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1950-04-05 第7回国会 参議院 厚生委員会 第25号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十五年四月五日(水曜日) 午前十一時九分開会 —
——
——
——
——
——
——
本日の
会議
に付した事件 ○
精神衞生法
案(
中山壽彦君外
十四名
発議
) —
——
——
——
——
——
——
塚本重藏
1
○
委員長
(
塚本重藏
君) これより
会議
を開きます。本日は日程の順序に従いまして
精神衞生法
案を議題に供します。先ず
提案者
の
説明
を求めます。
中山壽彦
2
○
委員外議員
(
中山壽彦君
)
只今上程
になりました
精神衞生法
案の
提案理由
を御
説明
申上げます。 現在
精神衞生
に関する
法律
といたしましては、
精神病者監護法
と
精神病院法
の
二つ
がございます。
精神病者監護法
は
明治
二十三年の
制定
にかかるものであり、又
精神比院法
は大正八年に作られたものであります。前者につきましては
制定
されましてから五十一年間、後者につきましては
制定
後三十三年間、その間未だ一回も
改正
をみずして今日に至
つて
いるのであります。当時の
精神比者
の
推定数
は十万乃至二十万人といわれておりましたが、今日においてはその数六十四万人に及び、尚、今回の
法案
で
精神障害者
として
対象
といたしました
精神薄弱者
及び
精神病質者
を加えますと実に三百三十四万人乃至四百万人の多きに及ぶことになるのであります。かく
精神衞生
の面における
治療
及び
保護
の
対象
が増加いたし、又
精神医学
もその間に急速の
進歩
をいたして来たにも拘わらず、これを規律する
法律
は未だに
明治年間
の衣を着たままであります。
精神病者監護法
は、
專ら精神病者
の
不法監禁
を防止することを主たる
内容
とするものでありまして、題目は
監護法
でありますが実質は
精神病者
の監置法ともいうべきものであります。即ち
精神病者
を監置できる者を
保護義務者
に限
つた
ことがその狙いでありまして、いわゆる
座敷半
の
制度
を
特定
の者について合法化したものともいえるのであります。然し
座敷半
制度
の制限だけでは
精神病者
は救われないことは明かであり、それから十七年後に
制定
された
精神病院法
は、
精神病院
を
府県
に
設置
し、
犯罪傾向
のある
精神病者
、身寄りのない
精神病者
を先ず
收容
することといたしたのであります。 この
二つ
の
法律
に上
つて
まかなわれてきた
精神衞生
行政
の
現状
を見まするに、現在
全国
における
公立
及びこれに代用される
精神病院
の
ベツド数
は二万床を持つに過ぎません。欧米における
施設
は
人口
二百人乃至五百人に対して
一つ
の率で
ベツド
を整備いたしております。我国の
現状
は
人口
四千人に対して
一つ
の率でありますから、これを
国際水準
に比ベますと未だその十分の一を満たすに過ぎないのであります。この
ベツド数
の不足から、現在
病院
に
收容
することができず、
座敷半
にある者の数は二千六百七十一人に達しておる実情であります。 健全な
社会
の発展のためには、
身体
に対する
衞生
と並んで
精神衞生
が不可欠であることは申すまでもございません。それは車の両輪ともいすべきものでございます。 ここに提案しようといたしまする
精神衞生法
案は、この立ち遅れ、取り残されてきた
精神衞生
行政
の車を一刻も早く前進させまして、
心身共
に健康なバランスのとれた
国民社会
が達成されることを願
つた
ものであります。
法案
の
大要
について申し上げますと、第一に、この
法案
は、苟しくも正常な
社会生活
を破壊する危険のある
精神障害者全般
をその
対象
としてつかむことといたしました、従来の狭義の
精神病者
だけでなく、
精神薄弱者
及び
精神病質者
をも加えたのであります。 第二に、従来の
座敷牢
による
私宅監置
の
制度
を廃止して、
長期
に亘
つて
自由を
拘束
する必要のある
精神障害者
は、
精神病院
又は
精神病室
に
收容
することを
原則
といたしました。これがために
精神病院
の
設置
を
都道府県
の責任とし、又
入院
を要する者で
経済的能力
のない者については、
並道府県
に
おいで入院措置
を講ずることとし、国家はこれらの
費用
の二分の一を補助することといたしました。 第三に、
医療
及び
保護
の必要な
精神障害者
については、
警察官
、
検察官
、
刑務所
その他の
矯正保護施設
の長のように
職務
上
精神障害者
を取扱うことの多い者には
通報義務
を負わせる外、一般人は誰でも
知事
に
医療保護
の
申請
ができることにしまして、
医療保護
が必要であるに拘わらず与えられざる者なきよう、
国民
のすべてが
協力
する体制を作ることといたしたのであります。 第四に、
人権
じゆうりんの
措置
を防止するため
精神病院
への
收容
に当
つて
は、真の
病気
以外の
理由
が介在しないように
注意
いたしました。即ち
精神衞生
鑑定医
の
制度
を新たに設け、その二人以上の
鑑定
の一致あることを
病院收容
の
條件
といたしたのであります。 第五に、
自宅
において療養する
精神障害者
に対して巡
廻指導
の
方法
を講ずる外、
精神衞生
相談所
を設けまして誤
つた療養
による弊害を防行すると共に、更に進んで
精神衞生
に関する
知識
の普及に一段の
努力
を払すことといたしました。 第六に、
精神衞生
行政
の推進と一層の改善を図るため
精神衞生
審議会
を厚生省の
府属機関
として
設置
し、
関係行政庁
及び
專門家
の
協力
によ
つて
この
法律
の施行の万全を期することといたしました。 以上が
精神衞生法
案に盛せれた
内容
の
大要
でございます。どうか
愼重審議
御
決定
を願います。
塚本重藏
3
○
委員長
(
塚本重藏
君) 尚立法の
内容
につきましては、今少く詳しく
中原法制局課長
から
説明
を聴取したいと思います。
中原武夫
4
○
法制局参事
(
中原武夫
君) お手許にお配りしてあります
参考資料
の中にございます三十六頁の
精神衞生法
案に関する
論議
の
諸点
、それからその次にございます四十一頁の
精神衞生法
案と
精神病者監護法
及び
精神病院法
との主なる相
異点
、この
二つ
の
資料
によりまして
法案
に関連させながら御
説明
を申上げます。 先ず四十一頁の
資料
を御覧願います。四十一頁の
資料
は、
精神衞生法
案と
精神病者監護法
及び微
神病院法
との主なる相
異点
を十例挙しております。このうちで第一から第三が
精神病者監護法
と
精神病院法
との相
異点
でございます。四以下は全然新たに設けられた
事項
でございます。 先ず第一は
私宅監置制度
を廃止したことでありますが、
私宅監置制度
は先程の御
説明
でございましたように、
精神病者監護法
によりまして
特定
の者について合法化されたものであります。
私宅監置制度
を廃止するということは、言い換えますと
精神病者襲護法
を全面的に廃止するということになるのでございます。
監護法
によりますと、
監護義務者
は
行政官庁
の
許可
を受けまして、
精神病者
を
私宅
において監置する、いわゆる
座敷牢
にとじこめられることができるようにな
つて
おるのであります。この
法案
におきましては、
長期拘束
を必要とする
精神障害者
は、全部
精神病院
、
精神病室
、その他
法律
によ
つて
認められておる
收容施設
にのみ
收容
することとし、
私宅監置制度
はいつさいこれを認めないということにいたしたのであります。 第二は
精神病院
の
設置
を
都道府県
の
義務
としたことでございますが、この点は
精神病院法
との相異になります。
精神病院法
では
主務大臣
の
命令
によりまして、その
命令
を受けた
都道府県
は
設置
をする
義務
を負うということにな
つて
おります。
主務大臣
は
予算
がとれなければ、
設置命令
は出さないことにしておるのであります。従いまして
精神病院設置
の
義務
は国にあるのか、
都道府県
にあるのかはつきりしなか
つたの
であります。この
法案
では、
精神病院設置
の
義務
を
都道府県
