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1950-04-21 第7回国会 衆議院 労働委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十一日(金曜日)     午後三時二十三分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 大橋 武夫君 理事 島田 末信君    理事 青野 武一君 理事 春日 正一君       麻生太賀吉君    天野 公義君       金原 舜二君    船越  弘君       松野 頼三君    柳澤 義男君       柄澤登志子君    岡田 春夫君  委員外出席者         労働事務官         (澁谷公共職業         安定所長)   坂田虎七郎君         参  考  人         (東京土建一般         労働組合執行委         員長)     伊藤  清君         参  考  人         (東京一般労働         組合書記長)  白川推二郎君         参  考  人         (城北千住労働         組合執行委員         長)      菅野 四郎君         参  考  人         (東京土建一般         労働組合澁谷分         会書記長)   石崎 光夫君         参  考  人         (五反田自由労         働組合執行委         員長)     酒井 愼作君         参  考  人         (東京土建産業         労働組合常任執         行委員)    沖田 正人君         参  考  人         (川崎土建労働         組合執行委員         長)      田代 フデ君         参  考  人         東京事務吏員         (東京労働局         長)      林  武一君         参  考  人         (全国公共職業         安定所職員組合         連合会執行委員         長)      熊川 廣衞君         参  考  人         (全国公共職業         安定所職員組合         連合会書記長) 野々山敏夫君         專  門  員 横大路俊一君         專  門  員 濱口金一郎若     ————————————— 四月十九日  失業者生活資金融資に関する請願加藤鐐造  君紹介)(第二六九七号)  失業救済事業及び公共事業拡大に関する請願(  加藤鐐造君紹介)(第二六九八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  労働事情に関する件
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいまより会議を開きます。  前会に引続きまして、労働事情に関する件を議題といたし、日雇い労働者求職運動実情について調査を進めます。  この際お諮りいたします。一昨日の理事会で決定いたしました通り参考人として東京労働局長林武一君、全国公共職業安定所職員組合連合会執行委員長熊川廣衞君、同副委員長後藤克巳君、同書記長野々山敏夫君。次いで各職業安定所別労働組合代表として、酒井愼作君白川推二郎君、石崎光夫君、沖田正人君、菅野四郎君、田代フデ君、伊藤清君より意見を聽取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議がなければさよう決定いたします。  これより日雇い労務者求職運動について実情ないし説明を聽取することにいたします。  この際委員長といたしまして、本日御出席関係各位にごあいさつ申し上げます。目下当委員会においては、本件に関し多大の関心を持つて調査中でありまして、各位にはこの趣旨を了とせられ、忌憚のない御意見の御開陳をお願いする次第であります。本日は主と、して労務者側の御意見を承りたいと存じますが、会議の運営上御意見の発表は十分程度とし、その後において委員諸君より質疑のあることと存じますが、これに対しても腹蔵なき御回答を願います。一本日御多用中のところ御出席くださいまして厚く御礼申し上げます。それでは伊藤清君より御意見をお述べ願います。
  4. 伊藤清

    伊藤参考人 東京土建一般労働組合委員長をやつている伊藤であります。たただいまから、労働委員長のお言葉に従いまして、現在起きているところの各安定所における状態を申し上げます。  これは昨年以來失業者の非常な激増と、それからそれに対する失業対策がまつたく欠けておる、こういう面でもつて、いろいろ問題が起きております。従いまして、これは一昨日問題にされましたような形で、この現象あるいは部分的なものだけを取上げたのでは、今後ますます混乱がはげしいのではないかと考えます。それで東京の例をとりましても、失業者工場から首を切られたとか、あるいは今まで何らかの形で仕事をやつておられた方が、最近仕事ができなくて、はつきりと安定所に来ております。または商店がつぶれまして、商店の階級の人たち、こういう人たちが毎日続々と安定所に参つておるのでございますが、残念なるかな一昨日林労働局長が申されましたように、小さな予算わくをきめておりますので、ここでは十分に処理できない、こういう観点から、各窓口の職員方々は、安定所に参られても仕事がないというような言葉でもつて帰しておるのであります。このためにその帰りには—特に例ををとりますれば、澁谷西南支部という事務所へは、その人たちが泣いて訴えて来て、何とかしてもらいたいというような形で参つております。組合でもこういう点は取上げまして、十分に交渉もし、いろいろやつておりますが、はなはだこの点は十分ではありません。それから一昨日、やはり川崎安定所長さんの方から報告がありましたように、十月ごろは一〇〇%就労である。しかし十一月になつでは六〇%、十二月になつては四九%、一月になつては二九%の就労率きりない。こういうふうにかわつて来ておる。これは失業者がそれだけわくを越してふえている、何割かふえているということが明らかになつておる。しかしながらこの失業者対策というものが、一定わくを非常に小さく限定しておりますので、一〇〇%の就労率が、現在では二十何パーセントというような状態川崎では出ております。しかし地方の農村の経営難とか、あるいは工場がつぶされたとか、こういうものが東京地方からどんどん集まつておりますので、上野の安定所の例を見ましても、非常に地方の人が参つておる。こういうようなかたまりが、各安定所へ、地方よりも一層東京にはなはだしく現われておるわけなのです。しかしこれが不十分なために、安定所では登録を拒否される。そのために、亀戸の例を見ましても悲惨な状態、あるいは新宿の例を見ましても、親子が就労登録をもらいに行つても、それがあいにくと昔興行師をやつていたために、昔はいいんじやないかというような一瞥的な態度でけられたために、家には病人を抱えていて、一緒に行かれたせがれが、登録を拒否され、家の事情も考えまして、いろいろ悲しだんあげく自殺をした。しかしこれは幸いなるかな助かりまして、自殺未遂でもつてつておりますが、こういうような状態や、あるいは一枚の登録をとるのに三千円の値打があるとか、あるいは大森においては千円くらいの相場であるとか、川崎においては一日の登録券を借りるのに、百円の相場がついておるというような現象すらも出ておるのであります。こういうような状態を一日も早く何とかしなければならない。これはお互いに困る者同士の立場から何とかしなければならぬ。もちろんまた国家におきましては、政治的な問題として、これは一日も早く処理しなければならない状態に追られておるわけなのであります。その失業者人たち生活は、皆さんの想像ができないほど、その日のことが問題になつております。そのためにこういう人たち安定所に押しかける。われわれ組合では、こういう者に対して親切に導いてやる。こういうような方向から、この失業者の現実的に困つでおる問題を、何らか違つた形でもつてごまかすのではないか。最近では警察をかつて警察官彈圧でもつて、その人たちほんとうにその日の問題が、処理できないような方法がとられつつあるのではないかというような心配を、私は持つておるものでございます。池袋におきましては警察官の方がたくさん來、あるいは暴力団の人たちが百人くらいも来まして、この悲しい状態婦人人たち登録をとりたいというのに対して、酒を飲んで妨害をしておる。しかもこれには警察官の方もただ笑つて見ておる。こういうことに対してわれわれの組合の者が一応注意をしても、警察官の方は何ともしない。しかし東京土建一般の者の交渉が非常に長引きまして、そうしてその失業者皆さんの、その日の問題を何とかここで一応安心のできる目途を持つて帰りたいというお気持に対しましては、断固押しつけるような、彈圧というような形に出ております。これは  澁谷におきましても露骨に出ております。しかも六十三になるおばあさんが檢挙されておりますし、地方から出て來まして澁谷の駅でおりた、こういう通行人までも檢挙するというようなばかげたことが、澁谷においては行われました。こういう状態の中で、たとえば新宿においては、区役所仕事をさしてくれといつて、去年の八月に行つたときには、そこで悲しい自分たちのみじめな状態を訴えて、ほんとうに区長さんに何とかしてもらいえいという者に対して、職員の方は机を持つてそいつを廊下へ押上出して、しかも小使さんが一人の婦人に対して、このやろう女のくせになまいきだと言つて階段から突き落し、それが階段からだんだん落ちて行きまして、最後に警官棍棒でもつてぶたれたのか、その棍棒にさわつたのか知りませんが、全治一週間の傷を受けております。こういうようなことも、まだ現在裁判も進んでおりません。しかしわれわれの方は、失業費の苦しい状態を、そういう警官の力でもつて問題を抹殺しようとしても、これはますます問題が紛糾するのではないかと考えております。一昨日の林労働局長の御意見の中にも、一定わく、あるいは川崎におけるところのああいう就労のだんだんかれて行く状態、こういうものを見ましても、林局長が今まで局長としまして、労働行政あるいは失業対策に対して、もつと真剣にこちらの国会の労働委員会の諸先生とまたこの労働委員会の諸先生も、問題をこういうことでもつて取上げるのではなくて、もつと早く安定所に、悲惨な状態を実際に朝早く行かれて調べられて、それでほんとう失業対策を打立てられてくれれば、去年から私たちが一生懸命にやつて来ておる問題が、もつと簡單に片づいたのではないかと思う。職員の方も、失業者の方が非常にあばれるので、生命あるいは身体に非常に脅迫を感じておると言いますけれども、実際上失業者がどんどんふえて来るような状態がある中では、職員をどんどんふやさなければならない状態があるのに、職員も減らしております。こういう問題は失業者をどうなくすかという根本的な問題から討論をやつていただかないと、そのうちのほんの一部の、しらみ戰術であるとか、やれ薬品戰術である、そんな問題で取上げたのでは、失業対策の何らの参考にもならないと私は考えます。時間がないそうでございますから、あと質問のときに具体的な問題を述べることにいたしたいと思います。
  5. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは白川推二郎君。
  6. 白川推二郎

