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1950-02-11 第7回国会 衆議院 労働委員会人事委員会大蔵委員会連合審査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十一日(土曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員   労働委員会    委員長 倉石 忠雄君    理事 大橋 武夫君 理事 篠田 弘作君    理事 福永 健司君 理事 吉武 惠市君    理事 青野 武一君 理事 春日 正一君    理事 島田 末信君       麻生太賀吉君    小淵 光平君       金原 舜二君    佐藤 親弘君       塚原 俊郎君    船越  弘君       松野 頼三君    赤松  勇君       柄澤登志子君    石田 一松君       岡田 春夫君   人事委員会    理事 高橋 權六君 理事 成田 知巳君    理事 土橋 一吉君   大蔵委員会       田中織之進君    竹村奈良一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 東條 猛猪君         大蔵事務官         (日本専売公社         監理官)    冠木 四郎君         労働事務官         (労政局長)  賀来才二郎君  委員外出席者         日本専売公社総         裁       秋山孝之助君         参  考  人         (全専売労働組         合中央執行委員         長)      平林  剛君         参  考  人         (公共企業体仲         裁委員会委員) 今井 一男君         参  考  人         (公共企業体仲         裁委員会委員) 堀木 鎌三君         労働委員会専門         員       濱口金一郎君         労働委員会専門         員       横大路俊一君         人事委員会専門         員       安倍 三郎君         人事委員会専門         員       中御門経民君         大蔵委員会専門         員       黒田 久太君         大蔵委員会専門         員       椎木 文也君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に  基き、国会議決を求めるの件(内閣提出、議  決第二号)     ―――――――――――――
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいまより昨日に引続きまして、労働委員会人事委員会大蔵委員会連合審査会を開会いたします。  ただちに公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件、議決第二号につきまして質疑を継続いたします。成田知巳君。
  3. 成田知巳

    成田委員 秋山総裁に一、二点簡単にお尋ねいたします。  第一は今度の仲裁裁定に対しまして、公社の方から、一億二千八百万円の人件費支出大蔵大臣承認を求めましたところ、大蔵大臣としては予備費支出はだめだ、また人件費予算流用することはいけないという理由で、その根拠といたしまして、本年度四億八千万円の赤字が生ずるという計算を示されたらしいのであります。昨日の委員会今井仲裁委員発言を聞いておりますと、その四億八千万円の赤字というのは、公社側計算されたような御発言があつたのですが、はたして公社側計算されたのか、あるいは政府計算において四億八千万円の赤字が出るという計算を示されたのか、どつちでございましようか。
  4. 秋山孝之助

    秋山委員長 ただしま勘定は、公社計算によるものであります。
  5. 成田知巳

    成田委員 公社計算だといたしますと、私の使用いたしておる資料によりますと、タバコ関係で十四億二千八百万円の收入減赤字見込みです。塩関係で十五億五千百万円、樟脳関係で一億二千万円、合計三十億九千九百万円となりまして、これが收入減、これに対して不必要になつた費用が二十六億一千九百万円、差引四億八千万円の赤字なつたものだと思いますが、その通りでございますか。
  6. 秋山孝之助

    秋山説明員 ただいまお尋ね通りであります。
  7. 成田知巳

    成田委員 そういたしますと、これは今井委員からも発言があつたと思いますが、この塩関係の十五億五千百万円、これは普通の公社経理におきましては、もし年度内に売れないとすれば、資産勘定に残るものであります。これをただちに赤字計算するということは、現在の官庁会計はそうかもしれませんが、企業の本質から行きましたならば、実質的には赤字でないとお考えになるかどうか。
  8. 秋山孝之助

    秋山説明員 ただいまのお尋ねは、私も多年実業界におりまして、知つておりますが、会社資産勘定については、ただいまの委員お尋ね通りに、これは資産に計上するのが、会社経理の本体であります。しかし官庁会計になりますと、これが歳出になることは、財政法に明記してある通りであります。
  9. 成田知巳

    成田委員 ただいまの総裁の御発言で、その塩関係十五億五千百万円というものは赤字ではない、損金にとるべきではない、資産勘定だということは、はつきりいたしたわけであります。そういたしますと、官庁経理の形式は別といたしましても、実質的には十五億五千百万円の資産というものがあるのだ、こう考えてよろしゆうございましようか。
  10. 秋山孝之助

    秋山説明員 実質的にはその通りであります。しかしながらこれはただいま申し上げましたように、財政法にある通り歳出に立つていますから……
  11. 成田知巳

    成田委員 この十五億五千百万円につきましては、これも予算流用が必要だと思うのでありますが、現在すでに大蔵大臣予算流用承認を得ておられますが、あるいはまだ得ておられないか、どちらでございましようか。
  12. 秋山孝之助

    秋山説明員 ただいまの十五億何がしの金は、まだ予算流用許可はとつておらないのであります。
  13. 成田知巳

    成田委員 ただしまの御発言で、まだ許可をとつておられないということであつたのでありますが、今後おとりになる予定でいらつしやいますか。
  14. 秋山孝之助

    秋山説明員 これは昨日来お話のありましたように、輸入の塩の関係がありますから、見通しはさようについておりますけれども、その都度やはり処理して行くべきものと思います。
  15. 成田知巳

    成田委員 そういたしますと、現在十五億五千百万円全額について、予算流用承認をおとりになるという方針はまだきまつていないわけでございますね。
  16. 秋山孝之助

    秋山説明員 ただいまの十五億何がしという予算は、大体入るだろうという見通しのもとでありますから、これは全部とるつもりであります。
  17. 成田知巳

    成田委員 現在のお見通しはそうでございましようが、すでにこの十五億五千百万円というものは、收入減として、売れないという予定赤字の方に立てていらつしやるのでございますから、もしこの金額が減つたとすれば人件費にまわすところの一億二千八百万円ぐらいの金は、すぐ出るのではないかという感じを私たちは受けるのでありますが、どうでございましようか。
  18. 秋山孝之助

    秋山説明員 これはその通りと思いますが、やはり財政法によりまして、予算流用許可を要するものであります、実質論手続の問題とはおのずから違うのであります。
  19. 成田知巳

    成田委員 これで私の質問は打切りますが、結論といたしまして、実質論手続の問題はおのずから違うと言われましたけれども、現在の公社経営内容から行きましたら、この塩関係一例をとつて見ましても、実質的には一億二千八百万円の人件費を出すだけの余裕があるという結論に到達すると思うのでございますが、どうでございましようか。
  20. 秋山孝之助

    秋山説明員 私はその個々の計算は別として、昨年の十二月の二十八日に、大蔵大臣に対して予算流用を申請しておるということから御推理になれば、おのずから公社考えはおわかりになると思います。
  21. 倉石忠雄

  22. 田中織之進

    田中(織)委員 私は主として本件を国会に提出しました、提案者としての政府当局質疑をいたしたいのでありますが、まだ提案責任者としての官房長官もお見えになりませんし、大蔵大臣もお見えになりませんので、両大臣に対する質疑の点は、大臣がお見えになりましたときまで保留することにいたしまして、議事進行関係もありますから、質問を続けます。  まず公社総裁がお見えになつておられますから、きわめて抽象的なことでございますが、公社総裁といたしまして、今度の専売裁定に現われております公社従業員に対する待遇改善、これは仲裁委員会裁定理由書の中にも、これが必要であるということを認めておられるのでございます。いろいろ公共企業体はございますし、政府直轄事業体もございますけれども専売公社のように強力なる、いわゆる国家財政に寄與しておる事業体は私はないと思う。そういう意味において、今後も再建のために絶対確保しなければならない国家財政歳入確保の点から見ましても、専売公社総裁以下従業員諸君の努力にまたなければならない点が、国家としての要請としても、大きなものがあると思うのですが、そういう観点から考えまして、公社能率をさらに増進し、国家財政に大きく寄與するという見地から、公社職員に対する待遇改善というものが、私絶対に必要だということを確信するものであります。この点に対しまして総裁としていかなる御所信を持つておられるか、お伺いをしたいと思います。ことに裁定が出ますまでの過程におきまして、これまた公労法による調停委員会が持たれたと思うのでありますが、調停委員会の具体的な調停案ができるまでの過程において、調停委員会において公社総裁といたしまして、当事者として、いろいろ組合側と折衝する過程において、その都度大蔵当局との間にいろいろ事務的な連絡の点もあつただろうと思いますが、仲裁裁定に持つて参りますまでに、公社総裁として政府との連絡がいかようなところまで進んでおられたかというような点について、お漏らし願えれば幸いだと思います。
  23. 秋山孝之助

    秋山説明員 公共企業体としての国家要請に応ずることはどうか。その必要性重要性というものについては、ただいま田中さんのお話通りに、私も同様に考えておるのでありまして、私は公社総裁に就任するときに、そういう点については十分に考慮の上に就任いたしたのでありまして、爾来法規の許す限りにおいては、私どもとその協力者である労働組合――私どもはこれを労働組合でない、やはり同じかまの飯を食つておる協力者、こういう考えから、できるだけの幸福、そういう点においては私は盡しておるつもりであります。今後一層能率を増進いたしまして、国家財政に寄與したいということについては、ただいまお話通り、私も同様の決心をもつて仕事をいたしておるつもりであります。この問題が起つて以来、調停委員会と私どもと折衝する上においては、やはり公社会計において許す限りの條件なれば、もちろん私は喜んでこれを受入れるつもりでおつたのであります。同時に大蔵省と何らの関係なしとは申しませんけれども、私の許された権限内においては、一から十まで大蔵省と協議したということもありません。もちろん連絡がないとは申しませんけれども、私は私の考えをもつて公社を経営しておるのであります。一昨日公社総裁ひもつきになるというようなお話もありましたけれども、私はさよには考えておらないのであります。大体においてただいま田中さんのお話通りに、もちろん私ども協力者に対しては、私どものできる範囲において、ただいま申し上げました幸福、福祉というようなことについては、十分の考慮をして行きたいと思つております。
  24. 倉石忠雄

