつちのものは全部出すという体制を以てやつております。ところがそれ以外の国、フランスベルギー、デンマークというような国、それから又各州の大学などはそういうふうに全部的にという工合になかなか行きません。それでまあ両方の考えで自発的にいろいろ交換をしております。ベルギーなどはこつちからいろいろ申込んで成るべく呉れないかということを申しまして向うから呉れる。その代りこちらからそれに凡そ匹敵するようなものを送るという方針を取つております。こちらから交換いたします材料は実は余りないのでありまして、向うから呉れるものは相当沢山ございますけれども、こつちから交換するものは余りございません。まあ官庁出版物とか、地方公共団体出版物など中心にいたしまして、場合によりましてはそれより少しくはみ出しておりますけれども、例えば日本国際條約を印刷したものなどもやつております。まあいろいろ相手の註文を聞いてやるのでありまするから、これは個別的に違つておるわけであります。
  9. 金子洋文

    金子洋文君 アメリカに次いでフランスが大変多いようですが、それはどういう事情によるものか。それからイギリス一つもないようです。一册もないようですが、これはどういう事情によるものか。第三は東洋における国との交換がなされていないようですが、その点どういう……
  10. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) フランスベルギーは少しこちらから積極的に話しかけたような事情もありまして、割合順当に参りました。ところがイギリスの方はこちらから話しかけましたけれども、どうも向うはこういう交換を好まないようでありまして、うまく行かないのでございます。ただ話合はしておりますけれども、そう思うようにできませんので、向うのこちらに来ておるレッドマンという人に相当話は進めておりますが、さような事情であります。それから東洋につきましてはなかなか思うに任せませんので、中国関係ではここに出ておりますが、少しずつ……、中国と言いましても古い制度中国でありますが、その代表者との間に極めて僅かずつ交換をしております。それからインドあたりでは向う大学から主に農業に関する学術的資料を求めて来ておりまして、これは多少の交換をしておりますが、何しろ分量が少いのであります。こういう方面が開かれましたのはユネスコ関係を結びまして、ユネスコ交換をする一つの單位としてこちらが名乘りを上げまして、それから向うから註文が来たというような状態になつておりまして、まだ十分には行つておりませんです。
  11. 金子洋文

    金子洋文君 次にお尋ねしたいのは、調査及び立法考査局考査件数のことですが、百十一件になつておりますね。これはこの数字は段々殖える傾向になるでしようか、どうでしようか。
  12. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君)これは殖える傾向になつておりまして、数は少しく……今空で覚えておりませんが、この期は前期に比べまして相当量殖えておるのでございます。
  13. 金子洋文

    金子洋文君 これは少し質問より意見が加りますが、どういてもこれを考査局活動を活溌にせしめるためには、各政党政務調査会に積極的に人を送るというふうなことをやつてはどうかということを考えておるのでありますが、どの点の関係はどういうふうになつておるのでしようか。
  14. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 政党事務所と連絡を取ることはもとより必要でありますけれども、こちらから人を出すということは多少政党と積極的に関係を持つということも考えまして、今は実際はやつておりませんです。ただ政党の方から御註文があれば、これに応じまして私の方は十分の連絡を取つておりまして、この調査のうちには政党の御希望によつてつておるものも含まれておるわけであります。
  15. 金子洋文

