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1950-02-13 第7回国会 衆議院 労働委員会人事委員会大蔵委員会連合審査会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十三日(月曜日)     午前十一時四十三分開議  出席委員   労働委員会    委員長 倉石 忠雄君    理事 大橋 武夫君 理事 篠田 弘作君    理事 福永 健司君 理事 三浦寅之助君    理事 吉武 惠市君 理事 青野 武一君    理事 春日 正一君 理事 島田 末信君       麻生太賀吉君    小淵 光平君       佐藤 親弘君    塚原 俊郎君       船越  弘君    松野 頼三君       前田 種男君    石田 一松君   人事委員会    理事 高橋 權六君 理事 土橋 一吉君       松澤 兼人君   大蔵委員会    理事 小峯 柳多君 理事 小山 長規君    理事 島村 一郎君 理事 前尾繁三郎君       岡野 清豪君    佐久間 徹君       塚田十一郎君    苫米地英俊君       西村 直己君    三宅 則義君       田中織之進君    宮腰 喜助君       木村  榮君    奧村又十郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  水田三喜男君         大蔵事務官         (主計局次長) 東條 猛猪君         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    冠木 四郎君  委員外出席者         日本専売公社総         裁       秋山孝之輔君         参  考  人         (全専売労働組         合中央執行委員         長)      平林  剛君         参  考  人         (公共企業体仲         裁委員会委員) 堀木 鎌三君         労働委員会專門         員       濱口金一郎君         労働委員会專門         員       横大路俊一君         人事委員会專門         員       安倍 三郎君         人事委員会專門         員       中御門經民君         大蔵委員会專門         員       黒田 久太君         大蔵委員会專門         員       椎木 文也君     ————————————— 本日の会議に付した事件  公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に  基き、国会議決を求めるの件(内閣提出、議  決第二号)     —————————————
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいまより前会に引続きまして、労働委員会人事委員会大蔵委員会連合審査会を開会いたします。  だだちに公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件、議決第二号につきまして質疑を継続いたします。高橋權六君
  3. 高橋權六

    高橋(權)委員 私は專売総裁秋山先生にお伺いしたいのであります。先日からいろいろと專売公社のことについて御高配になつておることは承つておりますが、ただ先日のごあいさつ中に、専売公社の者のみが犠牲になつておるかのようなお話を承つたのであります。私第一番にちよつとお伺いしたいのは、この日本国タバコ栽培をしている農民従事員数と、それから耕作反別はどのくらいであるか、お伺いしたいと思います。
  4. 秋山孝之輔

    秋山説明員 お尋ねの日本タバコ耕作面積は、二十四年度におきましては五万町歩でございます。——耕作人員はおそらく五十三、五万の人が従事しておると記憶しております。
  5. 高橋權六

    高橋(權)委員 それでデラ台風その他たびたびの暴風によつてタバコの葉が非常に損害を受けているのであります。それによつて非常に減収を来していることは周知の事実でありますが、それに対しては何とか補償方法を講じてありますか。
  6. 秋山孝之輔

    秋山説明員 これは当時專売公社といたしましては補償をいたしました。
  7. 高橋權六

    高橋(權)委員 それではその補償された金額もちよつと承りたいのであります。そのほか農民というものは、私ら農家でないとわかりませんが、やはり労働者であります。たとえて言うならば、労働者と同様、特に農民のごときは、俗に言う二百十日前後と言つて——今は名前デラとかいろいろかわいい、やさしい女のような名前の風が吹いて来るようになつておりますが、昔は幾日に風が吹いたということもなつてつたのであります。こういうことの心配のみならず、タバコを播種する前に消毒しなければならぬ。そうして発育した苗もまた消毒して移植するというように、非常なる労力を費しております。農民というものは、皆さん賃金ベース賃金ベースと言つておられますが、賃金ベースのようなことは夢にも思つたこともないし、唱えたこともありません。しかるに農機具肥料その他いろいろなる問題を加算いたしましても、相当の費用を要しておるのでありまして、これに労力を加えたならば、目下日本国農民ほど損害を與えられているものはないと思うのであります。それで先日から承ると、四万人——三万八千人のほかに二千人ばかりの見習工をしている者を加えて、四万人くらいである。ところが農民は五十三万ないし五十五万ということを考えると、私はあながち專売公社関係者のみが犠牲になつているとは言われないと思うのであります。その点はどういう考えを持つておられるか。  それから先日二日の録音放送によりますと、総裁は予算の許す範囲内にということを言つておられたから、わかつたことをおつしやつておられると感心しておつたところが、本委員会審査会においては、そうでないようなお言葉を拜聽するのであります。場所と時期によつて、お考えがかわるのじやないかと、私はこう考えておるのであります。総裁からその点について詳しく御説明をしていただきたいのであります。農民はやつぱり人様に米麦の供出もいたしまして、より以上の苦労していて、また嗜好品たるところのタバコ栽培に従事しておるのであります。このタバコというものを栽培するのには、先ほど申し上げたことのみならず、黴菌のために葉枯れを生じたり、暴風によつて葉が裂け、すなわち裂葉ができる。そのほかに虫がつきまして虫の駆除にも相当苦労しておるのであります。こしらえるところの工員さんたちは、ただ機械をもつて刻んで、そうしてシガーあるいは葉巻タバコなんかこしらえるのでありますが、この農民苦労たるや大したものであります、そういう点をどの程度考えになつておるか、ちよつとお伺いしたいのであります。
  8. 秋山孝之輔

    秋山説明員 まことにただいまの御質問、私は非常に適当なる機会を得たと存じます。私は元来は農家の出でありまして、農事については、みずからくわをとつて耕したことはありませんけれもど、大体は承知しておるのであります。ことに私のほとんど生涯と申してもよろしいが、台湾のかんしよの農業に従事しておつたのであります。農家苦労の多いことは、ただいまお話の通り私もまことに同感でありまして、公社に入りまして以来、ただちに農事方面に最も力を注がなくてはならぬということを感じておるのであります。ただいまの病虫害あるいは肥料その他につきましても、私は十分の努力をいたすつもりでおります。  なお日本タバコ外国タバコに比して劣るというようなこと、現在タバコの品質においても外国品とは同日の談でないという批評を承つております。この点においても、まことにさようだと私も考えます。しかしながら、よいタバコはよい原料によつて得られるということは、何人も御承知のことでありまして、タバコ原料すなわち葉タバコの改善ということについては、私就職後立ちどころにその方策を講じつつあるのであります。さようなことで、農家の福利ということを度外視して、公社の経営が決して成立たぬということは十分に認めております。ただいま場所により、時によつて私の考えが違う、こういうような仰せでありますけれども、私は断じてそういうことは考えておりません。農家苦労もよく認識しておりますから、今後もその点を考慮いたしまして、日本タバコ農業に対して十分の努力をいたし、世界的の水準にこれこそ私は持つて行こうということを今心がけて、着々と実行いたしております。
  9. 高橋權六

    高橋(權)委員 わかりました。しかし今そういうお考えであるならば、先日から録音放送によつても承つておりましたが、日本タバコは惡くて値段が高い。今は外国葉タバコを混入してないというような意味から、味が惡いような話も承つておりますが、農業は私すき、くわもとり、馬も使つて経験しておりますからわかつておりますが、タバコの味ばかりは、まだ一ぺんも吸つたことがありませんからわかりません。ただ、今申し上げるような意味から、でき得る限り総裁——この際かえつてこの約四万人の工員惠むよりも一般国民八千万人のうち四千万人がタバコを愛用するならば、その四千万人に対する値下げこそ、私は必要でないかと思う。政治家というものは、大きいものを助けて小の虫を殺すというくらいな覚悟をしなければならぬ。私だつて知つております。雪の日やあれも人の子樽拾い。私はつくり酒屋のせがれでありまして、小僧たち苦労していることもまた知つております。それで労働者をかわいがる道も知つておる。大正の初めから、牛馬車を引くところの人間人間でないかのように社会から蔑視されておつたために、私は牛馬車組合を組織して、今日まで労働者を指導しておるのであります。そういう点は、あながち何々党という方のみが労働者味方でないのであります。私らも労働者味方であることは十分承知しておいていただきたいのでありますが、総裁においては、かえつて多数国民タバコ値下げにその方の金を用いるくらいな考えがないか。でなかつたならば、値下げをするように——そういうふうに考えております。  それからついでに、今日平林委員長さんにちよつとお伺いしたいのであります。どういうことを言うかというと、先日これはあなた方から配られたものであろうと思う。全專売労働組合としてタバコ値段を下げよ、日本塩業をりつぱに育てよ、賃金を上げよ、專売企業民営反対タバコ小売人の手数料を上げよ、日本耕作者を守れ、これは八方美人的なことだと思う。金は出さぬ、賃金は上げる。これは加減乗除を知らぬようなことを書いてあるようであります。     〔委員長退席三浦委員長代理着席〕 ない袖は振れぬということを考えなければならぬ。これを見れば、みな喜ぶけれども、私らみたいに頭のある人間から見ると、こういうものを配られる皆さんは、プラス・マイナスを知らない人じやないか。そういうことから、もしここに私の言うような世の中になつたならば、どうなるかということを考えていただきたい。日本の今の專売公社などやめて、外国タバコ製造を委託して、税金のみ日本歳入歳出がつじつまの合うようにするためにとる。もしそういう多数の意見が出て、議会を通過したような場合は、あなた方はかえつて、今のままある場合よりは、犠牲拂つてでも、不利になるのではないか、そういうことをお考えになつたことがあるかどうか。もし事実そういうことになつたならば、あなた方四万人の人間を根こそぎ首切らなければならぬ。かえつてひいきの引倒しになりはせぬかと思う。またもしこれを日本国民に訴えたならば、四万人の人間よりも、タバコ値段の下る方をすいておるという人間が多くて、また解散しても、そういう多数の代議士を出してまた通過させるということになるならば、あなた方の言うようなことは絶対実現しなくなるということを、お考えになつたことがあるかどうか。場合によつたならば、そういう時勢にならぬということは、神ならぬ身のあなたは断言ができまいと思う。そういう点についてお伺いしたいと思います。
  10. 平林剛