に課することを
原則
として、第一線の
精神衞生
行政機関
は
都道府県
であるということを明らかにいたしました。これは
法案
の第四條でございます。第六條にそれに対する国庫の補助の
規定
がございます。 第三は
対象
を
精神障害者
全部に拡げた点でございます。従来は狹義の
精神病者
だけを
対象
といたしまして、
精神病者監護法
及び
精神病院法
ができておりました。この
法案
ではその外に
精神薄弱者
及び
精神病質者
をも含めて、苟くも正常な
社会生活
をして行く上において支障があるものは、一応
対象
にしようということにいたしたのでございます。これによりまして
対象
が
推定数
三百三十万乃至四百万になることは
先開
の
説明
にありました
通り
でございます。これは
法案
の三條でございます。以上三点が現在の
法律
との
相違点
でございまして、以下は全く新らしく設けられた
事項
でございますが、その中の第一は
精神衞生
相談所
を新らしく
設置
しまして、
精神衞生
に関する
相談機関
とし、
且又一般
への
啓蒙機関
たらしめることによ
つて
、
予防面
にもできるだけの力を注いで行こうという
態勢
を
作つたの
でございます。この
精神衛生相談所
は、保健所が行な
つて
おります
衞生
行政
と表裏一体をなして
仕事
を進めて行く予定でございます。これは
法案
の
七條
から十一條に亘る
規定
でございます。 次は
精神衞生
審議会
を設けまして、非常に遅れた
精神衞生
行政
を推進するために、
関係官庁
と
專門家
の
協力態勢
を作ることにいたしたのでございます。
法案
の十三條から十六條に亘る
規定
がそれでございます。 次は
精神衞生
鑑定医
の
制度
を設けまして
精神障害者
が
病気
以外の動議によ
つて
、
身体
の
拘束
を受けることを防止するということに力を注いだのでございます。この
精神衞生
鑑定医
は、後に出て参ります
知事
による
人院措置
が行われるときの
判定
と、それから一般に
自分
の申出によ
つて入院
しておる者に対しても、果して
精神障害そのもの
が
理由
で
入院
してお
つた
かどうかということまてでも
判定
をする
仕事
をいたします。
関係條文
は、
八條
から十九條に亘る
精神衞生
鑑定医設置
に関する
條項
と、二十
七條
、二十九條二項、三十
七條
の
精神衞生
鑑定医
が動く場合の
條文
でございます。 次は
医療保護
の必要が緊迫しておる
精神障害者
を
保護
するための、
国民
全体の
協力態勢
を作
つた
ことでございますが、
法案
の二十三條から二十六條に亘りまして
規定
がありまするように、先ず
国民
は誰でも
医療
及び
保護
の必要が緊迫しておる
精神障害者
を発見したときは、
知事
に対して
医療保護
の
申請
を求めることができるということを大きな網にいたしまして、その中で
警察官
、
検察官刑務所等
の
矯正保護施設
の長のように
職務
上
精神障害者
を扱うことが多いものに対しましては、
通報表務
を課したのでございます。このことによ
つて
、
医療保護
の必要があるにも拘わらず、受け得ない
精神障害者
のないように
措置
することを考えたのでございます。 次は
精神障害
の
特殊性
に鑑みまして、仮
入院
、仮
退院
の
制度
を設けたことでありますが、これは
法案
の三十四條と四十條の二項でございます。
精神障害者
を
入院
させるにつきましては、
精神障害者自身
の
廃断
というものが非常に不正確でございますので、ともすれば
人権蹂躪
の
措置
が伴うことを虞れまして、
相当
に
嚴重
な
條件
を附してございます。ところが他方において
精神障害
の
治療
には非常に
長期
間を要する上に、
社会生活
に復帰して
適応性
があるかどうかという
判定
をするには、
社会生活
の中に出して見て
治療
の状態を見る必要がございます。その場合に、出したり入れたりするのについて、一々
嚴重
な
手続
を経ることは
煩雜
になりますから、仮に
退院
させる、それから仮に
入院
させる必要があるかどうかの
判定
をする
制度
を設けました。 次は、
医療保護
に関しては、
知事
による
病院
への
收容措置
の外、
自宅
にある
精神障害者
の
指導措置
を取
つた
ことでありまして、
法案
の二十九條と四十二條であります。
精神障害者
のうち、放
つて
置きますと、
自分自身
を傷つけたり、他人に害を及ぼす虞れのある強度の者につきましては、
知事
が
都道府県
の負担において、或る
程度病制措置
によ
つて入院
をさせることにいたしてあります。これが二十九條の
規定
でございます。
精神障害
の
程度
がそれ程ひどくはないけれども、何らかの
指導
をしなければ、
自宅療養
だけでは危険であるという
精神障害者
に対しましては、
都道府県
の吏員或いは医師が
巡回指導
をすることにいたしました。これは
法案
の四十二條でございます。 次は、遠隔の地にあ
つて
直ちに
病院
へ
收容
することができない場合の
臨時的措置
として、
知事
の
許可
を
條件
とした
保護拘束
を認めたことでございまして、
法案
の四十三條から四十
七條
に亘る
規定
でございます。
最初
に
自宅監置
の
制度
を一切廃止するということを、この
法案
が建前にしておるということを御
説明
申上げましたが、
精神病院
が非常に離れた所にあるような場所、例えば八丈島のような所では直ちに
病院
へ
收容
する
措置
が取れません。そういう特殊なものに
限つて
は、
知事
の
許可
を
條件
とした
保護拘束
という
制度
を認めます。これは
自宅監置
と違いまして、二ケ月の
期間
を
限つて
ございます。その二ケ月の
期間
内に
知事
は必ず
病院
へ
收容
する
措置
をとるということを
條件
とした
自宅
における
保護
でございます。 以上申上げました十項目が、現在ございます
法律
との相
異点
であり、又新たに設けられた
條項
に関する
説明
でございますが、これ
法案
を作ります際に、いろいろ
論議
に
なつ
た
諸点
がございます。その点を三十六ページに
資料
に掲げて置きました。これにつきまして一応御
説明
を申上げます。 第一に、一般的な
事項
といたしまして、
精神衞生法
が関連する他
法律
との
関係
でございます。その第一は、
兒童福祉法
、十八才
未満
の
精神障害者
につきましては、
兒童福祉法
が優先をいたします。 第二は、
医療法
との
関係
でございますが、
精神衞生法
案の中には、
精神病院
、
精神病室
という
医療施設
に関する
條項
がございます。この
医療施設
につきましては、当然
医療法
の
適用
を受けまして、
開設許可
、
最低基準
、その他監督に関する
條項
は、すべて
医療法
の
規定
によ
つて
賄われますので、この
法律
には
規定
が設けてございません。それから
精神病者
の中に、
中毒性
の
精神病者
を含むということが第三條に
注意書
がしてございます。この
中毒性精神病者
のうち、
麻薬
の
中毒者
につきましては、
麻薬取締法
との
関係
があります。その場合には、
麻薬取締法
の
罰則
が優先するように、五十條に
規定
を設けてあります。 次に、
人身保護法
との
関係
でございますが、自由の
拘束
が不当な
手続
で行われた場合には、
人身保護法
により
グ済
が行われることは当然なことでございますので、特に
法案
には関連を
規定
してございません。次は、
刑法
の中にございます
不法監禁罪
との
関係
でございます。この
派神衞
生
法案
の
罰則
には、
不法
に自由を
拘束
した場合の
罰則規定
が拔けております。これはすべて
刑法
の二百二十條の
不法監禁罪
として、三
ム月
以上五年以下の懲役に処せられるという
規定
が当然働くものとして
罰則規定
を省いてあるのであります。 第二に、
施設
に関する
事項
といたしまして、
二つ
のことが書いてあります。
一つ
は、
精神障害者
に対しては、その
治療
のみでなく、更に進んで
社会生活能力
を与える
施設
を設くべきであるという
意見
が非常に強力に主張せられました。
アメリカ
では、この
参考資料
の一番後に添付してございますが、
精神病者
を
收容
する
州立病院
、
精神薄弱者
を
收容
する
施設
、
麻薬等
の
中毒者
を
收容
する
施設
、
アルコール中毒者