    金子洋文君 分りました。
  16. 三木治朗

    委員長三木治朗君) 外に御質問はございませんか。
  17. 松野喜内

    松野喜内君 今金子委員から御質問があつたと同じように、私もお尋ねしたいと思います。  私共こう足かけ三年の間に自分を省みてどうも思うに任せん、国会議員としての使命を達するためにはよく調査もし研究もし、読書もしたいと思うが、なかなか意に任せん。私は思うに、努力する気がありましても、数は多く時間に限りがある。我々議員はどういうふうにすれば本が最も活用できるかとか、或る本をどんなふうにやつたらば我々議員の頭に参考資料として活きて来るかということを考え通して来たのであります。誠にお恥して次第でありますが、例えば互いに研究課題委員会ごとに出しまして、それに対してそれぞれ專門員は無論のこと、調査員は無論のことでありましようが、そういつた方向研究を別に、輪論と申しましようか、研究発表と申しましようか、一々自分が初めから全部を読むということはなかなかできない、容易でない。それをどういうふうにすれば自分が読んだと同様に会得できるかと思つて思案していたのですが、こういうことについて何か館長のうまい工夫はありませんか、お尋ねいたします。
  18. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 仰せのような問題は相当大切だろうと思つております。はつきりした問題について調査をお求めになりますれば、私の方は何をおいても調査をしてお答え申上げるということは当然の義務でありまして、こちらの方も完全とはもとより申せませんが、努力をしております。今一つの面はこういうような問題をお考えになつて置くことが便利ではなかろうかという点を先に想像をいたしまして、調査をして御参考に供する。つまり註文を受けて調査をするのではなくて、こちらから見込で調査資料を差上げる、こういうことが一つの途であるのであります。これも実際はやつておりますけれども、事実謄写印刷をいたしましても、経費関係等もございまして、実は二、三百しかその版物ができませんので、そういうものは特に御希望のある方に御覧に入れるという途を解つております。その調査物は種々なる方法を以て発表いたしますからして、そういうときにおきまして御註文下されバ、その調査物を差上げる。まあここまでは今までやつております。ところで更にそれを起えまして、もう少し系統的に御便利になるような調査をすることはできないかという点でございま4が、今までのところ日本にある統計表、それの議員の方に必要である極く簡便なもの、かようなものは拵えておりまするが、尚アメリカで少しく見てヒントを得たのでありまするが、アメリカではまあいろいろなことをやつておるようであります。一つ複雜公聽会、その議論の結果を極めて簡單にまとめ上げて、ほんの僅かな時間で公聽会の行きつ戻りつした話の筋道が分る、こういう調べものを拵えております。或いは又公聽会でなくても、可なり複雑な法律案が出ましたときに、それを專門家のように面倒な見方をするのではなくて、法律をちつとも知らない人でも分る程度に、法律以外の言葉、極く平易な言葉でその中味を縮めて配るということもアメリカではやつております。又これは数が少しく違つて日本には当らんかも知れませんが、向うでは非常に沢山法律ができて議会にかかつておるというときに、なかなか一つ一つ法律議員の方が中味を知ることができませんので、何千と出ておりますものをとにかく簡單に拔萃いたしまして、その表を御覧になると大体どんな法律が今動いているかということが分るようなことをアメリカではやつておりますが、これも参考になると思つております。  それから又アメリカでは重要問題につきまして、それに関しまして世間で現われ意見を約めて出しているというものもございます。例えば原子力の問題につきまして、殆んど網羅的にいろいろな文献を漁りまして、毎月一册ずつ論文項目集とでもいうようなものを急行しておりますが、こういうものが若しお役に立つのであるならば、手不足のときはしようもありませんが、段段手を充実させてそういう方向にも進めたい、こう考えております。それ以上に亘りまして、現在でもときどき内部で見当を付けまして、今後の問題として大きくなりそうな問題、例えば人事制度とか或いは租税制度というようなものについても調査をしておりまして、運用命に応じてそれを差上げるという準備はいたしておりますがまあそれ以上どういうふうに考えて行きまするか、今後お智慧を拜借して、あらゆる面において仕上げて行きたいと存じております。議会に対する関係におきましては、私の方の仕事立法調査が一磨重要でありまして、こちらの方に力を注がなければならんのであります。アメリカでは何でも主なる職員が八百十人、その外に従たる職員がそれに近い程ございまして、三百五十人乃至四百人近くがこれに従事しておるのでありますが、私の方では何分五十数人というくらいでございまして、思うようには行きませんが、これから発展するものでありますから、お智慧をこの上とも拜借したいと考えております。
  19. 松野喜内