    倉石委員長 この際ちよつと申し上げますが、官房長官は午前中は十二時五分前に退出したいと希望されるので、官房長官に対する御質疑を先におやりになつたらいかがですか。
  25. 田中織之進

    田中(織)委員 忙しいところ官房長官がお見えくださつたので、官房長官に対する質疑を先にいたします。これは運営委員会においても官房長官に御質問を申し上げた点でもございますが、あらためてここでお伺いをしなければならないであります。それは今回の専売裁定を、公労法十六條一項に該当するという建前から、国会議決を求めて参られたのでありますが、官房長官から、重ねてと申しますか、あらためて今回の専売裁定公労法十六條一項に該当するという理由について、まず御説明願いたいと思います。
  26. 増田甲子七

    増田国務大臣 田中さんの御質問お答え申し上げます。政府においては、今回の専売公社労働争議に関する仲裁委員会裁定のうち第一項は、公労法第十六條第一項に該当すると認めた次第でございまして、その認めたこまかい理由につきましては、当該大臣である大蔵大臣あるいは労働大臣等から御説明申し上げたいと思つております。私が御答弁申し上げることは、裁定はその第一項等は公労法第十六條第一項に該当すると認定いたしました、こういうことを申し上げる次第であります。
  27. 田中織之進

    田中(織)委員 当該大臣としての大蔵大臣から聞いてもらいたいというのでございますが、それではこの問題につきましては、衆議院において、これは国会議決を経るべき性質のものではないということで、撤回の緊急動議も出たようないきさつがある場合に、私は政府責任者としての官房長官にお伺いしておるのでありますが、ただいまの御答弁ではきわめて不満です。またそういう御答弁をいただくということを非常に遺憾といたします。ことにこの裁定理由の三には、しばしば問題になつておりますように、また仲裁委員会堀木今井委員から、るる本連合審査会においても説明されておりますように、十六條二項に関係なく、十分支出が可能だということが明記されておるのであります。従つてそれが可能でないという政府認定のもとに、これを国会議決を経るという手続をとられたということは、これはきわめて重大な意義がある。昨日の民自党の大橋委員の御質問にありましたけれども、こういうふうに出された以上は、公社の方にかりに出そうとしても出されないようなひつかかりが、十六條一項の後段の方からできて来るというような議論も成立ち得るのです。従つてわれわれ結論から申しまして、これは客観的に申しますならば、大蔵大臣に伺わなければわからないということになると思うのですが、いわゆる支出が可能であか、不可能であるかというようなことは、客観的な判断で行いかなければならぬ。その点から申しますれば、仲裁委員会判断、また先般来の公社総裁の言明によつても、私は客観的に可能かということは、いなめない事実だと思う。しかし問題は、政府の他の賃金政策との関係においし、とにかく客観的には可能であるけれども、これを支出できないというところに、大きな政府としての政治的理由を見出しているのであろうと私は推察しているのであります。その意味において、やはりこうした問題は債権債務の問題で、最終的には当然法律的な法廷闘争の問題にもなるわけでありますから、やはり客観的なものの判断の上に立つて政府の態度を表明していただかなければならないことになります。官房長官は、あるいはそれ以上具体的な理由お答えがないかもしれまんが、私はそういうことは非常に不満だということを申し上げて、官房長官に対する次の質問に入るのであります。  この程度のことは、官房長官からもお答えが願えるだろうと思いますが、いわゆる十六條一項の、予算上または資金支出が不可能だという場合の予算、これは一体いかなる予算意味であるか。われわれはこれは申すまでもなく、国会議決を経た既定予算内で予算上、支出不可能な場合については、新たなる予算的な措置あるいは借入金限度引上げ措置――これも当然予算の変更という形になつて国会議決を求めて来なければならぬ。こういう意味合いから十六條の一項、二項の規定が行われたものである。そういう意味から申しますれば、予上、資金上不可能なという、不可能な判断をする基本になる予算というものは、国会議決を経た予算において不可能な場合に、新たな予算的、あるいは借入金限度引上げ等処置を講ずる意味において、十六條の一項の規定が行われていると思うのであります。これは公務法が制定されたときの労働大臣増田官房長目であられたと思うのですが、その点についての官房長官の御意見伺いたいのであります。
  28. 増田甲子七

    増田国務大臣 田中さんにお答え申し上げます。十六條第一項の、いわゆる予算上あるいは資金上とは、公社予算上、資金上でございます。しこうしてわれわれの解釈は、お説の通りに現在国会において議決されて成立している予算、こう考えております。その既存予算の上から見て、支出不可能なる内容を持つている裁定である場合には、政府を拘束いたしませんが、十六條一項を離れまして、しからば新しき予算措置を講ずべきではないかというような点につきましては、もちろん検討いたしましたが、現在の公社全体の経理の上から見まして、新しき予算措置も講じ得ない。但し十六條第一項から、政府は拘束されているわけでは、ございません。この点は政府を拘束しておりませんが、新しき予算措置をとる政治上の理由がありはせんかという御質問と解してお答え申し上げますが、新しき予算措置を講ずる、たとえば一般会計から繰入れをするというようなことは、ただいまのところ、やはり客観的見地から見まして、おもしろくない、可能でない、こういうような見地に立つている次第でございます。
  29. 田中織之進

    田中(織)委員 大体十六條の一項の予算というのは、これは既定予算だ、また資金の両も、そうした国会議決を経た予算に盛られている既定資金計画上の意味からの資金、こういうように官房長官解釈されているように、御答弁を承つたのであります。そういたしますと、労政局長もお見えになつておられるので、労政局長からも伺いたいと思うのでありますが、今官房長官が言われた、そういう解釈の上に立つて、今回の場合の専売裁定の問題については、政府は拘束されないのだというただいまの御答弁が、ちよつと私には納得行かないのであります。もちろん既定予算または既定資金わく外にわたつて支出を求めるという協定は、それは当然新たなる予算的措置または資金的な措置を講じなければならない。それは当然国会議決を経なければならないのでありますから、十六條一項の後段から政府を拘束するわけには行かないという事情はわかると思う。しかし既定予算または既定資金計画わく内での協定については、これは私は、国会議決を経ている予算わく内であるという観点から見ますならば、この協定に対しましては、当然政府も拘束されなければならない筋合いのものだと思います。その点について今回の場合は、私らの解釈では、また仲裁委員会の説明するところによれば、既定予算わく内において当然支出が可能だ、こういう見解の上に立つて行われているものでございますから、私はその限りにおいて政府はこの協定には拘束されるものだ、こういう解釈をいたしているのでありますが、官房長官の御見解はいかがですか。
  30. 増田甲子七

    増田国務大臣 既存予算及び資金の上から見て、可能、不可能を決定するのだという点については、あなたの御了解も得たようでございます。そこで現在存在している専売公社予算を検討いたしてみまして、可能ではないかというあなたの御意見でございますがわれわれは可能でないと考えております。あるいは流用で可能ではないかということをおつしやるかもしれませんが、ただいまのところ、予備費等事業費に充つべきものではないかとわれわれは考えております。それから益金等を食うような流用の仕方は、よろしくないと考えているわけであります。というのは、益金実質上――現在御承知の通り、コストに比べて非常な倍率の高い値段で売つております。というのは、やはり間接的な意味税金である。結局税というようなものを食つて、給料その他労働條件維持改良をはかるということまで国家が予見して、議決されているとは考えていないのでございます。
  31. 田中織之進

    田中(織)委員 その点は私はあくまで法理解釈を――官房長官としても政府側答弁としても、その上から御答弁を願いたいと思います。たとえば今度の場合に、既定予算わく内で支出可能だ、こういつて公社総裁の方から流用を求めて来ているのでありますが、大蔵大臣はその流用は認められないという立場をとつている。流用を認められないということは、これは事実認定の問題である。私は政府の事実認定に関する判断を、法律解釈で、法理上の問題に持つて来られては、問題が混淆すると思う。この点について労政局長がおられますが、労政局長著書公共企業体労働関係法の詳解の八十六ページの終りから二行目に、「然し既定予算又に既定資金の枠外の支出を求める協定にのみ関するのであり、枠内のものはこの限りではない。」ということがあるのであります。さらにそれに引続いて、これは政府が拘束されるかどうかということは、とにかくこういうわく外支出に関連した協定は、当然公社予算国会議決を経なければならぬという点から、それがきまるまでの間拘束されないという性質は、はつきり理解できる。それから「然しながら国会行為を要せずして政府行為によつてのみ支出可能な資金については後段の制限を受けないものと解せられる。」とありますが、これは賀来労政局長解釈にはもちろん違いませんけれども、あなたの署名の著書の中に出ているのであります。労政局長としてこの著書の上に立つて、今回の専売裁定の問題との関連においてどうなるかということについて、労政局長見解をただしたいのであります。あなたの見解をただして、それから私の次の官房長官に対する質疑を行いたいと思います。
  32. 賀来才二郎

