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1950-05-02 第7回国会 参議院 運輸委員会 第17号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十五年五月二日(火曜日) 午前十時三十五分開会 ————————————— 本日の会議に付した
事件
○
公共企業体労働関係法
第十六條第二 項の
規定
に基き、
国会
の
議決
を求め るの件(
内閣送付
) ○
港湾法案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) —————————————
佐々木鹿藏
1
○
委員長
(
佐々木鹿藏
君)
只今
より
委員会
を開きます。 先ず
公共企業体労働関係法
第十六條第二項の
規定
に基き、
国会
の
議決
を求めるの件を
議題
といたします。
前之園委員
より質問の通告がございました。お願いいたします。
前之園喜一郎
2
○
前之園喜一郎
君 昨日質問してありますから御答弁をお願いしたい。
石井昭正
3
○
政府委員
(
石井昭正
君) お答え申上げます。
仲裁委員会
の
裁定
に関する
訴訟事件
の経過についてその概要を述べろという
お話
でございました。 御
承知
のように
仲裁委
の
裁定
は、第一次
裁定
、これは昨年十二月
本国会劈頭
において、
国会
の御審議を願つた問題でございまするが、この第一次
裁定
と、それから本年に入りまして再び
労組側
が
仲裁委
に
提訴
いたしまして、その結果下りましたところの第二次
裁定
、
只今議題
とな
つて
おります、この
二つ
の
裁定
があるのでございます。
訴訟
にかか
つて
おりまするのは、この第一次
裁定
の方の問題でございます。これは
最初
に
組合側
の方から一応
仮処分
の
申請
をいたしたわけでございます。これは
仲裁裁定
に基いて、
国鉄
は
組合員
に
裁定通り給與
を
支拂
う
義務
がある、その
本案
の
判決
が
確定
するまで、仮に
公社側
は
仲裁委員会裁定
の各
條項
に服しなければならない。従いましてその
裁定
第二項におりました職員の
賃金
、その中年末に支給されました十五億五百万円を除いた残額を、
申請人
たる
組合員
を通じて各
組合員
に交付しなければならないという仮の処分の
判決
を求める
申請
をいたしたわけでございます。この
提訴
は昨年の十二月二十三日に行われたわけでございます。これに対しまして
国鉄
の方はまあいろいろの
理由
を具しまして、特に
申請人
が
主張
する
仲裁委裁定
の金額は、その
債務
はまだ
効力
は発生していない、
国会
の
承認
があつたときに初めて遡及して
効力
を発生するのである、現在においては
国会
の
承認
が得られなかつたのであるから発しておらない、こういう
主張
をいたしたのでございますが、これに対する
判決
が去る二月二十五日にございまして、この
判決
は大体におきまして
組合側
の
言い分
が容れられまして、従いまして
国鉄
と
組合員
との間にありますところの
債券
、
債務
は存在しておる、
従つて
その中の、年末に
支拂つた分
の残りの
裁定額
のうち三億円、約三億円でございますが、これは
国鉄
の経理上、支出可能であるからこれを出さなければならない、直ちに交付する必要がある、併しながら残余のものについては、これは
債券債務
があるに
止つて
、
予算
上、資産上、可能に
なつ
た場合に
支拂
うのだ、こういうような
意味
合いの
理由
を以ちまして、
主文
といたしましては、
仲裁委員会
が十二月の一日に出しました第一次
裁定
に従わなければならない、こういう
主文判決
を下したわけであります。これに関しまして
国鉄側
といたしましては、直ちにこれを不服といたしまして
控訴
いたしております。これは三月の四日に
控訴
いたしておりまして、
只今繋争
中にな
つて
おるわけでございます。それと同時に第一次
仮処分
に対しまして、
本案訴訟
の
起訴命令
を出して貰いたいということを
国鉄
から
申請
いたしました。これに対しまして
東京地方裁判所
は、
組合
に対しまして
決定送達
の日から十四日以内に
本案訴訟
を
提起
するように
組合
に
命令
したのであります。この
命令
は三月二日に
決定
いたしまして、
送達
が三月七日に
決定
いたしまして、三月十日に行われております。これによりまして
組合
は三月の二十四日に
本訴
を起しております。この
本訴
の
内容
は、第一次
裁定
を実行するように、
国鉄
は第一次
裁定
を実行しなければならないという請求にな
つて
おるのであります。これはまだ第一審で
提訴
が行われたまま、まだ
訴訟
の
手続
が進んでおらないという状態でございます。 次に今度は又もう
一つ別
の
仮処分申請
が起つたわけでございます。と申しますのは、先に二月二十五日の
判決
によりまして、
組合側
が
勝訴
いたしましたので、今度は
組合側
といたしまして、具体的にこの
賃金
の、特に三億円の
賃金
の具体的な給付を受けるという問題に相成りまするので、これは
組合
の方といたしましては、
国鉄側
に対しまして
団体交渉
によ
つて
その
配分方
を
協議
して貰いたいと申し込んだのであります。
国鉄側
も一応これに応じまして二、三度
協議
いたしたのでありまするが、
国鉄側
の
言い分
は、まだ
控訴
中であるから、
従つて
具体的に
只今支拂
う
義務
はない、併しながらそれが若し
支拂
わなければならなかつたという場合にはどうするか
いとう意味
において
協議
に応じたわけでございます。併しながらその
協議
も余り円滑に進捗いたしませんので、
組合
の方は
最初
の第一次
裁定
に両者の
協議
が調わなかつたときには、
仲裁委員会
の
指示
を受けろということが
仲裁裁定
の第四項に書いてあります。それに従いまして
仲裁委員会
に
配分方
についての
指示
の
申請
をしたわけであります。これに対しまして
仲裁委員会
は直ちに一人
当り
六百五円一律に
支拂
うべしという
指示
をしたのであります。そこで具体的な
債券額
が
決定
いたしましたので、それに基きまして再び一人
当り
六百五円ずつ拂うようにということの、
国鉄労組側
から
仮処分
の
申請
をいたしたわけでございます。この
組合
の
提起
