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1950-06-27 第7回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十五年六月二十七日(火曜日) 午前十時三十八分開会 ————————————— 本日の会議に付した事件 ○
社会保障制度
に関する
調査
の件 —————————————
山下義信
1
○委員長(
山下義信
君) これより
厚生委員会
を開会いたします。
前回
に引続きまして、休会中の
継続調査
と相成
つて
おりまする
社会保障制度
に関しまする
調査
を続行いたします。本日は、
前回
は
社会保障制度審議会
の
試案
につきまして、
当該事務局長
から
概略
の
説明
を聴取したのでございますが、本日は
社会保障制度
の上におきまして、最も重要なる課題でございまする各種の数理的研究問題につきまして、
政府
の
専門家
でありまする
鈴木数理課長
から、これらの諸問題についての
専門的意見
を聴取いたしたいと存じます。尚、
健康保険組合
の
松本調査部長
からも
社会保障制度
と
数理計算
というような問題につきましての
所見
の開陳も求めたいと存じております。これより
鈴木課長
から
所見
を聴取することにいたします。
鈴木正雄
2
○
説明員
(
鈴木正雄
君)
只今社会保障制度
の
財政
に関する
数理計算
の
説明
をせよとの
お話
でございますが、話が抽象的になりますので、先程
社会保障制度審議会
で
研究試案
ができまして、それに対する
数理計算
の
資料
がお
手許
に配付されておるように存じますので、それに基きまして大体の
お話
をいたしたいと思います。 先ず、
社会保障
に関する
財源
の問題は大きく
二つ
に分けて考えるのが適当と思います。それは現在いわゆる
健康保険
と言われております
疾病等
に関する
給付
の場合及び
失業保険
に関する場合、この場合はいずれも大体一年の
期間
を単位にいたしまして、その
期間
の必要な
財源
を一年間の
収入
を以て充てるというふうな組織のものが第一でございます。第二は、
年金制度
のように、
実施
の当初は
保険給付
が少く、
漸次年
を経るに
従つて
非常に増大して来る
傾向
を持つもの、こういうふうな将来に亘る
計画
を必要とするものと、この
二つ
に分けることができます。先ず、
最初
の
健康保険
、
失業保険
、そのような場合の
計算
を
短期給付
の
短期計算
と一応呼んでおりますが、先ず
短期計算
の場合について御
説明
申上げます。お
手許
に配付されておりまする「
社会保障制度研究試案
による
収支概要
及び
保険料計算
について」を御覧願いますと、「
短期給付計算
の
基礎
」という表題で、以下その
内容
がございますが、先ず第一に、
計画
の場合に何人の人が被
保険者
になるかということの
予定
が必要になります。それでこの
制度
の立て方といたしまして、被
持者保険
と、その他の
保険
と分けておりまして、
制度
を二本建にするという形になりますので、先ず
被用者
の
予定
と
一般国民
の
予定
と別個にいたします。この
計算
では被
保険者数
は
総理府統計局調査
によりまする
産業別従業
上の
地位別就業者数
を
基礎
にいたしまして、
被用者保険
の
男子
が九百三十九万人、
女子
が二百八十万人、合せて千二百二十七万人、それに対しまして
家族
が二千八十六万人もあるものと推定しております。日本の総人口八千万といたしまして、その他の
一般国民
の数を四千六百八十七万人と推定いたします。この推定によりまして、次に被
保険者
一人
当り
一年間にどのくらいの
給付
が要るかということを推定することになります。この表の二番目に
給付費算出
の
基礎
とございますが、これは各
制度
の
給付別
に一年間に被
保険者
一人
当り幾ら
の
費用
が要るかということの
計算
の
根拠
が上
つて
おります。このうち最も
財源
に重大な
影響
を持つものは(1)の
療養
に対する
費用
でございます。この
計算
には一年間に被
保険者
一人
当り
何回
医者
にかかるか、及び一回かか
つた
場合に
幾ら
の
費用
が要るかということが
計算
の
基礎
にな
つて
おります。この
基礎
は最近の
健康保険制度
、これは
政府管掌
、
組合管掌
とありますが、その両者を加えまして、更に
共済組合
の
実績
及び
船員保険
の
実績
、この三
制度
の
実績
の
平均
をとりまして、この
受診率
の三・一三二というのが決ま
つて
おります。それから一件
当り費用
というものは、
政府管掌健康保険
の
基礎
を、最近の
実績
による一件
当り
の
基礎
を
基礎
にいたしまして、八百八十四円というものが算定されております。これは各
制度
の
実績
でございますが、例えば
健康保険組合
について考えますと、
組合
には
組合自身
の運営する
診療機関
もございますし、又
事業主
の運営する
自己診療機関
もございます。こういう
診療機関
の経営は、或る場合には
事業主
が一部
財源
を持ち、或る場合には被
保険者
の払う単価を低くするとかいうふうな
関係
がありまして、
一般
の
保険医
に支払う
費用
というものとは
相当差
がございますので、全体の
費用
といたしましては、そういうものを考えない
健康保険
被
保険者
の
実績
を使うのが適当という意味で、この八百八十四円というものを使
つて
おります。こういう
数字
を
基礎
にいたして、被
保険者
一人
当り
一年間に
幾ら
の金がかかるかということが算定されます。以下
傷病手当金
、
分娩費
、
出産手当金
、
葬祭料
、
哺育手当金
の各項がございますが、いずれも以上申しました三
制度
の
実績
を
基礎
にして
給付
の起る
割合
が
計算
してございますし、又
給付
の
種類
によりましては、
報酬
に比例をする
給付
をする場合もございますが、これは
平均報酬
を八千円といたしまして、又
女子
の場合には四千五百円といたしまして、
費用
の
計算
の
基礎
といたしております。これらを総合いたしまして、一年間に
幾ら費用
がかかるかということが算定されます。
被用者
の
家族
に対する
給付
の
費用
につきましても同様の
計算
で算定されております。その結果は次にございます「
短期給付種類別負担別内訳
」という表がございますが、この
費用総額
という欄に結果が計上されておりまして、
被用者
の場合の
療養
の
給付
が三百五十七億円、
傷病手当金
が九十八億円という結果が出ております。又
家族
に対する
給付
は
家族療養費
が三百五億円、
配偶者分娩費
が三十三億円というような字数が出ておりまして、これらを合計した
つまり
八百四十億円というものが、先程申しました千二百二十七万人に対する一ケ年の
給付
の
総額
ということになります。
健康保険関係
の
給付
は、大体
保険事故
の発生する
割合
が安定いたしますと、この
程度
の
費用
が毎年あれば賄
つて
行ける、これを
国庫
が
負担
し或いは
保険料
として被
保険者
が
負担
する。或い場合には一部
負担
の
制度
があ
つた
ならば、これを被
保険者
が
負担
する、こういうような
財源
で賄えるように
保険者率
が
國庫負担
の金額なんかを決定するわけであります。 次に、
失業保険
につきましては、
失業率
を四%といたして
計算
してあります。勿論
失業率