    白川参考人 私、大森職安におる白川であります。現場実情を少しお話させていただきますが、その前に今一番起つている問題は、失業救済事業に働けるようにしてくれ、職をよこせと各安定所皆さんが押しかけている。これを新聞紙上では職よこせ鬪争その他の名前で呼んでおりますが、この職よこせ鬪争が、鬪争として名前は呼ばれているけれども、実際に手帳をもらえなかつたときに、どういうことが起きたかということを一つ二つお話させていただきます。  一つは未然に防ぎましたことでありますが、私があるところへ行つておりました。そこで一人の男に会いましたが、その男が安定所へたびたび行つてみるけれども、手帳を出されなかつた。そのために、首を切られてから昨日まで、一家族五人だつたが、線路の上を一家心中するつもりで歩いてまわつてつたということです。そこでそれはたいへんな話だ。ところで安定所へ参りましたか。行きました。ところが手帳をくれなかつたという話であつたのであります。あすの朝早く来てください。次の朝さつそくその人と安定所に参りまして、話しましたところが、すぐ承知してくれまして、手帳をもらえました。しかしこの問題も、もしも手帳がもらえなかつたら、どういうことになつたかわからないと思つております。  もう一つ、この人たちはどこの刑務所か知りませんが、おそらく刑務所に入つておると思います。私は今品川のテントホテルと申しまして、テントで囲つておるところに入つております。そこに百人ばかりの人間がおりますが、たたみはなし、ふとんと言つてせんべいぶとんで、子供のふとんみたいで、足を伸ばせば外に出てしまいます。そういうところで一晩三十円、四十円、五十円とられております。飯代はもちろん自分持ちで、入らぬですが、そこに私たちと同じように寢ている者で、手帳をとりたいというので、方々安定所を歩いてまわつた。ところがお前は一人者であつて若いのだから、そういう失業者の中に入らずに、一人前の仕事らしい仕事をとれと言われて、やむを得ずそこらのボスの組へ直接頼んで入つていたのでありますが、そういうところは毎日仕事がない。雨が降ると仕事がない。一定事業が切れると、仕事がないというふうになるのであります。ところが仕事がなくて休みだと言われる。仕事は休んでも胃袋の方は休まないのであります。ですから、そういう人たちはどういうことをするか。やはり悪いことをするのであります。初めのうちはそこらの棒とかガラスとか、そんなものを拾つておりますが、そのうちに所有主のあるものもとるようになつて参ります。そのために百人ばかりおる中に、二人窃盗とか脅喝とかで、今度のダニ狩りで送られております。これはほんの少しの例でありますが、その次に現在大森安定所で起つている求職の状況を申し上げます。  これは大森に限らず、至るところで起つていることだろうと思いますが、まず大森—大森大田区でありますが、あそこは工場が多いところでおそらく日本一だろうと思いますが、その工場が次々につぶれております。そのためにそこから失業者が出て来る。給料の遅配、欠配、工場にいても給料がもらえないというので、たくさん安定所へ参つております。その次には中小商工業者、この人たちもやはり参つております。商賣がつぶれるというので参つております。それから焼けた人、戰災者たちも参つております。それから国鉄その他で首を切られた人たちも参つております。この人たち平均にどのくらいになりますかというと、三月の数字安定所で伺いますと、一旦平均約六十人と称しておりますが、大体月二千人、このうち登録手帳をとる者はどのくらいあるかと申しますと、ほとんどないのであります。数字によりますと、昨年の十一月から今年の三月までの間に約五百人くらいしかないのであります。最近に至つてはあまりなくなつております。私は仕事がほしいといつても、現在仕事がないから手帳は出せないと断られている。毎日安定所行つておりますが、あそこで求職票をもらつて自分仕事がほしいのだ、年齢とかその他のことを書いて出しておりますが、実際にあそこで手帳をもらえる人は、ほとんどないのであります。その理由は、安定所としてはもはや限度になつておる。自分のところではどうしようにも処置ができないのだ、政府の方から予算が実際来なければどうにもならないという、いつでも予算の面を申されます。この予算の面でありますが、一般公共事業予算が来ておる、こういうことを言つておる。実際通過しているはずでありますが、それが下の方まで来ていない。来るのはいつか。例年なら八月ごろだから、八月ごろになつたら来るのじやないか、これは事業官庁の話であります。ともかく手帳はとれない—大田区は特例であります。女の人は昨年の1月からほとんど出してないと思います。お隣の五反田の方では約百名くらい出しておるそうでありますが、各事業官庁によつては、草刈りの仕事だとか清掃だとか、そういうことは男でなくてもよろしい、女の方が手まめでよろしいということもありますが、女はとることはできないというように言われておる。こういう話であります。書類を見せていただきたいと思いましたが、まだ見せていただいてはおりません。そういうふうに多くの人はとれな い。しかし五反田の方はとつております。この点不可解であります。私たちとしても、今組合がいくつもわかれておりますために、当局との間の交渉も不十分で、労働者方々には申訳ないと思いますが、女の人はとられていない。たとえば未亡人、戰災者という人たちなんかも仕事がない、安定所に行くと内職を上げようと言う、ところがその内職といつても、外国に行く造花をつくる仕事なのです。一日朝から晩まで働いて三十円から三十五円、月一ぱい働いて六百円から七百円、こういう内職は金を持つている人でなければできない仕事です。これで食つて子供を育つて行こうなんという人は、とてもできない、そういう仕事しかもらえない。この人たち何度も何度もやつて来る。こういう問題を含めて、あの新聞大森の職よこせ鬪争といわれるところの、登録手帳をもらいたいということが起きたのであります。この当時のことについては、この間こちどの方でいろいろ御事情をお聞きになつておりますから、御質問があつたら、私その当時おりましたからお答えいたしますけれども、とにかく安定所自体のやつておることについても、いろいろ問題がありますが、特に一番問題になるのは予算がない。あつてもそれがやつて来ない。実際には予算通つてつて、いろいろ仕事はあつても、それが出て来ない。これが問題だと思います。それからまたあそこの安定所に来ておる労務者を、全部無技能労働者と称しております。ところが安定所に来ておる労働者技能のない人たちばかりではないのであります。技能のある人がたくさんおる。緊急失業対策法の無技能労働者と称しておる者は、だんだんなくなつて来ているのだ。少くとも東京都内においてはなくなつて来ているのだ。だから失業者を救済することは、予算の面からばかりでなくて、事業の面からもできない。こういうことをいわれるのであります。ところがわれわれはそう考えていない。技能のある人はたくさんおる。また技能のいらない仕事もたくさんあると思うのであります。そうして技能のある人を、技能の必要な部面にどんどん向けたらいいと思う。そのために一般公共事業なりをどんどん興して、失業救済事業なんかは少くてもいいから、ほかの事業を興してもらいたい。こういうことを言つておるのであります。事業官庁の方もほぼ了解しておるのでありますが、何分にも今までの国家の政治が、その方針に進んでいない。それよりむしろ現在工場や、事業場ではどんどん首を切つておる。これが一番問題である。技能のある人が、どんどん技能のいらない仕事をさせられる。自分に向かない仕事をさせられて能率は低下して来る。これに対して町の人々は言うのであります。われわれの税金がこんなに働かない人たちのために使われるのは非常に残念だ。そういうことをどんどん安定所に投書しておる。ところがこの人たちは働かないのではなくて、朝のうちは自分の行く現場がきまつてない。朝のうちに票をもらつて、次々にまわされて行くのであります。何の仕事をするのかわからない。その間に二時間も三時間も立ちん坊をしてしまわなければならぬ。それで疲れてしまう。役所に行くと、役所仕事場所に行くまで三十分も一時間もかかる。そういうふうに時間がかかる。だがら働く場所行つた場合には、ほんの少ししか働く時間がない。労働者としては、それよりも直行させてほしい。現場行つてすぐ働かせてほしい。こういうことを言つておるのでありますけれども、これも今のところ許されておらない。いろいろな要求はたくさんあるのでありますが、ともかくも現在政府に入つている情報が、安定所だけを中心として入つている。今度のようなときにも、労働者は今度初めて呼ばれたのでありますが、あまりにも意見を述べる時間が短かくて、結論らしい結論は一人では出て来ない。たくさんの人が集まつてその結論が出るだろうと思いますが、時間がないそうでありますから、私としては現在の失業をさせるような政策をやめてほしい、そしてどんどん産業を興して、そちらの方に余つている労働者を使つてほしい。われわれは働きたいのである。これについて皆さんによく討議していただいて、国家方針としてわれわれを働かせるような、復興させるような方針に向つてほしいということをお願いしておきます。
  7. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは菅野四郎君。
  8. 菅野四郎

    菅野参考人 私は城北千住労組菅野四郎というものであります。今白川君がおつしやつたように、実に労働者現状というものは、非常な困窮に陷つている。われわれは毎日就労して二百四十二円—二百四十五円なのでありますが、三円を保險にとられて、二百四十二円の手取りで、それを賃金としてもらつております。だがアブレもときどき出て、われわれの收入は六千円くらいなものです。結局われわれのものらつている收入は、われわれの一家をささえるに対して非常に少い。要するに安定所では六千円でわれわれを就労させている。そうして登録させるのは、大体家族がよけいいて、一人で働いて一家をささえているというような者だけで、あと登録を拒否して受付けていないということであります。われわれは六千円もらつてこの状態をささえていながら、さらに大きな失業者がわれわれの中へ入つてくる。そうしますと、今度は二日に一ぺん、三日に一ぺん、四日に一ぺんというようなぐあいに、だんだん就労日数が少くなつて参るのであります。それで国家では四十億の失業対策費というものを出して、われわれには第一期において十億をきめられたそうでありますが、大体この十億の予算というものは、現在においてわれわれが就労するだけの予算でしかない、こういうようなことを、林労働局長あたりに聞きますと言われた。現在のわれわれのもらつている十億というものは、われわれの労力に対して與えられるもの—それから出ましたところのいろいろな労働賃金は、都市で三分の一を消耗されているという状態であります。現在では十七箇所の職業安定所がありますが、その中で足立は現在三千人ばかりいます。登録を完全に受付けると幾らぐらいの者が就労手帳をもらうかというと、五千人ぐらいになるそうであります。現在三千人くらいの者が就労しておりますが、すぐに就労手帳をもらえば五千人ぐらいにふえる。東京都全体では三万人をちよつと欠けておりますが、これが五万人くらいにふえるのはすぐのことである、こういうのが現状であります。そうしますと、もうすぐにわれわれの方へ登録に入つて来るということになりますので、今度は二日に一ぺん、三日に一ぺんというふうに、われわれの方にあぶれが出て来るわけであります。御存じの通り、われわれがそれを抱き込んであぶれをするということは、われわれの二百四十二円の実情では非常につらいことで、とうていこの現状では、われわれはそういう者を抱き切れる状態ではないということ、国家がもつと予算を出してくれるか、さもなければ、われわれの範囲をもつと合理化されて、われわれの二百四十二円が毎日確実に—日曜までも働かなければ食えないというわれわれの状態を確実に維持してもらうように御努力願いたいと思います。なぜかと申しますと、われわれが現状においては非常な窮乏にあるといふこと、それから十億の予算をきめられたが、われわれはこれ以上増してもらわなければ、そのために、もう明日からあぶれがよけい出るということ、そういう点をよくごしんしやく願いたいと思います。上層官庁では合理化といつて首を切ることができます。私らの方は首を切ることができない。今日百人入つて来て登録をし、そうして割当をする。そうすると明日から百人があぶれる。明日また二百人登録が入つて来る、予算がないから三百人あぶれる、こういうような状態で、われわれを根本的に助けてもらうような政策が一つもない、これが非常に不服であるということであります。要するに官庁は合理化して人の首を切つて、それによつて自分たちのものが守れるかもしれませんが、われわれのところは、どんどん入つて来て、大きくなればなるほど、三日に一ぺん、四日に一ぺんしか就労ができなくなつて、そのために非常な困憊に陷るのであります。今度失業保險が実施されて、雨が降つたり、あるいは就労ができなくなりますと、もらえることになりました。しかし失業保險というものはわれわれに対しては恩恵も何もない。なぜかと言いますと、五日も一週間も連続して確実にあぶれなければ、失業保險がもらえない。われわれは五日も一週間も連続してあぶれたり、確実にあぶれなければならないというほど、ゆとりのある状態でないということ、もし今日二百四十二円もらえなければ、今日食えないということを、皆さんに御記憶願いたいと思います。従つてわれわれは失業保險の改正を願わなければならないと思います。それから必ずあぶれなしに百四十円でも百五十円でも、今日一日おかゆをすするだけでもいいから、われわれのめんどうを見ていただきたいと思います。それほどわれわれは押し詰まつたところまで来ているということを御記憶願いたいと思います。失業保險をあぶれた日にわれわれにくれるということにしていただかなければ、私どもは雨が降れば仕事ができない、仕事ができないといつたつて、われわれはその日に金をもらつて行かなければ、うちへ帰つて配給もとれないので、何とかしなければならない。従つて雨が降つてもかまわない、病氣になつてもかまわない、全員に仕事をさせろ、こう言つて押しかける。それをだめだといつて断わられれば、われわれは銭を持たないために悲惨な目にあわなければならぬ。これを何とか解決して、たといその日一日失業保險の半分でも、あるいは六割でも、それだけでもわれわれは握つて帰れば、あの雨の中をわざわざスコツプをかついで、ぬれて就労しなくても済むのではないかと考えております。政府はその点われわれの意向をよく御聽取願いたいと思います。それから今言いました通り、われわれの範囲はもうブームが来て入つて来られない。林局長のお話では、もう一ぱいになつてしまつてこれ以上は追加予算をするか、あるいはいろいろものを出して来なければ、もはや一ぱいになつてしまつた。しかしわれわれはもうこれ以上あぶれることはできないから、何とかしてこの問題はほかの方法で解決してもらいたい。ある所でこういうことを言われたことがあります。あなた万は公平に乏しさをわけ合うのだ、新しく就労手帳をとつて、それによつて君のところへ入つて来るのを拒否することはしてはいけない。公平にわけ合うといつても、われわれの方へ入ればブームが来る、そうすると輪番制になる、だから職業をある程度合理化して行つて、よけいに余つた人たちは何とか国の方で考えて、方策を立てていただくことをお願いしたいと思います。簡單に言いますと、技能のある者など、いろいろ取捨選択して、合理化された組織をつくつて、それによつて賃金あるいはいろいろな面において ごしんしやく願したい。なぜ私がこう言うかといいますと、年寄りでも、女でも、りつぱな体格の男でも、家族三人持つてつても、一人でも、だれでもとにかく二百四十二円拂う、こういう不合理なことによつてわれわれ労働者を把握しないでほしい。そうしないと、労働意欲に燃えている者も、そうでない者も、だれでも、二百四十二円もらうということが、われわれの労働意欲を非常に損じている。われわれの生活の根底は御承知の通り二百四十二円で、これは最低の線であると思います。それ以上に技術者とか、あるいは労働意欲に燃えた者は特に御考慮願つて、もつと働いて、もつと金のとれるようにしていただきたい。こういうことをお願いいたします。はなはだ簡單ですがこれで終りたいと思います。
  9. 倉石忠雄

