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政府委員(久下勝次君) この問題は、まだ実は結論的に
厚生省全体でどうするというところまで行
つておりませんので、私が代表してお答えするのは適当でないかも知れませんが、少くともただ生活保護法の
改正に関しまして、個々の医師を指定すべきか、病院を指定すべきかという相談を受けました際に、私共としては病院を指定する方がいろいろの面で便宜であるし、又差支もないであろうという結論に達しましてその意見を申したのであります。というのは、御承知の
通り医療法の方から申しますと、医療の管理をいたします場合に、必ず医師が管理者になることにな
つております。多数の医師を抱えております病院になりますと、始終医師の更迭もございますし、その都度、特に生活保護法の患者などが飛び込んで参りました場合に、当該の医師がまだ指定を受けていないということで、扱えるとか扱えないとかいう問題が起ることは適当でないと思います。少くともその病院の医師として勤務しております以上は、その病院は生活保護法を扱う病院であるということにな
つて、全体として生活保護法の患者を受入れる態勢をとる方が、利用する患者の方からも便利である。そういう意味から、実は個々の医師を指定するよりも病院を指定した方が便宜であろうと、こういう
考えにな
つたのであります。又そのことはそれによ
つて医療法の管理者という制度もあります以上は、理論上からも不合理はないであろう、こういう
考えでいたしたわけであります。
尚、蛇足でありますが、その議論に対しまして、医療というものは個々の医師が自由なる判断によ
つてやるものであるから、個々の医師を指定するのは当然であるという御議論もあるようでありますが、この点につきましては私共は、それは医療実体は個々の医師の自由なる診断で処理するものでありましようけれども、それは先程申上げましたような制度を採りましたからとい
つて、その点に何ら支障があるわけでございませんので、ただ生活保護の患者を引受けるかどうかというようなことだけでございますので、引受けました場合にその患者をどう診断してどう治療するかは医師の自由なる判断でいい。そういう意味から申しましても
只今のようなことが仮にありましても差支ないという
考えでございます。
尚、保險局の
関係につきましては、私共聞いておりますのは、保險者の指定する者という
規定が
法律の中にございまして、これで病院を指定しておる例もございますようで、先日医療法の報告
制限の除外例を設けました場合にも、健康保險指定医というものを許して貰いたいということを保險局から御
要求もあ
つて、医道
審議会で個々の健康保險指定医ということのみでなく指定病院というのでも差支ないということにいたした事例もございますので、健康保險法は全面的に採るかどうか別問題として、私共としては方向としてはそういう方向に進んだ方がいろいろな点で便宜なことが多いのでないかと
考えております。