は年によ
つて
、景気の
如何
によりまして、非常に変動のある要素でございますが、
保険制度
といたしましては、この
試案
によりますると、
最初
の六ケ月
間保険給付
が貰えて、以後は
保険給付
が貰えないということになりますので、相当
長期
大量の
失業者
が起りましても、そういう現象の起る当初の
期間
には相当の
保険給付
が要りますが、それを経過いたしますると、又
財政状況
が安定いたします。それでこの
程度
の
失業率
を以てすれば、或る場合には相当
失業保険金
の支払が多くな
つて
、
財政
がどうなるかという懸念も表面上は見えると思いますが、長い目で見れば十分に賄
つて
行けるのではないかと思います。この結果は
失業給付
に対しましては、二百八十七億円の
費用
が一年間に要る。これを
国庫
と
保険料
と分担いたしまして、
給付
の
国庫
の
負担額
の
総額
と
保険料
の
総額
が決定されます。これによりまして被
保険者
、
事業主
の
負担
すべき
保険料率
、或いは
保険料額
というものが決定されるわけであります。 次に、
一般国民
の場合におきましては、やはり前と同じような
計算基礎
で
計算
されますが、特に
療養
の
給付
につきましては、
受診率
を現行の
国民健康保険
の
実績
を
基礎
にいたしまして算定してあります。現在の
国民健康保険
は凡そ被
保険者
が
医者
にかかります場合の一部
負担金
が
費用
の五割
程度
にな
つて
おります。本業におきましては、これが三割になりますので、被
保険者
が
医者
へ行く機会が多くなるという点を見込みまして、年間一・五、
つまり
被
保険者
一人一年間に一回半
医者
にかかるという
根拠
で一・五というものが見込まれております。又一件
当り費用
は、最近の
国民健康保険
の
実績
に基きまして、一件
当り費用
の六百円が算定されております。
受診率
は
健康保険
に比べまして、非常に低くな
つて
おりまするが、実は現在までの
状況
が、
保険
に対する知識の
普及程度
が低いことと、又
場所
によりましては、
診療機関
の利用に非常に支障のあるような
場所
もありまして、又分布が不十分である、そういう点もありますので、将来
保険
の
思想
が発達し、或いは
診療機関
が適正に配置されますと、これは増加されるものと思います。
従つて
この一・五というのは、
実施
当初の見込でありまして、
診療機関
の
整備
に
伴つて
順次これは増加して来る。この数よりは、或る
程度
まで上昇して行こうと了解すべきだと思います。結局
一般国民
に対する
費用
は
総額
で五百一億円かかりますが、そのうちの四百二十二億円が
療養
の
給付
になります。これは今申しました通りに、
診療機関
の
整備
と
保険思想
の
普及
に伴いまして、若干の増加を期待しなければならないという結果になります。 以上総合いたしまして、
保険給付
の
費用
の
総額
がこの表の三にありまする一千六百二十八億ということになります。この
国庫負担
或いは
保険料
の
内訳
は
負担割合等
によ
つて
変
つて
参りますが、一応この表によりますると、
国庫負担
が四百十億円、それから
都道府県
及び市町村の
負担
が八十四億円、
保険料
が八百七十五億円、一部
負担
が二百五十九億円、こういうふうな結果が出ております。尚、以上の
数字
を被
保険者
一人
当り
にいたしますると、
被用者
につきましては、一年間の
費用総額
が九千百八十一円、
国庫負担
が二千三百四十四円、
保険料
が五千七百六十四円となります。この
保険料
の五千七百六十四円を
平均報酬
八千円として
計算
いたしますると、
保険料率
としては四・四%
程度
になります。併し四・四%と申しますのは、全被
保険者
を
平均
したものでございますので、仮に現在の
政府管掌健康保険
の被
保険者
のみを考えますると、
商工業
の
被用者
が対象となりますので、
一般
の
平均
よりも低い。その結果或いは四・四%よりも高くなるかも知れない。というのは、
組合管掌
の場合におきましては、大企業でありますので、
平均報酬
が若干高廻る。更に
医療機関
の
種類如何
によりましては、
医療費
も
一般
の
保険医
にかかる場合よりも低くて済む。そういうふうな
医療保険料率
は低くなるというふうな
傾向
がございます。又
一般国民
の場合の一人
当り
の
負担額
は、
費用総額
が一千六十九円、
国庫
の
負担
が二百六十一円、
都道府県
百八十円、
保険料
は三百五十八円という結果になります。その三百五十八円は被
保険者
一人
当り
の数でございますので、仮に一世帯五・五人といたしますと、凡そ
年額
二千円
程度
の
負担
になるわけであります。 以上
短期給付
の
負担
の
関係
はこれまでにいたしまして、次に、
年金制度
の
負担
について
お話
ししたいと思います。
年金制度
の
財政
をどうするかということは非常に問題の多い点でございまして、
世界各国
の
制度
を見ましても、非常にまちまちな
方法
をと
つて
おります。それでこの
計画案
といたしましては、どういう
方法
であるかと申しますと、この
年金
の部という方の
計算
の
基礎
の
説明
が残
つて
おりますが、その
最後
の
計画案
として被
保険者
一人
当り
の
費用負担額
というのがございます。この表を御覧願いますと、この
男子
の欄につきまして、
昭和
二十六年から三十年までは
費用総額
は
年額
二千四百円、そのうち
事業主
及び被
保険者負担月額
が百六十円、その下に〇・〇二とございますが、これは
負担
の
報酬
に対する割当が掲げてございますが、
最初
の五年間はこういう
負担
で行く。次の五年間、
つまり
昭和
三十一年から三十五年までは
費用総額
が三千六百円、
事業主
及び被
保険者
の
負担月額
が二百四十円、
料率
にいたしまして〇・〇三、以下五年
目ごと
に四%に上げ、五%に上げて、四十六年からは九%七になるというような表がございます。この表は尚
事務局
の方におきまして、更に実際的な表は今
計算
中の模様でございますが、一応大体の構想は、当初と低い
保険料
を取
つて
順次上げて行く。そうして
最後
には
一定
の
料率
を賦課するというふうな
基礎
にな
つて
おります。こういうふうな
計算方法
に行く前に、種々の
年金財政
の建て方についての案が提出されまして、その結果
最後
にこの案が適当だという
意見
で、これを
計画
の案にしたらどうかということにな
つて
おります。 どのような問題があるかということの
概略
を
お話
申上げますと、この表の
あと
の方に
参考資料
として、
社会保障制度
における
被用者年金
に関する
資料
というのがございます。その第一番目に
数理的保険料内訳
という表がございます。この
数理的保険料
というものはどういうものであるかと申しますと、或る時期に新しく
労働者
とな
つて
、そうして被
保険者
になるという
グループ
を考えます。そういたしますると、その
人達
は死亡する場合もありますし、或いは
癈疾者
にな
つて年金受給者
として、被
保険者
の身分をなくす者もありますし、又
独立営業者
となりまして
保険
の範囲から離れて行くというふうな者もございます。そういう
人達
を、入
つた
時からの
経過年数別
に
予定
することができます。そういうふうに或る
グループ
が
労働者
にな
つて
からその
人達
が全部
労働者
でなくなるまで、こういうものを相当
長期
に亘りまして
