○堀木参考人 実は私
ども、根本的に
法律論で
労働問題を片づけるつもりはありませんし、長い間の
労働問題の扱いから見まして、
法理論で
労働問題を片づけようとすることは、一番下手なやり方であるというふうに
考えておるのでありますが、あまりに
法律に反したことをおやりなさるものですから、
法理論をいたしましたばかりでございます。大体仲裁
委員として、
労働者の
味方ばかりして、
考えているんじやないかというお
考えがあるように拜察するのでありますが、私
ども、仲裁裁定は最終的決定力があるだけ、われわれ自身が
責任を感じなくてはならない、常に
日本経済の興隆に資するという観点は忘れていないのであります。そういう点で、
高橋さんのおつしやいますように、八千万と
国民の利福ということは決して忘れていないのであります。ただここでお
考えを願いたいことは、今民間の給與は、全国の鉱工業平均をおとりになりましても、また過般
政府の出しました給與白書で、民間の給與水準がどうな
つているかということにおきましても、すでに八千四、五百円以上にな
つていることは、これは万般
皆さんの御承知の通りであります。そこで
政府の
国家公務員諸君はそれよりはるかに少い、一昨年の七月までの物価を基準といたされました、いわゆる六千三百円ベースであるということは、これはまた明らかな事実であります。
〔
倉石委員長退席、
三浦委員長代理着席〕
そういたしますと、最近において、この間
政府が出しました給與白書で、
政府の役人も七千二百円でございましたか、その
程度にな
つておるという表は出ておるわけであります。
政府の出しましたいわゆる給與白書について正確に言いますと、
国家の公務員は昨年三月において七千二十九円、こうういふうにな
つておるわけであります。そうすると、
相当の開きができております。むしろ全体から見ますと、私
どもの
考え方は、いわゆる民間の
労働者は争議権を持ち、団体交渉権を持
つてそうしてそれを使います場合もありましようし、使わないでも、ともかくすでに八千円台にな
つておる。
国家公務員は七千円でも
つてがまんしている。全体から見ますと、このバランスの開きは非常に大きいわけであります。これはそういう場合を予想して、
国家公務員法に
規定して、五分以上の、いわゆる
生活に影響のあるようなときには、人事院が
政府と議会に勧告しろ、そうしてなるべくそのさやを
補償してやれ。ということにな
つているのであります。
国家公務員は、争議権も団体交渉権もないわけであります。それから公共
企業体の、問題にな
つています
專売公社従業員は、
政府職員ではないが、争議権はない、しかし団体交渉権は持
つておるわけであります。この給與の裁定にあたりまして調べますと、
国家公務員と同じベースでも
つて律せられておる。非常に民間との給與差がはなはだしい。どうしてもこれは
考えなければならぬわけであります。ことに
公社の従業員諸君についてわれわれが下します裁定は、
公社の
総裁側と組合側、双方に債権、債務が生じますことですから、非常に私
どもとしては
責任を感じる。しかし今申し上げましたような、はなはだしい差というものは、全体から見て公平に扱われなくてはならない、これが私
どもの見方でございます。争議権と団体交渉権を奪われた官吏は、それがないのだから、じつとがまんしておれ。また
公社の職員につきましては団体交渉権は認めるけれ
ども、争議権は奪
つた、しかしその差は認めろ。だからこれらの人の給與は、常に低いところでがまんしろという
趣旨で、ああいうものができたとは
考えられないわけです。
国家全体の経済から見まして、この点を縮めて参らなくてはいけないという
考え方が出て来るのは、当然でなかろうか。いわんやその
公社自身の経営状態から、これが支拂えるような状態
——支拂いができない状態ならともかくも、支拂えるような状態ならば、従業員諸君の給與というものをまず
考えるべきだ。何でもかでも、ほかのものを
拂つて、残
つたら
考えるという思想はないはずである、こういうふうに私
どもは
考えます。今
高橋さんと同じように、
国家全体の経済の復興ということを非常に念願といたしておりますが、その基盤に立
つても、なおかつ私
どもの裁定
程度は当然のことでなかろうか、こういうふうな
考え方でおりますので、御参考までに申し上げておきます。私は大蔵省にも関係いたしたことはございませんで、前身は運輸省の役人をいたしておりました。しかし裁定にあたりまして、
專売公社の方におきましても、十分そういう点につきまして
——つまり今おつしやられましたような、ないそででなしに、ほんとうにあるのでございます。ですから、まずこれについてお
考え願いたい、こういうことを申し上げます。