    賀来政府委員 私が当時解説を書きましたのは、立法いたしました責任に私が立つてつたのでありますが、その当時の状況におきましては、この公労法によりましてすみやかに解決をはかることが必要である。従いまして、できますならば、かような取扱いがあつてほしいという考え方を書いておるのであります。今度の専売公社及び前回の国鉄の裁定の場合におきまする政府わく内、わく外の取扱い方につきましては、法文上から申しますと違法の措置ではない、かように私は解釈をいたしております。
  33. 田中織之進

    田中(織)委員 私は今回の政府処置が、違法の処置ではないという労政局長の御見解を承つておるのではない。こうしたあなたの名前による著述をされた以上、そのことについてのあなたのお考えは、ことに法律の立案に参画した立場において、立法者としてこれを書かれたとき、また立法をされた当時と、かわるべきはずのものでないということを私は期待する上から、あなたに御見解を承つたのでありまして、私は、あなたのそういう違法でないというような判断を承りたくて聞いたのではありません。そこで私、官房長官にお伺いいたしますが、今回の専売裁定にありまする一億二千八万円、これの支出は、私らの解釈では国会関係なく、政府行為によつて支出可能だと考えるのであります。官房長官としては、これを国会に出される以上、私は違う見解に達せられたから出されたのではないかと思いますが、これは嚴然たる大蔵大臣流用を認める、認めないの問題で、国会関係なく、政府行為によつてきまる問題だと思うのであります。今回の専売裁定支出は、国会行為を必要とするのではなくて政府行為により支出可能というケースであるとわれわれは考えるのでありますが、官房長官は現在この点については、いかなる考えを持つておられるか伺いたい。
  34. 増田甲子七

    増田国務大臣 田中さんにお答え申し上げます。政府行為によつてという文句は私は実はあまり存じませんけれども、おそらく大蔵大臣流用の認可といつたような意味のことを、あなたはおつしやつた考えております。そこでこれに対する私の、あるいは政府見解を申し上げまするが、先ほども申し上げました通り予備費というものは事業費に充つべきものである。たとえば専売局の工場が焼けてしまつたというような場合に、生産設備を復元するために使うというようなことが、予備費の本来の性質であると私は考えております。それから千百九十億円の益金実質上の税金である。でなければ、コストの数倍のタバコを売つてはよろしくないのですから、やはり実質上の税金である。であるからして、生産費の数倍のタバコの値段をきめ、これを売つておる。こういうふうに私は考えております。そこで国会において決定されまして、千百九十億までは専売益金として、一般会計繰入れの重要なる歳入になつております。この歳入を食うような結果に今のところでもなりつつあるということは、田中さんの御承知の通りであります。そこで一億二千人百万円という額は少いじやないか、千百九十億円に比べたら九牛の一毛じやないかとおつしやるかもしれませんが、私どもは千百九十億円を割るような支出の仕方をするということは、予算を決定されました国会の意思を蹂躙するものである。益金食つて労働條件を維持改善してよいという意味で、国会があの予算議決されておると私ども考えておりません。予備費についても同様でございまして、政府行為によつてこつちからあつちへ移せばいいじやないかといつても、政府行為それ自体が、国会の意思を尊重しなかつた不当な行為になる、こう考える次第でございます。でございますから、われわれは一億二千八百万円でございましても、現在のところ、すなわち既存予算並びに資金上から見まして、政府を拘束し得ない不可能なる内容を持つておる裁定である、こう考えておる次第でございます。
  35. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは先ほど申し上げましたような事情で、官房長官は御退席を願いますが、なお官房長官に対する御質疑がありましたら、後日に留保していただくことにしまして、公社総裁に対する質疑を継続したいと存じます。
  36. 田中織之進

    田中(織)委員 官房長官は忙しいのでやむを得ないことだと思いますけれども、私はまだ官房長官には相当たださなければならぬ点があるのでありまして、官房長官が次のできるだけ早い機会に本委員会に引続き出ないことには、この委員会の審査の進行に非常に重大な影響があると思うのであります。  次に私、委員長に特に要望しておきたいのでありますが、大蔵大臣もこの提案の説明をされただけで、その後見えないのであります。所管大臣でありますから、この委員会の審議が進むかどうかということは、一にかかつて政府側の出席いかんにあると申し上げても、あえて過言でないと思うのであります。特に委員長から政府側の出席について、格段の御考慮を煩わすように御配慮を願いたいと思います。  そこで官房長官がおられなくなつたのでありますが、官房長官なかなか苦しい答弁をされておるのでありまして、私が今御質問申し上げておる、政府行為によつてのみ支出可能なものについて、今回のように国会に出すということについては、これは非常に私は重大な問題が出て来ると思う。この点は労政局長にさらにお伺いしたいのであります。八十七ページに先ほど読みましたように、政府行為によつてのみ支出可能な資金については後段の制限を受けない、いわゆる政府が拘束されないというこの制限は受けないのだ、当然拘束されるのだという解釈をされておるのでありますが、労政局長として、具体的に今度の専売裁定にいつておる一億二千八百万円というものは、これはいわゆる大蔵大臣流用を認めるかどうか、こういう点にかかつておる問題だとわれわれは解釈しておるのでありますが、労政局長立法者としての立場、また立法に参画したという建前から見まして、今度のケースが、あなたのこの八十七ページの二行目から三行目に書いておるケースに当てはまるとお考えになつておられるかどうか、この点についてお伺いしたい。
  37. 賀来才二郎

    賀来政府委員 先はどもお答えを申し上げましたのですが、この公共企業体関係法を立案いたしますときは、マツカーサー書簡に基きまして、公共企業体の労働者に対しましては争議権をとる、すなわち争議行為に入ることを禁止するということになつておりますので、それに相対しまして、できる限り公正な機関による調停または仲裁によつて解決をつけて行くようにいたしたい。特に仲裁委員会に対しましては、労使双方を拘束するとするところの権限を與えよう、こういう立場をとつたのであります。しかしながらいかに拘束するという立場をとりましても、これは使用者及び労働組合を拘束するというのでありまして、公社がその性格から見まして、どうしても自分の力では拂えないという部分がありましたときには、やはり予算関係がありますので、国会の最後の決定をとるべきである、すなわち仲裁委員会の拘束力を国会の権限にまで及ぼすものではない、かような立場をとつたのが当時の状況であります。従いまして立法者といたしましては、争議のすみやかにして合理的な解決を必要とするという建前からいたしまして、でき得るならば政府は、この予算上、資金国会手続を要するような場合におきましても、あるいは自分の権限において流用その他が許される場合におきましては、すみやかにその方向に処置してももらいたい、またすべきであるという考え方を、私としては当時持つて、その取扱い方につきましてさような解釈を書いたのであります。しかしながら法文からこれを見て参りますと、御承知のように公社総裁が自分限りで支出のできますものについては、ただちに拘束をいたします。また公社総裁限りにおいて流用のできます範囲におきましても、これはただちに拘束をすることになるのであります。ところでその次には公社総裁では流用ができない、大蔵大臣承認を得ないければできないという部分が問題になつて来るのであります。この部分につきましては、大蔵大臣承認をいたしますならば、それは総裁といたしまして支出可能な分に入りますので、これは拘束を受けて参るのであります。そこで問題は大蔵大臣がこの流用承認するかどうかということでありまするが、この承認をいたしますことは大蔵大臣の専決事項になるのであります。今度の場合におきましては、大蔵大臣は自己の権限において、流用することは全体の予算上適当でないと考えて、流用承認しない。従つて公社総裁としては支出不可能になりますので、そこで公社予算上、資金上、支出不可能という結末から見まして、国会承認を求めるという処置とつたと考えるのであります。従いまして法律的に見ますと、先ほどお答え申し上げましたように、法的な処置としては違法ではございませんということを申し上げた次第でございます。     〔委員長退席、福永委員長代理著席〕
  38. 田中織之進

    田中(織)委員 労政局長も今申されているように、ずうつと順序を追うて参りますと、第三番目の、たとえば今度の専売裁定の場合には、専売公社総裁から流用を認めてくれ、こう言つている部分について、大蔵大臣流用を認めるかどうかということは、これはことに大蔵大臣の専決事項であつて、やはり政府行為である。大蔵大臣――いわゆる国務大臣、あるいは行政長官としての大蔵大臣の専決行為によつて、これが可能か不可能かという問題が出て来るわけですから、そういう限りにおいては、これは政府行為によつて――もちろん支出不可能な場合も生じますけれども流用を認めるということになりますれば、可能な行為になつて来るのであります。従つてもしも全体の予算の点から見て、大蔵大臣はこの流用は認められない。こういう見解に立つたならば、少くとも公社総裁との間に、この点については新たなる――とにかく公社の追加予算を編成させるなり、そういうような処置をもつて、そのことについての大蔵大臣としての意見を付した形で国会に提出するということが、私はなければならないと思います。そうでなければ、この公労法仲裁裁定を、あらゆる場合に必ず国会を通さなければならないという規定は、私はこの法文の上からは出て来ないと思うのです。ただとにかく裁定の実行上、国会とのひつかかりの出て来る問題に限つて国会に出さなければならぬということになると私は思うのですが、この根本的な点はいかがですか。公労法による仲裁委員会裁定というものは、あらゆる場合に必らず国会に一ぺん出して、かけなければならぬものだということになれば、仲裁委員会裁定というものが、いわゆる最高裁判所の判決と同じような性格を持つているということの意味をなさなくなる。ことに立法機関である国会に対して、あらゆる場合にこれを通さなければならないということになれば、仲裁委員会の権威がなくなるのです。しかも立法機関が労働争議に介入するという、いわゆる行政機関との混淆をもたらすようなことになるのであつて、その点から見て、私は憲法の建前における立法機関としての国会のあり方というものに対して――現内閣がこれを行政府に従属させるとか、あるいは行政府の片棒をかつがせるというような形で、間接的な意味において、消極的な立場において、国会の審議権に対する侵害をやつていることになつて、これはきわめて重大な政治問題になると思うのです。公労法による裁定というものは、実質国会に関連をもつて来る部分については、当然国会に出さなければならないけれども、あらゆる場合にこれは国会に出さなければならない筋合いのものではないと私は思う。私も多少法律を勉強しているものでありますが、この法律の上からは、あらゆる場合にこれを議会に出さなければならぬという結論が出て来ないのであります。その点立法者の一人としての労政局長の御見解はいかがですか。
  39. 賀来才二郎