を
收容
する
施設
、
精神病質
で
色情狂
のようなものを
收容
する
施設
がそれぞれ別個にあるのでございます。この
法案立案
に当
つて
、少くとも
精神薄弱者
については、
精神病者
と
違つた取扱い
をすべきである。又
精神病者
が或る
程度治癒
の過程に来たときは、
治療
を主としない
社会生活能力
を与えることを主とした
施設
を設くべきであるという
意見
がありました。これは今後の
措置
に委ねて、この
法案
の中には織込んでございません。ただそういう
施設
が
医療施設
の延長として行われることは、当然のことで別に
拘束
を受けないのであります。 第二に
都道府県
が
設置
の
義務
を負わされた
精神病院
が現在ない県が二県ございます。和歌山県と宮崎県でございます。他の県におきましても、必ずしもその
地方
にある
精神障害者
のうち、
入院措置
を要するものを全部
收容
できるだけの
ベツト
を持
つて
おりません。そのために、
都道府県立精神病院
に代りべき
施設
としての
指定病院
という
制度
が五條の
規定
にございます。この
指定病院
については
免税
をしてくれという要求が強く主張せられました。その
理由
としては、大体
精神病者
は
生活保護法
の
適用
を受けているものが多いから、そういうものを扱
つて
いるのだから、
社会事業施設
と同じように
免税
をして貰いたいのだという主張でございます。併しそれはここに書いてございますように、
社会事業施設
として活動する面についてだけ問題になる
事項
でございますので、この
法律
には
規定
をいたしませんで、それは一面、
社会事業施設
としての
指定
を受ければいいのではないかということにいたしたのでございます。 第三に、
精神衞生
審議会
に関する
事項
でございます。この
法案
の中には、
精神衞生
審議会
は、
中央
の
精神衞生
審議会
して
規定
してありません。従来の各
法律
を見ますと、大体
中央
に置く場合には、
地方
にも置くことにな
つて
おります。
地方
に
精神衞生
審議会
を置くについては、少くとも
審議会
の性格を、単なる
調査審議
の
機関
、或いは
精神衞生
行政
を促進するだけの
機関
でなく、もつと強い
処分
的な
機能
、この
法律
による
処分
に不服がある場合の
不服申立
を審査することができるように、強いものにして貰いたいという
意見
が
相当
にございました。これは
予算
の
関係
で、
地方
に置くことが、全然本
年度
は不可能なので、今後の
改正
の機会に讓ることといたしたのでございます。 それから
精神障害
の原因、症状、
治療
、
予防
に関する根本的な
調査
をし、又、
精神衞生
に従事する職員の訓練を
併わせ
て行うことを
仕事
とする
国立精神衞
生
研究所
の
設置
は、是非必要だということで、
法案
の
最初
のうちには入
つて
おりましたが、
予算措置
がどうしてもできませんので、これも延期することにして、
法案
から削られております。 第四に、
医療
及び
保護
に関する動的な面に関しまして、三つの事柄がございます。
一つ
は、
精神障害者
を
病院
へ
收容
する場合の
決定権
は、
長期
に亘る
身体
の自由の
拘束
になるから、
行政官庁
に任せずに、
家庭裁判所
が関与すべきであるという
意見
が出ました。これは
アメリカ
では
上級裁判所
で全部取扱
つて
おります。我が国における
家庭裁判所
の
現状
及び
機能
から見て、そういうことは早過ぎるのではないかということで、
知事
の扱いということに
規定
してあります。次に
私宅監置
の廃止に伴う
経過措置
につきましてでございますが、
私宅監置
の
制度
を全部全面的に廃止することは先程御
説明
申上げましたが、現在二千六百七十一人の
私宅監署者
がございます。これを
精神病院
又は
精神病室
に
收容
するために一年の
猶予期間
が四十
八條
の二項に設けられております。十二月末現在における
公立
及び
代用病院
、
——代用病院
というのは今度
指定病院
に代るものでございますが
——
その
ベツト数
と
入院患者数
との差をとりました
收容余力
からみまして、今度
相当
な
努力
をしないというと、一年の間に
收容
できないのではないかということが予想されるのでうります。この
法案
が成立しました後における実施について、
主管省
の格段の
努力
が要請されるということが強く主張せられました。 第三に
犯罪傾向
を有する
精神障害者
の
取扱い
につきましてでございますが、五十條の二項にございますように、
刑務所
や
少年院等
の
矯正保護施設
へ
收容
するという刑罰なり
保護処分
の執行は、この
法律
による
措置
に優先し、又その
矯正施設
の中に
收容
されている間はこの
精神衞生法
は動かない。
そのもの
に対しては働きかけないということにな
つて
おります。
精神障害者
の中で、一番
注意
を要する者、特に
保護
を要する者は、
犯罪傾向
を有する
精神障害者
であります。そういう
收容施設
に入
つて
おる者については手を伸ばさないけれども、それが出た途端には直ちに
精神衞学校
が働き得るようにしておく必要がございます。そのために
收容施設
から出す場合には、予めその
施設
の長が
知事
に通報し、必要があれば
精神衞生
鑑定医
が
收容
中の者については
鑑定
をすることだけはできるように五十條の二項で
二つ
の
條文
だけが動くようにしてございます。そういう
矯正保護施設
を出て来て、而も引取人がないような
精神障害者
を優先的に
都道府県知事
が
病院
に
收容
する
措置
をと
つて
貰いたいという要請が特に法務府の
矯正保護局
からありました。 第四に書いてございます「仮
入院
、仮
退院
の
制度
は
精神障害者
の
医療
にこみ特殊なものである。」これにつきましては先程御
説明
をいたしました
通り
でございます。以上。
塚本重藏
5
○
委員長
(
塚本重藏
君)
提案理由
並びに
法案内容
の
概略説明
が終
つた
わけでございますが、本案は
参議院厚生委員会
の殆んど全員の
発議
に基くものでありますが、尚他の方から質問を受けた場合の答えを統一しておく必要のためのそういう
意味合
のためのここで質疑をして頂いても結構でございます。尚この
法案
が成立いたしました後における
行政部
の
政府当局
に対するいろいろな
注意希望等
がたくさん皆さんおありになると思いますから、その点について十分の御
審議
をお願いいたします。
中山壽彦
6
○
委員外議員
(
中山壽彦君
)
精神衞生
研究所
というものは是非この
法案
に取入れたいという強い
希望
をも
つて
お
つたの
でありますが、
予算
の
関係
で今回はこれへ差控えたのであります。今日は
政府当局
もお見えにな
つて
おりますが、
明年度
におきましてはこの
研究所
の
設置
の
費用
を
是非一つとつ
て頂きたいということを重ねてお願いいたします。
三木行治
7
○
政府委員
(
三木行治
君) この
精神衞生法
案が成立いたしまして実施されますというと、
精神病院
が整備せられ、
精神衞生
相談所
が活動し、又
自宅監置
の
患者
が一掃せられるというようなことに相成りますので、非常に画期的な
進歩
をするものと私共大変喜んでおるのでありますが、
只今日本議員
のお話のございました
精神衞生
研究所
につきましては、この
研究所
ができまするならば、一層完璧を期することができると私共も存じておるのであります。従いまして二十六
年度
の
予算
におきましては、私共といたしましても
是非所要
の
予算
を獲得するために極力
努力
いたしたい所存であります。
山下義信
8
○
山下義信
君 第一点は
論議
の
諸点
という
参考資料
に掲げてありますが、
児童福祉法
との
関係
なんであります。「十八才
未満
の
精神障害者
については
児童福祉法
が優先する。」こうあるのです。これはつまり十八才
未満
の
精神障害者
は
児童福祉法
でや
つて
呉れ。こちらの方ではそうはし兼ねる。向うの方でや
つて
呉れ。こういう御趣旨と思うのですが、それは
児童福祉法
が
特別法
ですから尤もな次第でありますが、この
児童福祉法
でや
つて
おる
精神薄弱児
の
施設
というものがないのです。極めて少い、今のところで
全国
で二十五個程しか
施設
がない。而もこの
施設
でや