予定
いたします。そういたしますると、その
半面幾ら
の人が
労働者
として残
つて
いるかという
数字
が
計算
されるわけであります。これができますると、その
グループ
の
人達
が将来どのくらい
保険料
を払込むかという
計算
の材料が一方にできるわけでございます。それに対しまして毎年のいろいろな事由で以て
保険団体
から離れて行くというふうな
数字
が出ますと、
経過年数別
に
幾ら
、何人の人がどのような
給付
を
貰つて保険
から離れて行くという
数字
の
根拠
が出るわけでございます。更に
年金
につきましては例えば
養老年金
について考えますると、十五年以上被
保険者
であるとして働いた後に、順次
保険団体
から離れて行く。そういう人が六十歳以後にな
つて年金
を貰いますが、そういうふうな
予定
も
生命表
を
基礎
いたしまして
計算
できるわけでございます。例えば二十年目にやめた人がある。そういう人はまあ或る
程度
の
平均年齢
が仮定されまするので、六十歳になればどのくらい減る、それ以後一年
ごと
に
死亡者
がございますが、何人くらいの人が残
つて
行くというふうな
計算
ができるわけであります。こういうふうな各
年度
にやめて行く人につきまして
計算
しますと、
最初
に被
保険者
に
なつ
た
グループ
が受ける
年金
の
人員
の
予定
が全部立つわけでございます。そうしますると
給付
の
予定額
がありますので、毎年の
給付
の総
費用
が一応推定されます。一方先程申しました被
保険者
の
人員
が
年数別
に
計算
されますので、
幾ら
の
保険料
を払
つた
らこの
給付
に見合うかということが
計算
できるわけであります。その場合に
年金
といたしましては相当
長期
に亘る問題でありますので、その
グループ
だけで
計算
することになりますると、
一定
の
フアンド
ができて参ります。それに対しては
利息
の
收入
が一方にあるわけであります。従いましてこの
利息
を
計算
に入れた場合の
財源
と、それから一方に
計算
されました
給付
の
費用
と見合うようにした
保険料
を決めることができるわけであります。逆に申しますると、一方で
保険給付
が
年次別
に出ておりますので、それを被
保険者
に
なつ
たときの
原価
に
計算
し直す。
つまり一定
の
利率
で割引をした額を
計算
して、一応その一方で各
年次別
の
保険料
を払込む
人員
がございますので、これをやはり
一定
の
利率
で割振りいたしまして
原価
に直しまして、その何%、或いは
幾ら
の
保険料
を取
つた
らば
保険給付
と見合うかというふうな
計算
によりまして
保険料率
を決めます。これを
数理的保険料
と申しております。この
数理的保険料
を用いますと、或る時期に或る
グループ
の人が被
保険者
になる。その
グループ
の人のみについて
計算
しますと、その
保険料
を徴收して行けば、
最後
の被
保険者
がいろいろな
種類
で
給付
を貰いながら全部死に絶える、そのときに一銭も過
不足
がなくなるというふうな
計算機構
にな
つて
おりますので、この
保険料
に対する
考え方
は被
保険者
の
グループ
として
払つた保険料
と、それから被
保険者
の
グループ
として貰う
給付
が、
利息計算
を入れて完全に一致をするというふうな結論になりますし、又そういう
考え方
で
計算
をしてございます。 で、この
保険料
を実際に適用しておる例は、
イギリス
の
社会保障制度
ではこの
保険料
が適用されおります。
イギリス
の
社会保障
ではこういうふうに
計算
された
保険料
、
つまり
被
保険者
が払込んだ
保険料
とそれから貰う
給付
とが
利息計算
を入れて一致するような
保険料
が最も適当であるという、そういう
思想
を昔から持
つて
おりまして、この
保険料
が適用されておるわけであります。それで一応
数理的保険料
に関する問題はそれまでにいたしまして、大体被
保険者
の払込むべき
保険料
というものに対する
考え方
を申し上げますと、只今申しました
数理的保険料
というのが先ず第一番に考えられるのでありますが、これは
イギリス
の
社会保障
でと
つて
おりまする概念によりまして、こういうものが一番適当だという
考え方
の
保険料
であります。第二番目には毎年の必要な
給付
を
保険料
が賄うという
計算方法
、
つまり
健康保険
或いは
失業保険
のような
短期給付
と同じ観念で
保険料
を決定する、そういう
方法
が第二番目に考えられます。それから第三番目の問題といたしましては、これはちよつと簡単でございませんが、先程申しました
数理的保険料
は新しく被
保険者
にな
つた者
に対して適用される
保険料
ということになりますが、実際に
制度
を
実施
いたします際には、すでに五年なり十年なり二十年なり
労働者
として経過した人がございます。そういう
人達
は
年齢
が三十歳或いは四十歳というふうに高齢にな
つて
おります。
従つて
その
人達
にその
保険料
を適用いたしますと、過去に払込まれなか
つた
期間
があるに拘わらず
年金
が付くというふうな
関係
がありまして
財源
が
不足
する結果になります。その
不足財源
をどうするかという問題になりますので、そういう
不足財源
まで全部
保険料
に込めて
計算
する、
つまり
これから
制度実施
のときに初めて被
保険者
にな
つた者
、及びそれ以後毎年新しく被
保険者
になる者、これらを全部総合いたしまして
一定
の
保険料
を課して、そうして
給付
をしながら
財政
を持
つて
行けるようにする、こういうやり方が第三番目に考えられます。これはドイツを中心として
欧州ブロツク
の
社会保険
ではそういう
考え方
を持
つて
おります。
保険料
の
計算
の仕方としては以上の三つの
方法
が大きく分けて考えらりめわけであります。ところでそういう
保険料
を徴收しながら
保険財政
をどういうふうに持
つて
行くかということが関連して同時に考えなければならない問題になります。それで先ず第一の
数理的保険料
を徴收した場合にはどうなるか、こういう場合の
計算
がこの
計画
一として載
つて
ございます。その
計画
一の将来の
新規加入者
に適用する
負担
を課した場合、これは
つまり
数理的保険料
を課した場合はどうなるかという
計画
でございます。その場合の
財政
に関しましては、先程
保険料
の第三番目の形の場合に申上げましたように、新しく
実施
いたしますると、そのときに一時に被
保険者
になる人、こういう人については
財源
の
不足
を生ずる、結局その
不足財源
をどうするかという問題が解決できなければこの
数理的保険料
は採用するわけには行かないわけであります。その
方法
としては
二つ
の
方法
が考えられまして、先ず第一はその
不足財源
の
利息
だけを国が
負担
する場合、この
計算
におきましては大体二千数百億円の
財源
が
不足
する結果にな
つて
おりますが、この
財源
の
不足額
に対する
利息
のみを国家が
負担
する、これはどういう
考え方
かと申しますと、或る
一定
の
資金
が
年金会計
として
不足
しておる、これが正規に
運用
されておりますれば将来
財政
には不安がないのであります。そこでその
不足財源
が仮にあるものと考えますると、
一定
の
利率
によりまする
運用收入
が入
つて
参ります。それではこの
考え方
は
フアンド
が
不足
しておりましても、その
利息
