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政府委員(東龍太郎君) それでは只今の御
質問に罰答え申上げます。
先ず特別会計の実施後の
収支の
状況から申上げます。国立病院の特別会計、
昭和二十四年の七月一日に発足いたしましたので、
昭和二十四年後の
予算は歳入歳出共に補正
予算を含めまして二十五億六百八十九万四千円でございます。そのうち歳入といたしましては、診療費その他病院の收入が十八億六千六百八十六万四千円、一般会計からの繰入金が六億四千三万円でございまして、特別会計が七月一日に発足いたしましてから十二月末日までの六ヶ月間におきまする歳入の
状況は、十二億一千七百五十四万八千円余りに
なつておりまして、一般会計からの繰入金が四億二千二百八十九万一千円余なり、合せまして十六億四千四十三万九千円余ということに
なつにおります。これに対しまして
支出は十四億百十五万七千余円であります。その差引二億四千万円足らずが歳入超過というのが昨年末の
状況でございます。従つて一月以降におきましては病院收入が六億四千九百三十一万五千円余を徴しますと共に一般会計かもの繰入の残額二億一千七百十三万八千円余を受けることによりまして予定
通りの歳入ということになるのでございますが、一般会計の繰入金につきましてはすでに手続を了しておりますので、従つてこの一月以降における病院収入の見込六億四千九百三十一万五千円余を收入心得るか否かというのが問題でございます。この点につきましての
見通しでありますが、十二月末日におきまする牧納未
済額が、四億六千万円余でございます。その実績からいたしまして一ヶ月に平均二億以上の收入見込をすることは過大ではないのでありまして、従つて今後の
努力によりましては予定
通りの歳入を上げる
見通しも持つておるのでございます。従つて始めて行いました国立病院の特別会計といたしましては、当初は相当不安に感ぜられたのでございますが、只今までの
状況では比較的順調に決算を完了し得るものと
考えております。
それから国立病院は軍病院から転換したものでありまして、従つてその立地條件のうち、特にその位置が、比較的町から遠隔のむのがある。さようなものはむしろ結核療養所に転換してはどうか、その意思があるかということでございますが、これは原則といたしましてはそれぞれの国立病院の立地條件を仔細に検討いたしまして、尚その国立病院の所在地の地元の医療
機関ととしての価値等も参酌いたしまして、今御
指摘になりましたように一般患者が比較的少くて、いわいる特別会計では大きな
赤字に
なつてやつて行けないというようなものにつきましては、これをでき得る限り結核療養所に転換いたしたいと存じております。それから特別会計といういわいる
収支のことを
考えますれば、
赤字の病院はこれを閉鎖するもいいじやないかというふうな
考えの方もあるようでありますが、とにかく医療
機関として現地国立病院のうちで如何なる小なるものと言いましても相当の信頼を受けておりますし、又相当の医療
成績も挙げておりますので、これを閉鎖するというような
考えは持つておりません。精々只今申上げましたような結核療養所に転換いたしまして、そして病院としての機能をできる限りよく発揮させようというつもりであります。すでに具体的に
考えておりますものも数ヶ所あるのでありまして、例えば東京近くでありますれば千葉県の佐倉におります国立病院はこれを結核療養所に転換するがよろしいというので
意見も一致しております。又北海道の宗谷にございますのも、これも結核療養所に転換することに地元とも話がついておるような次第でございます。尚又不便な所にあります国立病院は成るべくならばこれを便利な所に移したいという
考えを持つておりますし、又場合によりましては便利な市内に
診療所或いは出張所のようなものを設けまして、そうしてその間の連絡をよくすることによつて、比較的不便な土地にある国立病院をも十分に活用したいというふうにも
考えております。只今のその便利な所に移すというふうな具体的な例としましては、目下問題に
なつておりますのは、札幌の国立病院が札幌市の協力を得まして現在の郊外の不便な所から市内の相当将来性のある場所に移転をする計画を只今やつております。さような工合に国立病院の持つております立地條件の不利な点は、でき得る限り
機会を得ます度ごとにこれを有利に転換いたすつもりでおります。
次に国立病院における研究費の問題でございますが、これはご
指摘の
通り各国立病院におきましては相当立派な医師の幹部を備えております。にも拘わりませずその研究費等或いは研究の便宜、施設等が医育
機関の病院に比べますと著しく劣つているということはその
通りでございます。このことにつきましては私も当初から、病院において若いいい医者を多数に病院に引附けますためには、特にこの研究施設というもの、或いは研究の便宜ということが大きな要素であるということを
考えまして、何とかして研究費を成るべく多額に使い得るようにいたしたいと存じてお
つたのでありますが、御承知のように研究と申しますというと、直ぐにそれがこの病院の仕事でない、文部省の所管の事柄のように思われるのが、