つて
おりまする
子供
の現在人員が約千二百人程しか辛うじて扱
つて
いない。それで
精神薄弱児施設
のない、
府県
が非常に多い。一例を挙げますというと、東北なんというものは殆んどない。然るに御承知でもありましようが、
精神薄弱児童
というものが非常に多いのであります。私は
医学的知識
がございませんから詳しい
説明
はよういたし兼ねますけれども、大体
精薄児
といつて
おる
児童
の数が非常に多い。それで
宮城
県だけで
学校
に行
つて
おる
児童
を
調査
いたしましただけで、小
学校
の
児童
と
新制中学校
の生徒だけで約九千名、
宮城
県一
県下
で九千名
精神薄弱児
というものがいるのであります。ですから
全国
で累推しますというと非常な多数でありますが、右申しましたように、
児童福祉法
によるところの
施設
がない。 〔
委員長退席
、
理事藤森眞治
君
委員長席
に着く〕 今の
宮城
県にもない、その後作りましたかどうか分りませんが、本員の得た
資料
の今の統計を
調査
いたしましたときにはないのであります。それで
児童福祉法
が優先する、
児童福祉法
の方でや
つて
呉れ
といつて
もないのであります。そういうようなところでは
精神衞生法
でお扱い下さるかどうかということを
一つ
伺
つて
置きたい。何かこの
方法
で手助けなさいますか、十八才以下の
子供
は放
つて
置きますか、どういうふうになさいますか、その点
一つ
伺
つて
置きたいと思います。
三木行治
9
○
政府委員
(
三木行治
君) この
精神衞生法
におきましては、第三條におきまして、『「
精神障害者
」とは、
精神病者
、
精神薄弱者
及び
精神病質者
という。』ということにな
つて
おりまして、御指摘になりました
精神薄弱者
もこの
法律
の中に含まれることは勿論であります。ただ一応何と申しましても、
最初
には
精神病者
というものに焦点を置いてや
つて
行くということになりまするというと、且つは
児童
という
特殊性
に鑑みまして、
児童行政
の一元化というような
点等
も
児童局
と話をいたしまして、これらの点につきましては
児童局
に置いてやる。従いまして
児童局
の所管の
児童養育
施設
の拡充を必要なだけ徐々にや
つて
行くということで、や
つた
らどうであろうかというようなことで、かように進んで行きたいと考えておる次第であります。
山下義信
10
○
山下義信
君 そういうことなら私は伺わんのです。頼むのです。
児童福祉法
で徐々にや
つて
行くというようなことを待
つて
いられない。今申上げました一例を申してもさようなわけであります。殊に
精神衞生法
の特徴とするところは、非常に
医療
にも御尽力下されるし、諸般のお
取扱い
がなかなかこれは結構にできております。そして又
私宅
の監禁といいますか、そういうものも許さないで、いろいろそういうことが丁寧にできるようにな
つて
おる、これだけの至れり尽せりのことが
児童福祉法
にないのでございますから、ですから
児童福祉法
と
関係
のないようなものが、
府県
では又それが徐々に完備せられることを待つことのできませんような状態では、十八才であろうと、十五才であろうと、然るべくこの法を応用して、やはりこの法の何といいますか、恩惠というものの均霑に与らねば、私は折角これができましても画龍点睛を欠くと思います。これはこの
児童福祉法
関係
とも御協議下さ
つて
、そうしてこれは
衞生
関係
ですから、もうどしどしおやりになると思う。我々も大いに御援助申上げたいのでありますから、も
つて
彼此相補ないまして、できるだけそういうことを言わないで、十八才
未満
の
児童
であろうと、特殊事情でなんというようなことを言わないで、これも福祉法なんで、十分
一つ
御利用をさせて貰わねばならん。殊に
児童福祉法
関係
の精神薄弱
施設
は極めて不完全であります。尤も現在は二十五ある
施設
でも、見るも衰れな状態であります。成るべくこの法によるところの嚴格な
病院
施設
、或いはその他の
施設
の方でできるだけや
つて
貰うという方が私は望ましてのであります。当局にそういうふうなことに御尽力下さる意思があるかないかということを、こういう
子供
達のために私は伺
つて
置きたいと思います。
三木行治
11
○
政府委員
(
三木行治
君) 私のお答えは話の筋を
通り
過ぎまして大変申訳なか
つた
と思いますが、現在でも彼此
協力
してや
つて
おるのでございまして、本法施行に当りましても極力
協力
してや
つて
行く、そうして一面におきまして
児童養育
施設
も伸ばして行く、そういうような方針でや
つて
行く次第であります。
中原武夫
12
○
法制局参事
(
中原武夫
君) 先程私の
説明
が少し惡か
つたの
ではないかと思いますから、訂正をいたします。
児童福祉法
との
関係
で、優先すると、こういう表現が使
つて
ございますが、これは只今三木局長が言われましたように、
児童福祉法
が働くならばそちらが先きに働く、併しその分野においては
精神衞生法
は完全に排除されるという意味ではございませんで、
児童福祉法
が来なければ、
児童
についても
精神衞生法
は働いて行くようにこの
法案
はな
つて
おります。その部分を排除するということにはな
つて
おりませんので、私の
説明
が惡か
つた
と思いますので、その点訂正をいたします。
山下義信
13
○
山下義信
君 この
法律
によりますと、この
法律
を十分運営をして行くということになりますと、
精神衞生
の專門の医師が
相当
にないというと、これはいろいろ不便を感ずるんじやないか思います。
資料
の中にありましたか、本員はちよつとまだ見ておりませんが、一体精神病について
鑑定
したり或いは
治療
したりいろいろできますような医師が大体今どのくらいありますか。又その分布状況もこの法の運営上不都合のないような状態にあるものでしようか、その辺は如何でしようか。
草間弘司
14
○專門員(草間弘司君) この第五頁にあります表にもございまするが、精神病に関しまする專任の医師が二百五十四人ございます。これはこの
病院
に勤めておるお医者さんでありまして、その外にまだ大学も
相当
ございまするので、そこに精神の專門のお医者さんがこれの外に
相当
数あるものと思います。只今のところでは十分とは申されないと思いまするけれども、大体において行き渡
つて
おると思います。
山下義信
15
○
山下義信
君 私は先程申したように
專門家
でないのですから分りませんが、二百数十名の医師でいいということでありますれば結構でありますが、私は素人で、いつも、この
精神病院
関係
は、どうも今まで專門の医師などが当らない、懸えば
精神病院
の院長というようなものも、私はどういう
法律
でや
つて
おるかよく分らんが、精神院專門の医師が院長でなくして、又医者でもないような純然たる素人として経営しておる。経営と又診察とは別であろうとは思うけれども、どうも我々そこに不満足なことを感ずる場合がある。いろいろこういう
精神衞生
相談所
というものを開き、精神病
関係
の医師というものの存在が十分にないというと、いろいろな面でこの法を活かすということに十分でないと思う。これは
施設
や
病院
がよく加減なものであ
つて
はいけないと同じように、やはり医師というものも
專門家
を
法律
は要求しておる。よい加減な医師がよい加減なことをすることはやはりいかんと思う。この点は当局も十分
一つ
御
注意
を願
つて
おきたいと思う。とても医者が足らんと思う。この
法律
を運営したならば、專門の医者があちらからも引つぱりだこ、こつちからも引つぱりだこ、恐らく他の
地方
に出張して、その出張費までも払うようにな
つて
おるが、僅かこの少数の精神專門の医師を引つぱりだこにしなければ間に合わんように、私共素人で感ずるのです。そういうような欠陷に乗じて、他の專門でない医師がこういういろいろとまぜくるようなことがあ
つて
はいけないと思う。この機会に当局に私はこの点の御
注意
を願
つて
おきます。 それからもう
一つ
は、三十條の
規定
はどういう
規定
でございますか。これは「
入院
させた
精神障害者
の
入院
に要する
費用
」というのは、どういう範囲のものを申すんでございましようか。
中原武夫
16
○
法制局参事
(
中原武夫
君) 前條の
規定
によ
つて
、
都道府県
が
入院
させた
精神障害者
でございまして、二十九條では