  10. 石崎光夫

    石崎参考人 私は澁谷公共職業安定所日雇い労働者をやつております石崎であります。今の私たち失業者日雇い労働者の苦しい立場というものは東京土建の委員長を初め二、三の参考人によつて大体の概要は申し述べられております。私の所属しております澁谷におきましても、やはり同じような状態であります。特に澁谷職安は、全都的に見ましても、非常に婦人労働者が多いということが、特殊的な状態になつていると思います。この婦人の問題が、いろいろな点から非常に大きな問題を投げかけております。最近の一例を申しますならば、どんどん婦人登録者がふえて行く一方である。特に最近は二十代の若い婦人登録労働者がふえて来たが、少くとも年の若いこれらの婦人たちは、緊急失業対策事業というような、社会の一般的な通念から考えれば、どぶさらいをやつたりもつこをかつぎをやつたり、そういうことをやりえいという希望を持つてつて来ている者は、一人もないと思います。今まで、それぞれの前職があるか、あるいは商店の者ならば目分の店で働いているとか、いろいろな境遇にあつた人たちが、やむにやまれず入つて来ているような状態であります。と同時に、この人たちはほとんどが世帶持ちである、あるいは未亡人である。そういうような関係上、その日の食にも困るような人でありますから、当然子供さんをどこかに預けて仕事に来るということも、事実上不可能であります。また金を出して託兒所なんかに委託するということも、不可能であります。また近所の人というようなところに預けて参りましても、実際に牛乳を買つてやるとか、ミルクを預けてやるとか、そういうようなことも不可能な人たちであります。必然的にこの人たちは、子供を負ぶつて職場に出て来ます。それで子供を負ぶいながら、もつこかつぎをやつたり、あるいはスコツプでどろをさらつたり、こういうようなことをやつているのが現状であります。それについて当局側は、つまり職安なりあるいは事業所なりが、婦人労働者、特にそういうような子供づれの人たちに対して、どういうような態度をとつているかということを具体的、な例として申しますならば、四、五日前から澁谷の職安では輪番制というものを実施しております。番号によつて寄せ場の中に呼び入れる、そうして配置票を渡す。こういうふうなことになつておりますが、この番号を呼び入れるのをスピーカーでやつております。このスピーカーで番号を呼び入れるその合間々々に、事業所からの要請があるから、あるいは作業の能率が落ちるから、子供を負ぶつて来た人には配置をしない。登録を拒否することがあるかもしれないというようなことを、盛にスピーカーんでがんがん放送する。それで先日、どこかの職安の所長が、日雇い労働者につるし上げられ、生命の危險を感ずるというようなことを申されましたが、現実に生命の危險を感じながら働いているのは日雇い労働者であり、失業者であると、私たちは断ぜざるを得ないのであります。毎日このようにして、お前は就労させないぞ子供をつれて来たら就労させないぞ、あるいはげたばきで来たら、お前は職場へ行つても使わぬぞ。あるいは一軒の家から二人以上働いている豊は登録を取消す。実質的に失業者でありながら、その失業者の中から、また首を切ろうとしている。この意図がはつきりこういうような形で、公然化されている。実際に生命の危險を感じ、脅迫されながら働いているのは、私たち労働者なんであります。日雇い労働者といえども、子供を負ぶつて仕事をしたいと思つている者は、だれ一人いないわけであります。また作業の能率に影響することも事実であります。しかもそれをやらなければならない原因がどこにあるかと申しますならば、このような生活困窮者のたよるべき適当な託兒所というものも、ほとんど皆無に近い状態であります。このようなことが一番原因をしているのでありまして、安定所なり、事業所なり、あるいはもつと大きく国家としては、こういうような人たちのためにも、至急に託兒所をつくつて、この人たちほんとうに愉快な気持で、事業休にも、あるいは仲間同士にも、気がねのないようにして愉快に働けるというような状態を一日も早くつくることが、問題の一番の解決の早道でありまして、單に職安のスピーカーでもつて子供をつれて来たら登録を取消すぞとか、あるいは就労を拒否するぞとかというようなおどかし文句を言つていたのでは、この問題の解決には何らならないと私たちは考えている次第であります。また三月五日ごろ、予算がまだ各職安に具体的に幾らというやつが来ていない、そういう関係上、四月に入つてからは、三月中に来たもの、二月中に来たものは四月になつて予算を組んだら、あんたたち登録してやると言つていたにもかかわらず、四月になつても依然として登録させてもらえる人がほんの一部、あるいは四月の六日、七日ごろまでは、皆無の状態であつたのであります。澁谷でも大体一日平均名前後の人が求職に来て、日雇い労働者にしてくれと言つている状態であります。この人たちがこのようにして一月、二月長いのは、私はもうか去年ら登録をとりに来ているのだというような人もあります。こういうような人がたまりたまると、非常に大きな数になるわけであります。四月の五日でしたか六日でしたか、日にちは忘れましたが、このときもやはり六、七十名の、ほとんど婦人、特に未亡人が大部分でありましたが、この人たちがやはり登録をとりに安定所に参つております。このときに所長に、何とか登録をさしてもらいたいというような申入れをしておりましたが、依然としてらちが明かないわけであります。夕方になつて婦人が—この人は世田谷区下北沢の人でありまして、四十六才の女の方です。この人は三日くらい食わなかつたという困つた人です。その人がとうとう栄養失調、過労のためにその安定所の配置を受けるところの窓口で、倒れてしまつたのであります。こういうような悲惨な状態まで現実に出ております。しかもこの倒れたのをそのままにしておけば、死ぬのだということがはつきりわかつていながら、安定所は依然としてこの人に登録を出そうとしない。なぜ出さないかという理由を聞きますと、この人は生活保護法を受けているから、いくら、三日食わなかろうが、四日食わなかろうが、登録は出せないというのが、安定所側の回答であります。このときも職安として、これは小さい法律論にこだわらず、人道的な立場からも、何とかするのがあたりまえではないかということを強硬に申し入れましたが、依然として取合わない。それでその倒れた人に対して、適当な医療の応急的な処置をとつてもらいたいということを職安側に申し入れましたが、そいつもやらない。やむなく労働組合側において医者を呼んで来て、適当な手当をした。こういうような事実もあるのであります。また今までいろいろ澁谷においては、いわゆる職よこせ鬪争なるものがやられて来ました。しかしこの原因というものは、今まで二、三の参考人の方が述べました通り、原因はそのような個々の事態にあるのではなくして、根本的な問題がもつとあるのであります。こういう点が解決されない限り、澁谷においても依然としてこのような問題は小さくなるのではなくして、ますます大きくなるのではないかと私たちは考えている次第であります。  それから先日、労働局長初め各安定所の所長並びに職員組合の幹部諸君が非常に労働組合、特に東京土建あるいは共産党や地区委員会、地区細胞、こういうものが宣伝をして、眠れる子をゆり動かして、つまり失業者でない者まで、あるいは生活に因らない者まで狩り出して、職安に圧力をかけているというようなことを申されました。このようなことがはたして事実であるかどうかということは、われわれとしてはまじめに取上げて、あれするだけの勇気は、もうここまで来るとないのであります。これは労働省から昨年出されておる内外労働シリーズでありますが、ここにもはつきり出ておる通り、適職が見当るまでは公共事業で、つまり公共事業、その中でも一番緊急に救済しなければならないものが緊急失業対策事業、現在私たちが従事しているこの緊急失業対策事業というものに従事することになつておるのでありまして、適職のある人とか、あるいは生活に困らない人は、それぞれみんな自分の持場、職場で働いておるのであつて日雇い労働者になつて、ひとつ楽をして金をもうけようなんていう気持の者は、一人もないと思います。それでビラの件でありますが、労働者自体がこういうように宣伝もし、あるいは放送機関、ラジオなんかも通じて、職のない人は安定所にこういうのがあるということを今まで盛んにやつて来ております。しかしこれがまだ徹底されていないので、一般の人はほんとうに困るときはどうしたらいいのか、路頭に迷うような人が非常に多いわけであります。われわれとして現在早急にもうきよう食う米がなくなつた、何とかしてもらいたいということならば、この緊急失業対策事業で働くか、あるいは生活保護法を受けるか、この二しかないと私たちは今まで通念上考えて來たのであります。ところが職安に行きましても、あんたは生活保護法を受けなさいということを言われる人が非常に多いのであります。民生委員のところに参りますと、あなたは働けるからだを持つているんだから安定所に行きなさい、日曜い労働者仕事があるはずだ。こういうふうなことになるのであります。そこで安定所と民生委員の間を盛んに引きまわされて、あげくのはてがやはり何にもとれなかつた。そうしてだんだん非合法的な、男の若い気の強い者ならば、よた者になるとか、あるいはどろぼうでもやるとか、あるいは若い婦人ならば、賣春行為をやるとかいうような非合法な生活に落ちて行きます。それが実情であります。それで政府といたしまして、この私たちの窮状に対して、生活保護法もかけられない、あるいは緊急失業対策事業でも、予算の関係上使えないということになれば、それ以外の方法で合法的に労働者が生きて行ける方法があるならば、それをはつきりと早急に国家の責任において明示すべきだと私は考えております。
  11. 倉石忠雄

