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西村(榮)
委員 これがミス・プリントだというならば、ミス・プリントがきわめて丁寧過ぎます。同時に前後の
状態からい
つて、これは誤りではありません。同時に、この金額に若干の相違はあるけれども、経済安定本部の輸入された実績においても一〇%の相違が来ておる。こういうふうな点を
考えると、私はこれはぜひとも
大蔵大臣並びに
安本長官は、この莫大な数字は、アメリカの
政府、アメリカの
国民が
日本国民を援助してやろう、救済してやろうという
意味において
予算を組まれたのでありますから、これが実際に入
つておるかどうかという点は、一応照会し、かつまたその使途についてお伺いされるだけの義務が
日本政府にある。特に私が問わんとするところは、この費用の中から沖繩に向
つて、その費用が流用されておるかどうかということについて、将来国政を論ずる上において、あるいは講和
会議において、われわれがものを
考える上において、重大なポイントであるから、これを問いただしておくことは、
日本政府の当然の責任だと思う。ぜひお願いしたい。同時に私は、先ほど
大蔵大臣は、私の出した不渡手形の件数に対して、統計が誤りであるということをおつしや
つたのでありますが、同じような資料が、今私のところにまわ
つて参りましたが、
大蔵省の発行しておる財政
金融統計月報第三号に同じような数字が出ている。
主計局長に申し上げておきますが、ページは二十九ページであります。これはあなたの方から出した統計であります。よくごらんなさい。これは誤りですか。これが誤りであれば、世人を惑わすような統計は、通産省といわず、
大蔵省といわず、お出しにならぬ方がよろしい。これは手形交換所の統計とぴつたり一致しておる。これは
大蔵省の方に上げましよう。
最後に私は、私の先ほど来の
質問の中ではつきりいたしたことは、千二百八十六億円という本年の国債償還
資金というものは、何ら法的に根拠がないものである、あるいは財政上の根拠がないものであるということが明らかにな
つたのであります。同時に、
日本の中小商工業者のみならず、
社会全体が不安と動揺の中にあり、特に
労働者、中小商工業者の
状態、一般の雇用量の減退からい
つて、実に
日本は縮小再
生産の過程を急速に歩んで、まさに経済恐慌の前夜にあるということが明らかにな
つたのであります。アメリカは
国民所得に匹敵する国債を保有しておる。イギリスは
国民所得の三倍の国債を保有しておる。しかるに
日本は、この貧弱な中に、
国民所得の一割二分しか国債を保有しておらない。これは
大蔵大臣がしばしば、
日本とアメリカとは違う、戰勝国と戰敗国とは違うということを先ほど来お述べにな
つたのでありますが、この米英両国と
日本との相違というものがどこにあるかということは、いくさに勝つた国と負けた国との相違はありますけれども、経済的に見れば、アメリカにせよ、イギリスにせよ、
生産施設は無きずであります。国土はそのままであります。しかるに
日本は、
生産施設は壊滅の
状態であり、国土は壊滅的な打撃を受けて、これを復興しなければならぬ、復興するには
資金がいる。
従つて今日においてわれわれがとるべき均衡財政というものは、この窮迫して窮乏のどん底にあえいでおる多数の
国民、あるいは長期の設備改善
資金あるいは運転
資金に融資を待望しておる
日本の
産業界から、なお
資金を取上げて、何ら法制的は、あるいは財政的な必要に迫られない多額の金額を、今日の財政難、
金融難の中から、古い債務の償還に充てなければならぬというところの理由はないのであります。こいねがわくは、私はこれらの
日本経済の現実を直視されて、
大蔵大臣がこの
予算案というものを修正して、古い借金を返そうという、この一千二百億円のうち、三分の二あるいは三分の一をさいて、これを中小商工業者の対策におまわしになるということのお
考えがないか、あるいは
日本の
産業界の設備
資金におまわしになるということのお
考えはないか、この点をお伺いいたしたい。
同時に私は、自分も時間がございませんから、
