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国務大臣(
増田甲子七君) 私共は
千葉さんのお
考えにどうも同感できないのであります。それは
見解の相違と申しますか、成る程
人事院では一昨年の七月を
基準として我々に説明して来ておりますが、然らば一昨年の七月はどうであつたかと言いますと、
公務員の
給與はあなたの御存じの
通り三千七百九十一円で、そのときのC・P・Iに比べたらこれは殆んど問題にならない額である。ところが去年の七月の六千三百七円というものは、一昨年の七月のC・P・Iの三千七百九十一円とも、去年のC・P・Iと去年の六千三百七円の比率とも格段に
実質賃金は向上さしております。そこで我々は
千葉さんのその
前提の、
人事院の
勧告はもう
予算が無理でも何んでも、
財政が無理でも何んでもすべて呑まなければならないという
前提から出ていると私は思いますが、そういう
前提は私共は首肯いたしません。
人事院の
勧告は尊重すべきものである。極力尊重しなければならないということは同感であるが、
財政、
予算、
経済、
国民の負担というものの許し得るぎりぎりまで奮発すべきものである。ぎりぎりまで奮発して、それ以上できないものは、それ程
国民に迷惑を掛けてもよろしくないから、それはあなたの
前提に……
千葉さんも皆さんも御存じのことと思いますが、
政府は営利事業をや
つているわけではありません。金を持
つて年を越すということは惡いことなんです。
政府は
国民の
政府なんです。ですから
国民の負担が甚だしく殖えるということになるから、
国民負担の忍び得ない……
国民負担の問題が政治の一番大きい問題だと思
つております。税負担の問題が、税金闘争もそれですから非常に方々から起きております。ですから税イコール
国民負担になるわけです。
国民に代
つて私共は
機関として仕事をしておるに過ぎません。結局
国民の忍び得る限度まで
給與ベース、
国民の公僕である
公務員の
給與ベースを奮発すればよろしい。
国民の負担の忍び得ない限度までや
つて国家を破産させるということは、
政府はなんと言いますか、公僕としての
国民の
機関に過ぎませんから、
国民負担の忍び得る限度まで忍べばよろしい、こういう
意味なので、
勧告があればそれを百パーセント
国民負担がどうあろうと、
国民がどんなに苦しもうと、
財政がどうであろうと、安定対策がどうあろうと、すべてこれを呑むべきものであるということは私共は
考えておりません。
そこで私の先程の話に移りますが、一昨年の七月一日或いは一昨年の十一月は三千七百九十一円という当時のC・P・Iに比べたならば非常に零細な額でして、ともかくも我々は去年の三月倍近く上げたわけです。倍と
言つては少し語弊がありますが、とにかく三千円代から六千円代にした、その際に四百円は違いますが、
国民に忍んで頂いて、
国民の大多数の方々に、苦しいときだけれども、尚もう少し税金なんか重くなるけれども、忍んで下さいというわけで六千三百七円にして貰つた次第であります。そのときからいわゆるドツジ・プリンシプルを実行いたしまして、
物価は段々下
つておるのです。下
つておるのですけれども材料を取つたのが一年前だから、その材料から比べれば三〇%上つたれけども、倍近く上げたけれども、もう三〇%上げろということは、これはどうも忍びにくい。どういうわけで忍びにくいかというと、
安定政策遂行の上から、又
国民の皆さんが負担者である、そうして非常に税のことで喘いでおります。中小企業なんかが一番何で苦しむかというと、税で苦しんでおるのです。金融のことで苦しまずに、むしろ税で苦しんでおります。こういうふうに喘いでおりますから、先ずこの限度で我慢願いたい。そのうちには我々はよくなることもあると思
つています。将来のことを我々はいつも
言つております。
昭和五乃至九というものをいつもゴールにして来たのであります。
公務員の月給が七十五円で洋服二着買えた時代であります。大正十一年頃私は実は役人にな
つて、いわゆる
公務員の最低
生活から出発したのでありますが、当時七十五円頂いて洋服が二着できました。今日の六千三百七円ではできません。恐らく一着も完全にはできませんでしよう。ですからこれで以て我々は我慢しておりますが、我々の目標は
安定政策が遂行でき、そうして
経済の積極的
前提としての安定が成就したならば、その次に今度は
復興でございますから
復興いたしまして、極力力をつける。中小企業等も振興を図りまして、力をつけて、担税力もつけまして、現在は税で追い殺されそうですから、担税力も養いまして、そうして税金をもう少し負担して貰いまして……税金で月給が拂われることは御承知の
通りなんです。税金以外のものでは拂われないのですから、税金は、我々がどこから收入を持
つて来るわけではありませんから收入は結局税金以外にないのですから、税金をもう少し負担して貰いまして、そうして
給與ベースを上げて行きたいということを将来はしなくてはなりません、併し担税力というものを養う、つまり生産力の発展なり、企業の勃興なり、貿易の振興なりをするには、現在のところは
公務員は非常にお気の毒ですが、この
程度で先ず我慢して頂きたい、こう我々は主張する次第であります。