    松野喜内君 図書館長さんの御報告と、それからアメリカと比較して将来こうありたいということを伺つて、大変心強いと思うのです。先程私は自分達議員生活、特に国会図書館運営委員としての過去を顧みて、且つ恥じ且つ実際どんなふうに行つたらいいかという意味から申上げたので、大変参考になりましたが、それではお互いどういうものでしよう。運営委員会図書運営を本当によくふらしめるためには、先程館長さんは或いは議員の方からの註文、要望を求める、或いは求めないまでも、こちらからもこういうことが多分御参考になるだろうとお察し下さつて、現に私は感謝せねばならんのは、立法考査局その他から参考資料をまとめて頂きまして、大変有益にこれを拜見しております。議員一つ何と申しましようか、この運営委員会取持ち役になつて、全議員に向つて何か問題はありませんかと註文を取るとか斡旋の労を取るとか、注意を喚起するとか、或いは図書館運営委員であればこそ図書に比較的関心を多く持つておるような気がいたしますが、ともすれば忙しい議員生活では図書館の方に縁遠いような感じがせんでもないと思うのですから、活溌にこれを活用するために、我々運営委員会の者から呼びかける必要があるのではないかと思います。或いはこれを如何に運営したらいいか、先程館長さんがいろいろ将来に対する計画の点もおつしやつて下さいましたが、そんなふうに議員各位にも、或いは職員に向つても、意見を求めたらどんなものかということも思つております。つまり注意と興味と関心を持つて貰いたい。又折角刷つて下さつたその参考書を棚に積んでしまつて、これは誠にもつたいない、済まんと思いますが、いい識料だと思うがなかなか読切れんという人達もおる。そこで先程申上げた通り、折角これまでにして下すつたものを我々議員がよく眼を通して注意関心を以てこれを活かすのには、どうしたらいいかということを申上げましたのはそこなんです。そこで私は考えるのです。今日も頂載したこの刷物でも、これの要点をちやんと読んでおいて、その要点に触れて折角できたものを活かさなければならんと思うが、あの考査局でお出し下すつたものを丹念に読切れぬ場合も二、三ありますが、それをマークしておいて、この点は特にそれを編纂した人が力を入れた点として注意を引くように、丁度学徒を博覧会に連れて来ましても、沢山ふるところをこんな見ることはできませんが、注意すべきところを指摘すると、子供はちやんと注意して見るというように、頂いた資料を活かすのにはどういうふうにしたらいいかということを多くの議員各位にも意見を求め、或いは職員にも意見を求めたらどうかと思つて、私はその死蔵と申しましようか、紙屑みたいにされるのを歎くと同時に、その御苦労を活かさなければ済まんと思つて自分を鞭撻しなければならんような気もいたしますが、この上ともこれをお願いいたしたいと思いますが、これが活用の遂についてはいろいろありましようから、折角そういうふうに外の方にも意見聽取をお願い申上げます。
  20. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 只今のお話は誠に御尤もでありまして、私共始終その点を考えております。併し現在経費及び物資関係から、多数の名刷物余り立派にできておりません。ガリ版でできて、非常に保存にも適しないということを考えますると、或る時期にはこれをもつと分り易く活版にする。活版にして刷つても尚経済上ちやんとやつて行ける、こういうような計画を立てることはできないだろうか、これを第一点に考えております。  第二点といたしましては今仰せになりましたように、全部読むということは、これは誰にもできませんので、その内容を最も簡單に分り易く拔き書きをいたしまして、それをその報告書の前のところにくつ附ける、こういう工夫はどうであろうか、これが第二点であります。  それから次に、なかなか面倒な報告書の場合におきましては、索引を完備いたしておきまして、他日御揺になるときにさつと見られるというふうに、索引を完備する。こんな三点について研究を進めておりますが、印刷ができますと割合に楽なのでございますけれども、経費の点があつて今直ぐに目鼻も付きませんが、大体具体的な方法がほうふつとして眼前に現われて来ておる状況でございますから、いつかそこに踏み込めると考えております。
  21. 松野喜内

