○
稻村委員 大体
地方税の
地租の問題はそれくらいにいたします。
次にお聞きしたいと思いますことは、
農業協同組合に関する課税の問題であります。
農業協同組合を育成しなければならぬことは、
農業近代化の上から申しましても、ことに急務を要するコストの引下げというようなことで
農業協同組合を育成するということは、非常に重要な問題であるとかように
考えておるのであります。ところが
農業協同組合はすでに御承知だろうと思いますが、農林省の
調査によると、一万五千八百三組合のうち実に六三%がわずかな黒字であ
つて、三五%というものはま
つたく
赤字だ、こういう
状態になるほどまだ弱体的なのであります。ところがこれに対して所得税の問題は、私の先ほど調べたところによりますと、一組合当りの所得税は、これまではたしか四千四十八円くらいな課税であ
つたものが、今度はそれが大分多くなりまして、約八万一千円くらいなものから
——これは七組合の実例の
調査でありますが、大体において五万円程度の税金が課せられることになる。この所得税の問題は今度の
改正によ
つて二五%から三五%かけられ、それに留保金の二%をかけられて行くためにこういうことになるのであります。これはやむを得ないことと
考えましても、問題は附加価値税であります。附加価値税は利益発生組合であ
つても、利益のない組合であ
つても、すべて
赤字、黒字にかかわらずかか
つて行くと思うのでありますが、この附加価値税は平均いたしますと、利益のある七組合で大体八万五百十六円というものがかか
つて来るのであります。昔の事業税は四千二百八十六円しかかか
つていない。そうすると平均七万六千二百七十六円というものが出るのでありまして、約二十倍近くの税金が附加価値税としてかけられるということになります。これは単なる八万円程度のものであるからして大したことはないと申しますが、今の
農業協同組合の一單位の出
資金はどれくらいかというと二十万円くらいしかない。大体この二十万円くらいのものでも
つて運転をやるのでありますからして、そこに八万円というような厖大な税金がかけられますと、運営がほとんど不可能になるのであります。しかも欠損組合においても同じようなことが言えるのでありまして、平均の欠損はどうかというと、欠損組合七組合を農林省で
調査したところによりましても、二十七万二千七百八十二円という欠損を一組合にみな持
つておるのであります。こういうような大きな欠損があるにかかわらず、今度の附加価値税はこれに対してどのくらいかかるかというと、四万一千四百五円かかるのであります。私たちはこういうふうなことを
考え、ますと、
農業協同組合の育成どころじやない、税金のために
農業協同組合の運営が不可能になる、こういうことが続々と出て来る。今まで利益のあ
つた組合であ
つても、所得税と附加価値税と二つかけられるとみんな
赤字にな
つてしまう。こういうような数字が出ておるわけでありますが、こういうことに関する
政府の原案というようなものに対して、
経済閣僚の中心をなすところの大蔵大臣は、こういう事態をどういうふうに收拾しようとお
考えになりますか。