    平林参考人 私がここに意見を求められておるのは、主として專売裁定のものと考えておりましたので、そういう趣旨かと思つたのでありますが、今の問題にたいへん関連があるといたしますと……(高橋(權)委員関連があります。首がなくなるじやないか」と呼ぶ)お答えをいたします。私どもタバコ値下げを要求いたしておりますのは——今の專売公社において売られておるタバコはほとんど税金である。私ども專売企業民営という問題がありました際に、この企業民営の裏に、いろいろな計画が進められておることを知つてつたのであります。そういうようなことを感じましたし、どうしても專売企業民営には反対をする立場をとらざるを得なかつたのであります。その最大の理由タバコ値下げというようなことがありましたが、私ども主張いたしておりますのは、專売企業民営にしたところで、タバコが安くなるものではないということであつたわけであります。なぜかと申しますと、專売企業をかりに民営にいたしましても、やはりどこかの大きな独占会社の所有になる、そうしてタバコ製造会社方々にできる。こういうことになりますれば、勢い質の問題の競争も出て参りますが、値段についても、同じように競争されて来るようになる。かえつて値下げどころではない、というのは、現在のタバコ価格のうち、ほとんどが税金である。光にいたしましても、わずか五円程度でできるものが、五十円で売られておる。こういうことは、結局今の政府が、タバコの販売によつて国民からそれだけたくさんの税金を取上げておるのだ、ということになると考えておるわけであります。だからわれわれはこのタバコ値下げは、結局現在の政府の税の立て方を改めてもらつて、別なところからこの税金を取立てるようにしてほしい。こういうのが私どものかねがねの主張であつたわけであります。今度のタバコ値下げの問題にいたしましても、今タバコはたくさん製造されて、町に出ております。そうしてこれらのものを、高い金であるわということで、吸つておるのでありますが、実際には売れないというのが、実情であろうと思うのであります。それでこの売れないようなタバコがたくさんあるのは、結局高い税金が課せられておるからだ、こういうふうに考えるわけであります。私どもはこれを主張いたします際に、結局今の專売裁定が実施されない、法律を破つても実施しないというようなことの一つ理由の中には、專売益金が足りないのだ、こういうようなお話もあるわけでありまして、そういうことならば、私どもが商売上から考えてみましても、売れるようにして、益金を増すことも考えてよいのではないか。政府も今度タバコ価格値下げしなければ売れないということを、自分でも感じておるようでありますから、そういう建前からいつても、タバコ値下げ行つて益金をたくさん得るようなお考えを持つてもいいではないか。四月に引下げるというようなことを言わないで、今のタバコ売れ行きの状態から見まして、ただちに値下げをしまして、かえつて益金を増すようにした方がいいじやないか。そういうような益金が得られるようになれば、今大蔵大臣の言われておるのもすべて見通しだけで、否認されておるのでありますから——これは私ども、必ずしも値下げしたから益金が増すとも考えません。しかし見通しとしては、私どもも立てることができるのでありますが、かえつてそういう方法をとつてもらつて、そうして法律をぜひ破らないようにしてもらいたい。これが私どもの今回のタバコ値下げ運動にもなつておるのであります。私ども労働組合でありまして、国家政治をとつておるのではない、私どもの経済的な生活主張しておるのでありますから、あと国会政治的な問題をお考えになるでありましようが、このタバコ値下げ運動にいたしましても、そういう立場から立場からわれわれは主張いたしておりますし、また今後の見通しとしても、おそらく若干タバコ値下げした方が国民大衆にも喜ばれますし、そうして売れ行きもかえつてよくなるということを考えてもよいと思います。こういう立場からわれわれはタバコ値下げ運動主張しておるのでありまして、労働組合という立場から考えております。同時にまたこれは、国民大衆にも喜んでもらえる運動だと考えております。特に私どもは、自分たちだけがよい子になるという考えでは決してないのであります。私どもは、今先生質問された中におきましても、農民生活を非常に憂慮されておるようでありますが、私どもに限らず、やはり農民方々にも、そういう生活が行われておることは、一体どこに原因があるかということを深く考えるのであります。賃金は少しも値上げをしてくれない。そうして賃金だけをストップさせてしまう。農民の場合も私はそうだと思うのであります。タバコ耕作者人たち生活を今よくするには、やはり葉タバコを買つてやるお金を少しでもよくするようにする、こういうとこにあるのではないか、こう考えますので、私どももそういう主張を一緒にしなければならない。今御質問なさつた趣旨と同じような趣旨で、タバコ耕作者を救つてほしい。そうしてそれらの一切の責任は、今の政府が負つておるのだ。民主自由党方々がその政策担当に当つておるのだから、私ども総裁に言われる前に、私はやはり今の政府にそれらの問題を深く考えてもらわなければならないと考えておるわけであります。御質問に合つておるかどうかわかりませんが、私の考えを申し上げました。
  11. 高橋權六

    高橋(權)委員 今農民に対しての御同情あるところのお答えは非常にうれしく思いました。しかし私ども曲解するわけではないが、見方によれば今のお話を承つておると賃金を上げれば——タバコの原価なんかは言わなかつたが、賃金を上げないから、タバコの五円ぐらいしかかからないものを、五十円にも売つておる、と言つておられるような感じを起す者も、日本国民のうちにはできるかもしれぬと私は感じたのであります。しかし今申し上げるように、あながち働かなくてもいいということはありません。働かざる者は食うべからずということは、昔から言つております。今に始まらぬことだと思う。そういう考えから、私は今平林委員長さんのおつしやつたことについて、もう少しくお伺いしたいのは、ただタバコの葉さえ高く買えばいいという、そういうようなことを農民考えていないのであります。第一農機具の高いこと、肥料の高いこと、今から二十七年前には牛一頭が五円で買えた、馬が二十五円ないし二十七円ぐらいで買えたのが、今数万金を要する世の中になつている今日であります。惡く言えば紙幣価値がなくなつたといえばそうでありましようが、そういうことは別といたしまして、私はただ專売公社工員のみを無視せよと言うのではないのであります。同様に労働者である以上、私はかわいいのであります。しかし日本国をまかなう上には、やはり歳入歳出ということを考えなければならぬ。家一軒を構えても……。まして日本国民の大多数は納税者であつて労働者より納める税が多い。われわれ国民の代表たる国会議員なるものは、そういう大所高所を考えて論ずるのがほんとうだ。ただその場その場の人気取りに、自分がこの次の選挙に当選さえすればいいというような、小さい考えでいてはいけないということです。官吏の皆さん初め国民全部が真劍にならなければ、今日の日本を維持することはできない。そういう考えから、先日私はたびたび承つおりましたが、塩の問題でも、余分な塩を購入しておいてというようなことで、いつも塩が対象になつている。塩というものは、天候のいかんを考えなければならぬ。塩田において塩をこしらえるときに、雨ばかりじやできない。かまに入れる前に相当乾燥さしたり、いろいろな方法考えなければならぬ。しかる後にかまに入れるということを考えなければならぬ。天災地変というものを考えると——かりに政府が必要以上の塩を買つておいても、塩は古いほど衞生上いいということを、專売公社のあなた方は特に考えなければならぬ。塩にはにがりというものがあつて、年を経るごとににがりを減じて行く。にがりはわれわれ国民が食べると害になるものである。その塩を余分に買つてあるということは、これは見のがしていいことだ。何か言うと塩が幾らだけの損害になる。そう言うのは、自分の俸給のことばかり考えて、国民衞生思想を考えていない人です。ほかの方は法理論でおつしやるから、私はただの言葉でお伺いするのであります。そういうことから、私が今申し上げるように、今日の場合引揚者を救済するために、專売公社工員を入れかえてでも、もし安くて働くというような者があつたら、使うようなことも考えなければならぬ。引揚者を殺すこともできない。引揚者の中にタバコをつくる者がおつたら使つていることになるのであります。せつかく今まであなた方が飼いならしていいところの官公庁の労働者をかわいいと思うならば、今のまま、がまんしてもいいことがありはせぬかと思うのであります。もう一つ、紳士らしくない人が多くありはせぬか。もしかすると、この中にもあるかもしれない。いろいろ変な名前のついた、日本製じやないタバコを愛喫なさつている方がありはせぬか。ずつとポケットの中を調べたらあるかもしれぬ。(笑声)そういうことをお考えになつたことがあるかどうか。私は酒の密造もしませんし、タバコ密造もしたことはない。あの落ちているタバコを拾つているのを、浅草あたりの大親分が買い集めて、そのタバコが化けて出ていないか。そういうことまで調べて、しかる後にあなた方は自分のかわいい労働者のことを言わなければならぬ。ただ自分中央におつて、バッジをつけて偉そうな顏をしておつてはいけない。幾種類かの外国タバコみたいなものが入つておるが、そういうようなものをポケットに入れて、吸つているかどうかを調べて、しかる後に労働賃金のことを言う。しかし労働賃金は今言うように引揚者を全部使つて入れかえて、安く働くという者が出て来た場合、あなたは今自分の部下である方々に対してどういう考え方を持たれるか。私はその点についてお伺いしたいのであります。
  12. 平林剛

    平林参考人 ご質問の中にいろいろございましたので、お答えにならないかもしれませんが、最初仰せられたのは、歳入歳出の面を考えて要求すべきではないか、こう言われるのですが、私ももう数字の問題であるとか、資料の問題であるとか、法律上の問題ではなくしてお答えしたいと思います。專売益金が今私どもに一千二百億課せられておるわけです。私どもは定められた時間以外に、超過勤務行つて自分仕事をしております。たとえば八時に仕事をする場合においても、十分前に来て、もう作業服にとりかえて、モーターを入れる。こんなくらいに、基準法に違反するような行為をしてタバコをつくつておるわけであります。帰る時間についてもそうでありまして、われわれは、仕事は五時なら五時に終る、それまでやつて、そのあとで、タバコですから非常にそのよごれますので、手を洗つて帰るというようなことをやつておる。私ども勤務時間というりくつから言えば、八時から五時まで、定められた労働時間内だけ働く、そういうりくつがあるのであります。しかしそういうりくつを、抜きにして、それだけの仕事をやつておるということは、今の專売益金の重要なことを、やはり国民的立場からも認識をしておるからであります。しかしそれが必ずしも労働者として正しい道であるとは考えていないので、労働者にもやはり自分たちの基本的なものを主張する権利があることは、これは皆さんがおきめになつた憲法でも明らかであります。そういうような建前から見まして、一生懸命になつてども組合員の者は仕事をやつておりますが、そうかといつて不可抗力からタバコ益金があがらなくなる。事実タバコ価格があまり高過ぎるから売れなくなるために、タバコ益金が入らなくなるということは、私ども責任ではないと思います。たとえば塩を買うというようなことは、私どもは予期しておらなかつたことです。しかし国家の都合で買うのであつて、それで專売益金が少くなるということを、実際それまで私どもの方に責任を持つて来られては、たいへん迷惑なことであります。もし私どもの工場が火事になり、タバコ相当焼けてしまつたという場合にも、それが焼けたから專売益金が少くなる。これもお前たち責任ではないかというぐあいになつて来たならば、私どもがいかに懸命になつて仕事をいたしましても、あとからあとから出て来る不測の事態のために、自分たち労働賃金を切下げられたり、あるいは当然要求すべきものでさえも、むりに放棄しなければならないということは、それはできないことではないかと思うわけであります。私どもは今の大蔵省の予算にも組まれておりますように、いくらでも働かなければならないような製造数量が與えられ、労働時間が與えられ、賃金はこれだけだということになつておる。そこへまた不測の事態が来て、專売益金が入らないから、お前たちにはこれだけしか支給できないというむちやなことは、ちよつとたとえ話にいたしても、自分が生きて行くために、自分の足を食つて行くたこのような生活をしなければならない。これはどなたがお考えになつても、りくつに合わないことではないかと思うわけであります。そういう建前から、私ども歳入歳出考える場合においても、このような話からもわかつていただけるものだと思うわけです。ましてやこの問題は、いろいろの法律的なことや、資料などから考えましても、決して專売益金をマイナスにするものではない。われわれは一時間ずつ働けば、六千七百七十万円程度仕事をしております。われわれが国家に貢献しておる六千七百七十万円、これを一箇月一時間ずつやれば、これよりもつと少い額で、今の法律を守つてくれさえすれば、実現可能な金額であります。こういうようなことから考えましても、バランス・シート——歳入がないということまで私ども責任にしてもらうことは、たいへん困ることでありますし、組合員としても一生懸命働いておるのに、こんなことだということであつたならば、仕事に対する熱意というものも、かえつて失われて行くように考えるわけであります。これはひいては国家全般の立場から考えてみましても、間尺に合わないことだと考えるわけであります。特に今タバコのことに例をとられまして、外国タバコを吸つておられる方がおつたり、引揚者の方を入れたら、あんた方の首も危うくなるのだということをおつしやられておりますが、私どもは決してそう考えておらないのであります。四万の組合員は相当の技術を持つて、その自信ある技術で働いております。四万人の引揚者を使つて、一朝一夕にできるほど未熟な技術ではないと考えております。長い間私どもは技術を練磨いたしておりますので、一日でかわつてしまつて、ほかの人がやつたらできるというような仕事は、しておらないのであります。そういう点から見ましても、單に四万人の人があるから、お前たちはそういうことを主張すると首になるぞというようなことは、ちよつと今の私どもの技術に対する自信からしまして、常識で考え得ざることだと考えておるわけであります。特に民営の問題について、給與の問題と関連して、民営になるぞという御質問のように考えますが、それも私は逆だと考えておるわけであります。私どもは今官業においてこういう仕事をやつております。そうしていくらか国家企業に貢献をしておる。これがもし民営になつた場合、かえつて逆な結果になる——この民営問題について、前にいろいろ御論議があつた模様でありますが、今吉田内閣は、一千二百億の財源が確保できなければ、国家財政をまかなつて行けないような財政政策を行つておるのでありまして、そういうようなことを放棄して、民営にできるはずがないと思うのであります。これは民営にするというお考えそのものが、国家財政に対するお考えが薄いから、そういう話が出て来るのだと考えるのでありまして、私ども立場から言えば、かえつて今の專売企業を当分の間続けて、そうして專売益金政府がたよらざるを得ないような状態を、一日も早く脱却するようにする。そのために、先ほども申し上げましたタバコ値下げ運動も必要だろうし、国民大衆に迷惑がかからぬように——タバコに税がかからないような、ほかの政策をとつて行くように、私ども立場から要望いたしたいと考えるのであります。
  13. 高橋權六