入院
させる、精神障両者は
入院
させませんと、
自分
を傷つけたり、他人に害を及ぼしたりする虞れのあるものだけでございます。
山下義信
17
○
山下義信
君 どういう
程度
の
費用
を負担するか。
費用
の種類、一切の
費用
。
中原武夫
18
○
法制局参事
(
中原武夫
君) 一切の
費用
でございます。
山下義信
19
○
山下義信
君 分かりました。それからあの四十五條ですね。四十五條はこの
保護拘束
の場所についての
規定
がしてあるのですが、この場所とか
施設
とかいうものについては、どういう制限を加えようという考ですか。どういう基準を示そうという考ですか。これは場合によ
つて
は、いわゆる廃止したという
座敷牢
に代るようなことにも
関係
がある。どういうことを要求しようとするんでしようか。この
保護
の場所等につきましての要件は。何かあるでしよう。
草間弘司
20
○專門員(草間弘司君) これは
精神障害者
が他人を傷つけたり、又は
自分
を障害しないような設備を施すものでありまして、併し一方かり余り心身を成るべく
拘束
しないような
方法
を採らなければいけませんので、監視が
相当
に行き渡るような
方法
にしなければいかんと思います。大体家の一部分を区画しまして、そこに
收容
するとか、或いは又その家の一部がない場合には特別にそういうものを建てて、或いは外の
方法
を講じまして、
患者
を、余り心身を束縛させないようにして、而も他人を傷つけたり、
自分
を障害しないような
方法
でや
つて
行きたいと思います。
山下義信
21
○
山下義信
君 これらの
事項
は、
都道府県知事
が決めるのでございますか。この規則に反した者は二万円以下の罰金がありますが、これらの
事項
は
都道府県知事
が、その
府県
々々で準則というものを決めてやりますか。どういうふうなお考ですか。
草間弘司
22
○專門員(草間弘司君) これは
患者
によ
つて
は違います。一律には行きません。
一つ
の大きな基準ができますけれども、細かいことまではできないと思います。併しこれは大体は
都道府県知事
が
指定
した医者をして適当に
指導
させまするので、これは
知事
において大体の基準を
決定
します。
山下義信
23
○
山下義信
君
相当
重い
罰則
もあるのですから、或る
府県
ではこういうふうな、或る
府県
ではと、まあ
患者
自身いろいろな、
患者
の異なることに、いろいろ指示の相違はありましようけれども、大体の大枠の基準というものは、何かないといけないのじやないかと思うのです。 最後に
論議
の要点であ
つた
ようでありますが、従来
指定病院
、
代用病院
というものが、
相当
社会
事業
関係
に深い
関係
がありまして、そうしてまあ
社会
的にもいろいろなそういう方面との関連もありましたのでありますが、私は今回この
精神衞生法
というものができるというと、つまり公的
施設
の性格がますます強くな
つて
来て、特殊で以てやるとい
つた
ようなソシヤール・サービス式の
社会
事業的な性格は段々と稀薄にな
つて
来るのであると、又そういう方向に行かせるのであるとい
つた
ような、立法の趣旨であるように見えるのでありますが、そういう点はどういうふうなものでございましようか。
中原武夫
24
○
法制局参事
(
中原武夫
君) 只今おつしや
つた
ような方向に
指定病院
を持
つて
行くということは考えずに立案してあります。といいますのは、飽くまでも公的な
施設
は、
都道府県
が作るものだけだと、こういう考え方であります。
山下義信
25
○
山下義信
君 そうすると、やつぱしその
社会
事業的な性格の
指定病院
といいますか、この
精神病院
というような
仕事
も残して置こう、こういう考ですね。元来
社会
事業的な性格を持
つて
やるというような考えでありますというと、又いろいろな面に可なり変
つた
考え方も持
つて
行かなければならん面もある、これは今現にそういう
精神病院
を、例えば脳
病院
というようなものをや
つて
いる人達も、これらの点が明らかであろうと思うのですが、まあそれに大体公的な性格を持たせて行こうという考えではないのですね。
行政
当局は一体それはどう考えておりますか。今後の
行政
方針としまして、何かお考えがありますか。
小川朝吉
26
○
説明
員(小川朝吉君) これを拜見しまして、私共運用いたしますときに、御質問の点につきましてはこういうふうに考えております。即ちここに書いてございます
入院
という字句は、飽くまでこれは強制
入院
という意味で、一般
入院
という問題につきましては全く従来の
通り
でございます。従いまして一般
入院
する
社会
事業の
対象
となるような
保護
者は当然従来の
通り
の形で
入院
して参りますので、そういう御懸念はないのじやないかと考えております。成るべく又広く
社会
事業的な性格でやるように
指導
したいと考えております。
小林勝馬
27
○小林勝馬君
提案者
が
行政
当局にお伺いしたいのですが、この
精神薄弱者
も
私宅監置制度
を廃止するのですか、これはどういうことになるのですか。
中原武夫
28
○
法制局参事
(
中原武夫
君)
私宅監置制度
は全部廃止する予定でございます。
小林勝馬
29
○小林勝馬君 そうすると今まで家庭で精神薄弱
程度
で何とかできたことも全部いけないということになるのですか。
中原武夫
30
○
法制局参事
(
中原武夫
君) 若し
入院
をさせなければ他人を傷つけたり、他人に害を及ぼすような虞れがある場合は、
入院
をさせなければなりません。そういう虞れのないものについては
私宅監置
をする必要もないと思います。
小林勝馬
31
○小林勝馬君
精神病質者
というのはどういうものですか。
草間弘司
32
○專門員(草間弘司君) これは精神、主として感情的或いは意思的素質に欠陷のある、精神の変質者
といつて
お
つた
ものであります。或いは非常に狂暴なもの、或いは色情的なもの、或いは放火とか、そういうような非常に精神的な感情の激変が烈しいものです。大体只今のところで、推定では〇・五%四十万人ぐらいそういう種類に属する者がある。
小林勝馬
33
○小林勝馬君 そうすると酒癖が惡くていつでも飲んだら暴れ廻
つて
しようがないというような者も含むのですか。
草間弘司
34
○專門員(草間弘司君) そういう一過性の者は含んでおらないのでございます。
小林勝馬
35
○小林勝馬君 そうすると
私宅監置制度
を廃止して、いろいろなそういうものがたくさんの数になりますと、國家でそれだけ
費用
を持ち切るのですか。
草間弘司
36
○專門員(草間弘司君)
精神病質者
であるからそれはどうしても
入院
を全部させなければならぬということもないのです。それは非常に
程度
の重いもの、或いは
社会
的に、いろいろの
社会
的生活がうまく行かない、非常に困るものは、それは
入院
させるわけです。併し
自分
で
入院
するということは、これは別です。差支ない。これを
病院
で
入院
せしめるということになりますと、それはおのずから違います。
小林勝馬
37
○小林勝馬君 今御
説明
の中でそういう病質者が四十万もやるという御
説明
ですけれども、四十万もおるのに対して仮に
入院
を
希望
するとかいうようなことになると、
病院
の病室が足らなくなるのじやないかと思いますけれども、これは一般の
病院
にも入れられない、いわゆる
指定病院
というのですか、それに入れなければならないということになると、困
つた
点が出て来はしないか、その点はどうですか。
草間弘司
38
○專門員(草間弘司君) この
法律
によ
つて入院
せしめるということになりましても、只今二万床足らずの病床でありまするから、余程我が国といたしては病床の増加ということも今後考えて貰わなければならないと思います。
アメリカ
あたりの状況を見ましても、非常に病床は多い。
人口
三百人に一人
一つ
というような
程度
に病床があります。日本ではまだ
人口
四千人に
一つ
というような
程度
であります。今後
相当
に多くの病床を必要とするのではないかと思います。
小林勝馬
39
○小林勝馬君 次にこの
法案
で、
予防
する
措置
を講じなければならないとな
つて
いますが、精神病の
予防
ということはどういうことをやるんですか。
草間弘司
40
○專門員(草間弘司君) 精神病の原因を考えまするというと、いろいろ内因性、或いは外因性とありまして、中には梅毒等によ
