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宮幡政府委員 ごもつともなお尋ねでありますが、これを詳しく申し上げておりますと、一時間くらいかかるかもしれませんので、ごく要点だけ申し上げます。御
承知のように日発と九配電会社、合せて十
企業体に対しまして、経済力集中排除法の指定がございました
関係で、持株会社整理委員会におきまして、この解体を行うべきことと
なつたのが、事の起りであります。その後、持株会社整理委員会においてこの解体の案をつくることは、諸般の情勢上適当でないので、通産省でひ
とつ考えたらどうかということが、昨年の十月ごろからのことであります。その以前におきましても、持株会社整理委員会の諮問機関としてできたと申してよいか、あるいは
一般的諮問機関としてできたというか、漠然たる
意味でありますが、民主的な諮問機関ができまして、大山試案というようなものができたという経過的のことがありますが、その前のことは省略さしていただきます。非常にこの問題は日本の
産業経済に及ぼす影響と、民生全般に対します問題としてウエートが重いので、通産省としても愼重に考えておりましたところ、司令部の方から、か
つて司令部に五人委員会というのがありましたが、それに準じますような五人の委員をも
つて審議会をつく
つて、案を練
つてみたらどうか、これは純然たる通産省の諮問機関としてや
つてみたらどうか、同時にそういう解体後の事業の運営調整を行
つて行く、料金その他のことを操作して参ります機関として、最近非常にはや
つて参りました委員会官庁と申しましようか、レギュラトリー・ボディーと申しましようか、公益事業委員会というものを同時につく
つたらよいだろうこういう御勧告がありまして、それに準じまして、昨年御
承知のように電気事業再編成
審議会というものをつくり、
委員長に
電力界の大先輩であります松永氏をいただきまして、年末年始を通じ連日のように
審議が進められまして、その結果一月三十一日に答申案というものが出たのであります。これは大体全国を現在の配電会社の地区によ
つて九分割をいたす。これが基本であります。しかしながらこの各ブロック間の
電力調整の
関係を、きわめて円満ならしめるために暫定的
措置といたしまして、現在日発の持
つておりますところの出力から申しますと約四二%、火力、水力を通じまして、三百万キロワット
程度のものを、一時一応
融通会社というものに保有せしめまして、――これは大体送電線路で申せば、十一万ボルト以上の送電線路と、それにつながる発電所を持つことになるわけでありますが、これを持つ
融通会社というものを
設立いたしまして、各ブロック間の調整をはかる。これが大体答申案の趣旨であります。それから公益事業委員会には、ガス事業とともに合せてこれを設くべきであ
つて、その委員会はあくまでも内閣に附随するところの委員会であ
つて、内閣を通じて、
開議の承認を得て、
国会に対して責任を負担するものであるというようなことで答申がありました。もともとこの五人委員会をつくりますときには、閣議決定を経まして、答申案を尊重するということが閣議の決定事項でありますので、これを
政府案としてそのまま答申しても、行き方としては決して間違いではないのでありますが、実際問題として、電気の再編成の重要性を勘案いたしますと、なかなかこの案を用いられない。ことには経済力集中排除法のねらいどころといたしましては、国家管理というような形態からいわゆる民有、民営という線へ強く進んで行かなければならない。そうして過度の経済力を排除いたします以上、現在持
つております日発の小さく
なつた、半分ぐらいに
なつたものを残して、やはり国家管理的な色彩を持つことは、とうては司令部の方でも認むるところではないというようなことも、四囲の情勢から判明して参りましたので、一応この答申をそのまま司令部翻訳して提出したのであります。これに対しまして司令部といたしましてはもちろん御賛成の意思はなく、これと合せて答申案について、別に松永案というのがついて参りました。これは
審議会の
審議中に松永試案として発表いたしたこともありまして、一部ではその大綱だけはわか
つております。要領はやはり全地区を九分割いたします。地区の点についてはほとんど答申案と相違はないのであります。異なるところはその調整会社のないことであります。地区外に各電源を持つことを認める。すなわち関東ブロックに対しましては、猪苗代湖の電源を持つ、関西ブロックにつきましては信越、富山
方面、あるいは天龍川水系というようなものまで関西ブロックに属せしめる。こういうことによ
つて各地区の需給のアンバランスになることをできるだけ避けたい。そしてその他の調整は公益事業委員会でことごとくやりまして、国家管理的な色彩のあります調整会社のようなものは絶対つくらぬ、かような案であります。これも
審議会の方で司令部と下話をしたときにも、司令部においてもあまりよい案だとは申されなか
つたような
状況でありますが、これも合せてやはり同じように報告いたしたのであります。これに対しましてたしか今月の十一日だと思いますが、かような最初の
審議会答申案は、過度経済力集中排除の趣旨に反するもので、これは賛成しがたい。松永案に至
つてはその最終の効果が得られるところにおいて大いに疑問があるので、これまた最良のものとは思えない。そういう意見がありました。ところが
政府はさような考えを持
つておりませんでしたが、たまたま新聞紙上に、一新聞か二新聞でありましたが、今度の
国会――ただいま開会中の
国会に対して、
電力再編成の
法案は、どうも間に合わないであろうというようなことが記事に出ました。これはもとより
政府の真意でなくして、現在でも取急ぎましてひ
とつ法律案を出したい、最善のものを出したいという努力を、日夜続けておるわけなのであります。本日この委員会に遅れて参りましたことも、御
承知のように大臣が一応兼任でありますが、かわりましたので、大臣を中心といたしまして、晝休みにこの再編成の問題を研究してお
つた、かような実情であるのであります。しかしながらそのためかどうか知りませんが、とにかく司令部から十二日になりまして答申案も松永案も全部認められないから、この十五日までに
政府案を出せ、こういうことであります。しかもその編成をや
つて行くプログラムでよろしい、別に條文化したものなんかいらぬ。こういう
程度でありましたので、実は十三日の朝に、それをもら
つたのでありますから、時間的な余裕もありませんので、一応
政府といたしましては松永案の長所を全部取入れることにいたしまして――
政府と申しましても
通商産業省といたしまして、一応全部取入れまして、一時間に、あるいは特定の地域において起る料金その他の調節は、一定の期間だけはこれをある
程度調節して行こう、こういうことを
條件といたしまして、その調節案等もございませぬが、そういう式のものをつくりまして、そうして十五日のマーカット会談――これは定例会談でありますが、稻垣大臣がこれをお持ちいたしまして提出したわけであります。これはもちろん通産省の試案でありまして、あるいはもつと進んで言えば、稻壇試案というものでありますが、今度はどうしても正式な案をつく
つて、
政府案として出さなければならない段階にありますので、月曜日の閣議に
政府案を一応かけまして、あるいは
政府案の結論が稻垣試案と一致するような場合もあるかもしれませんが、今明日検討の上、月曜日の閣議に付議いたしまして、その結果をもちまして、
政府の責任において司令部と折衝を開始いたしまして、でき得べくんば本月末あたりを目途といたしまして、ある案を得まして、これに対する法文等の整備、それぞれの所要の手続を経まして、ぜひとも本
国会で御
審議をいただきたい。かような
状況に
なつておる次第であります。