結論として申し上げますが、率直に申しますならば、昨年三月、四月、ドツジ氏が
日本の経済の方針並びに
日本の財政の均衡をとるために、かくあるべしという指針を與えられたのでありますが、私はこのドツジ氏の均衡財政、ドヅジ氏の
日本経済の建直しに対する至誠と熱意に対しては、敬意を表するものでありますけれども、これは
日本の
実情を十分わきまえざる結果、善意なる忠告がかえ
つて悪い結果を今日招来するのではないか。先ほど
池田大蔵大臣は、シヤウプ勧告といえども
日本の
実情に適せざるものは、これを拒否するの、だということの、はつきりした御言明があ
つたのでありますが、同様にドツジ氏の処方箋にいたしましても、
日本の現実に適せざるものがありといたしますれば、これを修正するだけの大勇を今日の財政当局は持
つてもらいたい。少くともドツジ氏が昨年来られたときのアメリカの情勢と、ドツジ氏が立つた後のアメリカの情勢というものは、アメリカの近来の財政
政策というものは一変しております。これは私は、賢明な
池田君に申し上げるまでもなく、御存じたろうと思いますが、アメリカは昨年度の
予算において五十億ドルの赤字を
覚悟いたしております。七十億ドルの増税案を放棄いたしております。同時にアメリカは、戰時中アメリカの
国民の戰時利得税七百六十億ドルというものが、そのまま待機されておるのでありまして、これを、戰後におけるパニックを食いとめるために、
国民の一大購買力を培養するために、アメリカ
政府は五十億ドルという赤字を
覚悟し、七十億ドルという増税を放棄し、同時に七百億ドルの潜在購買力を動員する
政策をと
つて、アメリカの経済は一大転換期に入
つて来たのであります。
従つてドツジ氏の来られたときの
日本経済に対する感覚というものは、アメリカの経済転換前の感覚をも
つて、
日本の今日の牧支均衡を示唆されたのでありまして、しかも今日において、七〇%の現在の
生産力から申しますならば、これは戰前の
国民一人当り四九%の
生産力であります。しかもこの過小
生産力の中にあ
つて、
日本は国土の復興と設備
資金の改善と多くの
産業資金がいる中において、莫大な金額を吸收されて行くということは、これは
国民経済の根幹を枯らすものであるということをいわざるを得ないのでありまして、この
意味において、せつかくドツジ氏が示されたこの均衡財政というものは、私は近く破綻するということをここに断言せざるを得ないのであります。あたかもこれは二十歳の青年に対して、むりに十二歳の子供の着物を着せておくようなもので、必ずこれはほころびる。そのほころびは不渡手形の激増になり、
中小企業の倒産となり、
金融の行き詰まりと
なつて、
池田大蔵大臣の楽観を裏切
つて、前途はなはだ憂慮にたえざる事態ができる。こういうふうなことを
考えますならば、政党政派にとらわれず、ここにドツジ処方箋の修正というものをお
考えに
なつてはどうか。私といたしましては、ただいまの
大蔵大臣の御説明、あるいは従来の御説明から申しますならば、このドツジ処方箋を堅持せられるという現内閣の方針は、はなはだ理解に苦しむのであります。これは財政上からい
つて、かようなむりな均衡財政——その年度の均衡がとれさえすればよいのであ
つて、今日国土の回復、
生産設備に対しては、古い借金を返すよりもその方に振り向けなければならない、も
つて国民経済の将来の基盤を確立しなければならぬということは、これは経済の常道である。にもかかわらず
国民経済の基盤を崩壊せしめて、今日の收奪的な均衡財政をとるということは、これは
日本の健全な
国民生活の発展をこいねがう立場から言えば、常識上私は判断に苦しむものでありまして、ことに
日本経済の将来の国際的なあり方について、別な政治的な意図によ
つて、この窮迫せる財政になお拍車をかけようとするならばいざしらず、財政の健全化あるいは財政の常識から言いますならば、今日のようなこのひどい超均衡財政というものは、私どもは理解できないのであります。
従つて私はこの際
大蔵大臣に対しまして、以上の点を明らかにして、このドツジ処方箋を修正されるだけの
考えはないかどうかを伺いたい。