つて
精神病に
なつ
た、そういうようなものにつきましては、原因を除去する、或いはアルコールの中毒、
麻薬
の中毒等によりまするものはそうい
つた
方面の原因を除去する。こういうことも必要であります。又優生
保護
法においても或る
程度
の
予防
はできる。又いろいろ精神病になりまするには、環境的にその原因が非常に多い。家庭の不和とか、
社会
的な混乱、経済上の混乱、そういうような原因が多数集
つて
精神病を起すというようなこともありまするので、
社会
的の
條件
というようなことも精神病の
予防
には力を入れて行かなければならんと思います。内的の原因を除去すると共に、
社会
的環境的の原因を除去するということに努めて行かなければならんと思います。
相当
にこれは一方大きなことでもありまするし、又それははつきりしておらないように思うのですけれども、そういうようなものが集
つて
病気
になる原因になります。ですから、その方に力を入れるということになります。
小林勝馬
41
○小林勝馬君
行政
当局にお願いして置きたいのですけれども、この
法案
が通過しまして実際面に行われるのみならず、現在でも先般から千葉の
病院
その他の問題が起
つて
おりますが、山下さんがさつきから言われたように、大体
精神病院
では
患者
が気違いであるとか、馬鹿であるとか、だから非常に
取扱い
が粗雑にな
つて
おるように現在まで私共見受けます。こういう点が、今こういう
制度
でどの
程度
実際
人権
を尊重してや
つて
おられるかということで非常に心配になるんです。家庭で監置
制度
があ
つた
場合は、家庭で見て行くからいいけれども、全部家庭には置けない。全部がこういう
病院
に強制的に
收容
されるということになると、それで非常に心配される面があるんじやないかと思いますが、この点は特に御
注意
して頂きたいとお願いして置く次第であります。
藤森眞治
42
○理事(藤森眞治君) 先程山下委員からも、只今小林委員からも御
希望
があ
つて
、御質問じやないのですけれども、一応現在の
精神病院
の状態はどういうようにな
つて
おるかという政府の方から現在の様子を御
説明
願
つた
らよいと思います。
山下義信
43
○
山下義信
君 政府の答えられる前に、私ちよつと補足して置くのですが、最前私がこの
精神衞生法
による
施設
に段々公的な性格を強ま
つて
行き、段々そういう点に改善して行く方針があるかという意味で、
社会
事業的な性格で残す。まあそれも置いて置くというような考えか……ということも打割
つて
いいますというと、現在の
社会
事業的な性格を持
つて
や
つて
おる
精神病院
というものも、甚だしく我々でも不安に感ずるのでありまして、それでこちらの
法律
によ
つて
、どの
程度
まで
指定病院
といいますか、
代用病院
といいますか、今の小林君の発言にもあ
つた
ように
精神病院
、脳
病院
とい
つた
ようなその
施設
というものが、どの
程度
まで安心し得られるものにな
つて
行くかということを主に私は伺
つたの
でありますから、重ねて私の質問の意味を補足して置きますから、合せて御答弁をお願いして置きたいと思います。
藤森眞治
44
○理事(藤森眞治君) 速記を止めて。 〔速記中止〕
藤森眞治
45
○理事(藤森眞治君) 速記を始めて。
三木行治
46
○
政府委員
(
三木行治
君) ちよつと私からお答えいたしますが、卒直に申上げますというと、私自身一昨年
予防
課長を拜命いたしまして、直ちに起りました問題が大阪の脳
病院
の問題であります。それまでは戦後殆んど放置されてお
つた
状態で、これは私共等しく責任を感じておる次第であります。そのときのいろいろと
調査
いたしました概況を申上げますというと、
現状
では大体
精神病院
の人院
患者
の三八%がおよそ公費で
入院
いたしております。それからその他自費
社会
保険、減免という公費に非ざるものが六二%になります。従いまして大部分は公費と減免で、実際自費で入
つて
おるような方は極く僅かだと思います。ところがこれは御案内のように結核療養所でございますというと、
患者
自身の連合体等がありまして、非常に強い要望がございます。ところが
精神病院
自体が、自身も主張いたしませんで、或いは病人の親権者等におきましても、成るべく係り合いがないようにというような人情的な立場をとりますので、何らこれらに対して御要求がないということと、延いては
病院
当局者並びに私共
行政
当局においても、必ずしも十分に行届いていなか
つたの
じやないかと思います。その
一つ
の現れといたしましては
代用病院
につきましては、大体
府県
知事
と
病院
長の協約によりまして
入院
料を設定しておる。ところが一方一般の
入院
の場合には、大体
社会
保険単価によ
つて入院
せしめておりますが、昨年の
現状
におきましても、代用
精神病院
に対して
社会
保険の単価の二百円の
入院
料を支払わんというような
府県
が
相当
あ
つた
。私自身一昨年大阪脳
病院
事件以来あらゆる機会を捉まえまして、
府県
の方に強く申入れておる。これは延いては生活
保護
の
患者
と同じような
入院
料を
精神病院
のものについても払えということを指示いたしました。大体におきまして今年では大体二百円という適正
入院
料を支払うことにな
つたの
であります。従来
府県
自体も適正
入院
料を
代用病院
に払
つて
いないのであります。従
つて
取締自体も十分なことができないので、たまたま一方
医療
監視
制度
が非常に発展して参りまして、各県からの
医療
監視員が一般的に
努力
して廻る。と同時に従来非常に安く値切
つて
入れておりました
精神病者
に
相当
の
予算
を
府県
が支払わなければならんので、非常に監視員が強くなりまして、昨今におきましては非常によくな
つて
参りましたが、まだ先般の千葉の問題等が出るような有様で、この
精神衞生法
が出ました機会に、これを全面的に改革いたしまして、こうした所で御心配されるようなことのないように
努力
いたしております。 先程の山下委員の御質問の趣旨につきましても私共全く同感でございまして、やはり
精神病院
の大部分は将来とも生活
保護
者が入る可能性があると考えておるのであります。ただ公的性格と申しますのは、強制
入院
を
対象
とする
患者
でありますが、これだけは当然鍵を掛けて、同じ
病院
の中でも更に監視をするというような恰好になると思いますが、
病院
自体の性格が公的にな
つて
不親切になる、というような憾みはむしろなくて、更によくなるのではないかというふうに予想しております。同時に又そういうふうに
努力
しなければならんと考えております。
小林勝馬
47
○小林勝馬君 今御
説明
の中にありましたように、普通の
病院
では本人自体もいろいろな苦情を言うし、いろいろなことを言うけれども、
精神病院
にはそういうあれがない。ないのではなくて、私共から言わせると、
精神病院
にしても食糧が足らんとか、あつちが痛い、こつちが変だということはあるのだろうけれども、なに、これは狂人の言うことだというので、取上げないのではないかというふうにも考えられますし、いろいろなそういう点から、片方が分らないということで、いろいろな惡い問題が起
つて
来ておるのではないか。だか私共から言わせると、これを機会に何とか……そういうようによくな
つて
行くと言われるが、もう一歩進めて、監視
制度
というか、監督
制度
というものを、それを
嚴重
にや
つて
貰わなければ、やはり今後においても、例えば配給が順当に廻らなか
つた
りするということは当然あるのではないかというふうに考えます。その点を十分今後、現在もそうでしようけれども、今後の
嚴重
に監視
制度
とか、監督
制度
を励行して頂く、そうでなくては安心して家族は
病院
に入れられないという結果になるのではないかと思います。念のため
一つ
申入れて置きます。
中平常太郎
48
○中平常太郎君 今の問題ですが、先般私共豊中の委託
精神病院
に参りましたが、ああいうふうに実に現在の
收容
状態が極めてルーズであ
つて
、それが脳
病院
でいえば、そこへ入れたものは脳病者と断定してしま
つて
、そうしてたまさか所管省の方から
調査
に厚生省の方から行かれましても、ただ事務長やなんかが受け答えをして、
患者
の方とは連絡もなし、
患者