    高橋(權)委員 今平林さんは、民営を本員が言つたかのように誤解されている。私は民営ということを言つていない。たとえを申し上げたのである。あなたが組合員がかわいいように、私もかわいいから、そう言つておるのでありまして、あながち引揚者を入れるというわけでもないが、引揚者の中にも、満州あたりで相当タバコに体験のある者もおります。そういう者を使つた場合にはどうするかという意味であつて、決して今の熟練工を放逐せよというような、乱暴な言葉は使いもいたしませんし、思つてもおらないのであります。ただここに言いたいのは、日本国をまかなつて行く以上は、歳入は相当に要する、歳出もいるということならば、大所高所を考えなければいかぬということを言つておるのであります。私はそういう意味で言つておるのであるから、その点は誤解のないように、決して私は労働者を蔑視するのではない。かえつて労働者のいつも味方になつておる男であります。今申し上げるように、またタバコ益金云々ということもありましたが、今の日本国でこしらえているタバコの惡いということは、総裁初めあなたもその道の方々ですから、お知りでしよう。その惡いタバコをのんでいる皆さんはお気の毒です。しかしながら今申しましたように、かりにそういう問題が行き詰まつて、やむを得ず外国タバコ製造を委託するような場合はどうするか、と言つたのであります。その点はあなたのお考え違いじやないか。そうして歳入をそれだけ入れさえすればいい。またいいタバコを安くてのめるなら、愛喫するだろうと思う。私はよくても惡くても、安くても高くても、吸わないからいらないけれども、そういうことを言つておるのであります。そういう意味から私の申し上げるのは、今までの日本国民は、より以上に働いて文句言わなかつた。このごろ働かないで金をとることばかり考えておる。デモクラシーのうちの権利のみを主張して、奉仕の自由ということを忘れておるのじやないか。皆さん一たび口を開くと、必ず労働者味方自分であるというようなことを言つて、速記録にでも残して、いなかに帰つたら、また選挙の材料にでもしようというような人がありやせんかと思う。私はそういうことじやない。八千万国民を思うあまりに言つておるのであります。塩の問題でもその通り、塩は日本国民全体から考えて今申すように衞生上いいから買つといても、私はそういうことはあまり口にしないくらいな考えを持つてつた。上杉謙信は武田信玄に塩を送つて戰争した。そのくらいの魂のある人間になつてほしい。私は戰争は好まないが、その魂たるや——それで私はこの間アメリカの進駐軍のある将校に話しました。日本の武士道ということは、今誤られているが、昔の武士道は弱きを助けて惡い強いやつを懲らしめるという、すなわちデモクラシーの一番いいところと一致するのじやないかと思う。日本のほんとうの武士道と、デモクラシーというのが合つとつたのが、東條というような方々が、この武士道をアメリカあたりに誤り伝えたことがありやせんかと話したところが、そうかなあと言われておつた。ごろつきと侠客の話もしておいたのであります。昔のごろつき、昔の侠客、今のボスというような言葉を使つておる偉い人がおるだろうが、ボスはどうでもいいけれども、そういう点を話しましたところ、アメリカの将校は、武士道というものはそんなものであつたか、ということを言つておられたのであります。私はそういう点について平林参考人に、今後労働者の代表として導かれるならば、デモクラシーのうちの奉仕の自由ということを、よく教えていただきたいのであります。  ついでにここにもう一ぺん総裁にお伺いしたいのは、今平林参考人は、そういうことは自分労働者の代表であるから知らぬとおつしやるから伺うが、今申し上げたように、今へんてこなタバコが巷間に販売されておるが、そういうものを取締つて益金をもう少し上げて、葉タバコをつくる農民に対してこれを高く買い上げるようなことは、平林参考人が心配せぬでもいいような方法はできやせぬかと思う。私は電車に乗つても、列車に乗つても、議院内に参りましても、至るところ飲料店その他において、へんてこなタバコを目撃することが多いが、ああいうものが日本タバコ製造のうちに入つておるかということを、怪しむのであります。そういう点をずつと御調査になつておるかどうかということを、ちよつとお伺いしたいのであります。
  14. 秋山孝之輔

    秋山説明員 ただいまの高橋さんの憂慮せられる点につきましては、まことに国政を担当せられる高橋さんとしては、ごもつともだと思います。私もその点につきましては最も憂慮いたしておるのであります。專売公社は千三、四百人の監視員を持つており、補助員といたしましても数百名、合せて二千人近くの監視員を持つておりまして、外国タバコの密輸、葉タバコの横流し、そういうことを熱心に取締つておるのであります。残念ながら外国タバコの密輸につきましては、事はなはだ複雑でありまして、われわれの手の届く範囲と申しますればまことに狹いのであります。この辺は詳細にここに御説明を申し上げかねる複雑な事情があるかということを、御承知おきを願いたい。     〔三浦委員長代理退席、委員長着席〕 ただ私は取締りということよりは、常に外国タバコの消費というものが、国家財政にどういう影響をするかということの国民の自党をも、あわせてお願いをしたいと思うのであります。実は宣伝費というものについても、いろいろ論議がありますようでありますけれども、やはり手取り早くするには、どうしても自覚を喚起するということが必要だと存じまして、ここで申し上げるものもいかがと存じますけれども、たとえば花柳界のようなところには、むしろ進んで自粛をしていただきたいということを申し出ますると、まことに効果は顯著であります。しかるにやはり残念ながら、いわゆる購買力の豊富な方々が、あるいは法を知つていて犯すという方々が、相当多いのであります。これはなかなかわれわれのような監視員が自粛をお願いしても、数多いものでありますから、意のごとく取締り、あるいは自粛をお願いするということが困難であります。これは私は国会方面における有力な方々が、もし機会がありますならば、選挙民とかあるいは大衆に対しても、この外国タバコの使用ということについては、どうぞ御協力を願いまして、これはやめようじやないかというふうに持つて行つていただければ、われわれの歳入がもう少しふえるのだというような考えを持つておるのであります。今後とも一層この取締りにつきましては、努力いたすつもりでおります。
  15. 高橋權六

    高橋(權)委員 堀木さんにお伺いしたいのであります。元給與局長をなさつたことがある今井さんがおられぬから残念ですが、堀木さんに代表で答えていただきたいのであります。先日からいろいろ仲裁のことについて詳しい御説明をいただいたので、もうたいがいわかつておりますけれども、堀木さんのお話にも、給與ベースを上げることが適当だと思うというようなお話。まだ堀木さん方は、自分が納税しないで、とる方の役人ばかりしておられたからわからぬ。われわれ国民は何もかも納税々々、納税ばかりで——私は十数年前に、今に日本は納税々々で、税金づけというつけものができるぞと、じようだんを言つたことがあるが、それを聞いて皆さんが、ほんとうに税金ばかりだと言つておるのであります。そういうところから考えて、仲裁をするような場合には、八千万国民を土台として、少数の人間はどのくらいでどういうふうになる、その少数の人間をまかなうのが、大多数の国民であるというような立場から、私は仲裁していただきたいと思うのであります。あながち議員は演壇に立つて、あるいはこううい委員会の席上において、いろいろと申し上げるばかりが能じやない。帰するところは、ほんとうに国民を愛する信念からの発露でなければいけないと思うのであります。いつも私はお気に入らぬことばかり申し上げますけれども自分が偉くなろうと思えば、何かいい役にでもありつこうと思えば、現内閣にも、他党派にもおせじを言つて、偉い者にもなりますけれども、私は偉い者になるよりも、国民の言わんとするところを言つて、喜んでもらいさえすれば、このまま衆議院議員で満足であります。もし運がよかつたら一躍総理大臣にでもなろうかと思う。そのくらいな考えであるが、しかし私の言うことは、今後仲裁される場合には、そういう点に御留意くださることをお願いするのであります。あくまで今度の專売公社工員に対してのみ、上げなければいけないという実際のところがするのならば、その点を一つ詳しく、先日の法理論でなく、私の今申し上げる通俗的な方面から、お伺いしたいのであります。
  16. 堀木鎌三

    ○堀木参考人 実は私ども、根本的に法律論で労働問題を片づけるつもりはありませんし、長い間の労働問題の扱いから見まして、法理論労働問題を片づけようとすることは、一番下手なやり方であるというふうに考えておるのでありますが、あまりに法律に反したことをおやりなさるものですから、法理論をいたしましたばかりでございます。大体仲裁委員として、労働者味方ばかりして、考えているんじやないかというお考えがあるように拜察するのでありますが、私ども、仲裁裁定は最終的決定力があるだけ、われわれ自身が責任を感じなくてはならない、常に日本経済の興隆に資するという観点は忘れていないのであります。そういう点で、高橋さんのおつしやいますように、八千万と国民の利福ということは決して忘れていないのであります。ただここでお考えを願いたいことは、今民間の給與は、全国の鉱工業平均をおとりになりましても、また過般政府の出しました給與白書で、民間の給與水準がどうなつているかということにおきましても、すでに八千四、五百円以上になつていることは、これは万般皆さんの御承知の通りであります。そこで政府国家公務員諸君はそれよりはるかに少い、一昨年の七月までの物価を基準といたされました、いわゆる六千三百円ベースであるということは、これはまた明らかな事実であります。     〔倉石委員長退席三浦委員長代理着席〕 そういたしますと、最近において、この間政府が出しました給與白書で、政府の役人も七千二百円でございましたか、その程度になつておるという表は出ておるわけであります。政府の出しましたいわゆる給與白書について正確に言いますと、国家の公務員は昨年三月において七千二十九円、こうういふうになつておるわけであります。そうすると、相当の開きができております。むしろ全体から見ますと、私ども考え方は、いわゆる民間の労働者は争議権を持ち、団体交渉権を持つてそうしてそれを使います場合もありましようし、使わないでも、ともかくすでに八千円台になつておる。国家公務員は七千円でもつてがまんしている。全体から見ますと、このバランスの開きは非常に大きいわけであります。これはそういう場合を予想して、国家公務員法に規定して、五分以上の、いわゆる生活に影響のあるようなときには、人事院が政府と議会に勧告しろ、そうしてなるべくそのさやを補償してやれ。ということになつているのであります。国家公務員は、争議権も団体交渉権もないわけであります。それから公共企業体の、問題になつています專売公社従業員は、政府職員ではないが、争議権はない、しかし団体交渉権は持つておるわけであります。この給與の裁定にあたりまして調べますと、国家公務員と同じベースでもつて律せられておる。非常に民間との給與差がはなはだしい。どうしてもこれは考えなければならぬわけであります。ことに公社の従業員諸君についてわれわれが下します裁定は、公社総裁側と組合側、双方に債権、債務が生じますことですから、非常に私どもとしては責任を感じる。しかし今申し上げましたような、はなはだしい差というものは、全体から見て公平に扱われなくてはならない、これが私どもの見方でございます。争議権と団体交渉権を奪われた官吏は、それがないのだから、じつとがまんしておれ。また公社の職員につきましては団体交渉権は認めるけれども、争議権は奪つた、しかしその差は認めろ。だからこれらの人の給與は、常に低いところでがまんしろという趣旨で、ああいうものができたとは考えられないわけです。国家全体の経済から見まして、この点を縮めて参らなくてはいけないという考え方が出て来るのは、当然でなかろうか。いわんやその公社自身の経営状態から、これが支拂えるような状態——支拂いができない状態ならともかくも、支拂えるような状態ならば、従業員諸君の給與というものをまず考えるべきだ。何でもかでも、ほかのものを拂つて、残つた考えるという思想はないはずである、こういうふうに私ども考えます。今高橋さんと同じように、国家全体の経済の復興ということを非常に念願といたしておりますが、その基盤に立つても、なおかつ私どもの裁定程度は当然のことでなかろうか、こういうふうな考え方でおりますので、御参考までに申し上げておきます。私は大蔵省にも関係いたしたことはございませんで、前身は運輸省の役人をいたしておりました。しかし裁定にあたりまして、專売公社の方におきましても、十分そういう点につきまして——つまり今おつしやられましたような、ないそででなしに、ほんとうにあるのでございます。ですから、まずこれについてお考え願いたい、こういうことを申し上げます。
  17. 高橋權六