    賀来政府委員 この法律をつくります当時の考え方は、先ほど申し上げましたように、すみやかに解決するのには、仲裁委員会という最後的な機関におきまして公正なる判断をし、それによつて早期に解決ができるようにという意図でやつたのでありますが、しかしながらいかに仲裁委員会が拘束力を持つにいたしましても、国会の審議権に属しておりまする予算の取扱いについて、これを拘束するというのは適当でない。やはり最高機関たる国会の決定に最後的にまつべきであるという考方が一つ。もう一つの考え方といたしましては、あのマッカーサー書簡の出ました当時の考え方は、公務員及び公務員に準ずべき公共企業体の職員につきましては、そのけんか相手に政府がなつてはいかない。この間の紛争議はなくすようにしたい。もしこの間に問題があれば、国会はその裁定に最高機関として当る。国民の代表であり、またいわゆる国民が使用する公務員の問題につきましては、国会が当るべきである。かように考えたのであります。従いましていわゆる国会法に基きまする国会の性格からいたしますと、やや異例的なものが出て参りますが、日本の現状におきましては、この公務員の性格から見ましても、国会が最後的に、最高権威として決定をするのが至当である。かような考え方から立法に当つたものであります。御指摘の点につきましては、私が先ほど申しましたように、政府仲裁裁定は拘束しないのだということが書いてありますけれども、拘束しないからといつて、自由な取扱いをされることは、とかく問題の解決を遅らすような場合もあるので、大蔵大臣といたしましては、専決権を持つているのであるから、自分の権限に属することについては、なるべく仲裁裁定の趣旨が可能になるようにも大蔵大臣処置をしてもらうべきであるという考え方を持つているのであります。しかしながら今度の裁定に際しましては、大蔵大臣責任上、さような承認はできない。従つてこの支出は不可能になりますので、その結果国会でそれがいいか悪いか、御決定を願いたいという態度に出たものと考えております。
  40. 田中織之進

    田中(織)委員 どうも労政局長の御答弁は、私納得が行かないのであります。さらにあなたの著述の八十八ぺ一ジに、公労法第十六條一項の場合のいわゆる「所定の行為」というものについて、あなたはこういうように書いている。「「所定の行為」とは、国会における予算の可決又は予算に定められた借入金の限度の引上げの承認である。即ち協定履行に必要な国会行為をいう。」とあるが、今度の国会裁定が出されている形を見ますならば、あなたの解釈しているような形において、政府がこれを出して来ておりますか。しかもあなたはその次に、同じ八十八ページにおいて、「この際単に協定承認を求めるのみたては、協定履行は不可能であるから当然予算の改訂案が併せて承認されることになる。」と書いている。これは国鉄の裁定のときにも問題になつたが、少くともあなたがこういう権威ある著述を出されている見地からは、ことに現に労政局長ということで、日本の労働行政を円滑に進めるための、サービス省としての労働省の重要なポストにおられる方である。そのあなたが政府立場に立つて便宜的に解釈を曲げて行つたのでは、あなたの労政局長という肩書きが泣きますよ。こういう見地から、少くとも立法当時のあなたの率直な考えというものは、不滅の著書として残つておる。そういう観点から、今度の政府処置がどうあるかということです。あなたの立場から見て、政府措置が適当であるか違法であるかということを判断をされるならば、おのずから別の結論が出て来ると思う。もし政府があなたのそれに対してけしからぬということになれば、われわれ国会があなたの地位を保障します。それだけ国会には権限がある。大蔵大臣の専決で、大蔵大臣の虫のいどころが悪かつために、流用を認めないということになるかもしれない。そういうことによつて国会が全責任を負わされるということになれば、われわれとしては迷惑千万だ。ことに専売労組を中心にいたしましたところの労働争議の、円満かつ迅速に解決すべきものが、こういう形で国会に出されることによつて長引いておる。われわれが委員会において何十時間こうした論議をしなければならぬ。こういう問題になつて来ると私は思う。その点から見て、この点について私はあなたに重ねて良心的な御答弁を願いたいのであります。あなたが立法当時書かれた趣旨というものは、現在もやはりあなたの信念として、またあなたの見解として持つておられる。その角度から見たこのことに対する判断を――あなたとして、ここでお答えにくいということであれば、重ねて私は聞こうとは思いません。そのことについては、ことに大蔵大臣の専決権は自由裁量でなく、これはあくまでも法規裁量でなければならない。この書かれておることについては、あなたが立法当時書かれたので、立法のいきさつということから見て、私はこれが絶対に正しいと支持したいのですが、この書かれた当時の手続の問題については、今度の問題とかけ離れた形においても、こういうふうに運んだ方が、この法律が生きて来るとお考えになつておると思うのでありますが、その点いかがですか。
  41. 賀来才二郎

    賀来政府委員 田中委員から御同情のある、御理解のあるお言葉をいただいて感激する次第でありますが、私が書きましたその当時は、やはり労政局長としての立場におきまして、特に立法に当つた私といたしましては、この法律の取扱い方というものは、やはり一日もすみやかに解決をはかるべき法律でありますので、かように取扱われましたならば非常に解決が早い、従つて、取扱い方はかくあるべきであるということを書いたのでございます。しかしながら先ほど来申し上げますように、法律上今度の取扱い方は違法であるかどうかということになりますと、違法ではないということは、私の労政局長立場におきましても、これははつきりさように申し上げることができるのでございます。この両者の関係につきましての事情は、先ほどの御理解あるお言葉で御了承願いたいと思います。
  42. 田中織之進

    田中(織)委員 すでに国会にわれわれは違法だということで撤回を求めたのでありますが、一応国会の多数決によつてこれが受理されて、いわゆる合法性を獲得したような段階にあるのでもその点は政府立場において賀来さんの言われる立場を私は了解できるのでありますが、このことについては、われわれの見解の違法であるというような結論へ持つて行く道はおのずから別にあるのでありますから、その点はその点で伺つておくことにいたします。     〔福永委員長代理退席、委員長着席〕
  43. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 関連して賀来さんに伺いたいのでありますが、簡単にお答え願いたいと思います。まず第一に十六條の二項の解釈の問題につきまして、予算上、資金上必要がある場合においては、国会承認を得なければならない、かように書いてあるのでありますが、この法解釈の問題をひとつ伺いたいと思うのでありますけれども、これはあくまでも裁定の裏づけになるべき財政的なあるいは財源的な必要が生じて、初めて国会承認を必要とするのであつて裁定それ自体をわれわれ国会がその可否を決するものでないということは、あらためて伺うまでもないと思うのでありますが、この点についてまず第一に伺いたいと思います。
  44. 賀来才二郎

    賀来政府委員 この公労法十六條に書いてありますことは、形式的に申しますと、「これを国会に付議して、」とあるわけであります。この「これ」といいますのは、前項の協定というものをさすのでありまして、また「その承認を求めなければならない。」の「その」は国会に付議されたものについてのみ承認、不承認があり得るのであります。御質問の御趣旨は、協定のよしあしを付議しておるのではありませんで、やはり予算上、資金上、協定事項のうち不可能な部分について審議を求めておるのだろうという御質問でありますならば、後者の通りでありまして、国鉄裁定並びに専売裁定におきましても、四項目にわたつて裁定が出ております。が、そのうち予算上、資金上、関係のないものについては国会承認は求めていないのでありまして、やはり国鉄の場合は一項、二項、専売の場合は一項と思いますが、予算上、資金上も不可能な部分についての承認を求めておる、かように解しております。
  45. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは予算上、資金上の問題に関する裁定の條項については、国会の不承認があるとするならば、裁定それ自体もこれを拘束するという結果になる、かように賀来労政局長は御解釈になつておるわけですか。
  46. 賀来才二郎

