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池田国務大臣 不動産金融金庫とか、あるいは不動産銀行、こういうことは話題にはちよいちよい出ましたが、私の
考えでは、特別に不動産銀行を設けることはなかなか困難ではないかと思います。今の
状況から申しまして、債券を発行いたしまして金を集めるということになりますと、かなり資金
コストが高くついて来るのであります。しこうして興業銀行の
ように一件の貸出金額が大きい場合においては、経費が割合少うございますが、
一般に
考えております
ようないわゆる零細な不動産担保の金融ということになりますと、一件の貸出金額は割合に少くて、経費が非常にかかるのであります。資金
コストの高い銀行で零細な不動産金融をやるということになると、どうしても年に一割六、七分という
ような利子でないと、なかなか採算がつかないのであります。従いまして私は不動産銀行という特別な銀行を設けることは、適当でないという結論に到達しているのでございます。従いまして不動産金融をどうや
つて行くかということになると、
角田先生は、前の
ように勧業銀行を不動産金融金庫の
ようにしたらどうかという御
意見でございますが、勧業銀行は終戰後のあり方といたしまして、もう普通銀行にかわ
つてしま
つたのであります。これをまた前の
ような不動産銀行にかえる。そうしてかえた場合の採算の
状況を
考えます。と、やはりとるべきではない。しからば不動産金融をどうするか、ことに中小
商工業者においてはかなり不動産金融というのが今までも行われておりましたし、また担保物件その他からい
つて割合よいものだ。そこで私は勧業銀行を普通銀行のままにしておいて債券を発行し、
一般商業金融と同時に、また不動産の方もやらしたらどうかという結論に到達いたしまして、先般来
関係方面と折衝を重ねた結果、見返り資金より
相当額を出資いたしまして、それに応じて債券の発行を認めて行く、その債券の発行は長期資金を使
つて行く、その長期資金の場合に不動産担保の金融ということもあり得るという
考えを持
つておるのであります。この銀行法の改正は近日中提案できると思
つております。もう閣議でも昨日決定いたしましたので、二、三日中には御審議願えるだろうと
考えております。大体の
考え方は、勧業銀行について大体預金が三百億近くございます。それで見返り資金より十億円を出資して、社債を発行するということになると、百億ないし二百億の長期資金ができるのではないかという見通しを持
つているのであります。