に三月の二十五日に行われたのでありまして、その後
審訊
、
口頭弁論
の
手続
を経まして、去る四月十九日に
判決
が下りまして、これがやはり
組合側
の
勝訴
に
なつ
た。
国鉄側
は
組合
に対しまして一人それぞれ六百五円ずつ
支拂
えという
判決
が出たわけであります。そこでこの
仮処分
の
判決
によ
つて
直ちに
組合側
は
執行権
を獲得するわけでございます。若し
国鉄側
が六百五円の
支拂
をいたさない場合には
強制執行
の手段に訴えることが明らかでありましたので、
国鉄
といたしましては直ちに
控訴
いたすと共に、この
強制執行停止
の
申立
をいたしたわけであります。
東京高裁
におきましては、この
申立
を直ちに受理して
決定
をいたしまして、
強制執行停止
の
決定
が同日中に出たという恰好にな
つて
おるわけでございます。
只今
申上げましたように甚だ
訴訟案件
として複雑にな
つて
おりまするので、お分りにくかつたと思うのでありまするが、
仮処分
の
案件
が
二つ
ございまして、同じ事柄に対して
二つ
ありまして、第一次の方は抽象的な
結論
を得るに
止つて
おる、それに基きまして具体的の
裁定
の
債務額
が
確定
してからの
仮処分
が第二次の
仮処分
の
決定額
であります。一次、二次共大体において
組合側
の
勝訴
とな
つて
おるのであります。いずれも
控訴
中でございます。
控訴審
はまだ
確定
いたしておらないということでございます。
本案訴訟
の方は、
組合
から
提起
があつた
なり
で未だに進んでおらない。かような
進行状況
にな
つて
おります。甚だお分りにくかつたと思いますが…… 尚附加えて置きまするが、この
案件
に対しまして国が
訴訟参加
をいたしておる、これは第二次の
仮処分
の
申請関係
に
参加
をいたしまして、直ちにそれに引続きまして
最初
の
仮処分判決
に対する
控訴
につきましても同じく
参加
をいたしております。
前之園喜一郎
4
○
前之園喜一郎
君 これは
裁判
所は
東京地方裁判所
ですね。
石井昭正
5
○
政府委員
(
石井昭正
君) 第一次、第二次
共東京地方裁判所
です。
前之園喜一郎
6
○
前之園喜一郎
君 これは部は違いますか。
石井昭正
7
○
政府委員
(
石井昭正
君) 同じ部でございます。
前之園喜一郎
8
○
前之園喜一郎
君 同じ部ですね、
裁判長
は一緒ですか。
石井昭正
9
○
政府委員
(
石井昭正
君)
裁判長
も同じでございます。
前之園喜一郎
10
○
前之園喜一郎
君 この
公労法
の三十
五條
によ
つて
、私共は当初からこういう
判決
があるということは
はつ
きり分
つて
おるということを私はこの前の
委員会
でも申上げたんです。三十
五條
に「当時
者双方
とも
最終的決定
としてこれに服従しなければならない。」ということがある、これはこの三十
五條
はつ
まり
当事者
の
関係
を決めたのであります。十六條の第一項の方は、
政府
と
当事者
の
労組側
との
関係
を大体において謳
つて
あるのだということは私共は信じておる。私は前のときにも、まだ
訴訟
にならない前に、この
事件
は
訴訟
になるならば必ず
国鉄
は負けるということを
言つて
おつたのですが、その後
裁判
にな
つて
おる。こういうように明瞭な問題、
法律
上明瞭な問題を殊更に私共は
国鉄
が争
つて
おるという感じが非常に強いのであります。この
裁判
に対して
控訴審
において
勝訴
を得られる
確信
があるのかどうか、若し又不幸にして
国鉄
が負けられたならば、更に
上告
せられるのであるかどうかということについて御
意見
を承りたいと、こう思います。
石井昭正
11
○
政府委員
(
石井昭正
君)
国鉄
のみならず、国といたしましてもこの
訴訟
に
参加
いたしておるのでございますが、勿論
訴訟
いたすからには
十分勝訴
を得るという
確信
の下に
訴訟
をや
つて
おることは申すまでもないことでございます。併しながらこれは勿論
司法権
の
決定
されるところでございまするので、その
確信
にも拘わらず、或いは
前之園委員
のおつしやるように、
国定側
の
敗訴
になるということもあり得ることではあろうと思います。さような
仮定
の場合にどうするかという
お話
でございまするが、勿論
上告
までもいたしまして、
最終判決
が
確定
いたしますれば、当然これは
裁判
の
判決
に従うべきことは、法治国として当然のことであると
考え
ます。
前之園喜一郎
12
○
前之園喜一郎
君 私共は
国鉄
が
勝訴
になるということは
考え
られない。併し
勝訴
の
確信
があると言われるのですが、
勝訴
の
確信
のあるその根拠を具体的に御
説明
願いたいと思います。どういうところで
勝訴
の
確信
があるのか。
石井昭正
13
○
政府委員
(
石井昭正
君) 私共の、
政府
の方の
主張
の主たる点は、
公労法
の
解釈
でございまして、その点につきまして
前之園委員
のお
考え
と
意見
を異にしておるのは、大変遺憾でございまするが、要するに
仲裁
、
裁定
の
内容
のうち、
予算
上、
資金
上、不可能なる
部分
につきましては、これは
国会
の
承認
が
停止條件
とな
つて
、初めて
効力
を発生する。それまでは
効力
を発生しておらないという
解釈
に基いておるのでございます。
前之園喜一郎
14
○
前之園喜一郎
君
本件
について
議論
をしても始まらんと思うのですが、私共はそういうふうに
確信
をいたしております。それは結果的に現れることですから、遠からず分ると思うのですが、仮に
控訴
で
国鉄
並びに
政府
が負け、更に
上告
で負けたとすると、それはもう支給しなければならん。ところが問題にな
つて
おりまする第二次
裁定
も、やはり同じようなことになると思うのです。やはり同じ
取扱
になると思うのですが、
上告
で負けられた場合には、この第二次
裁定
はそのまま御
承認
になるのですかということを
はつ
きりと伺
つて
置きたいと思います。
石井昭正
15
○
政府委員
(
石井昭正
君)
只今
私の言葉が足りなかつたので、恐縮でございまするが、
只今
行われております
提訴
は、
仮処分
で、仮の地位を
定め
る問題でございますから、
最終判決
と申しますのは、
本案
の
訴訟
が最終的に
決定
いたして初めて可能である。仮に
仮処分
の方が
上告
で
敗訴
に
なり