がどんなふうに……脳病者のごときどうしてもあの監置の状態は極めて不完全極ま
つた
ものであるのですが、これは
精神病院法
でも同じであるからして、
精神衞生法
に変
つた
から
といつて
、それが殖えるものではないが、少くとも
精神病院法
を廃止して
精神衞生法
に
なつ
た以上は、もつと
精神衞生
という問題を監置ばかりの考えを持たずして、やはり及ぼす影響を
一つ
治療
の方に私はやるべきだと思う。今の脳
病院
は監置が主とな
つて
おる。これは無論監置も必要でありますけれども、四十万も監置するところの
施設
は日本にはないのだから、して見れば大部分は
治療
の方面に向
つて
各
医療施設
との連絡の上にや
つて
行かなければならないと思うのですが、この
精神衞生
という方面を取上げられた以上は、監置を本位にするという政策は私は片寄
つて
おりはせんかと思うのです。
衞生
方面と
治療
方面に重きを置くようにやり方に
施設
なりやるのか、その点を
一つ
。
中山壽彦
49
○
委員外議員
(
中山壽彦君
) この今度の
精神衞生法
案の骨子は、先刻
提案理由
を
説明
いたしました際に申上げました
通り
、従来のようなやり方ではいかん、精神病
患者
というものは
治療
をすれば治る、又
予防
すれば罹らんようにすることができ得る、こういうようなすべてのことを考慮いたしまして、この提案をいたしたのでございまして、只今中平君の御質問のそういうことも今後ないようにいたしたいという意味から、この
精神衞生法
案を
作つたの
であります。さよう
一つ
御承知を願
つて
置きます。
治療
も
予防
も併行して行く、こういう
意味合
であります。
中平常太郎
50
○中平常太郎君 その点は中山委員の御
説明
はよく分りますが、
法案
にはどういうところでそれが強く謳われておるか、大事な生命線はどこに、謳われているかということを指摘して貰いたい。
中原武夫
51
○
法制局参事
(
中原武夫
君) 組織の面におきましては、二章、三章、四章でございますが、それは後から申上げます。五章の
医療
及び
保護
というところが動的な
規定
でございますので、その点を先に申上げます。非常に重い者は
入院
させる
措置
をと
つて
おります。これが全部に関連いたすのでありますが、二十九條にあります
知事
による人院の
措置
であります。それから
入院
を必要とする段階にまで至らないけれども、面倒を見なければならない者に対する
措置
としては、四十二條の観察
保護
の
規定
がございます。又そういう者が置き忘れられておらないように、
国民
全体が
協力
をする
規定
が、二十三條から二十六條に至る
規定
であります。それから二章の
精神衞生
相談所
、三章の
精神衞生
審議会
は、今おつしや
つた
ような
精神衞生
全般に亘る
事項
、或いは
行政
面に対する推進
機関
となり、或いはみずから相談に応ずる
機関
となるように考えられております。
中平常太郎
52
○中平常太郎君 概括的にそうな
つて
おることは分
つて
おるのでありますが、どこにも強く謳われていないと思うからその点お尋ねしたのでありますが、次に第十四條の
審議会
でありますが、
審議会
の構成分子が「学識経験ある者及び
関係
行政機関
の公務員のうちから、厚生大臣が任命する。」とありますが、民間人というはどういう比率でお採りになるつもりでございますか、十五人の比率ですね。
中原武夫
53
○
法制局参事
(
中原武夫
君) 比率はまだはつきりと決められてはおりませんが、
治療
面に当
つて
おる民間の方、それから教育面に当
つて
おられる民間の方、社人事業面に携
つて
おられる方、司法
保護
の面に現
つて
おられる方、そういう方々を「
精神衞生
に関し学識経験ある者」ということで包含しておるつもりであります。それらに対応する
関係
行政機関
からも出る、おそらく半半になるのではないかと考えております。
中平常太郎
54
○中平常太郎君
審議会
は厚生省は大分整理しておるのですが、この間うちも大分整理したのですが整理しては拵える、整理しては拵えることになるのですが、拵えてはやめられるような、年に一回か二回か集会するようなお飾のただ
法案
に
一つ
形式を整えるだけのような
審議会
だ
つた
ら、とても
精神病者
などは治らんですよ。実質において本当にそういう神経病者の治るようなことを考えるならば、
行政官庁
などというものはどうせ臨席できるのでありますから、主として
治療
面の人を構成分子の大部分に入れて、本当に生きた
治療
方面の方とを考えて行くという
審議会
にしなければ、整理される度に、すぐに内閣は一遍きりにやめた
といつて
、厚生委員会のほうへ御相談なしにおやめになる、而もそれが束にな
つて
十も二十も一緒に上げられる、そういうような
審議会
だ
つた
ら拵ないが宜しいぜ。
中山壽彦
55
○
委員外議員
(
中山壽彦君
) この精
衞生
審議会
の置置ということは、今回初めて置かれることになりましたが、今中平君のお説の
通り
、現在笠議会というものを廃したらどうかという声が盛んでありますので、私共はこの点は十分考慮いたしまして、
審議会
のメンバー等についても、いずれこれは政令で何か出ると思いますが、
治療
方面の人はこの
審議会
に非常に重点を置いておる、もう
費用
なんか要らないのだ、我我は献身的にこの方面に
努力
したいという誠意を被瀝されておりまして、私共この
審議会
については将来非常な
希望
を持
つて
おります。さよう御承知を願いたいと思います。
姫井伊介
56
○姫井伊介君 第一條で「
精神障害者
の
医療
及び
保護
」とありますが、
医療
と
保護
だけでこと足りるか、いわゆる
精神障害者
でありますから、精神的の療養方面のことが何とか考慮されていなければならない。そういうことはどういうふうにな
つて
おりますか。
中原武夫
57
○
法制局参事
(
中原武夫
君) この
医療
という意味の中には精神的
医療
ということも無論入
つて
おるのであります。
姫井伊介
58
○姫井伊介君 例えば音楽とか、或いは自然の風物に接するいろんなそういうふうな
施設
などの必要がある、そういうことなんですね。そういうことは十分考慮されておりますか。
草間弘司
59
○專門員(草間弘司君) これは只今の
病院
を視察いたしましても、松沢当りで
相当
そういう方面も苦心して作
つて
おりますし、又作業的な方面の軽作業のようなことからも
医療
をや
つて
行くという、いろいろの面から苦心しております。
姫井伊介
60
○姫井伊介君 第二條に国及び
地方
の公共団体の責任が書いてありますが、これの教育
施設
とか、福祉
施設
とか、これを充実しなければならない。今度はそれとの連絡
方法
というものはどうか。これじやぽんと切れてしま
つて
おりますが、この法において精神
治療
をやる場合におきまして、第二條におけるそうした教育や福祉
施設
との関連というものがどうな
つて
いるか。
中原武夫
61
○
法制局参事
(
中原武夫
君) この
法律
で規制をいたします方面は、
行政
措置
を伴う方面を、どうしても強くそういう方面だけを取上げることになりますので、只今御指摘になりましたような自由に、
病院
へ入るということについては
法律
で関連をつけてございません。
姫井伊介
62
○姫井伊介君 次に
入院
者の処遇ですが、先刻皆さんのお話がありましたように、
自分
の意思発表も十分にし得ないという人達は、これを親切に労
つて
やらなければならないとい
つた
ような、そういうふうな
規定
は必要がないかどうか。更にこの年若い青少年などを扱います場合に、ただ医師、看護婦のみならずして、寮母とい
つた
ようなものの
設置
の必要はないか、どうか。
草間弘司
63
○專門員(草間弘司君) この
入院
者の処遇につきましては、
病院
といたしましては非常によくや
つて
おりますし、これもやはり
一つ
の
医療
の部門だと思います。これを細かく
規定
に書き上げるということも考えられるのでありますが、これは
治療
上の非常に重要な部門でありまするからして、
治療
方面からしてもこの点は十分に考慮されておると思います。
姫井伊介
64
○姫井伊介君 これは
病院
の
施設
に対する監督と共に、
入院
者に対する
保護
ということは重要なことで、やはり一項ぐらい、或いは一條ぐらいは、これくらいは拵らえなければならないというようなことがあ
つて
欲しいと思うのですが。 それからもう