    高橋(權)委員 今堀木委員から詳しいお話を承りまして、その御好意はありがたく、労働者のかわりにお礼を申し上げます。但し今申し上げるような意味から、方法として何か支出の研究ができるならやりたいと思いますから、その場合は、でき得る限り多数方面に影響のないようにしていただくようにお願いしたいと思います。  それから平林委員長並びに総裁にお願しておきますが、外国タバコが密輸されていることに対して、より以上の注意と、今後今まで以上に骨を折つていただきたいと思います。それから値下げの点でも、今平林委員長が言われるように、原価が非常に安くてもうかり過ぎるようだつたら、できれば減じていただきたい。私はまだまだほかに財源を捻出する方法がありはせぬかと思う。先日から專売公社タバコ工場をつくるために、佐賀の片倉製糸の工場跡を買収するとか、買収せぬとかいうことですが、あの建築物が非常に老朽しているということは、私ら地元の近くなのでよく知つております。そういう方面からも、今後においてもしいろいろなことをやられるような場合には、金の捻出ということに留意していただきたいと思います。われわれ衆議院議員も、やみタバコを販売する者に対しては、相当の考慮と協力をしたいと思いますが、その点お願いしておきます。  平林君は先日、もし賃金ベースを上げなければ日本労働者は何らかの実力行使というか、何かあるかのようなお言葉を拜聽して、今に至るまで非常に心配しておりますから、あなたはまだお年もお若いので、私らのようにもちを食つたら、だんだんおとなしくなられるかしれないが、なるべくああいう言葉は使わないようにしてもらいたい。日本国つて日本人です。日本国が滅びてしまつたならば何にもならない。かりにあなた方のかわいい労働者諸君が、もし実力行使によつて暴力に訴え、それに対して農民が絶対葉タバコをこしらえぬとしたら、あなた方はお困りだろうと思う。第一線に出ているあなたはなおさらのこと、若い熱のある方も相当あることだから、これから闘争というような言葉、実力行使というような言葉、あるいはへんてこなことが起るかのような言辞は、絶対使わないようにして、ほんとうにかわいいかわいいという一念から労働者を御指導していただくようにお願いして、私の質問を打切つておく次第であります。
  18. 土橋一吉

    ○土橋委員 ちよつと議事進行について……。午後は私たち質問することになつておりますが、大蔵大臣及び労働大臣にぜひ御出席を願いたいと思うのでございます。なお今井さんは今日はお見えでないようでございますが、総裁平林委員長と堀木さんには、ぜひ御出席を願うようにとりはからつていただきたいと思います。
  19. 三浦寅之助

    ○三浦委員長代理 承知いたしました。  それでは午後一時半まで休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ————◇—————     午後二時四十一分開議
  20. 三浦寅之助

    ○三浦委員長代理 休憩前に引続いて会議を開きます。
  21. 土橋一吉

    ○土橋委員 堀木仲裁委員がおられませんので、順序をかえまして平林委員長にお尋ね申し上げたいと思います。政府が常々発表しておりますように、六千三百七円の給與が、専売公社の一般労働者諸君に支給せられておるような錯覚をわれわれも持つのでございますが、現実に給與の体系から考えまして、あなたの方で組合に所属する八級以内の諸君の基本的な給與標準というものは、いかほど程度になつておるのでありましようか。この点を明確にお示し願いたいと思います。なぜかならば、高級官僚の諸君は、私たちは六千三百七円で暮しております、こういう表現をあらゆる機会に用いるのでありますが、そういう高級の地位の諸君が、あたかも六千三百七円の給與で暮しておるような錯覚をまま受けるのでございます。同時にまた、六千三百七円に満たないような諸君が、たくさん公社におられると私は思うのでありますが、そういう諸君も六千三百七円の給與が支給されておるような錯覚を、世間の諸君は持つておるのでございます。そこで現実に最もよく働き、最も仕事の中核をなしておられる專売公社の一般従業員諸君は、平均の給與がどの程度であるか、これをまずお示し願いたいと思うのであります。
  22. 平林剛

    平林参考人 今御質問がございましたように、私ども六千三百七円ベースと言われておりますが、実際のわれわれのベースは、五千七百七十三円にしかなつておらないのでございます。特に組合員だけ、つまり御指摘のありましたような八級職以下の組合員の平均は、五千六百三十九円にしかなつておらないというのが事実であります。これらの人たちは私どもの調査によりますと、一級職の二千四百円から三千九円ほどの人が三百五十八名、二級職の二千五百四十一円から三千二百七十五円という人が千十五名。最も多数を占めております三級職と四級職の従業員、すなわちこの人たちは二千八百四十四円から四千二百二十三円のところに相当する人たちでありますが、一万七千六十人は、ほとんどここの給與に該当しておる人たちであります。こういうような実情でありまして、私どもの組合員で最も生活に困つておる人たちは八級職以下の者であります。八級の者を比べてみましても、五千九百二十五円から八千円程度を彷徨する状態でありまして、私どもは常に主張しておるのでありますが、六千三百七円ベースと言いましても、実はこれらを平均いたしますと、五千七百七十三円にしかなつておらないと実情であります。     〔三浦委員長代理退席、委員長着席〕
  23. 土橋一吉

    ○土橋委員 ただいまの御答弁の中で明確になつた点は、従業員諸君の中の大多数の働き手は、一級職から特に三級、四級、この程度の諸君でありまして、それが大部分の仕事をしておるのでございます。なほ五級、六級に至りましても、これは業務の中核をなす諸君でございますが、八級以上は、おそらくいずこの官庁においてもさようでございますように、あなたの企業体においても、八級職以上の諸君は現実にタバコの実際の製造、加工、発送というような仕事をしていないと思うのでございます。そういうように、現在の級別給與表によります給與は、現実に働いておる諸君のほんとうの労働力再生産のための給與が、支給せられていないと私は思うのでございます、なお私の方でいろいろ調査いたしますと、平均本俸に至りましては、四千二百九十六円というのが、現在のあなたの方の従業員諸君の現実の本俸でございます。この本俸に加えますのに、家族手当あるいは勤務手当その他の諸手当を加えまして、今あなたのお話くださつたような平均五千六百三十九円、なほ全部ひつくるめまして、五千七百七十三円、こういう結果が出ておるのでございます。そこで私は組合員の立場といたしましては、当然これらの級別給與表によるこの方法が、私はきわめて妥当を欠いておる、こういうふうに考えておるのでございます。これについて、近いうちに政府の方で公務員に対しまして職階制というものを考えでおるようでございますが、こういう点も勘案して、現在の級別給與表というものについて、あなたの方の御意見を簡單にお聞きしたいと思うのでございます。
  24. 平林剛

    平林参考人 今御指摘のありましたように、職階給與というものは、実際にその職にあつて、その職に相当する給與を與えられるという初めの理想とは、たいへんかけ離れたような給與の実態がわれわれの今の実情であります。企業の中で生産の中枢になつておる人たちが、たいへん低い給料で働いておるというのが実態でありますから、これらの人たちにもつと生活をゆたかにするような、その人の仕事相当するような給與を與えられるようにしなければならないと常々考えておるのでありますが、現在の職階給與はそれを許さないものがあるわけであります。この給與は上に厚く下に薄いということが、ただ機械的に規定されておるのでありまして、私ども非常に苦んでおるところでありまして、私どもの現在の日常の生活をカバーすることもできないような実情であります。特に專門的な方の調査を願つても明瞭でありますように、全工業でさえも八千幾らというような状態にあるとき、私どもの給與はただいまのような低い状態にあるのであります。だからこういう意味から行きましても、私ども生活は決して保障されておらないのであります。加うるに、たまたまその時その時の物価に応じて、われわれの給與をスライドしてほしいという要求をしても、その要求が二箇月、三箇月、長いときになりますと、半年もいれられず、給與が改訂できないというのが実情でありまして、ほかの問題なら待つことができますが、私どものように毎日米を食つて生きて深刻になつて参るのであります。今度の專売裁定の問題についてもそうでありまして、昨年十二月二十八日の裁定が逐次実施されなければならないにもかかわらず、今日まで引延ばされておることは、組合員にとつては非常に沈痛な思いをいたしておるのであります。そういう建前でありますから、今度の職階給與の問題についても、われわれはやはりその人の生活を中心にした、物価に応じた給與がすぐにとられるように、しかも私どもの調査によりますと、年齢別によつてやはりある程度の保障がされなければならないと考えておるのでありまして、たとえを申し上げますと、現在われわれの組合員の中では、十八歳の平均基準内の賃金が三千六十八円という状態であります。四十一歳にいたしましても、基準内賃金は五千百四十円から五千七百四十円程度を彷徨しておるのでありまして、このようなところから言いましても、やはり年齢に応じた相当の給與が保障されるようにならなければならない。こういう考えを持つておりまして、これが組合の要求にいたしました年齢別最低保証給の要求の趣旨になつておるのであります。お尋ねのような職階制の問題については、現在の職階給は、理想とはおよそ離れた妥当性を欠いておるものでありますし、一つ一つ直そうとしても、直せば直すだけ矛盾が大きくなるような給與の実態であるから、ここで根本的に現在の賃金ベースを改訂して、年齢別に相当する給與を保障する体系が必要ではないかと考えておるわけであります。
  25. 土橋一吉

    ○土橋委員 ただいまのお話でなお明確になつたと思いますが、私らの調べたところによりますと、少くとも大多数の八級職以内の諸君におきましては、基本給の割合がきわめて低いにもかかわらず、九級職以上の諸君におきましては、これらの諸君に対して、本給において三倍以上の給與を受けておるのでございます。なほ平均いたしました給與においては、一万六百九十九円というような高額なものを頂戴しておるわけであります。しかもそれらの職制を通ずる線がきわめて強固に行われておる。こういう点もわれわれは想像にかたくないのであります。従つてただいまのような十五級職にわけております級別給與が、働いておる労働階級にとつては、いかに不都合な制度であるかということは明瞭なのでございますので、これ以上お尋ねをいたしませんが、一応堀木委員に御質問申し上げてから、あとまた御質問さしていただきたいと思うのでございます。  堀木委員にお尋ねを申し上げたいのでございますが、十日及び十一日に、仲裁委員会の御決定になつたこの仲裁者について、公労法の規定、特に十六條第一項の場合、第二項の場合、あるいは公労法の第一條の場合を通じまして少くとも大蔵大臣は、法規裁量によつて裁量すべきものであつて、自由裁量はこの場合断じて考え得られない、こういうふうな御発言があつたようであります。その点についてはわれわれもまつたく同感でありまして、ただいま議題になつております公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求める件というような議題で、労働委員会及び連合審査会等において審議すること自身が、私はきわめて法規を無視した態度であるかと考えておるのであります。従つて委員会は長時間を要し、しかも参考人等の御出席を煩わして、このような問題を国会で討議すること自身が、根本的に誤つておりますので、討議すべき筋合いではないと思います。しかしながら政府の提案を国会が一応多数決をもつて容認しましたのでありまして、その点については、私がただいま御質問申し上げておることを十分に含んでいただきたいと思います。  そこであなた方の裁定について法規の解釈、あるいは流用予算の内容等については、今井委員からも詳しくお話がございましたが、こういう点にいつては私はまつたく同感でありますし、またそういう点は去る十日、十一日の大橋委員質問によりましても、政府は拘束せられ、公社はまた私法上の債務を負担しておるということも、明瞭に相なつたのでございます。私が了解のできない点と申し上げますのは、調停委員会は少くとも八千百三十八円の月額給與の支給を、一応調停されたのでございます。ところが、その調停委員会の内容を十分受継がれました仲裁委員会におきましては、八千百三十八円という月額の給與につきましては、一言も触れておらないのであります。特にこの調停案は、十月からこれを支給せよという内容であるやに考えたのでありますが、労働組合側の御要求は九月の中旬から——先ほど平林委員長からお話がありましたように、少くとも賃金におきましては、十八歳の者は六千円、十九歳に至りましては六千七百円、以下逐検逓増いたしまして、四十一歳の場合には一万七千九百五十円という年齢別最低給與保証について、支給してくれという御要求でございます。ところが仲裁委員会の仲裁の内容におきましては、第一項の裁定は「公社は調停案第二項の趣旨により、同項所定の金額六箇月分から本年十二月に支給された臨時年末手当総額を控除した金額を、昭和二十四年度末までに全職員に支給すること。」と相なつておりますが、その理由はどういう根拠で、こういうような仲裁の結論を考えたのでございましようか。この点をお聞きいたしたいと思うのであります。その理由につきましては、第二項の後段に書いてはございますけれども、なほ明確に、どういう理由でこういう裁定をするに至つたのかという内容を、お聞かせ願いたいと思うのでございます。
  26. 堀木鎌三