ましても、これは一応仮に
支拂
わなければならんという
義務
が生ずるだけでございます。本当の
債券債務
は、
本案訴訟
が
確定
して初めてなるのでございます。そういう
意味
に
一つ
御了承願いたいと思います。尚、
只今
仮に
本案訴訟
においても
敗訴
と
なつ
た場合に、第二次の方はどうなるかという
お話
でございまするが、この第二次の
裁定
につきましては、これは御
承知
のように
予算
上、可能なる範囲と申しますか、不可能なる
部分
ということについて、まだ
政府
として
研究
中でございまするので、ここで何とも申上げかねるのではないかと思うのでありますが、
予算
上、不可能と
はつ
きりいたしておりまする
部分
につきましては、第一次
裁定
と同じ
考え
方をしなければならんと思うことは、これは当然だろうと思います。
前之園喜一郎
16
○
前之園喜一郎
君 この第一次の
本案
の
裁判
ですね、
はつ
きりと
国鉄
が
債務
があるということになれば、第二次においても同様なんだから、あなたの言われるように、この
裁判
に服従すべきものじやないでしようか。重ねてそれも争うということは非常に愚だと思う。
石井昭正
17
○
政府委員
(
石井昭正
君) 第一次の
裁定
は、御
承知
のように問題が
二つ
ございまして、
予算
上、可能であるというのが、これが十八億と認定されておる。で、それに対しまして
政府側
といたしましては、
大蔵大臣
が流用
承認
した十五億五百万円が可能になるという
意見
でありまして、これに対して
国鉄総裁
が、一応可能として
申請
した十八億が
支出可能分
である。で、差引の約三億というものが即時
支拂
われなければならない問題であるという面が
一つ
の
論争点
でございます。それから全体として
債券債務
があるという問題は、これは
予算
上、
資金
上、可能と
なつ
たときという
條件附
で
判決
が下
つて
おるのでありまして、従いまして第一次の
裁定
でも、
現実
に、仮にこの第一次の
仮処分
の
論争点
がそのまま
本訴
まで行
つて
確定
するといたしましても、問題はこの
予算
上、可能の三億、
見解
の相違である三億という点に帰着するのじやないかと思うのであります。今度の第二次の
裁定
につきましては、その点につきましては、未だどこまでが
予算
上、可能であるというような点が明瞭にな
つて
おりませんので、第一次
裁定
の
訴訟
の
結論
が、直ちに第二次
裁定
に適用されるかどうかという点については、模様を見なければ何とも申上げかねるのではないかと思う次第でございます。
前之園喜一郎
18
○
前之園喜一郎
君 私は
最後
に
政府委員
に対して希望を申上げて置くのですが、この
公労法
の
解釈
は、全く私は
政府
の曲解だと思
つて
おる。分
つて
お
つて
殊更にそういうふうな
解釈
をしておられるのか、分らずにそういうふうな
解釈
をしておるのか分らないが、これは明瞭なんです。第十六條によ
つて
、
債券債務
は
当事者
の間で
確定
しておる、最終的に
決定
しておるのですから、こういうものはこれは
裁判
は負けるに決
つて
おる。若しこの
裁判
が、
国鉄
が勝つということになればそれは正しい
裁判
でないということを私は言いたい。ですからこれは
一つ愼重
にお
考え
にな
つて
、徒らなる
控訴
、
上告等
によ
つて
時間を空費するということはなさらん方が私は賢明だと思う。多数の、数十万の
従業員
が今日非常に
生活
に苦しんでおる、
政府
の
無為無策
、或いは無法、
法律
を正しく解さざる
がため
に
裁判
を長引かして
国鉄
の多数の
従業員
の
生活
を苦しめるということは私は以ての外だと思う。この点について十分に
一つ
御考慮をお願い申上げたいと思うのです。
佐々木鹿藏
19
○
委員長
(
佐々木鹿藏
君) 外に御
質疑
ございませんか。
村上義一
20
○
村上義一
君
議事進行
について
意見
を述べてよろしゆうございますか。
佐々木鹿藏
21
○
委員長
(
佐々木鹿藏
君) 結構でございます。
村上義一
22
○
村上義一
君 この問題は、尚考究すべきいろいろの点があります。元来
本件
は
衆議院
においてもこれは
研究
中であり、
審査
中であります。昨日
衆議院
は
継続審査
をするということは
決定
した趣きでございます。で、
予算審査
をしております当院におきましては、やはり
継続審査
という
取扱
をして貰いたいと思うのであります。
佐々木鹿藏
23
○
委員長
(
佐々木鹿藏
君) お諮りいたします。
村上委員
の御動議に御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木鹿藏
24
○
委員長
(
佐々木鹿藏
君) 御
異議
ないと認めます。それでは
継続審査
にいたすことにいたしたいと思います。
審査要求手続
につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じます。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木鹿藏
25
○
委員長
(
佐々木鹿藏
君)
確定
をいたしました。 —————————————
佐々木鹿藏
26
○
委員長
(
佐々木鹿藏
君) 次に
港湾法案
を
議題
といたします。御
質疑
の方は順次御発言を願います。
小泉秀吉
27
○
小泉秀吉
君 この
港湾法案
に対して少しく
質疑
をしたいと思います。第
一條
でございますが、この第
一條
にございます「
利用
及び
管理
」というようにありますが、これはこの「
利用
及び
管理
」というのは、昨日の
政府委員
の
説明
によると、運営というようなことをも「
利用
及び
管理
」の字句の中には含れているようなふうに御
説明
があつたと思いますが、改めてこの点を
政府委員
にお伺いして置きたいと思います。
後藤憲一
28
○
政府委員
(
後藤憲一
君) 全くその
通り
であります。
小泉秀吉
29
○
小泉秀吉
君 もう
一つ
は、第四
條並び
に第三十三條に関連するのでありますが、
港湾
の
管理者
を設立する場合に第四條によるか、又は第三十三條を取るかは自由であるというようにこの
法案
によ
つて
私は
解釈
しますが、併しこの第四條の中にある「
予定港湾区域
を
地先水面
とする
地域
を
区域
とする
地方公共団体
