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藤森眞治君 この
麻薬取締員の
権限につきましては、前にも
法律がここで審議されました際に、こういう強い
権限を持
つたものを十分に指導しなければ、まるで狂人に刃物を持たすようなものだ、こういうような
意味のことをこの
委員会の席上が述べたと思うのでありますが、現在の樣子を見ておりますと、
只今お話のありましたように
件数が殖えております。これは成程
取締員の素質がよくな
つて、そうして
事例をよく発見するように
なつた、こういうあなたの善意の
説明でありますけれども、一方から申しますと、これは非常に
摘発主義にな
つておる。殆んど取るに足らんようなことまでもほじくり上げるというような点が出て来るのではないか、私は前にこの
法律ができまするときにも、殊にこういう新らしい日本にできた
法律においては、
十分指導主義でなければならん。
指導主義で、そうして
犯罪の
件数というものは
指導員によ
つてなくすべきであるということを申しておりましたが、
只今の御
説明によると、善良な
意味でこれは殖えたという
意味でございまするが、どうも私はそうは受取りにくい点があるので、尚
実情をよく見てみますると、必ずしもあなたが言われるような行き方をしておらない。まだそれのみならず中には随分
取締員が
権限を利用して、そうして我々から見ると不穏のような
発言、或いは行動を取
つておるものがあります。若し
実例を申上げてよければ申上げまするが、最近私のところの姫路の
裁判所において、
麻薬違反の
裁判があ
つた。その
裁判の記録を御覽になれば、これに出て来た
麻薬取締員の証言が出ておりまするが、これを御覽になるとよくお
分りになるだろうと思う。そういうふうに極めて面白くない
事例がある。そこへ持
つて来て、私共は
身分をよくして……
行政の
一貫と
身分の
一貫ということには
異議ありませんが、そうするためには一方これを保障する、又
権限を強くするためには一方には十分これが
教育され、そうして指導される、そうすれば全く
犯罪が少くなるだろう、こういうことをする
官吏が欲しいと我々は思
つております。徒らに
権限を利用して
犯罪を殖やすような思想を持ち、傾向を持つ
官吏は私達は欲しくない。こういう点から申しますと、
只今御
説明があ
つた点は少し食違いがありはしないかというような
考えがいたしますのですが、どういうふうなお
考えでおられますか、あなたの方にも若干こういうことは
お気付きにな
つておるのではないかと思うのですが、忌憚ないそういうふうな御
意見を承
つて、我々は
一つ厚生当局の御
意見を十分伺いたいと思います。