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齋藤(邦)政府委員 私の
職業安定局関係の
事項につきまして、大体お答え申し上げたいと思います。まず最初に失業者並びにそれの見通しというお尋ねがあつたのでありますが、現在失業者がどのくらいあるだろうかということは、非常に困難な問題でございまして、的確なる数を把握することはきわめて困難な事情にあります。失業者数を把握する統計として、最も有権的なものとしてあげられておりまするものは、総理府統計局で行つておりまする労働力
調査があるのであります。この労働力
調査は御
承知かと思いますが、ある地域を抜打ち的に抽出いたしまして、これを全国的に広めて推定する方法でございますが、この方法によりますと、昨年の多分八月であつたと思いますが、完全失業者の数は昨年の八月が四十八万程度でありました。これが逐月減少して参つておりまして、昨年の十一月の完全失業者の数は三十数万というのが出ておるのでございます。この完全失業者の定義でありますが、これは毎月
調査いたしておりまするその
調査前一週間に一時間も働かなかつたいわゆる完全失業者、こういう非常に嚴密な定義に
なつておるものでございます。これが全国的な統計としての完全失業者の統計でございます。しかし、はたしてこれだけによつて日本の失業なり、あるいは雇用の
現状を把握することができるかどうか、そこに問題はあろうかと存じております。私どもの公共職業安定所の窓口に現われております求職の状況、未就職の状況、これもまた一つの失業の様相を物語つておるものではないだろうか、かように考えておる次第でございます。それによりますと、安定所の窓口に現われておりまする求職の数は、逐月ふえて参つております。御
承知のように公共職業安定所は、失業者ばかりが利用するものではもちろんありません。現在職業についておる者でも、よりよき職業を欲して利用する者もあろうかと思います。そういうことでございまして、これが完全失業者というものではないということをあらかじめお断りして申し上げますが、求職者の数は逐月ふえて参つておりまして、たとえば昨年の七月に安定所に職業を求めに参つたのが、六十八万人ほどあつたのでございます。それが十一月になりますと八十六万八千人、これが求職者の数字に相
なつております。この求職者のうち未就職者に終つておる数が、大体八月が六十五万、十一月が六十八万という数字に
なつております。すなわち安定所のおせわで仕事につくことができなかつた者の数は、日雇い等合せまして六十八万人という数字に相
なつております。またその数字のうち、失業保險の金をもらつて
生活をしておる者の数を申しますと、十一月には、約三十二万人程度が失業保險の金を受けておるような次第でございます。かようなわけで、現在の失業者数はどのくらいか、こういうお尋ねでございますが、最も嚴密な統計で申しますれば、総理府統計局のかくかくの定義による完全失業者数は、三十八万と申すことができると思います。失業保險の
関係で申しますれば約三十三万程度、それは逐月
増加の傾向にありますが、そういうことが言えると思います。はつきりした数字は申せませんが、失業者の数がそういうふうにふえておる傾向にあるということは、言えるのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
なお将来の見通しの問題でございますが、これもまたきわめて困難な問題であります。御
承知のように民間の企業
整備は昨年の七、八月を頂点といたしまして、その後も行われておりますが、逐月企業
整備の状況は減少して参つております。おそらくここしばらくは続くものと想像しておりますけれども、昨年の七、八月ほどの企業
整備は、行われないと私は考えております。なお失業の将来の問題として、考えられまする要因だけを申し上げておきますれば、本年の三月に学校を卒業していわゆる労働市場に出る人々、これもまた相当の数に上ることは、一つの失業という問題を考えますときには、考えなければならぬ問題だろうと思つております。なおそれと同時に、将来の農村
経済の状況によつて、ある程度のいわゆる潜在しておりました失業者が、顯在化して来るという問題も、頭に入れて考えなければならぬと思いますが、明
年度中にどの程度の失業者が出るか、こういうことになりますと、御
承知のように失業という問題は、
経済情勢の推移による事柄でありますので、今的確に私どもはこれこれの数が出るであろうということは、申せないと存じておる次第でございます。
なお明
年度の失業者吸收の問題でございますが、これについては、いわゆる国の財政によつて、これだけの雇用量はある程度ふえるであろうということからまず申し上げますれば、御
承知の明
年度公共事業費九百六十億という
予算が計上せられておりまして、この
予算が成立いたしますとするならば、この九百六十億によります雇用量は、大体百万人近いものに相なるかと存じておる次第でございます。この百万人の雇用量ということは、
昭和二十四
年度約五百億の
公共事業の雇用量約五十々に
比較いたしますと、新規雇用量の
増加は、五十万というものが推定せられると私どもは考えております。それが一つと、それからもう一つの問題面は、御
承知の見返り資金の活用の問題でございます。すなわちわが国基幹産業の振興をはかりますために、見返り資金が放出されるということになるのでございますが、もちろんその詳細の
内容はいまだ決定はいたされておりませんけれども、この見返り資金の活用によりまして、わが国の基幹産業等に——大体
経済安定本部等とも打合せておりますが、約三十万人程度の雇用重の
増加が見込まれる、かように考えておる次第であります。なおそのほかに雇用量の問題といたしましては、財双的な面から申しますと、
労働省所管に置かれております四十億の失業対策
事業費というものがございます。これほ民間の産業なり、あるいは
公共事業なりに吸收することのできない最後の措置として、行うところの失業対策の措置でございます。これによりまして約十万人の失業者を吸收することができるということに
なつております。なおそれと関連いたしまして、純粋の民需産業における雇用量の問題でございます。先ほど申し上げましたのが、財政的の裏づけのあるものでございますが、民需産業の振興ということによつて、どの程度の雇用量がふえるであろうかということが、やはり失業問題を考えるときの一つの問題かと思つております。これにつきましては
経済安定本部とも打合せをしておりますが、結局生産計画等ともにらみ合せまして、鉱工業あるいは建築、土建業あるいは金融業、商業、自由業、すべての産業を包含いたしまして、大体八十万人程度の雇用量は
増加するものと私どもは見込んでおります。なお民需産業の傾向もまだ頭打ちの形でありますが、統計的に見ますると、逐月明るい面も多少出ておるような次第でございますので、八十万人の雇用の
増加ということも期待できるのではないか、かように考えておる次第でございます。
それから私の方の局の
関係で男子、女子の問題でありますが、これはただいま資料を持ち合せておりませんので、後刻資料によりまして申し上げたいと思つております。
それから労働能力の適性検査の問題むございましたが、これも以前から新規就職の場合には、それぞれ本人の適性に応じた職場をあつせんするということが、私どもの就業あつせんの原則でございます。すなわち適職あつせんということでありますので、そうした観点から新規就職にあたりましては、適性検査というものをできるだけいたすことにいたしております。しかし
予算等の都合もありまして、思うようには参つておりません。しかしながら私ども職業あつせんということから申しますれば、適職あつせんということが根本でありますので、できるだけこの適性検査ということに重点を入れて、職業のあつせんに努めて参りたい、かように存じておる次第でございます。