」というもののこの
解釈
において
相当論議
なり
疑義があると思うのですが、昨日の
政府委員
の
説明
によりますると、この「
予定港湾区域
を
地先水面
とする
地域
を
区域
とする
地方公共団体
」というものは、大体において市町村を重点的に
考え
ておるというようなふうに了承して
差支
ないものだと思うのですが、この点一応確認したいと思います。
後藤憲一
30
○
政府委員
(
後藤憲一
君)
只今
の
お話
は、全くその
通り
の
意味
で昨日
説明
申上げました。
小泉秀吉
31
○
小泉秀吉
君 更に第十三條及び第十
二條
に関連してお尋ねをいたします。第十
二條
及び第十三條によりますと、
港湾施設
の
管理
につきまして、事実上の必要に基いて事前に行われる
監督的作業
というものは
港湾管理者
がや
つて
もよいが、
港湾
における
行政権
の
作業
、
管理者
の
作業
並びに私企業の行為などの間に尚様々な調整を要する点があるように
考え
られるのでありまするが、この
法律案
が成立したあとにおいて、更に
実績如何
によ
つて
は、その
修正等
に対して必要の措置をとるというような心構えが今日
政府
において将来に対して約束ができるかどうか、そういうことも私共はこれは相当不備であると思うので、この際これを通すということには、そういうことに対していわゆるお座
なり
でなしに、
政府
が
十分検討
もし、又その用意があるという御確約が願いたいと思うのですが、そういうことに対しての御
見解
を伺いたい。
後藤憲一
32
○
政府委員
(
後藤憲一
君)
只今
の
お話
はその
通り
の
意味
で昨日も
説明
申上げました。この
港務局
なり
管理者
なり
の業務の
内容
でございますから、
政府
といたしましても
港務局
、
管理者
というものの正常なる
成長
、
発達
ということを非常に希望するわけでありますが、逐次それらの
成長
と共に
港務局
の
発達
、
港務局
の活動のできるように改善するということは当然なことだと存じております。
小泉秀吉
33
○
小泉秀吉
君 もう一度
最後
にお伺いしたいのですが、本
法案
の第四條で
規定
しておる
港務局
というようなものを設立するということのためには、この法文の上から
言つて
相当複雑でもあるし、困難が伴うのじやないか、早急にやるためには……、そういうふうな気がいたすのであります。従いましてこの
法案
が通れば、大体において
地方公共企業体
は、第二十三條によ
つて
、
管理主体
を設定するというようなことが適当じやないか、かように思うのでありますが、そういうふうな場合に、
政府
は快くそれに同意するかどうか、この点を
一つ
お伺いしたい。
後藤憲一
34
○
政府委員
(
後藤憲一
君) 第四條の
定め
による
管理者
であるか、三十三條の
定め
によるところの
管理者
であるか、そのいずれを取るかということは、
関係
の
公共団体
が御相談してお決めになることは全く自由でありまして、
政府
としてはこれに対して干渉する意思はございません。そうして
現実
の問題といたしまして、まあ
港務局
を若し取る形といたしますれば、どうしても大きな
港湾
、重要な
港湾
だと思うのでありますが、それらに対しましても、
現実
の変換される
状況
によりますれば、直ちに四條を採用するということが実質的に、実際に適当や否やという点は相当な
議論
の余地もあると思いますので、三十三條の形式を取られるということは、実際上において行れることじやないという想像もいたすわけでありますが、この点は全く自由に御
裁量下
さ
つて
も我々としては異存はないわけであります。
小泉秀吉
35
○
小泉秀吉
君 もう
一つ
小さい問題ですが、第
二條
の第二項で、「
重要港湾
」というものは、
政令
で決めるのだということにな
つて
おりますが、
政令
でどういう所を
重要港湾
にするかというようなことが、凡そ御
腹案
なり
確定
なり
しておるならば、一応御発表願いたいと思います。
後藤憲一
36
○
政府委員
(
後藤憲一
君) この第
二條
第二項によりますところの「
重要港湾
」の
政令
を、いろいろと
腹案作成
中でございますが、大体の
考え
といたしましては、
外国貿易
に対する
港湾
が先ず第一の資格でございます。それから地法的ではあるが、可
なり
広範囲な
地方
の
利害
に
関係
する、言い換えればその点から言いまして国の
利害
に相当深く
関係
するという点が第二でございます。それから更に極く辺鄙ではありますけれども、海運という立場から
考え
まして必要なる
港湾
につきましては、「
重要港湾
」として、その
施設
に国の積極的な助成を必要とするという
考え
を持
つて
おります。尚従来の経歴から
出入
の
船舶
或いは
荷扱い
のトン数ということ、こういうような点からもこの点を
考え
ねばならんと思
つて
おりまして、大体の輪郭といたしましては、
只今
第一種、第二種という重要港、
只今
の
制度
におきまして第一種、第二種という二種の
需要港湾
が現在在りますが、それは盡く包含せられる。それから旧軍港、それから従来は、現在の
制度
で
地方港湾
でありますが、その
地方港湾
の
制度
が可
なり
古い時代でございまして、現在非常にその個々の
状況
によりまして
発達
した港がございます。そういうものを積極的に拾い上げて、そうしてその「
重要港湾
」の中に入れたいというような
腹案
で、まだ
腹案
の形にな
つて
おりますので、その案を参考にお示しいたします準備ができておらない点は申訳ないと思
つて
おります。
小泉秀吉
37
○
小泉秀吉
君 その
政令
は、凡そこの
法案
が今議会で
通つた
とすると、まあ
仮定
ですが、大体この
政令
はいつ頃発布になるお
考え
でございますか。
後藤憲一
38
○
政府委員
(
後藤憲一
君) これは是非急ぎたいと思いまして、少くとも今月中には発布いたしたいというつもりで官庁も督励いたしたいと思います。
前之園喜一郎
39
○
前之園喜一郎
君
今小泉先生
がお聞きに
なつ
たところなのですが、
政府
は今急いでおられるということですが、大体において「
重要港湾
」というものが全国にどのくらいあるとお
考え
になるのですか。それを九州は
幾つ
、どこは
幾つ
というような大雑把でいいですが、大体の見当を承わりたいと思います。
後藤憲一
40
○
政府委員
(
後藤憲一
君) 現行の
制度