を入れて置けば丁度その
フアンド
が十分にあると同じような作用をする、そういう
考え方
から、この
利息
のみを
国庫
が
負担
するという
考え方
が一応成立するわけであります。その
計算
はこの
收支見込
の「(a)当初
加入者
に対する
不足財源
の
利息
のみを国が
負担
する場合」、この表に大体の将来の見込みが載
つて
おります。この
内容
を見ますると、
昭和
二十六
年度
には
事業主
及び被
保険者負担
が五百六十六億円、
積立金
は当初はございませんので零、
給付
の二割の
国庫負担
が三億円、それから当初の
フアンド不足
に対する
国庫
が九十七億、
收入
の合計が六百六十六億円、
保険給付
の
支出
といたしまして十六億円、
差引收入支
の
差額
六百五十億円ありまして、
年度
末には六百五十億円の
フアンド
が集まる、この
状況
が続きまして
事業主
と被
保険者
の
負担
は、
計算
上
年度
によ
つて
若干の増減がございまして違いますが、大体五百六十億から六百億
程度
にな
つて
毎年入
つて
来る。
積立金
の
利息
は
フアンド
が増加いたしますので、三十一
年度
には百十億円、三十六
年度
には二百四十九億円というふうに全部増加いたします。又
給付
に対する二割の
国庫負担
、これも
給付
が年々順次増加いたしますので、当初の三億円から、三十一
年度
には三十二億円、三十六
年度
には五十六億円というふうに漸次増加いたします。
不足財源
に対する
国庫負担
はこれは
一定
の
不足財源
があるものと考えられますので、九十七億円は毎年変らないで
負担
しなければならないことになります。これに対して
保険給付費
は十六億円から百五十八億円、二百七十九億円、七十六
年度
には二千三百九十九億円というふうな額に行きます。そうして各
年度收入
と
支出
の
差額
がございまして、順次
積立金
が増加して二十六
年度
の六百五十億円から五年目の三十一
年度
には三千四百二十億円、更に三十六
年度
には六千九百四十八億円、最終の七十六
年度
には二兆八千六百十一億円という巨大な
積立金
が積まれるという結果になります。 それでこの
方法
に対しまする
一般
的な批判を申上げますと、先ず長所といたしましては
保険料
の
負担
は被
保険者
が払う
保険料
と
保険給付
とが、一応
保険
の理論から行きまして
バランスシ
ておりますので最も合理的ではないかという点がございます。それから
保険料
が初めから決ま
つて
おりますので、
負担
する側から
言つて計画
が立て易い。それから
国庫負担
が九十七億円という
一定額
は当初から
負担
しなければなりませんが、これを余分に
負担
する
味意
で
給付
の二割の
負担
と合せまして大した大きな
負担
にはならない。 次に
フアンド
がありますので、被
保険者
といたしましては
給付
の将来に対する安定が持ち得るのではないかというふうな点が挙げられます。これに対しまして、
反対論
といたしましては、
積立金
が非常に大きくな
つて資金
の
運用
が困難になるとか、或いは余り多過るために経済全体に及ぼす
影響
が見逃すことのできないようなものではないかというのが最も大きな
反対論
であります。これはこの案のように
積立金
を積んでそうして
運用
して行くという
方法
に対する根本的な欠陥とも考えられますし、又根本的な
反対論
の
根拠
ともな
つて
おります。 次に
積立金
を相当持ちますので、
貨幣価値
が下落した場合に一遍に効果がなくなる、特に今回のような急激なインフレが起りますと、非常にたくさん積んでいたものが一遍に殆んど無くなるような結果にな
つて
しまう、そうしてその
あと
にその
財政
の穴埋めをどうするかという問題が起るかというのが考えられる
欠陷
になります。 次に、この
方法
はそのままにして置きまして、第二の(b)という項に当初
加入者
の
不足額
を後年
収支
の
バランス
が取れたとき国が
負担
する
方法
、これはどういう
方法
かと申しますると、
最初
の案は、
不足財源
に対する
利息
を国が
負担
するという
方法
を取りましたが、この案では初めはそれをやらないで
つまり
穴を穴として放
つて
置くという
考え方
であります。そうしますと、当然
利息収入
がなければならないのに、それが入りませんために
不足財源
というものは年と共に増大して行くわけであります。そうして
最後
には
積立金
を崩すようにな
つて
しまつて
、その
積立金
もしまいにはなくなる。そうしますると、
保険給付
と
保険料
とは非常な差ができまして、
給付
ができなくなる、その場合に国が
国庫負担
するという
方法
であります。これは
イギリス
の
社会保障
の
年金制度
がと
つて
おる
方法
であります。
イギリス
がどういう意味でそういうふうな
方法
をと
つた
かと申しますと、
制度実施
のときの
財源
の
不足
というものは
制度
を
実施
することによる国の責任である、そのためにこれは国で
負担
しなければならないという
考え方
から、一応そういうものに対しては国の
負担
であるという根本原則を決めまして、そうしてその
方法
といたしましては、国がその
不足財源
に対する
負担
を初めからやらないで実際の
給付
の増加に
従つて
や
つて
行くという
方法
をと
つた
わけであります。尚
イギリス
におきましては、
年金
に対する資格年数が非常に短いために現行
制度
の前身である寡婦孤児老齢拠出
年金制度
が
実施
され、一九二五年以後数年にして
保険料
と
保険給付
との
バランス
が崩れまして、
国庫負担
を
実施
しておるような
状況
にな
つて
おります。この
計算
におきましては、まだ
数字
の上では
昭和
七十六年になりましても
国庫負担
の
数字
は出ておりません。これは
年金
の資格年数が十五年であるために
給付
の
実施
が相当遅れる、そのために当初は
フアンド
が可なり詰りまして、それが切崩される時期が相当先になるという結果からこういうふうにまだ
国庫負担
が出ておりません。併しいずれこの先になりまして多額の
国庫負担
が必要にな
つて
来る。極端に申しますると、
保険給付
金が約二千四百億、これに対しまして
保険料
負担
が約五百八十億、その
差額
の一千八百億
程度
が
国庫負担
になるわけであます。この
方法
の批評を申しますと、
負担
に関しましては
最初
のA案と同じように非常に合理的な
負担
である。
財源
の
不足
は理論的に国が補償して国が責任を果すという点、それから第四番目は
実施
当初は
積立金
が相当できるけれども、たとえインフレが起りましても国の責任がはつきりしておりますので、そういう
影響
は第一案よりも少い。又
フアンド
を積むことが条件にならないので、
給付
の回転が容易にできるというような点が長所になります。短所といたしましては、将来国の
負担
が非常に大きくなる。
つまり
将来
国庫負担
の
実施
が可能かどうかという見通しがなければ、なかなかこの案をとりにくいという点だろうと思います。 次に、この
計画
の二の表題にあります「現在及将来の
加入者
のすべてに適応する
負担
を課した場合」、この場合は先程
保険料計算
の第三の場合として申上げましたように、
制度
が
実施
されるときに入
つて
来る新しい被
保険者
及びその後毎年新しく
労働者
になる被
保険者
、これらを含めて初めから同じ
負担
率を課して
フアンド
を積みながら運営して行く
方法
、この
方法
