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参考人(
青木秀夫君)
共同募金は、大体
民間の有志者の
運動ということになるわけでございます。それでこれに対しましては、
事務費というものが考えられるわけでございますが、
事務費につきましては、
募金予定額の大体一割を見当として計上いたすように私共は考えて、申合せもいたしておるのでございます。これは
募金運動を始めますときに、アメリカの方の経験等を参考といたしまして、総司令部あたりの御意見も伺
つて、大体一割
程度の
事務費というものはどうしても見込まなければ無理だろうということで始めたのでございます。アメリカのように、何十年かの経験のあるところにおいては、非常に成績のよいところでは、今日六分ぐらいで経費が上るという
地方もあるそうでございまするが、初めてのことでございまするし、又地域が非常に広汎に亘るのでございまして、アメリカでは大体一部市あたりを中心にしてやるのでございますし、又経験が長く、又富の
程度も違いまするので、これをそのまま標準にするわけには行かないと思うのでございます。又組織も非常に完備して参
つておるのでぴざいまするから、その
程度で上るのだろうというふうに考えます。
昭和二十二年に始めましたときには、
募金の
目標額の大体一割
程度の
事務費を考えたのでございます。これはいろいろな宣伝をいたしたり、或いはお金の集計をいたしたり、企画をいたしたりするのに、どうしても專任の職員が要るのでございますが、
事務局をしつかりとさせるのには相当の経費が必要であることはよく分ると思うのでございまして、や
つて見たのでございます。併しながら御
承知のように、
国民からの寄附でやる
仕事であるから、成るべく
事務費を節約いたしたいというのでや
つたのでございます。又殊に初めのうちは県庁のお役人の方が兼務してや
つて貰
つたというような所もあるので、そういう意味において経費を節約しようというようなことも考えたのでございまするが、これは段々そういうことよりも
事務費の方は出しても、しつかりした人をや
つた方が間違いがなくてよろしいということで、今日におきましては
事務費の節約のために県庁の役人をずつとそのまま
お願いするよりは、專任者を置こうというふうにな
つて来ておるのでございまして、これは私共も大体了解ができるごとと
思つておるのでございます。併しながら一割で上げることは、実はむづかしか
つたのでございまして、二十二年度におきましては一割四分か五分くらいに結果においてな
つておると思います。二十三年度も大体その
程度掛
つておるのでございます。それでこれは大体
事務局の職員の経費なり、啓発宣伝の費用等が主なものでございます。併しながらこれだけでなかなかうまく行かないのでございまして、
只今お話のようにお金を集めるのには多少これを扱
つた人に手数料、或いは割戻しどいうものが欲しいという要求が来ておるのは事実でございます。併しながら
共同募金運動におきましては、これは厳重に警戒をいたしておるのでございます。従来行われておりましたものは、
日本赤十字社なり或いは同胞援護会の会員募集、社員募集というような例に倣
つては
共同募金の趣旨が害われるのであるが、いわゆる篤志家の
国民運動という建前を飽くまで堅持するために、手数料とか或いは歩合制度というものは廃めるという建前で来ておるのでありまして、大体この趣旨は徹底いたしておると思うのでございます。そのために外の方の
募金と比較されまして、
地方に行きましては、どういう
募金ではこれくらいの手数料になるということを聞かされ、私共実は困るのでありますが、この
国民運動の趣旨を
お話して、大体了解を得ておるというのが実情でございます。ただお目につきますのは、東京が大体そうだろうと思うのでございますが、東京におきまして、学校の生徒
諸君の御
協力を得ておるのでございます。殊に街頭
募金等におきましては、学生
諸君の御
援助を
お願いしておるのでございまするが、これは
地方の都会地におきましては、地元の方が目分のすぐ手近な所で
運動に従事して頂くので、手弁当でや
つて頂いても大した費用も掛らないのでございますが、東京において
運動を展開いたしますときには、
自分の学校の所、或いは所在地だけではうまく行かないので、どうしても電車に乗
つて行く七か或いは近信費が掛る。或いは
事務局の所へ出て行くのに
連絡する費用が相当掛るというので、その実費だけはどうしても見て貰いたいという御要求があり、又これは出すのが当然であろうということで学生の実費はこれは支弁いたそうというここに東京都の
委員会においても御決議にな
つたのでございます。併しながら、と言
つて例えば、郡部の学校が銀座の方に出て
募金をするというようなことをされたのでは、これは汽車賃だけでも大変だし、そういう無駄なことはしないように、成るべく地元において、最寄りの所において経費の掛らないような
やり方をして預きたい。そうしてその範囲内で交通費、通信費等を集
つた金の中の一割以下で、失費だけを差引くようにして頂きたいということでや
つておるのでございます。それが一割以内は貰えるのだというふうに、誤り伝えられておる向もあるのでございますが、実際は一割必ず取
つておるわけでもございません。それから又生徒が集めたお金は、私共はでき得べくんば、あの箱をそのまま銀行又は郵便局へ持
つて行
つて、銀行員、郵便局員がこれを開封して、そのまま口座に振込んで頂くということをや
つておるのでありますが、なかなかそれもうまく行かないこともあるのでございますが、学校の先生におあけを願
つて、そうして実費を
清算して東京都の
委員会の方にお送りを願うという
やり方をや
つておるのでございます。併しながらこれがやはり誤解を生ずる慮れがありますので、来年はこういうことでなしにやはり一応全部東京都は東京都の
委員会の方に集
つた金は全部お送り願
つて、必要な経費と申しますか、実費は
清算をして差上げるようにしたらどうだろうかというふうに、今研究をいたしておるのでございます。奉仕者は集めた金には手を触れないというふうにして、そのまま都道
府県の
委員会の方にお送りを願
つて、必要と認められる実費は面倒でももう一遍驚り返すようにしたらどうだろうか。そうすることによ
つて共同募金の純粋性を維持し、寄附をされる方の信頼を厚くしたいというふうに考えておるのでございます。