    倉石委員長 石崎君どうもありがとうございました。またあとでお尋ねするかもしれませんから、どうぞお願いいたします。  それでは酒井愼作君
  12. 酒井愼作

    酒井参考人 私は五反田自由労組合酒井であります。私の前に、自分と同じような訴えがありまして、思つていたことが大体言い盡されていると思いますので、私としては少し補足をさしていただく程度にしたいと思います。  私の登録している五反田安定所失業保險が都内第一なんです。都内第一はすなわち日本第一だといわれるような所でありまして、この一事を見ても、いかに五反田安定所管下に失業者が滿ちあふれているかということがおわかりであろうと思うのであります。四、五日前にやはり私の方の人でもつて安定所に参りまして、私に何とか仕事をさせてもらいたいというようなことを申しましたので、あなたは子供を負ぶつて來られているが、生活保護法を受けているんじやないか、受けられたらいいじやないかと言いますと、子供が三人あつて、亭主が今病で寢ています。生活保護法を受けていますが、三千何百円しかいただけません。これでは一家四人をかかえてとうてい食うこともできない、湯かゆもすすれないそれでもつて生活保護法を受けるよりも、安定所で働いていたならば、相当上まわる金がもらえると思つて來ましたから、ひとつ何とかしてもらいたいというようなことを言われましたので、実は私からも課長の方に話を通しました。それで課長の方としても、十分家庭調査をした上でもつて考えるというような回答でありましたが、実にこういうような人たちが多いのであります。それでわれわれといたしましても何とかしてこういうような状態の人を働かしてやろう、もし働けなかつたならば、生活保護法をもつと大幅に上げてもらいたいというような運動も厚生省の方にお願いにも上つておりますが、まだその時期に達していないような次第であります。また私どもの現在の賃金は、先ほど各職安の代表から述べられたように二百四十二円、この低賃金をもつてわれわれはその日その日を生活しているようなありさまでありまして、そのうち約六割から七割の人が、一家をささえる主人だということが言い得ると思います。はなはだあれでありますが、私の例を申し上げますれば、私も大人をかかえてそうして一家をやつているようなものであります実際の問題として、私どもがかりに日曜の就労を半分いたしましても、七千何がしの金であります。それでは賃金ベースから行くと、割方君たちの方がいいじやないか、と言われますが、われわれには家族手当もない、病気しても医者にもかかれない、社会保障制度が一つもない—こういうのがわれわれの現状であります。いつでも働きながら不安な気持で一日を過さなければならないわれわれの現状であります。われわれが一日働いて來て翌日雨が降つていると、われわれはどういう氣持になるでしようか。今のところは大体雨のときも就労はしていると思いますが、雨が降つているときには、事業場から雨が降つているから仕事ができないというようなことが必ず言われて來るのであります。しかしながらわれわれは雨が降つたから休む、風が吹いたから休む、こういうようなことであつたならば今の賃金でも食えないのがなおさら食えず、一家心中をするような破滅になるのであります。それでわれわれとしては雨が降つても働く、風が吹いても働く、身体はこわしてもかまわぬきようの一日を生活して、そうして切り抜けて行くというような気持でもつてわれわれはやつているようなものであります。今、新聞紙上あるいはわれわれが目に見、聞いて、御存じの通り職安攻勢があるとか職安の窓ガラスを破つたとか、警察官が出動したとかわれわれにとつてはあまりいいニユースでもありません。聞いても苦々しいことが多く、われわれの耳に聞かされます。しかしながら、これはいかなることがあつても、その根底を流れるものは何であるか。それはこの失業対策事業に盛られたる四十億、第一・四半期は十億、わずかであります。このような僅少な予算では、ただいまの失業対策事業労務者をまかなうのがせい一ぱいだと私は思います。しかるに片方においては、中小工業が破滅のような状態で、引揚げ者、いろいろの角度より失業者は日に増しておるのであります。その人々を、今のような現状でどうして救済ができましようか。これは根本的に失業対策事業予算を増加いたしていただきまして、より多くの失業者を吸收していただかなかつたならば、このような最悪な事態が次々に起るのではないかと私は心配するものであります。願わくは、この根底を流れる予算を大幅に増額していただきまして、ほんとうに困るそして働く意思のある人間をどしどしと働かしていただいたならば、決してこのような、安定所の所長をつるし上げしたとか、窓ガラスを破つたとか、机をこわしたとか、こういう惨爭もなくて、済むのではないかと私は思うのであります。大体こんなものです。
  13. 倉石忠雄

  14. 沖田正人

    沖田参考人 東京土建産業労働組合沖田です。現在の状態について前の五人の方が、大体一般論として述べられましたので、少し現在の登録状況についてこまかいことをお話したいと思います。  失対法に基きまして、現在の失対事業が行われておることは御存じの通りだと思いますが、現在失対法に失業者を救済しなけれならないという條項がうたわれておるにもかかわらず、働く意思と能力を持つておる失業者が、全然失対事業に働けないというのが現状であります。これについては、もちろん失対法に書いてあります。また労働省なり、東京都なりのお考えもあり、相当制限もあることで、そういう点についても一應われわれは考えておりますけれども、しかしながら端的に申しますならば、現在の登録状況は、労働省から労総收の五十二号という通牒が二月三日付で出ておるようでございますがこの通牒は、澁谷においては全然適用されておらない。新宿とか、または他の管内におきましては、それが適用されておるにもかかわらず、澁谷においては適用されていない、それが一つ。またその際に現場がない、仕事場がないということを言われます。しかしながら、このことにつきましても、われわれ考えますことは、一週間くらい前から、起つたことでありますが、澁谷のある現場におきましても、現場の作業人員が減らされて來ておる。これは卑近なうわさではございますけれどもある現場事業局関係において約七十万円のお金が盗まれた、このために作業人員を減らして穴埋めをするのだ、こういうふうなうわさまでも、飛んでおるのであります。作業できるところの作業場を持ちながら、仕事ができないということは、もちろん予算がないことにもありましようけれども、こういうふうな失対法にも書いてあり、または労働省から出ておる通牒におきましても、ちやんと書いてあるにもかかわらず、全然登録されておらない。前前から五人の方が、申されました通り独身者はだめだ、または子供一人くらいではだめだ、女房一人くらいではだめだ、とにかく職業課の方にまわつて一般の定職を探してみなさいということを言われるわけです。これについては全然ない。子供が三人も四人もあつて家族の多い者には、困つておるから登録させよう。もちろんそれは、優先的に困つておる者を登録させるのが一応建前ではございましようが、それではあと人たちは、ほかの定職がないのにどうしたらいいだろう。これが一つ。それから生活困窮者は、民生委員のところに行つて生活保護法の適用を受けなさいということをしよつちゆう言われます。しかしながら、民生委員のところに行きますならば、あなたは若いから働けるから働きなさい。生活保護法の適用を受けさせることはできない。それからまた、あなたは働ける、年をとつていても、あんたはまだがつちりしておるから働けるというようなことを言つて安定所に突き返す。安定所ではまた、予算わくがない、仕事がないから民生委員のところに行きなさいというようなことで、つつ返されるわけです。どつちに行つていいか、われわれはわからないというのが、現状であります。時間がありませんので詳しく申し上げることはできませんがとにかく四月の三日からわれわれの東京土建産業労働組合におきましては、新産別、全日協等の諸君が集まりまして、澁谷登録の問題について相当交渉をして参りました。そのときにここに来ておられる林労働局長に申しましたことは、予算がないということで、あなた方は逃げられるけれども、それではこういうふうな困つた人たちはどうするか、ほんとう失業者はどうするかといつた場合に、私考えますことは、もちろんあぶれを出すことに、われわれ酸性することはできませんけれども、しかしながら少しの間でもこういう人たちを、あぶれを出してでも働かしてもらえぬか、その間に解決の方法などを考えてもらえぬかということを言つたところが、とはかく現在の客観情勢のもとでは、あぶれを出したならばとんだことになる、だからだめだということを言われる。私ここで考えますことは、われわれは民主的な労働組合として、今まで去年の当初から鬪つてつております。それを一部の人たちがやるからといつて、全般に及ぼすようなことは、非常にまずいと思う。なぜならば、われわれは民主的な労働組合として、合法鬪爭の線をはつきり、打ち出してやつて来ておる。しかるに、たとえば、これははつきり申し上げますが、四月の三日から四月の十三日に至るまで、澁谷において私の方の組合登録の問題について交渉を進めて参つたのでありますけれども、四月六日の実例をちよつとお話します。四月六日は、私どもの方で四月三日、四日、五日に出した名簿によりまして、適格者か不適格者かをきめて、とにかく登録させてもらいたいということで、その回答を四月の六日にもらえるとのことなので、その日に待つていた。ところが、六日は全然だめだ、七、八十名の者が一人も登録できない。それでわれわれが本部に帰りまして、もう一度安定所に参つたところが、今度は時間が三時四十五分か、せいぜいまだ四時になつていなかつたと思うのですが、安定所の正面のドアを締めて、机を積んで、窓にはバリケードを張つで締めておる。もちろんそれには、一部の諸君が裏の方で相当交渉をやつておりましたけれども、そのときに私が窓にぶら下りまして、労働課長さんにちよつと会いたいと言つたら出て来まして、とにかくあけてもらいたいと言つたところが、こういう客観情勢のもとでは会えない。そんなことを言つたつて、時間前に安定所を締めるということ自体については、あなた方だめじやないか。そんなにわれわれ乱暴するのじやない、とにかく民主的な労働組合としてやつておるのだからあけてもらいたいと言つたにもかかわらず、あけてもらえない。やむなくわれわれとしては、あの窓ガラスの割れていたところから私ら入りまして、そうしてわれわれの手でバリーケードをどけまして、いすを並べて七、八十名の人たちを全部そこにすわらせて、整然と並べて、そうして交渉をしたわけであります。われわれが民主的な労働組合として今までやつて来たのに対してそういうふうな予算がない、現場がないということを言われるが、とにかく失業者は困つておるということを再三申し上げまして、こういうふうな人たもを何とか穏やかに解決させたいと思うのでありますが、しかしながらむしろ安定所側において、われわれ民主的労働組合をも含めて排発するような態度に出ておるということは、非常に私遺憾だと思うわけであります。大分時間がないようでありますが、もう一つ申し上げますことは、職業安定法に規定によりまして、労働供給権というものが現在不許可になつておる時期におきまして、土建の労働者も非常に失業者がふえて来ておる。これも登録できない。それから家庭の女の人たちも非常に多くなつて来ておる。また未亡人なんか非常に多い。こういう人たちもとにかく全然使つてもらえない。仕事をしない、またはどうのこうの言われますけれども、しかし仕事をしないということではなく、さつきも一部の人が申されました通り仕事ができないような状態です。それで仕事をしないという者も一部をはあるかもしれませんがほとんどの者が仕事をやる気持でやつております。この点十分お考えになつていただきたいと思うわけであります。  最後にもう一つ申し上げますが、とにかくわれわれは、安定所をぶつこわそうとか何とかいうのではなくて、まじめな気持で、できるだけ穏やかに交渉して、われわれはまじめに、働きたい。緊急失業対策事業というものがずつと定職ではないということももちろん考えております。だから仲間同士で仕事を探し合つて、新しい定職につかせるような運動を私自身もやつております。若い連中でもう二、三人その仕事についております。しかし仕事をよこせ、登録させろということを一部の諸君のみの煽動であるとかいうように考えられておりますことは、非常に大きな間違いだと思います。一般的に困つておる状態失業者が増大しておる状態、民主的な労働組合—新産別、総同盟、全日労、私は新産別の土建でありますが、皆さんの前に出まして、訥弁を振いながら皆様にお願いしなければならぬという状態を、十分考えていただきたい。登録の問題も、また託兒所の問題も十分に検討していただきたいと思うわけであります。どうも失礼いたしました。
  15. 倉石忠雄