一つ
はこの
児童
相談所
との関連であります。二十四條、五條、六條の
関係
はありますが、
児童
相談所
ともう少し緊密に連絡をとる必要はないですか。
中原武夫
65
○
法制局参事
(
中原武夫
君)
児童
相談所
との
関係
は、先程お話しがありましたように、働くときは一応は
児童福祉法
の方に讓
つて
行こうと、こういう考え方でありましたので、特に
児童
相談所
長との関連は考えませんでした。
姫井伊介
66
○姫井伊介君 例えばこの
児童福祉法
によりますと、
児童
相談所
でいろいろな勧告をする。そのときには
児童
相談所
のいろいろな
施設
に送り込むというようなことがありますが、これは新しくできたこういうものですね、それと関連がないと縁が切れる。その関連性を満たす必要がないかどうか。
中原武夫
67
○
法制局参事
(
中原武夫
君) そういう意味の関連でございましたら、
国民
は誰でも
知事
に対して
收容措置
についての
申請
ができるという
規定
が三十三條にございます。その
規定
で
児童
相談所
長も
手続
きが直ぐとれるわけであります。
姫井伊介
68
○姫井伊介君 それならば今の二十四條、五條、六條とい
つた
ように、そういうはつきりしたものがあると、この関連によ
つて
考えるつもりであるか。誰でもということでは、まあこの
施設
を、
児童
相談所
を無視したような傾向になると思うのですけど。
小川朝吉
69
○
説明
員(小川朝吉君)
児童
相談所
の問題でございましたら、この
法律
が施行になりますれば、この
児童
相談所
と十分に協議いたしまして相互
協力
するような運用をいたしたいと考えております。
姫井伊介
70
○姫井伊介君 尚民生委員が兼ねております
児童
委員との関連、これはどういうようにな
つて
おりますか。この
規定
は必要がないかどうか。やはりこれらも民生委員法自体でこういうふうな
施設
との関連は十分にな
つて
おると考えますか。
中原武夫
71
○
法制局参事
(
中原武夫
君) 民生委員に
義務
付けることも一応考えたのでありますが、そういう
義務
付けをいたしますと、民生委員は町を歩いておる
精神障害者
について嚴に通報をいたしませんと、
義務
違反になるわけで、それでは大変だというので、一般
国民
と同じように二十三條の
規定
で必要があればできるだけに止めておこうと、こういうことにいたしたのでございます。
姫井伊介
72
○姫井伊介君 この
病院
施設
は今度の
医療法
の一部
改正
にあります
医療法
人で建てることになるわけですか。
中原武夫
73
○
法制局参事
(
中原武夫
君)
病院
施設
に関する
條項
は、当然
医療法
によりますから、只今おつしや
つた
ような点もその
通り
だと思います。
藤森眞治
74
○理事(藤森眞治君)
麻薬
中毒
患者
の
取扱い
ですね、
麻薬
中毒
患者
の
取扱い
については、
医療法
の上から中毒
患者
という届出のありましたときにこれをどういうふうにこの
法律
で取扱うのですか。具体的に
取扱い
方法
を伺いたい。
中原武夫
75
○
法制局参事
(
中原武夫
君) 只今御質問がありました医者との関連を初めの案には書いてあ
つたの
であります。併しそれも二十三條の
規定
によ
つて
知事
との関連がつきますから、
知事
は二十
七條
以下によ
つて
、
精神衞生
鑑定
員の
鑑定
を経た後、必要があれば
病院
に
收容
する
措置
を当然とらなければならなくなります。
藤森眞治
76
○理事(藤森眞治君) それは分りましたが、実際上の
取扱い
はどういうふうに処理するかということについて、それからあの今の
法律
にはそれでいいけども実際の問題は……
中原武夫
77
○
法制局参事
(
中原武夫
君) 届出がありました
麻薬
中毒
患者
について
法律
違反があれば、当然
麻薬取締法
によりまして
処分
する。
精神障害者
であると
判定
を受ければ当然この
法律
は
適用
される。こういうふうに考えております。
藤森眞治
78
○理事(藤森眞治君) ところがまだ
刑法
上の犯罪は犯してないが、
麻薬
中毒
患者
で
相当
兇暴性があると認められるとき、すぐ何かの
措置
をしなければならん、危害を加える虞れがあるという、こういう場合に中毒
患者
をすぐ何とかできないかというそこの
取扱い
方ですが……
里見卓郎
79
○
説明
員(里見卓郎君) 只今の
麻薬取締法
によりまする
麻薬
中毒
患者
の取扱でありまするが、これについて御
説明
申上げます。この
麻薬取締法
によりますると、第四十一條に
麻薬
施用者は
麻薬
に中毒していると診断した場合にはこれを厚生大臣に届け出なければならないことにな
つて
おります。これについては
罰則
を
適用
されております。尚
麻薬取締法
の四條に「何人も、左に掲げる行爲をしてはならない。」と禁止行為がありまして、その第四項に「
麻薬
中毒のため公安をみだし、又は
麻薬
中毒のため自制心を失うこと。」こういう項がありまして、若しも
麻薬
中毒者
が発見されて、この公安を素すようなことがあれば、この
麻薬取締法
によ
つて
措置
しなければならないことになるかと思います。で実際の場合といたしましては、これを犯罪者として扱うのには、それの当嵌るような証拠或いはこういうような
條項
に当嵌るような事態がなければ犯罪者として扱えませんがら、そういう事態が起きたときに初めて
麻薬取締法
によ
つて
処置することになると思います。
藤森眞治
80
○理事(藤森眞治君) 他に御質疑ございませんか……それでは別に御発言もございませんようですから、質疑は終
つた
ものと、認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
山下義信
81
○
山下義信
君 本案の質疑を打切り、討論を省略し、直ちに採決に移らんことの動議を提出いたします。
藤森眞治
82
○理事(藤森眞治君) 只今山下委員の動議に御異議ございませんか。 〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
藤森眞治
83
○理事(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。それでは只今から
精神衞生法
案について採決いたします。原案
通り
可決することに御賛成の方は挙手を願います。 〔総員挙手〕
藤森眞治
84
○理事(藤森眞治君) 満場御賛成と認めます。よ
つて
本案は可決されることに
決定
いたしました。尚本
会議
における
委員長
の口頭報告の
内容
は、本院規則第百四條によ
つて
予め多数
意見
者の承認を経なければならないことにな
つて
おりますが、これは
委員長
において本案の
内容
、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨、養び表決の結果を報告することにして御承知願うことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
藤森眞治
85
○理事(藤森眞治君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條により
委員長
の議院提出の報告書につき、多数
意見
者の署名を付することにな
つて
おりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。 多数
意見
者署名 塚本 重藏 中平常太郎 姫井 伊介 山下 義信 小杉 イ子 穗積眞六郎 小林 勝馬
藤森眞治
86
○理事(藤森眞治君) 御署名漏れはございませんか。署名漏れはないと認めます。それではこれで散会いたします。 午後零時五十五分散会 出席者は左の
通り
。
委員長
塚本 重藏君 理事 藤森 眞治君 委員 中平常太郎君 姫井 伊介君 山下 義信君 小杉 イ子君 穗積眞六郎君 小林 勝馬君
委員外議員
中山 壽彦君 事務局側 常任委員会專門 員 草間 弘司君 法制局側 参 事 (第一部第一課 長) 中原 武夫君
政府委員
厚 生 技 官 (公衆
衞生
局 長) 三木 行治君 厚 生 技 官 (医務局長) 東 龍太郎君 厚生事務官 (
社会
局長) 木村忠二郎君
説明
員 厚 生 技 官 (公衆
衞生
予防
課長) 小川 朝吉君 厚 生 技 官 (医務局
麻薬
課 長) 里見 卓郎君