    松野喜内君 今數々御親切におつしやつて下さつたのでありますが、私はそれですから、印刷物のできたものをば分割して読むとか、共同して読むというようなことをして、その要点を発表するように、研究会と申しましようか輪読会と申しましようか、我々の時間と労力を共に合ち合い協力し合うことによつてそのできたものを消化することが、これは館長さんにお伺いするのではなく、我々議員自分で工夫しなければならんことであり、努めであると思うのでありますが、お教えを頂く意味でお尋ねした次第でありますが、これらに関しても、今後多くの方からの御意見一つまとめて頂きたいと要望申上げて置きます。  次に、管理の方面ですが、図書館の入口で消毒することまで御心配になつたところを赤坂で拜見しておるのですが、一体読んだ本に対して虫ぼしと申しましようか、日光にさらすとか、そういうことも地方によつてはあるようですが、読んだ人が手を洗うのみならず、何かアメリカ等で御覧になつて注意しなければならんことをお感じにならなかつたか、こういう点を伺います。
  22. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 管理の面につきましては、アメリカであちらこちら見て参りましたが、どうもアメリカでは本の消毒ということを、私の見ました範囲の図書館では余り考慮しておりません。向う国会図書館へ行きましたところ、向うの人が言うのには、あなたの図書館では入口で手を薬の液に突つ込ましておるということだが、本当かと言うので、その通りだと言いました。向う写真で初めこれを見て、日本は実に進んだことをやつておると思つて感心したのであつて自分図書館ではまだそれができない、こう言つておるような状況でありました。これは非常に困難なことでありまして、一册々々の本の消毒ができればいいと思いまするけれども、どうも向う余りそれもやつていないようで、向う国会図書館すらその点には触れておりませんでした。と申しまするのは、結局国民衞生が割合に発達しておりまして、至る所で手を洗うということが行き渡つておりまするから、比較的その点は軽く見ておるのではなかろうかと思つております。それから虫干しの点につきましては、これは誠に羨しいと思いましたけれども、向うでは空気に何か條件付けるエアー・コンディションという方法を採つておりまして、温度、濕度その他の点を常に考慮しております。そこで虫が付くかどうかということを聞きますと、大抵嘲笑つておりまして、そんなことはない、一遍入つて来るときに危險のあるものを予防して置きさえすれば後は何でもないと、こう言つておりました。私の方では空気を調節することができませんので、これも考えなければなりません。年に一度は虫干しのようなふうの時間を持つておりますけれども、現在のところは実は手がそこに及んでおりません。幸い西洋本の多い所は何でもございませんが、いわゆる和漢書という方面でございますと、これもよく気を付けなければならんのであります。私の方では支部図書館として靜嘉堂と東洋文庫を持つておりますが、こちらの方は可なり注意深く完全にやつております。却つて上野と私の方とはまだ十分にできない状況であります。
  23. 松野喜内