では、第一種が四、第二種が約四十ばかりございますが、合せてそれだけで四十四ばかりございますが、
運港
が四つでございます。それに更に追加として附け加えますれば、恐らく七十ぐらいの
程度
は指定いたしたいという気持で、実はいろいろと標準を
考え
てや
つて
みておるわけであります。
前之園喜一郎
41
○
前之園喜一郎
君 大体の表は出ていないのでしようか。まあそれは
仮定
的なものだと思うのですけれども……
後藤憲一
42
○
政府委員
(
後藤憲一
君) まだいろいろと実はありまして、いろいろと
関係
がございますので、まだ御覧に入れるところまで行
つて
おらないわけであります。
前之園喜一郎
43
○
前之園喜一郎
君 それはその
程度
でよろしうございますが、これは私は素人で非常に簡単なことをお聞きすることになると思いますが、この用語がよく分らないと困りますのでお聞きしたいが、第
二條
の第五項のところで「
水域施設
、
航路
、
泊地
」とありますが、こういうものに対する御
説明
、それから第五号の「
航行補助施設
」、それから七号の「
旅客施設
」、それから九号の「
船舶補給施設
」、それから七号に見えます「避難港」、こういうものについて簡単に
一つ
御
説明
願います。
後藤憲一
44
○
政府委員
(
後藤憲一
君) 「
水域施設
」と申しますのは、
水面
の方のことを申します。それにあります
船舶
の
出入
いたします
航路
、船の
通り
ます水路ということでございます。それから「
泊地
」というのは、荷役をいたしますとか、或いは停船しておる場合に船を泊めて置くというあの広い錨を下ろしております所を大体
泊地
と申しております。その場合「船だまり」と申しますのは、これはここにもありますように……
前之園喜一郎
45
○
前之園喜一郎
君 船だまりは聞いておりません。
後藤憲一
46
○
政府委員
(
後藤憲一
君) 「
航行補助施設
」というのは、これは
港内
におきまして、
只今
の
航路
の浅いところにある標識でありますとか、信号とか、又は照明、それから
港内
の
船舶出入
に対するいろいろな
通信関係
の設備を申します。それから「
旅客施設
」と申しますのは、本船が岸壁におりますときの
昇降用
の
階段類
がございます、そういうもの、又は乗客が船待ちいたします際の
待合所
、又は手荷物を扱いますところのいろいろな荷物の
荷扱い
所というようなものでございます。それから「
船舶補給施設
」、
船舶
のために、特に水を大量に要しますが、その水を供給いたします
施設
、それから石油又は潤滑油類を供給いたします設備、それからバンカーで石炭を供給いたします設備でございます。そうして「避難港」は、主として本船、大きな四千トン、五千トンという大型の船ですと、比較的荒浪に堪えるわけでありますけれども、機帆船のごときは、港によ
つて
は天候を見ながら行くというようなのが
現実
だと思いますので、大体一日か或いは一日半くらいの航海をするのに当
つて
、安全な所がありますれば、一番小型の機帆船などの航行に便利であります、そういう
意味
での避難をするのが趣旨であります。これは勿論機帆船ばかりでなしに、漁船の場合にもあるわけであります。
前之園喜一郎
47
○
前之園喜一郎
君 今の避難港の問題ですが、これも
政令
でお決めになるわけなんですね。
後藤憲一
48
○
政府委員
(
後藤憲一
君) その
通り
であります。
前之園喜一郎
49
○
前之園喜一郎
君 大体避難港というのは、どういうところに、どれくらいできるという見当は付いておるわけですか。
後藤憲一
50
○
政府委員
(
後藤憲一
君) これもいろいろと
研究
いたしております。避難港の必要といたしますのは、主に灘の附近とか、或いは岬を廻ります場合というような所が直接波の荒れる所でありますので、そういうような要所要所を
考え
ますために、大体北海道を含みまして、全体で二十港
程度
のものは指定いたしたいと存じます。避難港の設けられます所は非常な寒村で、そうして非常に人家も少いというような所が多いのでありますために、これは御質問にはございませんでしたが、特に国としての助成も強くしておるというようなわけでございます。
前之園喜一郎
51
○
前之園喜一郎
君 第四條の第一項につきましてお尋ねしたいのですが、現在までに
地方
の港で、或いは県と市との費用を以て作つたような港か沢山あると思います。例えば鹿児島港のごときは、県が五割五分で、市が四割五分、実際は鹿児島県が
管理
しておるというようなことにな
つて
おるのですが、第四條によ
つて
、そういうものも外にあると思うのですが、市と県と共同してでなければ
港湾
局を作るというようなことができないのです。こういうような場合は第四條第七項によ
つて
、調停されるわけですが、基本要綱で調停されるのに双方共譲らないで、結局調停になるわけですから、どういうような方針によ
つて
調停を進めて行かれるものであるかどうかということについてお尋ねしたい。
後藤憲一
52
○
政府委員
(
後藤憲一
君) 四條第一項の運用につきまして、結局は、現に
施設
を
管理
する、又は従来からこの
港湾
について費用を負担した、或いはその
地先水面
とする
公共団体
というのが相談して
管理者
を決めるわけでありますが、その際
協議
を調えかねるという点について、どういう点で調停をするかということは、これは調停の申出でございますが、第九項に、「第七項の申出があつたときは、運輸大臣又は都道府県知事は、従来の沿革、
関係
地方公共団体
の財政の事情、将来の発展の計画及び当該
港湾
の
利用
の
程度
その他当該
港湾
と、
関係
地方公共団体
の
関係
を考慮し」、そういう点において調停の筋にいたしたいと思うております。
前之園喜一郎
53
○
前之園喜一郎
君 私の聞きたいのは、調停ですからお互いの気持ちを十分に受入れてやらなければならんのだ、これは強制調停になるのかどうかということを聞いているんです。
後藤憲一
54
○
政府委員
(
後藤憲一
君) この調停は、全く強制ではございません。善意の仲介者の
意味
で強制をいたしておりません。
前之園喜一郎
55
○
前之園喜一郎
君 いや、お互いが、調停ですから妥協して、そこでどちらがやるとか或いは共同でやるとかいう調停になればよいのですが、どちらも譲らんという場合に、強制的に調停されるのかどうかということなんです。
後藤憲一
56
○
政府委員
(
後藤憲一