    ○堀木参考人 御承知の通りに調停案におきましては、調停條項といたしまして、「賃金平均総月額を本年十月以降八千百三十八円に改訂すること。」二項に「前項の改訂が実現するまでの措置として、現行の生産報奨金制度を拡充して総月額三千七百九十万円を全職員に増加すること。」となつているわけでございますが、国鉄裁定の場合と同じく、仲裁委員会といたしましては、賃金水準を上げることは、もう少し見送つてみる必要があるという考え方から、賃金水準の問題には触れませんでした。しかしながら調停案の出ました七千百三十八円——実は調停案自身が月額三千九百九十万円を算定いたしておりますのは、大体この八千百三十八円を標準にして考えておることは、確かなのであります。それでいわゆる生産増強と結びつける意味におきまして、その改訂がありますまで、生産報奨金制度を拡充する。現在の報奨金制度は、御承知の通りに生産に直接あずかつておる部面だけを支給されておりますが、專売公社の実情から見て、この制度を他の職員にも拡充した方が、全体としての成績が上るということは、組合公社とも大体御認定になつておるところだと思うのであります。従いましてこの金額と、この所定の金額、その六箇月分に相当するものを、昭和二十四年度末までに全職員に支給することを裁定としては決定いたし、その際に十二月末に支給されました臨時手当は、まず政府の算定としては、各庁及び各企業体にも一律に算定されました金額ではございますが、しかしながらともかくもその金額が出たことでありますので、その金額だけは差引いたものであるべきはずだ。こういうことで十二月末に支給されました臨時年末手当を控除して拂つたらいいだろう、そういうことを私ども裁定の内容にいたした次第であります。
  27. 土橋一吉

    ○土橋委員 一応御趣旨はよくわかつたようでございますが、あなたの方の裁定の理由の第二をながめて参りますると、「公社職員の給與水準は低きに失するから、少くとも調停案に示されている程度まで、速やかに改訂せらるべきものと認める。」こういう御趣旨を書いていらつしやるのでございます。私は調停案の八千百三十八円もきわめて低いと思うのであります。こういうものは、公社労働者諸君が要求されておりまする十八歳で六千円というものと、およそ差があるのでございます。少くともこの仲裁書にもこのようにお書きになり、なおかつ今日のあなたの御所見によりましても、全国工業平均賃金においては、八千四、五百円はどこももらつているものであると、ある委員質問に御答弁をなすつてつたのでございます。そういう観点から考え——もちろんいろいろな点もございましようが、調停案が示しておりますような、給與支給額についての改訂要求をしておるのでございまするから、そういう線に沿いました調停の内容を十分くみとられて、給與の改訂の仲裁がなぜできなかつたかという点を、私はお聞きしたいのでございます。さらにこの第二項に書いてございまするが、「しかしながら、本委員会が国鉄関係の仲裁裁定書において説明したと同じ理由により、給與の全面的改訂については、現行の給與体系が、基準内外の比率において著しく当を失している等の点につき検討を加えると共に、」と書いてある。そうして今後は政府の政策を見た上でやる、こういうことが書いてあるのでございます。ところが專売の諸君が要求したのは十月の二十日であつたと思うのでありますが、当時すでにそのようなものには関係なく、少くとも年齢別最低給與の支給をしてくれという要求を出しているのでございます。ところがこの仲裁をおやりくださつたのは十二月の中旬であつたろうと私は思いますが、当時の情勢においては、十五箇月の予算というものが編成され、国会においてすでにそういうものが通過しておつたという事実にかんがみまして、私は仲裁委員としては、そういう政府の政策というようなものに関連性を持つ給與の改訂は、しばらくお預けということの裁定ではなかつたろうかと考えますので、その点を明確に聞かしていただきたいと思うのであります。
  28. 堀木鎌三

    ○堀木参考人 実は私どもが給與水準自身について、このごろ、はやりますずばりと裁定を出さないということについて、一方においては、何と申しますか、仲裁委員会政府の意向をくんで、政府の圧迫のもとにああいう裁定を出したんじやなかろうかといううわさが出ておりますが、断じてそういうことはないのであります。私どもに率直に言わせていただければ、時の勢いだとか、時の権力だとか、時の勢力だとかいうものから離れまして、まつたく公労法の命ずるところによりまして、諸般の政策を頭に考えつつ公共企業体の内容を検討いたしまして決定いたしますので、その点の御心配は全然御無用ではないかと考えるのであります。それがこの国会に参りまして、右と左から、いろいろとご質問が私どもに集中されておるという事実だけでも、明らかになつておるのじやなかろうか、こういうふうに考えるのであります。国鉄の場合におきましても、民間の給與がすでに八千六百円程度に達して参つておりますときに、本来ならば、やはり国鉄の従事員諸君の給與が二、三割方と他と比べましてもどうしても低いものであるということを考えますと同時に、專売公社の問題につきましても、同様の見解に達しておりますことは、理由の第一項におきまして、民間給與と著しく均衡を失している国家公務員の給與に準じて定めなければならないとは思わないということを書いております。それと同時に、二項におきましても、今土橋委員自身が言われましたように、二項の後段におきまして、やはり同じように、今しばらく給與水準の改訂ということは見送つて政府の施策の実現するところを、少しはがまんして見ておるべきでなかろうか、これは国民全体として考えるべきでなかろうか。しかし今もお話にありましたように、私どもは時間的感覚を無視いたしまして、いわゆるデイス・インフレでありますか、デフレ政策でありますかは、見方によつて違いましようが、いつまでも——その政策が浸透して、すべての状況が、賃金水準を考えなくていいという時期になるまでの、その長い時期を待とうという気はないのであります。すなわち国鉄裁定につきましても申しましたように、すみやかにその実現を期待しなければならないし、またすみやかに実現しないときに、労働者だけを——労働者と言いましても、民間の労働者諸君は実際物価と同時に賃金が上つてつておりますので、要するに国家公務員なり、公共企業体の職員なり、それらの人々が、いつまでもすえ置きになるのを待つて、その犠牲を強いるという気は少しもないのであります。ただ先ほどあげられました「現行の給與体系が、基準内外の比率において著しく当を失している等の点」というのを加えましたのは、現在の專売公社労働條件と、それに対する賃金の配分等につきまして、特に基準内労働者賃金と、基準外労働者賃金につきまして、われわれといたしては、疑問に思うところがあるのであります。その基本的な労働條件、それに伴います賃金政策というものを、まず正常にいたす必要があるということを考えましたので、その点につきましても、当事者間においても十分協議をお遂げになつて、来年度すなわちこの四月一日以降は、その上に立つて考えになるべきであるということを指示いたした次第であります。
  29. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいまの土橋君の質疑に関連して、篠田弘作君より発言を求められておりますから、これを許します。
  30. 篠田弘作

    ○篠田委員 土橋君の今の質問関連しておりますから、一言お伺いしたいと思います。平林参考人にお伺いしたいのでありますが、先ほど八級職以下の者が非常に低い給與にあるということを御説明になりまして、まことに御同情にたえませんが、今回の職階制というものによつて、非常に低いところにおる。六千三百七円ベースであるにかかわらず、八級職以下のものが二千円あるいは三千円という薄給に置かれておるという理由がどこにあるか。われわれの考え方からいたしますと、一家を持たない年少な女子工員あるいは女子従業員が非常に多いというところに、そういう原因があるのではないかと今まで考えておつたのでありますが、もしわかりましたならば、八級職以下の者の男女別、年齢あるいは勤続年限等につきまして、そこにお手持ちの材料がありましたら、お示し願いたいと思います。
  31. 平林剛

    平林参考人 八級職以下の人たちが、実際にはそれだけの給與であるが、しかしその條件は、勤続とか、年齢等の影響があるのではないかという御質問であります。これについて私今手元にこまかい年齢別の資料を持ち合せませんが、確かにそういう面もこの給與の低い実情にはありますが、しかしそうかといつて、このような給與が適当であるとは考えておらないのであります。これは一つの例でありますが、静岡県の二十三歳の青年を例にとつてみますと、この人は二級の三号で、手取り月額二千六百九円であります。二十一歳の青年にしても、これは三級一号で手取り月額二千七百四十二円であります。こういうようなことは、二十三歳や二十一歳であるから、あたりまえではないかという御意見もあろうかと思いますが、私どもが今の日常の生活から常識的に判断をして、これだけではとても生活が維持できないということだけは明らかでございます。
  32. 篠田弘作

    ○篠田委員 ただいま土橋君の質問に対して、全般的ないろいろな数字を示されましたが、もしできれば、この次の委員会に今申し上げた分類をお持ち願いたいということを希望いたします。
  33. 倉石忠雄

    倉石委員長 平林委員長、できますか。
  34. 平林剛

    平林参考人 私どももできる限りの資料を用意いたしたいと思います。実態は專売公社自体がよく知つておりますから、そちらとも連絡をいたしまして、提出をいたします。
  35. 土橋一吉

    ○土橋委員 堀木委員に続けて質問をいたしますが、私のお尋ねした点は、先ほどはしなくもあなたがお述べになつたように、政府が十五箇月予算というものを編成し、一月から三月までの補正予算のものもひつくるめられて、それが国会を通過したので、それらを考えて、民主自由党吉田内閣の線に沿うた仲裁の案が出ているのではないか、この点が特にお聞きしたかつた点でございます。仲裁委員会は不覊独立であるということでございますならば、九月の中旬ごろだつたと思いますが、調停委員会が調停案を示して、あなた方もそれをお認めになつている以上は、少くとも八千百三十八円という給與の引上げを、当然仲裁すべきではなかつたかというのが、私のわからない点でございます。ところがあなたのお話によると、いや政府とか、そういうものに関係なしに、われわれは正しい線から出しているということを仰せになつているが、第一の疑問点は、裁定の第一項を見ると、調停本文の第一項を受入れないで、ただちに第二項から入つているのでございます。その第二項は、八千百三十八円と六千三百七円の差額であろうと思いますが、しかし労働者側の要求は、どこまでも給與ベースの引上げ、年齢別最低給與の支給でございます。そういう点には目をおおいまして、調停案第二項に書いてあるところの、給與を改訂するまで暫定的な措置をとれるという調停案の内容を、ただちに仲裁の第一項に持つて来ておられるという点に、私は仲裁委員会が時の政府や、時の勢力のために——直に正しい給與ベースの改訂ということを考えながらも、それを実現し得なかつたうらみがあるのではないかと思う。この点を重ねてお伺いいたしたいと思います。
  36. 堀木鎌三

    ○堀木参考人 どうもいくら申し上げても、何か政府から干渉——干渉という言葉は少しよくない言葉ですが、ともかく何か吉田内閣の意向をくんでやつたんじやなかろうか、というように言われるのでありますが、これは土橋委員と私どもの見解が、幾分相違している点だと思うのであります。公共企業体の職員自身の給與が、他の民間企業の水準と現実に開きがあるということは認めております。しかしながら昨年の四月以降、いわゆるドツジ・ラインをもとにしました構想のもとに、政府が鋭意経済政策を実施している、それを全然考慮に入れない——これは吉田内閣から頼まれましようと、頼まれまいと、やはり日本経済全体として見ますときに、一つの考慮の大きな要素だということは、お考え願えるだろうと思うのであります。そういう意味におきまして、給與水準についてある程度の期間——すみやかに実現しないときは別でありますが、すみやかに実現するようであつたならば、それを幾分考慮に入れて、やはり少しの間はがまんしてみようじやないかということも、国民ひとしくやるべき一つの義務ではなかろうかということで——この点は非常に方々で取り上げられた問題であります。私ども考え方は、国鉄裁定におきまして、その理由解説に詳しく申し述べておりますように、そういう意味において給與ベースの変更は、しばらくがまんしようというのですが、しかしながら現実の給與水準が少いということも、無視することはできないから、全部政府の政策に依存して、労働者はその犠牲をいつ解決されるかわからないという状態でも困るわけであります。大きな開きがあるということも無視できない。この現実をもわれわれとしては十分考慮に入れなければならない。こういうふうな二つの考え方から、こういう裁定をいたした次第であります。なお土橋委員は、調停案の條項には一項に八千百三十八円ということを書いてあるにかかわらず、とおつしやいますが、調停委員会の調停案自身が、二項で、「前項の改訂が実現するまでの措置として、」とやはり賃金水準について変更がある場合——処置ができるまでの間、こういうふうなやり方でありまして、その従事員の諸君の実質賃金の増加、経典の増加というものを考えるという思想をとつて参りまして、裁定の第一項にあげただけでありまして、それについては何ら他意がないのであります。われわれ仲裁委員としましては、国鉄の場合と專売の場合と一貫した思想で参つたのであります。しかしながら、いつまでもそういうふうにすべきかどうかという時期的な関連については、実は裁定の二項を読みますと、「四月以降の給與については、当事者間に於て改めて協議すること。」というふうに書き上げまして、なお情勢の変化を見つつ、四月一日以降からの給與についてはあらためて考える、こういう処置をいたした次第であります。
  37. 土橋一吉