    松野喜内君 講堂を設けてのお考も表に上つておるようですし、又比較的あるようですが、図書館で学ぶ者が、学控の教室で学ぶのでなく、図書館によつて、社会教育という方面から見てもつまりあれを生きた一つの社会教育の学校とか大学考えた日においては、図書館にそういう指導をする人があつて、この本を生かして、つまり平易にその要点を或いは時所問題に、或いは学校の課程的には行かないまでも、何がし順序を決めて図書館即社会教育の学校とか大学というようなふうに講堂を利用したならば、図書館それ先生であり、図書館書物はテキスト以上に非常に効果があるというふうで、これを活用するふうに行くことが六三問題のみでなく、それ以上の者の働きつつ学び、学びつつ働く、パートタイムを利用して勉強しようという者に自由にお前らは読めというだけでなしに、適当に指導することが必要なりと考えますが、何かこれに対して将来やつてみようかとか、御覧になつてお感じになつた点がありますならば……
  24. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 今お話の問題は大切な問題でありまするが、まあ私共の方で教育に代るようなことをやることは、人手も少いし、又図書館全体が研究図書館であつて、教育図書館でないという点から見まして、やり方を余程考えなければならんと思つております。学校の図書館とか或いは地方の公共団体の図書館では可なり進んで教育に近いことをやることも一理あると思いますが、何しろああいう政党の上に超越をいたしまして、又そのときどきの教育方針等も超越いたしまして、図書館によつて最も自由な研究をして貰いたい、世界中にこの図書館だけは何らの圧迫もなく思うがままに本が読める、こういう所に仕立て上げたいのでありまするから、余り積極的に指導をするということは多少の危險も伴うものでありまして、そこの指導者が一種の思想を持つておりますれば、そういう思想の方にばかり人を引き込む虞れもあるのであります。そこで私の方で考えておりまするのは、御希望があつたときにどういう間をお読みになることが常識上よろしいかということをお答えするという態度をとつておりまして、中に、何といいますか、リファレンサーと私共の方で言つておりますが、人の質問に応じて場物の関係においてどういうような本がこの場合によさそうだ、中味までは入りませんが、一般に読まれるとか、これが新しい本であるとか、これが網羅的であるとかいうように軽い意味で本の世話をするという者は中におります。それが始終利用されております。それから今一つの面は、私考えておることでありまするが、図書館というものがただ本を見るというだけでなくて、図書館に行く度に本に親しみの念を持つ書物こそは文化の蓄積物でありまして、人間はどんなに学問があつても死んでしまう、どんな大きなことをした人もいつかは血統が絶たるのでありまするが、生き死にを超越いたしまして人間の努力を蓄えておるのは書物である、こういうふうに考えて行きますると、成るたけ書物を国民の頭に浸み込ませ、これに接近して親しむようにする、こういうふうに持つて行きたい、これは中味関係なく書物そのものに親しむという気分を作ることでありますから、図書館として許されることと思つております。その見地から申しますと、二つの方法考えられます。一つ図書に関する展覽会のようなもの、或いは展覽室、参考品展覽室というものを図書館の一部に設けまして、ここへ本を読みに来た人がたまたま通りすがりに、例えば世界の文献はどんなふうな状勢になつておるか、新らしい書物としてはどういうような角度のものが今世に現れておるか、古い書物としてはどういう書物に特色があるかというようなことが分るようにする、つまり図書館におきまして陳列室を拵えまして、そこにはときどき入れ換えはしておりますが、その設備をいたしますれば図書文化は非常に高まるのではなかろうか、こういうふうに考えております。今一つ図書館に来ない人にも我々の図書館一つの利益を供給する意味におきまして、図書館一つの雑誌を出しまして、図書館法の中に書いておりまするように、あらゆる日本図書館及び図書館人に対して奉仕をするという見地から、そういう人達が読んで役に立つ雑誌を出しまして、且つは又一般の人々がこの雑誌を読みまして、近頃外国からどんな本が入つて来ておるか、そのうちのめぼしいものは中味にどんなことが書いてあるか、或いはマイクロフイルムというものがどんな工合に今世の中に行われておるか、マイクロフイルムとしてどんな資料が入つておるかというふうに、書物に関しましての万般の知識を供給して、それによつて利益と楽しみを得るというようなことが必要ではなかろうか、こう考えておりまして、併しこれは国家に対して特に予算を要求するというわけにも行きませんので、この四月から試みに成るべく民間の方の金を出して頂してその雑誌を発行するような心組の下に簿い雑誌ではありますけれども、一冊の見本的なものを出しまして、これを成るべく日本の地方の図書館図書館人、又一般読書に親しむ人々に流して行きまして、その形をとつて行きましたならば、今回できました図書館法などと相並んで日本人が図書館というものはどんな働きのものだろう、どんな興味のあるものだろうというふうに親しんで来るのではなかろうかと思つております。先にも申しました印刷カードができますと、日本図書館が非常に便利になるとか、それから総合カタログができますと、日本図書館は皆ばらばらになつても実益の面では一つなつたと同じである、ということはなかなか口を酸つぱくいたしましても世間に行渡らせることはできません。こういうのは当然漁誌より外にいい途はないと思つて、今日から試みに出しまして、今は宣伝時代でありまするから、それを二千部ばかり各方面ただで配りまして、二、三冊の後にはあつちこつちで買つて貰う、それは二十円くらいの雑誌でありますが、そういう方針を持つております。各地に呼びかけてこれからひろめて行うとしておりますが、これも一つの途だろうと思つております。
  25. 松野喜内