君) その場合に更にいろいろと事情を聞き、九項によるような点を考慮いたしまして、調停に出しますけれども、その調停は決して強制力を持つわけではございません。
前之園喜一郎
57
○
前之園喜一郎
君 そうすると、調停は不成立に終ることもあるわけですね。
後藤憲一
58
○
政府委員
(
後藤憲一
君) あります。この調停で以て不成立になる場合は当然予想されるわけです。
従つて
どこまでも調停による
なり
、
協議
の行きつくまではその港についての
管理者
は
決定
しないということに
なり
ます。
前之園喜一郎
59
○
前之園喜一郎
君 第十
二條
の九ですが、「
港務局
が
管理
する
港湾施設
で、一般公衆の
利用
に供することを要せず」、この「要せず」というのは、どういうような
施設
か。それから次に、「自ら運営することを適当としないもの」、これはどういうような
施設
であるか。それからこれらのものを貸付けるとすると、その條件、いわゆる貸付の対象となるべきものの條件等はどういうことになるかということの御
説明
を願いたいと思います。
後藤憲一
60
○
政府委員
(
後藤憲一
君) この場合の、「一般公衆の
利用
に供することを要せず、又は自ら運営することを適当としない」という点は、結局
港務局
それ自身の判断からも来るわけでありますが、岸壁
なり
桟橋
なり
が相当
程度
ある場合に、そのうち現在の荷役
なり
船の着く
程度
では、極く一般的の公衆的なのは、そのうちの一
部分
でもいい、そのうちの残りの一部というものは、特定な会社に特定の用向で以て使用さしてもさして
差支
ないというような判断のされる場合、又第二のみずから運営するということの適当でないという、例えば倉庫のごときでありますが、これが
港務局
なり
管理者
というものは非営利公法人でございますから、倉庫の営業をみずからがやるということは、この
法律
の趣旨にも反するわけであります。併し家主になることは少しも
差支
ないわけであります。そういう場合には適当の事業者にそれを適当な條件で貸付けて、営業させるというような場合を言うておるわけであります。
前之園喜一郎
61
○
前之園喜一郎
君 その貸付の対象になるのはどういうところなんでしようか。又その希望者が競合するような場合、或いはその岸壁を、倉庫を何人もの人が借りたいという場合に、どういうような措置を講ずるか。
後藤憲一
62
○
政府委員
(
後藤憲一
君) そういう場合は、結局
港務局
なり
、
管理者
の
当事者
が、いろいろそのときの経済
状況
又は競合いたしますところの申出の人達の資格というようなものを判断いたしまして、或る場合には競争入札をいたさせますのもいいでしようし、或る場合は特定な協約によることもいいでしようし、その点は自由に
港務局
の経営方針によ
つて
やるのがいいと思います。
前之園喜一郎
63
○
前之園喜一郎
君 次に同條の十二の「
港湾
労務者の休泊所等これらの者の福利厚生」、この休泊所の外にどういうものを
考え
ておられるのか。
後藤憲一
64
○
政府委員
(
後藤憲一
君) この船員又は
港湾
労務者の厚生
施設
といたしましては、ここにあります休泊所、それから風呂場、それから診療所、それから脱衣所、理髪所、又晝食をやるような簡易な食堂、それから又講演会や映画なども見せる場合もあります。そういう一種の娯楽的な設備、こういうような性質のものが
考え
られるわけであります。
前之園喜一郎
65
○
前之園喜一郎
君 それから第十七條の第一項の第一号ですが、「
国会
議員又は
地方公共団体
の議会の議員」は委員になれないということにな
つて
おるようですが、これがなれないというのはどういうわけですか。
後藤憲一
66
○
政府委員
(
後藤憲一
君) この点は昨日の
説明
にも少し申上げたと存じますが、
港務局
なり
管理者
なり
、これ自身が全く非営利的な法人であります。で、
国会
は勿論のこと、
地方公共団体
の議会にいたしましても、これは立法府でございまして、その間判然としたけじめを付ける必要がある、それから又更に経済行為をいたします公法人であるといたしますならば、
地方
政治の直接の影響のない組織において自由に経済行為をやるというところに本筋があるのではなかろうか。こういうふうに
考え
られますので、議員という資格でこういう委員になられることは避けるべきだと、こういうふうに
考え
ておるわけであります。
前之園喜一郎
67
○
前之園喜一郎
君 成る程この
地方
の議員は弊害があるということが
考え
られるのですが、今
お話
の
国会
議員という
考え
で無論入るのじやなくて、これが適任者であるかどうかという判断をして
考え
て、
国会
議員がこれになれないとするのは私はおかしいと思う。適任者であればちつとも
差支
ないのじやないですか。
後藤憲一
68
○
政府委員
(
後藤憲一
君) この点はお互いに
議論
のような感じがいたしますが、この欠格につきまして、事情は
只今
申した
通り
でございますが、尚、三十三條の
地方公共団体
の
一つ
の部局といたしまして
港湾管理者
を
決定
さした場合のときに、この場合もやはり委員制を取れるのでありますが、この委員に関する欠格
條項
を実は
定め
てございませんのです。論理的に言うと首尾徹底しない憾みが実はあるわけでありますけれども、併しこの三十三條によりますときは、比較的規模の小さな
港湾
に
関係
いたしますので、この方面において余りむずかしい條件を付けるということは人材を広く選ぶという点におきまして不便を感ずるのではないか、こういう点を実は
考え
まして、三十三條の方には欠格
條項
を実は落しているわけでございます。
前之園喜一郎
69
○
前之園喜一郎
君 十七條の二ですね。第一項の二のところ、「役員と同等以上の職権若しくは支配力」、職権は分るのですが、支配力というものは抽象的なものなのか、いわゆる社会的に
考え
てそこに何か大きな力を持
つて
いるというような支配力なのか、具体的なものなのか御
説明
願いたい。
後藤憲一
70
○
政府委員
(
後藤憲一
君) ちよつと速記を止めて頂きたい。
佐々木鹿藏
71
○
委員長
(
佐々木鹿藏
君) 速記を止めて。 〔速記中止〕
佐々木鹿藏
72
○
委員長
(
佐々木鹿藏
君) 速記を始めて。
前之園喜一郎
73
○
前之園喜一郎
君 もう少し二、三点……。十三條に帰りまして、十三條にこういうことが書いてありますね、「
