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議長(
佐藤尚武君) 十六日が
特別委員会の
証人問題でありますから、その前日の夕方、兼岩
議員が私のところに他の
参議院の同僚並びに
衆議院の
共産党の同僚
諸君とおいでにな
つたのであります。それが先程兼岩
議員が言われた
通りに、徳田
証人喚問の
手続の問題に関して、私に抗議を申しに来られた、抗議の申出をなすべく来られたのであります。そのときに兼岩君が指摘されるごとく、私の護衞に当
つておる警官が私の部屋に入
つたということが会見後問題にな
つたのであります。それについて私は御説明を申上げたいのであります。当時の模様を少しく御説明しなければ分らないのでありますが、当日私に会見を申出て来られたのは兼岩
議員と細川
議員の両名でありました。この両君が私に対して会見を申込まれて来たのであります。併し私の隣りの祕書室においては御両君が来られると
考えて、そうして時間の割当をしたのであります。然るに実際に来られたところを見ますると、細川君は来られなか
つた。後刻参会されましたが、
参議院議員としては兼岩君一人で、そうしてそれに
衆議院議員が確か五名一緒に附いて来られた。私は実は
衆議院議員の訪問を受けようとは思わなか
つたので、事の意外に少しく驚いたのであります。のみならず、その六、七名の方が室に入るのについて、若い
人達が又五、六名一緒に入
つて来たのであります。これも又私は非常に以外に感じたのであります。ありのまま申上げますならば、この十人若しくは十人以上の
人達が室にどやどやどやとなだれ込んだという形になりまして、そこで私は兼岩君初めその
衆議院議員の方々を招じて席にお着きを願
つて、そうして話を始めたのでありまするが、
事件の
内容は私に対する今の
手続の問題の抗議でありました。私はその際に兼岩
議員に、一体この後についている
人達は何ですか、誰ですかと
言つて聞いた。それに対して兼岩君は、これは祕書達だ。こういうお答えであ
つたのであります。私は私に面会を申込んで、そうして或る交渉をすべく来る
人達が、
自分の祕書を連れて来るということは、これはむしろ非礼だと心得ました。併しそれはそのときには問題にしなか
つたのであります。何となれば、重要問題が現に論議されているときに、祕書の問題など私は出す余裕はなか
つたからでありますが、併しながら事実はそうでありまして、どやどやどやと入
つて来たからして、私の護衞、これは警視庁から附けられている護衞でありますけれども、こういう護衞を私に附ける必要があるかないかということは私自身感じておりません。それは又別問題として、私には常に附いております。その護衞がこれも慣習上私の祕書室に待機しておるわけでありまするが、これが何事が起きたかというような気持ちで、そうして護衞の任務からして、どやどやどやと入
つて来た
人達の後から入
つた、こう思うのであります。私は現にその護衞が室の中に入
つたのは私としては認めなか
つたのでありますけれども、外の人が認めたから、それは事実であります。
従つてこの護衞の入
つて来たという気持が、何ごとであろうというような気持から入
つて来たというのでありまして、それがたまたま警視庁から附けられてお
つた、確か巡査部長でありましよう。その私は資格は知りませんが、その巡査部長なる人が私の室に、重要問題を討議する場所に入
つて来たということは事実であります。この点に対しましては、私から将来そういうことはないように、私の室には入らない
建前にな
つておるのでありまするからして、その点は嚴重に守
つて貰いたいということを重ねて注意をして置きました。但し彼は全く善意を以て、何事か知らんというので入
つて来たことだけは御承認を願いたいのであります。それがこの重要問題に対して、スパイの
行動をとらんがために入
つて来たというようなことは、これは全く兼岩君の憶測によるのであります。ついでに私は申上げたいのでありますが、私は今の
証人喚問問題に限らず、すべての他の問題に関しましても、私に対して
衆議院議員が説明を求めに来るということは、これは私としては欣然お受けしたいと思います。併し私に対して抗議を申込んで来るということであるならば、私はそういう会見をお断わりしたいと思う。何となれば、私は
衆議院議員から
参議院議長として抗議を受ける筈はないと心得るからであります。でありまするから、その席上において、私は
衆議院議員の方々が、こういう問題について私のところに抗議に来られるというのは筋道が違いはしないか、若し抗議をする必要があるならば、あなたの
議長、即ち
衆議院議長に対して抗議をされるべきであ
つて、
参議院議長に対する抗議は筋道が違
つていはしないか。こういうことを話したところが、この
共産党の
議員達は、いや
自分達は党員として来たのである。こういうことをはつきりと言われたのであります。それで私は実はそのときは問題にしなか
つたのであります。併しながらよく
考えて見まするというと、
共産党である
衆議院の
議員は、その
議員たる資格はどうしてもこれを剥ぐわけには行かない。
共産党員ではあるけれども、
衆議院議員たることは依然
衆議院議員であります。かるが故に、そういう
人達がたとえ党員という資格を以て私のところに来たのであるとしても、やはり
議員の看板を着ている以上は、私に対して抗議をするということはこれは筋道が違
つておるというふうにはつきりと今は
自分で認識しております。かるが故に一昨日、再び
特別委員会の
でき事の問題についても、
共産党である
衆議院議員の
人達が四人私の室に再び参りまして、このたびは兼岩君とその他の
参議院議員は一人も来られなか
つたのであります。やはり同じように
特別委員会の
でき事並びにそれに対する
取扱いについて私に抗議を申立てるような口吩でありました。でありまするから、私はそのときはつきり申しました。
衆議院議員であるあなた方が、よしんば党員の資格であろうと、
衆議院議員であることは間違いないからして、こういう問題について私に抗議するということならば、私は御面会をしない、謝絶いたします。私はそういう抗議は直接には受けられません。若し抗議があるならば、
参議院議員たる
共産党出の方を通じて来て貰いたいということを申したのであります。その
人達は敢て抗議じやないということを頻りに弁解しておられましたが、少しでも抗議に亘るような場面に達しますというと、私はそれ以上は私は
お話に乗れないということを一昨日ははつきり申上げました。そうしてそれらの
議員達も、その点は強く主張はされなか
つたのであります。今後も私としてはそういう態度を続けて行きたいと思いまするからして、それを御了承願います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
もう
一つは、今附加えて申上げまするが、私の室にそういう場合に祕書を連れて来られるということは、これは取締上から言いましても誠に不穏当なことでありまするし、いろいろな誤解を招くことでもありまするし、混雑を来すことでもあります。かるが故に今後はそういうことはないようにして頂きたい。先程も申上げました
通りに、
責任者が他の
責任者に対して交渉をするということは勿論あり得る、勿論のことでありまするが、その際に大勢の祕書を連れて来るということは、礼儀上から
言つても私は欠けておるということをはつきり申上げなければならないのでありまして、今後は、これは
共産党に限らず、他の党派におかれましても同じように、その点は御遠慮下さるようにお願いしたいのであります。