    賀来政府委員 これはあの公労法にあります通り裁定自体は協定と同じであつて、両者を拘束いたしております。しかしながら不承認になりましたまでの債務につきましては、これは公社総裁は、不承認であるからというので、債務の履行については抗弁権を持つておると申しますか、それの履行はいたさなくてもよろしいということになると思います。
  47. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 関連質問ですから、この点はもう少し私の時間が来ましてから追究をいたしたいと思いますが、先ほど賀来さんの御答弁の中で、既定予算流用大蔵大臣の専決事項である、かように明確に御答弁になつておりますが、この点はもう一度はつきりさせておく必要がある。専決事項であるとするならば、これは当然行政事務であると私は考えております。かように考えて誤りであるかどうか、法律上の解釈でよろしいから伺いたい。
  48. 賀来才二郎

    賀来政府委員 この点につきましては、私ども大蔵大臣の専決事項であると考えておるわけであります。従つて大蔵大臣財政法会計法に基いての自己の権限を行使する、かように考えております。
  49. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 私が申し上げたことについて御答弁がなかつたのですが、もしこれが大蔵大臣の専決事項であるということならば、これは当然先ほどの賀来さんのお話からいつて既定予算流用をいたします場合ですから、大蔵大臣の専決事項であり、これは当然国会承認を得た既定予算の行政事務上の措置でなければならぬ。これを今賀来さんの解釈のように、ことさらに国会承認を求めなければならないとするならば、ここで明らかに立法機関の一事不再議の原則を侵害することになると解釈いたしますが、この点はいかにお考えになりますか。
  50. 賀来才二郎

    賀来政府委員 これらの問題につきましては、大蔵省当局にお聞きくださるようにお願いいたします。
  51. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 いや法解釈の問題です。
  52. 賀来才二郎

    賀来政府委員 この点につきましては、公労法は何ら具体的には触れていないのであります。公労法は、予算上、資金上不可能な部分については政府を拘束しない、もしそれが不可能であるならば、国会承認を経て決定するようにということを書いてあるのでありまして、財政法会計法の問題になりますから、大蔵当局からの御答弁をお願いいたしたいと考えております。
  53. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 これは先ほどの増田官房長官意見と、加來労政局長意見と、はつきり違つた点であると私は解釈いたしておりますが、官房長官意見の場合には、今度の裁定の問題は新たなる予算上の措置としてこれを取扱う、これは既定予算の問題ではない、そういう意味答弁をされておる。ところが賀来労政局長の場合においては、既定予算流用の問題として御解釈になつております。こうなつて参りますと、法律解釈の上において明らかに考え方の相違が明確になつて参ります。既定予算流用であるならば、賀来さんの言うようにさようなものであるとするならば、これを国会承認に付するということになれば、これは一事不再議の原則に反するという結果になる。おそらく賀来さんは労働省の局長でありますから、労働者の立場に立つてつておられ、その立場に立つて一事不再議の建前をおとりになるのだろう、そういう根拠に立つてお話になつているのだろうと思いますが、増田官房長官見解と、あなたの見解と明らかに違うという点を明確にいたしまして、この点を確認しておきたいと思います。
  54. 賀来才二郎

    賀来政府委員 私がお答え申し上げましたのは、法律解釈並びに、取扱いに関しまして申し上げたのでありまして、今度の専売裁定につきましてのあの支出不可能の部分が、流用のみによつてできるかどうかということについては触れていないのであります。支出上不可能か可能かという問題、これにつきましては可能な部分は、総裁限りで支出のできるもの、及び総裁限りにおいて流用のできるものはただちに可能となります。それから総裁限りではできないで、大蔵大臣承認によつてできるものは、承認を受けましたならば可能になり、承認がなければ不可能になります。さらに予算に新たに計上しなければならないもの、あるいは国会承認を経なければ流用にならないもの、これはもちろん支出不可能な部分に入る。そのようなことを申し上げたのでありまして、この専売公社裁定の場合について、政府考え方としてはこういう考え方であると言いました増田官房長官のお考えと、私の法律解釈との間に、法的な解釈上の食い違いはないと考えております。
  55. 岡田春夫

    ○岡田(春)議員 それでは専売公社の今度の裁定の問題は、これは既定予算流用ではなくして、新たな問題であるという意味労政局長としての御答弁であります。
  56. 賀来才二郎

    賀来政府委員 この点は仲裁委員会の方で可能であるというお考えが出ておるのでありまして、それにはいろいろ可能の問題を含んでおられるようであります。この点については私からは法律解釈は申し上げないのでありまして、仲裁委員あるいは総裁としての御意見によつて御決定をなさるべきだと考えております。
  57. 田中織之進

    田中(織)委員 ちようど仲裁委員今井さんも見えたので伺います。仲裁委員会としては、調停委員会の調停を、そのまま裁定に持つて来られたような形になつているのであります。ここで昨日も実は委員長に内々御相談申し上げたのでありますが、調停委員会の代表者に出て来ていただいて、調停の過程における経過を聞かしていただきたいと思つて委員長とも御相談申し上げたのであります。仲裁委員会の方でも、調停委員会結論をそのまま仲裁裁定としたというふうにこの間の説明を伺つておりますので、調停委員会で大体の結論が出るまでの過程において、大蔵当局との間でも、今度の専売労組の待遇改善の問題については、財源をどうするとか、こうするとかいうようなことについての、内々のお話が進められておつたように私は仄聞しておるのでありますが、その点今井さんの方で仲裁委員会から引継いだ形でこうした裁定を下すのにあたつて、その間大蔵省事務当局との間の内面的な折衝の過程が、同時に専売公社経理わく内で支出可能だという、仲裁委員会としての結論を出される大きなエレメントになつていると思うのでありますが、その間の事情についてお知らせ願いたい。
  58. 今井一男

    今井参考人 私どもも断片的に絶えず調停委員会から御連絡は受けておりまして、もうすぐまとまるとか、大蔵事務当局とどういうふうな話があつたとか、あるいは専売公社でこういつた意見があつたというようなことを断片的に伺つて参りましたけれども、この点はきわめてデリケートな関係になるかと思いますので、私ども考えなど申し上げますと、かえつて問題を誤つてお伝えすることにもなりますから、ただいま御発言のように、調停委員長か調停委員を直接お呼びくださいまして、その口からお聞取り願いたいと思います。
  59. 田中織之進

    田中(織)委員 仲裁委員立場も了とするので、この点はあとで理事会に委員長の方から御相談くださいまして、調停委員長を当委員会へ出ていただくように、参考としてどうしても聞かなければならぬ問題がありますので、御相談を願いたいと思います。次に――ちよつと成田君から今のことに関連して質問があるそうです。
  60. 倉石忠雄

  61. 成田知巳

    成田委員 ただいまの田中委員質問に関連してお伺いいたします。きのうの新聞を見ますと、国鉄の九千七百円べースに対する調停の問題は、調停委員会で打切つて、ただちに仲裁委員会に持つて行くというような記事を見たのであります。その理由といたしましては、政府公労法に対する取扱いの方針、あるいは財政法解釈、こういうことで、どうしても調停委員会で調停しても無意味であるということが一つの理由であります。他の一つの理由は、九千七百円ベースに対して八千五十八円の調停をしたときと客観情勢はかわつていない、だからただちに仲裁委員会に持ち込むのだというような表面上の理由になつておりますが、私たち想像しますのに、特にまた本日の新聞紙上で藤林委員長が談話を発表しているのを見ましても、事実上調停委員会は、現在の政府のやり方では公労法の精神を生かすことはできない、調停というものは拘束力を持つていないというので、投げた形で仲裁委員会に持ち込まれたのだと私は想像しておる。この問題はとりもなおさず、また仲裁委員会においても同じような問題となつて現われて来ると思うのでありますが、御承知のように国鉄裁定についても、政府公労法の精神を蹂躙して、無理を押し通しておる。今回の専売裁定につきましても、一昨日、昨日の参考人の方の意見から聞きましたら、全然政府のやり方というものは、仲裁委員会考え方と相反したやり方に進んでいる。こういうことになりますと、たとい仲裁委員会で苦労して結論を出されましても、何らの効果がない、仲裁委員会の権威というものは有名無実になつてしまうというような感じを、私たちは受けるのであります。單に有名無実になるだけじやなしに、国鉄だとか専売の労働者諸君は、罷業権はなくなつたけれども公共企業体労働関係法で調停、仲裁の制度がある。これによつて自分たちの労働條件は、最低限度維持できるのだという確信のもとに現在働いておられる。ところが一回となく、二回となく、この公労法の精神がまつたく蹂躙されてしまうということになりますと、仲裁委員会の存在は有名無実でなしに、逆に労働條件を低下さす意味において――消極的ではありますが、一つの役割を演じているという結果になるとも、私たち皮肉に考えると感ずるのであります。その不作意による作意と申しますか、そういう結果にもなると思いますが、今後の調停委員会並びに仲裁委員会の運用方法というものは、相当重大な問題をはらんでおると思う。調停委員会の方の御決意というものを私たち想像できるのでありますが、これに対しまして仲裁委員今井さん、堀木さん、どういう御見解を持つていらつしやるか。もし今回の専売裁定に対しまして、政府公労法の精神に違反して、これを拒否する態度に出ましたときに、どういう御決意を持つていらつしやるか。その点について伺いたいと思います。
  62. 今井一男