によりますと、
事業主
、被
保険者
の
負担
は当初
年度
が六百八十六億、その他
国庫負担
が三割ありまして、
保険給付費
の十六億を控除して六百七十三億の
フアンド
ができます。それから三十一
年度
になりますと、違いますのは
積立金
ができますので、その
利息
が計上され、
給付
が増額しますので、国家
負担
が若干殖えて行く、これによ
つて
保険給付費
は十六億から百五十八億に殖えて行く、差引き六百八十九億の金が残りまして、このときの
積立金
は三千四百二十億になります。こういうような経過をたどりまして、七十六
年度
には
フアンド
として二兆八千六百億の金が集まることになります。この案はいわゆる完全積立式という言葉で呼ばれておりまするが、
最初
の
計画
と違います点は、
保険料
の
負担
は数理的な
保険料
では
一般
男子
について見ますと、月額四百四十四円、これは
平均
賃金八千円といたしまして五・六%になります。この案によりますると、五百二十八円の
負担月額
になります。
平均
賃金八千円に対する
料率
が六・六%になる、約一%の増加にな
つて
おります。これは
実施
当初の
財源
の
不足額
を将来の
保険料
として賦課されておるという結果になりまするので、このために一%の
差額
があるわけであります。それで、この案に対する批判といたしましては、長所はやはり先ず
フアンド
の点につきましては、
フアンド
を持
つた
めに被
保険者
に安定感を與えるということ、又
保険料
負担
が
一定
でありますので、
事業主
及び被
保険者負担
が安定して
計画
的である。それから
国庫負担
は、
給付
の二割を取る以外には、全然
国庫負担
を課していない。これらの点が長所と考えられまするが、短所はやはり
フアンド
を非常にたくさん持つという形になりますので、
資金
の
運用
並びに保有上の
欠陷
があるわけであります。
貨幣価値
が下落した場合には非常に重大な
影響
を蒙りますので、これが大きな
欠陷
にな
つて
おる。それから第三番目に一応
数理的保険料
が理論的の
保険料
といたしますると、
負担
がそれだけ多くな
つて
おる。これは
実施
当初の
財源
不足
を将来の被
保険者
に負わせておるという点が、一応まあ理窟はありまするが、欠点として数え挙げられます。 それから
計画
三に移りますが、これは毎年の
給付
費用
をその
年度
の
負担
を以て賄う場合、これは
健康保険
と同じように毎年必要な
給付
の
費用
を
保険料
で賄
つて
行くという
方法
であります。
昭和
二十六年から三十年の五年間を
平均
して見ますと、
保険給付
は六十八億、一年間
平均
六十八億になりまして、その二割の十四億が
国庫負担
となりますので、
保険料
負担
としては五十四億でいい。結局被
保険料
一人
当り
の
保険料
の
負担
が
年額
四百三十四円、月額三十六円で済みます。次に三十一
年度
一年間を考えますと、
給付
の百五十八億に対して、二割の
国庫負担
の三十二億を控除した百二十六億が一年間の
保険料
として徴収すべき額になります。これを被
保険者
一人
当り
に換算しますと、
年額
九百九十八円、月額八十三円というふうな二人
当り
になります。併しこれが年を経過いたしまして
昭和
七十六
年度
の数を見ますと、
保険給付
の二千三百九十九億に対しまして、
国庫負担
は四百八十億で、
保険料
としては千九百十九億を取らなければならない。このために被
保険者
一人
当り
の
負担
が
年額
一万四千八百八十五円、月額千二百四十円というふうな高いものになります。これを
数理的保険料
の四百四十四億に比べますと、殆んど三倍に近いような高い
数字
になります。で、この
制度
の批判を申上げますと、長所といたしましては、
実施
の当初は
負担
が非常に軽いのですぐに入り易い、
実施
し易い、それから第二番に、
積立金
を持つことがないので、
資金
を
運用
したり或いは保有するような煩しさがない、
つまり
積立金
を
運用
す方式の欠点の大半がなくなるわけでございます。勿論インフレーシヨンの
影響
もなく又
給付
の変更も容易にできるわけであります。併し一面短所といたしましては、この表にあります通りに、将来の
負担
が非常に多くなる、そのために
制度
をそのままの形で持
つて
行くことが困難ではないか、後に
国庫負担
或いはその他の
給付
の
財源
を求めるような疑問が起
つて
来るという点でございます。
従つて
計画
としては、この
保険料
を課するんだということを予め
予定
するということが、理論的に成立たないんじやないかというのが勿論大きな欠点になります。又
保険料
を、
つまり
七十六
年度
に千二百四十円の
保険料
を取りますが、これを今のような貨幣経済が続いて行けば、外に任意
年金制度
のようなもので、個人的に投資もできるわけであります。個人的に投資した場合とそれからこの
制度
によ
つて
受ける
給付
と、どちらが得かと申しますと、勿論個人的の投資の方が
利息
が入りますので得になる、
従つて
その比較において非常な問題が起るんではないかという点、それから第三番目に
保険料
を払う人と
保険給付
を貰う人とが、時代的にずれている、
つまり
保険料
を払うのが現在の
労働者
でありますが、
保険給付
を貰うのは、三十年、五十年先の
労働者
である、そういうふうなずれは、たとえ相互扶助の観念を以てしても解決できないんではないかという疑問がありますが、勿論
負担
に非常な差がありますので、不公平ではないかという点もございます。まあこれらの点がこの
制度
の批判となると思います。 それから
計画
の第四番目は、これは大体三と同じでございますが、ただ
国庫負担
を若干変えて行く、と申しますのは、
保険料
の
計算
は
短期計算
の
方法
によりまするが、
国庫負担
は初め
計画
三と同じように、
給付
の二〇%を持
つて
行く、但し
給付
が漸次増額いたしますので、最終段階になる前に、
保険料
の
負担
が終料段階において
給付
の三分の二、
つまり
仮りに二千四百億円を
給付
の最高といたしますると、千六百億円までは
保険料
の
負担
とする、併しその後は
国庫負担
の二割を増して八百億円まで増加するという
考え方
であります。これはこの前のアメリカからの
社会保障
の
調査
団の勧告案が大体こういう形にな
つて
おります。これは当初は
国庫
財政
が困難であるから、
国庫負担
を条件としないで、後にな
つて
国庫負担
を課したらいいだろうという
考え方
であります。
年金制度
につきましては、以上のような種々の
方法
が考えられまするが、いずれを採りましても
フアンド
をたくさん持つようなものは、
資金
の
運用
と又インフレの
影響
からい
つて
大きな疑問があります。又
フアンド
を持たない
方法
によりますると、先にな
つて
負担
が非常に多くなる、
従つて
国庫負担
を初めから或る
程度
考慮に入れなければできない問題ではないかというふうな疑問がございます。それで
計画
を立てるのは、非常な困難に直面するわけでありまするが、今回
事務局
の方で立てました案といたしましては、
最初
に御
説明
いたしましたように、当初は
保険料
を
幾ら
か低く取
つて
おる、そうして順次
一定
の
期間
を置きましてこれを増加して、或る時期において
一定
の率にするという案を考えられたわけであります。併しこの場合も、相当多額の
積立金
は保有されることになります。この
計画案
の表に続きまして、
収支
