○稻垣国務
大臣 私は先ほど
安本長官その他が
お答えに
なつたと思いまして、
お答え申し上げなか
つたのでありますが、まずやはり先ほ
ども例に
一つ引きました三菱電機の場合につきましても、送金の問題が、コンヴアートして送金するということが大きな問題になるのであります。これにつきましては、やはり為替
予算のうちで、ある程度の金額を保留しておくということをわれわれは
考えなければならぬ。しかもそれに対して今年一年の為替
予算には組んであ
つたが、来年は組んでないというようなことでありますと、向うが安心いたしませんので、二年なり五年——私は五年か十年ということを
考えておるのでありますが、五年あるいは十年というものを、
一つの期間としてコンヴアートして送金することに対して、われわれは為替
予算の中に
一つのわくをと
つて置くということを保証することが必要ではないか、かように
考えております。この点についてはつきりした措置をとらないと、おそらく外資は全然入
つて来ないのじやないか、私はこのように心配しておるのであります。
その次に問題になります点は、先ほど申し上げました中に
一つあ
つたのでありますが、従来契約したものが一方的に破棄されたという事実、言いかえれば
日本の電気
事業が、日発という
一つの会社に統一されたために、その債務が全部
政府に肩がわりされた。ところが向うの人に言わせますと、
日本の
政府を信用しないわけではないけれ
ども、実際に自分らが契約をした相手方そのものに対して担保を持たない。その担保を持ち得ることの方が、自分らとしては非常に有利だと
考えておるのであ
つて、われわれの意思を聞かないで、一方的に廃止されたということは困るから、今後かかることがないように何らか補償する措置をと
つてもらいたいというような希望がありました。言いかえれば、今言
つたような国家管理が行われ、あるいは国営になるというような場合に、投資された資本に対して、どういう措置をとるかということを明示することが、必要であろうと思うのであります。これは法的措置によ
つていたしますか、あるいはまた実際に何らかこれを補償する基金を置いて、そうしてそういうことが起
つたときに、この基金で補償する措置をとるか、それらの点についてはなお
検討を要すると思うのであります。この点はまだわれわれの
考え方も、いずれがいいのか、どうしたらいいのかという点についてまとま
つておりません。
第三には、これは大きな障害というよりも、実際に技術を教わる上におきまして、向うの技術者が
日本へ来たときにおいて——向うの技術者は月に千ドル以下ということはおそらくないと思いますそういたしますと、年に四百万円の收入ということになりますので、これに
日本流の所得税をかけられたときには、来る人も来る意欲が全然なくな
つてしまうということで——これは
生活の條件が違うのでありますから、これらの人に全部
日本人の所得税のあれを適用するということは、
生活の標準が違うということ、また特殊技術指導のために来るということで、どうしても特別な何らかの措置を講ずることが必要ではないか。基礎控除をうんと多くするとか、あるいはレートを低くするとか、そうい
つた問題について考慮する必要があろうと
考えるのでありましてこの点は大蔵省において目下
検討されておるところであります。
そのほかの問題といたしまして、従来外国の投資家が問題にいたしておりました、たとえば
日本の統制法規の問題、これらも大部分はもうはずされてしまいましたので、もはや問題は大体においてなく
なつたと見てよかろうと思うのであります。
それからまた従来申されておりました法人税が非常に過重であるというような問題も、今回提出してある
予算案によりますと、法人税の超過所得に対する分はとらないということで、法人税もそう過重でないと
考えられますので、この点の障害も大体排除されたと
考えていいのではないか。それから従来心配された労働不安の問題も大体落ちついた、こう見てよいのではないかと思うのであります。それで先ほど述べました
三つの問題が障害とな
つて今現われておる、かように
考えております。