政府内の特にこの財務
関係の方々の通念でありましたので、国立病院の、或いは療養所の
運営において研究費というものをば、費用として
予算の項目として大巾に取るということは非常な困難を極めたのでございます。研究は大学病院でやればよろしい、国立病院は診療するとこるである。成る程その
通りでございますが、私共の
考えとしましては、研究ということはこれは研究のための研究ではないのでありまして、これは立派な診療の一部と
考えでいるのでありまして、又その思想を極力強調いたしました結果、年々僅かずつではありますが、研究費という費目が増額せられて来ておるようなわけであります。勿論現在の数千万円という研究費は、これを全国の百何十ヶ所の病院に当嵌めますというと、誠にささやかなものでありますが、併しながらこれでも年々殖えて参りますことを唯一の楽しみに、毎年の
予算折衝におきましては研究費の増額に努めておる次第でございます。特に病院について、例えば東京の国立第一病院のごときものは、特にこれをいろいろな
意見において立派な病院にしてはどうか、或いは又
地方におきましてもすべてのものを
均等に見るのではなくて、立派な病院は特に立派になるように
努力をしたらというお
考えのようでありましたが、事実国立東京第一病院は国立病院中のいわゆる模範病院ということ以上に日本の病院の模範として、モデル・ホスピタルとしてこれを整備するとい方ことが
関係方面からの強い
要望もありまして、一昨年来そのつもりで整備いたしておるのでありますが、当初の計画
通りなかなか参りません。主としてこれは
予算を持たないためでありますが、それでも現在のところではややモデル・ホスピタルとしての形を整えつつある
状態でございまして、今後ともこれが完成いたじますまではさようなふうな扱いをして参るつもりでおります。又
地方におきまじても国立病院の或るものにつきましては、特にそれをその
地方における主要なる中央病院的性格をもたせるために整備をいたしておるのでございます。国立病院の職員、特にその医師等の待遇は甚だ悪いということは、これはもう御
指摘までもなく誠に私共遺憾に存じておるのでございます。そのために優秀な医療
関係者を国立病院に引附け得ないのみならず、すでにおる人を失う傾向のあるということもこれも事実でございます。これにつきましには私共といたしましては、現在いろいろな名目でその待遇の足らざるところの一部を補うような措置を講じておる、いわゆる姑息な手段を採つておるところもございますが、それよりも医師等の待遇を特殊な扱いをして頂きたい。いわゆるこの職階の問題につきましても、或いは初任給の問題にりきましても、医師というものに対する特別なスケールを作つて頂きたい、又作りたいものだというので、その折衝なり或いはその研究なりはいたしております。現在のところそれがまだ成果を結んでおりませんが、これはひとり国立病院のみならず全国のすべての医療
機関の医療
関係者が強く
要望いたしておるところでありますので、国立病院におきまして特に国家公務員としての医師の待遇については特別の考慮を抑つて頂きたい、さよう
なつつもりで
努力いたしております。
それからいわゆる白衣を着た人が街頭若しくは車中等において募金をいたしております。これにつきましてはこの白衣を着ておりまじて現在街頭、車中における募金に従事いたしております人の中には、現在国立病院に或いは国立
診療所に入院しておる患者はおらない筈なのでございます。それは各病院、療養所の当局がそのことに対して強ぐ患者に注意を與えておりますのみならず、患者のいわゆる自治団体であります患者の会におきましても、このことは固ぐ禁じて滴りますにも拘わりませず、国立病院のしるしを着けた、そうして又病院名を書いた人が街頭に立つでおることもこれも事実であります。でこれにつきまして私もこれを認めておりまして、国立相模原と書いた札を附けた人が募金をいかしておりました、これにつきましてその個人について姓名その他を調べまして病院へ照会いたしましたところが、現在の入院患者ではなか
つたという事実がございます。従つて現在ああいうふうなことをやつております人には、現在の入院患者はないと思いますが、併せながらああいう姿でああいうことをやらせなければならないということは、これは誠に残念で遺憾なことだと存じますので、
病院等における待遇、この生活
状況が必ずしもゆたかであるとは思いませんが、ここ一二年前に比べますれば、現在は遥かに楽に
なつでおりまして、病院にいる患者が街頭に立つてああいうふうな姿をしなければどうしてもやつて行けないというふうな
状況ではないと私共は
考えております。このことにつきましては、私共といたしましては絶えず注意を拂つておりますし、今後も各国立病院、療養所につきましては、ああいうふうなことのないように努めたいと存じております。ただ現在のごとく或いはすでに曾て病院にお
つたという人が、あの中には多いことと存じますが、そういう人々をああいう姿で表に出すということに対する対策につきましては、尚私共医務局
関係以外の各
方面とよく連絡を取りまして善処いたしたいと存じます。
尚初診料の問題は、私はつきり実は存じておりませんので、いずれ調べまして申し上げます。