    松野喜内君 その雑誌等で結構でありますが、時に図書館で映画等を催されるというようなことと共に、私更に希望意見を申して置きたいのは、やはり先程図書館に対しての、館長さんが縷々おつしやるそういつたところこそ、たとえ二週間に一遍でも館長さんから、図書館に来た御希望の方にお話しましようというので、映画を観なさつた方にお話して下すつたならば、図書に親しみ、本の読み上手、読み方についてはいろいろ有益な御指導が願えると思うから、学校の教育と同じようにとは決して申しませんけれども、図書館の本来の使命である本を活かす見方、指導振り、館長さん以下それぞれ適当にされれば、私は非常に親しみを持つて行き、非常に有益に、有効に行くというからやらせたい、今のことと、或いは今度図書館法ができて、村村において公民館を持ち、公民館、図書館とができて、或いは特に有益なる図書館を持つておるが、これらに対して国会図書館等が実によく行つている、よく行つておるとあれば、それが段々と地方に及ぶということを思いつつ、図書館利用法如何ということについて先ず館長さん始め講演を願つたり、雑誌も結構だが、読め読めという目で見るばかりでなしに、耳の方においても適当に刺戟を與える、そういう試みをして頂きたい。例えば名古屋方面に参りましても、あの図書館に教育に関するアメリカ図書はすべて来ておる。それを先生のために活かしている、巡回もしておる、難解、難問であろうと、明大の先生が解説して送つている、それを受取る、私はやつぱりここに図書館の工夫をいたして下さると見ておるのでありますが故に、持つているところの本は尊重しなければならんが、自由に読めと言つて放任するだけでなしに、非常に便宜を與え、面倒を見てやり、活かな工夫をする。こう私の所信を申せば、私は一層よく行くと思うのです。時に飜訳までもして上げましよう、或いは難解のものども御質問があればお答えして上げましよう、或いはこれこれの最近のものについては、今日はこんな関想を持つておりますと、始終本を扱つておる館長さんから御感想を承わりたいと、議員一般の者も一層感が深いと思いますので、書いたものだけを見るだけでなくして……、そういうふうなことをお伺いしたいのです。これは今日直ちにどうして頂くということではなしに、今後においてもお願いするという希望意見を申上げたわけであります。
  26. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 今の点実はこそこそやつておるのですけれども、どうも部屋もございませんし、それでは話を聞かすから寄つて来いと言つてもなかなか人の集ません事情もございまして、私今地方の人があの図書館ではなく図書館の建物を見物に来る場合に、ぞろぞろ来られるというときに、機会がありますればそういう地方の人々に庭とか、部屋とかに入つて貰いまして、然るべく図書館宣伝をやつております。それから飜訳なんかするものはやはり経費が嵩んでやれませんけれども、例えばフーヴァーの例のアメリカ行政区画の変更に関しまする報告書などは全部、非常に大部のものでありまするけれども、これはやはり飜訳して人様にお使いを願つた方がいいのじやないかと思いまして、飜訳を進めまして、ぼつぼつこれを出すことにいたしまして、殊にフーヴァー氏みずからの序文まで貰つて参りました。遠からず我々の飜訳の方も……余りますと今度は図書館の機能が踏越えられたうに思われますので、まあやつておりますが、一般の講演会はまだ遠慮しておりますが、漸次又機会あるごとにそれを進めて行くつもりは持つております。
  27. 松野喜内

    松野喜内君 大変館長さん大きくお考えのようですから、私は私共のそういつた要望までしては済まんから申しませんが、例えば広島においてはアメリカの婦人が世話して館長さんとやつておられる。最近その図書館を見た人において、そこでアメリカに行つたところの……洋裝のスタイル・ブック等があります。そうしますと、なかなか絵を見れば女は分る。絵だけ見れば分る。それにこの点は質問をしたい、ちよつと聞きたいから説明して貰いたいというようなところで、辞引を引けば分るがというときにちよつと解説をすれば分るというふうに、非常に言つて来るというので、現に英語がよく読めないので、スタイルブックは高いという声があるので、図書館というものへ行けば見れば分るが、説明を加えて貰いたい、根拠が分らんから、分らんところは震を見れば大体分るが、質問したい。そういう点を今申上げたように、やはり部分的にでも親切に世話して利用させているというふうな印象というものは感じたから申したのであります。一册丸きりじやなしに、それをやつておりますか。
  28. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) その点は或る程度つておる筈なんです。
  29. 三木治朗

    委員長三木治朗君) 御質疑も大体盡きたようですが、質疑を打つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 三木治朗

    委員長三木治朗君) それでは質疑は盡きたものといたしまして、国立国会図書館経過報告には御異議がないものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 三木治朗

    委員長三木治朗君) それでは御異議のないものと認めます。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後五時四十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     三木 治朗君    理事            徳川 宗敬君    委員            金子 洋文君            松野 喜内君            藤森 眞治君   国立国会図書館側    国立国会図書館    長       金森徳次郎