見込という表がございますが、
昭和
二十六年におきましては二百五億、三十一
年度
におきましては一千百五十億、これが
昭和
七十六
年度
におきましては二兆一千六百五十億という金額になります。ただ
計算
上はこういうふうな結果にな
つて
おりまするが、この案の
考え方
といたしましては、先ず第一に、
短期計算
の
方法
を
予定
計画
として立てることも困難がある、又完全積立式を
予定
計画
として立てることも困難が予期される、
従つて
そのいずれも当初としてはとり難い。又第二の点といたしましては、
保険料
を、現行
制度
と比較して飛躍したような高額のものを取るのはどうか、現在の
労働者
の
負担
能力からして、およそ現行で取
つて
いる
程度
にとどめたらどうだろうかという点を考慮いたしまして、当初はこの案のように、およそ
男子
については二%、船員、坑内夫は、ここでは四・八%にな
つて
おりまするが、これは現在
事務局
の案では三%
程度
にとどめたいという模様であります。まあこういうふうな現行
制度
と大体同
程度
の
保険料
を以てスタートして行く。そうして一応
計画
としては、いわゆる
短期計算
よりも多くして、
フアンド
が殖えますので、
積立金
を以て行く
方法
をとる。そうして順次これを上げまして、或る
年度
におきまして
一定
の
料率
にする建前をとるのが、最も、理論から言いましても、実際から言いましても、適当ではないかという考えでできたのがこの案でございます。勿論このように二兆なにがしの
フアンド
が積まれるということは、完全積立式と同じような形式を持
つて
いることになりますが、これは現況のみを以て判断いたしますると、更にいろいろな疑問がありましようが、日本経済が将来どう安定するかということを見合
つて
、更に将来この問題は検討すればよろしいのではないかということも一応考えるわけであります。以上話が非常に錯綜しておりまするが、
年金制度
に対するこの案の
考え方
、或いは
年金制度
全般に対する
財源
或いは
財政
運用
の幾つかのモデルというものについて御
説明
申し上げたわけであります。勿論
年金制度
の
財源
は、
保険料
と
國庫負担
と
フアンド
の
利息
、これ以外にはございませんので、而もその
短期計算
によりますると、
フアンド
の
利息
がないために
負担
が非常に多くなる、
国庫負担
等の問題も起る、又
長期
計算
におきましては、
フアンド
が大きくなるということに対する大きな欠陥があります。それでありながら、やはりそれ以外に
財源
の入る途がないという点で、将来も非常に大きないろいろな問題を残すと思いまするが、一応この
程度
の案でスタートして、将来の実情に合せながら尚この構造を研究して行くというのが、実際的であろうかと考えております。 以上で私の御
説明
を終ります。
山下義信
3
○委員長(
山下義信
君) ちよつと速記を止めて。 〔速記中止〕
山下義信
4
○委員長(
山下義信
君) 速記を始めて。
松原一彦
5
○委員外議員(松原一彦君) 鈴木さんの今の
最後
の
社会保障
に関する予算調の
社会保険
のところの
収入
に、恩給というのがあ
つて
、ここにある五十七億三千八百円は、今年の
年度
の予算ですね。
鈴木正雄
6
○
説明員
(
鈴木正雄
君) これは二十五
年度
の実際予算であります。
松原一彦
7
○委員外議員(松原一彦君) そうすると、これを
収入
に入れてある以上は、これは一つの別個の
計算
で、今の恩給は現状のまま支払うという
計算
でございますか、打込みになりますか。
鈴木正雄
8
○
説明員
(
鈴木正雄
君) 御
説明
が洩れたのですが、私が先程御
説明
申上げました案は、現行
制度
の現在金が行
つて
おるものは一応別個に考えまして、新しくこの
制度
が
実施
された後にどうなるかと、そのものだけについてどうなるかというような
計画
の御
説明
を申上げたわけであります。現行
制度
の現在貰
つて
おる
年金
については、一応考慮されていないわけであります。
つまり
先程の
財源
或いは
財政
の御
説明
には、現行
制度
によ
つて
受けておる
年金
受給者、或いはその持
つて
おる
積立金
等は別個の問題として考えるということで、先程の
数字
はできております。
松原一彦
9
○委員外議員(松原一彦君) 別個の問題としてできておるが、併し
収入
の分がそこに入
つて
おるというのは……。
松本浩一
10
○参考人(松本浩一君)
つまり
収入
は
国庫
納金の中に入
つて
おるが、恩給の五十六億は入
つて
おらないと、こういうことですか。
松原一彦
11
○委員外議員(松原一彦君) いや、入
つて
おると言うのです。
松本浩一
12
○参考人(松本浩一君) 初
年度
の
給付
の中には入
つて
おりません。
松原一彦
13
○委員外議員(松原一彦君) 八十六項のところに初めて挙
つて
おる。
松本浩一
14
○参考人(松本浩一君) 国家公務員共済、
つまり
恩給でありますが、三年た
つた
昭和
二十九
年度
からこの
社会保障制度
の方に入るような
計算
にな
つて
おります。
松原一彦
15
○委員外議員(松原一彦君) 恩給の方は……。
松本浩一
16
○参考人(松本浩一君) 恩給も一緒くたにしまして、
昭和
二十九年から出て来ることになります。
松原一彦
17
○委員外議員(松原一彦君) 分りました。
山下義信
18
○委員長(
山下義信
君) それでは今の点なりその他の点について、松本君から
お話
を願いましよう。
松本浩一
19
○参考人(松本浩一君) 只今紹介頂きました松本でありますが、鈴木さんから御
説明
がありましたので、あえて申上げるまでもございませんが、若干蛇足と思いますが、二、三述べさして頂きます。 実は
社会保険
の
計算
の
基礎
は、只今の
お話
でもお分りと思いますが、
社会保険
の
計算
の
基礎
でございます。皆さんの御
手許
の七十一項を開けて頂きたいのであります。ぺらぺらの方の
給付
計算
の
基礎
のところを御覧にな
つて
頂きますと分りますが、問題は
短期給付
でございます。
短期給付
の
財政
を左右するものは、一にかか
つて
療養
の
給付
、それのみと言
つて
もよろしいと思いますが、その他
傷病手当金
、
分娩費
、
出産手当金
、
葬祭料
というものがありましても、それは正に九牛の一毛としかならないのであります。問題は
療養
費というものの
計算
の
基礎
の立て方
如何
というものがこの
制度
を決めるのであります。この
計算
を御覧になりましたら分ると思いますが、この
給付費算出
の
基礎
のところの(a)の
被用者
の
療養
の場合に、
受診率
ゐ三・一三二、一件
当り
の
費用
が八百八十四円にな
つて
おります。これを掛けますと二千六百五十円ばかりの
療養
費が一年にかかるという
計算
になりのであります。ところが下の方に下りまして(b)の
被用者
の
家族
被
保険者
の(1)の
家族
の
療養
費のところを見ますと、三・五五二の
受診率
で七百円を掛けますと、
家族
が一・七人でありますから、それを一一・七で割る、
つまり
七百円に三・五五二を掛けて、更に一・七で割りま千四百五十円ぐらいになる。もう一つの
受診率
が一・五で、一件
当り
の
費用
が六百円でありますから九百円になります。この三つを比較いたしますと、
一般
の
療養
費が二千六百五十円かかる人と、千四百五十円かかる人と、そうして九百円かかる人と、こういう非常に大きな違いがある、そういうことが今度の医療