港湾
運送業、倉庫業その他輸送及び保管に関連する私企業の公正な活動を妨げ、その活動に干渉し、」てはいけない、これはまあ当然のことだと思うのですが、無論進んでこれを助長するということに
考え
られるのじやないかと思うのですね。これは非常な消極的な
考え
方……そういうことを防禦するようなことはできないことは、これは当然のことであります。更にこれを積極的に助長して行くという
考え
方であるべきじやないか、こういうふうに私は
考え
るのですが、如何でしようか。
後藤憲一
74
○
政府委員
(
後藤憲一
君) その点私も同感でありますが、表現といたしまして、消極的な面を禁止しておるわけでありまして、当然の責務としてこれを助長するということをとるように仕向けるべきだと思います。
前之園喜一郎
75
○
前之園喜一郎
君 そういうお
考え
方であるならば、もう少し條文の訂正というか、が
考え
られるべきだと思うのですがね、これじやどうも非常に傍観的な、
法律
上だけ悪いことをしなければいいというような態度にしか受取れない。もう少し積極的な文句であ
つて
然るべきであると思うのですが、適当にこれを御修正になる方がいいのじやないですか。
後藤憲一
76
○
政府委員
(
後藤憲一
君) そういうようなお
考え
も勿論行けますが、一応消極的なところに線を引いた上で、更に積極的な方面に移るというように
考え
ていいのじやないかというふうに
考え
まして、こういうふうな表現をしているわけであります。
前之園喜一郎
77
○
前之園喜一郎
君 今そういうような消極から積極に移るのだというような、何か具体的なことを
考え
ておられるわけですか、或いはこれを修正するとか、或いは別に何か作るとかいうような……
後藤憲一
78
○
政府委員
(
後藤憲一
君) 別段そういう線はございません。将来本
法案
に改正するときがありますれば、更にいい表現がありますれば、附け加える
なり
或いは改正する
なり
、ということに応じて少しも
差支
ないと思います。
前之園喜一郎
79
○
前之園喜一郎
君 今
政府委員
の御答弁で、これは積極的に助長して行くのだという御答弁でありますから、それは了といたしますが、そういう気持でやはりおやり下さるようにお願いいたしたいと思います。 もう
一つ
第十八條ですが、「委員の任期は、三年以内とする。」「以内」とされたのがよく分らないのですが、どういう
意味
ですか。
後藤憲一
80
○
政府委員
(
後藤憲一
君) この「以内」というのは、この委員七名が、一年、二年、三年或いは二年、三年と申しますか、この任期が来まして変りますときに、元の全部が一度に変更してしまはないということでありますために、こんなふうな表現に
なつ
たわけであります。
丹羽五郎
81
○丹羽五郎君 簡単にお尋ねします。今前之園君の
お話
のところにもあつたのでありまして、この第三十七條のところで、專売公社又は国有鉄道とこの
港湾管理者
との間に
協議
が調わなかつた場合には、四十
一條
を適用して公聽会等を開いてや
つて
行くのですか、その運用についてお尋ねしたい。ここには許可ということにな
つて
おつたのですが、「許可」を第三項においてこれは「
協議
」ということに直しておるのですが、そうすると
協議
が調わなかつた場合には、その
結論
はどういうふうにして出すのか、それは四十
一條
の公聽会を開いてそうしてそれによ
つて
行くのか……
松村清之
82
○
説明
員(松村清之君)
只今
御質問の三十七條と四十
一條
とは全く別個の問題でございまして、三十七條の方では、特定の
港湾
工事或いは土砂の採取、水域の占用について、
港湾管理者
の許可を受けるのを建前といたしておりますのですが、專売公社、国有鉄道等につきましては、これはまあ古い観念とは思いますが、国と同様に扱いまして、許可でなくて
協議
という言葉を使つたに過ぎないわけでございます。それで三十七條の二項にありますように、当該
港湾
の開発発展に著しく支障がない場合には、必ず
協議
に応じなければならないということにしたわけでございます。四十
一條
の方は、これは三十八條、三十九條にございます分区の
制度
を
港湾管理者
が採用いたしました場合に、その分区内に有害構築物がありまして、それが
管理者
が決めまする條例等に反しておる、そういう場合に、建物を除く場合に、
港湾管理者
の長が公聽会等を開いてやるという趣旨でございまして、一応別個の
規定
にな
つて
おります。
丹羽五郎
83
○丹羽五郎君 そうしますと、折角
港湾管理者
が
港湾
開発にいろいろなことをや
つて
来た場合に、国或いは公社の方から強圧的に、その自分の使用の目的を、最大限度に使うために強圧的な方法を持
つて
来る、ここをああせいこうせいというようなことが起
つて
来ないですか、その憂いを
考え
ておるのです。
後藤憲一
84
○
政府委員
(
後藤憲一
君) その場合はこの三項の一般に許可という性質のものを、国或いは公社の点でありますから、
協議
という表現を用いただけでありまして結局
協議
に応じないということで以て、その処置はできるわけでございますから、まあ国、公共にいたしますれば、やはり公共性を十分に認識して物を判断する性質のものでございますから、そう無理なことは起り難いのではないかという感じをいたしております。
丹羽五郎
85
○丹羽五郎君 それからもう一点、三十條で、
債券
を発行することができるようにな
つて
おりますが、これはその
債券
発行は、その
港湾管理者
が、自主性の立場において、経済面において必要であるから
債券
を発行するのであるということで、これについては、何ら国家としては、制約をすることもなければ、それは自由にやらすのですか、その点を伺います。
松村清之
86
○
説明
員(松村清之君) それは三十條の二項にございますように、これはまあ経済状態が平常に
なり
ますれば、
債券
の発行ということは自由に
なり
ましようが、
地方
自治法によりまして、
地方公共団体
の
債券
の発行について、内閣総理大臣の許可を受けるようにな
つて
おりますが、それを準用いたしまして、
地方公共団体
と同様に、或る一定の期間は制約を受けることに
なり
ます。
佐々木鹿藏
87
○
委員長
(
佐々木鹿藏
君) 他に御
質疑
はございませんか。
村上義一
88
○
村上義一
君 一点だけお伺いしたいのでありますが、十六條、先刻も
質疑
が出ましたが、この十六條の二項であります、二項、「