  16. 田代フデ

    田代参考人 私、川崎職業安定所で働いております日雇い労働者田代と申します。私は今までの証人の方たちと趣をかえまして、川崎状態を申し上げます。  現在登録者数は女が千九百五十七名、男が三千九百七十一名、こうした中で、私たちもに與えられておりますわくというものは千七百人で、大体私たちは、男の人が十二日か十三日しか一箇月働けません。女の人は八日から九日しか働けない。これが実際の川崎事情なんです。しかも今日当二百四十二円ということを話されましたけれども、川崎の場合には、女の人が百八十五円、男の人が二百十五円というような実情なんです。こうした中で女の人も男の人も含めて、これで生活が成立つものと考えられる方は、おそらくこの中にたつた一人もいらつしやらないだろう。こういうような中で、男の人も女の人も、どうして生活して行けるかということを考えていただきたいと思う。男の人は会社工場に、このごろ少くとも毎日二百人ばかり出ます。この二百人を目がけて、毎朝四時半、五時半ごろから詰めかけておるわけです。ところが、やはり職業安定所には、一つの顔づけがあるわけです。そでの下が必要なんです。それで五時半から起きて、毎日あぶれるという実情なんです。それもありますし、それから川崎の駅の前に行きますと、立ちん坊というものがある。あぶれた者は立ちん坊に行く。ところが、これも顔づけではなかなか働けない。こういう中で、毎日あぶれて、二千円なり三千円なりの月收で、実際おかゆもすすれなくてやせ細つて行く川崎労働者の、ほんとうの姿を見ていただきたいということを申し上げるのです。そうして女の人なんかの場合になりますと、女は亭主持ちだというふうにみんな考えられて、結局内職だというふうに見られる。なるほど中にはそういう人もあるかもしれませんが、大部分の女の人は、未亡人とか子供をかかえておる人たちです。その未亡人が、子供を三人も四人もかかえながら、一生懸命百八十五円にすがりついておるわけです。この百八十五円にすがりついて来て毎日あぶれさせられるということは—工場労働者の方たちは、首切りが来るまでは一応賃金がもらえる。ところが日雇い勞働者は毎日首になるわけです。三日に二日は首になるという実情なんです。こうした中で、女の人が子供をかかえてへ病人を置いてどうして暮らせるか。今話されましたように、生活保護法があるというようなことを言われるかもしれません。ところが生活保護法は、なかなか健康なぴんぴんしている人間には来ない、よぼよぼになつてやつと来るわけです。私たちがいくら頼みに行つても、お前は働けるといつてくれません。これが生活保護法を受けに行く私たちほんとうの姿なんです。ほんとうに私たちは何とかして自分生活を守りたいので、生活保護法を頼みに行きます。ですけれども、そうしたものが来ない。しようがないから、女の人たちは三日に一日ぐらい働く。なかなか百八十五円では食つて行けないから夜になるとパンパンになる人もいます。子供をかかえてパンパンになる奥さんもいる。(笑声)その辺で笑つていますけれども実際の話なんですよ。そうしたものが皆さんの中では笑いの種になる。しかもここで話すようなことが、暴力だとか何とかいう形に持つて行かれるような実情が、なぜ来たか考えていただきたいと思う。私たちは何もすき好んで働かしてくれ、食べさせてくれということを叫ぶのじやない、実際に食えないのです。雨降りだからといつて、口をたなに上げておくわけには行かない。やはり食わなくちやならないのですから、雨が降つても病気になつてもかまわない。だから働かしてくださいということをお願いするわけです。この間、市の所長さんが、何か雨降りにどうとかいうような報告もされておるようですが、私たちは雨が降つたからということで、口をたなに上げて、のほほんとしているわけには行かない。やはり食わなくちやならない人間です。その点がはつきりあるということを知つていただきたいのです。つい二、三日前の十九日に、労働省の監察官が見えられたのです。そうして所長さんだけの話を伺つて帰ろうとされた。ところが、それだけでは私たちは不安でしようがない。また皆さんは、一度は紹介切符を切つてもらつて失業対策事務所に参りましたけれども、何としても不安でしようがない。だから私たちの声も一度聞いてもらいたいといつて、帰つて来て、監察官の方に私たちの声も聞いてくださいということを申し上げたわけです。そうしたら私たちの姿をごらんになつて、あまりにかわいそうだと思われたと見えまして、一度帰つて来て私たちに会つていただいた。そして六人の代表者を出して会つたのです。そうしたら、その監察官の人はほんとう皆さんはかわいそうだ、またまじめな、かわいそうだという気持になられたと見えて、お前たちはなぜ働けないのだろうか、一体皆さんはどのくらいのわくをやつたらどうにかやつて行けるかということを言われた。それで大体私たちの方は五千の労働者がおります。だから五千の労働者わくを全部ください。そうして私たちは文句なしにとにかく毎日働かしてください。そうすれば、いやがられるようなお願いをしなくても済むようになりますから、どうかそうしていただきたいということをお願いした。そうしたら五千というのはちよつとむりかもしれないが、三千五百くらいでがまんしてくれるならば、そのくらいだつたらおれも努力してみようと思うから、そのくらいのところでがまんしてくれというようなことも言われるくらい、やはり私たちほんとうの姿というものを皆さんが一度ごらんになれば、すぐわかつていただけるというような姿に追い詰められておるわけです。そうしていろいろなことがこの前報告されましたけれども、失業対策事務所の所長さんなんかもはつきり言われておるのです。君たち組合が、そういうふうな乱暴をする組合とはどうしても考えられないということを言われておるわけです。それでこの前中原の問題ではつきりここの所長さんも言われましたけれども、中原の場合には、どういうことであつたかということを御説明申し上げたいと思います。ここでもやはり二日に一ぺん、三日に一ぺんの就労です。どうしても食えない人たちが五、・六十人集まつてどうか食べさせてくださいとお願いしたわけであります。ところが、そこに所長さんがおられないために、所長さんが来てくださらぬのだつたら私たちは待ちましようというので、そこに六時過ぎまで待つていたわけです。ところがなかなかお見えにならない。しようがないから、どうしようかと思案していたところ、ここにいてもらつては困るから出て行つてくれと言われたので、それではしようがないから、どこか交番の前にでもとまらしてくださいませんかということになつたわけです。交番の前に行つたところが、交番でもどうしようもない、しようがないから、交番の方で交渉してやるから、今晩は駅にとまれと言われて、駅へとまつた。しかし三月といえばまだ寒いのです。夜中になると相当冷え冷えして来るわけです。その冷え冷えして来る中で、吹きさらしの駅の中で、一晩五十人の人がとまり込んだわけです。そうまでして働かしてもらわなくちや食えないというのが実情です。そうしてとまり込んで一生懸命お願いしたわけです。ところがその日はとうとう来なくて、その翌々日所長さんが見えられたわけです。そうしたら、こちらの方でいくらお願いしてもそれが聞いていただけないで、一方的に交渉は打切つたということを言われるわけです。交渉を打切られては困るから、返事をして帰つてくださいということをお願いした。ところがそのときになつて警察官が窓から飛び込んで来て、そして警察官が所長さんを守つて、退去命令が出ていないのに、三十人の警察官がそこに集つておる人たちをなぐる、ける、首を絞めるという乱暴狼藉をやつて、私たちを外に投げ飛ばして泥んこにさせた。乱暴したのはだれかということです。乱暴したのは警官ですよ。はつきり言います。暴力団は警官だということです。こういうふうなことをされながら、私たちは何も抵抗しないで、どうか食べさせてください、働かせてくださいということを一生懸命お願いしておるわけです。職業安定所人たちは、私たちを暴力団だというふうにするために、わざわざ暴力団を入れようとしておるわけです。それでこつちの方で、不正カードなるものをたくさん使つておる、暴力団と目されるような二、三の人たち、そういう者がこちらにいてもらつては私たち組合でも困るから、これらの人たちの不正カードを摘発したわけです。ところがこうした人たちにはわざわざ再交付して—失業対策事務所から職業安定所の方へちやんと通知が行つておるのに、不正カードとしてあげられておる人たちのカードを、わざわざまた再発行するというのが、現在の川崎安定所実情なんです。こういうふうなところから見ても、暴力団を養成しておる者はだれか、これははつきり所長さんだと言うことができると私は考えております。そういうふうな実情の中で、私たちは乱暴も何もしていない、つるし上げたことなんか一ぺんもありません。ただお願いしておるだけです。そして乱暴しておる者は警察官であり、養成しておる者は所長さんであるということが、はつきり結論づけられると思います。時間が来たらしゆうございますから、それだけで結んで、また次に御質問のときにお答えいたします。
  17. 倉石忠雄

    倉石委員長 どうも御苦労さまでした。これより質疑を行います。天野公義君。
  18. 天野公義

    ○天野(公)委員 今いろいろ組合側の参考人方々の御意見を伺つたわけでございますが、大体において東京関係が多いようでございます。そこで東京都の林労働局長にお伺いしたいのですが、今参考人の方が述べられたような件に関して、局長さんの今まで見たり聞いたり、いろいろ御研究をなさつたと、お感じになつたことを、概略簡潔に御説明願いたいと思います。
  19. 林武一

    ○林参考人 私中途で参りましたので、伊藤君あるいは白川君のお説は若干聞き漏らしておりますが、聞いた分についてお答え申し上げますならば、まず大きな主張になつておりますのは、登録を抑制しているという問題であると思います。登録の抑制につきましては、すでに全体的の予算は、今労働者人たちがここでるる述べられましたように、私どもより以上によく存じております。今回の国会において決定いたしました四十億についても、あるいは昨年当初八億幾ら、それから十一月の国会において追加になりました分についても十分存じております。さらにまた百九十三円五十銭という予算單価を、手取り二百四十二円で支拂つてるということも、労働者諸君は十分存じておるはずであります。と申しまするのは、運動の面において、労働省なり大蔵省にも行き、大蔵次官あるいは労働次官等にも会つておるのでありまするから、私どもと同様に、このことは十分存じておるわけであります。全体のわくを十分存じていながら、しかもやむにやまれざる生活困窮のために、安定所に対しまする要求が、おのずと盛り上つて来るのだろうそれについては先ほど石崎君も自然発生的であると言われておつたようであります。また労働省の出したリーフレツトの中でも、いろいろ公共事業について書いてあると言われたことも、その通りであります。しかし足らない面を組合で補つておるかのごときことを言外に漏らしております。またそういうビラの散布、もしくはポスターの張り出し等もありますが私どもはそうは考えておりません。前回申し上げましたように、そのまかれておるビラあるいは事前に地区委員会等において決定した事項等を盛り込んでまいておるビラは、決してこれは秘密的なものでも何でもなく、周知宣伝をはかるためにまいておるのであります。なぜそれならば、安定所にのみそうした形で出るか、これは私は新宿安定所に参りまして、労働者人たちと、三月の二日だと記憶するのでありますが、話合いをした際に、榊原君がはつきりと言つておるのであります。これは多数の労働者の中で言つておるのであります。安定所政府機関の第一線であるがゆえに、われわれは敵として鬪つているのだということを、はつきり言つておるのであります。私はもちろんこれはごく一部の人たちの考え方でありまするから、ほんとうに困窮しておる方たちには—先ほど沖田君あるいは石崎君の言つたように、安定所に出かけて参りまして、集まつている方に一時間、二時間話をしております。そうしてあと質疑に対しましても、ざつくばらんに答えておりまするが、大きい問題は、全体のわくを承知の上で、なおかつ安定所に訪れることは、もちろん安定所自体が職業紹介仕事をしておるところでありますがゆえに、当然それは受入れなければならないところであります。しかしこれが受入れられない現状である。国家予算の面においてやむを得ざるところを、都の單独事業として盛り込んでいながら、なおかつこれが救えないというのが現状であります。これだけは偽ざる現状であります。そこで婦人の例、あるいはまたいろいろと制限を付されるという面、これは受入れ側にあるのであります。御案内のように、昨年の八月までは、東京都においては失業対策事業安定所でやつておりました。これは四、五月ごろ安定所でやることはまかりならぬというきついお達しがあつたのでありますが、安定所でやること自体が失業救済に役立つのだ、これを事業局に一任いたしますことは、事業本来の目的の上に立つて、この土を片づけるのに何十名というような—これは事業的感覚になりますが、安定所におきまする労務者は、先ほどの菅野君のお話のように、肉体的な條件の備わつておる方もありますが、非常に劣悪な肉体的の條件を持つておる方もありますので、やはり事業本来の技術的な見地に立つての労働は、なかなか困難だと存じます。私どもは八月二十三日まで安定所でやつてつたのでありますが、これは私どもの知事もかつて東京都の社会局長をやつてつた関係上、それを極力主張しておつたのであります。しかし関係方面の意向等もありまして、八月二十三日から全部これの執行を委任したのでありますが、はたせるかな事業局においては、まず労働條件が非常に劣悪なお年寄りの方、あるいは女の方は拒否して参つたのであります。安定行政の上においては、求人があつて初めて求職者に対するサービスができるのであります。求人のないところに求職の條件は結びつかないのであります。本年の新制中学の卒業生についても同様であります。そうした観点に立つて婦人に対しましては、いろいろ管内事情等も事実上ある程度は異なつておりますが、それに対しては概して好まない。たとえば環境衞生の立場からやつております清掃部における街路の清掃には、女の方を使つていただきますが、赤土の切取りでありますとか、あるいは河川に入つて浚渫をやるという面については、やはり何ともならないのであります。ほんとうにそれらの方々の、いわゆる子供を連れて来る面に対するいろいろな施設、これは民生局の所管であり、国においては厚生省の所管であります。私ども東京都に対しては民生局、あるいは国に対しましては厚生省に対して、それぞれお願いしておるのでありますが、いかにせん予算の面等から、必ずしもこうした要望に沿いがたい点も確かにございます。     〔倉石委員長退席、大橋委員長代理着席〕  それがあるために、そういう特別の困窮しておる子供のある女の人の受入れが、困難になるという実情も出て参つております。従つてそうした面に対する施設としては、やはり組合の諸君が言うように、補導所の設備と同時に、働く意思と肉体を持つ失業者の方方をつとめて救済する建前を講じなければならないと存じます。以上であります。
  20. 天野公義