制度
の設定とか、
計画
とかいうことで、又どう動くか分らないのであります。従いましてそういう点、一応これはこういう統計で見ればこのように
なつ
たのだと、かようにお考え願いたいと思います。ではこういうものの点数とか、こういうものをどのように我々見たらいいかといいますと、これは新しい経済学的の知識を導入して申上げますと、
つまり
自由診療の場合におきましては、今までの
保険制度
のない場合には、お
医者
さんの生産者価格と申しますか、経営をや
つて
行くに足るところの
費用
を患者に押付けても十分であ
つた
。併しながら現在のような被
保険者
、患者というものは
療養
の
費用
というものは何らの願慮がなくて、
保険制度
でありますから、いわゆる新しい言葉で言いますと、
療養
の
給付
の医療需要に対する弾力性係数というものは無限大にな
つて
来ておるのであります。従いましてその無限大に
なつ
た
費用
を被
保険者
自体が負移することはできないのであります。併しそれに相当する生産者の
費用
としてお
医者
さんは請求しなければならん、
つまり
言い換えれば生産者は自由診療であるが、自由医療的な形でありながら、消費者である患者の方は独占的なといいますか、変
つた
統制的な
保険制度
で行
つて
おるために、
医療費
というものに対する生産者価格と、消費者価格が完全に一致しない形になる。丁度米の生産者価格と消費者価格というのが一致しないために、別の形で生産者価格が米価バリテイというようなものが閣議で毎年秋決定されておる。そして生産者価格は、生産者の
負担
し得る能力の範囲内で米の価格ができておる。それと同じような概念で
療養
費は、標準標養費という言葉が使われておりますが、標準
療養
費というものは、生産者価格と消費者価格と別個の立場からこれを見て、その
差額
を
国庫
で
負担
するという
方法
を持
つて
行かない限りは、自由診療のお
医者
さんの
制度
を残して置きながら、
社会保険
をや
つて
行こうとしたら、どうしてもこれは
財政
が行き詰る、それは英国の
社会保障
の
制度
が正にその通りであります。英国の社会医療問題、ヘルカ・サービス・アクト、保健事業法というものは八七%が
国庫
の補助で行
つて
、
従つて
被
保険者
が毎週五ペンスずつそのために
保険料
を払
つて
おるのは、これはいわゆる消費者価格として、
負担
能力の限度しか払
つて
いない、そんなもので
保険財政
を賄
つた
日にはお
医者
さんはたま
つた
ものじやありませんから、お
医者
さんは生算が立
つて
行くだけの
費用
を貰わなければならない。それは保健事業法の
療養
費の全体の八七%を
国庫
が補助しているということで行われているのであります。そのような概念で只今申上げました一人
当り
の
費用
なども見て行かないと、
健康保険
の危機と同じようなふうに、国民全体の医療問題が、発展した問題が起るだろうということが、我々アクチユアリーの場合から一つの大きな心配にな
つて
いる点であります。 次に、
年金
の問題を簡單に申上げます。
長期
給付
の
計算
の
基礎
というところがございますが、これはぺらぺらの紙の
年金
の部と書いたところがあると思いますが、本で申しますと、七十六項でございます。
年金
の
計算
の場合に根本となります
計算
の
基礎
がおおむね四通りあるのであります。それは
計算
の
基礎
の
予定
利率
と書いてありますところが一つと、その次に
生命表
と書いてあるのが一つ、その外に
被用者
の
男子
の場合に、死亡率、癈疾率、脱退率、業務上の死亡率、業務上の癈疾手当金率と、いろいろ細かく書いてございます。
給付
事由発生率とおおむねこれを称するのであります。それと給料指数と、この四つであります。これらの
計算
の
基礎
をきめまして、
昭和
七十年とか七十六年とか、将来のことをきめて、その
計算
の
基礎
通りぴた
つて
現実が一致するということは、到底夢想もすることができない。従いまして実際に
計算
の
基礎
というものは現実に一致しないものであるということを先ず御認識願いたいのであります。そうすると非常にでたらめであるのじやないか、こうおつしやいます。併いながら三十年、四十年先の
計算
の
基礎
をぴた
つて
当てるというのは、神か予言者の仕事である、決して統計学者の良心のある者の行えるところじやありません。従いまして現在我々の信ずるところのこの
程度
の
計算
の
基礎
を、我々の知識できめられるというところで始めたものが、この
計算
の
基礎
であります。従いまして
社会保険
の現在の通念から申しますと、この
計算
の
基礎
が、五年間ほぼ狂いなく行ければ、非常にアクチユアリーの感覚はよか
つた
というように言われるくらいであります。そうすると非常にでたらめとおつしやるかも知れませんが、その点は誤解のないように御解理願いたい。実はアクチユアリーの言葉で言いますと、経営不析ということを、毎年
計算
の
基礎
が
予定
通り行
つた
かどうかということを絶えずチエツクして行きます。五年ぐらいたちますと、大体その
計算
の
基礎
がよかつかた悪か
つた
かということがあると、そこで又
計算
を建直して、従いまして
保険給付
、
保険
金というものが一文も残らないで、
計算
の
基礎
が変
つて
保険
が上
つた
り下
つた
りすることがあり得る、そういうことであります。それから生命
保険
におきましてはそれと違いまして、生命
保険
は三十年満期、四十年満期、終身
保険
というものの
計算
の
基礎
を時々変えた日には、
保険料
が毎年変るというので、非常に不安定であります。併しこれは任意加入で契約者が自由にそれを納得の上で入
つた
のであるから、非常に安全を見込んだ
計算
の
基礎
できめて結構であります。
従つて
三十年、四十年の
計算
の
基礎
をきめますから、生命
保険
の
計算
の
基礎
は非常に安全にな
つて
来る、
従つて
その安全を現実の差というものから利益が出て来る。その利益が利益配当と
なつ
たり、株主、今生命
保険
会社には株主配当はございませんが、火災
保険
にはございます。そういうものが
つまり
株主に配当にな
つて
も納得の上でや
つて
いる。こういう点を末高先生が一昨日の読売新聞に、
社会保障制度
試案
の焦点という読売新聞の日曜評論の中におきまして、今度のこの
制度
が生命
保険
技術によ
つて
おるということを、まあ非難されたのです。従いまして
社会保険
の
計算
の
基礎
というのは、利益が起らないでも現実的なものをとろう。強制加入、例えば
予定
利率
の問題でありますと、
予定
利率
というものは四分なら四分としましたら、先ず我々の考えでは五年間それが四分に廻らなくてもいい。二年間四分以下で、三年間四分以上であ
つて
もいい。五年間ならして大体四分になれば十分
予定
利率
が成り立つ、そうして五年た
つた
ときに、五年が七年の場合もありましよう、そういう場合に
予定
利率
が安定過ぎたと思
つた
ら、もつと上げてもいいわけです。そこでこの
財源
の中で最も大きなフアクターを占めるのは、
予定
利率
が本質的なものであります。それを四分にするとか、六分にするとかということは、非常に大きな問題なのです。それで
財政
計画
の、只今
鈴木数理課長
の
お話
に
なつ
たところの
計画
1というところ一つ御覧願いたいのです。
計画
1の(2)の
収支
見込のAの欄を例えば見て頂きましよう。そこで
昭和
七十六
年度
の欄を一応見て頂きますと、
昭和