港湾
に関し十分な知識と経験を有する者」ということがこの委員の選定要件にな
つて
おりまするが、この「関し」という
意味
であります。「関し」というのは、
港湾
そのものに著しい経験を有するという非常に狭い
意味
にこれは解すべきものではなく、海上運送であるとか、或いは臨港倉庫であるとか、又は臨港鉄道というような、陸上運送に関するものをも含むと
解釈
すべきものだと
考え
るのですが、
政府委員
の御
意見
をこの際承
つて
置きたい思います。
後藤憲一
89
○
政府委員
(
後藤憲一
君) この「
港湾
に関し」の
港湾
というものは、物理的な
港湾
というものと、それから
港湾
の機能を活かしますいわゆる
利用
開発という
意味
での
港湾
全部を含んでおるわけに
なり
まするので、
港湾
において経済活動をいたしますところの、
只今
お話
の、
港湾
作業
者でありますとか、臨港鉄道又は倉庫業、或いは又海運業、又貿易業というようなものに経験を有する者は、盡くやはりその
意味
で広く
考え
るべきものだと
解釈
いたしております。
佐々木鹿藏
90
○
委員長
(
佐々木鹿藏
君) 外にございませんか。
質疑
はないようでありますから、討論に入りたいと思いますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木鹿藏
91
○
委員長
(
佐々木鹿藏
君) 討論に入ります。御
意見
のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
村上義一
92
○
村上義一
君 この
法案
については、各所に考慮せしめられる点がないでもないのでありまするが、併し
政府委員
の御
説明
によりましても、是非今期
国会
で立法化する必要を認めると、尚、昨日も原口神戸市長の御
意見
もありまして、私は本
法案
に賛成するものであります。
小泉秀吉
93
○
小泉秀吉
君 私共この
法案
を検討して見ますると、幾多の不満の点もあり、又相当更に審議検討を加えるべき性質のものだと思いまするけれども、一方この
港湾
法が成立しないことによ
つて
、今占領軍の調達、要求下に置かれておる幾多の
施設
を開放を受け、又それの受入態勢が整わなければ、その現在の
施設
の開放が思うように行かないというような実情に鑑みまして、いろいろな不便不満もありまするが、この際
政府委員
の
説明
、応答にあつたようなことを
十分検討
し、又斟酌を加えまして、そうしてできるだけ早い機会において、この
港湾
法の不備の点に対しては、更に改正を加えるというようなことを條件にいたしまして、そうしてこの
法案
を、
只今
申しましたような
意味
合において賛成をして成立をせしめるという
意見
であります。
前之園喜一郎
94
○
前之園喜一郎
君 私は村上先生、小泉先生と大体において同じ
意見
であります。ただこういうような画期的な非常に重要な
法案
が
国会
の閉会の間際に出され、僅かに一日二日しか審議する期間がないということは、私共非常に不満であります。これは前
国会
から問題にな
つて
おるので、早く
国会
に御提出にな
つて
十分に審議する機会がなければならんと思うのであります。そういう
意味
において、私共これは実際において十分審議を盡くしておりません。まだ質したい点もあるわけでありますが、ただ時間の
関係
で打切つたわけで、これで質問が盡きたわけではないのであります。ですから、将来この点については
政府
は十分に
考え
て頂いて、こういう
法案
をお出しになるときは、十分審議の期間もあり、修正もできるような出し方をして頂きたい。これには無論修正すべきところが非常に多いと思う。神戸市長の御発言もありましたが、その他
政府
でもお
考え
にな
つて
おることがあると思う。速かにそれらのものを整備されて、近い機会において修正をされるということを強く要望いたしまして、民主党は賛成いたします。
丹羽五郎
95
○丹羽五郎君 私も前之園君と同じ
意見
を持
つて
おりまして、甚だ不備な
法律
であると、而も審議をする期間が少いということには、非常に不満を持
つて
おりますが、現在日本の
港湾
に対する基本の
法律
というものは今
一つ
もないので、この基本
法律
がなければ、小泉君の言われたように、受入れ、或いは軍用
施設
に造つたものを返して頂くというようなことも、
法律
の上においてでき得ないのでありまするから、それを
考え
て、来
国会
におきましては、是非とも本当に国の港を開発することのできる
法律
を
政府
もよく
考え
て、ここで修正をするということに
政府
の確約があるように私も聞いておりますから、それによ
つて
、私はこの
法案
の通過に賛成いたします。
佐々木鹿藏
96
○
委員長
(
佐々木鹿藏
君) 討論終結と見て御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木鹿藏
97
○
委員長
(
佐々木鹿藏
君) 御
異議
ないと認めます。それでは採決に入ります。
本案
に賛成の方の御挙手を願います 〔総員挙手〕
佐々木鹿藏
98
○
委員長
(
佐々木鹿藏
君) 全員賛成と認めます。今後の
手続
は慣例によりまして
委員長
に御一任願いたいと思います。御
異議
ありません。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木鹿藏
99
○
委員長
(
佐々木鹿藏
君) そのように取計らいます。御賛成の諸君の御署名を願います。 多数
意見
者署名 小泉 秀吉 飯田精太郎 丹羽 五郎 内村 清次 横尾 龍
前之園喜一郎
高田 寛 村上 義一
佐々木鹿藏
100
○
委員長
(
佐々木鹿藏
君) 大変御苦労でございました、有難うございます。本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十一分散会 出席者は左の
通り
。
委員長
佐々木鹿藏
君 理事 小泉 秀吉君 飯田精太郎君 丹羽 五郎君 委員 内村 清次君 横尾 龍君
前之園喜一郎
君 高田 寛君 村上 義一君
政府委員
運輸事務官 (大臣官房長) 荒木茂久二君 運 輸 技 官 (
港湾
局長) 後藤 憲一君 運輸事務官 (鉄道監督局 長) 足羽 則之君 運輸事務官 (鉄道監督局 国有鉄道部長) 石井 昭正君
説明
員 運輸事務官 (
港湾
局
管理
理 長) 松村 清之君