    ○天野(公)委員 いろいろお聞きしたいことがあるのですが、今参考人の方がお述べになつたことは、大体一般論でございます、参考人方々の御見解で、日雇い労働者方々生活が、非常にお困りで、予算わくが足らない、いろいろお述べになりましたが、これに対しまして、私ども非常に同感であり、御同情を申し上げるのであります。今後できるだけ改善の方向に向つて全力をあげて努力したい、このように考えております。また地区の因つておる方々実情も私よく存じております。この方面についても、一生懸命努力したいと思うのでございますが、その一般的な問題と、それから私の聞こうとしておる問題と、少し観点が違つておるのではないかと思います。今局長さんが言われたように、求職鬪爭というものは、自然発生的ではなくて、計画的である。これはこの前もお述べになつたことでございますが、どうしてもこのように考えざるを得ないわけであります。大体大きな鬪爭が起つておる場合には、事前にある程度の宣傳が行われ、そうしてある一定の日を期して騒動が起つておる。そうして騒動の起つておる場合の首謀者というのは、共産党に関係のある方々が非常に多いというようなお話でございます。いろいろの資料を見ますと、そのように考えられるわけでございます。それで澁谷の所長さんに伺いたいのでありますが、先ほど大分澁谷の問題に具体的に入つておるようです。具体的に述べられた点に対して、所長さんとしての御見解を伺いたいと思います。
  21. 坂田虎七郎

    ○坂田説明員 まず一般土建の石崎君から話されたことについて、私が実際に見、かつ感じたことをお話いたします。石崎君は、先ほど澁谷において非常に伝統的に婦人の日雇い労働に求職を希望する人が多いと言われましたが、これは事実であります。毎日六、七十名ほど失業対策事業に従事したいという人が来るのであります。そのほとんどが女の人であります。あの職よこせの集団的な要求があつたときに、女の人が倒れたと言われましたが、この倒れたのも事実であります。しかしその倒れるような人が、この対策事業に従事することは、私たちとしても、働く意思はあつても、はしたて能力があるかということについては、やはり疑念を持たざるを得ないのであります。もちろん生活において、そうした苦しい実情もありましようけれども、その六、七十名ないし百名の就職希望の人は、ほとんどそうした実情にあります。職業安定機関の現在の建前としましては、あくまでも求人者に対して、その要求するところの労働者を差向けるということが私たち仕事であります、そうした生活困窮の問題になるときには、やはり民生保護の関係ではないかという解釈で、そうした御婦人に対しても、やはり対策事業に従事することについては、その能力の問題で、一応御遠慮していただきたいということを申し上げておるのであります。石崎君のお話では、安定所は不親切な態度をとつておる—聞かれる方にはそうした感じを與えるかもしれませんが、私たちはあくまでもサービス官だ。その困つておる実情については、各職員生活問題としては十分良心的に聞き入れて、そうしてただ仕事の面においてそれができないということを言つて、懇切にお断りしておるような状況であります。必ずしもそうした頭からだめだと言つて、拒否的な態度をとつているものではないということを、十分御認識を得たいと思います。それから土建産業の代表者として沖田君が先ほど説明されましたが、沖田君の方の組合私の役所のすぐ近所にありまして、そうした点で沖田君はしよつちゆう澁谷の職安に来ておられまして、いろいろとそうした問題についての要求なり申されております。先ほどのお話の中で、対策事業に対する一つ就労基準があつて、それがほかの安定所がやつておるにかかわらず、澁谷においてはやつてないというようなお話がありましたが、これは私たちからしますれば、むしろ暴言ではないかと考えております、ほかの十七の安定所も、ほとんど同じような方法をもちまして、そうした失業対策に従事する人たちについての、一応の基準を持つて接しております。ただその中で、特に生活に非常に困つておる人たち、その人たちから優先的に登録の手続をするのでありまして、澁谷だけがそれを無視してやつておるということは、実にこれは暴言に近いことだと考えております。しかも先ほども民主的な労働組合と申されました。私たち東京土建産業労働組合は、組合法に基く一つの民主的な組合だと思つておりましたが、四月六日のときには相当これが暴力的な行動をとられた。私たちが今まで土建産業のあり方について思つてつた点が、相当その考えをくつがえされるような態度をとられたということは、はなはだ解せない点であります。この点もむしろ一つの誤りからそうした考えなり、行動なりをとられたのではないかと考えております。
  22. 天野公義

    ○天野(公)委員 今所長さんから話があつたのですが、先ほど沖田君が、澁谷の職安の方から挑撥的な行為に出ておるというような話があつたわけです。二月のときにおきましては、二十四日に問題が起きているのに、二十一日ごろからビラ張つていろいろやておる。そうして二十四日にいろいろな騒動が起つており、これを私の方から見れば、計画的とも見られるわけであります。そういうような点に関して、もう少し具体的に聞きたい。
  23. 沖田正人

    沖田参考人 お答えいたします。二月の二十四日または三月の十五日、十六日、または三月の二十四日等におきまして、あのような問題が起つたのは、あれは私の方の組合ではありません。石崎君の方の組合です。私の方のやりましたのは、四月の三日からでありまして、四月の五日から問題が起つたので、決して計画的でも何でもありません。偶然的に皆が集まつてつたのであります。土建産業が民主的な組合として発足しまして以来、私が先ほどお話申し上げたよなことは、初めてのことでありまして、決して私たち安定所に対し、ただ單に安定所をおどかし、そうしてもんで、いじめてやれば、問題は解決するのだということを考えておるのではなくて、もつと大きく動かなければならぬということも考えております。六日にも、先ほど坂田所長さんはおつしやられましたが、暴力的なことは絶対やつておりません。あの窓から聞いたことが、暴力的だと言われるならば、合法鬪爭と非合法鬪爭の面が非常に不明確であるという点が一つと、もう一つたちは頭を下げて口頭でお願いしたのにもかかわらずあけてもらえないし、またそのときに、安定所の労働課長が、窓のところへぶら下つていたのではみつともないから、そこで話そうじやないかと言つたと、あとになつて言われますけれども、私はそのときそういうことを聞いておりません。そのときの証言は—澁谷の警察署の刑事の人もはつきり私が証人になりますということを言つております。やむなくああいうふうにやつたのでありまして、私は決して暴力的だとは思つておりません。民主的な労働組合としてやつたつもりであります。
  24. 天野公義

    ○天野(公)委員 それじや次に石崎さんにお願いをします。
  25. 石崎光夫

    石崎参考人 ただいま二月において東京土建がいろいろ暴力鬪爭を計画的に—いわゆる眠れる子をゆり動かして計画的にやつたというような御質問の内容だと思いますが、私たち労働組合、特に日雇い労働者組合といたしまして、登録をとつて働いている人と、登録をまだとつていない純然たる失業者の人というような区別を持つて、私たち組合は考えておりません。また同じ登録をとつて働いている日雇い労働者も、実際にはあすの生活さえも保障されていないという失業者であります。それで登録をとつてない人たちと一緒になつていろいろな要求をするということは、とりもなおさず、自分自身の問題としてこれを取扱つておるのでありまして、二月に、おきましては、なるほどビラも流しました。しかしこのビラを流したということは、その前々から—今ここで所長の言われたように、婦人の人が澁谷においては多い。毎日七、八十名から百名近くの人が来る。しかしその登録を実際に與えることのできる人は、ほんの一部の人であるということをはつきり言うておられるのであります。残つている登録をとれなかつた人たちはどういうことになるかといいますと、やはり安定所へ行くか、民生委員のところへ行く以外に方法がないわけであります。けれどもどつちに行きましたところで、問題は解決されて行かない。安定所行つては断られ、民生委員のところへ行つては断られる。この人たちの来るところは労働組合であります。労働組合にこの人たちが毎日二十人、三十人来ておる。ひどい人にはもう夕方まで、組合の力で何とかしてもらいたいと泣き込まれる。しかし私たち組合といたしましては、その人たち個人々々のめんどうはもちろん見ます。しかしかような多数の人たちを一人一人安定所に通れて行つて、この人たちを何とかしていただきたいというような交渉は、技術的にも不可能なのであります。こういうように、失業者登録をとれない人が、一日々々とたまつて行くわけです。そういう人たちの中から、組合と一緒になつて一定の日生きめて安定所へみんなで団体交渉の形でやつてもらえないかというような申出がありましたのと、私たち組合といたしましては、それは大いにけつこうなことだというわけで、ああいうようなことになつたのであつて、これが單に暴力的なことを計画したとかあるいは非合法なことはいけないというならば、糾彈される余地は十分あると思いますが、こういう意味の計画は、むしろ労働組合として当然取上ぐべきものとして、私たちは何ら不当なことではないと考えております。
  26. 春日正一

    ○春日委員 局長が忙しいから帰るという話ですから、そちらへ移りますけれども、大体今ある予算わくですが、これがどれだけあつて、各職安にどういうふうに分配になつておるか、その点をお聞きしたいと思います。
  27. 林武一

    ○林参考人 総括的な数字につきましては、先般申し上げたように、労働省の方からは二十四年度におきましては、一日二万五千人、予算單価百九十三円五十銭ほどであります。それを二百四十五円で計算いたしますと、概算二方であります。それからそれ以外に第四・四中期におきましては都の單独事業といたしまして、全額都費で六千三百人ほどをやつております。各安定所に対しまする配付につきましては、今手元に数字を持つておりませんので、後刻またお答えいたしたいと思います。
  28. 春日正一

    ○春日委員 それはまあそれでいいとしまして、大体今輪番制をやつておりますね。
  29. 林武一

    ○林参考人 やつておりません。
  30. 春日正一

    ○春日委員 東京では輪番制をやつていないのですか。そうすると早い者勝ちということになるわけですか。
  31. 林武一

    ○林参考人 東京におきましては、前回も若干触れたと存じますが、いただいておりまするわく以外に、民間雇用の面が一日約四千五、六百、それから公共事業は、九月から十月ころまでが八百人十月の月末から十一月、十二月ごろまでが千人ほどあつたと記憶しております、それが第四・四半期におきましては、平均千二百人ほど働いているのであります。それらをプラスいたしました数を大体のわくとして、安定所におきましてはその数において登録しております。従つて朝早く参るというのは、各安定所におきまして事情が若干異なると思います。十七の安定所の管内の事情によつて若干異つた面があるのであります。具体的に申し上げますれば、芝園の安定所は、港を控えておりまする関係上、仕事ができて参りまするときには、接岸荷役の面における仕事も非常に出て参ります。しかしながら船が着かないということになりますと、仕事がない。ところが先ほど酒井君が例にあげました五反田安定所のごときは、管内に見るべき公共事業もなく、民間の仕事もなく、ただ失業対策事業一本にたよつているという関係から、同じ失業対策事業の中でも、やはりいい仕事につきたいという面で労務者人たちが比較的早く参るのであろうと私ども感じております。従つて時間によつて雇い遅く來た者があぶれるというような現象を呈しております。
  32. 春日正一

    ○春日委員 そうすると、くどいようですが、登録を受けた者はあぶれは全然ない。そのかわりあぶれるような者は初めから登録しないという方針なんですか。
  33. 林武一

