○
山下義信君
石原委員の質問に関連しまして、私は二点程伺
つて見たいと思います。
一つは民生
委員の性格が
本法の
改正によりまして、これは全く新たなるものが生み出されなければならんのであります。当然民生
委員法の
改正というものが行われなければならぬと思いますが、
政府は民生
委員法の
改正に対して
準備されておる点がありますか、どういうふうなことにな
つておりますか。次期国会に民生
委員法の
改正表
提出する御用意があるかどうかという点を伺
つて置きたいと思います。
それから今
一つは、第二十
七條の
市町村長の指導及び指示について
石原委員の御
質疑がありました。それに対して
保護課長は全く同感の旨をお答えに
なつたのですが、この第二十
七條に関連いたしましては、私も前回の
質疑に第六十二條等々に関連いたしまして矛盾の点を
指摘し、そうして第二十
七條の精神について伺
つて、大臣列席で答弁を得たのであります。その
趣旨と
只今保護課長の答弁せられたのと若干の食違いがあるように感ぜられますので、今一度明確にして置きたい。それはその第二十
七條の精神は、決して被
保護者に対し監督がましいことや、制約を加えたりいろいろするのではないということを明らかにしたいというのが私の
質疑の
要旨であ
つたのであります。
只今石原委員の御
質疑の
内容を伺
つておりますと、国家が多額な金を支出して
保護して行くいうのである、又多額の
事務費を使
つてこういう仕事をするのであるから、その
保護を受ける者の
生活方法等について国家が相当の指導監督をするのは当然である、
市町村長が指導するのは当然であ
つて、それに二十
七條の第二項のような遠慮するようなことは、むしろ遠慮し過ぎるというような御
質疑であ
つたように思う。それに対して
保護課長は全く同感であると答えられた。私共は
本法の
改正案の
趣旨は恩恵的に国が給費するとい
つたような思想の根本的な払拭がこの
法案の生命であると解釈しております。金を出してやるのだからお前の
生活を指導すると
言つて、いろいろ監督をやる程当り前だとい
つたような考え方は、この
本法にはもう少しでもそれがあ
つてはならない。従来民生
委員がややもするというと被
保護者に対してかれこれとその
生活上必要以上に何かと差出がましいことをすることが如何ばかり被
保護者に取
つて苦痛であ
つたかということは蔽うべからざる事実であ
つてそういうことがなくなるととが民生
委員の
制度の革新の一要素でもあると私は解釈しておる。それが今度は
市町村長が、その従来あ
つた民生
委員のややもすると弊害に陥
つた被
保護者に対するところの
一つの圧迫、或いはその
生活に対する要らざる差出がましい干渉的な態度というものが、今度は
市町村長がそういうような傾向に陥ることは断じてならないということを私は前回
質疑において明らかにして、全くさようでございますという
当局の答弁であ
つたと解釈する。でありますから、第二十
七條は国が多額の
保護費を出してやるのだからその要
保護者に対しての
生活のいろいろな監督をするのが普通であるというような
趣旨では私は成年立たないと思う。その二十
七條の起案の意思は、よくよく世話をしてやらなればならんような特殊の
対象というものに対して、或いは非常に素行が不良であるとか、或いは非常に何とか
保護をしなければならんというような限られた人の場合にのみ
市町村長が適当な指導をしようというのであ
つて、尚それにしても人権の侵害をすることはならんという当然の注意が加えられてある。而もこの第二十
七條はただ監督するとかいう意味でなかなかして、その
生活維持向上、その
生活の維持ばかりではなく、その
生活の向上に持
つて行くのでありますから、もつともつと好意的な積極的な意思であると私は解釈している。
保護課長は国が多額の費用を出している以上は、その命を受けている者のその
生活について当然或る
程度まで
保護する
実施機関が口を出すのは当り前であるという、監督して行かなければならんというような、そういう
趣旨が第二十
七條の
趣旨であるかどうか、明確にして頂きたいと思うのであります。