○稻垣国務
大臣 お説の
通りに、私が申し上げるように輸出を増して行くためには、国内
産業の開発も必要であります。同時にまた、大体われわれは原料を持
つていない国でありますから、原料を
輸入していわゆる加工
貿易の
方面についても力を入れることが必要であります。各
産業方面におきましてどうしても企業の合理化
——その企業合理化という意味は、労務者の犠牲においてという意味でなくして、実際上に技術あるいは設備、そうい
つたようなものの改善、あるいはよくアメリカで申します工場内のアレンジメントの改善、こうい
つたような点に特に力を入れてや
つて行くことが、一方においては必要であります。また同時に、
日本は国内資源がないとは申しますけれども、しかしながら
日本にある国内資源、たとえば電源のごとき、これは
日本は非常に豊富にある。電源を開発して、電力そのものが原料になるという工業を興して行く。それについては、たとえば硫安工業であれば、
日本には硫化鉄がある。あるいは窒素肥料、あるいはそのような原料を
輸入しないでや
つて行ける化学
方面の工業については、たとえば石灰工業、カーバイト工業、こうい
つた方面について力を入れて行くということで、原料なくして
日本の工業を盛んにすることができるのでありまして、それにはまず安い電力を開発するいうことが、緊急の問題であるとわれわれは
考えておる。そういう
方面については特にできるだけ
見返り資金その他の運用によ
つてこれを実行して行きたい。今年度におきましても御
承知のように、大体今二十箇地点、四十三万キロワツトの開発を計画しております。火力は六箇所で二十万キロワツトでありますが、水力は四十三万キロワツトを計画しております。来年はなお追加として七十八万キロワツトをわれわれは予定しておるのであります。これは順次開発をや
つて行くので、むろん電源の開発でありますから、一年間に
建設が完成するというわけには参りませんけれども、しかしながら本年度からは、少くとも今言
つた四十三万キロワツトの発電力を得るための仕事に着手し得るという形をとりたい、かように
考えておるのであります。なお
日本の鉱山資源につきましても、われわれといたしましてはいろいろ問題はありますけれども、銅はアメリカとけた違いでありますけれども、世界的には第二位あるいは第三位の
日本は銅産国であります。これの利用、言いかえれば、電線なり銅線なりの利用と相ま
つて、こういう
方面の需要を喚起すると同時に、銅鉱山の開発ということも
考えなければならぬと思います。また先ほど問題になりました化学肥料の面から言えば、硫化鉄の開発の促進も
考えるべきであろうと存じます。また長年捨てられておりました金の採鉱ということも、われわれはもつと
考えて行かなければならぬ。かように国内資源の開発についても同時に並行してや
つて行く、こういうふうに
考えている次第であります。