    ○土橋委員 ただいま国鉄裁定の場合の例が出たのでありますが、この国鉄裁定という場合も、同様に六千三百七円ベースに至らないところの待遇、施設の切下げというようなものを、毎月千円ずつ埋め合すという仲裁でございます。何のためにこのような仲裁を出されたか。国鉄労働者は九千七百円の要求をしておつたのでございます。しかも年末賞與一箇月を要求しておつたのであります。そういうものには何ら触れないで、実質賃金の切下げの分だけ四十五億、年内には三十億という裁定が下されておりまするので、まつた労働者の精神を無視したよううな国鉄の裁定だつたのでございます。これは過日の委員会におきまして、私は末弘委員長にも十分苦情を申し上げた次第でございまするが、それと同じような精神で、また專売の場合にも、給與の改訂を要求し、現実の生活の向上をこいねがつておる労働者諸君の意向をくまないで、そうしてしかも四月までというような期限を何の目標によつてきめられたか。この点につきましても、私はおそらく政府の政策というようなものを十分御信用になり、あるいはそういう大きな圧力の関係から、こういう点を決定されたものと思うのでございます。もし仲裁委員会が、誠意がありまするならば、四月というような日時を切るべきものではございません。当然八千百三十八円は支給せよ、但し暫定的な措置として、その措置がなされないうちは、こうこうだという仲裁の裁定が下るならば、まことに終始一貫しておるのでございますが、そうでなくして、ただ、今のような裁定でありますると、四月まではこの裁定に服しました労働者諸君は——このように十二月二十八日までにあなたの方で仲裁書をお出しくださつておるが、おそらくこの問題が解決するのは三月ごろでございましよう。そういう労働者諸君の不利益な結果になるような意味合いにおいての裁定ということは、裁定そのものの基本的態度が、やはり吉田政府の方針に沿おうとされているのではないかという結論が出て来るのでございます。これは見解の相違ではなくして、労働組合側のほんとうの窮状というものをお考えくださいますならば、その点も十分考慮せられなければならないのではないかという点が、私のお聞きする中心でございます。そこで今お話くださつたような理由で、まことに長い間苦労して裁定してくださいましたけれども、この裁定は、結局労働者のために、真の給與の引上げということについては考慮していない裁定である。労働組合側の年末賞與一箇月というようなものについても、真に考えていない裁定であると私は考えておるのでございます。  そこで平林委員長にお尋ねをしたいのでございますが、今堀木委員の仰せになつておりますようなことで、組合は御了解になつておられるのでございましようか。本文の内容を見ると、一応御了承になつておるようでございます。こういうあなた方の御要求に相なつておるものとは、およそかけ離れた仲裁が下つておりまするが、それでもなおかつ、あなた方はこれで御満足でございましようか。
  38. 平林剛

    平林参考人 第一日に申し上げましたように、われわれの要求した金額とは、およそかけ離れた裁定でありまして、われわれの生活はなお救われないという意味で不満足ではありましたが、公企労法の精神によりまして、われわれがお互いに言うべきことを言い、盡すべきことを盡した裁定として、公企労法は明らかにわれわれを拘束するという規定がございますから、法律を守るという精神から、われわれはこの裁定に従うべきだと考えておるわけであります。同時にまた公企労法三十五條にありますように、私どもだけでなくて、公社もこれに従つてほしいし、これについては当然裁定のいろいろなお調べに基いた資料が整つておりますので、法律上の解釈からいいましても、政府はただちにこれを実施すべきであると考えておるわけでございます。
  39. 土橋一吉

    ○土橋委員 大蔵大臣にお尋ねしたいと思いますけれども大蔵大臣がお見えでありませんので、大蔵次官に私はお尋ねしたいと思います。政府の方で、この裁定の内容について国会議決を求められておりますが、あなたの方でお出しくださいました提案理由の第三枚目の五行目を見ますと、あなたの方では「大蔵大臣の承認を得て予算の流用または移用を行わなければ支出できないものであります。しかも諸般の事情を考慮いたしますと、この際これを認めることはできませんので、」と言つている。この諸般の事情を考慮いたしますると、この際これを認めることができない。この内容はきわめて重大であるのであります。その内容を政府がお示しなくして、ただ諸般の事情を考慮いたしまするとできないというような、きわめてあいまいな、きわめて意味をなさない文句を使つておるのでございまするが、これはどういう諸般の事情を考慮なさいまして、この際認めることができないのでありましようか、この点をひとつ明確に示していただきたいと思うのであります。
  40. 水田三喜男

    ○水田政府委員 今まで仲裁委員の方や組合の執行委員長お話を十分ここで承つておりましたが、仲裁委員の方の言われる法律上の解釈と、われわれ政府側の解釈では若干違うところがございます。私たちとしては、この裁定は予算上不可能な資金の支出を内容としたものであるということで、承認できないという立場をとつたのでございますが、それにしましても、仲裁委員の裁定は十分に尊重すべきであり、できるだけ政府としてはこれに沿いたいということで、相当努力はして参りました。政府側の努力がほとんど認められないというような仲裁委員会お話もございましたが、われわれとしては、努力するだけは努力して実現を期したいと考えましたが……     〔「最大限の努力なんだよ、一條を読め」と呼ぶ者あり〕
  41. 倉石忠雄

    倉石委員長 静粛に願います。
  42. 水田三喜男

    ○水田政府委員 この最大限の努力をしても、われわれとしては承認できないという結論になつても承認せず、従つて国会議決を求める。こういう処置をとつたのであります。この諸般の事情という中には、いろいろございまして、今申しましたような最大限の努力をしておる過程におけるいろいろな問題もありますし、また政府自体としては、この場合この流用、移用が承認できるかどうかという問題で、公社の経理も相当の検討を行つたのでありますが、これは大蔵大臣からしばしば述べられております通り、まず予算の範囲内で総裁が支出できる余裕というものは、現在公社にはないと同時に、総裁から来ましたいろいろな内容を検討して見ましても、たとえば葉タバコの購入費が減つた、九州の災害その他でいろいろな予定違いがあつたというような場合に、金は確かに——仲裁委員会がときどき言われましたように、金はあるのだからというのでありましたが、この金というものは、最初からそういうところへ予定した金じやなくて、りつぱにタバコの購入費であつて、この金が残つたから、これをすぐに人件費に流用してよいか惡いかというのは、相当公社の性質上いろいろな問題がございますし、ことに公社の会計から見ましても、予定したタバコ売れ行き、塩の問題が予定通りに参りませんで、今年度少くとも相当の赤字を出すという見通しが現在はつきりしております以上、この科目からの流用、移用を許すということは、さらに公社の赤字をふやすということになりまして、監督官庁である大蔵省の立場としては、流用はどうしてもできない、こういう結論になつたわけであります。諸般の事情というのは、もつぱらこの金の性質上、移用を許すべきでないという事情が、重要なものになつております。
  43. 土橋一吉

    ○土橋委員 ただいまの大蔵次官の御答弁は、諸般の事情を考慮いたしたという具体的の内容については、御説明がきわめて薄く、ただ諸般の努力をしたという内容については、声を大にして説明されたようでありますが、われわれはそのようなことではなくて——これは秋山総裁から十二月二十八日に出しましたものに、財源の調べといたしまして、約四十億数百万円の、予算が流用できる範囲内においての内容が明記してあるのであります。しかも秋山総裁は、大蔵大臣が流用と移用を認容するならば、支給ができ得る状態にあるということを、過日の参議院の運営委員会においても御発言に相なつたし、また本委員会においても、そのような意味合いのことを仰せになつておるのであります。なお仲裁委員会においても、明確な資料を提出しておられるのでございます。それから組合側との団体交渉の点においても、その点が明確に示されておるのでございます。問題の中心点は、結局法規の解釈から、御承知のように十六條の第一項の予算上、資金上不可能であるということで——われわれの場合には、もちろん総裁が出しておられる内容で十分であるのでありますが、政府は全般的な権衡土の意味合いから、かようなことを言つておられるのであります。ここに問題の相違があると思いますが、少くとも国会に上程するような場合には、それが予算上、資金上不可能であるということは、これが新しい支出予算をさす場合であるということは、原文等の説明から今日までみな言われておるのでございます。ところが公社総裁は、明らかにこういう流用賛同の内容についてすでに示されております。そうなつて参りますと、大蔵大臣の認定するのは法規裁量である。従つて自由裁量のように、自分の思いのままにできないということまで推し進められておるとするならば、当然あなたの方では、この流用を認めて至当ではないかと考えますが、いかがでございましようか。
  44. 水田三喜男

    ○水田政府委員 先ほど申しましたように、そこは解釈の相違でございまして、われわれは自由裁量で処理できると考えておりますので、自由裁量の立場からこれを検討するときに、どうしてもこれを承認することはできない、こういう結論になつたわけであります。
  45. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、あなたの方ではたとえば塩の十四億数十万円でございますか、その購入、あるいはその運送の三億数千万円というような金の流用については問題にしないで、自由裁量をするけれども、しかし従業員の給與の改善には、ただの一億二千八百万円というような、全体の平均から見るならばきわめてささいなものでありますが、そういうものについてはこの国会の審議を煩わす、そういうような自由裁量をあなたの方でお持ちでございましようか。
  46. 水田三喜男

    ○水田政府委員 公社から流用、移用の許可申請が来た場合には、その場合場合によつて大蔵大臣の承認できるものもあるし、承認できないものもありまして、その都度今までもそういう処理をして参りましたが、問題は性質によりますので、たとえば私企業で見ましても、買う予定をしておつた、そして金を準備して仕入れの準備をしておつたというときに、金が残つた。しかしそれは、その事業全体からどこへまわしてもいい金というわけではありませんで、たまたま何かの故障で、その仕入れが一時停頓したというような場合に、それをすぐ人件費やそのほかにみな出してしまうというようなことをやつたら、私企業でもいろいろの問題が起ると同じように、まして公企業におきましては、移用、流用のできる性質のものと、できない性質のものがございますので、この場合は私たちとしてはどうしても流用できない、承認できないと決定したものであります。
  47. 土橋一吉

    ○土橋委員 私がお尋ねしているのは、あなたの方の自由裁量で、塩の輸送のようなもので二億数千万円も使うような場合には、默つて出す。しかし給與の改訂の一億二千八百万円程度のものに対しては、公労法の規定を、私たちから言わすならばあえて曲解をし、これを故意に惡用いたしまして、公労法の制定当時の精神、公労法自身が持つておりますところの諸般の規範というものから見るならば、公社諸君の要求に対して、仲裁委員会が決定した場合に、最終的な拘束力があることを十分御承知の上で、しかもこの給與の改訂について、公労法の規定から言うならば、最も権威あるところの最終的決定をしたこの仲裁、この問題について、政府がただちに国会の審議を煩わす、こういう態度であるかどうかという点をお聞きしたいのであります。他の場合は別として、專売のような今の場合に——高橋君の質問にもありましたが、塩の重要なことは承知いたしております。しかしながら塩の購入に伴う諸般の経費等については、自由裁量でやつてかまわないけれども、職員の待遇改善については、ただちに公労法十六條第二項をもつて国会で審議をするという態度でございますかどうか、この点をお聞きいたしたいのでございます。院内におきましては、民主自由党の議員諸君が多うございます。そうすると、政府としてはこういうような議案を国会に上程するならば、ただちにこの問題が数をもつて否決せられるということを御承知の上で、このような公共企業体の従事員諸君の給與問題を、あえて国会に上程する考えでいるかどうか、こういう点に帰着するのであります。そうでなければ、当然今のような場合に自由裁量をして——この給與の改善の問題について、もし政府が出されるならば、きわめて少いものでありますけれども、これによつて專売労働者諸君が、さらに一層の努力をせられる。報奨金制度等の問題もございまするが、非常な努力をせられることは明瞭だと思います。そういうものすら上げないというのが、政府の方針であるかということでございます。
  48. 水田三喜男

