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米原委員 それじや借りたでもない、もら
つたのでもない、要するに
日本が縛りつけられる金である、こう
解釈するよりほかないのであります。実はもら
つたにしても、これを一々相談するのは問題がある。ヨーロツパにおいても同様に、
見返り資金が問題にな
つております。しかしこの場合はも
はつきり贈與にな
つておる。
日本のようにあいまいなものにな
つておりません。そこで贈與にな
つて双務
協定が結ばれて、それについて一々相談しなてちやならぬというふうにな
つております。しかしまだ
日本のように贈與だか貸付だかわからぬというような状態しやないのであります。しかもこの額から見ましても、昨日も北澤
委員かり、この問題について、ヨーロツパと比較しての問題が出ておりましたが、ヨーロツパに今まで出た
見返り資金の総額をと
つて、
日本の額と比べてみて、
日本の額は実に大きな
割合を占めておる。ヨーロツパ全体に出ておる援助
資金の三分の一ないしは二分の一近いものが出ておると私は見ております。しかもヨーロツパでは、しばしばそのことが問題にな
つておるのであります。これは借りたということでなくて、もけ
つたという形にな
つている。そこでもら
つたのだから、ただで使
つたらいいのじやないかという意見と、それに対してこれを双務
協定を一結んで、いろいろ相談しなくちやならなく
なつたという結果において、この経済の自主性が失われるという問題について、これはヨーロツパの何も共産党ばかりじやない、保守党や労働党の陣営からもこれに対する、その国の民族の経済の自主性を守る問題が、最近やかましく論議されておるのである。ところが
日本においては、それよりもはるかに大きな分量であり、しかもこれが貸付か贈与かわからないというような状態で入
つておる。しかもそれを
日本において
管理しておられるところの、
責任者である
大蔵大臣が、何ら自主性を持
つていない。
見返り資金会計法の條交すら忘れておられる。こういう形で運営されるからこそ、われわれは実に危險だと言わざるを得ない。ヨーロツパにおいてもこれは問題に
なつた。今年のニューヨーク・タイムズ・ウイークリーの一月十一日号を見ますと、この点についてさらに敷征して、
日本の時事通信の電報を載せております。たとえばイギリスは、
債務償還を
見返り資金でたくさんや
つておるということが、
アメリカの方から問題に
なつた。
アメリカでは、イギリスにこれ以上金をやることは、イギリスの社会主義に注射をするものだという声が、ウォール・ストリートの方面から起
つている。そうしてそれに符を合するごとく、十月三十一日以来、見透り
資金が凍結されておるという問題が、時事通信にも出ておる。
借金をすることによ
つて国政が左右される。イギリスにおいて政権を握
つておる労働党の国有化政策を遂行して行くために
借金を負
つて行くという、そういう
意味で干渉せざるを得なか
つたという点に、非常な問題が起るのである。ところが
日本の場合においては、今も言いましたように、
はつきりわか
つていないという、しかもその分が非常に多い。これで経済の隷属が行われるのでなくて、どうなるか。私はこの点に非常な危惧を感ずるわけであります。こういう
意味で私は聞いておるのであります。しかしながら一番重要な点は、その点が、あるいは贈與なのか、貸與なのか。――
阿波丸協定ではこういう
了解事項が出ておる。この点については、
政府は
はつきりした見解を国民に知らせる義務があると思う。今にな
つても、
お答えができないから、調査して
答えるとは、一体何であるかと言わざるを得ないのであります。それで私は
質問を続けますが、この
見返り資金がどのくらい
日本の経済全体に、大きな役割を演じておるかということは言うまでもないのであるが、これを
数字的に育
つてみると、もつと明瞭になるのではないかと思うのであります。私も大体調べてみましたが、
見返り資金が、今度の
予算に出ております国民所得総額に比べると、大体四%、総貯蓄額の二五%ぐらいを占める
割合にな
つている。私は計算して出したのでありますが、この年間に形成される資本の六二%、これは今度の
見返り資金の予定に出ている公企業の方に出る四百億と、私企業の方に出る四百億とを合せて八百億円を新たに形成される資本として見ましても、それは年間新たに
日本において形成される資本の六二%を占めるのじやないかと私は計算しておるのであります。そうすると、
日本の経済に対する
決定的な役割を演ずるものが、この
見返り資金であるということが明らかである。その問題が
借金であるのか、もら
つたのであるかわからないという態度でいいかどうか。この点については十分調査をして、国民に対して
はつきりした
答弁を、急速になさるべきだと私は思うのであります。この点についての御所見を伺いたいと思います。