七十六
年度
におきまして、
収入
という合計が二千三百八億という勘定にな
つて
おります。そのうちで
積立金
よりの
利息
が千百四十億という、
収入
の半分が
利息
という
計算
にな
つて
おります。ところがこれが
予定
利率
が四分
計算
でありますが、六分の
計算
といたしますと、
積立金
よりの利益が五割増しの勘定です。これを一応
計算
して見ますと千七百二十二億という勘定になるわけなのであります。そうすると、その他の
事業主
及被
保険者負担
五百八十三億、
給付
の二割の
国庫負担
、
不足財源
に対する
国庫負担
、四百八十億と九十七億を足しましたところの千二百五十一億というものは、六百七十七億というように減
つて
しまう。それら
予定
利率
が、若し仮に八分であ
つた
……現在金融債とか地方債は八分以上であります。八分であ
つた
といたしますと、
積立金
よりの
利息
は倍にすることができます。そうしますと、
保険料
、
保険給付
というような
負担
は三億か四億で済む勘定になります。尤も
予定
利率
が変りますと、
年度
末の
積立金
の二兆八千六百十一億というものは多少の変動はございますが、余り変動はないのです。これから見ても分かりますように、
予定
利率
が一分なり二分違
つて
も非常に
保険料
に
影響
するものだということになります。そこで現在の厚生
年金
の例をと
つて
頂きたいのですが、厚生
年金
の
予定
利率
が三分五厘であるために、預金部にこれを四分に預けておる。これは地方債に投資しても八分位になります。そこで預金部で四分の利鞘が稼がれておるということになります。今度の
計算
におきましても
積立金
が、一番少い
計算
をやりましても二百五億ぐらい出る、勘定にな
つて
いる。ましてや
計画
1の場合におきましては、初
年度
に六百五十億ができる、こういうもので、少くとも日本の金利水準が
如何
に低くなりましても、国際水準に鞘寄せするなんてことは到底考えられないといたしますと、四分で
積立金
を
計算
したら莫大な利鞘を作
つて
しまうのであります。
労働者
からの強制的に取上げたもので利鞘を作るということは、社会政策自体の本質に悖るのではないかということが一つ考えられておる点であります。 それからもう一つ次の話といたしまして、
積立金
について一言私の考えを申上げたいと思います。
積立金
を積むということは、非常に多くの、二兆八千億の
積立金
を積むということは
運用
に困るだろうとおつしやられ、併しこれだけになるのが現在の勘定でも五十年ばかり掛
つて
しまうという、一年間に五百億ぐらいしか増加
積立金
がない。一年間の五百億といいますと、現在の見返
資金
でも一千億以上のあれでありますから、五百億ぐらいの投資ということはそう困難を感じない、それを非常に困難だというのは、いわゆる私営の銀行の金融というのは、半年
ごと
に、これを貸付けてはすぐ回収するというような、非常に短期融資をや
つて
いる。短期融資に二茂八千億もやるということは、これは非常に困難かも知れない。併しながら
社会保険
の
積立金
というのは、この
計算機構
から分りますように、
利息
さえ生んでくれれば結構です。
従つて
長期
金融で結構です。資本の蓄積を行うために……。
長期
金融をやるために毎年五百億ぐらいやるということは、これは極めて容易な問題で、決して
積立金
によ
つて
恐れることはないということは言える。それからインフレの場合に
積立金
が困るだろうということがございますが、これが国家の場合におきまして、実は大内先生が国債棒引論をおつしやいましたけれども、インフレご高進したために、国債の
負担
ということは国家
財政
に何ら重圧にならなか
つた
という例がある。而もそのために恩給受給者にしろ、国家公務員
共済組合
にしろ、六千三百円ベースに全部引上げる
財源
だ
つて
楽々と出たという現実でございます。要するに
社会保障制度
というのは、所得の再分配であるということによりまして、インフレに対した
つて
そう心配は要らないということであります。では、それは国家の場合だが、私営
保険
の場合はどうかというと、国家公務員
共済組合
というのがありますが、これは或る意味では一つの企業でや
つて
いるようなものでありますが、この国家公務員
共済組合
の
積立金
を、以前預金部に預けておりましたが、終戦と共に全部預金部から引出しまして、それでいろいろな事業をたくさん起しまして、そうしてそれの
長期
金融ですから、二十年年賦とか、三十年年賦でこれを融資することができる。市場金利というものは、当時終戦後ですから一割以上でございましたけれども、
予定
利率
が四分
程度
でございますから、四分か六分の低金利でできる。そこで健康な資本の蓄積ができるというので、
つまり
何と申しますか、雇用の増大というようなことができるのであります。ちよつと速記を止めて頂きます。
山下義信
20
○委員長(
山下義信
君) 速記を止めて。 〔速記中止〕
山下義信
21
○委員長(
山下義信
君) 速記を始めて。
松本浩一
22
○参考人(松本浩一君) そういう点で積立関の問題を必ずしも非難することはできない。 もう一つ
最後
に、
年金制度
というものは、生命
保険
でありますと、任意加入でありますが、
社会保険
は強制加入でございますから、既往の在職年数、保権料を払わなければならない既往の在職年数を遡及
計算
するということは大原則なんでございます。ところが現在のこの
計算
におきましては、これは要綱がそうな
つて
おりましたから、我我はそのようにしたのでございますけれども、今度強制加入される五人未満の従業者を持
つて
おるところの事業所で、新たに加入される四、五百万の被
保険者
は、十五年たたないと
年金
が付かない。
つまり
年齢
四十五歳前後の人は、果した十五年勤められるかどうかというのは極めて疑問であります。そういう人までも強制加入させて
保険料
を取るということは、
社会保険
の大原則に反してしまう。その例といたしましては国家公務員
共済組合
の第九十二条に、昨年の十月だ
つた
と思いますが、国家公務員で二十年以上の雇員でございます、雇員で二十年以上た
つた
ものは、一文の掛金を払
つて
おらなくても、とたんに、二十年以上国家公務員であ
つた
ら
年金制度
が付くということが、はつきり条文に謳
つて
あります。それは国家公務員法に謳
つて
おる。去年の秋、アメリカの労働争議で始ま
つた
いわゆる第四次労働運動、
社会保障
闘争というものは、月百ドルの
年金
をくれというのではない、既往在職年数を遡及通算するということだけにアクセントがかか
つて
おる。国有鉄道の
共済組合
が、大正九年に
年金制度
をとたんに布きましたときでも、明治四十年に国有鉄道法ができてからの
保険料
を払わなか
つた
けれども、とたんに十三年遡及通算したというように、過去の既往の年数を遡及通算するというのは、これは大原則なんであります。それがこの
程度
の要綱の中に極めて不明確に出ているという点を、私達にはまあ多少もの足りなく感じたのであります。大体私の要点は……
山下義信
23
○委員長(
山下義信
君) 何か御質疑ございませんですか。 別に御質疑もございませんければ、本日はこれを以て散会いたします。 午後零時十一分散会 出席者は左の通り。 委員長 山下 義信君 石原幹市郎君 井上
なつ
ゑ君 委員外議員 松原 一彦君
説明員
厚生事務官 (
保険
局数理課 長) 鈴木 正雄君 参考人
健康保険組合
連 合会
調査
部長 松本 浩一君