    ○水田政府委員 人件費予算というものは、相当厳格に行うべきものでございまして、事業上のいろいろな予算と混同し、流用をやたらに承認することは、非常に問題でございますので、今回の場合は、政府自分責任においてこれを承認することはどうしてもできないという結論になりまして、国会議決を求めたわけであります。その場合、国会は與党が多数でありますから、そこへ行けばすぐに政府の言う通りなるだろうということを予想して、出しているわけではございません。もし政府與党が非常に少い場合でありましても、責任をもつて流用を許せるものなら、政府はいつでも承認しますが、性質上これは承認することができないという信念を持つている以上は、法律国会議決を求めるよりほかしかたありません。国会でこれを否決してくれるか、承認してくれるか、これは国会の問題でございまして、数が多いから多分否決してくれるだろうということで、出したわけではございません。
  49. 土橋一吉

    ○土橋委員 ただいまのようなりくつは、おそらく常識ある諸君には了解できないと思うのでございます。なぜならば、民主自由党が二百六十六名の議員を本院において持つているということは、あなたが現に大蔵次官としておられることによつても明瞭でございます。従つてそういう国会へあえて法律を曲げて、しかも給與に関するちよつとしたこれだけの問題について、タバコ一個平均五十円とするならば、三銭というような問題であります。なお小売業者に販売をする場合にも、ちよつと気をきかして行くならば、当然このような問題は、業者諸君の方でもお認めくださるほどのものでございます。それを予算上、資金上不可能だというような大げさなりくつをつけて、国会まで持ち込んで、みな忙しい最中に、参考人等も出席を煩わし、また委員会も三者合同で審査会をするというようなことは、私は民主自由党吉田内閣が、いかに国会自分らの思う方向へ運用して行こうかということの明瞭な現われであるように思うのであります。従つてこれだけの金額を予算上、資金上支出不可能だということで、追加予算を計上するその條文に当てはめて、持つて来るというその考え方は、吉田政府の本来の低賃金政策——労働階級の賃金は上げないという低賃金政策、低米価主義と同じような方針で来ている、この一環であると思うのでございます。これ以上は議論になりますので、差控えますが、過日一月二十七日大蔵大臣は、参議院の政府委員室の組合側との話合いにおいて、予算上、資金上とは支出予算をさすのであるかという質問に対して、そうだ、支出予算をさすのだということを明確に言つているのでございます。あなたの方に資料がなければお貸しいたしますが、それによると、こういうように言つているのであります。ところが秋山総裁は、予算流用については、これは支出予算でございません。專売公社の初年度予算において認められた範囲における流用でございますと言つている。そうすると今あなたが御答弁くださつた内容とは違うのでありますが、こういう点いかがでございましようか。
  50. 水田三喜男

    ○水田政府委員 この予算上、資金上可能か、不可能かは、これは支出予算の問題だと考えておりますが、支出予算の問題であるといたしましても、今言つた流用の問題が大蔵大臣の自由裁量である以上は、これを承認するかしないかは、依然として大蔵大臣の権限にありますので、その問題は御質問の点と別に抵触していないと思います。
  51. 倉石忠雄

    倉石委員長 土橋君の御質疑に関連して、春日君の関連質問を許します。
  52. 春日正一

    ○春日委員 ちよつと簡単に伺いたいのですが、今の問答を聞いておりますと、塩の購入というようなものは自由裁量でいいと認める、そして流用する。賃金の場合には自由裁量ではいかぬ。こういうふうに受取れるのですが、これは間違いないですか。
  53. 水田三喜男

    ○水田政府委員 いや、両方同じです。
  54. 春日正一

    ○春日委員 そうすると塩の場合に許したのは、塩は商品で、買い込んでおけばもうかるから許したというのですか。
  55. 水田三喜男

    ○水田政府委員 塩の問題は、御存じと思いますが、当初予定しておつた数量よりも、多い数量が輸入せられる見込みがつきましたので、その財源として予算の流用を承認したわけでありますが、たまたま国会が開かれておりましたので、流用の承認という形じやなくして、予算の補正で前回の臨時国会に御承認を願つた、こういうような事情になつております。
  56. 春日正一

    ○春日委員 そうすると給與の場合でも、出さなければならぬという見込みがついたら、塩は補正予算で前回の国会へ出したというくらいだから、大蔵部内で流用するくらいのことは、できそうなものでないですか。
  57. 水田三喜男

    ○水田政府委員 それは先ほど話しましたように、流用費目の性質上、及び土橋さんの言われた諸般の事情から、承認できない、こういうことであります。
  58. 春日正一

    ○春日委員 最後に念を押しておきますが、塩というような場合だつたらこれは流用できるし、自由裁量でやるけれども、事賃金に関する限りはやる意思がない、こう受取つていいですな。それを念を押しておきます。異議があつたお答え願います。
  59. 水田三喜男

    ○水田政府委員 事賃金に関する場合は、すべて一切流用を承認しないというようなわけはございませんで、補正予算が済んだあとで、公社の経理自体から明らかにはつきりした赤字が出て来る。その後今回の問題を中心として政府が検討した場合に、そういう事情が出て参りましたので、ここで起つた流用の問題は承認できないという立場になつた、こういうわけであります。
  60. 春日正一

    ○春日委員 ではもう一つ聞きます。今の赤字の問題ですが、やつているうちに、公社企業に赤字が出て来たと、あなた方は公社の赤字ということを非常に言われるが、従業員の生活の赤字をあなた方は考えておられないのか。公社の赤字さえ埋めれば、従業員は赤字で死んでしまつでもいいのか。現に死んでいる人がある。その点はつきりお答え願いたい。
  61. 水田三喜男

    ○水田政府委員 従業員の赤字はかまわないというわけではございません。従業員の赤字につきましては、これは專売公社だけの問題でなくて、国鉄においてもそうですし、一般官公吏においても、現在これで十分な生活費を得ているということは考えておりません。従つてそういう賃金ベースの問題については、政府一つの方針として、このベースを上げるという方向じやなくて、減税とか、物価を下げるという方向の施策をここで総合的に完全に行つて、実質賃金を上げるという形で解決しようとやつているわけでありまして、従業員は赤字を出してもかまわぬ、公社の赤字の方が大切だというような考えで、やつているわけじやございません。
  62. 春日正一

    ○春日委員 私はこれで打切つておきます。あとで私の番のときに、さらにつつ込んでやります。
  63. 土橋一吉

    ○土橋委員 今の春日委員の御質問に対して明確な答弁がないのですが、秋山総裁責任をもつてタバコ專売公社の経営を管理し、これを運用し、これを活用されているのであります。そうして政府には一千二百億円の益金をどんどん出しておられます。その公社総裁が、責任をもつて流用ができるということを言つているにもかかわらず、なぜあなたの方では、これが支出予算であるということになるでしようか。そうするならば、專売公社の秋山総裁が承認して出したこの流用の申請書については認めない、信用していないということになりますが、いかがでございましようか。秋山総裁も隣におりれますが、秋山総裁責任をもつてお出しになつたのであります。しかもその中には四十億円という流用できる範囲のものが書いているのであります。こういうふうに秋山総裁が出しているにかかわらず、あなたの方で、ただ監督する立場からこれができないというならば、これは信用していないということになりますが、いかがでしようか。
  64. 水田三喜男

    ○水田政府委員 これは信用、不信用の問題ではございませんので、公社から、公社責任においてこれの流用を許可してくれと言つて来られましても、その内容を検討して、政府が承認できないときめる場合は、常時あり得ることでございまして、別に信用、不信用の問題ではございません。
  65. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、あなたのお話を聞いていると、吉田政府の低賃金政策によつてこれはできない、こういう結論でよろしゆうございますか。塩の問題とかその他運送とかについてはどんどん金も出す、流用もするが、事賃金に関しては頑としてやらない、こういう吉田政府の方針でございましようか。
  66. 水田三喜男

    ○水田政府委員 低賃金政策のために、特にこの件に限つて流用を許可しない、承認しないというのではございませんで、先ほど申しましたように、公社の経理から見まして、もし予定の益金があがるというような事態でございましたならば別でございますが、今の見通しでは少くとも四億以上の赤字がはつきり出て来ている。そうして政府の庶幾した通りの業績があがらないということがはつきりして参りましたので、その際においては、たとい物件費において、タバコの購入費とかというようなものが余つた、その金があるからといつて、それをまわすことはできないという考えで、承認を與えなかつたというわけであります、
  67. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつと関連して……。ただいま政務次官のお答えを聞いておりますと、先ほどは公労法十六條にいうところの予算上、資金上、不可能な支出を内容とするということは、大蔵大臣が組合側に答弁なすつたように、これは少くとも專売公社の場合は、すでに国会で承認を得ておるところの歳出予算の面で、支出不可能なと解釈すべきだということを言明していらつしやる。にもかかわらず、あなたは今、この流用不可能ということを説明するために、歳入が減るからということをおつしやいますが、この公労法にいうところの予算上、資金上不可能というのは、歳入が減るから、赤字になるからということが問題ではない。要するに既定の歳出予算内において、支出が可能であるか、不可能であるかということが論議されればいいのであつて、歳入の問題はこの際問題ではない。それはただ政府が今、ことさらにこれを正当づけようとする、こじつけた理由にすぎない。とにかく既定の二十四年度の歳出予算の上において、これだけのものが流用可能であるかどうか。これだけの支出が不可能であるかという問題、この問題だけを言えばいいのであつて、歳入の減ることは問題じやない。これは理由にならないと思いますが、どうですか。
  68. 水田三喜男

    ○水田政府委員 それは歳出予算の中で金が余るということは事実であつても、その流用を承認するかしないかというのは、大蔵大臣の権限でありまして、歳出予算の中に金が余つているからといつて、それを承認するかしないかというのは、別問題であります。政府としては今度流用を承認しないという態度をとつた、こういうわけであります。
  69. 石田一松

    ○石田(一)委員 先ほど土橋委員がお尋ねしたときに、あなたは余つてはいるけれども、補正予算も一ぺん済んだあとでよく検討してみたら、最後に赤字になるという見通しがついたので、だから歳出の面からも、これだけ流用することは許さないことになつたのだと説明をしたじやありませんか。歳入に赤字が出るから、要するに流用、移用を認めないのだという説明をするが、赤字の方の問題は歳入の問題であつて、それはこの際論議すべきでないと思う。既定の歳出予算内において、これだけのものが、要するに支出可能であるか、不可能であるかということが、公労法十六條にいうところの予算上、資金上支出不可能を内容とする、この問題にかかるのだ。今度あなたが答弁するときには、赤字の方を拔かしてしまつて歳出の方は大蔵大臣の権限でどうする、こうすると言う。土橋君の質問に対しては、追い込まれると、それは検討してみたら赤字が生ずるということがわかつたから、これは流用できないと言う。一体どちらがほんとうなんだ。要するに赤字の問題じやないので、歳出の予算内において可能であるか、不可能であるか、これが問題なのであつて、あなたはこつちを答え、あつちを答えて、大蔵大臣の言明を、政務次官みずからが裏切つておるような答弁をなすつておる。その点をはつきりお答え願いたいと思います。
  70. 水田三喜男

    ○水田政府委員 両方ほんとうでありまして、歳出予算の上で財源があつたにしても、これを承認するかしないかという場合のこの考慮の理由として、われわれがこれを承認する場合には、経理全体がどうなつておるかということも当然考えて、この承認不承認を決定すべきで、この場合公社の経理上、はつきりと予定の專売益金があがらないという事実がありますので、そういう点を考慮して、これを不承認にしたということを述べておるのでありまして、別に両方矛盾した答えをしたとは思つておりません。
  71. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府委員から、この際補足的な御説明を申し上げたいそうでございますから、これを伺います。東條政府委員
  72. 東條猛猪