    ○林参考人 あぶれる者は登録しないということでなくて、大体その数に近い者を登録して参つているという現状であります。但し昨年の年末にも行つたことでありまするが、年末の越年資金の要求に対しまして、労働省と協議いたしまして、十二月の大みそかと正月の元日、二日、三日の給料の前渡しをしたのであります。その際事前にその旨を通知いたしまして、民間あるいは公共事業、その他都の單独事業等で実際に年末及び年始には仕事がないのでありまするが、それらの人たち安定所に集まれば前貸しをするからと言つた際にも、実際にはそれだけ参らないのであります。と申しまするのは都内における失業対策事業に従事する人たちの中で、非常に生活の困窮を感じて、郷里に帰られる方もあります。あるいはまたその他の事情等から脱落される方等もありまするし、さらにまた登録の面から行きますると、非常に不正な登録が行われる面があるのであります。従来は二つの安定所にまたがつて登録して、双方を掛持つていたような実情があつたが、これは輪番制が行われてからはなくなつております。但し身がわりを立てて働くというようなことがありますので、乏しきをわかち合うという失業対策事業の精神から見て、事業の全体のわくが指定されておりまして、一軒のうちから一人という余儀ない実情にあります今日、二人登録されておる人たちに対しては、おやめを願い、貧窮の度合いのはげしい者から逐次、補充登録をしておるのが都内の現状でございます。従つて抑制登録という形をとつております。
  34. 春日正一

    ○春日委員 その点、よくわかりました。結局今後も出て来る失業者は、東京都ではもう働く見込みはないということですね。
  35. 林武一

    ○林参考人 この面につきましては、今日も実は官房長官及び安本長官等にお願いすることになつておるのでありまするが、昨日主要都道府県十四の部長が寄りまして、そうして四十億のわくの第四・四半期の当初に十億というふうなことでなくて、これを繰上げて使うことのお願いをしに実は参つたのであります。本日すでに参議院の労働委員長さん、あるいは衆参両院の議長さん、労働大臣、大蔵大臣等にもお願いして、わくを増大いたしまして、現在職よこせ鬪争に非常に悩まされておりまするところのおもなる都道府県において、できるだけ効率的にぶち込んでいただくために、実は本日ここに参りましたが、たまたま労働委員会が開催されているということで、こちらに参つたような次第であります。
  36. 春日正一

    ○春日委員 それからもう一つ、二つお聞きしたいのですが、現場直行という要求が非常にたくさん出ておるようですが、これに対しての方針はどうなつておりますか。
  37. 林武一

    ○林参考人 現場直行については、私どもも、失業者方々が一度安定所に参りまして、安定所からさらに現場に参りまするためには、交通費の面において、あるいは時間の面において、非常にロスの多いことはよくわかるので、あります。ただしかし失業対策事業緊急失業対策法という法律の裏づけによりまして、日々雇用が更新されるということと、安定所におきまする取扱い手続の関係上、一応紹介票を切るという方途を講じまするために、安定所においで願わなければならないという実情なのであります。それからもう一つは、これは現にある安定所であつたことでございまするが、現場に直行いたしまして、顔づけになりまして、そうして同一の作業場に同一の労務者が一箇月以上働きますると、いわゆる基準法に基くところの予告手当の問題が発生して参ります。すなわちすでに年度末には打切られるという公共事業の面に、かつて働いた労務者方々が、公共事業の年度末中止に伴つて労務を打切られた際に、專業官庁にこれを要望いたしまして、その地区におきまする基準監督署は、基準法違反だという断定を下しておるのでありますが、限られたる予算において、現在そうした予告手当てを出すというまでにはとうてい至つておりません。そこであらゆる角度から法律を検討いたしまして、労働省の通牒では、現場直行を認めないという建前に立つておりまするので、安定所においても、あるいは私ども労働局においても、それを堅持せざるを得ない状況に置かれております。
  38. 春日正一

    ○春日委員 事情はよくわかりましたけれども、そうすると、都内の安定所では、現場直行は絶対やつておりませんか。もしあつたらどうしますか。
  39. 林武一

    ○林参考人 受入れ側、たとえば立川の安定所のごとき、これは強力なる組合交渉によつて、大和村あるいはまたその他の地区において、そういう措置が行われております。しかしこれは決して自然に、すなおな形において行われたのではないのであります。これは相当強力に村長に対して要求が行われている。もちろん労働運動の面において、団結力によつて労働條件を維持改善することは、私も労働局長の職をはんでおりますから、そのことはよくわかるのであります。しかしただごく少数のしかも素朴なる村長に対する交渉の度合いとしては、決して妥当なる交渉が行われたとは毛頭考えておりません。そうした形において間々そういうことが行われたところもあります。しかし私どもは、それが自然な形において行われているとは存じておりませんので、決して十七の安定所のどこにもないとは申し上げませんが、私ども労働局としては、十七の安定所に対しては、労働省の通牒に基いてその措置をとつているということで、ひとつ御了解願いたいと思います。
  40. 春日正一

    ○春日委員 私が今これを聞いたのは現場直行というのには二つの面があるわけです。一つは今言つたように、新宿あたりまで行くのに往復三十円かかる。二百四十円から三十円とられたのではやり切れないという切実な面、これが東京都内では非常に多い。ところが他の面で、東京でも私は聞いておりますけれども、たとえば横浜の柳橋安定所のごときは、八〇%まで現場直行である。そのために実を言うとそこに幽霊人口ができているといういうな弊害があるわけであります。そういう意味で、現場直行に対する都の方針をはつきりさせてもらつたわけであります。  それからもう一つは差別待遇の問題ですけれども、職安の登録労働者あるいは労働組合に対して、あなた方の方で差別待遇をする方針をとつておるかどうか。
  41. 林武一

    ○林参考人 先ほど申し上げましたように、男女の身分の相違から来る賃金の面等については、私どもは何ら差別をいたしておりません。ただ受入れ側が拒否して参りまする面については、私どもの方で努力しておりまするが、御案内のように、失業対策事業は昨年四月一日、二千六百人から発足いたしまして、現在約二万五千人の人を建設局、あるいは都の清掃局、もしくは教育庁等にお願いしておるのでありますけれども、この受入れる側では、資材費の伴わない、いわば素手の労力—つるはしと、シヤベルと、もつこ程度の労務者をいやがるのは当然であります。しかもこれらの方々は、いずれも労働組合運動におきまする面においても、妥当なる要求もありましようし、あるいはまた間々組合の立場において行き過ぎた要求等も出て参ります関係上、受入れ側が、最近の傾向としては、これを拒否して参るのであります。そうした面において、おのずと安定所においても、受入れ側の拒否する労働力の著しく低下しておる者は、建前上から行きますれば、社会事業と銘打つ社会事業ではないのでありますから、労働意欲があり、肉体的な條件の備わつた者という建前をとつておりますので、そうした面においては、あるいは私どもとしては受入れ側の受入れいい形における者を、生活困窮者の中からとるという態勢は、やむを得ない仕儀だと存じております。それから組合に対しまするところの差別はやつておりません。本日ここにおいでになつておる方々は私は全部面識があります。すなわち傍聽の方々も全部面識がありますが、私自身は参りますところの方々には、ほとんど会つております。と同時に私の方に参らない際には、私の方から出かけて行つても会つております。しかしながらその会い方の中に差別をする場合もあります。と申しますのは、会う際に、暴力は加えられない—。私は昨年一回暴力を加えられたきりで、暴力は加えられておりません。しかしながら暴力にまさるところの精神的な苦痛だけは、まさにあるのであります。私は昨年五月の十二日を最初一として、六月十七日までの間に、三、四回徹夜をやつております、その徹夜の間に、私はただ一人で五百人くらいの労務者に会つておりますが、私どもその際言葉としてはあかつきに斬らされるという言葉を使つておりましたが、爾後いわゆる引揚げが始まつてから、これがまさにつるし上げという言葉に該当するのだということを感ずるほどに、それをされたのであります。従つて私どもは逃げも隱れもせず、呼び出しがあれば安定所に参りますが、ただしかし十二時間、あるいは十四時間にわたつてそういう応対をすることに対しましては、むだなことでもありまするし、決してからだにひまがあつてつておるわけではありませんので、そういう立場をとられる方に対しては、私どもは、代表面接しております。ただ穏やかな形においていろいろ要望される方に対しては、私もみずから出かけて行くのでありますから、決して逃げ隱れもせずにお会いしております。そのときの客観的な情勢によつて、さような行為をしておるのでありまして、私どもは決して意識的なる差別待遇、そういう措置はとつていないということを御承知願いたいと思います。
  42. 春日正一

    ○春日委員 ただいま雇い入れの方から云々という話がありましたけれども、今私の言つておりますのは失業対策事業のことを言つておるわけであります。あれは国から金を出して—若干地方からも出しますけれども、その予算の中でやる仕事である。職安に使わせる権限があるということは、法律でうたつておるはずです。ですから、そういうことになりますと、單にあなたの方で雇い入れがどうこうと、私の方の意思に反してということは、通らぬと思います。
  43. 林武一

    ○林参考人 しかしこれは現状は決してそうではありません。たとえば職場を離脱いたしまして、三月十七日中小企業危機突破大会に旗をかついで出かけて参ります。そうした場合、賃金緊急失業対策法に基いて、離脱いたしました時間は当然差上げられないのであります。ところが受入れ側の建設事務所長をつるし上げて、これをとるという形になりますれば、受入れ側としては拒否して参るのは当然であります。と同時に、法律によつて押し込むとはいいながらも、現状においては定員法及び定数條例のわくによつて、受入れの面にはそういう指揮監督をいたしますものの手不足も事実であります。従つて組合には、現に連合会の方、あるいは全日協の方、もしくは土建一般組合の方も同様でありますが、それから都の労働組合の方には申し入れております。この受入れをしてもらいたいということについては、私どもも理事者の立場において、建設局長なり、あるいは清掃部長なりに対して、万全の努力はいたしておりますが、しかし現状はそれらの人を使うだけの、いわゆる監督をするだけの適当な職員を持たずして、しかも素手で、單なるシヤベル、つるはし、もつこ程度でやる仕事というものは、今後都内にあろうとは考えられませんので、受入れ側が澁るという事実に対しましては、私どもも何ともいたしかねるのであります。従つて私どもは組合に対しては、緊急対策事業に働く労務者として、できるだけ受入れ側が喜んで受入れられるような建前においてお働き願いたいということは、参ります際に、あるいは出かけた際に、口をすつぱくして申し上げております。
  44. 春日正一

    ○春日委員 それで差別の問題ですけれども、私が芝浦の駅をおりて、向う側へ行つたら、あすこのたまり場に、でかい、ビラが赤魔の跳梁を切つて云々という見出しで書いてあります。東京土建一般労働組合なんかに入つた仕事は得られない。林労働局長はああいう者には会わないけれども、われわれに会つて完全就労を約束すると書いてある。ほかに行つても、いわゆる民団系といわれる組合、こういうところに入れば仕事にありつける。仕事についたという例も聞いておる。そういうことが実際行われているということになると、あなたのるる説明されたその受入れが—女だからとか、労働力がないからとかいう問題ではなくて、実際両方の組合に働ける人間はおると思うが、しかしそういうことではなくて、差別をしておる。しかもこれが天下に公表されて使われておる。この点でもしそういうことになると、あなたは公共失業対策事業国家の金を使つて自分がよい子になろうとしておるということになると思うが、その点どうお考えですか。
  45. 林武一

    ○林参考人 同様のことを私は右の団体からも言われております。たとえば民同系の団体の労働組合、あるいは総同盟系の組合の方からも言われております。春日さんがごらんになつたのは、お子らく民同系の組合のビラだと思います。同じことは、たとえばアカハタ紙上に掲げられる。安定所においてすわり込みをかけたことによつて、幾つ幾つ獲得したという数字が—すなわち同様な意味合いにおいて私どもは同じことを言われております。私どもはきようここにお見えになつておる方の中には、名前を申しあげてもよいほど知つた方々がおります。この方々が来て、かつて一度といえども、私労働局内にいる限りにおいては、決してお会いしないということはございません。きようも現に出て来る際に、午前十時から決算委員会がある、十二時に十四都道府県の労働部長の代表者が参つてつたのでありますが、メーデーに有給休暇、婦人に生理休暇を與えてもらいたいというので、東京土建一般労働組合の井上君、その他の人が参りましたから、それらの人たちに、わずか十分間でありますが、お会いしております。時間の許す限り、からだのあいておる限り、拒否せずに会つております。御案内のように、安定所におきましては—安定行政は組合行政とは異なりますので、組合のいずれに属するか、最近こそ存じておりますが、そういうことは何ら考えることなく、ただひたむきに、失業者のサービス・センターとして働いておるという現状だけは、おくみとり願いたいと思います。同様なことを労働局長の建前において、右からも左からも言われております。     〔大橋委員長代理退席委員長着席、〕
  46. 春日正一