    今井参考人 けさほどの新聞紙に大体に載つておりましたが、国鉄調停委員会が調停を打切つたということは、これは報道の通りでありまして、その理由につきましては、ただいまお述べになつ通りであります。二十五年度の予算におきましては、ただいま国会で御審議になつておる予算案の中に、予算総則といたしまして、過日私から申し上げましたように、給與総額幾ら幾ら、こういつたことが予算で縛られまして、單価を一円上げるにつきましても、すべて国会承認がなければならぬという仕組みになつておるようであります。まだ深い研究はいたしておりませんから、確実なことは申し上げられませんが、読み流したところ、そういつたふうに見受けられます。そういつた関係に相なりますと、少くも賃金については調停をする余地はないという、かような判断になるようであり、かつまた事実実際問題も、そういつた方向に向つておるという立場、これが一つの考え方になりまして、調停委員会ではああいつた態度をとられたようであります。私どもも前もつてそういつたお話伺いまして、少くも法律に定められた調停委員会が、調停案を出さないで打切るということは、これはきわめて異例でありまして、今後の公労法の運営にも非常に影響があると考えまして、種々御懇談を申し上げたのでありますが、むろん調停委員会調停委員会独立でありまして、決して私どもの下級機関でも何でもありません。独自のお立場でおやりくださることは、これは当然のことであります。しかしながらわれわれもこういつた異例なお取扱いをなさつて、われわれの方にお持ち込みになつたということにつきましては、われわれの立場から申しまして、そこを愼重に確認、検討の上行動しなければならぬと考えておりまして、新聞紙等にはすでに仲裁委員会は受付けたとございますが、私ども実はまだ受付けておりません。昨日十五分ばかり藤林委員長仲裁委員会お話を伺う機会がございましたけれども、それだけではきわめて不十分でありますので、明後日またお話を伺つた上で、この問題の扱いをきめたい、かように存じております。われわれは、特にわれわれの権威とか何とかいうことを、毛頭考えるものではございませんが、しかしせつかくマ書簡という異例な方式によりましてつくられました公労法の取扱いが、その線に沿つて今行われるか、行われないかという、異常な境目であるということは、十分認識しておるつもりでありまして、われわれもわれわれの職責を汚している範囲内においては、極力この線に沿つて努力を重ねたいとは思つております。過日も仲裁委員、調停委員全員が政府側の四大臣と会見いたしまして――これは火曜日のことでありますが、いろいろと意見の交換を申し上げて、この問題が軌道に乗ることにつきまして、その間に何らかの打開の道ができないものかという御相談を申し上げましたが、時間がございませんで、十分に意を盡すことが不可能でありましたので、今後ともにその機会を持つて、職責にある限りは、できるだけ努力はいたすつもりであります。
  63. 成田知巳

    成田委員 ただいまの御答弁によりますと、二十五年度の予算が、労働條件については単価をきめているから、今後仲裁委員会の職責というものは非常に制限されて来る。こういうようなお話でありますが、二十五年度の問題は別にいたしまして、当面問題になつております国鉄の再調停の問題であります。まだ仲裁委員会の方ではお受付になつていないという話でありますが、もし調停委員会の方で審議をやりまして、結論として八千五十八円はかえる必要がないという線で、再び仲裁委員会へ持ち込まれた場合、仲裁委員会でいろいろまた御審議になつて結論を出されると思うのでありますが、その際、一度ならず二度までも公労法の精神というものは蹂躙されている。しかしおぼれる者はわらでもつかむという心理で、国鉄の方が仲裁委員会に持ち込んで、仲裁委員会で決定を出された場合、再び政府がそれを拒否するということになりましたならば、先ほど申しましたように、仲裁委員会としては積極的には何も拒否の方に協同されているわけではないのでありますが、消極的に――労働者諸君は仲裁委員会裁定が出れば何とかなるだろうということで、がまんして待つているところが、また蹂躙されるということになりましたならば、事実上労働條件の低下というものに、仲裁委員会が不作意の作意によつて寄與しているということになるのであります。俗に一度はだまされ、二度はうそ、三度のもしかにひかされてという文句がありますが、三度のもしかにひかされてやつたわ、再び一回、二回と同じような結果になるといたしましたならば、仲裁委員会としても重大な責任を負わなければいかぬじやないか。法律上の問題じやありません。政治上の問題、道徳上の問題として、仲裁委員会としても重大な責任があると思います。こういう場合に対しまして、仲裁委員会の方はどういう決意を持つていらつしやるか。それをこの際はつきりしていただきたいと思います。
  64. 今井一男

    今井参考人 いろいろ今後のことになりますので、私どもはつきり申し上げにくい点もあるかと思いますが、しかし昨年の十二月の国会におきましても、両院絶対多数をもつて裁定を尊重するという、われわれとして非常にありがたい御決議をいただいております。かつまた衆議院におきまして不承認の形には相なりましたが、予算が許せば、企業上採算がとれれば、できればこういつたものはやりたい。こういつたことを御決議になつているのであります。そういつた最高機関の国会の御決議もございますし、また予算そのもので縛られまして、結局予算運営の国会のお考え方が、こういつた給與問題は一切合財国会へ持つて来い――今予算総則にありますように持つて来いという御意思でありますれば、これまたわれわれとして敬意を表さざるを得ない問題ではなかろうか。ただこうなりますと、団体交渉権を実際上認めないということになりますから、そこに問題はあろうかと思いますが、まだこれも私どもは研究を深くいたしておりませんから、ただいまここで簡単には言い切れませんが、やむを得ないという感じもいたします。しかしいずれにいたしましても、予算関係いたします問題は、国会の御意思はただいまのところ裁定は尊重してやる、また企業の独立採算さえつけば金は上げてやりたい。こういつた附帶決議もいただいておりますので、私ども決してまだ望みは捨てておりません。
  65. 田中織之進

    田中(織)委員 とつぴつな質問のようでありますが、総裁並びに労働組合委員長からお答えを願いたいのであります。現在専売公社に働いている従業員は何人ございますか。
  66. 秋山孝之助

    秋山説明員 三万八千百十四人でございます。多少の相違はあるかもしれません。
  67. 田中織之進

    田中(織)委員 それは定員法の附則による定員でありましようが、それとも実人員でございますか。
  68. 秋山孝之助

    秋山説明員 ただいまのは定員法の定員であります。
  69. 田中織之進

    田中(織)委員 定員が三万八千何がしかになるということは、私は承知しておるのでありますが、専売公社にはそのほかにもいるというのです。臨時工というような形において、約二千八百人ばかりの定員以外の従業員が専売公社におるように、先般専売公社法の一部改正法律案のときに、私そのうしろに見えておられる専売公社監理官から伺つたのでありますが、その点平林参考人の方から、実人員と定員法による定員との関係はどうなつておるか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  70. 平林剛

    ○平林参考人 正確な数字については、今ここに資料を持ちませんので、お答えできませんが、昨年において約二千名ほどあつたのであります。しかし待遇上におきましては、現在はほかの職員と同じような待遇を受けておりますが、実際には定員法の定員を越えて、これだけの人員が仕事に従事しております。しかもこれらの人がおらなければ、専売の工場においては作業に支障のあるような状態にあるわけであります。
  71. 田中織之進

    田中(織)委員 それでわかりましたが、大体二千名くらい定員をオーバーした従業員がおる。私の承知するところでは、高崎、函館、上徳島等の工場の従業員の過半数がこれらの臨時工の諸君である、こういうように私は承知しておるのであります。その意味において、これらの職員の取扱い問題がやはりきわめて重要になつて来る。これは専売公社の方の関係から見ると、公社の職員ではない。そうなると、これら約二千名の従業員の諸君は、公共企業体労働関係法で規制されないことになるのです。従つて労働三法でやるということになると、罷業権も持つということになる。専売公社関係でも、公社の職員は公労法によつて罷業権は持たないけれども、これらの臨時工の諸君は、当然労働三法によつて罷業権を持つということになると、高崎工場あるいは上徳島工場なんかは、従業員の過半数がこういう臨時工であるので、適法に罷業権が行使されるというような事態になると思う。こうしたところにも、現に政府の言つておる定員法による問題に、一つの矛盾が出て来ておる。私はそこでこれは裁定の問題との関連において伺うのでありますが、待遇は職員と同じだというのです。これらの二千名からの従業員の待遇に関する財源はどこにあるのですか。これは同じ公社労働組合委員長の方から伺いたい。
  72. 平林剛

    ○平林参考人 これらの人の給與等につきましては、私どもは前から主張しておるのでありますが、定員法の関係から、やむを得ずこういうものが出たのである。従つて定員法について、われわれは冷厳な批判を加えておつたのであります。これらの人たちの給與は、いわゆる人件費から出されずして、製造費、その他の費目から出されておるように聞いておるのであります。しかもこれが正しいものでないということを主張し、われわれはこれらの人間がすべて定員法の中に含まれなければならない、こういう主張をしておるわけであります。
  73. 秋山孝之助

    秋山説明員 ただいま平林委員長の話もございましたが、定員外の労務者の給料は、製造費の中の別に見習工員の費用として計上されておるものから、支出されておるのであります。
  74. 田中織之進