    ○東條政府委員 政務次官から申し上げておる通りでありますが、多少表現をかえて私から申し上げたいと思います。第十六條第一項の予算上と申します言葉が、国会議決を経た歳出予算であるということは、私もそのように了解いたしております。しかしながら政務次官からただいまるる御説明申し上げておりますように、現在の諸般の情勢におきましては、大蔵大臣は費目の移用、流用を認めることができません。従いまして專売公社に適用のございます財政法の規定によりまして、費目の流用を認められない以上は、当該費目に計上いたされました歳出予算に余裕がございませんので、人件費の支出はできないのであります。従いまして大蔵大臣の費目流用の承認ができない以上は、歳出予算の執行はできないわけであります。その意味におきまして予算上不可能であるというのが、私ども考え方でありまして、予算上不可能という意味は、大蔵大臣が流用の承認ができない、従いまして財政法のきめるところによつて、予算上支出不可能である、かように考えておりますから、補足的ではありますが、申し上げます。
  73. 土橋一吉

    ○土橋委員 ただいまの政府委員説明は、大蔵大臣が流用しないということを前提として、その上から、できないという議論をされたと思います。私たちは、なぜ流用しないか、その諸般の情勢の中身を聞かしてもらいたい、どういう理由でこれが承認できないか、こういう点を聞いたのであります。あなたのただいまの御説明は、承認できないことが前提になつてお話だから、これでは答弁にならないと思うのであります。また今の次官の説明によりますと、これは信用の問題ではないというようなことを言つておられますけれども、実際問題としてでき得るものを、吉田政府は、しいて労働階級を低賃金に置いて苦しめ、物価をどんどん上げて行く、苛酷な税金を徴収するという——これは国民生活破綻の顯著なる一例であるのであります。そういう労働階級や農民階級の窮状をよそにしまして税金はとるわ、給與は上げないという、この吉田政府の人民破壊政策の一端が、はしなくもここに現れておるでございます。従つて今あなたが御答弁なさつておられますような、竹に木を継いだような、しかもだれが聞いても了解のできないような答弁、になつて来ると思うのであります。  それで私は秋山総裁にお尋ねしたいのであります。こういう申請書を十二月二十八日にお出しになつておりますが、今日まで大蔵当局に対してさらにどういうような内容をもつて、あなたの所管のもとにおいて働いておられます労働階級のために、あなたの方では御努力なすつたか。なるほど国会委員会に出られまして、いろいろわれわれの質問等にお答えくださつてはおりますが、さらに今日まで四十八日間、大蔵大臣に対して、どういうような御努力をされておるか。その経過を簡単にお聞きしたいと思います。
  74. 秋山孝之輔

    秋山説明員 大蔵大臣と私との間の交渉顛末を、私がここで申し述べることは、私の責務ではないように思うのでありますが、私の良心に考えて、ただいまの御質問のように、大蔵大臣に対して最大限の努力をいたしまして、この貫徹を期しておるのであります。この点におきましては、私どもの方の委員長も、あるいは認めてくれておると思つておりますが、この点、委員長にもお聞き願いたいと思います。
  75. 土橋一吉

    ○土橋委員 ただいまの御発言で、大体の基本的な方針はわかつたのでございますが、この流用費目の申請については、ここに書いてある数字の通りに、あなたの方では、タバコ等の費用の節約によつて、四十億の流用し得る金があるのであります。ところが塩の購入について、すでに本委員会において明瞭になつたと思いますが、約三十二万トンという相当厖大なものがあるのであります。こういうことをいたしますと、日本タバコ製造業者、特に五万数千もおろうという塩製造業者、あるいはそういう企業労働者諸君が、どういうような現状にあるかということは、すでに御承知だと思うのであります。最近これらの諸君は、職を失い、家業を失い、倒産をし、あらゆる困難な状態を呈したのであります。そういう際に、公社の方では、製塩ということについて、なぜもつと御配慮にならないかということをお聞きしたいのであります。今までの御努力なすつておられる経過、それからどういう状態になつておるかということを、簡單に御説明願いたいと思います。
  76. 秋山孝之輔

    秋山説明員 ただいの御質問の塩の問題は、本委員会でもたびたび出ておりますが、たいへんいい機会でありますので、この際私から申し述べたいと思います。御承知のように、日本の製塩能力というものは、戰争中は二十万トン台に下つております。しかるに最近においてはようやく燃料とか労働條件、その他の物資の配給の関係で上昇して参りまして、四十万トンを出る状態になつております。しかしながら日本は、食用塩だけでもふだんにおいて、百万トンを越えなければ充足されないのであります。その足らず前は目下外国から購入しておるようなわけで、これはもう大方国民全体が知つておる事実であろうと思います。実は專売公社も塩の供給に責任を持つておるのでありまして、常にこの点については非常な関心を持ち、努力もできるだけのことをささげておるつもりであります。塩の輸入は政府輸入でありまして、二十三年度、專売局時代に岩塩の購入を契約しておるのであります。その数量は、これはもつぱら通産省が担任しておりますが、全体において契約の数量は二百三十万トン以上を越えるのであります。しかしながら私どもの予算としましては百二十五万トンを出ないので、常に通産省に警告を発して、どうか予算において納まるようにしてもらいたい、こういうことを申しますけれども、この塩の輸入に対しては関係先があるのでありまして、通産省自体としてもなかなかこれを自由に調節することは困難であります。しかしながらわれわれの注意によりまして、年度内に六十万トンの解約をしておるのであります。しかし補正予算を提出いたしました当時には、百三十七万トンという数字が、やむを得ない数字になつて参りまして、遂に国会の御承認を願い出たような次第であります。しかるにさらに年度内において百五十七万トンぐらいの数字はどうしてもとつてもらわねばならぬ。今こういうようなはめになつております。しからば何ゆえ通産省は、日本の需要が百五、六十万トンであるにかかわらず、二百十万トンも契約したかと申しますると、これは前年度につきましては、いわゆる契約ができても、いろいろな事情から、初期の当時にはデリヴアリイができないのであります。ためにおそらくは少し多いと思つても、それだけの契約をしたものと私どもは推察しておるのであります。私はこれは当時においては適当なる処置と思います。しかしながらその後に欧州方面の製塩事情の好転とか、あるいはポンド引下げとか、価格の引下げを行つたために、売方はとつてもろう方が利益だ、そういつたことから、前年に予期したより以上にデリヴアリーがなめらかになつて来たという関係が、そこにあろうと私は推察しております。こういうことのために、いかにも專売は需給の数量を無視して、多額の買入れをしておるというように見えますけれども、元来塩は專売でありまして、輸入した塩は当然專売の手に入ることはもう明瞭なのであります。その間において数量等においては的確なる契約はなくとも、政府が輸入する塩は專売によつてこなすという見地から、現在のような状態になつて来ておるのであります。決してこれは、たくらんだりなんかしたということはない。幸いにして、本年一月から、私どもが直接民間の手を通して買うことができますから、今後は私ども相当自分の意思を伝えることもできるだろうと思います。  なお委員の御質問にありました、塩の従業者が失業したということは、私は聞かない。むしろ、ある一時よりは仕事がふえているという報告は聞いておりますけれども、私は製塩業において、労務者が業を離れたというようなことはないと思います。
  77. 土橋一吉

    ○土橋委員 ただいまのお話を聞いておりますると、それならばそういう余分な塩を政府が買う場合には、あなたの方の企業で、すでに国会において承認をされましたものより余分な支出があるということは、きわめて明瞭であります。そういたしますると、あなたの方では大蔵大臣に、予算の流用じやなくして、追加予算の計上を当然要求せらるべきだと思うのでございます。既定予算のうちでかりに政府が買われても、あなたの方には行かぬ、これは追加予算として計上した上でないとできない、こういうふうになると思いますが、これはいかがでございますか。
  78. 秋山孝之輔

    秋山説明員 もちろん今後入つて来るたびに、大蔵大臣の承認を求めるつもりであります。ただいままでのものはすでに完了しております。
  79. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますると、こういうような事態もあつたから、将来は所定の計画以外の塩の購入については追加予算を得たい、こういう御精神でありまするが、この問題も当然であります。問題は遡及して、当初の予算の内容以上のものを三十二万トンも購入するのでありまするから、当然支出の予算を計上せられまして、そして従業員諸君の待遇を改善せられるのが至当あろうと思うのであります。これはこれだけにして、次からはそういう方法もやりましよう。現在組合の要求せられておりまする基本的なものも、今度はこの方法でやむを得ない、というようなお考えであるとするならば、私は非常に遺憾だと思いますが、いかがでございましようか。
  80. 秋山孝之輔

    秋山説明員 ただいまの百三十七万トンという数字も、前もつて詳しい数字があれば、ただいまお話の通りであります。しかしながらこの数量というものは、ただいま申し上げましたように、関係先というものがありますから、おそらくは通産省といえども、デリヴアリイの真近になつて、初めてわかる数字と思うのであります。これが普通の商売ならば、私の手元に買付はいくら、いつ何の船が入るということがはつきりいたしますけれども、ただいままでの状態ではそういうことははなはだ不如意であつた。今後本年の一月から自由に買うことができますから、最善の努力をいたしまして、予算内で支拂うようにいたしたいと思つております。
  81. 土橋一吉

    ○土橋委員 時間もございませんし、あとわが党の委員質問もありますから、簡単にいたしますが、現在の公労法は労働組合の罷業権を取上げ、かつ賃金の改訂その他の問題についても、最終的な仲裁委員会の決定に服するというような構想のもとに、でき上つておるのであります。その拘束に服するところの公社側の立場が、常に大蔵大臣の監督によつて左右せられまして、十分な能力を発揮して組合側と団体交渉もなし得ない。団体交渉しましても、なおその結論については常に政府の制肘を受ける。こういう法律の構成自体が、まことに不都合な法律であるのであります。従いましてこの委員会において明瞭になつたことは、公社総裁があらゆる資料を出しての流用申請も、政府は認めない。こうなつて来ると、労働者諸君としてはどうしたがよろしいか。団体交渉を総裁にやつても、らちがあかない。政府へ持つて行つても、政府国会へ持つて来る。こういうように、まつた労働者の基本的な要求、生活の擁護ということについては、この公労法自体を通じてもきわめて不十分であるが、これが惡用している政府の政策は、結局労働階級の現実の賃金値上げの問題については、半年たつても何ら解決しないという方式をとつておるのであります。こういう方式をとつている現在の公労法自体が不都合であると私は存じまするが、同時にこれをたてにとりまして、政府は問題の中心点を公社総裁に移行してみたり、あるいは国会に転嫁する、こういう不都合な方法で、常に労働者の基本的な要求をいれないのであります。私たちはこれが現在の吉田政府の政策の一環でもあろうと思いまするが、そういう政府労働階級に対するきわめて思いやりのない、きわめて無慈悲な、公労法を歪曲曲解して、そうして国会にまで持ち込み、総裁に、当然自分で裁量し、その団体交渉の力を十分発揮せしめるような態度をとらないことについては、遺憾でありますので、総裁もこういう点を十分考慮せられまして、将来の団体交渉においては、あなた御自身の力をもつて、常に労働者と対等の立場において交渉できるように——現在のこの規定をもちますならば、あなたは対等ではございません。あなたの立場というものは、常に政府の制限を受けて、附帯的な立場において団体交渉をしておるのでございます。それはこの法律構成そのものが惡いのでありますけれども、そういう情ない状態では、いわゆる団体交渉ではないのであります。こういう仕組みになつているこの法律、吉田政府の政策、今の次官の答弁、総裁の答弁というものを承りまして、まことは私は遺憾であります。こういう点をすみやかに改善しなければ、労働者諸君の要求はいくらたつても解決をしない、こういうふうに私は考えて、終るのでございます。
  82. 倉石忠雄

    倉石委員長 本日はこの程度をもつて散会いたしまして、明十四日午前十時より引続き連合審査会を開きまして、政府当局及び参考人各位の御出席をお願いいたし、質疑を進めたいと存じますから、本日御出席の参考人各位は、御足労ながら明十四日も御出席をお願いいたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十二分散会