○平林
参考人 私、ここに
参考人として連日参りまして、現在までの状況を
考えまして、
政府の
考えておることがよくわか
つたのであります。
政府の反対をされておる、いわば
承認を與えないようにしたいという気持、その
理由について明確に知ることができるのでありまして、そのいずれも、私どもの納得できるものでないことは明らかであります。そこで今のような御質問にな
つたわけでありまして、私はできれば
政府並びに
政府の與党である民自点の方に、われわれの今までの努力をお聞き願いたいと思
つたのでありますが、遺憾ながらそういう機会が得られませんでした。今御質問のように、労働基準法の完全実施の問題が、どのような影響を與えるかということであります。私どもも
法律を守るという建前においては、法治国家の国民として、また
労働者として、当然そうあるべきだと思うのでありますが、この問題を
考える前に、まず私は今回の
裁定をめぐ
つて、
専売公社の
労働者がどのように現在の生産について、特に専売益金と
関連のある労働について、国家に寄與してお
つたかということを申し上げてから、今の御質問にお答えいたしたいと思うのであります。
私どもには現在の専売益金をあげるための労働について、製造計画が與えられておるのであります。昭和二十年当時から、われわれが国家の専売益金に寄與しておる経過をながめて見ますと、二十年において三百五十七億本のタバコ製造を行
つてお
つた、そうしてそれが二十一年、二年、三年、四年、こう年を経るに従いまして、現在では六百九十五億本、昭和二十五年におきまして、八百億本の製造計画を割当てられておるのであります。御
承知のように専売益金については、本年度千百九十億円という財源の捻出が、私ども四万の者どもに與えられておるのでありまして、こうした製造計画の増、それから専売益金の増、こういうところから見ましても、われわれがどのくらい国家の財政に寄與しておるかということは、明瞭であると思うわけであります。特に二十三年、二十四年を比較いたしましても従業員――工場だけの数字を申し上げましても、従業員は二十三年度において一万七千五百八十六名でありまして、二十四年には一万八千六百六十四名になりましたけれども、その間において先ほど申し上げましたように、二十三年は五百三十三億本をつく
つておる。ところが本年は六百九十五億本をつく
つておる。一人当りにいたしますと、年約七十三万本程度を多く製造しておるのでありまして、定員法の
関係その他から、非常に従業員の数が制限をされておる現在、これだけの製造量をやることは、機械設備その他の改善も伴うことが必要でありますが、とにかくわれわれは、こうしたタバコ製造の面においても、一人々々の割当数量の面においても、相当の努力をしてお
つたと確信を持
つておるわけであります。特に昨年の四月から十二月における製造実績の面を見ましても、それぞれの製造部門において、割当てられたパーセンテージをはるかにオーバーしておるような仕事をや
つておるのでありまして、給與も低い、そうして待遇も悪い。こういう
裁定が下される現在においても、生産能率の方面においては、向上しつつあ
つたということであります。これは何も私らだけの努力ではないかもしれませんが、組合員の大多数は、こういう意思をも
つて現在まで労働に従事して来てお
つた、こういうことをひとつぜひお
考えを願いたい。われわれ
労働者がこういうような
考えで働いて来たということを、ひとつ御認識願いたいと思うわけであります。
そこでこういうような状態にな
つて参りますと、私が第一日に申し上げましたように、少くとも現在の
政府の措置は、私どもから言わしめますと、どの例を取上げてみましても、納得することができないものでありまして
政府の措置が、もしかりに各
委員から指摘されておりますように、
政府の賃金政策の面それだけで、公企労法の方は目をつぶ
つてそうして
承認をしないという態度なら、これはまた別です。この場合私どもは、
公共企業体労働関係法に異議を持
つてその撤廃なり、修正なり――もしくは仲裁
委員会の
裁定というものを、私どもが当てにすることができないならば、そういう機関はもうやめてもら
つて、
政府と直接交渉ができるように訂正願いたいと思いますし、それでもできない場合は、私どもに罷業権を與えていただきまして、その罷業権のもとにおいて万事を解決することが必要になると
考えざるを得ないのであります。しかし、もしそうでない、専売益金に
関係することだけだというならば、私どもは今のような状態から見まして、今後の専売益金の確保の面については、一段と努力をいたしたいと
考えておりまするし、現在もさような
考えを持
つておるのであります。特に今問題にな
つておりまする専売
裁定の第一項を、かりに一月だけの
債務にいたしますと、わずかに四千万円であります。私どもの現在働いております一時間当りの製造本数を計算いたしますと、三千百三十万本つく
つておるのでありますが、これを専売益金に換算いたしますると、六千七百七十一万円になるのであります。要するに現在の場合、ここで論議をされておりまする一月だけの問題、四千万円を
考えてみますと、私どものわずか一時間に満たない労働に相当するという数字にな
つておるのであります。ここに専売益金を真に心配されるならば、われわれの生産に対する価値というものを、もう一度認識願
つて、この問題をお
考え願いたいと思うわけであります。私どもはそういう建前で、この専売
裁定についても関心を持ち、
政府のお
考えがどうも納得できないと
考えておるのであります。
そこで御質問のありました労働基準法の問題であります。これも私は別な
意味でお
考えを願いたいと思うのであります。私どもは今のような生産についての価値を持
つておると自負しておるのでありますが、今までにおきましても、労働基準法に違反するような行為、これは私どもは専売益金を確保するという建前から、そういうことも黙認をしてお
つたのであります。先日も申し上げましたが、勤務時間が八時から行われる、こういうときでも、その前に参りまして、たとえば十五分前に来て、点呼をと
つて、もちろん作業服に着かえておりまして、時間前に工場に入
つて、モーターを入れる、こういうような仕事までや
つてお
つたのであります。これは勤務時間の原理からいいますれば、私ども何も八時前に仕事をする必要はなか
つたのでありますが、しかし今の作業の実態、それから私どもの給與の改善という建前から、勤務時間前においても仕事をや
つてお
つた。そして休憩時間においても、ただちにモーターをとめることなく、きちつと仕事をや
つてから、手を洗
つて食事をするようにしてお
つた。そのために基準法に與えられている四十五分の休憩時間にいたしましても、実質上は三十五分になり、三十分になる、こういうこともやむを得ないものとして、や
つて参
つたのであります。しかしこういうような状態になりますと――昨年の私どもの機関としての中央
委員会においては、労働基準法は完全に実施すべきであるという決議をしたのであります。このように私どもからいたしますればも国家に寄與するという
考えでお
つたのでありますが、逆の面からいえば、
労働者として卑屈な
考えであ
つたようであります。こういう卑屈な
考えを持つことなく、
労働者は與えられた時間において、與えられた仕事をやる、これがほんとうだから、労働基準法を完全に実施しよう、こういう
考え方から、今労働基準法の実施を、下部においては真剣に討議しておるのであります。但し現在においては、生産能率を、そのために落すようなことは
考えておりません。私どもは與えられた勤務時間において、自己の能力を発揮して、所定の仕事をするのだ、こういう覚悟でありますが、
政府の措置が、逆に
法律に対して別な
解釈を持たれるようになりますと、
労働者の組合といたしましてもやはり人間でありますから、どのような
考えを持つかわからないのであります。先ほど
説明いたしました金額等から
考えましても、専売益金だけの問題であるならば、私どもをして不穏当な
考えを抱かせることのないように、
国会の
議決が得られることを希望するものであります。