    田中(織)委員 この点は私、昨年であつたかと思いますが、大蔵委員会において質問したのであります。確かに一部は製造費勘定にある見習工の手当というものによつてまかなわれておるのです。しかしいわゆる予算上見習工の手当というものは、おのずから三箇月なり六箇月の間に限定をされるもので、そういう見習工がずつと年間を通じて二千人からもおるということは、実に不可思議千万である。確かに事実上は平林労組委員長が申されるように、これはやはり製造費の関係から流用しておる。そこで私はこれは大蔵大臣がおらないので、非常に遺憾でありますが、大蔵省関係政府委員もおられるのでありますから……。私はこの点はぜひ大臣お答え願わなければならぬと思うのでありますが、今度の公労法による裁定に関する問題に関して、人件費については一切の流用を認めぬという、池田大蔵大臣の実に片意地な態度です。しかも専売公社が、現在千二百億からの益金一般会計に繰入れまでするのに、こういうからくりがある事実を、私はいかにこれを大蔵大臣として説明されるか、まずこの点を明確にしていただかないことには、この問題に対する審議に重大なる関係があります。現にこれらの臨時工の諸君は、これは厳密に言えば、別に公労法で縛られないのだから、第二組合をつくつて争議をやれる。そうすれば定員法の定員の増加の問題になる。ことに専売公社というものが、国家公務員でないということは、マ書簡にも明らかである。これは労働大臣なんかもたびたび認めておられるところである。専売公社というものは大蔵省専売局ではないのです。民間から財界人として有名な秋山さんを総裁に持つて来た。今でこそ公共企業体経理は暫定的になつておるが、この点は公共企業体経理に関する新たな法律をつくらなければならぬということは、法律規定されておる。それを大蔵省は出さない。これもとにかく私は怠慢だと思う。そのくせ現内閣の與党である民主自由党では、タバコの民営を主張しておる。民営に移行する一つの過程だと見られるのではないか。そういう点で公社の性格をはつきりさせるという点から、今度の裁定の問題を考えなければならぬと思う。最初に私が公社総裁にお伺いいたしましたように、現に公社が日本の国家財政の再建に大きな寄與をしておるという観点から、私はこの裁定の問題を取扱わなければならないと思う。国の台所を預かつておる大蔵大臣が、この点についての何らの配慮をなされていないということは、われわれ野党たる社会党として、非常に遺憾に存ずるところであります。実際問題としてこういうように公社予算の中でも人件費にあらざるものを、相当多額人件費流用されておる。この事実を私ははつきりしてもらつた上で、どうしても今度の流用が認められないという根拠を、大蔵当局によつて明示していただきたいのであります。この点は公社監理官の方もおられますから、ひとつ大蔵大臣連絡をとつていただいて、この次大蔵大臣が出て来たときに、まつ先にこの点をお答え願うように手配をしていただきたいのであります。  次に堀木さんにお伺いいたしたいのであります。これは先ほどから労政局長に私御質問を申し上げた点でありますが、私らは今度の仲裁委員会専売裁定につきましては、これは当然既定予算わく内で支出は可能だ。こういうように、仲裁委員会の皆さんと同じ見解を実は持つておるのでありまして、そういう点から、これは国会議決を要しない裁定であるという確信を持つておるのであります。その点について仲裁委員会としては、われわれと偶然にも同じ結論に達しておられるのでありますが、そういうような結論に達せられた大きな根拠、その点について、これは第一次の連合審査会で一応堀木さんから承つておるのでありますが、重ねて二つ、三つその点を明らかにしていただきたいと思います。
  75. 堀木鎌三

    堀木参考人 形式的にと申しますか、法律的に見まして、今度の専売裁定については、予算上、資金上可能な支出である、これが私ども考え方でございます。その点については形式にわたり、実体にわたつて申し上げたのであります。つまり政府の方と申しますか――まだ政府の公式な御意見を聞いておりませんが、この明らかな規定を運用されないで、これを国会にかけて、予算上、資金上不可能な支出だというふうなお考えが、大蔵大臣にありといたしますると、考えられますことは二点であります。一つは、財政法上、大蔵大臣予算流用についての承認権を持つておる。それから予備費について大蔵大臣に保管の権限があるというふうな点から、形式的に見ますと、これは大蔵大臣の裁量であるから、その自由裁量の見地から、予算流用を許すべきでないという判断のもとに、予算上、資金上不可能な支出として、国会議決をお求めになつておるように考えられる。これは正式にお聞きしたわけでもありませんので、そういうふうな前提に立つてものを言いますことは、いいか悪いかも問題がありますが、その問題に関しまして、公労法の第十六條にありますことは、前にも申し上げましたように、十六條の前に註として、「資金の追加支出に対する国会承認の要件」という問題があつて、要するにここでいう予算上、資金上不可能かどうかということは、国会の追加承認を要することかどうか、追加支出に対する国会承認という問題が必要であるか必要でないか、こういう問題でものをきめるべきだ、これが私ども考え方の一つであります。  なお字句的にもう一つあげますと、十六條の公共企業体予算上というものは、原文と対比して、支出予算であるということは明らかであります、こういうふうに考えられるわけであります。それから第二段は、政府を拘束するものでない。これはこの條文では、もう政府を公式に拘束するものでないということで、政府はまつたく十六條から第三者的にいるようなことを言われるのでありますが、本来から言いますと、公共企業体労働組合との団体交渉によつてきまつたものについて、政府が第三者であるということは当然なのであります。拘束するのは公共企業体労働組合であるということは当然でありますが、ここにわざわざ拘束するものでないというのは、公共企業体が、この国会議決を要しなければならない、つまり今までに議決をされた中で出すものについては、政府を拘束するものということを言わんがために、政府を拘束するものでないと言つているということに解釈するのが正当である。ことにその点につきましては、公社と組合との間には、既定予算の範囲外で協定が結ばれることを予想しておりますから、第一項の後段でもつてこういう規定ができている。それから第二項におきまして、そういう議会の決定を経ました予算の中で支出できないものについても、政府はかつて判断をしないで、十日とか、五日以内に出して国会承認を受ける。つまり期限付で――荏苒政府のかつてなことで日にちを延ばすということは、労働者の権利を擁護するゆえんでないという観点から、こういうものをお出しになるので、この第二項が出て参つておるのであります。その場合には、その効力は、記載された日付にさかのぼつて効力を発するものとするとありまして、それが今申し上げたように、わざわざ生きて参るというように、私ども解釈するのですが、それに対しましてどうも大蔵大臣の今回の場合は、大蔵大臣流用権、つまり公社総裁独自でできることに限局されようとしておるのではないか、という考え方になるのであります。その点につきましては、私ども大蔵大臣財政上の権利というものをもつて、国民の私権を侵すことはできないと思います。これは明らかであります。そのときに大蔵大臣は、おれの自由裁量だからといつて、かつてに自由裁量を何でもしていいように考えて、おやりなさることは間違いで、やはりこれは法規裁量で、法規によつて考えになるべきである。特に公社と組合とを仲裁裁定が縛りますと、私権が発生いたします。財産上の権利が発生いたします。その権利を大蔵大臣が、自分の御都合から出すとか、出さぬとか言われるべき性質のものではない。はたまた財政上の大蔵大臣のああいう権利は、行政上の手続規定であると考えられるということが、私ども考え方であります。  それからもう一つ、今まで申し上げませんでしたが、賃金の問題については大蔵大臣の自由裁量で、どうしても、何と申しますか、出さないのであります。そういう政府考えがここに現われておることは、さきに今井委員が申し上げましたように、今度の予算総則において、さらに制限されるような規定ができておりますが、根本にさかのぼつて考えますると、この公労法によりましても、団体交渉が理由の大部分を占めている。団体交渉の対象に賃金ということが書いてあります。公労法の第八條において団体交渉になり得る。そうして労働協約を締結することができるものはいろいろあるが、そのうちに賃金という問題があるから、これを御考慮願いたい。これを大蔵大臣の自由裁量で奪うことはとてもできない。ことに裁定が起りまして、両者間に労働協約が締結されたと同様の効力を発生しているときはなおそうである。こういうふうに具体的に裁定が起りますと、その問題が起るのであつて、両者を拘束する制限、つまり約束に反抗し、契約書に反抗したと同じことになると考えます。それで私どもとしては、今申し上げた理由考えて参りますと、今度の裁定は形式的にも十六條の問題があります。それから実質的に予算内容に入つてみますると、これは私がつべこべ申し上げまするよりは、ここにおいでの秋山総裁自身が去年の十二月二十八日に、予備費を入れまして四十億の移用、流用の金、あるいは不用額に立て得る金がある、そのうちで一億二千万円出したいとおつしやつておるのですから、これも既定予算の範囲内で金のあることを、総裁みずからが裏書きしておられる。  それからもう一つ問題になりますことは、予算の歳入歳出から出ました益金が、一般会計の納付金になつておるわけでありますが、この歳入と歳出の結果、四億八千百万円一般会計の納付金が減るというふうな御計算が一応立つているようであります。しかしこの点に関しましては、私どもこの十六條におきまして、まず法理的に考えまして、これは議会で議決をした支出予算、つまり経費の歳出予算ということが形式的に言い得るのであります。もう一つは歳入自身についても、今井委員から詳しく申し上げましたように、タバコのうちで歳入の調節によりまして――今井委員は非常にうまいことを言われたのですが、タバコを半日分くらい小売商人に売りさばくかどうかで済んでしまうというようなことで、ともかくもごくわずかな操作でもつて、歳入面についてふえ得る見込みがあるし、のみならず今までの月別の売上げから見ますると、一、二、三月の売上げを相当悲観的に見ておられる。また歳出面で見ますと、過般来しばしば言われましたように、いろいろ項目はあげ得るのです。たとえば人件費におきましても、そのほかのいろいろな各種の経費につきましても、当つてみますと、いろいろとこまかな経費でもつて決算に相ならないというものも考えられますが、ともかくも大きな問題としては、塩の売上げが悪くて、歳入において十五億の欠損を――欠損と申しますか、歳入予定額より少く売れるということを見込みながら、塩については十四億さらに移用、流用によつて歳出をなさろうとしている。しかもその塩は翌年度に財産として持つて行くべきものである。そういうものが歳出になつておるのでありますから、そういうものとの調節からしても、一億二千八百万円は歳入歳出の差引計算で、一般会計への納付金を考えましても、私どもとしては十分できる問題であると思う。それは法律上必要がないことでありますが、一応実体的に見て、政府の本年度の予算執行の上に支障を来さないだろうということが、事実問題として言い得ると思う。以上のような法律上の問題及び実体的な問題から見まして、この問題は予算上、資金上可能な支出だと私どもは断定いたしておる次第であります。
  76. 田中織之進