    ○春日委員 そうすると、組合の方にお聞きしたいのです。これはだれでもよいわけですけれども、特に東京土建の伊藤君に開きたいのです。今の局長の話を聞きますと、あぶれはないということになつておりますけれども、私らの聞いておるところでは、やはり相当あぶれておるように聞いておる。ここのところの食い違い、解釈の相違といいますか、ここのところをちよつと説明してもらいたいのですが……。
  47. 伊藤清

    伊藤参考人 全体的に、東京では結果からいつて、あぶれているのは少いようです。しかし五反田におきましても毎日あぶれたという数字は出ているのです。しかしこれは交渉において、百五十人とか二百人を押し込んだ形で就労しておる。また足立においても非常にあぶれは出ております。そういう形ではめ込めるときはあぶれておりませんが、はめ込めないときにはあぶれているのです。各事業場とか、安定所とかでは受入れ態勢とかいう言葉を使つておりますが、それは非常に食い違つております。安定所の方と十分連絡があればできるものを、安定所の方と連絡が悪いために、あぶれた人間をたくさん出すということが、板橋や、池袋の職安等では、昨年あたりは露骨に出ておつた。それで全体の形は、毎日あぶれておるけれども、これは安定所でもつて適当に入れておるとか、あるいに労働組合交渉して入れておるという結果でもつて、あぶれていない状態になつておるのです。しかし、林局長の言われるような就労抑制という形で、たくさんの人が数え切れないほど悲惨な状態でもつて出ておるのです。
  48. 春日正一

    ○春日委員 それで実質賃金は、普通どのくらいとつておるのですか。六千円とか七千円とかいわれますが、みんなそのくらいとつておるのですか。
  49. 伊藤清

    伊藤参考人 その人の体格とか、あるいは雨降りの日は仕事が出来ないというようなことから、二月を通じてでこぼこです。その点労働局長にお聞きになればよくおわかりになると思うのです。日曜を除くほかは仕事するのですが、今申しましたようなことで、大体二十二日くらいではないかと思います。従いまして二百四十五円を二十二倍したら新字が出るわけです。
  50. 春日正一

    ○春日委員 この前現場直行を切つたら暴力にあつたというようなことがあつたのですが、これは現場直行を切つて、労働組合が暴力を振つたのですか、暴力団が暴力を振つたのですか。
  51. 熊川廣衞

    熊川参考人 それは後藤君が愛知の方に帰つているので、詳しいことはわかりませんが、私の知つている範囲の点を申し上げますと、労働組合が暴力を加えたといつたようなことは、組合としてはしていないのです。ただ組合の中に暴力を加えた者がある、こういうものでありますので、御了承願いたいと思います。
  52. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 林労働局長に伺いたいのですが、先ほどから失業者の問題については、いろいろご熱心に御奮鬪のように承つております。失業問題の当面の局長としては、もつともなことだと思うのですが、私どもいろいろ陳情などを受けておりますので、特に林局長に伺つておきたいことが一点あります。その点お尋ねいたしたいと思います。予算のないところをやりくりして、失業者のために予算を組まれるのでありますから、なかなかすなおには交渉は進まないと思うのでございます。従つてすなおにお出しになることのできない立場にあることは、当然だと思うのであります。しかしながら労働組合を結成して、団体交渉権を持つておる組合としては、その団体交渉権がある限り、生活権を守るために、自分たちの要求に対して合法的な方法を使いまして、生きるための、きよう食う飯の交渉をやるのでありますから、これは当然だと思うのでございますが、もし当局の言われましたようなことで解釈されますと、団体交渉権というものは、土建の労働者にはなくなるので、はないかということを憂えるのでございます。この組合活動につきまして、どういうふうな考えを持つていらつしやるか。たとえば昨日もたくさんの日雇いの方が心配なさつて、この労働委員会においでになつたのですが、現場事業場では、きようは手当を出すということを約束してくれた。ところが労働局長の方からの電話がかかつて、これはいかん、きようは支拂うことはできないと言われておるというようなことも聞いております。正当の団体交渉権でもつて事業主と組合が、公然と契約されたものを、官側の方でやるなという命令でもつて押えておる。先ほどかからいろいろと失業者のために盡されておるということで、実に熱心に報告されまして、私どももその通りだと思つてつたのでありますが、どうもそれでは納得が行かないのでございます。その点につきまして、一体労働局としてはどういう見解を持つておられるか、はつきり承つておきたいと思います。
  53. 林武一

    ○林参考人 労働組合としては、御案内のように法内組合と法外組合があるというふうな、かたくなことは別といたしまして労働組合としての形の交渉に対しましては、私どもも決してそれに対する話合いを避けておりませんことは、先ほど申し上げた通りであります。この日雇い労働組合の実際を申し上げますならば、代表者を出してほしいという際には、常に全員が代表者だと言つて多数参るのでございます。全員が参るということは、たとえば一安定所の場合について申し上げますならば、登録しております方々が—かりにその安定所一つ組合があると仮定いたしますならば、二、三千人の人、あるいは組合が二つあるといえしましても、組合の大小にもよりますが、少くとも千人に近い数になるのであります。その中の代表者にお会いするという形は、きわめて自然な形であり、かりにわれわれが事業主ならば、これが労働組合に対しますところの当然の姿なのであります。しかしながら今までの私どもの経驗からいたしますならば、大体において千人が代表者だということで、強硬につつぱるのであります。きようも現に私が出て参ります際に、ガラスを割るというような事態も出ておるのであります。これは私どもといたしましては、やはり労働組合の建前といたしましては代表でいいのではないか。少くとも総会なりもしくは大会なりというもの、あるいはまた役員会等によつて選出されたところの代表にお会いして、そうして話をつけることがきわめて正しい行き方なのであります。従つて私どもはそういうことを常に主張しておりますし、現に私どものところに参ります、ここにお見えになつておる参考人方々には、いつもその都度申し上げております。しかしながら現実の問題としては、なかなかそれが行われないという形なのであります。従つて私は、そうした面における労働組合に対する、いわゆる組合の教育の面、おこがましいようでありますが教育の面として、やはり参ります方には、そのことを申し上げております。それから多数の代表者、たとえば十七の安定所からいずれも参るのだから、百八ぐらいは会つたらいいじやないか、これはいずれも代表者だ。なるほど代表者であるかは存じません。しかし現実の問題としては、職場を離脱して来るということに対する賃金の支拂いは、今の組合法から言いますれば、労働組合自体の資格に関することであります。ゆえなくして使用者側の利益供與を受けた形における労働運動は、やはりその組合がいわゆる御用組合としてのそしりを受けなければならないと存じます。従つて私どもは、常にそのことははつきり申し上げております。私は何も離弁を弄するということでなくして、代表に会うという建前こそが最も正しいことであると思います。現に土建一般労働組合委員長として、産別の幹事としての伊藤清君のごときには、昨年五月以来、私はずつと会つて話合いを続けております。ただしかし先般もこの席上で申し上げましたように、伊藤君であるとか、あるいは国分君とか、あるいは井上君であるとか、土建一般労働組合の幹部の方々はむしろ私のところへ来ることを避けるか、あるいは大衆につとめて話をわからせるためか避けて、そうして出て参ります方々は、いずれも新しい方であり、同時に間々いろいろと国内の事情にうとい、最近朝鮮からいらつしやつた方々を代表に立てて来る。相当むりなことを言います。そうした事態もありますので、必ずしも労働組合として私ども扱わないのでなくして、むしろ労働組合自体が—これはもちろん日雇い労働組合の性格として、まだ成長過程にある関係上やむを得ないと思いますが、労働組合らしからざるふるまいがあるということを御承知願いたいと思います。
  54. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 私の承りたいことに本筋がちよつとそれましたようでございまして、大分長々と御答弁くだすつたのでありますが、承りたかつたことは、きのうの事実でございまして、そのように事業体が認めたものを、局長の方から電話をかけて制限なすつたような事実があるかどうか。その点をまず一つと、それからそれは、今言われたことと最も深い関連を持つておるのかどうか、こういう点でございます。労働組合の団体交渉権、自主的に事業体で認めたものを、官の方でわざわざそうしちやいかぬとか、ああしちやいかぬとかいうようなことが、どこから出て来るかということでございます。それはあるいは労働省からの方針として、最近の労務行政の大きい方針であるか、そういう点を承りたい。
  55. 林武一

    ○林参考人 私、昨日実は十四都道府県労働部長会議に参つておりましたので、実は事情を何も存じません。ただいまの点につきましては、もし御希望とありますれば、調べた上でお答えしたいと存じます。ただしかし申し上げられます点は、一事業場—たとえば事業場は一安定所の管内で相当量持つております。東京都内に全部で四百からの事業場を持つております。ただしかし最近の傾向としては、一つで三十、四十の事業場もありますし、あるいは五百ぐらいつつ込んでおる事業場もありますが、そうしたところから、他の同僚の一応了解を得、同時に事業場における実際にそれを指揮命令しておりますところの受入れ側の監督者の了解を得て、事業に支障を来さない程度の代表者が参りますときには、これは私どももそれに対してあれこれと申しておりません。ただ先般の戸山ハイツの問題のごとく九十人の人たちが、あるいはまた最近におきまする幾多の事例にありまするように、一職場の全員に近い者が職場離脱をしておる。八王子におきまする町田現場のごとき事態は、これは決して正しいものとは申し上げられませんので、あくまでも労働省の方針に基いて、私どもはそういう職場離脱に対しては、正常なる労働運動と認めずしてこれを取扱うことといたしております。
  56. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 そういたしますと、実はこういうことがあつたわけでございます。茨城県の労働部長から、団体交渉権があるかないかということで—失業対策や公共事業というものが、現在団体交渉権を持たれるとして、公然と認められている生活権を守る団体交渉権があつても、まだこの生活権は守られていない。団体交渉権があつても食えない、こういう事態が起きておる。交渉権がなくなるということは、非常に生命の危險にかかわる問題であると思うのですが、そういうことにつきまして、茨城県の労働部長から照会が来ていたことに対して、これを公務員と取扱つて、公務員と見て公共事業失業対策には團体交渉権はないと考えるという見解が、労働省の一部にあるというふうに私ども聞いておるのであります。公務員だということになりますと六千三百七円ベースを保障されて、そして公務員としての資格を十分に保障されていることが附随しなければならないのでございますけれども、組合活動の面だけが、公務員として団体交渉権を認めないというふうにもう労働省の方針がなつておるとすれば、これは重大な問題だと思うのでございます。その点について、そういう方針の流れをくんで、きのうのような電話が出て来たのかという点を、一応伺つておきたいと思うのであります。
  57. 林武一

    ○林参考人 労働省の問題につきましては、労働委員会といたしまして、いずれ労働省の方からお聞きをいただきたいと思います。
  58. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 御答弁は簡單でよろしいのですが……。
  59. 林武一

    ○林参考人 私どもは、そうした面については、従来と同様何らかわらざる建前において、正常なる、ごく限られたる組合代表者に対しましては、それを打切るというふうなことは毛頭考えておりません。
  60. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 組合活動の面から申しますと、正常なる代表とか何とかいうふうなことはあれなのでございまして、労働組合の活動の自由というものは、土建の失業者組合の場合にも、あるというふうに解釈いたしまして、よろしゆうございますね。
  61. 林武一

    ○林参考人 ええ。
  62. 柄澤登志子

    ○柄澤委員 よろしゆうございます。
  63. 倉石忠雄

    倉石委員長 本日はこの程度にとどめて散会いたします。参考人各位におかれましては、御繁忙中御出席くださいましてありがとうございました。次会も、本委員会の都合でもう一度御出席を願うかもしれませんが、お含みを願います。次会は公報をもつて御通知いたします。     午後五時五十分散会