    田中(織)委員 ただいま堀木さんの御説明でわかつたのでありますが、問題は、昨日の民自党の大橋委員堀木さんとの質疑応答によりますと、大蔵大臣流用権によつてこれを認めないということは、十六條一項の場合における支出不可能だという一つの事実を形成しておるのだ、従つてそういう観点から国会に現に出されておるから、公社の方はこれの支出は一切できない、十六條一項の後段規定からそういうことになるのだ、という論旨のように承つたのであります。しかし、ただいまの堀木さんの御説明から私の解釈を申し上げますと、今度の案件が、国会行為を求めて来ているのではないことは、裁定の主文並びに理由その他から見ても明らかである。従つて私は午前中労政局長との間にも質問応答を重ねたのでありますけれども、これは国会行為を必要とするのではなく、政府行為によつて可能な関越であるというように、この仲裁委員会裁定を理解いたしておる。この点はただいまの堀木さんの御説明で納得できますが、そういう建前から申しますと、大蔵大臣流用を認めないという不承認によつて、決して公社の方は債務履行を妨げられるものではないという解釈を私はしなければならぬと思う。従つて国会行為を求めて来ている場合には、国会の所定の行為がなされるまでの間は、公社の方は十六條一項の後段によつて、「そのような協定に基いていかなる資金といえども支出してはならない。」という規定が生きて参りますが、国会行為を要求して来てない。従つて私は、公社の方としては、国会のこの問題に対する議決があるなしにかかわらず、裁定による債務の履行をしなければならない義務があるし、また労働組合の方としては、この仲裁裁定に基いて、公社の方が支拂いができないということがはつきりいたしまするならば、当然債務履行の強制執行をしたらいいと思いますが、その点について、公社の方は支拂いの意思があるかどうか。また労働組合の方としては、この裁定に基いて、債権の確保のために法的な手続をとる用意があるかどうか、この際承つておきたいと思います。
  77. 秋山孝之助

    秋山説明員 私はたびたび申し上げましたが、ただいま御質問のような支拂いの意思はないのであります。それゆえに昨年の十二月の二十八日に、これの申請を出した。財政法規によつて私は進退を決したのであります。
  78. 平林剛

    ○平林参考人 専売労働組合としては、ただいま御質問の趣旨にありましたような見解、それから仲裁委員会の方々のいろいろな発言等から見まして、当然われわれは公社に対して、それを要求する権利があるものだと考えております。だから、すでに東京地方裁判所に対しましても、この債務を履行することが必要である、こういう建前から三月の二日に民事訴訟を起しております。
  79. 田中織之進

    田中(織)委員 ただいま堀木さんの御説明の中でも、また午前中の公社の方の計算でも、約五億近い歳入不足を生ずる計算になつておるというお話があつたのでありますが、これを今井さんは、たしか一昨日でありましたか、きわめてわずかの努力によつて、こうしたものを埋めることができるということを申されておつたのであります。労働組合委員長に伺うのでありますが、この程度の裁定が、きつぱり迅速に履行されるということによつて、労働能率を上げてもらうとか、そういうような労働組合側の努力によつて、一応予見される五億近い歳入の不足の分、そういう点について、何か能率増進その他の点でカバーできるというお見込みがありますかどうか。また公社総裁として、公社計算では一般会計への繰入れについて、この程度の不足分が生ずるんじやないかと言いますが、それは何とか経営上卓抜した秋山総裁の経営努力によつて、それを捻出する可能性というか、期待が持てるかどうか、この点についてお答え願いたいと思います。
  80. 秋山孝之助

    秋山説明員 私は予算の取扱いについて、まことにふなれでありまして、その操作上――昨日ですか、仲裁委員の一人から、役所の予算というものはどうかなるというようなお話があつたのでありますが、私はまつたくそういうことについては、しろうとでありますので、予算の操作等によつて捻出するとかいうことは、私は毛頭考えてない。それから仕事の上においてごくささいな点等をかき集めればささいではありましようが、若干出るだろうと思いますけれども、それは決算してみないと、なかなかわからぬことでありまして、ただいまもう年度も差迫つておりまして、これからどういう操作をしても、何億という金を捻出するような自信も持ちかねるのであります。それでこれは、やはり一人に費目の流用ということからやつて行きたいという考えを持つております。大体私の考えは、非常に用心深いといいますか、あまりできないことを前もつて申し上げるということは、しない流儀であります。そういう考えでやつておるということを御承知を願いたい。
  81. 平林剛

    ○平林参考人 今の点は、私どももやはり労働者として人間でありますから、そういう建前からは、生産意欲という面について非常な影響がある。こういう建前からいいますれば、専売公社総裁が先般発言をされまして、一億二千八百万円を支出することが公社の経営上よろしいのだという意味は、従業員の生産意欲という面に重点が置かれておるものと考えます。私どもがいろいろ政府の説明を受けたり、ここにおいて與党の方の質問等をお聞きいたしておりますと、もし諸般の事情――ということは、政策的、政治的なもので法律を無視してしまう、こういういう面から見ますれば、私はむしろ組合員の心理的な影響なり、生産意欲なりには、法律を無視せずして、法律上の合法的な手続をふんだ結論を尊重してもらうことによつて、相当の影響があるように考えます。特に専売益金理由で、反対をされておる向きもあるのでありますが、これは総裁が先ほど発言されましたことでも明らかでありますし、われわれといたしましても、今一年間に千二百億円の益金を、わずか四万の組合員でもつて鋭意努力しておるのであつて、こういうような国家的な位置についても、十分自覚をしておるのであります。もちろんタバコそのものは、ほとんど国民大衆から税金を取上げる道具に使われておるようでありますが、これはまた別として、少くとも千二百億の財源を国家財政上に與える位置、これは私ども深く認識をしておるものであります。そうしてわれわれは、今までの生産に対する考え方も、そういう建前から、公社に協力をするような建前をとつてつたし、こういう千二百億という財源が、日本経済の再建のために、どのような位置にあるかという自覚から働いて来たのであります。しかし今のような状態になつて参りまして、組合員は、私が第一日に申し上げましたように、政府に対し不信を抱くし、法律に対しては疑義を持つし、団体交渉に対してはあたかも否認されたような、賃金の問題については何もできないのだというような考えを持たせられるようになつて参りますと、たとえば明昭和二十五年度における製造数量についても、どうも組合員の生産意欲という面からは、私も自身が持てないようにおもうのであります。特に今の組合の実情から申しますと、このような情勢になつてしまつた場合、われわれは一体何を信頼してよいのか、こういう建前から非常に組合員の動揺ははげしいものがあるのであります。特に私どもは、今来年度の製造本数八百億と仮定いたしまして、千五百七十二億というものを負わせられる任務があるのでありますが、一時間当りにいたしましても、三千百三十万本、一時間当り六千七百七十一万円という收入を、機械的に考えた場合でも課せられておるのであります。しかしこれだけの收入をあげるにいたしましても、少くとも来年度は、定時間よりも四百十八時間も超過勤務をしなければ、できないような仕組みになつてつて、こういうような自分たちの労働條件を越えてまで働くことを、なぜする必要があるのか。われわれいくら働いても、千二百億という一つの益金を與えられれば、たとえば途中でもつて何か非常な災害があれば、専売益金が得られないから、たこの足を食うようなことをしなければ、自分たちの待遇も改善できぬ。来年度は予算の総則によつて、やはり賃金はこれ以上にできないのだ、いくら団体交渉してもむだだ、当てがいぶちだけで、お前はこれだけのものをやつて行けと言われたところで、なかなかできるものではありません。そういうような建前から行きましても、われわれは今後の政府に対する考え方にも、相当重要な影響を與えるであろうと考えるのであります。特に今組合としては、今度の裁定の問題については重大な関心を持つておりまして、こういうような段階になつたならば、われわれは今までのような超過勤務までして行う必要があるだろうかこういう疑問まで持つておるのであります。こういう点は、どうぞ法律を守つてそうして国家財政に寄與する、こういう建前を持つておる組合員に対して、不信の念を抱かせたり、あるいは生産意欲に減退を感ずるような影響を與えるような結論にならないことを、重ねてお願いしておきたいものであります。
  82. 倉石忠雄

    倉石委員長 本日はこの程度をもつて散会いたしまして、明後十三日午前十時より引続きこの連合審査会を開きまして、政府当局及び参考人各位の御出席をお願いいたし、質疑を進めたいと存じますから、本日御出席の参考人各位は、御足労ながら明後十三日午前十時より御出席をお願いいたしたいのであります。右御了承をお願いいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時二十五分散会